JP2002275799A - 複合硬化体 - Google Patents
複合硬化体Info
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- JP2002275799A JP2002275799A JP2001081336A JP2001081336A JP2002275799A JP 2002275799 A JP2002275799 A JP 2002275799A JP 2001081336 A JP2001081336 A JP 2001081336A JP 2001081336 A JP2001081336 A JP 2001081336A JP 2002275799 A JP2002275799 A JP 2002275799A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 製紙スラッジ硬化物の防鼠性および防蟻性を
改善することにある。 【解決手段】 製紙スラッジを乾燥させて硬化させてな
り、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からなる
無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物および
炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、前
記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化体
の全重量に対して3重量%以上6重量%未満または、6
重量%以上63重量%以下に調整されており、かつ前記
複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合硬化体の
全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量%未満で
あることを特徴とするものである。
改善することにある。 【解決手段】 製紙スラッジを乾燥させて硬化させてな
り、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からなる
無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物および
炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、前
記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化体
の全重量に対して3重量%以上6重量%未満または、6
重量%以上63重量%以下に調整されており、かつ前記
複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合硬化体の
全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量%未満で
あることを特徴とするものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種産業用材料
として使用できる複合硬化体に関するものである。
として使用できる複合硬化体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
【0003】例えば、紙の製造後に発生するパルプかす
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
【0004】しかしながら、特開平7−41350号公
報記載の技術では、鉄板とセメントを使用するために加
工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要となるから
生産性が低下することが問題であった。また、特開平1
0−218643号公報記載の技術は、圧縮強度に優れ
るが曲げ強度が低いことが問題であり、この技術を建築
材料用の柱材や板材等に利用するには、曲げ強度を高く
する必要がある。
報記載の技術では、鉄板とセメントを使用するために加
工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要となるから
生産性が低下することが問題であった。また、特開平1
0−218643号公報記載の技術は、圧縮強度に優れ
るが曲げ強度が低いことが問題であり、この技術を建築
材料用の柱材や板材等に利用するには、曲げ強度を高く
する必要がある。
【0005】さらに、いずれの技術でもセメントを使用
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。そこ
で、本願発明者は、上記した諸問題を解消し、産業廃棄
物を使用するにあたり、加工性および生産性を損なうこ
となく、曲げ強度を向上させた複合硬化体および、この
複合硬化体を用いた建築材料について研究を進めた。
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。そこ
で、本願発明者は、上記した諸問題を解消し、産業廃棄
物を使用するにあたり、加工性および生産性を損なうこ
となく、曲げ強度を向上させた複合硬化体および、この
複合硬化体を用いた建築材料について研究を進めた。
【0006】ところで、特開昭55−12853号に
は、製紙スラッジをワイヤープレスして、脱水し、ホッ
トプレスして複合硬化体を形成する技術が開示されてい
る。しかしながら、この当時の製紙スラッジは、197
9年(昭和54年)発行の「静岡県製紙工業試験場報
告」によれば、Ca成分がCaO換算で2.6重量%程
度しかなく、それゆえ複合硬化体の強度が十分ではな
い。また、特公昭57−19019号には、製紙スラッ
ジと、モンモリロナイトとの混合物をプレス成形したも
のが開示されているが、当時の製紙スラッジは上記のよ
うにCa成分が少なく、またCa系結晶がなく、圧縮強
度などが劣る。
は、製紙スラッジをワイヤープレスして、脱水し、ホッ
トプレスして複合硬化体を形成する技術が開示されてい
る。しかしながら、この当時の製紙スラッジは、197
9年(昭和54年)発行の「静岡県製紙工業試験場報
告」によれば、Ca成分がCaO換算で2.6重量%程
度しかなく、それゆえ複合硬化体の強度が十分ではな
い。また、特公昭57−19019号には、製紙スラッ
ジと、モンモリロナイトとの混合物をプレス成形したも
のが開示されているが、当時の製紙スラッジは上記のよ
うにCa成分が少なく、またCa系結晶がなく、圧縮強
度などが劣る。
【0007】さらに、特開昭50−101604号に
は、製紙スラッジと疎水性繊維とを混合し、結合剤を加
えたボードが開示されている。しかしながら、当時の製
紙スラッジは上記のようにCa成分が少なく、また、そ
のボードの強度も、曲げ強度で2.5kg/cm2であ
り、複合化した強度の高いボードでも15kg/cm2
程度しかない。そして、特開昭52−90585号に
は、製紙スラッジの表面をパラフィン処理したものが開
示されているが、当時の製紙スラッジは上記のようにC
a成分が少ないため、強度に劣ると考えられる。
は、製紙スラッジと疎水性繊維とを混合し、結合剤を加
えたボードが開示されている。しかしながら、当時の製
紙スラッジは上記のようにCa成分が少なく、また、そ
のボードの強度も、曲げ強度で2.5kg/cm2であ
り、複合化した強度の高いボードでも15kg/cm2
程度しかない。そして、特開昭52−90585号に
は、製紙スラッジの表面をパラフィン処理したものが開
示されているが、当時の製紙スラッジは上記のようにC
a成分が少ないため、強度に劣ると考えられる。
【0008】そこで、本願発明者らは、先に、WO00
/36242号、WO00/36218号、WO00/
35820号、特開2000−302415号、特開2
000−302416号、特開2000−303395
号、特開2000−303392号、特開2000−3
02414号、特開2000−282399号、特開2
000−303394号、特開2000−303396
号、特開2000−303393号、特開2000−2
96576号、特開2000−297495号、特開2
000−301651号および特開2000−2974
96号により、建築材料に好適な、Ca成分の多い複合
硬化体を提案した。
/36242号、WO00/36218号、WO00/
35820号、特開2000−302415号、特開2
000−302416号、特開2000−303395
号、特開2000−303392号、特開2000−3
02414号、特開2000−282399号、特開2
000−303394号、特開2000−303396
号、特開2000−303393号、特開2000−2
96576号、特開2000−297495号、特開2
000−301651号および特開2000−2974
96号により、建築材料に好適な、Ca成分の多い複合
硬化体を提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発
明者の研究によると、このような複合硬化体は強度的に
は十分であるものの、パルプ繊維を含むことから、実用
化のためにはシロアリや鼠に対する対策が必要であり、
しかも、強度低下やコストアップを抑制しながら対策を
実現する必要があるということが判明した。それゆえ本
発明は、製紙スラッジ硬化物の防蟻性、防鼠性を、強度
低下を招くことなく改善することを目的としている。
明者の研究によると、このような複合硬化体は強度的に
は十分であるものの、パルプ繊維を含むことから、実用
化のためにはシロアリや鼠に対する対策が必要であり、
しかも、強度低下やコストアップを抑制しながら対策を
実現する必要があるということが判明した。それゆえ本
発明は、製紙スラッジ硬化物の防蟻性、防鼠性を、強度
低下を招くことなく改善することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明の要旨構成は、次のとおりである。 1.製紙スラッジを乾燥させて硬化させてなり、少なく
ともSi、AlおよびCaの酸化物からなる無機非晶質
体中に多糖類からなる有機質繊維状物および炭酸カルシ
ウムを含有してなる複合硬化体であって、前記複合硬化
体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化体の全重量に
対して3重量%以上で6重量%未満に調整されており、
かつ前記複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合
硬化体の全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量
%未満であることを特徴とする、複合硬化体。
明の要旨構成は、次のとおりである。 1.製紙スラッジを乾燥させて硬化させてなり、少なく
ともSi、AlおよびCaの酸化物からなる無機非晶質
体中に多糖類からなる有機質繊維状物および炭酸カルシ
ウムを含有してなる複合硬化体であって、前記複合硬化
体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化体の全重量に
対して3重量%以上で6重量%未満に調整されており、
かつ前記複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合
硬化体の全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量
%未満であることを特徴とする、複合硬化体。
【0011】2.製紙スラッジを乾燥させて硬化させて
なり、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からな
る無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物およ
び炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、
前記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化
体の全重量に対して6重量%以上で63重量%以下に調
整されており、かつ前記複合硬化体中のS成分量が、S
O3換算で複合硬化体の全重量に対して0.5重量%を
越え6.5重量%未満であることを特徴とする、複合硬
化体。
なり、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からな
る無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物およ
び炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、
前記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化
体の全重量に対して6重量%以上で63重量%以下に調
整されており、かつ前記複合硬化体中のS成分量が、S
O3換算で複合硬化体の全重量に対して0.5重量%を
越え6.5重量%未満であることを特徴とする、複合硬
化体。
【0012】3.前記複合硬化体中のCa、Alの量
は、それぞれCaO、Al2 O3 に換算してCaO/A
l2 O3 の比率で0.2を越えることを特徴とする、上
記1または2に記載の複合硬化体。 4.前記複合硬化体は、防蟻機能および防鼠機能の少な
くとも一方を持つ建築材料に使用されるものであること
を特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の複合硬化
体。
は、それぞれCaO、Al2 O3 に換算してCaO/A
l2 O3 の比率で0.2を越えることを特徴とする、上
記1または2に記載の複合硬化体。 4.前記複合硬化体は、防蟻機能および防鼠機能の少な
くとも一方を持つ建築材料に使用されるものであること
を特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の複合硬化
体。
【0013】本発明では、製紙スラッジを乾燥させて硬
化させてなり、少なくともSi、AlおよびCaの酸化
物からなる無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維
状物および炭酸カルシウムを含有してなる前記複合硬化
体中のCaの量を、強度を確保するためには、CaO換
算で複合硬化体の全重量に対して6重量%以上で63重
量%以下(すなわち6〜63重量%)に調整する。Ca
量が6重量%未満では、強度が充分得られず、逆に63
重量%を超えると、もろくなり、やはり強度を充分得る
ことができないからである。その一方、強度よりも破壊
靱性値を改善するためには、Caの量は、CaO換算で
複合硬化体の全重量に対して3重量%以上で6重量%未
満に調製する。
化させてなり、少なくともSi、AlおよびCaの酸化
物からなる無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維
状物および炭酸カルシウムを含有してなる前記複合硬化
体中のCaの量を、強度を確保するためには、CaO換
算で複合硬化体の全重量に対して6重量%以上で63重
量%以下(すなわち6〜63重量%)に調整する。Ca
量が6重量%未満では、強度が充分得られず、逆に63
重量%を超えると、もろくなり、やはり強度を充分得る
ことができないからである。その一方、強度よりも破壊
靱性値を改善するためには、Caの量は、CaO換算で
複合硬化体の全重量に対して3重量%以上で6重量%未
満に調製する。
【0014】ここにおけるCaの量は、無機非晶質体お
よび炭酸カルシウム、そして無機添加物を添加した場合
にはそのすべてを含んだ複合硬化体中のCa成分の割合
である。Ca量はCaO換算であり、複合硬化体全重量
に対してどれだけCaOが存在するかを標記している。
一方、後述する炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム
が全複合硬化体中にどれだけ存在するかを標記してい
る。また後述のSi、Al量も、無機非晶質体および結
晶、そして無機添加物を添加した場合にはそのすべてを
含んだ複合硬化体中のSi、Al成分の割合をSi
O2、Al2O3に換算して標記したものである。
よび炭酸カルシウム、そして無機添加物を添加した場合
にはそのすべてを含んだ複合硬化体中のCa成分の割合
である。Ca量はCaO換算であり、複合硬化体全重量
に対してどれだけCaOが存在するかを標記している。
一方、後述する炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム
が全複合硬化体中にどれだけ存在するかを標記してい
る。また後述のSi、Al量も、無機非晶質体および結
晶、そして無機添加物を添加した場合にはそのすべてを
含んだ複合硬化体中のSi、Al成分の割合をSi
O2、Al2O3に換算して標記したものである。
【0015】本発明では、複合硬化体中のS成分量は、
SO3換算で複合硬化体の全重量に対して0.5重量%
を越え6.5重量%未満とされている。S成分を増やす
ことで、鼠や蟻が忌避する硬化体となり、一方、S成分
は、一般に防虫剤として使用されているホウ酸ナトリウ
ムなどの無機化合物やクレオソートなどの有機物に比べ
て、混合した場合の強度低下が小さい。また、SO3換
算で0.5重量%を越え6.5重量%未満で、Si、A
l、Caなどとともに鼠や蟻が忌避する物質が生成され
ていると考えられる。6.5重量%を越えると、鼠や蟻
は硬化体を忌避しなくなり、損傷を受けるからである。
S成分は、硫化水素、硫化亜鉛あるいは硫酸アルミニウ
ム等を製紙スラッジに添加することで付与することがで
きる。
SO3換算で複合硬化体の全重量に対して0.5重量%
を越え6.5重量%未満とされている。S成分を増やす
ことで、鼠や蟻が忌避する硬化体となり、一方、S成分
は、一般に防虫剤として使用されているホウ酸ナトリウ
ムなどの無機化合物やクレオソートなどの有機物に比べ
て、混合した場合の強度低下が小さい。また、SO3換
算で0.5重量%を越え6.5重量%未満で、Si、A
l、Caなどとともに鼠や蟻が忌避する物質が生成され
ていると考えられる。6.5重量%を越えると、鼠や蟻
は硬化体を忌避しなくなり、損傷を受けるからである。
S成分は、硫化水素、硫化亜鉛あるいは硫酸アルミニウ
ム等を製紙スラッジに添加することで付与することがで
きる。
【0016】従来は、製紙スラッジ中にはS成分はほと
んど存在しない。1979年発行の静岡県製紙工業試験
場報告の「製紙スラッジの有効利用の現状と資源化の研
究動向」や、1997年発行の静岡県富士工業技術セン
ター報告の「紙系廃棄物の有効利用に関する研究(第1
報)」などでは、製紙スラッジ中にはS成分は存在しな
いとされている。しかしながら、OA用の紙では、硫酸
処理したり、硫酸で凝集させたりする場合があり、これ
が製紙スラッジ中に残留することがあるため、本発明で
は、かかるS成分の残留している製紙スラッジを選択し
てもよい。
んど存在しない。1979年発行の静岡県製紙工業試験
場報告の「製紙スラッジの有効利用の現状と資源化の研
究動向」や、1997年発行の静岡県富士工業技術セン
ター報告の「紙系廃棄物の有効利用に関する研究(第1
報)」などでは、製紙スラッジ中にはS成分は存在しな
いとされている。しかしながら、OA用の紙では、硫酸
処理したり、硫酸で凝集させたりする場合があり、これ
が製紙スラッジ中に残留することがあるため、本発明で
は、かかるS成分の残留している製紙スラッジを選択し
てもよい。
【0017】また、前記複合硬化体中の炭酸カルシウム
の量は、複合硬化体に対して10重量%以上で40重量
%以下であることが望ましい。この範囲にすると複合硬
化体の強度を改善できるからである。Ca系結晶は、石
膏ボードや珪酸カルシウム板を見ても容易に理解される
ように、強度、耐磨耗性が著しく低い。炭酸カルシウム
もまた、それ自体は強度や耐磨耗性に劣る材料である。
ところが、このような炭酸カルシウムを、無機非晶質体
および多糖類からなる有機質繊維状物(以下「紙繊維」
と呼ぶ)と複合化させて一体化させることで、耐磨耗性
を向上させることができる。おそらく無機非晶質体と紙
繊維とにより、炭酸カルシウム結晶を強く保持できるマ
トリックスが形成され、このマトリックス中に炭酸カル
シウムが分散し、複合体強度を向上させるのではないか
と推定される。
の量は、複合硬化体に対して10重量%以上で40重量
%以下であることが望ましい。この範囲にすると複合硬
化体の強度を改善できるからである。Ca系結晶は、石
膏ボードや珪酸カルシウム板を見ても容易に理解される
ように、強度、耐磨耗性が著しく低い。炭酸カルシウム
もまた、それ自体は強度や耐磨耗性に劣る材料である。
ところが、このような炭酸カルシウムを、無機非晶質体
および多糖類からなる有機質繊維状物(以下「紙繊維」
と呼ぶ)と複合化させて一体化させることで、耐磨耗性
を向上させることができる。おそらく無機非晶質体と紙
繊維とにより、炭酸カルシウム結晶を強く保持できるマ
トリックスが形成され、このマトリックス中に炭酸カル
シウムが分散し、複合体強度を向上させるのではないか
と推定される。
【0018】前記炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウ
ムであることが望ましい。結晶に角があるものが多いた
め、耐磨耗性を改善でき、また非晶質体との密着性に優
れるからである。前記炭酸カルシウムには、結晶構造と
してカルサイト、バテライト、アラゴナイトがある。こ
の中で特にカルサイトが望ましい。安定しており、結晶
に角があるものが多いからである。カルサイトには多数
の結晶習癖(結晶形態)があり、具体的には、角状、薄
卓状(図6参照)、紡錘状(図7参照)、立方体状(図
8参照)、柱状(図9参照)および球状(図10参照)
と種々である。この中で特に角状、薄卓状、紡錘状、立
方体状および柱状のうち少なくとも一種類であることが
望ましい。その理由は、これらは結晶に角があり、耐磨
耗性に優れ、非晶質体との密着性に優れるからである。
ムであることが望ましい。結晶に角があるものが多いた
め、耐磨耗性を改善でき、また非晶質体との密着性に優
れるからである。前記炭酸カルシウムには、結晶構造と
してカルサイト、バテライト、アラゴナイトがある。こ
の中で特にカルサイトが望ましい。安定しており、結晶
に角があるものが多いからである。カルサイトには多数
の結晶習癖(結晶形態)があり、具体的には、角状、薄
卓状(図6参照)、紡錘状(図7参照)、立方体状(図
8参照)、柱状(図9参照)および球状(図10参照)
と種々である。この中で特に角状、薄卓状、紡錘状、立
方体状および柱状のうち少なくとも一種類であることが
望ましい。その理由は、これらは結晶に角があり、耐磨
耗性に優れ、非晶質体との密着性に優れるからである。
【0019】前記炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.
05μmから20μmまでが望ましい。大きすぎても小
さすぎても耐摩耗性に劣るからである。なお、本発明で
は、炭酸カルシウムに球形のものを使用しない場合に
は、平均粒子径を、もっとも長い直径ともっとも短い直
径との平均で定義する。また、本発明の複合硬化体の平
均比重は、強度を重視する場合には、1.0以上で1.
5以下であることが望ましい。また、施工性を重視する
場合は、平均比重は、0.7以上で1.0未満であるこ
とが望ましい。いずれを選択するかは、用途によって決
定される。なお、比重とは4℃の水の密度を1とした場
合の物質の密度をいう。比重の値は、複合硬化体の体積
および重量を測定し、(重量/体積)/0.99997
3で計算したものである。
05μmから20μmまでが望ましい。大きすぎても小
さすぎても耐摩耗性に劣るからである。なお、本発明で
は、炭酸カルシウムに球形のものを使用しない場合に
は、平均粒子径を、もっとも長い直径ともっとも短い直
径との平均で定義する。また、本発明の複合硬化体の平
均比重は、強度を重視する場合には、1.0以上で1.
5以下であることが望ましい。また、施工性を重視する
場合は、平均比重は、0.7以上で1.0未満であるこ
とが望ましい。いずれを選択するかは、用途によって決
定される。なお、比重とは4℃の水の密度を1とした場
合の物質の密度をいう。比重の値は、複合硬化体の体積
および重量を測定し、(重量/体積)/0.99997
3で計算したものである。
【0020】本発明の複合硬化体は、前記無機非晶質体
中に、炭酸カルシウム以外のCaを含む無機結晶を有
し、かつ繊維状物が混在してなることが望ましい。Ca
を含む無機結晶が、クラックの進展を阻止したり、硬度
および密度を高くして圧縮強度を改善したりすること
で、強度を向上させることができるからである。炭酸カ
ルシウム以外の、Caを含む無機結晶の含有量は、複合
硬化体に対して0.1重量%以上で30重量%以下であ
ることが望ましい。強度を高くすることができるからで
ある。
中に、炭酸カルシウム以外のCaを含む無機結晶を有
し、かつ繊維状物が混在してなることが望ましい。Ca
を含む無機結晶が、クラックの進展を阻止したり、硬度
および密度を高くして圧縮強度を改善したりすること
で、強度を向上させることができるからである。炭酸カ
ルシウム以外の、Caを含む無機結晶の含有量は、複合
硬化体に対して0.1重量%以上で30重量%以下であ
ることが望ましい。強度を高くすることができるからで
ある。
【0021】本発明では、少なくともSi、Alおよび
Caの酸化物からなる無機非晶質体中に多糖類からなる
有機質繊維状物および炭酸カルシウムを含有してなる複
合硬化体において、前記Ca、Alの量が、それぞれC
aO、Al2 O3 に換算してCaO/Al2 O3 の比率
で0.2を越えることが望ましい。0.2以下では、C
a系結晶が形成されず、また破壊靱性、強度とも十分で
はないからである。CaO/Al2 O3 の比率は0.2
を越え、12.5以下が最適である。
Caの酸化物からなる無機非晶質体中に多糖類からなる
有機質繊維状物および炭酸カルシウムを含有してなる複
合硬化体において、前記Ca、Alの量が、それぞれC
aO、Al2 O3 に換算してCaO/Al2 O3 の比率
で0.2を越えることが望ましい。0.2以下では、C
a系結晶が形成されず、また破壊靱性、強度とも十分で
はないからである。CaO/Al2 O3 の比率は0.2
を越え、12.5以下が最適である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複合硬化体を実施
形態に則して説明する。本発明の複合硬化体の構造を、
図1に模式的に示す。この複合硬化体1は、無機非晶質
体2中に炭酸カルシウムおよび他の無機結晶体が存在
し、さらに無機非晶質体2中に繊維状物3が混在するも
のであることを特徴とする。この無機結晶体の存在によ
り、圧縮強度、曲げ強度、耐クラック性が向上する。こ
の理由は明確ではないが、結晶体がクラックの進展を阻
害し、また、硬度、密度を向上させてクラックそのもの
を発生しにくくするとともに、圧縮の力に対する支柱の
役割を奏するのではないかと推定している。
形態に則して説明する。本発明の複合硬化体の構造を、
図1に模式的に示す。この複合硬化体1は、無機非晶質
体2中に炭酸カルシウムおよび他の無機結晶体が存在
し、さらに無機非晶質体2中に繊維状物3が混在するも
のであることを特徴とする。この無機結晶体の存在によ
り、圧縮強度、曲げ強度、耐クラック性が向上する。こ
の理由は明確ではないが、結晶体がクラックの進展を阻
害し、また、硬度、密度を向上させてクラックそのもの
を発生しにくくするとともに、圧縮の力に対する支柱の
役割を奏するのではないかと推定している。
【0023】このような結晶体としては、Hydrogen Alu
minium Silicate、Kaolinite、Zeolite、Gehlenite, sy
n、Anorthite、Melitite、Gehlenite-synthetic、tober
morite、xonotlite、ettringiteなどがあり、その他に
もSiO2 、Al 2 O3 、CaO、Na2 O、MgO、
P2 O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe 2
O3 およびZnOなどの酸化物、そして本発明で必須の
CaCO3 (Calcite)などの結晶体がある。
minium Silicate、Kaolinite、Zeolite、Gehlenite, sy
n、Anorthite、Melitite、Gehlenite-synthetic、tober
morite、xonotlite、ettringiteなどがあり、その他に
もSiO2 、Al 2 O3 、CaO、Na2 O、MgO、
P2 O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe 2
O3 およびZnOなどの酸化物、そして本発明で必須の
CaCO3 (Calcite)などの結晶体がある。
【0024】ちなみに、上記Al2 O3 −SiO2 系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate、Kaolinit
e、Zeolite、Al2 O3 −CaO系の結晶性化合物がCa
lcium Aluminate、CaO−SiO2 系の結晶性化合物
がCalcium Silicate、Al2O3 −SiO2 −CaO系
の結晶性化合物がGehlenite, syn、Anorthiteであり、
またAl2 O3 −SiO2 −CaO−MgO系の結晶性
化合物がMelitite、Gehlenite-syntheticである。さら
に、結晶体としてCaを含むものが望ましく、Gehlenit
e, syn(Ca2 Al 2 O7 )、Melitite-synthetic(C
a2 (Mg0.5 Al0.5 )(Si1.5 Al0. 5 O
7 ))、Gehlenite-synthetic(Ca2 (Mg0.25Al
0.75)(Si1.25Al0.75O7 ))、Anorthite, order
ed(Ca2 Al2 Si2 O8 )を含有していても良い。
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate、Kaolinit
e、Zeolite、Al2 O3 −CaO系の結晶性化合物がCa
lcium Aluminate、CaO−SiO2 系の結晶性化合物
がCalcium Silicate、Al2O3 −SiO2 −CaO系
の結晶性化合物がGehlenite, syn、Anorthiteであり、
またAl2 O3 −SiO2 −CaO−MgO系の結晶性
化合物がMelitite、Gehlenite-syntheticである。さら
に、結晶体としてCaを含むものが望ましく、Gehlenit
e, syn(Ca2 Al 2 O7 )、Melitite-synthetic(C
a2 (Mg0.5 Al0.5 )(Si1.5 Al0. 5 O
7 ))、Gehlenite-synthetic(Ca2 (Mg0.25Al
0.75)(Si1.25Al0.75O7 ))、Anorthite, order
ed(Ca2 Al2 Si2 O8 )を含有していても良い。
【0025】さらに、結晶体として炭酸カルシウム(Ca
lcite)は必須である。炭酸カルシウムそれ自体は強度
発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無機非晶
質体が取り囲むことにより、クラックの進展を阻止する
などの作用により強度向上に寄与すると考えられ、ま
た、圧縮の力に対する支柱の役割を奏するのではないか
と推定される。
lcite)は必須である。炭酸カルシウムそれ自体は強度
発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無機非晶
質体が取り囲むことにより、クラックの進展を阻止する
などの作用により強度向上に寄与すると考えられ、ま
た、圧縮の力に対する支柱の役割を奏するのではないか
と推定される。
【0026】本発明で使用される無機非晶質体について
は、Al2O3−SiO2−CaO系混合非晶質、Al2O
3−SiO2−CaO−酸化物系混合非晶質、またはこれ
らの複合体がより好ましい。ここにおける酸化物は、A
l2O3、SiO2及びCaOを除く金属及び/又は非金
属の酸化物の1種以上である。Al2O3−SiO2−C
aO系の無機非晶質体2は、Al2O3、SiO2及びC
aOが少なくとも部分的に固溶または水和した非晶質構
造を有する。詳しくは、Al2O3とSiO2、SiO2と
CaO、Al2O3とCaO、及びAl2O3とSiO2と
CaOとが固溶した化合物または水和した化合物のいず
れかを含むと推定される。このような無機非晶質体2
は、蛍光X線分析の結果から、Al、Si、Caの存在
が確認され、また、X線回折チャートにおいて、2θ:
15°〜40°の範囲にハローが見られる。
は、Al2O3−SiO2−CaO系混合非晶質、Al2O
3−SiO2−CaO−酸化物系混合非晶質、またはこれ
らの複合体がより好ましい。ここにおける酸化物は、A
l2O3、SiO2及びCaOを除く金属及び/又は非金
属の酸化物の1種以上である。Al2O3−SiO2−C
