JP2001011798A - 複合硬化体および複合建築材料 - Google Patents

複合硬化体および複合建築材料

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JP2001011798A
JP2001011798A JP30967299A JP30967299A JP2001011798A JP 2001011798 A JP2001011798 A JP 2001011798A JP 30967299 A JP30967299 A JP 30967299A JP 30967299 A JP30967299 A JP 30967299A JP 2001011798 A JP2001011798 A JP 2001011798A
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composite cured
oxide
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JP30967299A
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Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
Kenji Sato
健司 佐藤
Toshihiro Nomura
敏弘 野村
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性および生産性を損なうことなく曲げ強
度を向上させ、さらに建築材料として必要となる保温
性、耐候性および意匠性を付与した複合硬化体について
提案する。 【解決手段】 無機非晶質体および着色剤を含み、該無
機非晶質体中に繊維状物が混在する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種産業用材料
として使用できる複合硬化体およびこれを用いた複合建
築材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。すなわち、こ
れまで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
【0003】ここに、紙の製造後に発生するパルプかす
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
【0004】ところが、特開平7−41350号公報の
技術では、鉄板とセメントを使用するために加工性に乏
しく、さらにセメントは養生が必要となるから生産性が
低下することが問題であった。
【0005】また、特開平10−218643号公報の
技術は、圧縮強度に優れるが曲げ強度が低いことが問題
であり、この技術を建築材料用の柱材や板材等に利用す
るには、曲げ強度を高くする必要がある。
【0006】さらに、いずれの技術でもセメントを使用
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、発明者らは、上
記した諸問題を解消することを目指して、先に特願平1
1−22362号明細書にて、2種以上の酸化物の系か
らなる非晶質体を含む複合硬化体についての提案を行っ
た。この複合硬化体は、優れた曲げ強度を有し、しかも
釘などの打ちつけによってクラックをまねくことがない
ため、とりわけ建築材料としての用途に最適である。
【0008】ここで、建築材料に求められる性能には、
上記の強度および釘打ち性という基本的なもの以外に
も、種々の特性が求められる。例えば、保温性や耐候
性、さらには意匠性などであり、これらの特性を併せ持
つことによって、建築材料としての価値は格段に上昇す
るのである。
【0009】そこで、この発明では、加工性および生産
性を損なうことなく曲げ強度を向上させ、さらに建築材
料として必要となる保温性、耐候性および意匠性を付与
した複合硬化体と、この複合硬化体を用いた複合建築材
料について提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は、
次のとおりである。 (1) 無機非晶質体および着色剤を含み、該無機非晶質体
中に繊維状物が混在してなることを特徴とする複合硬化
体。
【0011】(2) 2種以上の酸化物の系からなる非晶質
体および着色剤を含み、該非晶質体中に繊維状物が混在
してなることを特徴とする複合硬化体。
【0012】(3) 上記(1) または(2) において、着色剤
がインクであることを特徴とする複合硬化体。
【0013】(4) 上記(1) ないし(3) のいずれかにおい
て、着色剤がカーボンであることを特徴とする複合硬化
体。
【0014】(5) 上記(1) ないし(4) のいずれかにおい
て、繊維状物が配向してなることを特徴とする複合硬化
体。ここに、繊維状物が配向しているとは、各繊維の長
手方向が特定の向きに揃っていることを意味する。
【0015】(6) 芯材の少なくとも片面に補強層を形成
した複合建築材料であって、該芯材に、上記(1) ないし
(5) のいずれかに記載の複合硬化体を適用して成ること
を特徴とする複合建築材料。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の複合硬化体の構造を、
図1に模式で示す。この複合硬化体1は、2種以上の酸
化物の系からなる非晶質体2および着色剤7を含み、該
非晶質体2中に繊維状物3が混在してなることを基本と
する。ここでいう2種以上の酸化物の系からなる非晶質
体とは、酸化物(1)−酸化物(2)・・・−酸化物
(n)系(但しnは自然数であり、酸化物(1)、酸化
物(2)、・・・酸化物(n)は、それぞれ異なる酸化
物)の非晶質体である。
【0017】このような非晶質体は、正確な定義づけが
困難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは水和反
応等させることにより生成する、非晶質の化合物である
と考えられる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光
X線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、
Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
nから選ばれる少なくとも1種以上)が確認され、X線
回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°の
範囲でハローが見られる。このハローはX線の強度の緩
やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上が
りとして観察される。なお、ハローは半値幅が2θ:2
°以上である。
【0018】この複合硬化体1は、まず非晶質体2が強
度発現物質となり、しかも繊維状物3が非晶質体2中に
分散して破壊靱性値を改善するため、曲げ強度値や耐衝
撃性を向上することができる。また、強度に異方性がな
く、均質な硬化体が得られる。さらに、非晶質体である
ため、低密度で充分な強度が得られる利点もある。
【0019】なお、上記非晶質体が強度発現物質となる
理由は定かではないが、結晶質の構造に比べてクラック
の進展が阻害されるためではないかと推定される。ま
