JP2000303395A - 複合硬化体および複合建築材料 - Google Patents
複合硬化体および複合建築材料Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強
度を有する、建築材料に最適な複合硬化体を提供するこ
とにある。 【解決手段】 無機非晶質体中に繊維状物が混在してな
り、その気孔率が5〜60%であることを特徴とする複
合硬化体。
度を有する、建築材料に最適な複合硬化体を提供するこ
とにある。 【解決手段】 無機非晶質体中に繊維状物が混在してな
り、その気孔率が5〜60%であることを特徴とする複
合硬化体。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種産業用材料
として使用できる複合硬化体およびこれを用いた複合建
築材料に関するものである。
として使用できる複合硬化体およびこれを用いた複合建
築材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
【0003】例えば、紙の製造後に発生するパルプかす
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平7−
41350号公報の技術では、鉄板とセメントを使用す
るために加工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要
となるから生産性が低下することが問題であった。
41350号公報の技術では、鉄板とセメントを使用す
るために加工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要
となるから生産性が低下することが問題であった。
【0005】また、特開平10−218643号公報の
技術は、圧縮強度に優れるが曲げ強度が低いことが問題
であり、この技術を建築材料用の柱材や板材等に利用す
るには、曲げ強度を高くする必要がある。
技術は、圧縮強度に優れるが曲げ強度が低いことが問題
であり、この技術を建築材料用の柱材や板材等に利用す
るには、曲げ強度を高くする必要がある。
【0006】さらに、いずれの技術でもセメントを使用
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。
【0007】そこで、この発明は、上記した諸問題を解
消し、産業廃棄物を使用するにあたり、加工性および生
産性を損なうことなく、曲げ強度を向上させた複合硬化
体とこの複合硬化体を用いた複合建築材料について提案
することを目的とする。
消し、産業廃棄物を使用するにあたり、加工性および生
産性を損なうことなく、曲げ強度を向上させた複合硬化
体とこの複合硬化体を用いた複合建築材料について提案
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は、
次のとおりである。 (1) 無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気
孔率が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
次のとおりである。 (1) 無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気
孔率が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
【0009】(2) 上記(1) において、無機非晶質体中に
Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、M
n、FeおよびZnから選ばれる少なくとも2種以上の
元素を含むことを特徴とする複合硬化体。
Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、M
n、FeおよびZnから選ばれる少なくとも2種以上の
元素を含むことを特徴とする複合硬化体。
【0010】(3) 上記(1) において、前記無機非晶質体
が、2種以上の酸化物の系からなり、該酸化物がAl2
O3 、SiO2 、CaO、Na2 O、MgO、P2 O
5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 ま
たはZnOから選ばれることを特徴とする複合硬化体。
が、2種以上の酸化物の系からなり、該酸化物がAl2
O3 、SiO2 、CaO、Na2 O、MgO、P2 O
5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 ま
たはZnOから選ばれることを特徴とする複合硬化体。
【0011】(4) Al2 O3 −SiO2 −CaO系の非
無機晶質中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が5
〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
無機晶質中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が5
〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
【0012】(5) Al2 O3 −SiO2 −CaO−酸化
物系の無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その
気孔率が5〜60%であることを特徴とする複合硬化
体。
物系の無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その
気孔率が5〜60%であることを特徴とする複合硬化
体。
【0013】(6) 上記(5) において、酸化物がNa2
O、MgO、P2 O5 、SO3 、K2O、TiO2 、M
nO、Fe2 O3 およびZnOから選ばれる少なくとも
1種であることを特徴とする複合硬化体。
O、MgO、P2 O5 、SO3 、K2O、TiO2 、M
nO、Fe2 O3 およびZnOから選ばれる少なくとも
1種であることを特徴とする複合硬化体。
【0014】(7) 上記(4) または(5) において、非晶質
体は、それぞれAl2 O3 、SiO 2 およびCaOに換
算して、Al2 O3 :複合硬化体の全重量に対して5〜
51重量%、SiO2 :複合硬化体の全重量に対して8
〜53重量%およびCaO:複合硬化体の全重量に対し
て10〜63重量%でかつ3種の合計が100重量%を
越えない範囲で含有する組成であることを特徴とする複
合硬化体。
体は、それぞれAl2 O3 、SiO 2 およびCaOに換
算して、Al2 O3 :複合硬化体の全重量に対して5〜
51重量%、SiO2 :複合硬化体の全重量に対して8
〜53重量%およびCaO:複合硬化体の全重量に対し
て10〜63重量%でかつ3種の合計が100重量%を
越えない範囲で含有する組成であることを特徴とする複
合硬化体。
【0015】(8) 上記(1) から(7) までのいずれかにお
いて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維状物である
ことを特徴とする複合硬化体。 (9) 上記(1) から(8) までのいずれかにおいて、繊維状
物は、特定方向に配向していることを特徴とする複合硬
化体。
いて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維状物である
ことを特徴とする複合硬化体。 (9) 上記(1) から(8) までのいずれかにおいて、繊維状
物は、特定方向に配向していることを特徴とする複合硬
化体。
【0016】(10)上記(1) から(9) までのいずれかにお
いて、さらにハロゲンを含有することを特徴とする複合
硬化体。
いて、さらにハロゲンを含有することを特徴とする複合
硬化体。
【0017】(11)上記(1) から(10)までのいずれかにお
いて、さらに結晶体を有することを特徴とする複合硬化
体。
いて、さらに結晶体を有することを特徴とする複合硬化
体。
【0018】(12)上記(1) から(11)までのいずれかにお
いて、非晶質体が産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させたものであることを特徴とする複合硬化体。
いて、非晶質体が産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させたものであることを特徴とする複合硬化体。
【0019】(13)産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させて成り、その気孔率が5〜60%であることを特徴
とする複合硬化体。
させて成り、その気孔率が5〜60%であることを特徴
とする複合硬化体。
【0020】(14)蛍光X線分析によりAl、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Feおよび
Znから選ばれる少なくとも2種以上の元素の存在が確
認され、X線回折分析において、2θ:15°〜40°
の範囲でハローが見られる無機非晶質体中に繊維状物が
混在してなり、その気孔率が5〜60%であることを特
徴とする複合硬化体。
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Feおよび
Znから選ばれる少なくとも2種以上の元素の存在が確
認され、X線回折分析において、2θ:15°〜40°
の範囲でハローが見られる無機非晶質体中に繊維状物が
混在してなり、その気孔率が5〜60%であることを特
徴とする複合硬化体。
【0021】(15)蛍光X線分析によりAl、Siおよび
Caの存在が確認され、X線回折分析のチャートにおい
て、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる無
機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が
5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
Caの存在が確認され、X線回折分析のチャートにおい
て、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる無
機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が
5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
【0022】(16)蛍光X線分析によりAl、Siおよび
Caの存在が確認され、また、これらに加えて前記蛍光
X線分析によりNa、Mg、P、S、K、Ti、Mn、
FeおよびZnから選ばれる少なくとも1種以上の元素
の存在が確認され、さらにX線回折分析のチャートにお
いて、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる
無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率
が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
Caの存在が確認され、また、これらに加えて前記蛍光
X線分析によりNa、Mg、P、S、K、Ti、Mn、
FeおよびZnから選ばれる少なくとも1種以上の元素
の存在が確認され、さらにX線回折分析のチャートにお
いて、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる
無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率
が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。
【0023】(17)上記(14)から(16)までのいずれかにお
いて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維状物である
ことを特徴とする複合硬化体。 (18)上記(14)から(17)までのいずれかにおいて、繊維状
物は、特定方向に配向していることを特徴とする複合硬
化体。
いて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維状物である
ことを特徴とする複合硬化体。 (18)上記(14)から(17)までのいずれかにおいて、繊維状
物は、特定方向に配向していることを特徴とする複合硬
化体。
【0024】(19)上記(14)から(16)までのいずれかにお
いて、さらにハロゲンを含有することを特徴とする複合
硬化体。
いて、さらにハロゲンを含有することを特徴とする複合
硬化体。
【0025】(20)上記(14)から(16)までのいずれかにお
いて、さらに結晶体を有することを特徴とする複合硬化
体。
いて、さらに結晶体を有することを特徴とする複合硬化
体。
【0026】(21)上記(14)から(16)までのいずれかにお
いて、非晶質体が産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させたものであることを特徴とする複合硬化体。
いて、非晶質体が産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させたものであることを特徴とする複合硬化体。
【0027】(22)上記(1) から(21)までのいずれかにお
いて、さらに無機粉末を含むことを特徴とする複合硬化
体。
いて、さらに無機粉末を含むことを特徴とする複合硬化
体。
【0028】(23)上記(1) から(21)までのいずれかにお
いて、さらに結合剤を含むことを特徴とする複合硬化
体。
いて、さらに結合剤を含むことを特徴とする複合硬化
体。
【0029】(24)芯材の少なくとも片面に補強層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
【0030】(25)芯材の少なくとも片面に補強層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
【0031】(26)芯材の少なくとも片面に化粧層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
【0032】(27)芯材の少なくとも片面に電磁波シール
ド層を形成した複合建築材料であって、該芯材に、上記
(1) から(23)までのいずれか記載の複合硬化体を適用し
て成ることを特徴とする複合建築材料。
ド層を形成した複合建築材料であって、該芯材に、上記
(1) から(23)までのいずれか記載の複合硬化体を適用し
て成ることを特徴とする複合建築材料。
【0033】(28)芯材の少なくとも片面に耐水紙を貼付
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) から(2
3)までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
【0034】
【発明の実施の形態】この発明の複合硬化体の構造を、
図1に模式で示す。この複合硬化体1は、無機晶質体2
中に繊維状物3が混在するものであり、その気孔率が5
〜60%であることを特徴とする。気孔率は、100%
−(見かけの比重/真比重)×100%で計算される。
比重は、4℃の水の密度を1とした場合の物質の密度を
