JP2001011799A - 複合硬化体の製造方法 - Google Patents

複合硬化体の製造方法

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JP2001011799A
JP2001011799A JP11309674A JP30967499A JP2001011799A JP 2001011799 A JP2001011799 A JP 2001011799A JP 11309674 A JP11309674 A JP 11309674A JP 30967499 A JP30967499 A JP 30967499A JP 2001011799 A JP2001011799 A JP 2001011799A
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composite
sludge
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composite cured
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JP11309674A
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Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
Kenji Sato
健司 佐藤
Toshihiro Nomura
敏弘 野村
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強
度を有する複合硬化体を安価に製造することにある。 【解決手段】 無機非晶質体と有機繊維状物とからなる
複合硬化体の製造方法であって、製紙スラッジを乾燥硬
化させることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築材料を含む
各種産業用材料として使用できる複合硬化体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
【0003】例えば、紙の製造後に発生するパルプかす
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平7−
41350号公報の技術では、鉄板とセメントを使用す
るために加工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要
となるから生産性が低下することが問題であった。
【0005】また、特開平10−218643号公報の
技術は、圧縮強度に優れるが曲げ強度が低いことが問題
であり、この技術を建築材料用の柱材や板材等に利用す
るには、曲げ強度を高くする必要がある。
【0006】さらに、いずれの技術でもセメントを使用
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。
【0007】そこで、この発明は、上記した諸問題を解
消し、加工性および生産性を損なうことなく曲げ強度を
向上させた、建築材料等に使用できる複合硬化体の製造
方法について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は、
次のとおりである。 (1) 無機非晶質体と有機繊維状物とからなる複合硬化体
の製造方法であって、製紙スラッジを乾燥硬化させるこ
とを特徴とする複合硬化体の製造方法。
【0009】(2) 前記製紙スラッジを加圧して脱水した
後、乾燥硬化させて製造することを特徴とする、(1) に
記載の複合硬化体の製造方法。 (3) 前記製紙スラッジを10〜300kg/cm2 で加
圧しながら乾燥硬化させることを特徴とする、(1) また
は(2) に記載の複合硬化体の製造方法。 (4) 前記製紙スラッジを加圧しながら乾燥硬化させて製
造することを特徴とする、(1) に記載の複合硬化体の製
造方法。
【0010】(5) 前記製紙スラッジを10〜100kg
/cm2 で加圧した後、乾燥硬化させることを特徴とす
る、(4) に記載の複合硬化体の製造方法。 (6) 前記製紙スラッジ中に無機粒子を有することを特徴
とする、(1) 〜(5) のいずれかに記載の複合硬化体の製
造方法。 (7) 前記加圧を、脱水しながら行うことを特徴とする、
(1) 〜(5) のいずれかに記載の複合硬化体の製造方法。
【0011】(8) 無機非晶質体と有機繊維状物とからな
る複合硬化体の製造方法であって、製紙スラッジを吸引
して脱水した後、乾燥硬化させて製造することを特徴と
する複合硬化体の製造方法。 (9) 無機非晶質体と有機繊維状物とからなる複合硬化体
の製造方法であって、製紙スラッジを吸引および加圧し
て脱水した後、乾燥硬化させて製造することを特徴とす
る複合硬化体の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】ここでは先ず、後述するこの発明
の複合硬化体の製造方法で製造する複合硬化体の構造に
ついて、図1の模式図に基づき説明する。この複合硬化
体1は、2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体2
を含み、該無機非晶質体2中に有機質繊維状物3が混在
してなることを基本とする。ここでいう2種以上の酸化
物の系からなる無機非晶質体とは、酸化物(1)−酸化
物(2)・・・−酸化物(n)系(但しnは自然数であ
り、酸化物(1)、酸化物(2)、・・・酸化物(n)
は、それぞれ異なる酸化物)の非晶質体である。
【0013】このような非晶質体は、正確な定義づけが
困難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは水和反
応等させることにより生成する、非晶質の化合物である
と考えられる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光
X線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、
Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
nから選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線
回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の
範囲でハローが見られる。このハローは、X線の強度の
緩やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上
がりとして観察される。なお、ハローは半値幅が2θ:
2°以上である。
【0014】上記複合硬化体1は、まず無機非晶質体2
が強度発現物質となり、しかも有機質繊維状物3が無機
非晶質体2中に分散して破壊靱性値を改善するため、曲
げ強度値や耐衝撃性を向上させることができる。また、
強度に異方性がなく、均質な硬化体が得られる。さら
に、非晶質体であるため、低密度で充分な強度が得られ
るという利点もある。
【0015】なお、上記非晶質体が強度発現物質となる
理由は定かではないが、結晶質の構造に比べてクラック
の進展が阻害されるためではないかと推定される。ま
た、結晶質中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に
分散しやすいことから、破壊靱性値も向上すると考えら
れる。その結果、釘を打ち込んだり貫通孔を設けても、