aO系の無機非晶質体2は、Al2O3、SiO2及びC
aOが少なくとも部分的に固溶または水和した非晶質構
造を有する。詳しくは、Al2O3とSiO2、SiO2と
CaO、Al2O3とCaO、及びAl2O3とSiO2と
CaOとが固溶した化合物または水和した化合物のいず
れかを含むと推定される。このような無機非晶質体2
は、蛍光X線分析の結果から、Al、Si、Caの存在
が確認され、また、X線回折チャートにおいて、2θ:
15°〜40°の範囲にハローが見られる。
【0027】無機非晶質体2は、さらに、Al2O3と他
の酸化物(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種以上の酸化物)、
SiO 2と他の酸化物、CaOと他の酸化物、Al2O3
とSiO2と他の酸化物、SiO 2とCaOと他の酸化
物、Al2O3とCaOと他の酸化物の組合せを含む。こ
のような無機非晶質体2は、蛍光X線分析では、Al、
Si、Ca、及び他の酸化物中の元素(Na、Mg、
P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる少な
くとも1種以上)の存在が確認され、また、そのX線回
折チャートにおいて、2θ:15°〜40°の範囲にハ
ローが見られる。
の酸化物(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種以上の酸化物)、
SiO 2と他の酸化物、CaOと他の酸化物、Al2O3
とSiO2と他の酸化物、SiO 2とCaOと他の酸化
物、Al2O3とCaOと他の酸化物の組合せを含む。こ
のような無機非晶質体2は、蛍光X線分析では、Al、
Si、Ca、及び他の酸化物中の元素(Na、Mg、
P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる少な
くとも1種以上)の存在が確認され、また、そのX線回
折チャートにおいて、2θ:15°〜40°の範囲にハ
ローが見られる。
【0028】複合硬化体1は、少なくともSi、Ca及
びAlの酸化物を無機成分としてその組成中に含んでい
る。ここで、Alの量は、Al2O3に換算して、複合硬
化体1の全重量に対して3重量%〜51重量%の範囲に
設定されており、Siの量はSiO2に換算して、複合
硬化体1の全重量に対して5重量%〜53重量%となっ
ている。そしてCaの量は、CaOに換算して、複合硬
化体1の全重量に対して6重量%以上63重量%以下と
なっている。ただし、Al、Si及びCaの換算値の合
計が複合硬化体1の全重量に対して100重量%未満と
なるように、複合硬化体1中にSi、Ca及びAlを含
有させることが好ましい。また、これらの組成範囲は、
Ca系結晶を含む場合は、それらを含めた組成であり、
また、製紙スラッジ以外の無機粉末を含む場合は、それ
らを含めた複合硬化体中でのCa、Si、Alの組成で
ある。
びAlの酸化物を無機成分としてその組成中に含んでい
る。ここで、Alの量は、Al2O3に換算して、複合硬
化体1の全重量に対して3重量%〜51重量%の範囲に
設定されており、Siの量はSiO2に換算して、複合
硬化体1の全重量に対して5重量%〜53重量%となっ
ている。そしてCaの量は、CaOに換算して、複合硬
化体1の全重量に対して6重量%以上63重量%以下と
なっている。ただし、Al、Si及びCaの換算値の合
計が複合硬化体1の全重量に対して100重量%未満と
なるように、複合硬化体1中にSi、Ca及びAlを含
有させることが好ましい。また、これらの組成範囲は、
Ca系結晶を含む場合は、それらを含めた組成であり、
また、製紙スラッジ以外の無機粉末を含む場合は、それ
らを含めた複合硬化体中でのCa、Si、Alの組成で
ある。
【0029】ここで、Al2 O3 、SiO2 およびCa
Oと組み合わせる他の酸化物は、1種または2種以上で
あり、Al2 O3 、SiO2 、CaOを除く金属および
/または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、
MgO、P2 O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、Mn
O、Fe2 O3 およびZnOから選ぶことができる。こ
の選択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うこと
ができる。
Oと組み合わせる他の酸化物は、1種または2種以上で
あり、Al2 O3 、SiO2 、CaOを除く金属および
/または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、
MgO、P2 O5 、SO3 、K2 O、TiO2 、Mn
O、Fe2 O3 およびZnOから選ぶことができる。こ
の選択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うこと
ができる。
【0030】例えば、Na2 OおよびK2 Oは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al2 O3 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
2 O5 は、骨との癒着を助けるため、生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用するので、付着した有機汚染物質を強制的に酸化で
き、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のある
建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として使
用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系の
着色材、Fe2 O3 は明色系の着色材、ZnOは白系の
着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、無
機非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al2 O3 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
2 O5 は、骨との癒着を助けるため、生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用するので、付着した有機汚染物質を強制的に酸化で
き、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のある
建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として使
用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系の
着色材、Fe2 O3 は明色系の着色材、ZnOは白系の
着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、無
機非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0031】さらに、複合硬化体1は、酸化物に換算し
てCaO/SiO2 の比率およびCaO/Al2 O3 の
比率がそれぞれ0.2以上のもの、望ましくは0.2を
越えるものとすることが好ましい。Caの量が多いほ
ど、結晶を形成しやすく強度、靱性を向上させやすいか
らである。また、CaO/SiO2 の比率を0.2〜
7.9、望ましくは、0.2を越え7.9以下とするこ
とが、そして、CaO/Al2 O3 の比率を0.2〜1
2.5、望ましくは0.2を越え12.5以下に調整す
ることが、靱性、強度の大きい硬化体を得るのに有利で
ある。
てCaO/SiO2 の比率およびCaO/Al2 O3 の
比率がそれぞれ0.2以上のもの、望ましくは0.2を
越えるものとすることが好ましい。Caの量が多いほ
ど、結晶を形成しやすく強度、靱性を向上させやすいか
らである。また、CaO/SiO2 の比率を0.2〜
7.9、望ましくは、0.2を越え7.9以下とするこ
とが、そして、CaO/Al2 O3 の比率を0.2〜1
2.5、望ましくは0.2を越え12.5以下に調整す
ることが、靱性、強度の大きい硬化体を得るのに有利で
ある。
【0032】また、Al2 O3 、SiO2 およびCaO
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P2 O5 、S
O3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZ
nOを含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおり
である。なお、これら酸化物の合計量は、100重量%
を越えないことはいうまでもない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.4重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜22.0重量% P2 O5 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜14.6重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.5を超え6.5重量%未満 K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.4重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜17.4重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.0重量% Fe2 O3 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜35.6重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.6重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P2 O5 、S
O3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 O3 およびZ
nOを含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおり
である。なお、これら酸化物の合計量は、100重量%
を越えないことはいうまでもない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.4重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜22.0重量% P2 O5 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜14.6重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.5を超え6.5重量%未満 K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.4重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜17.4重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.0重量% Fe2 O3 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜35.6重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.6重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
【0033】但し、本発明の複合硬化体におけるSO3
の含有量は、上記0.5重量%を超え6.5重量%未満
の範囲とする。S成分を増やすことで、鼠や蟻が忌避す
る硬化体となり、一方、S成分は、一般に防虫剤として
使用されているホウ酸ナトリウムなどの無機化合物やク
レオソートなどの有機物に比べて、混合した場合の強度
低下が小さい。また、SO3換算で0.5重量%を越え
6.5重量%未満で、Si、Al、Caなどとともに鼠
や蟻が忌避する物質が生成されていると考えられる。
6.5重量%を越えると、鼠や蟻は硬化体を忌避しなく
なり、損傷を受けるからである。
の含有量は、上記0.5重量%を超え6.5重量%未満
の範囲とする。S成分を増やすことで、鼠や蟻が忌避す
る硬化体となり、一方、S成分は、一般に防虫剤として
使用されているホウ酸ナトリウムなどの無機化合物やク
レオソートなどの有機物に比べて、混合した場合の強度
低下が小さい。また、SO3換算で0.5重量%を越え
6.5重量%未満で、Si、Al、Caなどとともに鼠
や蟻が忌避する物質が生成されていると考えられる。
6.5重量%を越えると、鼠や蟻は硬化体を忌避しなく
なり、損傷を受けるからである。
【0034】また、本発明の複合硬化体1では、無機非
晶質体2中に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲ
ンは、固溶体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃
焼抑制物質として作用する。その含有量は、0.1〜
1.2重量%が望ましい。なぜなら、0.1重量%未満
では強度が低く、1.2重量%を越えると燃焼により有
害物質を発生するからである。ハロゲンとしては、塩
素、臭素、フッ素が望ましい。
晶質体2中に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲ
ンは、固溶体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃
焼抑制物質として作用する。その含有量は、0.1〜
1.2重量%が望ましい。なぜなら、0.1重量%未満
では強度が低く、1.2重量%を越えると燃焼により有
害物質を発生するからである。ハロゲンとしては、塩
素、臭素、フッ素が望ましい。
【0035】さらに無機非晶質体2中に結合剤を添加す
ることも、強度のさらなる向上や、耐水性、耐薬品性お
よび耐火性の向上に有利である。この結合剤としては、
熱硬化性樹脂および無機結合剤のいずれか一方または両
方からなることが望ましい。熱硬化性樹脂としては,フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びユリア
樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が望ましい。無
機結合剤としては、珪酸ソーダ、シリカゲル及びアルミ
ナゾルの群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。な
お、熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂およびウレタン樹脂から
選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂は、表面に塗布
してもよい。
ることも、強度のさらなる向上や、耐水性、耐薬品性お
よび耐火性の向上に有利である。この結合剤としては、
熱硬化性樹脂および無機結合剤のいずれか一方または両
方からなることが望ましい。熱硬化性樹脂としては,フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びユリア
樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が望ましい。無
機結合剤としては、珪酸ソーダ、シリカゲル及びアルミ
ナゾルの群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。な
お、熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂およびウレタン樹脂から
選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂は、表面に塗布
してもよい。
【0036】次に、本発明において無機非晶質体中に混
在させる繊維状物は、多糖類からなる有機質繊維状物と
する。なぜなら、多糖類にはOH基が存在し、水素結合