いう。比重の測定は、硬化体の体積および重量を測定
し、(重量/体積)/0.999973で計算したもの
である。また、真比重は、構成成分の理論密度および組
成比から荷重平均で計算する。気孔率が60%を越える
と複合硬化体の強度が低下し、逆に気孔率が5%未満で
は強度に占める無機非晶質体自体の影響が大きくなりす
ぎて繊維状物の補強効果が相対的に低下し、やはり強度
が低下してしまう。前記気孔率は、10〜50%が最適
である。クラックを抑制できる範囲だからである。な
お、クラック抑制が可能な比重範囲が、強度を得るため
の範囲より狭い理由は、破壊靱性値の方が曲げ強度など
よりも気孔や繊維状物の影響を強く受けるからであると
推定している。
図1に模式で示す。この複合硬化体1は、無機晶質体2
中に繊維状物3が混在するものであり、その気孔率が5
〜60%であることを特徴とする。気孔率は、100%
−(見かけの比重/真比重)×100%で計算される。
比重は、4℃の水の密度を1とした場合の物質の密度を
いう。比重の測定は、硬化体の体積および重量を測定
し、(重量/体積)/0.999973で計算したもの
である。また、真比重は、構成成分の理論密度および組
成比から荷重平均で計算する。気孔率が60%を越える
と複合硬化体の強度が低下し、逆に気孔率が5%未満で
は強度に占める無機非晶質体自体の影響が大きくなりす
ぎて繊維状物の補強効果が相対的に低下し、やはり強度
が低下してしまう。前記気孔率は、10〜50%が最適
である。クラックを抑制できる範囲だからである。な
お、クラック抑制が可能な比重範囲が、強度を得るため
の範囲より狭い理由は、破壊靱性値の方が曲げ強度など
よりも気孔や繊維状物の影響を強く受けるからであると
推定している。
【0035】本発明で使用される無機非晶質体について
は特に限定されず、Si、Al、Ca、Na、Mg、
P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる少な
くとも2種以上の元素を含む各種酸化物の無機非晶質体
を使用することができる。特に、2種以上の酸化物の系
からなる無機非晶質体が最適である。ここでいう2種以
上の酸化物の系からなる無機非晶質体とは、酸化物
(1)−酸化物(2)・・・−酸化物(n)系(但しn
は自然数であり、酸化物(1)、酸化物(2)、・・・
酸化物(n)は、それぞれ異なる酸化物)の無機非晶質
体である。このような非晶質体は、正確な定義づけが困
難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは水和反応
等させることにより生成する、非晶質の化合物であると
考えられる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Zn
から選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回
折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の範
囲でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな
起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとし
て観察される。
は特に限定されず、Si、Al、Ca、Na、Mg、
P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる少な
くとも2種以上の元素を含む各種酸化物の無機非晶質体
を使用することができる。特に、2種以上の酸化物の系
からなる無機非晶質体が最適である。ここでいう2種以
上の酸化物の系からなる無機非晶質体とは、酸化物
(1)−酸化物(2)・・・−酸化物(n)系(但しn
は自然数であり、酸化物(1)、酸化物(2)、・・・
酸化物(n)は、それぞれ異なる酸化物)の無機非晶質
体である。このような非晶質体は、正確な定義づけが困
難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは水和反応
等させることにより生成する、非晶質の化合物であると
考えられる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Zn
から選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回
折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の範
囲でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな
起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとし
て観察される。
【0036】この複合硬化体1は、まず無機非晶質体2
が強度発現物質となり、しかも繊維状物3が無機非晶質
体2中に分散して破壊靱性値を改善するため、曲げ強度
値や耐衝撃性を向上することができる。また、非晶質体
の方が結晶質のものより気孔を有しやすく、比重調整し
やすい。さらに、非晶質体は強度に異方性がなく均質な
硬化体が得られるだけでなく、無機非晶質体であるが故
に、低密度で充分な強度が得られるという利点もある。
なお、上記無機非晶質体が強度発現物質となる理由は定
かではないが、結晶質の構造に比べてクラックの進展が
阻害されるためではないかと推定される。また、結晶質
中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に分散しやす
いことから、破壊靱性値も向上すると考えられる。
が強度発現物質となり、しかも繊維状物3が無機非晶質
体2中に分散して破壊靱性値を改善するため、曲げ強度
値や耐衝撃性を向上することができる。また、非晶質体
の方が結晶質のものより気孔を有しやすく、比重調整し
やすい。さらに、非晶質体は強度に異方性がなく均質な
硬化体が得られるだけでなく、無機非晶質体であるが故
に、低密度で充分な強度が得られるという利点もある。
なお、上記無機非晶質体が強度発現物質となる理由は定
かではないが、結晶質の構造に比べてクラックの進展が
阻害されるためではないかと推定される。また、結晶質
中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に分散しやす
いことから、破壊靱性値も向上すると考えられる。
【0037】ここで、酸化物としては、金属および/ま
たは非金属の酸化物を使用でき、Al2 O3 、SiO
2 、CaO、Na2 O、MgO、P2 O5 、SO3 、K
2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZnOから
選ばれることが望ましい。とりわけ、Al2 O3 −Si
O2 −CaO系またはAl2 O3 −SiO2 −CaO−
酸化物系からなる無機非晶質体、もしくはこれら無機非
晶質体の複合体が最適である。なお、後者の無機非晶質
体における酸化物は、Al2 O3 、SiO2 およびCa
Oを除く金属および/または非金属の酸化物の1種以上
である。
たは非金属の酸化物を使用でき、Al2 O3 、SiO
2 、CaO、Na2 O、MgO、P2 O5 、SO3 、K
2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZnOから
選ばれることが望ましい。とりわけ、Al2 O3 −Si
O2 −CaO系またはAl2 O3 −SiO2 −CaO−
酸化物系からなる無機非晶質体、もしくはこれら無機非
晶質体の複合体が最適である。なお、後者の無機非晶質
体における酸化物は、Al2 O3 、SiO2 およびCa
Oを除く金属および/または非金属の酸化物の1種以上
である。
【0038】まず、Al2 O3 −SiO2 −CaO系か
らなる無機非晶質体は、Al2 O3、SiO2 およびC
aOの各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水
和反応などにより生成する非晶質構造を有する化合物で
ある。すなわち、Al2 O3とSiO2 、SiO2 とC
aO、Al2 O3 とCaO、そしてAl2 O3 、SiO
2 およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させ
ることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えら
れる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析
により、Al、Si、Caが確認され、X線回折による
分析のチャートでは2θ:15°〜40°の範囲でハロ
ーが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな起伏であ
り、X線チャートでブロードな盛り上がりとして観察さ
れる。
らなる無機非晶質体は、Al2 O3、SiO2 およびC
aOの各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水
和反応などにより生成する非晶質構造を有する化合物で
ある。すなわち、Al2 O3とSiO2 、SiO2 とC
aO、Al2 O3 とCaO、そしてAl2 O3 、SiO
2 およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させ
ることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えら
れる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析
により、Al、Si、Caが確認され、X線回折による
分析のチャートでは2θ:15°〜40°の範囲でハロ
ーが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな起伏であ
り、X線チャートでブロードな盛り上がりとして観察さ
れる。
【0039】また、Al2 O3 、SiO2 およびCaO
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
2 O3 −SiO2 −CaO−酸化物系からなる無機非晶
質体は、上記Al2 O3 −SiO2 −CaO系での組み
合わせ以外に、Al2 O3 と酸化物、SiO2 と酸化
物、CaOと酸化物、Al2 O3 、SiO2 およびCa
O、Al2 O3 、SiO2 および酸化物、SiO2 、C
aOおよび酸化物、Al 2 O3 、CaOおよび酸化物、
Al2 O3 、SiO2 および酸化物、そしてAl 2 O
3 、SiO2 、CaOおよび酸化物の組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物のいず
れかを含むと考えられる。
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
2 O3 −SiO2 −CaO−酸化物系からなる無機非晶
質体は、上記Al2 O3 −SiO2 −CaO系での組み
合わせ以外に、Al2 O3 と酸化物、SiO2 と酸化
物、CaOと酸化物、Al2 O3 、SiO2 およびCa
O、Al2 O3 、SiO2 および酸化物、SiO2 、C
aOおよび酸化物、Al 2 O3 、CaOおよび酸化物、
Al2 O3 、SiO2 および酸化物、そしてAl 2 O
3 、SiO2 、CaOおよび酸化物の組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物のいず
れかを含むと考えられる。
【0040】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
2 O3 −SiO2 −CaO−酸化物(1)・・・−酸化
物(n)系(nは2以上の自然数)の無機非晶質体であ
れば、これらの酸化物、例えば酸化物(1)、酸化物
(2)・・・酸化物(n)(nは2以上の自然数で、酸
化物(n)は、nの値が異なればそれぞれ異なる酸化物
を意味し、かつAl2 O3 、SiO2 、CaOを除いた
ものである)のそれぞれから選ばれる少なくとも2種以
上の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより
生成する化合物、Al2 O3 、SiO2 、CaOから選
ばれる少なくとも2種以上の組合せで固溶あるいは水和
反応等させることにより生成する化合物、さらに酸化物
(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)(nは2以上
の自然数)のそれぞれから選ばれる少なくとも1種以上
と、Al2 O3 、SiO2 、CaOから選ばれる少なく
とも1種以上との組合せで固溶あるいは水和反応等させ
ることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えら
れる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析
により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構成する
元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
nから選ばれる少なくとも1種以上)が確認され、X線
回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の
範囲でハローが見られる。ハローは、X線の強度の緩や
かな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がり
として観察される。
2 O3 −SiO2 −CaO−酸化物(1)・・・−酸化
物(n)系(nは2以上の自然数)の無機非晶質体であ
れば、これらの酸化物、例えば酸化物(1)、酸化物
(2)・・・酸化物(n)(nは2以上の自然数で、酸
化物(n)は、nの値が異なればそれぞれ異なる酸化物
を意味し、かつAl2 O3 、SiO2 、CaOを除いた
ものである)のそれぞれから選ばれる少なくとも2種以
上の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより
生成する化合物、Al2 O3 、SiO2 、CaOから選
ばれる少なくとも2種以上の組合せで固溶あるいは水和
反応等させることにより生成する化合物、さらに酸化物
(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)(nは2以上
の自然数)のそれぞれから選ばれる少なくとも1種以上
と、Al2 O3 、SiO2 、CaOから選ばれる少なく
とも1種以上との組合せで固溶あるいは水和反応等させ
ることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えら
れる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析
により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構成する
元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
nから選ばれる少なくとも1種以上)が確認され、X線
回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の