クラックが生じないために、建築材料などの加工を必要
とする材料に最適なものとなる。
【0016】ここで、酸化物としては、金属および/ま
たは非金属の酸化物を使用でき、Al23 、SiO
2 、CaO、Na2 O、MgO、P25 、SO3 、K
2 O、TiO2 、MnO、Fe23 およびZnOから
選ばれることが望ましい。とりわけ、Al23 −Si
2 −CaO系またはAl23 −SiO2 −CaO−
酸化物系からなる非晶質体、もしくはこれら非晶質体の
複合体が最適である。なお、後者の非晶質体における酸
化物は、Al23 、SiO2 およびCaOを除く金属
および/または非金属の酸化物の1種以上である。
【0017】まず、Al23 −SiO2 −CaO系か
らなる非晶質体は、Al23 、SiO2 およびCaO
の各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水和反
応などにより生成する非晶質構造を有する化合物であ
る。すなわち、Al23 とSiO2 、SiO2 とCa
O、Al23 とCaO、そしてAl23 、SiO2
およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させる
ことにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられ
る。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析に
より、Al、Si、Caが確認され、X線回折による分
析のチャートでは2θ:15°〜40°の範囲で上記ハ
ローが見られる。
【0018】また、Al23 、SiO2 およびCaO
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
23 −SiO2 −CaO−酸化物系からなる非晶質体
は、上記Al23 −SiO2 −CaO系での組み合わ
せ以外に、Al23 と酸化物、SiO2 と酸化物、C
aOと酸化物、Al23 とSiO2 と酸化物、SiO
2 とCaOと酸化物、Al23 とCaOと酸化物、そ
してAl23 とSiO2 とCaOと酸化物の組合せで
固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合
物のいずれかを含むと考えられる。
【0019】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
23 −SiO2 −CaO−酸化物(n)系(nは2以
上の自然数)の非晶質体であれば、これらの酸化物、例
えば酸化物(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)
(nは2以上の自然数で、酸化物(n)は、nの値が異
なればそれぞれ異なる酸化物を意味し、かつAl2
3、SiO2 、CaOを除いたものである)のそれぞ
れから選ばれる少なくとも2種の組合せで固溶あるいは
水和反応等させることにより生成する化合物、Al23
、SiO2 、CaOから選ばれる少なくとも2種の組
合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成す
る化合物、さらに酸化物(1)、酸化物(2)・・・酸
化物(n)(nは2以上の自然数)のそれぞれから選ば
れる少なくとも1種と、Al23 、SiO2 、CaO
から選ばれる少なくとも1種との組合せで固溶あるいは
水和反応等させることにより生成する化合物のいずれか
を含むと考えられる。
【0020】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも2種以上)が確認さ
れ、X線回折による分析のチャートでは2θ:15°〜
40°の範囲で上記ハローが見られる。
【0021】ここで、Al23 、SiO2 およびCa
Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であ
り、Al23 、SiO2 、CaOを除く金属および/
または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、M
gO、P25 、SO3 、K2O、TiO2 、MnO、
Fe23 およびZnOから選ぶことができる。この選
択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことがで
きる。
【0022】例えば、Na2 OまたはK2 Oは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al23 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
25 は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO3
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Fe23 は明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は非
晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0023】上記非晶質体の組成物は、それぞれAl2
3 、SiO2 およびCaOに換算して、Al23
複合硬化体の全重量に対して3〜51重量%、SiO
2 :複合硬化体の全重量に対して6〜53重量%および
CaO:複合硬化体の全重量に対して8〜63重量%
で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲にお
いて、含有することが好ましい。
【0024】なぜなら、Al23 の含有量が3重量%
未満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体の強度
が低下し、また、SiO2 の含有量が6重量%未満ある
いは53重量%をこえても、複合硬化体の強度が低下す
る。また、CaOの含有量が8重量%未満あるいは63
重量%をこえてもやはり複合硬化体の強度が低下するの
である。
【0025】さらに、酸化物に換算してCaO/SiO
2 の比率を0.2〜7.9、CaO/Al23 の比率
を0.2〜12.5に調整することが、強度の大きい硬
化体を得るのに有利である。
【0026】また、Al23 、SiO2 およびCaO
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P25 、S
3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe23 およびZ
nOのうち1種または2種以上を含有する場合、各成分
の好適含有量は次のとおりである。なお、これら酸化物
の合計量は、100重量%を越えないことはいうまでも
ない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜1
1.0重量% P25 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.
3重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.
5重量% K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
2重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.