によりAl2 O3 、SiO2 またはCaOの各種化合物
と結合しやすいからである。この多糖類は、アミノ糖、
ウロン酸、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニ
ン、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロースお
よびペクチンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物
であることが望ましい。これら多糖類からなる有機質繊
維状物としては、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌など
の古紙の粉砕物が有利に適合する。なお、パルプは、セ
ルロースの他にリグニンを10〜30重量%程度含んで
いる。
在させる繊維状物は、多糖類からなる有機質繊維状物と
する。なぜなら、多糖類にはOH基が存在し、水素結合
によりAl2 O3 、SiO2 またはCaOの各種化合物
と結合しやすいからである。この多糖類は、アミノ糖、
ウロン酸、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニ
ン、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロースお
よびペクチンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物
であることが望ましい。これら多糖類からなる有機質繊
維状物としては、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌など
の古紙の粉砕物が有利に適合する。なお、パルプは、セ
ルロースの他にリグニンを10〜30重量%程度含んで
いる。
【0037】上記繊維状物の含有率は、複合硬化体の全
重量に対して2〜75重量%であることが望ましい。こ
の理由は、2重量%未満では複合硬化体の強度が低下
し、一方75重量%を越えると防火性能、耐水性、寸法
安定性などが低下するおそれがあるからである。さら
に、繊維状物の平均長さは、10〜3000μmが望ま
しい。平均長さが短すぎると絡み合いが生じず、また長
すぎると空隙が生じて複合硬化体の強度が低下しやすい
からである。
重量に対して2〜75重量%であることが望ましい。こ
の理由は、2重量%未満では複合硬化体の強度が低下
し、一方75重量%を越えると防火性能、耐水性、寸法
安定性などが低下するおそれがあるからである。さら
に、繊維状物の平均長さは、10〜3000μmが望ま
しい。平均長さが短すぎると絡み合いが生じず、また長
すぎると空隙が生じて複合硬化体の強度が低下しやすい
からである。
【0038】以上の複合硬化体は、産業廃棄物の一種で
ある製紙スラッジを乾燥させて凝集硬化させて得る。製
紙スラッジは、無機物を含むパルプかすであるので、そ
こから製造する複合硬化体は、産業廃棄物を原料として
使用するため低コストであり、環境問題の解決に寄与す
るからである。しかも、この製紙スラッジは、それ自体
がバインダーとしての機能を有しており、他の産業廃棄
物と混練することによって所望の形状に成形できるとい
う利点を有する。
ある製紙スラッジを乾燥させて凝集硬化させて得る。製
紙スラッジは、無機物を含むパルプかすであるので、そ
こから製造する複合硬化体は、産業廃棄物を原料として
使用するため低コストであり、環境問題の解決に寄与す
るからである。しかも、この製紙スラッジは、それ自体
がバインダーとしての機能を有しており、他の産業廃棄
物と混練することによって所望の形状に成形できるとい
う利点を有する。
【0039】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、T
i、Mn、FeおよびZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩
あるいはこれらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物
の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロ
ゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1
種、そして水を含むのが、一般的である。とりわけ、上
質紙の古紙はカオリンや炭酸カルシウムなどのカルシウ
ム系結晶を多く含むことから、製紙スラッジは古紙を多
く含むものが適している。
に、Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、T
i、Mn、FeおよびZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩
あるいはこれらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物
の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロ
ゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1
種、そして水を含むのが、一般的である。とりわけ、上
質紙の古紙はカオリンや炭酸カルシウムなどのカルシウ
ム系結晶を多く含むことから、製紙スラッジは古紙を多
く含むものが適している。
【0040】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では硬くなりすぎて成形が難しくなり、
一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形が難
しくなるからである。
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では硬くなりすぎて成形が難しくなり、
一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形が難
しくなるからである。
【0041】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
中に無機粉末4を混在させると、防火性を向上させた
り、無機非晶質体と反応させて強度発現物質を形成させ
て強度を向上させたりするのに有利であり、この無機粉
末量を調整することにより、複合硬化体の比重を調整す
ることもできる。
中に無機粉末4を混在させると、防火性を向上させた
り、無機非晶質体と反応させて強度発現物質を形成させ
て強度を向上させたりするのに有利であり、この無機粉
末量を調整することにより、複合硬化体の比重を調整す
ることもできる。
【0042】無機粉末4としては、炭酸カルシウム、水
酸化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライ
ト、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、
炭酸カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくと
も1種を使用できる。特に産業廃棄物粉末としては、製
紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂の
粉砕屑から選ばれる少なくとも1種の産業廃棄物粉末を
用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉
末を使用することにより、低コスト化を実現でき、さら
に環境問題の解決に寄与できるからである。
酸化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライ
ト、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、
炭酸カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくと
も1種を使用できる。特に産業廃棄物粉末としては、製
紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂の
粉砕屑から選ばれる少なくとも1種の産業廃棄物粉末を
用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉
末を使用することにより、低コスト化を実現でき、さら
に環境問題の解決に寄与できるからである。
【0043】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度、靱性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現で
きる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理
後に急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。前記無機粉末は、
比表面積が1.6〜100m2 /gであることが望まし
い。1.6m2 /g未満では無機非晶質体と無機粉末と
の接触面積が小さくなって強度が低下してしまい、逆に
100m2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上と
いった効果が低下して結果的に強度が低下するからであ
る。
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度、靱性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現で
きる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理
後に急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。前記無機粉末は、
比表面積が1.6〜100m2 /gであることが望まし
い。1.6m2 /g未満では無機非晶質体と無機粉末と
の接触面積が小さくなって強度が低下してしまい、逆に
100m2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上と
いった効果が低下して結果的に強度が低下するからであ
る。
【0044】さらに、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれていることが望まし
い。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材料
などの産業材料として望ましい特性をそなえているから
である。
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれていることが望まし
い。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材料
などの産業材料として望ましい特性をそなえているから
である。
【0045】この無機粉末4は、その平均粒子径が小さ
すぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1
〜100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末4
の含有量は、10〜90重量%であることが望ましい。
すなわち、無機粉末の量が少なすぎると強度が低下し、
逆に無機粉末の量が多すぎるともろくなり、いずれにし
ても強度が低下するからである。
すぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1
〜100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末4
の含有量は、10〜90重量%であることが望ましい。
すなわち、無機粉末の量が少なすぎると強度が低下し、
逆に無機粉末の量が多すぎるともろくなり、いずれにし
ても強度が低下するからである。
【0046】また、本発明では複合硬化体1中に、吸水
防止剤(撥水剤を含む)を添加してもよい。吸水防止剤
を添加すれば、複合硬化体の吸水性が抑制されるので、
吸水による強度低下を回避することができ、また、吸水
量を抑制することにより、吸水した水の凍結、溶解の繰
り返しによるひび割れを防止することができるからであ
る。これらの効果を得るためには、吸水防止剤(撥水剤
を含む)を0.1重量%以上添加することが好ましい
が、10重量%を越える場合は複合硬化体の強度低下を
招くため0.1〜10重量%が望ましく、0.2〜4重
量%が最適である。
防止剤(撥水剤を含む)を添加してもよい。吸水防止剤
を添加すれば、複合硬化体の吸水性が抑制されるので、
吸水による強度低下を回避することができ、また、吸水
量を抑制することにより、吸水した水の凍結、溶解の繰
り返しによるひび割れを防止することができるからであ
る。これらの効果を得るためには、吸水防止剤(撥水剤
を含む)を0.1重量%以上添加することが好ましい
が、10重量%を越える場合は複合硬化体の強度低下を
招くため0.1〜10重量%が望ましく、0.2〜4重
量%が最適である。
【0047】ここで、吸水防止剤とは、複合硬化体内に
水の侵入を防止する役目や効果を奏するものであり、具
体的には、ロジン系、パラフィン(パラフィンワック
ス)、反応性サイズ剤、ステアリン酸系(ステアリン酸
カルシウム)、変性石油樹脂系、マイクロワックス、シ
ラン系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル系、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系、メタクリル酸系、デ
ンプン系、ポリイミド系、ポリエステル系、フェノール
樹脂系、コハク酸系などを使用できる。
水の侵入を防止する役目や効果を奏するものであり、具
体的には、ロジン系、パラフィン(パラフィンワック
ス)、反応性サイズ剤、ステアリン酸系(ステアリン酸
カルシウム)、変性石油樹脂系、マイクロワックス、シ
ラン系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル系、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系、メタクリル酸系、デ
ンプン系、ポリイミド系、ポリエステル系、フェノール
樹脂系、コハク酸系などを使用できる。
【0048】また、吸水防止剤は、複合硬化体中に均一
に分散させてもよいが、複合硬化体の表層に限定して添
加してもよい。すなわち、原料の配合時に所定量の吸水
防止剤を混合して均一に添加し、吸水防止剤を分散させ
て成形する。あるいは、複合硬化体表面にはけ、ロー
ル、スプレー等で所定量塗布し、乾燥、加熱硬化、養生
等を行い、塗膜を形成する。
に分散させてもよいが、複合硬化体の表層に限定して添
加してもよい。すなわち、原料の配合時に所定量の吸水
防止剤を混合して均一に添加し、吸水防止剤を分散させ
て成形する。あるいは、複合硬化体表面にはけ、ロー
ル、スプレー等で所定量塗布し、乾燥、加熱硬化、養生
等を行い、塗膜を形成する。
【0049】本発明の複合硬化体は各種産業において利
用でき、ケイ酸カルシウム板、パーライトボード、合
板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始めとし
て、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリント配
線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料に使用
することができる。
用でき、ケイ酸カルシウム板、パーライトボード、合
板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始めとし
て、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリント配
線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料に使用
することができる。
【0050】そして本発明の複合硬化体は、各種建築材
料、特に鼠や蟻による被害をうけやすい部材、例えばオ
フィス等のフリーアクセスフロア、マンション等のフリ
ーフロア、耐力面材、外装材、防音壁、防音床、屋根下
地、階段段板、コンクリート型枠、家具面材、テーブル
天板、キッチン扉、トイレブース、床下地、野縁、野縁
受け、胴縁、根太、防音ドア、体育館の壁、遮音材料、