範囲でハローが見られる。ハローは、X線の強度の緩や
かな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がり
として観察される。
【0041】ここで、Al2 O3 、SiO2 およびCa
Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であ
り、Al2 O3 、SiO2 、CaOを除く金属および/
または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、M
gO、P2 O5 、SO3 、K2O、TiO2 、MnO、
Fe2 O3 およびZnOから選ぶことができる。この選
択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことがで
きる。
Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であ
り、Al2 O3 、SiO2 、CaOを除く金属および/
または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、M
gO、P2 O5 、SO3 、K2O、TiO2 、MnO、
Fe2 O3 およびZnOから選ぶことができる。この選
択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことがで
きる。
【0042】例えば、Na2 OまたはK2 Oは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al2 O3 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
2 O5 は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO3
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Fe2 O3 は明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、
無機非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al2 O3 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
2 O5 は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO3
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Fe2 O3 は明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、
無機非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0043】前記無機非晶質体の組成は、それぞれAl
2 O3 、SiO2 およびCaOに換算して、Al2 O
3 :複合硬化体の全重量に対して5〜51重量%、Si
O2 :複合硬化体の全重量に対して8〜53重量%およ
びCaO:複合硬化体の全重量に対して10〜63重量
%で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲に
おいて、含有することが好ましい。なぜなら、Al2 O
3 の含有量が5重量%未満あるいは51重量%をこえる
と複合硬化体の強度が低下し、また、SiO2 の含有量
が8重量%未満あるいは53重量%をこえても複合硬化
体の強度が低下する。そして、CaOの含有量が10重
量%未満あるいは63重量%をこえてもやはり複合硬化
体の強度が低下するのである。さらに、酸化物に換算し
てCaO/SiO2 の比率を0.2〜7.9、CaO/
Al2 O3 の比率を0.2〜12.5に調整すること
が、強度の大きい硬化体を得るのに有利である。
2 O3 、SiO2 およびCaOに換算して、Al2 O
3 :複合硬化体の全重量に対して5〜51重量%、Si
O2 :複合硬化体の全重量に対して8〜53重量%およ
びCaO:複合硬化体の全重量に対して10〜63重量
%で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲に
おいて、含有することが好ましい。なぜなら、Al2 O
3 の含有量が5重量%未満あるいは51重量%をこえる
と複合硬化体の強度が低下し、また、SiO2 の含有量
が8重量%未満あるいは53重量%をこえても複合硬化
体の強度が低下する。そして、CaOの含有量が10重
量%未満あるいは63重量%をこえてもやはり複合硬化
体の強度が低下するのである。さらに、酸化物に換算し
てCaO/SiO2 の比率を0.2〜7.9、CaO/
Al2 O3 の比率を0.2〜12.5に調整すること
が、強度の大きい硬化体を得るのに有利である。
【0044】また、Al2 O3 、SiO2 およびCaO
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P2 O5 、S
O3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZ
nOを含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおり
である。なお、これら酸化物の合計量は、100重量%
を越えないことはいうまでもない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜11.0重量% P2 O5 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.3重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.5重量% K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.5重量% Fe2 O3 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜17.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P2 O5 、S
O3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZ
nOを含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおり
である。なお、これら酸化物の合計量は、100重量%
を越えないことはいうまでもない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜11.0重量% P2 O5 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.3重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.5重量% K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.5重量% Fe2 O3 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜17.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
【0045】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:15°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。この発明では、完全に非
晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中にHydr
ogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolite 、Ge
hlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenite-synt
hetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringiteや、S
iO2 、Al 2 O3 、CaO、Na2 O、MgO、P2
O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3
およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO3 (Calcit
e )などの結晶体が混在していてもよい。これら結晶体
は、それ自体が強度発現物質になるとは考えられない
が、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度を改善
したり、クラックの進展を抑制するなどの効果があると
考えられる。結晶体の含有量は、複合硬化体の全重量に
対して0.1〜50重量%であることが望ましい。この
理由は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆
に多すぎると強度低下を招くからである。本発明の複合
硬化体は、その比重が0.2〜2.2であることが望ま
しい。この範囲で高い強度、耐クラック特性が得られる
からである。
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:15°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。この発明では、完全に非
晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中にHydr
ogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolite 、Ge
hlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenite-synt
hetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringiteや、S
iO2 、Al 2 O3 、CaO、Na2 O、MgO、P2
O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3
およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO3 (Calcit
e )などの結晶体が混在していてもよい。これら結晶体
は、それ自体が強度発現物質になるとは考えられない
が、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度を改善
したり、クラックの進展を抑制するなどの効果があると
考えられる。結晶体の含有量は、複合硬化体の全重量に
対して0.1〜50重量%であることが望ましい。この
理由は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆
に多すぎると強度低下を招くからである。本発明の複合
硬化体は、その比重が0.2〜2.2であることが望ま
しい。この範囲で高い強度、耐クラック特性が得られる
からである。
【0046】ちなみに、上記Al2 O3 −SiO2 系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite 、Al2 O3 −CaO系の結晶性化合物
がCalcium Aluminate 、CaO−SiO2 系の結晶性化
合物がCalcium Silicate、Al2 O3 −SiO2 −Ca
O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であ
り、またAl2 O3 −SiO2 −CaO−MgO系の結
晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite 、Al2 O3 −CaO系の結晶性化合物
がCalcium Aluminate 、CaO−SiO2 系の結晶性化
合物がCalcium Silicate、Al2 O3 −SiO2 −Ca
O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であ
り、またAl2 O3 −SiO2 −CaO−MgO系の結
晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
【0047】また、この発明の複合硬化体では、少なく
とも2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体中に、
ハロゲンを添加してもよい。このハロゲンは、固溶体、
水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼抑制物質とし
て作用する。その含有量は、0.1〜1.2重量%が望
ましい。なぜなら、0.1重量%未満では強度が低く、
1.2重量%を越えると燃焼により有害物質を発生する
からである。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が
望ましい。
とも2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体中に、
ハロゲンを添加してもよい。このハロゲンは、固溶体、
水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼抑制物質とし
て作用する。その含有量は、0.1〜1.2重量%が望
ましい。なぜなら、0.1重量%未満では強度が低く、
1.2重量%を越えると燃焼により有害物質を発生する
からである。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が
望ましい。
【0048】同様に、炭酸カルシウム(Calcite )を添
加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体は強度発現
物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無機非晶質体
が取り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなど
の作用により強度向上に寄与すると考えられる。この炭
酸カルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して
48重量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を
越えると曲げ強度が低下するからである。また、0.1
重量%以上が望ましい。0.1重量%未満では、強度向
上に寄与しないからである。
加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体は強度発現
物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無機非晶質体
が取り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなど
の作用により強度向上に寄与すると考えられる。この炭