た、結晶質中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に
分散しやすいことから、破壊靱性値も向上すると考えら
れる。その結果、釘を打ち込んだり貫通孔を設けても、
クラックが生じないために、建築材料などの加工を必要
とする材料に最適なものとなる。
【0020】ここで、酸化物としては、金属および/ま
たは非金属の酸化物を使用でき、Al23 、SiO
2 、CaO、Na2 O、MgO、P25 、SO3 、K
2 O、TiO2 、MnO、Fe23 およびZnOから
選ばれることが望ましい。とりわけ、Al23 −Si
2 −CaO系またはAl23 −SiO2 −CaO−
酸化物系からなる非晶質体、もしくはこれら非晶質体の
複合体が最適である。なお、後者の非晶質体における酸
化物は、Al23 、SiO2 およびCaOを除く金属
および/または非金属の酸化物の1種以上である。
【0021】まず、Al23 −SiO2 −CaO系か
らなる非晶質体は、Al23 、SiO2 およびCaO
の各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水和反
応などにより生成する非晶質構造を有する化合物であ
る。すなわち、Al23 とSiO2 、SiO2 とCa
O、Al23 とCaO、そしてAl23 とSiO2
とCaO、の組合せで固溶あるいは水和反応等させるこ
とにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられ
る。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析に
より、Al、Si、Caが確認され、X線回折による分
析のチャートでは2θ:15°〜40°の範囲でハロー
が見られる。
【0022】また、Al23 、SiO2 およびCaO
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
23 −SiO2 −CaO−酸化物系からなる非晶質体
は、上記Al23 −SiO2 −CaO系での組み合わ
せ以外に、Al23 と酸化物、SiO2 と酸化物、C
aOと酸化物、Al23 とSiO2 と酸化物、SiO
2 とCaOと酸化物、Al23 とCaOと酸化物、そ
してAl23 とSiO2 とCaOと酸化物の組合せで
固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合
物のいずれかを含むと考えられる。
【0023】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
23 −SiO2 −CaO−酸化物(n)系(nは2以
上の自然数)の非晶質体であれば、これらの酸化物、例
えば酸化物(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)
(nは2以上の自然数で、酸化物(n)は、nの値が異
なればそれぞれ異なる酸化物を意味し、かつAl2
3、SiO2 およびCaOを除いたものである)のそ
れぞれから選ばれる少なくとも2種の組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物、Al
23 、SiO2 、CaOから選ばれる少なくとも2種
の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生
成する化合物、さらに酸化物(1)、酸化物(2)・・
・酸化物(n)(nは2以上の自然数)のそれぞれから
選ばれる少なくとも1種と、Al23 、SiO2 、C
aOから選ばれる少なくとも1種との組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物のいず
れかを含むと考えられる。
【0024】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種)が確認され、X
線回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°
の範囲でハローが見られる。
【0025】ここで、Al23 、SiO2 およびCa
Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であ
り、Al23 、SiO2 、CaOを除く金属および/
または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、M
gO、P25 、SO3 、K2O、TiO2 、MnO、
Fe23 およびZnOから選ぶことができる。この選
択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことがで
きる。
【0026】例えば、Na2 OまたはK2 Oは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al23 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
25 は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO3
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Fe23 は明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、
非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0027】上記非晶質体の組成は、それぞれAl2
3 、SiO2 およびCaOに換算して、Al23 :複
合硬化体の全重量に対して5〜51重量%、SiO2
複合硬化体の全重量に対して8〜53重量%およびCa
O:複合硬化体の全重量に対して10〜63重量%で、
かつそれら合計が100重量%をこえない範囲におい
て、含有することが好ましい。
【0028】なぜなら、Al23 の含有量が5重量%
未満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体の強度
が低下し、また、SiO2 の含有量が8重量%未満ある
いは53重量%をこえても、複合硬化体の強度が低下す
る。また、CaOの含有量が10重量%未満あるいは6
3重量%をこえてもやはり複合硬化体の強度が低下する
のである。
【0029】さらに、酸化物に換算してCaO/SiO
2 の比率を0.2〜7.9、CaO/Al23 の比率
を0.2〜12.5に調整することが、強度の大きい硬
化体を得るのに有利である。
【0030】また、Al23 、SiO2 およびCaO
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P25 、S
3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe23 およびZ
nOの1種または2種以上を含有する場合、各成分の好
適含有量は次のとおりである。なお、これら酸化物の合
計量は、100重量%を越えないことはいうまでもな
い。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜1
1.0重量% P25 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.