制振材料、床根太などに使用することができる。
料、特に鼠や蟻による被害をうけやすい部材、例えばオ
フィス等のフリーアクセスフロア、マンション等のフリ
ーフロア、耐力面材、外装材、防音壁、防音床、屋根下
地、階段段板、コンクリート型枠、家具面材、テーブル
天板、キッチン扉、トイレブース、床下地、野縁、野縁
受け、胴縁、根太、防音ドア、体育館の壁、遮音材料、
制振材料、床根太などに使用することができる。
【0051】そこで、本発明の複合硬化体の一応用例と
して、複合建築材料について以下に説明する。すなわ
ち、芯材の少なくとも片面に、補強層が形成された複合
建築材料において、該芯材に、この発明の複合硬化体を
適用する。芯材をこの発明の複合硬化体とすることによ
って、この芯材に引っ張り力が加わった場合でも芯材自
体が曲げ強度に優れているため、しかも芯材の表面に補
強層が設けられていることとも相まって、容易に破壊が
起きない構成となっている。また、表面に局所的に圧力
が加わっても凹みや窪みが生じることもない。
して、複合建築材料について以下に説明する。すなわ
ち、芯材の少なくとも片面に、補強層が形成された複合
建築材料において、該芯材に、この発明の複合硬化体を
適用する。芯材をこの発明の複合硬化体とすることによ
って、この芯材に引っ張り力が加わった場合でも芯材自
体が曲げ強度に優れているため、しかも芯材の表面に補
強層が設けられていることとも相まって、容易に破壊が
起きない構成となっている。また、表面に局所的に圧力
が加わっても凹みや窪みが生じることもない。
【0052】さらに、この発明の複合硬化体を使用した
複合建築材料は、その使用に当たり補強層の上に通常、
塗装、化粧板および化粧単板などによる化粧層を設ける
ことになるから、耐衝撃性が向上して、凹みなどのキズ
が生じにくくなり、化粧面がキズにより歪んで意匠性を
低下させることもない。
複合建築材料は、その使用に当たり補強層の上に通常、
塗装、化粧板および化粧単板などによる化粧層を設ける
ことになるから、耐衝撃性が向上して、凹みなどのキズ
が生じにくくなり、化粧面がキズにより歪んで意匠性を
低下させることもない。
【0053】前記補強層は、樹脂中に繊維基材を埋設し
た構造とすることが望ましい。そしてこの樹脂には、特
に熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱
硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ、高
温下でも軟化しないため補強層としての機能が失われな
いからである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿
素樹脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と
耐衝撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層に
おける熱硬化性樹脂の含有量を10〜65重量%の範囲
にすることが望ましい。
た構造とすることが望ましい。そしてこの樹脂には、特
に熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱
硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ、高
温下でも軟化しないため補強層としての機能が失われな
いからである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿
素樹脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と
耐衝撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層に
おける熱硬化性樹脂の含有量を10〜65重量%の範囲
にすることが望ましい。
【0054】一方、前記補強層の繊維基材には、無機質
繊維を用いることが望ましい。なぜなら、補強層の強度
を向上し、かつ熱膨張率を小さくすることができるから
である。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールお
よびセラミックファイバーのうち少なくとも1種を用い
ることが、低価格でかつ耐熱性並びに強度に優れる点で
好ましい。この繊維基材には、非連続の繊維をマット状
に成形したもの、または連続した長繊維を3〜7cmに
切断してマット状にしたもの(いわゆるチョップドスト
ランドマット)、水で分散させてシート状にすきあげた
もの、連続した長繊維を渦巻き状に積層しマット状にし
たもの、あるいは連続した長繊維を織りあげたものが適
用できる。
繊維を用いることが望ましい。なぜなら、補強層の強度
を向上し、かつ熱膨張率を小さくすることができるから
である。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールお
よびセラミックファイバーのうち少なくとも1種を用い
ることが、低価格でかつ耐熱性並びに強度に優れる点で
好ましい。この繊維基材には、非連続の繊維をマット状
に成形したもの、または連続した長繊維を3〜7cmに
切断してマット状にしたもの(いわゆるチョップドスト
ランドマット)、水で分散させてシート状にすきあげた
もの、連続した長繊維を渦巻き状に積層しマット状にし
たもの、あるいは連続した長繊維を織りあげたものが適
用できる。
【0055】さらに、補強層の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、この補強層には、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化
剤、ならびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど
一般に使用される無機質の結合剤を添加してもよい。ま
た、前記補強層は、弾性高分子を含むことが望ましい。
釘を打ちつけても釘を起点としてクラックが発生せず、
また、弾性高分子が釘表面との摩擦力を確保して釘の保
持力を向上させることができるからである。
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、この補強層には、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化
剤、ならびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど
一般に使用される無機質の結合剤を添加してもよい。ま
た、前記補強層は、弾性高分子を含むことが望ましい。
釘を打ちつけても釘を起点としてクラックが発生せず、
また、弾性高分子が釘表面との摩擦力を確保して釘の保
持力を向上させることができるからである。
【0056】かかる樹脂としては、熱硬化性樹脂および
弾性高分子からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が望
ましい。すなわち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高
分子のエマルジョンが分散したものである。このような
樹脂が硬化することにより、熱硬化性樹脂マトリックス
の“海”の中に弾性高分子の“島”が分散した構成にな
り、樹脂の強度を確保し、また靱性を付与できるのであ
る。前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、アクリル系
ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレタン系ラ
テックスであることが望ましい。これらは、未硬化の熱
硬化性樹脂液中に液状で分散させることができるからで
ある。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であるため、
多孔質基材や繊維質基材に含浸させやすいという利点が
ある。
弾性高分子からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が望
ましい。すなわち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高
分子のエマルジョンが分散したものである。このような
樹脂が硬化することにより、熱硬化性樹脂マトリックス
の“海”の中に弾性高分子の“島”が分散した構成にな
り、樹脂の強度を確保し、また靱性を付与できるのであ
る。前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、アクリル系
ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレタン系ラ
テックスであることが望ましい。これらは、未硬化の熱
硬化性樹脂液中に液状で分散させることができるからで
ある。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であるため、
多孔質基材や繊維質基材に含浸させやすいという利点が
ある。
【0057】前記ゴム系ラテックスは、ニトリル−ブタ
ジエンゴム(NBR)やスチレン−ブタジエンゴム(S
BR)がよい。また前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂など
がよい。前記熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分との重
量比は、95/5〜65/35であることが望ましい。
この理由は、熱硬化性樹脂量が多すぎると靱性が低下し
て、クラックが発生しやすくなり、釘の保持力が低下
し、逆に弾性高分子が多すぎると樹脂強度が低下して、
釘の保持力が低下してしまうからである。このように、
釘の保持力は、熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分との
重量比を95/5〜65/35としたときが最適であ
る。
ジエンゴム(NBR)やスチレン−ブタジエンゴム(S
BR)がよい。また前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂など
がよい。前記熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分との重
量比は、95/5〜65/35であることが望ましい。
この理由は、熱硬化性樹脂量が多すぎると靱性が低下し
て、クラックが発生しやすくなり、釘の保持力が低下
し、逆に弾性高分子が多すぎると樹脂強度が低下して、
釘の保持力が低下してしまうからである。このように、
釘の保持力は、熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分との
重量比を95/5〜65/35としたときが最適であ
る。
【0058】本発明の複合硬化体を使用した複合建築材
料は、複合硬化体を芯材とし、その少なくとも片面に化
粧層を有していてもよい。ここにおける化粧層には、メ
ラミン樹脂塗料、メラミン樹脂含浸紙、ポリエステル樹
脂塗料、ジアリルフタレート樹脂含浸紙、紫外線硬化樹
脂塗料、塩化ビニル樹脂フィルム、ウレタン樹脂塗料、
ポリアクリルウレタン、ふっ化ビニル樹脂フィルム、化
粧板から選ばれる少なくとも1種の樹脂系化粧層、天然
木単板(ローズ、チーク、マツ、タモ、ナラ、スギ)、
天然石、人造石、カーペット、塩化ビニルタイル、布製
カーペット、化粧合板、畳などを使用することができ
る。
料は、複合硬化体を芯材とし、その少なくとも片面に化
粧層を有していてもよい。ここにおける化粧層には、メ
ラミン樹脂塗料、メラミン樹脂含浸紙、ポリエステル樹
脂塗料、ジアリルフタレート樹脂含浸紙、紫外線硬化樹
脂塗料、塩化ビニル樹脂フィルム、ウレタン樹脂塗料、
ポリアクリルウレタン、ふっ化ビニル樹脂フィルム、化
粧板から選ばれる少なくとも1種の樹脂系化粧層、天然
木単板(ローズ、チーク、マツ、タモ、ナラ、スギ)、
天然石、人造石、カーペット、塩化ビニルタイル、布製
カーペット、化粧合板、畳などを使用することができ
る。
【0059】前記化粧板には、フェノール樹脂含浸コア
層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オ
ーバーレイ層からなる3層構造の化粧板や、メラミン樹
脂含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コア層、メラミ
ン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ
層からなる4層構造の化粧板を使用できる。特にコア層
としてフェノール樹脂含浸コア層を持つ化粧板の場合
は、表面強度が著しく高くなるため、床材などへ応用す
ることができる。この化粧層の厚みは、0.1〜10m
mであることが望ましい。
層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オ
ーバーレイ層からなる3層構造の化粧板や、メラミン樹
脂含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コア層、メラミ
ン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ
層からなる4層構造の化粧板を使用できる。特にコア層
としてフェノール樹脂含浸コア層を持つ化粧板の場合
は、表面強度が著しく高くなるため、床材などへ応用す
ることができる。この化粧層の厚みは、0.1〜10m
mであることが望ましい。
【0060】なお、本発明においては、芯材と化粧層と
の間に樹脂および繊維基材からなる補強層が形成されて
なることが望ましい。耐衝撃性をさらに向上させること
ができ、過酷な耐久性が要求される床材への応用も可能
だからである。この補強層を構成する樹脂は、熱硬化性
樹脂が望ましい。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異な
り、耐火性に優れ、高温化でも軟化しないため補強層と
しての機能が失われないからである。さらに、本発明の
複合硬化体は、耐水性、強度を向上させるために、少な
くとも片面に耐水紙などの紙を貼付して複合建築材料に
供してもよい。
の間に樹脂および繊維基材からなる補強層が形成されて
なることが望ましい。耐衝撃性をさらに向上させること
ができ、過酷な耐久性が要求される床材への応用も可能
だからである。この補強層を構成する樹脂は、熱硬化性
樹脂が望ましい。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異な
り、耐火性に優れ、高温化でも軟化しないため補強層と
しての機能が失われないからである。さらに、本発明の
複合硬化体は、耐水性、強度を向上させるために、少な
くとも片面に耐水紙などの紙を貼付して複合建築材料に
供してもよい。
【0061】以下に、本発明の複合硬化体の製造方法の
例および、その複合硬化体を使用した複合建築材料の製
造方法の例について説明する。まず、複合硬化体の製造
方法は、例えば次のとおりである。すなわち、複合硬化
体の原料には製紙スラッジを使用する。製紙スラッジと
しては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、ティ
ッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生理用
品、タオル用紙、工業用雑種紙および家庭用雑種紙のう
ち少なくとも一種類を抄造した際に排出される製紙スラ
ッジを使用することが望ましい。市販の製紙スラッジと
しては、例えば丸東窯材社が取り扱う「生スラッジ」と
呼ばれる未硬化スラッジや「サイクロン灰」と呼ばれる
焼成したスラッジなどを使用できる。これらの製紙スラ
ッジは、カルシウム化合物量が多く、Ca系の結晶を得
やすいからである。
例および、その複合硬化体を使用した複合建築材料の製
造方法の例について説明する。まず、複合硬化体の製造
方法は、例えば次のとおりである。すなわち、複合硬化
体の原料には製紙スラッジを使用する。製紙スラッジと
しては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、ティ
ッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生理用
品、タオル用紙、工業用雑種紙および家庭用雑種紙のう
ち少なくとも一種類を抄造した際に排出される製紙スラ
ッジを使用することが望ましい。市販の製紙スラッジと
しては、例えば丸東窯材社が取り扱う「生スラッジ」と