酸カルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して
48重量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を
越えると曲げ強度が低下するからである。また、0.1
重量%以上が望ましい。0.1重量%未満では、強度向
上に寄与しないからである。
【0049】さらに、結合剤を添加することも、強度の
さらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤とし
ては,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群か
ら選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。
さらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤とし
ては,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群か
ら選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。
【0050】次に、この発明において無機非晶質体中に
混在させる繊維状物は、有機質および無機質のいずれで
もよい。有機質繊維状物としては、ビニロン、ポリプロ
ピレンおよびポリエチレンなどの化学繊維、そして多糖
類からなる有機質繊維状物から選ばれる少なくとも1種
以上を使用できるが、多糖類からなる有機質繊維状物で
あることが望ましい。なぜなら、多糖類にはOH基が存
在し、水素結合によりAl2 O3 、SiO2 またはCa
Oの各種化合物と結合しやすいからである。
混在させる繊維状物は、有機質および無機質のいずれで
もよい。有機質繊維状物としては、ビニロン、ポリプロ
ピレンおよびポリエチレンなどの化学繊維、そして多糖
類からなる有機質繊維状物から選ばれる少なくとも1種
以上を使用できるが、多糖類からなる有機質繊維状物で
あることが望ましい。なぜなら、多糖類にはOH基が存
在し、水素結合によりAl2 O3 、SiO2 またはCa
Oの各種化合物と結合しやすいからである。
【0051】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが
望ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌などの古紙の粉砕
物が有利に適合する。なお、パルプは、セルロースの他
にリグニンを10〜30重量%程度含んでいる。
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが
望ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌などの古紙の粉砕
物が有利に適合する。なお、パルプは、セルロースの他
にリグニンを10〜30重量%程度含んでいる。
【0052】一方、無機質繊維状物としては、アルミナ
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種以
上を使用できる。
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種以
上を使用できる。
【0053】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎるとが空隙が生じて
無機硬化体の強度が低下しやすいからである。
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎるとが空隙が生じて
無機硬化体の強度が低下しやすいからである。
【0054】以上の複合硬化体は、産業廃棄物を乾燥さ
せて凝集硬化させて得たものが推奨され、とりわけ製紙
スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させたものが
最適である。すなわち、製紙スラッジは、無機物を含む
パルプかすであり、産業廃棄物を原料として使用するた
め低コストであり、環境問題の解決に寄与するからであ
る。しかも、この製紙スラッジは、それ自体がバインダ
ーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物と混練す
ることにより、所望の形状に成形できる利点を有する。
せて凝集硬化させて得たものが推奨され、とりわけ製紙
スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させたものが
最適である。すなわち、製紙スラッジは、無機物を含む
パルプかすであり、産業廃棄物を原料として使用するた
め低コストであり、環境問題の解決に寄与するからであ
る。しかも、この製紙スラッジは、それ自体がバインダ
ーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物と混練す
ることにより、所望の形状に成形できる利点を有する。
【0055】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、T
i、Mn、FeおよびZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩
あるいはこれらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物
の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、およ
びハロゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくと
も1種、そして水を含むのが一般的である。とりわけ、
上質紙の古紙は、カオリンや炭酸カルシウムなどのカル
シウム系結晶を多く含むことから、上記製紙スラッジと
しては、古紙を多く含むものが適している。上記製紙ス
ラッジ中の含水率は、20〜80重量%であることが望
ましい。なぜなら、含水率が20重量%未満では、硬く
なりすぎて成形が難しくなり、一方80重量%をこえる
とスラリー状になって成形が難しくなるからである。な
お、製紙スラッジを使用した硬化体に関する技術は散見
されるが、いずれも本発明とは異なる。例えば特開昭4
9−86438号には、パルプかす(セルロース成分)
と石灰かす(炭酸カルシウム)を混合してホットプレス
したものであるが、パルプかすはセルロールを意味して
おり、本発明のように製紙スラッジ中の無機成分を利用
するものではなく、無機非晶質中に繊維が分散したもの
ではない。このため石灰かすの粒界で破断したり、クラ
ックの進展を防止できず曲げ強度、圧縮強度に劣る。ま
た、石灰かすは、結晶質であり、本発明のような非晶質
体ではない。特開平5−270872号、特開平6−2
93546号、特開平7−47537号および特開平7
−69701号は、セメントと無機補強繊維との複合技
術であって、本発明のような無機非晶質体中に繊維状物
質を分散させたものとは異なる。特開平10−1592
3号は、パルプスラッジと結晶質である石膏を混合する
技術であって、本発明のような無機非晶質体中に繊維状
物質を分散させたものとは異なる。特開昭51−300
88号は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形
する技術であるが、焼成条件等が記載されておらず、非
晶質の焼成灰を得ることできない。特開昭49−288
0号は、パルプ廃棄物中の繊維のみに着目した技術であ
り、本発明のような無機非晶質体中に繊維が分散したも
のではない。特開昭53−81388号は、パルプかす
中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)と木屑を混ぜ
て成形したもので、本発明のような無機非晶質体中に繊
維が分散したものではない。特開平8−246400号
は、製紙スラッジではなく古紙パルプそのもの(セルロ
ースのみ)を使用する技術である。特開昭48−443
49号は、有機質と無機質を含むパルプ廃棄物と高分子
エマルジョンなどを混合した技術であるが、無機質と
は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄をいい、実質
的に各1種類の結晶質の金属酸化物単体を指しており、
本発明のような2種以上の金属酸化物が結合して複雑な
非晶質系を構成するものとは異なる。特開昭49−99
524号は、セラミック化(多結晶体)した基材であっ
て、本発明のような非晶質系とは異なる。
に、Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、T
i、Mn、FeおよびZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩
あるいはこれらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物
の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、およ
びハロゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくと
も1種、そして水を含むのが一般的である。とりわけ、
上質紙の古紙は、カオリンや炭酸カルシウムなどのカル
シウム系結晶を多く含むことから、上記製紙スラッジと
しては、古紙を多く含むものが適している。上記製紙ス
ラッジ中の含水率は、20〜80重量%であることが望
ましい。なぜなら、含水率が20重量%未満では、硬く
なりすぎて成形が難しくなり、一方80重量%をこえる
とスラリー状になって成形が難しくなるからである。な
お、製紙スラッジを使用した硬化体に関する技術は散見
されるが、いずれも本発明とは異なる。例えば特開昭4
9−86438号には、パルプかす(セルロース成分)
と石灰かす(炭酸カルシウム)を混合してホットプレス
したものであるが、パルプかすはセルロールを意味して
おり、本発明のように製紙スラッジ中の無機成分を利用
するものではなく、無機非晶質中に繊維が分散したもの
ではない。このため石灰かすの粒界で破断したり、クラ
ックの進展を防止できず曲げ強度、圧縮強度に劣る。ま
た、石灰かすは、結晶質であり、本発明のような非晶質
体ではない。特開平5−270872号、特開平6−2
93546号、特開平7−47537号および特開平7
−69701号は、セメントと無機補強繊維との複合技
術であって、本発明のような無機非晶質体中に繊維状物
質を分散させたものとは異なる。特開平10−1592
3号は、パルプスラッジと結晶質である石膏を混合する
技術であって、本発明のような無機非晶質体中に繊維状
物質を分散させたものとは異なる。特開昭51−300
88号は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形
する技術であるが、焼成条件等が記載されておらず、非
晶質の焼成灰を得ることできない。特開昭49−288
0号は、パルプ廃棄物中の繊維のみに着目した技術であ
り、本発明のような無機非晶質体中に繊維が分散したも
のではない。特開昭53−81388号は、パルプかす
中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)と木屑を混ぜ
て成形したもので、本発明のような無機非晶質体中に繊
維が分散したものではない。特開平8−246400号
は、製紙スラッジではなく古紙パルプそのもの(セルロ
ースのみ)を使用する技術である。特開昭48−443
49号は、有機質と無機質を含むパルプ廃棄物と高分子
エマルジョンなどを混合した技術であるが、無機質と
は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄をいい、実質
的に各1種類の結晶質の金属酸化物単体を指しており、
本発明のような2種以上の金属酸化物が結合して複雑な
非晶質系を構成するものとは異なる。特開昭49−99
524号は、セラミック化(多結晶体)した基材であっ
て、本発明のような非晶質系とは異なる。
【0056】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
中に、無機粉末4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、無機非晶質体と反応して強度発現物質を形成し
て強度を向上するのに有利であり、この無機粉末量を調
整することにより、複合硬化体の気孔率を調整すること
もできる。
中に、無機粉末4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、無機非晶質体と反応して強度発現物質を形成し
て強度を向上するのに有利であり、この無機粉末量を調
整することにより、複合硬化体の気孔率を調整すること
もできる。
【0057】無機粉末としては、炭酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、
製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂
の粉砕屑から選ばれる少なくと1種以上の産業廃棄物粉
末を用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄
物粉末を使用することにより、低コスト化を実現でき、
さらに環境問題の解決に寄与できるからである。
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、
製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂
の粉砕屑から選ばれる少なくと1種以上の産業廃棄物粉
末を用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄
物粉末を使用することにより、低コスト化を実現でき、
さらに環境問題の解決に寄与できるからである。
【0058】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度、靱性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現で
きる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理
後、急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。無機粉末は、比表
面積が、1.6〜100m2 /gであることが望まし
い。1.6m2 /g未満では、無機非晶質体と無機粉末
の接触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に1
00m2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上とい
った効果が低下して結果的に強度が低下する。
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度、靱性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現で
きる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理
後、急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。無機粉末は、比表