3重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.
5重量% K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
2重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.
7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
5重量% Fe23 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜1
7.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
【0031】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:15°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。なお、この発明では、完
全に非晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中
にHydrogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolit
e 、Gehlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenit
e-synthetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringite
や、SiO2 、Al 23 、CaO、Na2 O、Mg
O、P25 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
23 およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO3
(Calcite )などの結晶体が混在していてもよい。これ
ら結晶体は、それ自体が強度発現物質になるとは考えら
れないが、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度
を改善したり、クラックの進展を抑制するなどの効果が
あると考えられる。なお、結晶体の含有量は、複合硬化
体の全重量に対して0.1〜50重量%であることが望
ましい。なぜなら、結晶体が少なすぎると上記効果が得
られず、逆に多すぎると強度低下を招くからである。
【0032】ちなみに、上記Al23 −SiO2 系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite 、Al23 −CaO系の結晶性化合物
がCalcium Aluminate 、CaO−SiO2 系の結晶性化
合物がCalcium Silicate、Al23 −SiO2 −Ca
O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であ
り、またAl23 −SiO2 −CaO−MgO系の結
晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
【0033】さらに、結晶体としてCaを含むものが望
ましく、Gehlenite,syn (Ca 2 Al 2 7 )、Meliti
te-synthetic(Ca 2 (Mg 0.5 Al 0.5 )(Si 1.5
Al 0.5 7 ))、Gehlenite-synthetic (Ca 2 (M
0.25 Al 0.75 )(Si 1.25 Al 0.75 7 ))、Anorth
ite,ordered (Ca 2 Al 2 Si 2 8 )、炭酸カルシ
ウム(Calcite )を、含有していても良い。
【0034】ここで、この発明の複合硬化体では、2種
以上の酸化物の系からなる非晶質体中に、ハロゲンを添
加してもよい。このハロゲンは、固溶体、水和物の生成
反応の触媒となり、また燃焼抑制物質として作用する。
その含有量は、0.1〜1.2重量%が望ましい。なぜ
なら、0.1重量%未満では強度が低く、1.2重量%
を越えると燃焼により有害物質を発生するからである。
ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が望ましい。
【0035】同様に、炭酸カルシウム(Calcite )を添
加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体は強度発現
物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を非晶質体が取
り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなどの作
用により強度向上に寄与すると考えられる。この炭酸カ
ルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して48
重量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を越え
ると曲げ強度が低下するからである。また、0.1重量
%以上が望ましい。0.1重量%未満では、強度向上に
寄与しないからである。
【0036】また、結合剤を添加することも、強度のさ
らなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種の樹脂が望ましい。無機結合剤として
は,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群から
選ばれる少なくとも1種が望ましい。なお、熱硬化性樹
脂、例えばフェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹
脂,ユリア樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なく
とも1種の熱硬化性樹脂を、表面に塗布してもよい。
【0037】次に、この発明において非晶質体中に混在
させる繊維状物は、有機質および無機質のいずれでもよ
い。有機質繊維状物としては、ビニロン、ポリプロピレ
ンおよびポリエチレンなどの化学繊維、そして多糖類か
らなる有機質繊維状物から選ばれる少なくとも1種を使
用できるが、多糖類からなる有機質繊維状物であること
が望ましい。なぜなら、多糖類にはOH基が存在し、水
素結合によりAl2 3 、SiO2 またはCaOの各種
化合物と結合しやすいからである。