呼ばれる未硬化スラッジや「サイクロン灰」と呼ばれる
焼成したスラッジなどを使用できる。これらの製紙スラ
ッジは、カルシウム化合物量が多く、Ca系の結晶を得
やすいからである。
【0062】前記製紙スラッジに、本発明では硫化水
素、硫化亜鉛、硫酸アルミニウムなどを添加する。S成
分を増やすことで、鼠や蟻が忌避する硬化体となり、一
方、S成分は、一般に防虫剤として使用されているホウ
酸ナトリウムなどの無機化合物やクレオソートなどの有
機物に比べて、混合した場合の強度低下が小さいからで
ある。なかでも硫酸アルミニウムが最適である。製紙ス
ラッジが凝集してフロック化されて、濾水性が改善され
る効果も期待できるからである。
素、硫化亜鉛、硫酸アルミニウムなどを添加する。S成
分を増やすことで、鼠や蟻が忌避する硬化体となり、一
方、S成分は、一般に防虫剤として使用されているホウ
酸ナトリウムなどの無機化合物やクレオソートなどの有
機物に比べて、混合した場合の強度低下が小さいからで
ある。なかでも硫酸アルミニウムが最適である。製紙ス
ラッジが凝集してフロック化されて、濾水性が改善され
る効果も期待できるからである。
【0063】このようにして所定範囲に組成調整した製
紙スラッジを所望の型枠に流し込んだり、フィルターを
配設した型枠に流し込んだ後、プレスして水分を除去し
たり、あるいは製紙スラッジのスラリーを抄造するなど
の方法にて、所望の形状に成形する。そして、成形後、
加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させると、複合硬
化体が得られる。この加熱温度が高すぎると変形やクラ
ックなどが発生し、一方、低すぎると乾燥に長時間を必
要とし、生産性が低下してしまう。
紙スラッジを所望の型枠に流し込んだり、フィルターを
配設した型枠に流し込んだ後、プレスして水分を除去し
たり、あるいは製紙スラッジのスラリーを抄造するなど
の方法にて、所望の形状に成形する。そして、成形後、
加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させると、複合硬
化体が得られる。この加熱温度が高すぎると変形やクラ
ックなどが発生し、一方、低すぎると乾燥に長時間を必
要とし、生産性が低下してしまう。
【0064】特に、複合硬化体を板状の心材に成形する
には、上記製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロ
ールで押さえてシート状の成形体にし、このシート状成
形体を加熱温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、
板状に成形する。その際の圧力は1〜400kgf/c
m2 が適当である。圧力を適宜変えることにより、比重
を調整することができる。例えば、350kg/cm2
で、概ね比重が1.4となる。なお、圧締とは、圧力を
かけたまま保持することをいう。この圧締時に付与する
圧力によって、繊維状物が加圧方向を横切る向きに配向
される結果、芯材の曲げ強度を向上させることができ
る。また、加圧することにより水分が排除されて結晶化
の進行が抑制されるから、非晶質体の形成に有利であ
る。
には、上記製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロ
ールで押さえてシート状の成形体にし、このシート状成
形体を加熱温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、
板状に成形する。その際の圧力は1〜400kgf/c
m2 が適当である。圧力を適宜変えることにより、比重
を調整することができる。例えば、350kg/cm2
で、概ね比重が1.4となる。なお、圧締とは、圧力を
かけたまま保持することをいう。この圧締時に付与する
圧力によって、繊維状物が加圧方向を横切る向きに配向
される結果、芯材の曲げ強度を向上させることができ
る。また、加圧することにより水分が排除されて結晶化
の進行が抑制されるから、非晶質体の形成に有利であ
る。
【0065】ところで従来、本願出願人は、加圧脱水や
圧締を、大きな面積を持つ量産用の複合硬化体であって
も、押板を断面積の小さな押し棒を用いてプレスするこ
とで行っていた。このため、押し板が傾いたりすると比
重にばらつきが発生してしまい、また、ロールも長時間
使用すると、すりへってしまい比重のばらつきの原因と
なるという不都合があった。そこで、本発明の複合硬化
体を製造する際の一実施形態では、押し板を複数の押し
棒でプレスする方法を採用し、面内での圧力のばらつき
を防止した。その結果、比重のばらつきを±10%以内
に抑制することができた。
圧締を、大きな面積を持つ量産用の複合硬化体であって
も、押板を断面積の小さな押し棒を用いてプレスするこ
とで行っていた。このため、押し板が傾いたりすると比
重にばらつきが発生してしまい、また、ロールも長時間
使用すると、すりへってしまい比重のばらつきの原因と
なるという不都合があった。そこで、本発明の複合硬化
体を製造する際の一実施形態では、押し板を複数の押し
棒でプレスする方法を採用し、面内での圧力のばらつき
を防止した。その結果、比重のばらつきを±10%以内
に抑制することができた。
【0066】また、製紙スラッジに無機粉末を添加して
混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体中
に無機粉末を分散させることができた。
混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体中
に無機粉末を分散させることができた。
【0067】ちなみに、製紙スラッジを使用した従来技
術が幾つか散見されるが、何れも本発明とは技術内容が
異なっている。すなわち、特開昭49−86438号公
報には、パルプかす(セルロース成分)と石灰かすとを
混合してホットプレスしたものが開示されているが、パ
ルプかすはセルロースを意味しているから、本発明のよ
うに製紙スラッジ中の無機成分を利用するものではな
く、無機非晶質中に繊維が分散したものでもない。この
ため石灰かすの粒界で破断したり、クラックの進展を防
止できなかったりして、曲げ強度や圧縮強度に問題が残
る。しかも、石灰かすは、製紙パルプ液を燃焼させた結
晶質体(酸化カルシウム)であり、本発明の非晶質体と
は明らかに区別されるものである。
術が幾つか散見されるが、何れも本発明とは技術内容が
異なっている。すなわち、特開昭49−86438号公
報には、パルプかす(セルロース成分)と石灰かすとを
混合してホットプレスしたものが開示されているが、パ
ルプかすはセルロースを意味しているから、本発明のよ
うに製紙スラッジ中の無機成分を利用するものではな
く、無機非晶質中に繊維が分散したものでもない。この
ため石灰かすの粒界で破断したり、クラックの進展を防
止できなかったりして、曲げ強度や圧縮強度に問題が残
る。しかも、石灰かすは、製紙パルプ液を燃焼させた結
晶質体(酸化カルシウム)であり、本発明の非晶質体と
は明らかに区別されるものである。
【0068】また、特開平7−47537号、同7−6
9701号、同6−293546号および同5−270
872号各公報にはセメントと無機補強繊維とを複合し
た技術が、特開平10−15923号公報にはパルプス
ラッジと結晶質である石膏を混合する技術が、特開昭4
9−2880号公報にはパルプ廃棄物中の繊維のみに着
目した技術が、そして特開昭53−81388号公報に
はパルプかす中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)
と木屑を混ぜて成形したものが、それぞれ記載されてい
るが、何れの技術も、本発明のような無機非晶質体中に
繊維状物質を分散させたものとは異なる。
9701号、同6−293546号および同5−270
872号各公報にはセメントと無機補強繊維とを複合し
た技術が、特開平10−15923号公報にはパルプス
ラッジと結晶質である石膏を混合する技術が、特開昭4
9−2880号公報にはパルプ廃棄物中の繊維のみに着
目した技術が、そして特開昭53−81388号公報に
はパルプかす中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)
と木屑を混ぜて成形したものが、それぞれ記載されてい
るが、何れの技術も、本発明のような無機非晶質体中に
繊維状物質を分散させたものとは異なる。
【0069】さらに、特開昭51−30088号公報に
は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形する技
術で記載されているが、焼成条件等が記載されておら
ず、非晶質の焼成灰を得ることできない。特開平8−2
46400号公報に記載されているのは、製紙スラッジ
ではなく古紙パルプそのものを使用する技術である。特
開昭48−44349号公報には、有機質と無機質を含
むパルプ廃棄物と高分子エマルジョンなどを混合した技
術が示されているが、ここでの無機質とは、酸化珪素、
酸化アルミニウムおよび酸化鉄をいい、実質的に各1種
類の金属酸化物を指しており、本発明のような2種以上
の金属酸化物が複雑な非晶質系を構成するものとは異な
っている。そして特開昭49−99524号公報には、
セラミック化(多結晶化)した基材が示されているが、
本発明のような非晶質系とは異なっている。
は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形する技
術で記載されているが、焼成条件等が記載されておら
ず、非晶質の焼成灰を得ることできない。特開平8−2
46400号公報に記載されているのは、製紙スラッジ
ではなく古紙パルプそのものを使用する技術である。特
開昭48−44349号公報には、有機質と無機質を含
むパルプ廃棄物と高分子エマルジョンなどを混合した技
術が示されているが、ここでの無機質とは、酸化珪素、
酸化アルミニウムおよび酸化鉄をいい、実質的に各1種
類の金属酸化物を指しており、本発明のような2種以上
の金属酸化物が複雑な非晶質系を構成するものとは異な
っている。そして特開昭49−99524号公報には、
セラミック化(多結晶化)した基材が示されているが、
本発明のような非晶質系とは異なっている。
【0070】本発明の複合硬化体を使用した複合建築材
料は、例えば以下のようにして製造する。先ず、所定範
囲に組成調整された製紙スラッジをコンベアで搬送しな
がら、ロールで押さえてシート状成形体とする。一方、
繊維基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理し
て、乾燥させて補強シートとする。次いで、シート状成
形体と補強シートとを積層して、加熱しながら圧締し、
芯材(複合硬化体)と補強層とからなる複合建築材料に
成形する。ここでの加熱温度は80〜200℃、圧力は
1〜400kgf/cm2 程度が適当である。
料は、例えば以下のようにして製造する。先ず、所定範
囲に組成調整された製紙スラッジをコンベアで搬送しな
がら、ロールで押さえてシート状成形体とする。一方、
繊維基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理し
て、乾燥させて補強シートとする。次いで、シート状成
形体と補強シートとを積層して、加熱しながら圧締し、
芯材(複合硬化体)と補強層とからなる複合建築材料に
成形する。ここでの加熱温度は80〜200℃、圧力は
1〜400kgf/cm2 程度が適当である。
【0071】この圧締によって繊維状物が配向されて曲
げ強度を高くすることができ、また圧力をかけることに
より水分を除去できるので、水を取り込んで結晶化が進
行しすぎるのを防止することができる。
げ強度を高くすることができ、また圧力をかけることに
より水分を除去できるので、水を取り込んで結晶化が進
行しすぎるのを防止することができる。
【0072】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸させ、乾燥させた後、加熱プレ
スし、熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層と
し、この補強層を接着剤にて、予め硬化させておいた芯
材に貼付する方法を採用してもよい。
ットに樹脂組成物を含浸させ、乾燥させた後、加熱プレ
スし、熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層と
し、この補強層を接着剤にて、予め硬化させておいた芯
材に貼付する方法を採用してもよい。
【0073】また、ガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーなどの繊維表面にフェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂を別工程でコーティングしておき、これら
の繊維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して
加熱プレスする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬
化性樹脂を別工程でコーティングしておく方法では、含
浸させた樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を接着
しやすく、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有利で
ある。このようなコーティングを行う方法としては、前
記繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させ乾燥せし
める方法、あるいはガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーの原料溶融物をノズルから流出させて、
ブローイング法あるいは遠心法により繊維化し、この繊
維化と同時にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液
を吹きつける方法がある。
ックファイバーなどの繊維表面にフェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂を別工程でコーティングしておき、これら
の繊維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して
加熱プレスする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬
化性樹脂を別工程でコーティングしておく方法では、含
浸させた樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を接着
しやすく、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有利で
ある。このようなコーティングを行う方法としては、前
記繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させ乾燥せし
める方法、あるいはガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーの原料溶融物をノズルから流出させて、
ブローイング法あるいは遠心法により繊維化し、この繊
維化と同時にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液
を吹きつける方法がある。
【0074】なお、繊維基材の構成材料として、ガラス
繊維、ロックウールまたはセラミックファイバーを使用
する場合は、シランカップリング剤をコーティングして
おくとよい。このようにして得られた複合建築材料の表
面、裏面には、塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接
着剤等で貼りつけたりすることができる。塗装は、各種
顔料、インクなどを印刷、吹きつけすることにより行
う。また、化粧板は、フェノール樹脂含浸コア層、メラ
ミン樹脂含浸パターン層からなる2層構造の化粧板、フ
ェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン
層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層構造
の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノール
樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミ
ン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧板を
使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含浸コ
ア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高くなる
ため、床材などへの応用が可能である。そして化粧単板
としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用できる。補
強層を形成する代わりに、熱硬化性樹脂、例えばフェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂を複合硬化体
の表面に塗布しておいてもよい。
繊維、ロックウールまたはセラミックファイバーを使用
する場合は、シランカップリング剤をコーティングして
おくとよい。このようにして得られた複合建築材料の表
面、裏面には、塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接
着剤等で貼りつけたりすることができる。塗装は、各種
顔料、インクなどを印刷、吹きつけすることにより行
う。また、化粧板は、フェノール樹脂含浸コア層、メラ
ミン樹脂含浸パターン層からなる2層構造の化粧板、フ
ェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン
層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層構造
の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノール
樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミ
ン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧板を
使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含浸コ
ア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高くなる
ため、床材などへの応用が可能である。そして化粧単板
としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用できる。補
強層を形成する代わりに、熱硬化性樹脂、例えばフェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂を複合硬化体
の表面に塗布しておいてもよい。
【0075】本発明の複合硬化体は、表面または内部に
電磁波シールド層を形成しておいてもよい。この電磁波
シールト層としては、金属箔が有利である。金属箔は、
電磁波を効率良く吸収するだけでなく高強度かつ軽量で
加工性にも優れているからである。この金属箔として
は、アルミニウム箔、銅箔、亜鉛箔、ステンレススチー
ル箔、金箔、銀箔から選ばれる少なくとも1種以上を用
いることができる。金属箔の厚さは、10〜500μm
が適当である。
電磁波シールド層を形成しておいてもよい。この電磁波
シールト層としては、金属箔が有利である。金属箔は、
電磁波を効率良く吸収するだけでなく高強度かつ軽量で
加工性にも優れているからである。この金属箔として
は、アルミニウム箔、銅箔、亜鉛箔、ステンレススチー
ル箔、金箔、銀箔から選ばれる少なくとも1種以上を用
いることができる。金属箔の厚さは、10〜500μm
が適当である。
【0076】また、導電性シールド層としては、導電性
フィラーと樹脂からなる複合シートを用いてもよい。こ
のようなシートは、音や振動も吸収するため有利であ
る。このシートに含ませる導電性フィラーは、例えば、
鉄、銅、アルミニウム、ステンレススチール、黄銅、亜
鉛、カーボンなどから選ばれる少なくとも1種以上の粉
体である。一方、樹脂にはフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる1種
以上がよい。複合シートの厚さは、0.5〜5.0mm
がよい。さらに導電性シールド層としては、導電性塗料
を塗布したものでもよい。導電性シールド層は、複合硬
化体の表面または裏面の少なくとも一方に設けてもよ
く、複合硬化体の内部に埋設してもよい。なお、一般に
表(おもて)面には化粧層を形成するので、裏面に形成
することが最適である。
フィラーと樹脂からなる複合シートを用いてもよい。こ
のようなシートは、音や振動も吸収するため有利であ
る。このシートに含ませる導電性フィラーは、例えば、
鉄、銅、アルミニウム、ステンレススチール、黄銅、亜
鉛、カーボンなどから選ばれる少なくとも1種以上の粉
体である。一方、樹脂にはフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる1種
以上がよい。複合シートの厚さは、0.5〜5.0mm
がよい。さらに導電性シールド層としては、導電性塗料
を塗布したものでもよい。導電性シールド層は、複合硬
化体の表面または裏面の少なくとも一方に設けてもよ
く、複合硬化体の内部に埋設してもよい。なお、一般に
表(おもて)面には化粧層を形成するので、裏面に形成
することが最適である。
【0077】
【実施例】以下、本発明の複合硬化体の各種実施例につ
いて、比較例と対比しつつ説明する。 (実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社が取り
扱う牧製紙株式会社のOA機器用上質紙の製紙スラッジ
「生スラッジ」:固形分51重量%、水分49重量%)
1500gを用意した。次に、製紙スラッジをコンベア
で搬送しながら145kgf/cm2の圧力を加えて、
厚さ10mmのシート状成形体を成形した。そして、こ
のシート状成形体を100℃で加熱して板状の下地ボー
ド(複合硬化体)を得た。この下地ボード(複合硬化
体)の比重は1.1であった。また、蛍光X線分析装置
(Rigaku株式会社 RIX2000)を用いてこ
の下地ボードの組成を分析した。その下地ボードの組成
(酸化物換算)を以下に示す。パルプの量は1100℃
で焼成したときの重量減少量から算出した。X線では炭
酸カルシウムのピークが観察された。組成は炭酸カルシ
ウムも含めての量である。
いて、比較例と対比しつつ説明する。 (実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社が取り
扱う牧製紙株式会社のOA機器用上質紙の製紙スラッジ
「生スラッジ」:固形分51重量%、水分49重量%)
1500gを用意した。次に、製紙スラッジをコンベア
で搬送しながら145kgf/cm2の圧力を加えて、
厚さ10mmのシート状成形体を成形した。そして、こ
のシート状成形体を100℃で加熱して板状の下地ボー
ド(複合硬化体)を得た。この下地ボード(複合硬化
体)の比重は1.1であった。また、蛍光X線分析装置
(Rigaku株式会社 RIX2000)を用いてこ
の下地ボードの組成を分析した。その下地ボードの組成
(酸化物換算)を以下に示す。パルプの量は1100℃
で焼成したときの重量減少量から算出した。X線では炭
酸カルシウムのピークが観察された。組成は炭酸カルシ
ウムも含めての量である。
【0078】炭酸カルシウムの含有量は、X線回折チャ
ートの2θ=29°付近の最大ピークの高さと炭酸カル
シウムの含有量とで図3に示す如き検量線を作成して測
定した。検量線は装置に依存性があるため、異なる装置
で回折試験を実施する場合には検量線を作成しなおす必
要がある。本実施例では、Rigaku株式会社製のm
iniFlexを使用した。その結果、炭酸カルシウム
の含有量は、約11重量%であった。また、蛍光X線の
CaとOのマッピング映像から、炭酸カルシウムの結晶
習癖は、図7に示す如き紡錘状と推定された。
ートの2θ=29°付近の最大ピークの高さと炭酸カル
シウムの含有量とで図3に示す如き検量線を作成して測
定した。検量線は装置に依存性があるため、異なる装置
で回折試験を実施する場合には検量線を作成しなおす必
要がある。本実施例では、Rigaku株式会社製のm
iniFlexを使用した。その結果、炭酸カルシウム
の含有量は、約11重量%であった。また、蛍光X線の
CaとOのマッピング映像から、炭酸カルシウムの結晶
習癖は、図7に示す如き紡錘状と推定された。
【0079】(実施例1の複合硬化体の組成) パルプ: 53.1重量% MgO:1.3重量% SiO2:15.7重量% SO3:0.8重量% Al2O3:9.7重量% P2O5:0.8重量% CaO: 16.3重量% Cl:0.3重量% TiO2:1.2重量% ZnO:0.6重量% FeO:0.2重量% その他:微量
【0080】(実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社の上質紙の製紙スラッ
ジ「生スラッジ」:固形分51重量%、水分49重量
%)1500gに、さらに、硫酸アルミニウムを56.
4g添加した。次に、製紙スラッジをコンベアで搬送し
ながら145kgf/cm2の圧力を加えて、厚さ10
mmのシート状成形体を成形した。そしてこのシート状
成形体を100℃で加熱して板状体(複合硬化体)を得
た。この板状体(複合硬化体)の比重は1.1であっ
た。また、蛍光X線分析装置(Rigaku株式会社製
の商品名RIX2100)を用いてこの板状体の組成を
分析した。その板状体の組成(酸化物換算)を以下に示
す。パルプの量は1100℃で焼成したときの重量減少
量から算出した。X線では炭酸カルシウムのピークが観
察された。組成は炭酸カルシウムも含めての量である。
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社の上質紙の製紙スラッ
ジ「生スラッジ」:固形分51重量%、水分49重量
%)1500gに、さらに、硫酸アルミニウムを56.
4g添加した。次に、製紙スラッジをコンベアで搬送し
ながら145kgf/cm2の圧力を加えて、厚さ10
mmのシート状成形体を成形した。そしてこのシート状
成形体を100℃で加熱して板状体(複合硬化体)を得
た。この板状体(複合硬化体)の比重は1.1であっ
た。また、蛍光X線分析装置(Rigaku株式会社製
の商品名RIX2100)を用いてこの板状体の組成を
分析した。その板状体の組成(酸化物換算)を以下に示
す。パルプの量は1100℃で焼成したときの重量減少
量から算出した。X線では炭酸カルシウムのピークが観
察された。組成は炭酸カルシウムも含めての量である。
【0081】(実施例2の複合硬化体の組成) パルプ: 49.4重量% MgO:1.2重量% SiO2:14.6重量% SO3:6.0重量% Al2O3:11.0重量% P2O5:0.7重量% CaO:15.1重量% Cl:0.2重量% TiO2:1.1重量% ZnO:0.4重量% FeO:0.1重量% その他:微量
【0082】(実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東
窯材社が取り扱う商品名「サイクロン灰」)103重量
部と、実施例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部
とを混練した。次いで、実施例1と同様にして複合硬化
体を製造した。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線
分析装置(Rigaku株式会社製の商品名RIX21
00)を用いて分析し、各酸化物に換算して次のとおり
であった。この複合硬化体の比重は0.9であった。
窯材社が取り扱う商品名「サイクロン灰」)103重量
部と、実施例1の未焼成の製紙スラッジ1209重量部
とを混練した。次いで、実施例1と同様にして複合硬化
体を製造した。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線
分析装置(Rigaku株式会社製の商品名RIX21
00)を用いて分析し、各酸化物に換算して次のとおり
であった。この複合硬化体の比重は0.9であった。
【0083】(製紙スラッジの焼成物の組成) SiO2:34.1重量% MgO:6.0重量% Al2O3:20.7重量% P2O5:2.7重量% Fe2O3:12.4重量% TiO2:1.0重量% CaO:21.3重量% SO3:0.5重量% ZnO:0.1重量% Cl:0.2重量% その他:微量
【0084】(実施例4)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のOA機器用低質紙の
製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分51重量%、水分
49重量%)1500gを用意した。この製紙スラッジ
に硫化亜鉛を25.2g添加し、次に、製紙スラッジを
コンベアで搬送しながら120kgf/cm2の圧力を
加えて、厚さ10mmのシート状成形体を成形した。そ
してこのシート状成形体を100℃で加熱して板状の下
地ボード(複合硬化体)を得た。この下地ボード(複合
硬化体)の比重は1.05であった。また、蛍光X線分
析装置(Rigaku株式会社製の商品名RIX210
0)を用いてこの下地ボードの組成を分析した。その下
地ボードの組成(酸化物換算)を以下に示す。パルプの
量は1100℃で焼成したときの重量減少量から算出し
た。X線では炭酸カルシウムのピークが観察された。
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のOA機器用低質紙の
製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分51重量%、水分
49重量%)1500gを用意した。この製紙スラッジ
に硫化亜鉛を25.2g添加し、次に、製紙スラッジを
コンベアで搬送しながら120kgf/cm2の圧力を
加えて、厚さ10mmのシート状成形体を成形した。そ
してこのシート状成形体を100℃で加熱して板状の下
地ボード(複合硬化体)を得た。この下地ボード(複合
硬化体)の比重は1.05であった。また、蛍光X線分
析装置(Rigaku株式会社製の商品名RIX210
0)を用いてこの下地ボードの組成を分析した。その下
地ボードの組成(酸化物換算)を以下に示す。パルプの
量は1100℃で焼成したときの重量減少量から算出し
た。X線では炭酸カルシウムのピークが観察された。
【0085】(実施例4の複合硬化体の組成) パルプ:51.2重量% MgO:1.6重量% SiO2:16.6重量% SO3:3.5重量% Al2O3:20.3重量% P2O5:0.3重量% CaO:5.0重量% Cl:0.1重量% TiO2:1.2重量% ZnO:0.2重量% その他:微量
【0086】(比較例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う中村製紙株式会社のOA機器用紙の製
紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量% 水分6
6重量%)1512gを用意した。次いで、製紙スラッ
ジを、1800mm×1000mmの面積を持つ鋳型に
流し込んだ。次いで、ステンレス板、パンチングメタル
板、不織布を順次に入れてから断面190mm□の押し
棒を45本を挿入して、昇圧時間30分で60kgf/
cm2 の圧力を加えながら5分間圧締し、厚さ10mm
のシート状成形体とした。このシート状成形体を100
℃で加熱して板状の複合硬化体とした。この板状の複合
硬化体の比重は、1.2であった。また、この複合硬化
体を蛍光X線分析装置(Rigaku株式会社製の商品
名RIX2100)を用いて分析したところ、酸化物に
換算して下記の組成であることが判った。なお、パルプ
については、1100℃で焼成して重量減少量から測定
した。炭酸カルシウムの含有量は、約9.8重量%であ
った。
窯材社が取り扱う中村製紙株式会社のOA機器用紙の製
紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量% 水分6
6重量%)1512gを用意した。次いで、製紙スラッ
ジを、1800mm×1000mmの面積を持つ鋳型に
流し込んだ。次いで、ステンレス板、パンチングメタル
板、不織布を順次に入れてから断面190mm□の押し
棒を45本を挿入して、昇圧時間30分で60kgf/
cm2 の圧力を加えながら5分間圧締し、厚さ10mm
のシート状成形体とした。このシート状成形体を100
℃で加熱して板状の複合硬化体とした。この板状の複合