面積が、1.6〜100m2 /gであることが望まし
い。1.6m2 /g未満では、無機非晶質体と無機粉末
の接触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に1
00m2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上とい
った効果が低下して結果的に強度が低下する。
【0059】さらに、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望ま
しい。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材
料などの産業材料として望ましい特性をそなえる。
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望ま
しい。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材
料などの産業材料として望ましい特性をそなえる。
【0060】この無機粉末は、その平均粒子径が小さす
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
【0061】この発明に従う複合硬化体は、各種産業に
おいて利用され、ケイ酸カルシウム板、パーライトボー
ド、合板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始
めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリ
ント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料
に使用することができる。
おいて利用され、ケイ酸カルシウム板、パーライトボー
ド、合板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始
めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリ
ント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料
に使用することができる。
【0062】そこで、この複合硬化体の一応用例とし
て、複合建築材料について以下に説明する。すなわち、
図3に示すように、芯材5の少なくとも片面に、図示例
では両面に補強層6が形成された複合建築材料におい
て、該芯材5に、この発明の複合硬化体1を適用してな
ることを特徴とする。すなわち、芯材5をこの発明の複
合硬化体1とすることによって、この芯材に引っ張り力
が加わった場合でも、芯材自体が曲げ強度に優れている
ため、しかも芯材の表面に補強層が設けられていること
も相まって、容易に破壊が起きない構成となっている。
また、表面に局所的に圧力が加わっても凹みや窪みが生
じることもない。
て、複合建築材料について以下に説明する。すなわち、
図3に示すように、芯材5の少なくとも片面に、図示例
では両面に補強層6が形成された複合建築材料におい
て、該芯材5に、この発明の複合硬化体1を適用してな
ることを特徴とする。すなわち、芯材5をこの発明の複
合硬化体1とすることによって、この芯材に引っ張り力
が加わった場合でも、芯材自体が曲げ強度に優れている
ため、しかも芯材の表面に補強層が設けられていること
も相まって、容易に破壊が起きない構成となっている。
また、表面に局所的に圧力が加わっても凹みや窪みが生
じることもない。
【0063】さらに、この発明の複合建築材料は、その
使用に当たり、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧
単板などによる化粧層を設けることになるから、耐衝撃
性が向上して、凹みなどのキズが生じにくくなり、化粧
面がキズにより歪んで意匠性を低下させることもない。
使用に当たり、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧
単板などによる化粧層を設けることになるから、耐衝撃
性が向上して、凹みなどのキズが生じにくくなり、化粧
面がキズにより歪んで意匠性を低下させることもない。
【0064】また、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材
6bを埋設した構造になる。この樹脂6aには、特に熱
硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬化
性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下で
も軟化しないため、補強層としての機能が失われないか
らである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メ
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹
脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と耐衝
撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層におけ
る熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量%の
範囲にすることが望ましい。
6bを埋設した構造になる。この樹脂6aには、特に熱
硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬化
性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下で
も軟化しないため、補強層としての機能が失われないか
らである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メ
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹
脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と耐衝
撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層におけ
る熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量%の
範囲にすることが望ましい。
【0065】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールおよび
セラミックファイバーを用いることが、低価格でかつ耐
熱性並びに強度に優れる点で好ましい。この繊維基材
は、非連続の繊維をマット状に成形したもの、または連
続した長繊維を3〜7cmに切断してマット状にしたも
の(いわゆるチョップドストランドマット)、水で分散
させてシート状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦
巻き状に積層しマット状にしたもの、あるいは連続した
長繊維を織りあげたものが、適用できる。
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールおよび
セラミックファイバーを用いることが、低価格でかつ耐
熱性並びに強度に優れる点で好ましい。この繊維基材
は、非連続の繊維をマット状に成形したもの、または連
続した長繊維を3〜7cmに切断してマット状にしたも
の(いわゆるチョップドストランドマット)、水で分散
させてシート状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦
巻き状に積層しマット状にしたもの、あるいは連続した
長繊維を織りあげたものが、適用できる。
【0066】さらに、補強層の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。
【0067】前記補強層は、弾性高分子を含むことが望
ましい。釘を打ちつけても釘を起点としてクラックが発
生せず、また、弾性高分子が釘表面との摩擦力を確保し
て釘の保持力を向上させることができるからである。こ
のような樹脂としては、熱硬化性樹脂および弾性高分子
からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が望ましい。即
ち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高分子のエマルジ
ョンが分散したものである。このような樹脂が硬化する
ことにより、熱硬化性樹脂マトリックスの「海」の中に
弾性高分子の「島」が分散した構成になり、樹脂の強度
を確保し、また靱性を付与できるのである。
ましい。釘を打ちつけても釘を起点としてクラックが発
生せず、また、弾性高分子が釘表面との摩擦力を確保し
て釘の保持力を向上させることができるからである。こ
のような樹脂としては、熱硬化性樹脂および弾性高分子
からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が望ましい。即
ち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高分子のエマルジ
ョンが分散したものである。このような樹脂が硬化する
ことにより、熱硬化性樹脂マトリックスの「海」の中に
弾性高分子の「島」が分散した構成になり、樹脂の強度
を確保し、また靱性を付与できるのである。
【0068】前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、ア
クリル系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレ
タン系ラテックスであることが望ましい。これらは、未
硬化の熱硬化性樹脂液中に液状で分散させることができ
るからである。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であ
るため、多孔質基材や繊維質基材に含浸させやすい。前
記ゴム系ラテックスは、ニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)がよい。
前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などがよい。前記熱硬化
性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比は、95/5〜6
5/35であることが望ましい。この理由は、熱硬化性
樹脂量が多すぎると靱性が低下して、クラックが発生し
やすくなり、釘の保持力が低下し、逆に弾性高分子が多
すぎると樹脂強度が低下して、釘の保持力が低下してし
まう。このように、釘の保持力は、熱硬化性樹脂と弾性
高分子の固形分の重量比が、95/5〜65/35が最
適である。
クリル系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレ
タン系ラテックスであることが望ましい。これらは、未
硬化の熱硬化性樹脂液中に液状で分散させることができ
るからである。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であ
るため、多孔質基材や繊維質基材に含浸させやすい。前
記ゴム系ラテックスは、ニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)がよい。
前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などがよい。前記熱硬化
性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比は、95/5〜6
5/35であることが望ましい。この理由は、熱硬化性
樹脂量が多すぎると靱性が低下して、クラックが発生し
やすくなり、釘の保持力が低下し、逆に弾性高分子が多
すぎると樹脂強度が低下して、釘の保持力が低下してし
まう。このように、釘の保持力は、熱硬化性樹脂と弾性
高分子の固形分の重量比が、95/5〜65/35が最
適である。
【0069】本発明においては、複合硬化体を芯材と
し、その少なくとも片面に化粧層を有していてもよい。
使用される化粧層は、メラミン樹脂塗料、メラミン樹脂
含浸紙、ポリエステル樹脂塗料、ジアリルフタレート樹
脂含浸紙、紫外線硬化樹脂塗料、塩化ビニル樹脂フィル
ム、ウレタン樹脂塗料、ポリアクリルウレタン、ふっ化
ビニル樹脂フィルム、化粧板から選ばれる少なくとも1
種以上の樹脂系化粧層、天然木単板(ローズ、チーク、
マツ、タモ、ナラ、スギ)、天然石、人造石、カーペッ
ト、塩化ビニルタイル、布製カーペット、化粧合板、畳
などを使用することができる。前記化粧板は、フェノー
ル樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラ
ミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層構造の化粧板
やメラミン樹脂含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コ
ア層、メラニン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸
オーバーレイ層からなる4層構造の化粧板を使用でき
る。特にコア層としてフェノール樹脂含浸コア層を持つ
化粧板の場合は、表面強度が著しく高くなるため、床材
などへの応用できる。前記化粧層の厚みは、0.1〜1
0mmであることが望ましい。
し、その少なくとも片面に化粧層を有していてもよい。
使用される化粧層は、メラミン樹脂塗料、メラミン樹脂
含浸紙、ポリエステル樹脂塗料、ジアリルフタレート樹
脂含浸紙、紫外線硬化樹脂塗料、塩化ビニル樹脂フィル
ム、ウレタン樹脂塗料、ポリアクリルウレタン、ふっ化
ビニル樹脂フィルム、化粧板から選ばれる少なくとも1
種以上の樹脂系化粧層、天然木単板(ローズ、チーク、
マツ、タモ、ナラ、スギ)、天然石、人造石、カーペッ
ト、塩化ビニルタイル、布製カーペット、化粧合板、畳
などを使用することができる。前記化粧板は、フェノー
ル樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラ
ミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層構造の化粧板
やメラミン樹脂含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コ
ア層、メラニン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸
オーバーレイ層からなる4層構造の化粧板を使用でき
る。特にコア層としてフェノール樹脂含浸コア層を持つ
化粧板の場合は、表面強度が著しく高くなるため、床材
などへの応用できる。前記化粧層の厚みは、0.1〜1
0mmであることが望ましい。
【0070】本発明においては、芯材と化粧層の間に樹
脂および繊維基材からなる補強層が形成されてなること
が望ましい。耐衝撃性をさらに向上させることができ、
過酷な耐久性が要求される床材への応用も可能だからで
ある。前記補強層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂が望
ましい。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性