【0038】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが望ま
しい。これら多糖類からなる有機質繊維状物としては、
パルプ、パルプかす、新聞や雑誌などの古紙の粉砕物が
有利に適合する。
【0039】一方、無機質繊維状物としては、アルミナ
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種を
使用できる。
【0040】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎると空隙が生じて無
機硬化体の強度が低下しやすいからである。
【0041】さらに、この発明の複合硬化体では、着色
剤を含有させることが肝要である。すなわち、複合硬化
体に着色剤を添加すると、まず着色効果による意匠を付
与することができる。また、黒色系の着色剤、例えばカ
ーボンやインクを添加すると、赤外線の吸収能が高くな
るために、複合硬化体の蓄熱性が改善されるから、特に
壁材、天井材および床材などに適した素材の提供が可能
になる。
【0042】これらの効果を得るには、複合硬化体に着
色剤を1wt%以上で添加することが好ましいが、10wt
%をこえる添加は、硬化体の活性低下をまねくために、
1〜10wt%、より好ましくは1〜5wt%の範囲で添加
するとよい。
【0043】ここで、着色剤とは、無機質、有機質物質
の微粉末で各種金属、金属酸化物、炭化物などであり、
具体的には、カーボン、インク、シリカ、酸化鉄、酸化
チタン、酸化銅などを使用することができる。
【0044】また、着色剤は、複合硬化体中に均一に添
加するか、または複合硬化体の表層に限定して添加すれ
ばよい。すなわち、均一に添加する場合は非晶質体と混
合し成形し表層に添加する場合は、非晶質体を成形して
なる複合硬化体表面に着色剤の分散液を吹き付けたり、
塗布するなどの方法を用いる。
【0045】以上の複合硬化体は、産業廃棄物を乾燥さ
せて凝集硬化させて得たものが推奨され、とりわけ製紙
スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させたものが
最適である。すなわち、製紙スラッジは、無機物を含む
パルプかすであり、産業廃棄物を原料として使用するた
め低コストであり、環境問題の解決に寄与するからであ
る。しかも、この製紙スラッジは、それ自体がバインダ
ーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物と混練す
ることにより、所望の形状に成形できる利点を有する。
【0046】なお、上記製紙スラッジに古紙の粉砕物を
加えると、古紙のインク成分や複写紙からのカーボンが
そのまま製紙スラッジに持ち込まれるから、この製紙ス
ラッジから製造された複合硬化体は、着色剤が添加され
たものとなり、低コストでの製造が可能になる。また、
上質紙の古紙はカオリンや炭酸カルシウムなどのカルシ
ウム系結晶を多く含むことから、製紙スラッジは古紙を
多く含むものが適している。
【0047】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al23 、SiO2 、CaO、Na2 O、Mg
O、P25 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
23およびZnOの結晶もしくはこれら酸化物の前
駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロゲン
および炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そ
して水を含むのが、一般的である。
【0048】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では、硬くなりすぎて成形が難しくな
り、一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形
が難しくなるからである。
【0049】ちなみに、製紙スラッジを使用した技術が
種々散見されるが、いずれもこの発明とは技術内容が異
なる。すなわち、特開昭49−86438号公報には、
パルプかす(セルロース成分)と石灰かすとを混合して
ホットプレスしたものが開示されているが、パルプかす
はセルロールを意味しており、この発明のように製紙ス
ラッジ中の無機成分を利用するものではなく、無機非晶
質中に繊維が分散したものでもない。このため石灰かす
の粒界で破断したり、クラックの進展を防止できず、曲
げ強度や圧縮強度に問題が残る。しかも、石灰かすは、
製紙パルプ液を燃焼させた結晶質体(酸化カルシウム)
であり、この発明の非晶質体とは明らかに区別されるも
のである。
【0050】また、特開平7−47537号、同7−6
9701号、同6−293546号および同5−270
872号各公報にはセメントと無機補強繊維とを複合し
た技術が、特開平10−15923号公報にはパルプス
ラッジと結晶質である石膏を混合する技術が、特開昭4
9−2880号公報にはパルプ廃棄物中の繊維のみに着
目した技術が、そして特開昭53−81388号公報に
はパルプかす中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)
と木屑を混ぜて成形したものが、それぞれ記載されてい
るが、いずれの技術も、この発明のような無機非晶質体
中に繊維状物質を分散させたものとは異なる。
【0051】さらに、特開昭51−30088号公報に
は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形する技
術で記載されているが、焼成条件等が記載されておら
ず、非晶質の焼成灰を得ることできない。特開平8−2
46400号公報には、製紙スラッジではなく故紙パル
プそのものを使用する技術である。特開昭48−443
49号公報には、有機質と無機質を含むパルプ廃棄物と
高分子エマルジョンなどを混合した技術が示されている
が、無機質とは酸化珪素、酸化アルミニウムおよび酸化
鉄をいい、実質的に各1種類の金属酸化物を指してお
り、この発明のような2種以上の金属酸化物が複雑な非
晶質系を構成するものとは異なる。そして、特開昭49
−99524号公報には、セラミック化(多結晶体)し
た基材が示されているが、この発明のような非晶質系と
は異なる。
【0052】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
中に、無機粉末4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、非晶質体と反応して強度発現物質を形成して強