7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
5重量% Fe23 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜1
7.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
【0027】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:15°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。なお、この発明では、完
全に非晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中
にHydrogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolit
e 、Gehlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenit
e-synthetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringite
や、SiO2 、Al 23 、CaO、Na2 O、Mg
O、P25 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
23 およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO3
(Calcite )などの結晶体が混在していてもよい。これ
ら結晶体は、それ自体が強度発現物質になるとは考えら
れないが、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度
を改善したり、クラックの進展を抑制するなどの効果が
あると考えられる。なお、結晶体の含有量は、複合硬化
体の全重量に対して0.1〜50重量%であることが望
ましい。なぜなら、結晶体が0.1重量%未満では、硬
度および密度を高くして圧縮強度を改善したり、クラッ
クの進展を抑制するなどの効果が十分得られず、逆に5
0重量%を超えると、曲げ強度低下を招くからである。
【0028】ちなみに、上記Al23 −SiO2 系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite 、Al23 −CaO系の結晶性化合物
がCalcium Aluminate 、CaO−SiO2 系の結晶性化
合物がCalcium Silicate、Al23 −SiO2 −Ca
O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であ
り、またAl23 −SiO2 −CaO−MgO系の結
晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
さらに、上記結晶体としてはCaを含むものが望まし
く、Gehlenite,syn (Ca2 Al27 )、Melitite-s
ynthetic(Ca2 (Mg0.5 Al0.5 )(Si1. 5 Al
0.57 ))、Gehlenite-synthetic (Ca2 (Mg
0.25Al0.75)(Si1.25Al0.757 ))、Anorthit
e,ordered (Ca2 Al2 Si28 )、炭酸カルシウ
ム(Calcite )を含有していても良い。
【0029】またこの発明の製造方法で製造する複合硬
化体では、少なくとも2種以上の酸化物の系からなる非
晶質体中に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲン
は、固溶体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼
抑制物質として作用する。その含有量は、0.1〜1.
2重量%が望ましい。なぜなら、0.1重量%未満では
強度が低く、1.2重量%を越えると燃焼により有害物
質を発生するからである。ハロゲンとしては、塩素、臭
素、フッ素が望ましい。
【0030】同様に、炭酸カルシウム(Calcite )を添
加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体は強度発現
物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を非晶質体が取
り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなどの作
用により強向上に寄与すると考えられる。この炭酸カ
ルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して48
重量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を越え
ると曲げ強度が低下するからである。また、0.1重量
%以上が望ましい。0.1重量%未満では、強度向上に
寄与しないからである。
【0031】さらに、結合剤を添加することも、強度の
さらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤とし
ては,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群か
ら選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。
【0032】次に、この発明の複合硬化体の製造方法に
おいて無機非晶質体中に混在させる有機繊維状物は、多
糖類からなる有機質繊維状物を使用する。なぜなら、多
糖類にはOH基が存在し、水素結合によりAl23
SiO2 またはCaOの各種化合物と結合しやすいから
である。
【0033】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが
望ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、一般に、パルプや、パルプかす、新聞や雑誌などの
古紙の粉砕物が有利に適合する。
【0034】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎると空隙が生じて複
合硬化体の強度が低下しやすいからである。
【0035】以上の複合硬化体1は、紙スラッジ(スカ
ム)を乾燥させて凝集硬化させたものが最適である。す
なわち、製紙スラッジは、無機物を含むパルプかすであ