に優れ、高温化でも軟化しないため、補強層としての機
能が失われないからである。本発明の複合硬化体は、少
なくとも片面に耐水紙を貼付して複合建築材料としても
よい。耐水性、強度を向上させるためである。
脂および繊維基材からなる補強層が形成されてなること
が望ましい。耐衝撃性をさらに向上させることができ、
過酷な耐久性が要求される床材への応用も可能だからで
ある。前記補強層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂が望
ましい。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性
に優れ、高温化でも軟化しないため、補強層としての機
能が失われないからである。本発明の複合硬化体は、少
なくとも片面に耐水紙を貼付して複合建築材料としても
よい。耐水性、強度を向上させるためである。
【0071】以下に、この発明の複合硬化体および複合
建築材料の製造方法について説明する。まず、複合硬化
体の製造方法は、次のとおりである。すなわち、複合硬
化体の原料には、製紙スラッジを使用する。製紙スラッ
ジとしては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、
ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生
理用品、タオル用紙、工業用雑種紙、家庭用雑種紙を抄
造した際に排出される製紙スラッジを使用することが望
ましい。市販の製紙スラッジとしては、丸東窯材社が取
り扱う「サイクロン灰」、「生スラッジ」などを使用で
きる。
建築材料の製造方法について説明する。まず、複合硬化
体の製造方法は、次のとおりである。すなわち、複合硬
化体の原料には、製紙スラッジを使用する。製紙スラッ
ジとしては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、
ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生
理用品、タオル用紙、工業用雑種紙、家庭用雑種紙を抄
造した際に排出される製紙スラッジを使用することが望
ましい。市販の製紙スラッジとしては、丸東窯材社が取
り扱う「サイクロン灰」、「生スラッジ」などを使用で
きる。
【0072】この製紙スラッジを、所望の型枠に流し込
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造するなどの方法にて、成形を行う。そし
て、成形後、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させ
ると、複合硬化体が得られる。この加熱温度が高すぎる
と、変形やクラックなどが発生し、一方低すぎると乾燥
に長時間を必要とし、生産性が低下してしまう。
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造するなどの方法にて、成形を行う。そし
て、成形後、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させ
ると、複合硬化体が得られる。この加熱温度が高すぎる
と、変形やクラックなどが発生し、一方低すぎると乾燥
に長時間を必要とし、生産性が低下してしまう。
【0073】特に、複合硬化体を板状に成形するには、
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで押さ
えてシート状の成形体にし、このシート状成形体を加熱
温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の芯材
に成形する。その際の圧力は1〜400kgf/cm2
が適当である。圧力を適宜変えることにより、気孔率を
調整することができる。例えば、350kg/cm2 で
概ね気孔率が22%となる。圧締によって繊維状物がそ
の圧締方向に対し直角方向に配向する。圧力をかけるこ
とにより水分を除去できるので、水を取り込んで結晶化
が進行しすぎるのを防止でき、適度に非晶質体を形成す
ることができる。また、配向によって曲げ強度を高くす
ることができる。比重の調整方法としては、加圧時の圧
力を変える以外に、無機粉末を添加する方法、あるいは
各種発泡剤を添加して無機非晶質体に気泡を形成する方
法などがある。さらに、製紙スラッジに無機粉末を添加
して混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化
体中に無機粉末を分散させることができる。
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで押さ
えてシート状の成形体にし、このシート状成形体を加熱
温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の芯材
に成形する。その際の圧力は1〜400kgf/cm2
が適当である。圧力を適宜変えることにより、気孔率を
調整することができる。例えば、350kg/cm2 で
概ね気孔率が22%となる。圧締によって繊維状物がそ
の圧締方向に対し直角方向に配向する。圧力をかけるこ
とにより水分を除去できるので、水を取り込んで結晶化
が進行しすぎるのを防止でき、適度に非晶質体を形成す
ることができる。また、配向によって曲げ強度を高くす
ることができる。比重の調整方法としては、加圧時の圧
力を変える以外に、無機粉末を添加する方法、あるいは
各種発泡剤を添加して無機非晶質体に気泡を形成する方
法などがある。さらに、製紙スラッジに無機粉末を添加
して混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化
体中に無機粉末を分散させることができる。
【0074】なお、製紙スラッジ以外にも、原料として
金属アルコキシドや金属水酸化物を使用することができ
る。例えば、Al、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と古紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸また
たアルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化してもよい。この
ようなゲルは、結果的にAl2 O3 、SiO2 、Ca
O、Na2 O、MgO、P2 O5 、SO3 、K2 O、T
iO2 、MnO、Fe2 O3 およびZnOなどの酸化物
を固溶あるいは水和反応させて得られる化合物と同一と
なると推定される。
金属アルコキシドや金属水酸化物を使用することができ
る。例えば、Al、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と古紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸また
たアルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化してもよい。この
ようなゲルは、結果的にAl2 O3 、SiO2 、Ca
O、Na2 O、MgO、P2 O5 、SO3 、K2 O、T
iO2 、MnO、Fe2 O3 およびZnOなどの酸化物
を固溶あるいは水和反応させて得られる化合物と同一と
なると推定される。
【0075】また、複合建築材料は、以下のように製造
する。まず、製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、
ロールで押さえてシート状成形体とする。一方、繊維基
材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理して、乾
燥させて補強シートとする。次いで、シート状成形体と
補強シートを積層し、加熱しながら圧締し、芯材(複合
硬化体)と補強層からなる複合建築材料に成形する。こ
こでの加熱温度は、80〜200℃、圧力は1〜400
kgf/cm2程度が適当である。圧締とは、圧力をか
けたまま保持することをいう。
する。まず、製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、
ロールで押さえてシート状成形体とする。一方、繊維基
材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理して、乾
燥させて補強シートとする。次いで、シート状成形体と
補強シートを積層し、加熱しながら圧締し、芯材(複合
硬化体)と補強層からなる複合建築材料に成形する。こ
こでの加熱温度は、80〜200℃、圧力は1〜400
kgf/cm2程度が適当である。圧締とは、圧力をか
けたまま保持することをいう。
【0076】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層とし、この
補強層を接着剤にて予め硬化しておいた芯材に貼付する
方法でもよい。
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層とし、この
補強層を接着剤にて予め硬化しておいた芯材に貼付する
方法でもよい。
【0077】また、ガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーの繊維表面にフェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊
維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱
プレスする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬化性
樹脂を別工程でコーティングしておく方法では、含浸し
た樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を接着しやす
く、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有利である。
このようなコーティングの方法としては、前記繊維基材
に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥せしめる方法、あ
るいはガラス繊維、ロックウール、セラミックファイバ
ーの原料溶融物をノズルから流出させて、ブローイング
法あるいは遠心法により繊維化し、この繊維化と同時に
フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液を吹きつける
方法がある。
ックファイバーの繊維表面にフェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊
維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱
プレスする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬化性
樹脂を別工程でコーティングしておく方法では、含浸し
た樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を接着しやす
く、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有利である。
このようなコーティングの方法としては、前記繊維基材
に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥せしめる方法、あ
るいはガラス繊維、ロックウール、セラミックファイバ
ーの原料溶融物をノズルから流出させて、ブローイング
法あるいは遠心法により繊維化し、この繊維化と同時に
フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液を吹きつける
方法がある。
【0078】なお、繊維基材の構成材料として、ガラス
繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用する
場合は、シランカップリング剤をコーティングしておく
とよい。このようにして得られた複合建築材料の表面、
裏面に塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接着剤等で
貼りつけることができる。塗装は、各種顔料、インクな
どを印刷、吹きつけすることにより行う。また、化粧板
は、フェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パタ
ーン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層
構造の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノ
ール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メ
ラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧
板を使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含
浸コア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高く
なるため、床材などへの応用が可能である。また、化粧
単板としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用でき
る。
繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用する
場合は、シランカップリング剤をコーティングしておく
とよい。このようにして得られた複合建築材料の表面、
裏面に塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接着剤等で
貼りつけることができる。塗装は、各種顔料、インクな
どを印刷、吹きつけすることにより行う。また、化粧板
は、フェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パタ
ーン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層
構造の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノ
ール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メ
ラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧
板を使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含
浸コア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高く
なるため、床材などへの応用が可能である。また、化粧
単板としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用でき
る。
【0079】
【実施例】(実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯
材社が取り扱う「生スラッジ」:固形分34重量% 水
分66重量%)1512gを用意した。次いで、製紙ス
ラッジをコンベアで搬送しながら、350kgf/cm