度を向上するのに有利であり、この無機粉末量を調整す
ることにより、複合硬化体の比重を調整することもでき
る。
【0053】無機粉末としては、炭酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、製紙
スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂の粉
砕屑から選ばれる少なくと1種の産業廃棄物粉末を用い
ることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉末を
使用することにより、低コスト化を実現でき、さらに環
境問題の解決に寄与できるからである。
【0054】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度および靱性に優れ、かつ密度も小さ
いため、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実
現できる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃
未満で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱
処理後、急冷することによって得られる無機粉末は、確
実に非晶質体を含むため有利である。無機粉末は、比表
面積が、0.8〜100m2 /gであることが望まし
い。0.8m2 /g未満では、非晶質体と無機粉末の接
触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に100
2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上といった
効果が減少して結果的に強度が低下する。
【0055】さらに、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望ま
しい。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材
料などの産業材料として望ましい特性をそなえる。
【0056】この無機粉末は、その平均粒子径が小さす
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
【0057】この発明に従う複合硬化体は、各種産業に
おいて利用され、ケイ酸カルシウム板、パーライトボー
ド、合板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始
めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリ
ント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料
に使用することができる。
【0058】そこで、この複合硬化体の一応用例とし
て、複合建築材料について以下に説明する。すなわち、
図3に示すように、芯材5の少なくとも片面に、図示例
では両面に補強層6が形成された複合建築材料におい
て、該芯材5に、この発明の複合硬化体1を適用してな
ることを特徴とする。すなわち、芯材5をこの発明の複
合硬化体1とすることによって、この芯材に引っ張り力
が加わった場合でも、芯材自体が曲げ強度に優れている
ため、しかも芯材の表面に補強層が設けられていること
も相まって、容易に破壊が起きない構成となっている。
また、表面に局所的に圧力が加わっても凹みや窪みが生
じることもない。
【0059】さらに、この発明の複合建築材料は、その
使用に当たり、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧
単板などによる化粧層を設けることになるから、耐衝撃
性が向上して、凹みなどのキズが生じにくくなり、化粧
面がキズにより歪んで意匠性を低下させることもない。
【0060】また、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材
6bを埋設した構造になる。この樹脂6aには、特に熱
硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬化
性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下で
も軟化しないため、補強層としての機能が失われないか
らである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メ
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹
脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と耐衝
撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層におけ
る熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量%の
範囲にすることが望ましい。
【0061】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールおよび
セラミックファイバーを用いることが、低価格でかつ耐
熱性並びに強度に優れる点で好ましい。この繊維基材
は、非連続の繊維をマット状に成形したもの、または連
続した長繊維を3〜7cmに切断してマット状にしたも
の(いわゆるチョップドストランドマット)、水で分散
させてシート状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦
巻き状に積層しマット状にしたもの、あるいは連続した
長繊維を織りあげたものが、適用できる。
【0062】さらに、補強層の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。
【0063】以下に、この発明の複合硬化体および複合
建築材料の製造方法について説明する。まず、複合硬化
体の製造方法は、次のとおりである。すなわち、複合硬
化体の原料には、製紙スラッジを使用する。製紙スラッ
ジとしては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、
ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生
理用品、タオル用紙、工業用雑種紙、家庭用雑種紙を製
造する際のパルプ製造工程、古紙などの原料処理工程、
抄造工程などで排出される製紙スラッジを使用すること