り、有機質繊維状物を含んでおり、産業廃棄物を原料と
して使用するため低コストであり、環境問題の解決に寄
与するからである。しかも、この製紙スラッジは、それ
自体がバインダーとしての機能を有しており、他の産業
廃棄物と混練することにより、所望の形状に成形できる
利点を有する。なお、製紙スラッジを使用した技術は散
見されるが、いずれも本発明とは異なる。例えば特開昭
49−86438号には、パルプかす(セルロース成
分)と石灰かすを混合してホットプレスしたものである
が、パルプかすはセルロールを意味しており、本発明の
ように製紙スラッジ中の無機成分を利用するものではな
く、無機非晶質中に繊維が分散したものではない。この
ため石灰かすの粒界で破断したり、クラックの進展を防
止できず曲げ強度、圧縮強度に劣る。また、石灰かす
は、製紙パルプ液を燃焼させた結晶質(炭酸カルシウ
ム)であり、本発明のような非晶質体ではない。特開平
5−270872号、特開平6−293546号、特開
平7−47537号および特開平7−69701号は、
セメントと無機補強繊維との複合技術であって、本発明
のような無機非晶質体中に繊維状物質を分散させたもの
とは異なる。特開平10−15923号は、パルプスラ
ッジと結晶質である石膏を混合する技術であって、本発
明のような無機非晶質体中に繊維状物質を分散させたも
のとは異なる。特開昭51−30088号は、パルプ廃
棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形する技術であるが、
焼成条件等が記載されておらず、非晶質の焼成灰を得る
ことできない。特開昭49−2880号は、パルプ廃棄
物中の繊維のみに着目した技術であり、本発明のような
無機非晶質体中に繊維が分散したものではない。特開昭
53−81388号は、パルプかす中の繊維(繊維20
%、土砂0.01%)と木屑を混ぜて成形したもので、
本発明のような無機非晶質体中に繊維が分散したもので
はない。特開平8−246400号は、製紙スラッジで
はなく古紙パルプそのものを使用する技術である。特開
昭48−44349号は、有機質と無機質を含むパルプ
廃棄物と高分子エマルジョンなどを混合した技術である
が、無機質とは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄
をいい、実質的に各1種類の金属酸化物を指しており、
本発明のような2種以上の金属酸化物が複雑な非晶質系
を構成するものとは異なる。特開昭49−99524号
は、セラミック化(多結晶体)した基材であって、本発
明のような非晶質系とは異なる。
【0036】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al23 、SiO2 、CaO、Na2 O、Mg
O、P25 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
23およびZnOの結晶もしくはこれら酸化物の前
駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロゲン
および炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そ
して水を含むのが、一般的である。とりわけ、上質紙の
古紙は、カオリンや炭酸カルシウムなどのカルシウム系
結晶を多く含むことから、上記製紙スラッジとしては、
古紙を多く含むものが適している。
【0037】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
95重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では、硬くなりすぎて成形が難しくな
り、一方95重量%をこえるとスラリー状になって成形
が難しくなるからである。
【0038】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
中に、無機粒子4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、非晶質体と反応して強度発現物質を形成して強
度を向上するのに有利であり、この無機粒子量を調整す
ることにより、複合硬化体の比重を調整することもでき
る。
【0039】上記無機粒子4としては、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パー
ライト、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タル
ク、炭酸カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少な
くとも1種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末と
しては、製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、お
よび珪砂の粉砕屑から選ばれる少なくと1種以上の産業
廃棄物粉末を用いることが望ましい。なぜなら、これら
産業廃棄物粉末を使用することにより、低コスト化を実
現でき、さらに環境問題の解決に寄与できるからであ
る。
【0040】なお、製紙スラッジを焼成した無機粒子
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粒子は、
非晶質であり、強度および靱性に優れ、かつ密度も小さ
いため、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実
現できる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃
未満で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱
処理後、急冷することによって得られる無機粒子は、確
実に非晶質体を含むため有利である。無機粒子4は、比
表面積が、0.8〜100m2 /gであることが望まし
い。0.8m2 /g未満では、非晶質体と無機粒子の接
触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に100
2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上といった
効果が低下して結果的に強度が低下する。
【0041】さらに、無機粒子4中には、シリカ、アル
ミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸
化カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる
少なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望
ましい。これらは化学的に安定で耐候性に優れ、建築材
料などの産業材料として望ましい特性をそなえているか
らである。
【0042】この無機粒子4は、その平均粒子径が小さ
すぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1
〜100μmの範囲にあることが望ましい。無機粒子の
含有量は、10〜90重量%であることが望ましい。す
なわち、無機粒子が多すぎると強度が低下し、逆に無機
粒子の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度
が低下するからである。
【0043】この発明の方法で製造した複合硬化体1
は、各種産業において利用され、ケイ酸カルシウム板、
パーライトボード、合板、石膏ボードなどに代わる新た
な建築材料を始めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の
医療材料、プリント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層
などの電子材料に使用することができる。
【0044】そこで、上記複合硬化体1の一応用例とし
て、複合建築材料について以下に説明する。すなわち、
図3に示すように、芯材5の少なくとも片面に、図示例
では両面に補強層6が形成された複合建築材料におい
て、該芯材5に、この発明の方法で製造した複合硬化体
1を適用する。すなわち、芯材5をこの発明の方法で製
造する複合硬化体1とすることによって、この芯材に引
っ張り力が加わった場合でも、芯材自体が曲げ強度に優
れているため、しかも芯材の表面に補強層が設けられて
いることも相まって、容易に破壊が起きない構成となっ
ている。また、表面に局所的に圧力が加わっても凹みや
窪みが生じることもない。
【0045】さらに、この複合建築材料は、その使用に
当たり、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧単板な
どによる化粧層を設けることになるから、耐衝撃性が向
上して、凹みなどのキズが生じにくくなり、化粧面がキ
ズにより歪んで意匠性を低下させることもない。
【0046】また、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材
6bを埋設した構造になる。この樹脂6aには、特に熱
硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬化
性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下で
も軟化しないため、補強層としての機能が失われないか
らである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メ
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹
脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と耐衝
撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層におけ
る熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量%の
範囲にすることが望ましい。
【0047】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウール、セラ
ミックファイバー、ガラス繊維チョップドストランドマ
ット、ガラス繊維ロービングクロス、ガラス繊維コンテ
ィニュアスストランドマット、ガラス繊維ペーパーのう
ち一種以上を用いることが、低価格でかつ耐熱性並びに
強度に優れる点で好ましい。この繊維基材は、非連続の
繊維をマット状に成形したもの、または連続した長繊維
を3〜7cmに切断してマット状にしたもの(いわゆる
チョップドストランドマット)、水で分散させてシート
状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦巻き状に積層
しマット状にしたもの、あるいは連続した長繊維を織り
あげたものが、適用できる。
【0048】さらに、補強層の厚さは、0.1mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。
【0049】次に、この発明の複合硬化体の製造方法の
実施形態について説明する。この発明の製造方法では、
複合硬化体の原料に、製紙スラッジを使用する。この発
明の製造方法で使用する製紙スラッジとしては、印刷・
情報用紙、クラフト紙、チタン紙、ティッシュペーパ
ー、ちり紙、トイレットペーパー、生理用品、タオル用
紙、工業用雑種紙または家庭用雑種紙等を製造する際の
パルプ製造工程、古紙等の原料処理工程、抄造工程など
で排出される製紙スラッジが望ましい。市販の製紙スラ
ッジとしては、丸東窯材社が取り扱う「サイクロン
灰」、「生スラッジ」などを使用できる。
【0050】この発明では上記製紙スラッジを、所望の
型枠に流し込んだり、フィルター状の底板を設けた型枠
に流し込んだ後にプレスして水分をある程度除去した
り、あるいは製紙スラッジのスラリーを長網式や円網式
などの従来公知の抄造機にて抄造したりする等の方法
で、所望の形状に成形する。そしてその成形体を、通常
の台板もしくはフィルター状の台板上に載置して、通常
の加圧子(加圧部材)もしくはフィルター状の加圧子を
使用してプレスすることによって、10〜300kgf
/cm2 の圧力で圧締して、加圧と同時に脱水を行いな
がら、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させると、
複合硬化体1が得られる。この加熱温度が高すぎると、
変形やクラックなどが発生し、一方低すぎると、乾燥に
長時間を必要とし、生産性が低下してしまう。ここで、
圧締とは、圧力をかけたまま保持することをいう。圧締
によって繊維状物がその圧締方向に対し直角方向に配向
する。圧力をかけることにより水分を除去できるので、
水を取り込んで結晶化が進行しすぎるのを防止でき、適
度に非晶質体を形成することができる。また、配向によ
って曲げ強度を高くすることができる。