2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート状成形体
とした。このシート状成形体を100℃で加熱して板状
の複合硬化体とした。かくして得られた複合硬化体を、
蛍光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析
したところ、酸化物に換算して下記の組成であることが
判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成して重
量減少量から測定した。
材社が取り扱う「生スラッジ」:固形分34重量% 水
分66重量%)1512gを用意した。次いで、製紙ス
ラッジをコンベアで搬送しながら、350kgf/cm
2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート状成形体
とした。このシート状成形体を100℃で加熱して板状
の複合硬化体とした。かくして得られた複合硬化体を、
蛍光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析
したところ、酸化物に換算して下記の組成であることが
判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成して重
量減少量から測定した。
【0080】 記 パルプ: 50.4重量%, MgO: 1.4 重量% SiO2 : 25.2重量%, SO3 : 0.5 重量% Al2 O3 :14.0重量%, P2 O5 :0.2 重量% CaO: 8.0重量%, Cl: 0.2 重量% TiO2 : 1.0 重量%, ZnO: 0.1 重量% その他 微量 また、得られた複合硬化体は長方形の板であるため、各
辺の長さを測定すれば体積が測定され、さらに重量を測
定すれば、比重を計算できる。比重は、1.4であっ
た。また、真比重は、1.8であり、気孔率は22%で
あった。
辺の長さを測定すれば体積が測定され、さらに重量を測
定すれば、比重を計算できる。比重は、1.4であっ
た。また、真比重は、1.8であり、気孔率は22%で
あった。
【0081】(実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う「生スラッジ」 固形分34重量%
水分66重量%)1512gを用意した。次いで、この
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、3kgf/c
m2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート状成形
体とした。このシート状成形体を100℃で加熱して板
状の複合硬化体とした。かくして得られた複合硬化体
を、蛍光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )をを用い
て分析したところ、酸化物に換算して下記の組成である
ことが判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成
して重量減少量から測定した。 記 パルプ: 46.0重量%, TiO2 :1.0 重量% Al2 O3 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% Al2 O3 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% CaO: 8.0重量%, P2 O5 :0.2 重量% Na2 O: 0.2重量%, Cl: 0.3 重量% K2 O: 0.2重量%, その他: 微量 Fe2 O3 : 0.2重量%, 実施例1と同様に測定した比重は、1.2であった。ま
た、真比重は1.68であり、気孔率は28.1%であ
った。
窯材社が取り扱う「生スラッジ」 固形分34重量%
水分66重量%)1512gを用意した。次いで、この
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、3kgf/c
m2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート状成形
体とした。このシート状成形体を100℃で加熱して板
状の複合硬化体とした。かくして得られた複合硬化体
を、蛍光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )をを用い
て分析したところ、酸化物に換算して下記の組成である
ことが判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成
して重量減少量から測定した。 記 パルプ: 46.0重量%, TiO2 :1.0 重量% Al2 O3 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% Al2 O3 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% CaO: 8.0重量%, P2 O5 :0.2 重量% Na2 O: 0.2重量%, Cl: 0.3 重量% K2 O: 0.2重量%, その他: 微量 Fe2 O3 : 0.2重量%, 実施例1と同様に測定した比重は、1.2であった。ま
た、真比重は1.68であり、気孔率は28.1%であ
った。
【0082】(実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東
窯材社が取り扱う「サイクロン灰」)103重量部と、
実施例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部とを混
練した。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線分析装
置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析を行い、各酸化
物に換算して次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 33.1重量% MgO 6.0 重量% Al2 O3 21.7重量% P2 O5 2.7 重量% Fe2 O3 12.4重量% TiO2 1.0 重量% CaO 21.3重量% SO3 0.5 重量% Cl 0.2 重量% ZnO 0.1 重量% その他 微量 上記焼成スラッジは、平均粒子径:11.0μm、真比
重:2.756、比表面積:19.0m2 /gのもので
あった。実施例1と同様に測定した比重は、0.8であ
った。真比重は、1.2であり、気孔率は33%であっ
た。次いで、混練物をコンベアで搬送しながら、3kg
f/cm2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート
状成形体とした。このシート状成形体を110℃で加熱
して板状の複合硬化体とした。
窯材社が取り扱う「サイクロン灰」)103重量部と、
実施例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部とを混
練した。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線分析装
置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析を行い、各酸化
物に換算して次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 33.1重量% MgO 6.0 重量% Al2 O3 21.7重量% P2 O5 2.7 重量% Fe2 O3 12.4重量% TiO2 1.0 重量% CaO 21.3重量% SO3 0.5 重量% Cl 0.2 重量% ZnO 0.1 重量% その他 微量 上記焼成スラッジは、平均粒子径:11.0μm、真比
重:2.756、比表面積:19.0m2 /gのもので
あった。実施例1と同様に測定した比重は、0.8であ
った。真比重は、1.2であり、気孔率は33%であっ
た。次いで、混練物をコンベアで搬送しながら、3kg
f/cm2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート
状成形体とした。このシート状成形体を110℃で加熱
して板状の複合硬化体とした。
【0083】(実施例4)実施例1と同様であるが、圧
力を380kgf/cm2 として、比重を1.7に調整
した。真比重は、1.8であり、気孔率は5.6%であ
った。
力を380kgf/cm2 として、比重を1.7に調整
した。真比重は、1.8であり、気孔率は5.6%であ
った。
【0084】(実施例5)実施例2と同様であるが、界
面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)
0.1g添加し攪拌した。攪拌することにより、発生す
る気泡により比重を0.8に調整した。真比重は1.6
8であり、気孔率は52.4%であった。
面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)
0.1g添加し攪拌した。攪拌することにより、発生す
る気泡により比重を0.8に調整した。真比重は1.6
8であり、気孔率は52.4%であった。
【0085】(実施例6)シート状ガラス繊維に硬化剤
を添加したフェノール樹脂溶液を含浸(含浸量固形分換
算45%)した後、80℃の温度にて20分間乾燥させ
て、補強シートを得た。さらに、フェノール樹脂を芯材
の表面と裏面に塗布して80℃の温度にて20分間乾燥
させた。次いで、実施例2と同様にシート状成形体を成
形した。そして、補強シートをシート状成形体の表面お
よび裏面に載置し、110℃の温度にて圧力7kgf/
cm2 で20分間プレスし、表裏両面で厚さ1mmの補
強層および厚さ10mmの芯材からなる複合建築材料を
製造した。さらに、この複合建築材料の表面に厚さ0.
2mmの杉板の化粧単板を酢酸ビニル接着剤を介して貼
付した。実施例1と同様に測定した芯材の比重は、1.
2であった。真比重は、1.68であり、気孔率は2
8.5%であった。
を添加したフェノール樹脂溶液を含浸(含浸量固形分換
算45%)した後、80℃の温度にて20分間乾燥させ
て、補強シートを得た。さらに、フェノール樹脂を芯材
の表面と裏面に塗布して80℃の温度にて20分間乾燥
させた。次いで、実施例2と同様にシート状成形体を成
形した。そして、補強シートをシート状成形体の表面お
よび裏面に載置し、110℃の温度にて圧力7kgf/
cm2 で20分間プレスし、表裏両面で厚さ1mmの補
強層および厚さ10mmの芯材からなる複合建築材料を
製造した。さらに、この複合建築材料の表面に厚さ0.
2mmの杉板の化粧単板を酢酸ビニル接着剤を介して貼
付した。実施例1と同様に測定した芯材の比重は、1.
2であった。真比重は、1.68であり、気孔率は2
8.5%であった。
【0086】(実施例7)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1512重量部およびフェノール樹脂378重量部
を混練し混練物を得た。得られた混練物をコンベアで搬
送しながら、3kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚
さ10mmのシート状成形体とした。このシート状成形
体を110℃加熱して板状の複合硬化体とした。実施例
1と同様に測定した比重は、1.4であった。真比重
は、1.8であり、気孔率は22.2%であった。この
複合硬化体の両面に厚さ18μmの銅箔を酢酸ビニル接
着剤を介して貼付し、電磁波シールド層とした。
ッジ1512重量部およびフェノール樹脂378重量部
を混練し混練物を得た。得られた混練物をコンベアで搬
送しながら、3kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚
さ10mmのシート状成形体とした。このシート状成形
体を110℃加熱して板状の複合硬化体とした。実施例
1と同様に測定した比重は、1.4であった。真比重
は、1.8であり、気孔率は22.2%であった。この
複合硬化体の両面に厚さ18μmの銅箔を酢酸ビニル接
着剤を介して貼付し、電磁波シールド層とした。
【0087】(実施例8)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1200重量部、フェノール樹脂600重量部およ
び製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社が取り扱う「サイ
クロン灰」)600重量部を混練し混練物を得た。この
混練物をコンベアで搬送しながら、3kgf/cm2 の
圧力で加圧しながら、厚さ10mmのシート状成形とし
た。このシート状成形体を110℃加熱して板状の複合
硬化体とした。実施例1と同様に測定した比重は、1.
2であった。真比重は、1.8であり、気孔率は22.
2%であった。この複合硬化体の両面にフェノール樹脂
を塗布し、この両面に耐水紙を貼付し、100℃で1時
間加熱硬化させた。
ッジ1200重量部、フェノール樹脂600重量部およ
び製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社が取り扱う「サイ
クロン灰」)600重量部を混練し混練物を得た。この
混練物をコンベアで搬送しながら、3kgf/cm2 の
圧力で加圧しながら、厚さ10mmのシート状成形とし
た。このシート状成形体を110℃加熱して板状の複合
硬化体とした。実施例1と同様に測定した比重は、1.
2であった。真比重は、1.8であり、気孔率は22.
2%であった。この複合硬化体の両面にフェノール樹脂
を塗布し、この両面に耐水紙を貼付し、100℃で1時
間加熱硬化させた。
【0088】(比較例1)実施例1と同様であるが、圧
力を500kgf/cm2 として、比重を1.75に調
整した。真比重が1.8であり、気孔率は2.8%であ
った。
力を500kgf/cm2 として、比重を1.75に調
整した。真比重が1.8であり、気孔率は2.8%であ
った。
【0089】(比較例2)実施例2と同様であるが、界
面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)
0.1g添加し攪拌した。攪拌することにより、発生す
る気泡により比重を0.4に調整した。真比重は1.6
8であり、気孔率は76.1%であった。
面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)
0.1g添加し攪拌した。攪拌することにより、発生す
る気泡により比重を0.4に調整した。真比重は1.6
8であり、気孔率は76.1%であった。
【0090】(比較例3)焼成スカム60重量部、水3
6重量部、セメント100重量部およびビニロン繊維
0.3重量部を強制攪拌ミキサで3分間混合してスラリ
を調製し、このスラリを型に流し込み、150〜180
kgf/cm2 で加圧した後、脱型した。
6重量部、セメント100重量部およびビニロン繊維
0.3重量部を強制攪拌ミキサで3分間混合してスラリ
を調製し、このスラリを型に流し込み、150〜180
kgf/cm2 で加圧した後、脱型した。
【0091】(比較例4)石灰系下水汚泥溶融スラグ
(大阪市下水道公社品で主要化学成分が下記のもの)を
ボールミルにて粉砕し、粉末度が比表面積で0.35m
2 /g(プレーン値3500cm2 /g)となるように