が望ましい。市販の製紙スラッジとしては、丸東窯材社
が取扱う「サイクロン灰」「生スラッジ」などを使用で
きる。
【0064】この製紙スラッジを、所望の型枠に流し込
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造するなどの方法にて、成形を行う。そし
て、成形後、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させ
ると、複合硬化体が得られる。この加熱温度が高すぎる
と、変形やクラックなどが発生し、一方低すぎると乾燥
に長時間を必要とし、生産性が低下してしまう。なお、
着色剤の添加は、上述したように、故紙の粉砕物を加え
た製紙スラッジを用いることで安価に達成される。
【0065】特に、複合硬化体を板状に成形するには、
製紙スラッジを公知の円網抄造、長網抄造、脱水プレス
成形、押出し成形などの方法にてシート状に成形する
か、製紙スラッジをコンベアで搬送しながらロールで押
さえてシート状に成形し、このシート状成形体を加熱温
度80〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の芯材に
成形する。その際の圧力は1〜20kgf/cm2 が適
当である。さらに、製紙スラッジに無機粉末を添加して
混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体中
に無機粉末を分散させることができる。
【0066】なお、製紙スラッジ以外にも、原料として
金属アルコキシドや金属水酸化物を使用することができ
る。例えば、Al、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と故紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸また
はアルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化してもよい。この
ようなゲルは、結果的にAl23 、SiO2 、Ca
O、Na2 O、MgO、P25 、SO3 、K2 O、T
iO2 、MnO、Fe23 およびZnOなどの酸化物
を固溶あるいは水和反応させて得られる化合物と同一と
なると推定される。
【0067】また、複合建築材料は、以下のように製造
する。まず、製紙スラッジを公知の円網抄造、長網抄
造、脱水プレス成形、押出し成形などの方法にてシート
状に成形するか、製紙スラッジをコンベアで搬送しなが
らロールで押さえてシート状成形体とする。一方、繊維
基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理して、
乾燥させて補強シートとする。次いで、シート状成形体
と補強シートを積層し、加熱しながら圧締し、芯材(複
合硬化体)と補強層からなる複合建築材料に成形する。
ここでの加熱温度は、80〜200℃、圧力は1〜20
kgf/cm2 程度が適当である。ここで、圧締とは、
圧力をかけたまま保持することをいう。そして、圧締時
に付与される圧力によって、繊維状物は加圧方向と横切
る向きに配向される結果、芯材の曲げ強度を向上するこ
とができる。また、加圧することにより水分が排除され
て結晶化の進行が抑制されるから、非晶質体の形成に有
利である。
【0068】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層とし、この
補強層を接着剤にて予め硬化しておいた芯材に貼付する
方法でもよい。また、熱硬化性樹脂、例えばフェノール
樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂および
ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹
脂を、芯材4の表面に塗布してもよい。
【0069】また、ガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーの繊維表面にフェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊
維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱
プレスする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬化性
樹脂を別工程でコーティングしておく方法では、含浸し
た樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を接着しやす
く、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有利である。
このようなコーティングの方法としては、前記繊維基材
に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥せしめる方法、あ
るいはガラス繊維、ロックウール、セラミックファイバ
ーの原料溶融物をノズルから流出させて、ブローイング
法あるいは遠心法により繊維化し、この繊維化と同時に
フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液を吹きつける
方法がある。
【0070】なお、繊維基材の構成材料として、ガラス
繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用する
場合は、シランカップリング剤をコーティングしておく
とよい。このようにして得られた複合建築材料の表面、
裏面に塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接着剤等で
貼りつけることができる。塗装は、各種顔料、インクな
どを印刷、吹きつけすることにより行う。また、化粧板
は、フェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パタ
ーン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層
構造の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノ
ール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メ
ラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧
板を使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含