【0051】特に、この発明の方法において、複合硬化
体1を上述した芯材5とするために板状に成形する際に
は、製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで
押さえてシート状の成形体にし、このシート状成形体
を、上記と同様にして台板上で圧締して加圧と同時に脱
水を行いながら加熱温度80〜160℃で加熱して、板
状の芯材5を形成する。その圧締の際の圧力は10〜3
00kgf/cm2 が適当である。
【0052】なお、この発明の方法においては、製紙ス
ラッジに無機粒子4を添加して混合した後、それを上記
のように高い圧力で圧締して加圧および脱水しつつ加熱
硬化させても良く、このようにすれば、複合硬化体1中
に無機粒子4を分散させることができる。また、この発
明の方法においては、製紙スラッジのシート状等の成形
体を圧締して加圧と同時に脱水を行い、その後に、その
形成体を加熱して乾燥、硬化させても良い。これらの場
合も、圧締による配向で曲げ強度を高くすることができ
る。
【0053】かかるこの発明の複合硬化体の製造方法に
よれば、製紙スラッジの成形体を上記のように高い圧力
で加圧するで、その成形体の脱水を迅速に行い得て、無
機非晶質体の形成反応を促進させることができる。ま
た、加圧せずに硬化させると無機非晶質体が特に密に集
まった部分であるドメインが発生して、結合剤を別途に
添加しなけれは複合硬化体中にクラックが生じ易くなる
のに対し、上記のように加圧して硬化させれば、そのド
メインの発生による不都合を回避することができる。さ
らに、加圧により、複合硬化体の気孔率を低下させて強
度を向上させることができるとともに、水分を除去する
ことで、無機非晶質体が完全に結晶化してしまうことを
防止し、その一部を結晶体とし得て、その結晶体により
クラックの進展防止および圧縮強度の向上をもたらすこ
とができる。なお、加圧して脱水した後、加圧しない状
態で乾燥硬化させてもよく、加圧しながら乾燥硬化させ
てもよい。
【0054】そして、上述した複合建築材料は、以下の
ようにして製造する。まず、製紙スラッジをコンベアで
搬送しながら、ロールで押さえてシート状成形体とす
る。一方、繊維基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で
加熱処理して、乾燥させて補強シートとする。次いで、
シート状成形体と補強シートを積層し、圧締して加圧、
脱水しながら加熱して芯材5(複合硬化体1)と補強層
6からなる複合建築材料に成形する。ここでの加熱温度
は、80〜200℃、圧力は10〜300kgf/cm
2 程度が適当である。10kgf/cm2 未満では、脱
水が不完全で結晶化が進行し、300kgf/cm2
越えると繊維状物の配向が進行しすぎて層状に剥離する
からである。また、脱水のための加圧は、10〜100
kgf/cm2 程度が適当である。10kgf/cm2
未満では、脱水が不完全で結晶化が進行し、100kg
f/cm2 を越えると繊維状物の配向が進行しすぎて乾
燥硬化時に層状に剥離するからである。
【0055】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層6とし、こ
の補強層6を接着剤にて、予め硬化させておいた芯材5
に貼付する方法を用いてもよい。また、ガラス繊維、ロ
ックウール、セラミックファイバーなどの繊維表面にフ
ェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を別構成でコーティン
グしておき、これらの繊維からなる繊維基材をシート状
成形体上に積層して、上記のように圧締して加圧、脱水
しながら加熱する方法も採用できる。
【0056】ここで、繊維基材の構成材料として、ガラ
ス繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用す
る場合は、シランカップリング剤をコーティングしてお
くとよい。このようにして得られた複合建築材料の表
面、裏面に塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接着剤
等で貼りつけることができる。上記塗装は、各種顔料、
インクなどを印刷、吹きつけすることにより行うことが
できる。また、上記化粧板は、フェノール樹脂含浸コア
層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オ
ーバーレイ層からなる3層構造の化粧板や、メラミン樹
脂含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コア層、メラミ
ン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ
層からなる4層構造の化粧板を使用できる。特に、コア
層としてフェノール樹脂含浸コア層を持つ化粧板の場合
は、表面強度が著しく高くなるため、床材などへの応用
が可能である。そして上記化粧単板としては、スギ、ヒ
ノキ等の高級木材を使用できる。
【0057】
【実施例】(実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯
材社が取り扱う「生スラッジ」:固形分34重量% 水
分66重量%)1512重量部を用意した。次いで、こ
の製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、10〜30
0kgf/cm2 の圧力を加えて加圧と同時に脱水しつ
つ100℃で加熱して乾燥させることで、厚さ10mm
の板状の複合硬化体とした。
【0058】かくして得られた複合硬化体を、蛍光X線
分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析したとこ
ろ、酸化物に換算して、下記の組成であることが判っ
た。なお、パルプについては、1100℃で焼成して重量減
少量から測定した。 記 パルプ: 51.4 重量%, SO3 : 0.5 重量% SiO2 : 24.2 重量%, P25 :0.2 重量% Al23 :14.0 重量%, Cl: 0.2 重量% CaO: 8.0 重量%, ZnO: 0.1 重量% MgO: 1.4 重量%, その他: 微量 TiO2 : 1.0 重量%,
【0059】(実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う「生スラッジ」:固形分34重量%,
水分66重量%:但し、上記実施例1で使用したものと
は別ロットのもの)1512重量部を用意した。次い