粉砕したもの5重量部に、普通ポルトランドセメント
「秩父小野田社品」を95重量部混合し、さらにセメン
ト中のSO3 量が2重量%となるように天然石膏にて調
整して混合セメント組成物を製造した。このセメントと
砂を1:3の割合で混合し、3日間放置した。
(大阪市下水道公社品で主要化学成分が下記のもの)を
ボールミルにて粉砕し、粉末度が比表面積で0.35m
2 /g(プレーン値3500cm2 /g)となるように
粉砕したもの5重量部に、普通ポルトランドセメント
「秩父小野田社品」を95重量部混合し、さらにセメン
ト中のSO3 量が2重量%となるように天然石膏にて調
整して混合セメント組成物を製造した。このセメントと
砂を1:3の割合で混合し、3日間放置した。
【0092】 記 SiO2 : 33.4 重量%, MgO: 2.4 重量% Al2 O3 : 14.2 重量%, P2 O5 : 7.0 重量% Fe2 O3 : 5.0 重量%, NaO: 0.7 重量% CaO: 33.9 重量%, K2 O: 0.7 重量%
【0093】以上の実施例および比較例で得られた複合
硬化体および複合建築材料について曲げ強度、圧縮強
度、加工性および釘打ち性について試験を行った。その
結果を表1に示す。なお、試験方法は、曲げ強度がJI
S A 6901に、また圧縮強度がJIS A 54
16に規定された方法に、それぞれ準じて測定した。ま
た、加工性は、木工用丸鋸にて切断加工を行い、加工性
を判断した。さらに、釘打ち性については、直径4m
m、長さ50mmの釘を打ちつけ、クラックの有無を調
べた。
硬化体および複合建築材料について曲げ強度、圧縮強
度、加工性および釘打ち性について試験を行った。その
結果を表1に示す。なお、試験方法は、曲げ強度がJI
S A 6901に、また圧縮強度がJIS A 54
16に規定された方法に、それぞれ準じて測定した。ま
た、加工性は、木工用丸鋸にて切断加工を行い、加工性
を判断した。さらに、釘打ち性については、直径4m
m、長さ50mmの釘を打ちつけ、クラックの有無を調
べた。
【0094】
【表1】
【0095】また、実施例1および実施例3の複合硬化
体について、X線回折により結晶構造を確認した。その
X線回折のチャートを、図2および図3それぞれ示す。
なお、X線回折は、Rigaku製 MiniFlex を使用し、Cu
をターゲットとした。2θ=15°〜40°の領域にゆ
るやかな起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構
造を示すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が
混在していることが判る。また、ピークからは、炭酸カ
ルシウムの結晶(Calsite)、Kaolinite 、SiO2 の結
晶体が同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換算値
で複合硬化体に対して9.8重量%であった。
体について、X線回折により結晶構造を確認した。その
X線回折のチャートを、図2および図3それぞれ示す。
なお、X線回折は、Rigaku製 MiniFlex を使用し、Cu
をターゲットとした。2θ=15°〜40°の領域にゆ
るやかな起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構
造を示すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が
混在していることが判る。また、ピークからは、炭酸カ
ルシウムの結晶(Calsite)、Kaolinite 、SiO2 の結
晶体が同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換算値
で複合硬化体に対して9.8重量%であった。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の複合硬
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強度
を有し、また、産業廃棄物を使用するため、安価な材料
となるため、様々な分野での有利な適用が可能であり、
とりわけ、釘の打ち込みが可能であるところから、建築
材料に最適な素材を低コストで提供できる。
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強度
を有し、また、産業廃棄物を使用するため、安価な材料
となるため、様々な分野での有利な適用が可能であり、
とりわけ、釘の打ち込みが可能であるところから、建築
材料に最適な素材を低コストで提供できる。
【図1】 この発明の複合硬化体の一例の断面模式図で
ある。
ある。
【図2】 この発明の複合硬化体の他の一例の断面模式
図である。
図である。
【図3】 この発明の複合建築材料の一例の断面模式図
である。
である。
【図4】 実施例1の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
である。
【図5】 実施例3の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
である。
1 複合硬化体 2 無機非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 5 芯材 6 補強層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 Fターム(参考) 2E162 CE08 EA18 FA05 FA09 FA14 FA16 FA19 FA20 FB07 FC01 FC02 FD04 FD08 4F100 AA00A AA00H AA05A AA09A AA17A AA18A AA19A AA20A AA21A AA23A AA25A AJ03A AR00B AR00C AT00B AT00C BA01 BA02 BA03 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C BA13 DE01A DE01H DG01A DG10B DG10C DH00A DJ00A EJ08 GB07 HB00B HB00C JA11A JA12A JA20A JB07B JB07C JD08B JD08C JK04 JL01 JL02 JL16A YY00A 4L055 AA20 AF09 AG01 AG03 AG06 AG08 AG15 AG16 AG17 AG18 AG19 AG20 AG36 AG79 AH01 AH29 AH34 AH37 AJ01 AJ02 AJ10 BE14 BF02 BF04 BG04 EA18 EA32 FA13 FA16 FA19 FA30 GA24 GA47
Claims (28)
- 【請求項1】 無機非晶質体中に繊維状物が混在してな
り、その気孔率が5〜60%であることを特徴とする複
合硬化体。 - 【請求項2】 無機非晶質体中にAl、Si、Ca、N
a、Mg、P、S、K、Ti、Mn、FeおよびZnか
ら選ばれる少なくとも2種以上の元素を含むことを特徴
とする、請求項1記載の複合硬化体。 - 【請求項3】 前記無機非晶質体が、2種以上の酸化物
の系からなり、該酸化物が、Al2 O3 、SiO2 、C
aO、Na2 O、MgO、P2 O5 、SO3 、K 2 O、
TiO2 、MnO、Fe2 O3 またはZnOから選ばれ
ることを特徴とする、請求項1記載の複合硬化体。 - 【請求項4】 Al2 O3 −SiO2 −CaO系の非無
機晶質中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が5〜
60%であることを特徴とする複合硬化体。 - 【請求項5】 Al2 O3 −SiO2 −CaO−酸化物
系の無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気
孔率が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。 - 【請求項6】 前記酸化物が、Na2 O、MgO、P2
O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3
およびZnOから選ばれる少なくとも1種であることを
特徴とする、請求項5記載の複合硬化体。 - 【請求項7】 前記非晶質体は、それぞれAl2 O3 、
SiO2 およびCaOに換算して、Al2 O3 :複合硬
化体の全重量に対して5〜51重量%、SiO2:複合
硬化体の全重量に対して8〜53重量%およびCaO:
複合硬化体の全重量に対して10〜63重量%でかつ3
種の合計が100重量%を越えない範囲で含有する組成
であることを特徴とする、請求項4または5記載の複合
硬化体。 - 【請求項8】 前記繊維状物が、多糖類からなる有機質
繊維状物であることを特徴とする、請求項1から7まで
のいずれか記載の複合硬化体。 - 【請求項9】 前記繊維状物は、特定方向に配向してい
ることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか記
載の複合硬化体。 - 【請求項10】 さらにハロゲンを含有することを特徴
とする、請求項1から9までのいずれか記載の複合硬化
体。 - 【請求項11】 さらに結晶体を有することを特徴とす
る、請求項1から10までのいずれか記載の複合硬化
体。 - 【請求項12】 前記非晶質体が、産業廃棄物である製
紙スラッジを硬化させたものであることを特徴とする、
請求項1から11までのいずれか記載の複合硬化体。 - 【請求項13】 産業廃棄物である製紙スラッジを硬化
させて成り、その気孔率が5〜60%であることを特徴
とする複合硬化体。 - 【請求項14】 蛍光X線分析によりAl、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Feおよび
Znから選ばれる少なくとも2種以上の元素の存在が確
認され、X線回折分析において、2θ:15°〜40°
の範囲でハローが見られる無機非晶質体中に繊維状物が
混在してなり、その気孔率が5〜60%であることを特
徴とする複合硬化体。 - 【請求項15】 蛍光X線分析によりAl、Siおよび
Caの存在が確認され、X線回折分析のチャートにおい
て、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる無
機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率が
5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。 - 【請求項16】 蛍光X線分析によりAl、Siおよび
Caの存在が確認され、また、これらに加えて前記蛍光
X線分析によりNa、Mg、P、S、K、Ti、Mn、
FeおよびZnから選ばれる少なくとも1種以上の元素
の存在が確認され、さらにX線回折分析のチャートにお
いて、2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる
無機非晶質体中に繊維状物が混在してなり、その気孔率
が5〜60%であることを特徴とする複合硬化体。 - 【請求項17】 前記繊維状物が、多糖類からなる有機
質繊維状物であることを特徴とする、請求項14から1
6までのいずれか記載の複合硬化体。 - 【請求項18】 前記繊維状物は、特定方向に配向して
いることを特徴とする、請求項14から17までのいず
れか記載の複合硬化体。 - 【請求項19】 さらにハロゲンを含有することを特徴
とする、請求項14から16までのいずれか記載の複合
硬化体。 - 【請求項20】 さらに結晶体を有することを特徴とす
る、請求項14から16までのいずれか記載の複合硬化
体。 - 【請求項21】 前記非晶質体が、産業廃棄物である製
紙スラッジを硬化させたものであることを特徴とする、
請求項14から16までのいずれか記載の複合硬化体。 - 【請求項22】 さらに無機粉末を含むことを特徴とす
る、請求項1から21までのいずれか記載の複合硬化
体。 - 【請求項23】 さらに結合剤を含むことを特徴とす
る、請求項1から21までのいずれか記載の複合硬化
体。 - 【請求項24】 芯材の少なくとも片面に補強層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1から2
3までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。 - 【請求項25】 芯材の少なくとも片面に補強層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1から2
3までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。 - 【請求項26】 芯材の少なくとも片面に化粧層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1から2
3までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。 - 【請求項27】 芯材の少なくとも片面に電磁波シール
ド層を形成した複合建築材料であって、該芯材に、請求
項1から23までのいずれか記載の複合硬化体を適用し
て成ることを特徴とする複合建築材料。 - 【請求項28】 芯材の少なくとも片面に耐水紙を貼付
した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1から2
3までのいずれか記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11309673A JP2000303395A (ja) | 1998-12-11 | 1999-10-29 | 複合硬化体および複合建築材料 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35258698 | 1998-12-11 | ||
JP3479899 | 1999-02-12 | ||
JP10-352586 | 1999-02-12 | ||
JP11-34798 | 1999-02-12 | ||
JP11309673A JP2000303395A (ja) | 1998-12-11 | 1999-10-29 | 複合硬化体および複合建築材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000303395A true JP2000303395A (ja) | 2000-10-31 |
Family
ID=27288546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11309673A Pending JP2000303395A (ja) | 1998-12-11 | 1999-10-29 | 複合硬化体および複合建築材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000303395A (ja) |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP11309673A patent/JP2000303395A/ja active Pending
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