浸コア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高く
なるため、床材などへの応用が可能である。また、化粧
単板としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用でき
る。
【0071】
【実施例】(実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯
材社が扱う「生スラッジ」:固形分34重量%水分66
重量%)1512gを用意した。この製紙スラッジに粉
砕した古紙を38gの割合で加えたのち、製紙スラッジ
をコンベアで搬送しながら、58kgf/cm2 の圧力
を加えながら、厚さ10mmのシート状成形体とした。
このシート状成形体を100℃で加熱して板状の複合硬
化体とした。なお、複合硬化体には、灰色を付与するこ
とができた。
【0072】かくして得られた複合硬化体を、蛍光X線
分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析したとこ
ろ、酸化物に換算して下記の組成であることが判った。
なお、パルプについては、1100℃で焼成して重量減少量
から測定した。 記 パルプ: 51.4重量%, MgO: 1.4 重量% SiO2 : 24.2重量%, SO3 : 0.5 重量% Al23 :14.0重量%, P25 :0.2 重量% CaO: 8.0重量%, Cl: 0.2 重量% TiO2 : 1.0 重量%, ZnO: 0.1 重量% その他 微量
【0073】なお、複合硬化体の側面を光学顕微鏡(5
0倍)で観察したところ、加圧方向に直交する向きに繊
維が配向していた。
【0074】(実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が扱う「生スラッジ」 固形分34重量%水分6
6重量%)1512gを用意した。この製紙スラッジに
カーボン粉末を25gの割合で加えたのち、製紙スラッ
ジをコンベアで搬送しながら、3kgf/cm2 の圧力
を加えながら、厚さ10mmのシート状成形体とした。
このシート状成形体を100℃で加熱して板状の複合硬
化体とした。なお、複合硬化体には、黒色を付与するこ
とができた。
【0075】かくして得られた複合硬化体を、蛍光X線
分析装置(Rigaku製 RIX2100 )をを用いて分析したと
ころ、酸化物に換算して下記の組成であることが判っ
た。なお、パルプについては、1100℃で焼成して重量減
少量から測定した。 記 パルプ: 46.0重量%, TiO2 :1.0 重量% Al23 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% Al23 : 14.0重量%, SO3 : 1.0 重量% CaO: 8.0重量%, P25 :0.2 重量% Na2 O: 0.2重量%, Cl: 0.3 重量% K2 O: 0.2重量%, Fe23 : 0.2重量% その他: 微量
【0076】(実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東
窯材社が扱う「サイクロン灰」)103重量部と、実施
例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部とを混練し
た。その際、酸化チタン粉末を5重量部添加し混練し
た。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線分析装置
(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析を行い、各酸化物
に換算して次のとおりであった。また、平均粒子径:1
1.0μm、真比重:2.756および比表面積:1
9.0m2 /gであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 : 34.1重量%, TiO2 : 1.0 重量% Al23 : 20.7重量%, SO3 : 0.5 重量% Fe23 : 12.4重量%, Cl: 0.2 重量% CaO: 21.3重量%, ZnO: 0.1 重量% MgO: 6.0 重量%, P25 : 2.7 重量% その他: 微量
【0077】次いで、混練物をコンベアで搬送しなが
ら、3kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚さ10m
mのシート状成形体とした。このシート状成形体を11
0℃で加熱して板状の複合硬化体とした。なお、複合硬
化体には、白色を付与することができた。
【0078】(実施例4)シート状ガラス繊維に硬化剤
を添加したフェノール樹脂溶液を含浸(含浸量固形分換
算45%)した後、80℃の温度にて20分間乾燥させ
て、補強シートを得た。さらに、フェノール樹脂を芯材
の表面と裏面に塗布して80℃の温度にて20分間乾燥
させた。
【0079】次いで、実施例2と同様にシート状成形体
を成形した。そして、補強シートをシート状成形体の表
面および裏面に載置し、110℃の温度にて圧力7kg
f/cm2 で20分間プレスし、表裏両面で厚さ1mm
の補強層および厚さ10mmの芯材からなる複合建築材
料を製造した。さらに、この複合建築材料の表面に厚さ
0.2mmの杉板の化粧単板を酢酸ビニル接着剤を介し
て貼付した。
【0080】(実施例5)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1512重量部およびフェノール樹脂378重量部
を混練し混練物を得た。その際、カーボン粉末15重量
部を添加混練した。得られた混練物をコンベアで搬送し
ながら、3kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚さ1
0mmのシート状成形体とした。このシート状成形体を
110℃加熱して板状の複合硬化体とした。なお、複合
硬化体には、黒色を付与することができた。
【0081】(実施例6)実施例1の未焼成の製紙スラ
ッジ1200重量部、フェノール樹脂600重量部およ
び製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社が扱う「サイクロ
ン灰」)600重量部を混練し混練物を得た。その際、
カーボン粉末を25重量部添加、混練した。この混練物
をコンベアで搬送しながら、3kgf/cm2 の圧力で
加圧しながら、厚さ10mmのシート状成形とした。こ
のシート状成形体を110℃加熱して板状の複合硬化体
とした。なお、複合硬化体には、黒色を付与することが