で、この製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、10
〜300kgf/cm2 の圧力で加圧と同時に脱水し
て、厚さ10mmのシート状成形体とした。このシート
状成形体を100℃で加熱して乾燥させることで、板状
の複合硬化体とした。
【0060】かくして得られた複合硬化体を、蛍光X線
分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析したとこ
ろ、酸化物に換算して、下記の組成であることが判っ
た。なお、パルプについては、1100℃で焼成して重量減
少量から測定した。 記 パルプ: 46.0 重量%, Cl: 0.3 重量% SiO2 : 24.2 重量%, Na2 O: 0.2 重量% Al23 : 14.0 重量%, K2 O: 0.2 重量% CaO: 8.0 重量%, Fe23 :0.2 重量% MgO: 4.6 重量%, P25 : 0.2 重量% TiO2 : 1.0 重量%, その他: 微量 SO3 : 1.0 重量%,
【0061】(実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東
窯材社が取り扱う「サイクロン灰」)103重量部と、
実施例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部とを混
練した。なお、上記焼成スラッジの組成は、蛍光X線分
析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析したとこ
ろ、各酸化物に換算して、次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 : 34.1 重量%, TiO2 : 1.0 重量% Al23 : 20.7 重量%, SO3 : 0.5 重量% CaO: 21.3 重量%, Cl: 0.2 重量% Fe23 : 12.4 重量%, ZnO: 0.1 重量% MgO: 6.0 重量%, その他: 微量 P25 : 2.7 重量%, また、上記焼成スラッジは、平均粒子径:11.0μm
、真比重:2.756および比表面積:19.0m2
/gであった。
【0062】次いで、上記混練物をコンベアで搬送しな
がら、10〜300kgf/cm2の圧力を加えて加圧
と同時に脱水することにより、厚さ10mmのシート状
成形体とした。このシート状成形体を110℃で加熱し
て乾燥させることで、板状の複合硬化体とした。
【0063】(実施例4)シート状ガラス繊維に硬化剤
を添加したフェノール樹脂溶液を含浸(含浸量固形分換
算45%)させた後、80℃の温度にて20分間乾燥さ
せて、補強シートを得た。
【0064】次いで、実施例2と同様にしてシート状成
形体を成形し、その成形体の表面と裏面にフェノール樹
脂を塗布して、80℃の温度にて20分間乾燥させた。
そして、補強シートをシート状成形体の表面および裏面
に載置し、110℃の温度にて圧力7kgf/cm2
20分間プレスして乾燥および硬化させて、表裏両面で
厚さ1mmの補強層および厚さ10mmの芯材からなる
複合建築材料を製造した。さらに、この複合建築材料の
表面に厚さ0.2mmの杉板の化粧単板を酢酸ビニル接
着剤を介して貼付した。
【0065】(実施例5)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1512重量部およびフェノール樹脂378重量部
を混練し混練物を得た。この得られた混練物をコンベア
で搬送しながら、10〜300kgf/cm2 の圧力で
加圧と同時に脱水して、厚さ10mmのシート状成形体
とした。このシート状成形体を110℃で加熱して乾燥
させることで、板状の複合硬化体とした。
【0066】(実施例6)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1200重量部、フェノール樹脂600重量部およ
び製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社が取り扱う「サイ
クロン灰」)600重量部を混練し混練物を得た。この
得られた混練物をコンベアで搬送しながら、10〜30
0kgf/cm2 の圧力で加圧して、厚さ10mmのシ
ート状成形体とした。このシート状成形体を80℃加熱
して板状の複合硬化体とした。
【0067】(実施例7)実施例1と基本的に同様であ
るが、実施例1の未焼成の製紙スラッジに水を加えて固
形分10%のスラリーを400kg調整し、次いで、こ
のスラリーを脱水プレス法にて10〜300kgf/c
2 (0.98〜29.4MPa)の圧力で加圧すると
同時に吸引して脱水し、さらに100℃で加熱して乾燥
させることで、厚さ10mmの板状の複合硬化体とし
た。
【0068】(実施例8)実施例2と基本的に同様であ
るが、未焼成の製紙スラッジ(固形分45重量%、水分
55重量%)に水を加えて固形分15%のスラリーを4
30kg調整し、次いで、このスラリーを脱水プレス法
にて10〜300kgf/cm2 (0.98〜29.4
MPa)の圧力で加圧すると同時に吸引して脱水し、さ
らに100℃で加熱して乾燥させることで、厚さ10m
mの板状の複合硬化体とした。
【0069】(実施例9)実施例3と基本的に同様であ
るが、製紙スラッジの焼成物103重量部と、実施例1
の未焼成の製紙スラッジ1750重量部と、水6300
重量部とを混練した。次いでこの混練物を円網抄造法に
て抄造した後、50kgf/cm2 (4.9MPa)の
圧力を加えて加圧と同時に脱水することにより、厚さ1
0mmのシート状成形体とした。この成形体を110℃
で加熱して乾燥させることで板状の複合硬化体とした。
【0070】(実施例10)実施例5と基本的に同様で
あるが、実施例1の未焼成の製紙スラッジ1800重量
部と、フェノール樹脂350重量部と、製紙スラッジの
焼成物600重量部とを混練し、混練物を得た。この得
られた混練物をコンベヤで搬送しながら、10〜300
kgf/cm2(0.98〜29.4MPa)の圧力で
加圧と同時に脱水して、厚さ10mmのシート状成形体
とした。このシート状成形体を150℃で加熱して乾燥
させ、複合硬化体とした。
【0071】(実施例11)実施例6と基本的に同様で
あるが、実施例1の未焼成の製紙スラッジ2400重量
部と、フェノール樹脂600重量部と、製紙スラッジの
焼成物600重量部と、水350重量部とを混練し、混
練物を得た。この得られた混練物をコンベヤで搬送しな
がら、10〜300kgf/cm2(0.98〜29.