できた。
【0082】(比較例1)焼成スカム60重量部、水3
6重量部、セメント100重量部およびビニロン繊維
0.3重量部を強制攪拌ミキサで3分間混合してスラリ
を調製し、このスラリを型に流し込み、150〜180
kgf/cm2 で加圧した後、脱型した。
【0083】(比較例2)石灰系下水汚泥溶融スラグ
(大阪市下水道公社品で主要化学成分が下記のもの)を
ボールミルにて粉砕し、粉末度が比表面積で0.35m
2 /g(プレーン値3500cm2 /g)となるように
粉砕したもの5重量部に、普通ポルトランドセメント
「秩父小野田社品」を95重量部混合し、さらにセメン
ト中のSO3 量が2重量%となるように天然石膏にて調
整して混合セメント組成物を製造した。このセメントと
砂を1:3の割合で混合し、3日間放置した。
【0084】 記 SiO2 : 33.4 重量%, MgO: 2.4 重量% Al23 : 14.2 重量%, P25 : 7.0 重量% Fe23 : 5.0 重量%, NaO: 0.7 重量% CaO: 33.9 重量%, K2 O: 0.7 重量%
【0085】以上の実施例および比較例で得られた複合
硬化体および複合建築材料について、曲げ強度、圧縮強
度、加工性および釘打ち性、さらに保温性および耐候性
について試験を行った。その結果を表1に示す。なお、
試験方法は、曲げ強度がJIS A6901に、また圧
縮強度がJIS A 5416に規定された方法に、そ
れぞれ準じて測定した。また、加工性は、木工用丸鋸に
て切断加工を行い、加工性を判断し、釘打ち性について
は、直径4mm、長さ50mmの釘を打ちつけ、釘のめ
り込み深さとクラックの有無を調べた。さらに、蓄熱性
は、直射日光をあてて、5分後に表面温度を測定した。
そして耐候性は、アーク放電の光を24時間照射して変
光の有無を確認した。
【0086】
【表1】
【0087】また、実施例1および実施例3の複合硬化
体について、X線回折により結晶構造を確認した。その
X線回折のチャートを、図4および図5に、それぞれ示
す。なお、X線回折は、Rigaku製 MiniFlex を使用し、
Cuをターゲットとした。2θ:22°を中心に緩やか
な起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構造を示
すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が混在し
ていることが判る。また、ピークからは、炭酸カルシウ
ムの結晶(Calsite)、Kaolinite 、SiO2 の結晶体が
同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換算値で複合
硬化体に対して9.8重量%であった。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の複合硬
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強度
を有し、さらに意匠性、蓄熱性および耐候性を併せ持
つ、安価な材料となるため、様々な分野での有利な適用
が可能であり、とりわけ、建築材料の壁材、床材天井
材、そして外装材に最適な素材を低コストで提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図2】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図3】 この発明の複合建築材料の断面模式図であ
る。
【図4】 実施例1の複合硬化体X線回折のチャートで
ある。
【図5】 実施例3の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
【符号の説明】
1 複合硬化体 2 非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 5 芯材 6 補強層 7 着色剤
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 Fターム(参考) 2B260 AA01 AA02 AA03 AA06 AA12 AA20 BA04 BA07 BA13 BA15 BA18 BA19 CB01 CB02 CB04 CD02 CD03 CD04 CD30 DA01 DA17 DB01 DC10 EA03 EA05 EA13 EB02 EB05 EB06 EB11 EB12 EB19 EB21 EB42 EC03 2E162 CB01 4F100 AA01A AA17A AA18 AA19 AA20 AA21 AA37A AA37H AG00 AJ04 AK22G AK33 AK33G AP01 BA02 BA03 BA04 BA06 BA10B BA13 BA41 CA13A CA23A CB00A CB02 DG03A DG03H DH00B EH46 EJ18 EJ42 EJ82 GB08 JA12A JJ02 JK04 JL01 JL02 JL09 JL16 4L055 AA20 AG02 AG15 AG16 AG17 AG18 AG19 AG20 AG79 AG94 AH01 AH02 AH03 AH37 AJ01 BE14 BF02 BG04 FA13 FA22 GA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機非晶質体および着色剤を含み、該無
    機非晶質体中に繊維状物が混在してなることを特徴とす
    る複合硬化体。
  2. 【請求項2】 2種以上の酸化物の系からなる非晶質体
    および着色剤を含み、該非晶質体中に繊維状物が混在し
    てなることを特徴とする複合硬化体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、着色剤がイ
    ンクであることを特徴とする複合硬化体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    着色剤がカーボンであることを特徴とする複合硬化体。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    繊維状物が配向してなることを特徴とする複合硬化体。
  6. 【請求項6】 芯材の少なくとも片面に補強層を形成し
    た複合建築材料であって、該芯材に、請求項1ないし5
    のいずれかに記載の複合硬化体を適用して成ることを特
    徴とする複合建築材料。
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