4MPa)の圧力で加圧と同時に脱水して、厚さ10m
mのシート状成形体とした。このシート状成形体を15
0℃で加熱して乾燥させ、複合硬化体とした。
【0072】(比較例1)焼成スカム60重量部、水3
6重量部、セメント100重量部およびビニロン繊維
0.3重量部を強制攪拌ミキサで3分間混合してスラリ
を調製し、このスラリを型に流し込み、150〜180
kgf/cm2 で加圧した後、脱型した。
【0073】(比較例2)石灰系下水汚泥溶融スラグ
(大阪市下水道公社品で、主要化学成分が下記のもの)
をボールミルにて粉砕し、粉末度が比表面積で0.35
2 /g(プレーン値3500cm2 /g)となるよう
に粉砕したもの5重量部に、普通ポルトランドセメント
「秩父小野田社品」を95重量部混合し、さらにセメン
ト中のSO3量が2重量%となるように天然石膏にて調
整して、混合セメント組成物を製造した。このセメント
と砂を1:3の割合で混合し、3日間放置した。
【0074】 記 CaO: 33.9 重量%, Fe23 :5.0 重量% SiO2 : 33.4 重量%, MgO: 2.4 重量% Al23 : 14.2 重量%, NaO: 0.7 重量% P25 : 7.0 重量%, K2 O: 0.7 重量%
【0075】(比較例3)実施例1と同様であるが、加
圧を全く行わずに100℃で加熱乾燥させた。得られた
複合体についてX線回折分析を実施した結果、Gehlenit
e,syn 、Melitite-synthetic、Gehlenite-synthetic 、
Anorthite,ordered 、炭酸カルシウム(Calcite )から
なる複雑な結晶体であることが判った。後述の表1に示
すように曲げ強度が48kgf/cm2 で、圧縮強度が
580kgf/cm2 であった。加圧することにより、
結晶化の進行を抑制できると推定される。
【0076】以上の実施例および比較例で得られた複合
硬化体および複合建築材料について曲げ強度、圧縮強
度、加工性および釘打ち性について試験を行った。その
結果を表1に示す。なお、試験方法は、曲げ強度がJI
S A6901に規定された方法に、また圧縮強度がJ
IS A 5416に規定された方法に、それぞれ準じ
たものとした。また、加工性は、木工用丸鋸にて切断加
工を行って判断した。さらに、釘打ち性については、直
径4mm、長さ50mmの釘を打ちつけ、釘のめり込み
深さとクラックの有無とを調べた。
【0077】
【表1】
【0078】また、実施例1および実施例3の複合硬化
体について、X線回折により結晶構造を確認した。その
X線回折のチャートを、図4および図5にそれぞれ示
す。なお、X線回折は、Rigaku製 MiniFlex を使用し、
Cuをターゲットとした。2θ:22°を中心に緩やか
な起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構造を示
すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が混在し
ていることが判る。また、図5に示すチャートのピーク
からは、Gehlenite,syn 、Melilite-synthetic、Gehlen
ite-synthetic 、Anorthite,ordered が同定された。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の製造方
法で製造した複合硬化体は、加工性および生産性に優
れ、かつ高い曲げ強度を有する、安価な材料となるた
め、様々な分野での有利な適用が可能であり、とりわ
け、釘の打ち込みが可能であるところから、複合建築材
料に最適な素材を低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図2】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図3】 この発明の複合硬化体を用いた複合建築材料
の断面模式図である。
【図4】 実施例1の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
【図5】 実施例3の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
【符号の説明】
1 複合硬化体 2 非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 5 芯材 6 補強層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 Fターム(参考) 2E162 CE08 EA18 FA00 FA05 FA09 FA13 FA14 FA16 FA19 FC00 FC01 FC02 GA05 4F100 AA00A AA00H AJ03A BA01 BA10A DE01A DE01H DH00A DJ01A EJ08 EJ081 EJ20 EJ201 EJ86 EJ861 GB07 JA12A JK04 JL01 JL02 JL16A 4L055 AA20 AF09 AG06 AG08 AG15 AG16 AG17 AG18 AG19 AG79 AG94 AH01 AH37 AJ01 BE11 BE14 BF02 BF03 BF04 BG04 EA23 FA13 GA24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機非晶質体と有機繊維状物とからなる
    複合硬化体の製造方法であって、 製紙スラッジを加圧乾燥硬化させて製造することを特徴
    とする複合硬化体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記製紙スラッジを加圧して脱水した
    後、乾燥硬化させて製造することを特徴とする、請求項
    1に記載の複合硬化体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記製紙スラッジを10〜300kg/
    cm2 で加圧しながら乾燥硬化させることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の複合硬化体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記製紙スラッジを加圧しながら乾燥硬
    化させて製造することを特徴とする、請求項1に記載の
    複合硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記製紙スラッジを10〜100kg/
    cm2 で加圧した後、乾燥硬化させることを特徴とす
    る、請求項4に記載の複合硬化体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記製紙スラッジ中に無機粒子を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の複
    合硬化体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加圧を、脱水しながら行うことを特
    徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の複合硬化体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 無機非晶質体と有機繊維状物とからなる
    複合硬化体の製造方法であって、 製紙スラッジを吸引して脱水した後、乾燥硬化させて製
    造することを特徴とする複合硬化体の製造方法。
  9. 【請求項9】 無機非晶質体と有機繊維状物とからな
    る複合硬化体の製造方法であって、 製紙スラッジを吸引および加圧して脱水した後、乾燥硬
    化させて製造することを特徴とする複合硬化体の製造方
    法。
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WO2011073851A1 (es) 2009-12-16 2011-06-23 Universidad Tecnologica De Pereira Proceso para fabricar materiales de construcción a partir de residuos celulósicos

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