硬化体の比重は、1.2であった。また、この複合硬化
体を蛍光X線分析装置(Rigaku株式会社製の商品
名RIX2100)を用いて分析したところ、酸化物に
換算して下記の組成であることが判った。なお、パルプ
については、1100℃で焼成して重量減少量から測定
した。炭酸カルシウムの含有量は、約9.8重量%であ
った。
【0087】(比較例1の複合硬化体の組成) パルプ:51.4重量%, MgO:1.4重量% SiO2 :24.2重量%, SO3 :0.5重量% Al2 O3 :14.0重量%, P2 O5 :0.2重
量% CaO:8.0重量%, Cl:0.2重量% TiO2 :1.0重量%, ZnO:0.1重量% その他:微量
量% CaO:8.0重量%, Cl:0.2重量% TiO2 :1.0重量%, ZnO:0.1重量% その他:微量
【0088】(比較例2)実施例1と同様であるが、硫
酸アルミニウムを65.3g添加した。 (比較例2の複合硬化体の組成) パルプ:49.8重量% MgO:1.2重量% SiO2:14.7重量% SO3:7.0重量% Al2O3:9.1重量% P2O5:0.7重量% CaO:15.2重量% Cl:0.2重量% TiO2:1.1重量% ZnO:0.5重量% FeO:0.1重量% その他:微量
酸アルミニウムを65.3g添加した。 (比較例2の複合硬化体の組成) パルプ:49.8重量% MgO:1.2重量% SiO2:14.7重量% SO3:7.0重量% Al2O3:9.1重量% P2O5:0.7重量% CaO:15.2重量% Cl:0.2重量% TiO2:1.1重量% ZnO:0.5重量% FeO:0.1重量% その他:微量
【0089】(比較例3)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う中洲製紙株式会社のOA機器用上質紙
の製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水
分66重量%)3020重量部を用意した。次に、製紙
スラッジ中に紡錘状軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2
μm、奥多摩工業株式会社の商品名タマパール TP−
121)を添加してカルシウム分の多い製紙スラッジを
得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この製紙
スラッジの比重は1.25であった。また炭酸カルシウ
ムの含有量は、約55重量%であった。この製紙スラッ
ジをコンベアで搬送しながら35kgf/cm2の圧力
を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を成形した。
そしてこのシート状成形体を100℃で加熱して試験片
を得た。
窯材社が取り扱う中洲製紙株式会社のOA機器用上質紙
の製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水
分66重量%)3020重量部を用意した。次に、製紙
スラッジ中に紡錘状軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2
μm、奥多摩工業株式会社の商品名タマパール TP−
121)を添加してカルシウム分の多い製紙スラッジを
得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この製紙
スラッジの比重は1.25であった。また炭酸カルシウ
ムの含有量は、約55重量%であった。この製紙スラッ
ジをコンベアで搬送しながら35kgf/cm2の圧力
を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を成形した。
そしてこのシート状成形体を100℃で加熱して試験片
を得た。
【0090】(比較例3の製紙スラッジの組成) パルプ:21.8重量% SiO2:4.6重量% Al2O3:7.5重量% P2O5:0.1重量
% CaO:64.5重量% Na2O:0.2重量% TiO2:0.2重量% その他:微量
% CaO:64.5重量% Na2O:0.2重量% TiO2:0.2重量% その他:微量
【0091】(比較例4)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のOA機器用上質紙の
製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水分
66重量%)3020重量部を用意した。次に、1N塩
酸水溶液を用いて酸洗浄し、製紙スラッジ中の炭酸カル
シウムを除去してカルシウム分の少ない製紙スラッジを
得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この製紙
スラッジの比重は1.01であった。また炭酸カルシウ
ムの含有量は、0.1重量%であった。この製紙スラッ
ジをコンベアで搬送しながら35kgf/cm2の圧力
を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を成形した。
このシート状成形体を100℃で加熱して試験片を得
た。
窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のOA機器用上質紙の
製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水分
66重量%)3020重量部を用意した。次に、1N塩
酸水溶液を用いて酸洗浄し、製紙スラッジ中の炭酸カル
シウムを除去してカルシウム分の少ない製紙スラッジを
得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この製紙
スラッジの比重は1.01であった。また炭酸カルシウ
ムの含有量は、0.1重量%であった。この製紙スラッ
ジをコンベアで搬送しながら35kgf/cm2の圧力
を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を成形した。
このシート状成形体を100℃で加熱して試験片を得
た。
【0092】(比較例4の製紙スラッジの組成) パルプ:51.2重量% MgO:1.6重量% SiO2:17.6重量% SO3:3.5重量% Al2O3:22.3重量% P2O5:0.3重量
% CaO:1.0重量% Cl:0.1重量% TiO2:1.2重量% ZnO:0.2重量% その他:微量
% CaO:1.0重量% Cl:0.1重量% TiO2:1.2重量% ZnO:0.2重量% その他:微量
【0093】(比較例5)未焼成の製紙スラッジ(丸東
窯材社が取り扱う藤田製紙株式会社のOA機器用上質紙
の製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水
分66重量%)3020重量部を用意した。次に、1N
塩酸水溶液を用いて、製紙スラッジ中の炭酸カルシウム
を一部分解除去して、カルシウム分の少ない製紙スラッ
ジを得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら35kgf/c
m2の圧力を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を
成形した。そしてこのシート状成形体を100℃で加熱
して試験片を得た。
窯材社が取り扱う藤田製紙株式会社のOA機器用上質紙
の製紙スラッジ「生スラッジ」:固形分34重量%、水
分66重量%)3020重量部を用意した。次に、1N
塩酸水溶液を用いて、製紙スラッジ中の炭酸カルシウム
を一部分解除去して、カルシウム分の少ない製紙スラッ
ジを得た。この製紙スラッジの組成を以下に示す。この
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら35kgf/c
m2の圧力を加えて、厚さ20mmのシート状成形体を
成形した。そしてこのシート状成形体を100℃で加熱
して試験片を得た。
【0094】(比較例5の製紙スラッジの組成) パルプ:43.3重量% SiO2:31.6重量
% Al2O3:13.0重量% P2O5:0.1重量
% CaO:2.6重量% Cl:0.3重量% TiO2:1.5重量% Na2O:0.1重量
% SO3:7.0重量% その他:微量
% Al2O3:13.0重量% P2O5:0.1重量
% CaO:2.6重量% Cl:0.3重量% TiO2:1.5重量% Na2O:0.1重量
% SO3:7.0重量% その他:微量
【0095】(比較例6)実施例2と同様であるが、ホ
ウ酸ナトリウムを120g添加した。 (比較例7)実施例2と同様であるが、クレオソートを
150g添加した。
ウ酸ナトリウムを120g添加した。 (比較例7)実施例2と同様であるが、クレオソートを
150g添加した。
【0096】以上の実施例および比較例で得られた複合
硬化体について曲げ強度、圧縮強度、加工性、釘打ち
性、破壊靭性、防蟻性および防鼠性についての試験を行
った。その結果を表1に示すとともに、特に防蟻性およ
び防鼠性については図11にも示す。なお、試験方法
は、曲げ強度がJIS A6901に、また圧縮強度が
JIS A5416に規定された方法に、それぞれ準じ
て測定した。また、加工性は、木工用丸鋸にて切断加工
を行って判断した。さらに、釘打ち性については、直径
4mm、長さ50mmの釘を打ちつけて、クラックの有
無を調べた。破壊靭性値は、ビッカ−ス硬度計(明石製
作所製 商品名MVK−D)により圧子を圧入して生じ
たクラックの長さから計算した。ヤング率は、曲げ破壊
試験のカーブから計算した結果、1.4から2.7kg
f/cm2であり、この値を用いた。
硬化体について曲げ強度、圧縮強度、加工性、釘打ち
性、破壊靭性、防蟻性および防鼠性についての試験を行
った。その結果を表1に示すとともに、特に防蟻性およ
び防鼠性については図11にも示す。なお、試験方法
は、曲げ強度がJIS A6901に、また圧縮強度が
JIS A5416に規定された方法に、それぞれ準じ
て測定した。また、加工性は、木工用丸鋸にて切断加工
を行って判断した。さらに、釘打ち性については、直径
4mm、長さ50mmの釘を打ちつけて、クラックの有
無を調べた。破壊靭性値は、ビッカ−ス硬度計(明石製
作所製 商品名MVK−D)により圧子を圧入して生じ
たクラックの長さから計算した。ヤング率は、曲げ破壊
試験のカーブから計算した結果、1.4から2.7kg
f/cm2であり、この値を用いた。
【0097】防蟻性については、2×2×2cmの試験
体を切り出し、これを60℃で48時間乾燥させた後、
シロアリ飼育室内で飼育中のシロアリコロニー上に配置
し、25℃、湿度75%に設定して1ヶ月放置し、再び
試験体を取り出して60℃で48時間乾燥させて、重量
変化率を測定した。また、防鼠性については、10×1
0×2cmの試験体を切り出して、ラットの飼育室に入
れ、25℃で1週間放置し、重量変化率を測定した。
体を切り出し、これを60℃で48時間乾燥させた後、
シロアリ飼育室内で飼育中のシロアリコロニー上に配置
し、25℃、湿度75%に設定して1ヶ月放置し、再び
試験体を取り出して60℃で48時間乾燥させて、重量
変化率を測定した。また、防鼠性については、10×1
0×2cmの試験体を切り出して、ラットの飼育室に入
れ、25℃で1週間放置し、重量変化率を測定した。
【0098】
【表1】 曲げ強度 圧縮強度 加工性 釘うち性 破壊靭性 防蟻性 防鼠性 kg/cm2 kg/cm2 MPa・m1/2 % % 実施例1 310 851 加工可 なし 3.0 5 8 実施例2 315 860 加工可 なし 3.0 3 5 実施例3 320 865 加工可 なし 3.0 3 5 実施例4 280 790 加工可 なし 3.5 3 8 比較例1 300 850 加工可 なし 3.0 30 50 比較例2 280 790 加工可 なし 3.5 10 30 比較例3 250 700 加工可 クラック 2.6 30 50 比較例4 250 700 加工可 クラック 2.6 5 5 比較例5 230 680 加工可 クラック 2.6 10 30 比較例6 230 690 加工可 クラック 2.6 5 5 比較例7 210 680 加工可 クラック 2.6 5 5
【0099】また、実施例1および実施例4の複合硬化
体についてそれぞれ、X線回折により結晶構造を確認し
た。そのX線回折のチャートを、図4および図5に示
す。なお、X線回折は、Rigaku株式会社製のmi
niFlexを使用し、Cuをターゲットとした。2θ
=15°〜40°の領域にゆるやかな起伏(ハロー)が
観察されるとともに、結晶構造を示すピークも観察さ
れ、非晶質構造中に結晶構造が混在していることが判
る。また、ピークからは、炭酸カルシウムの結晶(Calc
ite)が同定された。以上の結果から、製紙スラッジの
硬化物は、S成分量が、SO3換算で0.5重量%を越
え6.5重量%未満の領域で、有効な防鼠性、防蟻性を
備えることがわかった。そして、従来使用されているホ
ウ酸系の防虫剤等では硬化物の強度が低下してしまう
が、本発明では、強度低下などがなく、シロアリや鼠の
害を防止できるということが判明した。
体についてそれぞれ、X線回折により結晶構造を確認し
た。そのX線回折のチャートを、図4および図5に示
す。なお、X線回折は、Rigaku株式会社製のmi
niFlexを使用し、Cuをターゲットとした。2θ
=15°〜40°の領域にゆるやかな起伏(ハロー)が
観察されるとともに、結晶構造を示すピークも観察さ
れ、非晶質構造中に結晶構造が混在していることが判
る。また、ピークからは、炭酸カルシウムの結晶(Calc
ite)が同定された。以上の結果から、製紙スラッジの
硬化物は、S成分量が、SO3換算で0.5重量%を越
え6.5重量%未満の領域で、有効な防鼠性、防蟻性を
備えることがわかった。そして、従来使用されているホ
ウ酸系の防虫剤等では硬化物の強度が低下してしまう
が、本発明では、強度低下などがなく、シロアリや鼠の
害を防止できるということが判明した。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の複合硬
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強
度、圧縮強度を有し、破壊靭性にも優れている。しかも
産業廃棄物を使用するので、安価な材料となるため、様
々な分野での有利な適用が可能であり、とりわけ、釘の
打ち込みが可能であるとともに、防鼠性、防蟻性を備え
ていることから、建築材料に最適な素材を低コストで提
供できる。
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強
度、圧縮強度を有し、破壊靭性にも優れている。しかも
産業廃棄物を使用するので、安価な材料となるため、様
々な分野での有利な適用が可能であり、とりわけ、釘の
打ち込みが可能であるとともに、防鼠性、防蟻性を備え
ていることから、建築材料に最適な素材を低コストで提
供できる。
【図1】 この発明の複合硬化体の一実施形態の断面模
式図である。
式図である。
【図2】 この発明の複合硬化体の他の一実施形態の断
面模式図である。
面模式図である。
【図3】 実施例および比較例の複合硬化体における炭
酸カルシウム量測定のための検量線を示す説明図であ
る。
酸カルシウム量測定のための検量線を示す説明図であ
る。
【図4】 実施例1の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
である。
【図5】 実施例4の複合硬化体のX線回折のチャート
である。
である。
【図6】 炭酸カルシウムの結晶の薄卓状結晶形態を示
す説明図である。
す説明図である。
【図7】 炭酸カルシウムの結晶の紡錘状結晶形態を示
す説明図である。
す説明図である。
【図8】 炭酸カルシウムの結晶の立方体状結晶形態を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図9】 炭酸カルシウムの結晶の柱状結晶形態を示す
説明図である。
説明図である。
【図10】 炭酸カルシウムの結晶の球状結晶形態を示
す説明図である。
す説明図である。
【図11】 S成分量(SO3換算)の異なるこの発明
の実施例および比較例の複合硬化体について防鼠性およ
び防蟻性を測定した結果を示す特性線図である。
の実施例および比較例の複合硬化体について防鼠性およ
び防蟻性を測定した結果を示す特性線図である。
1 複合硬化体 2 無機非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 Fターム(参考) 4D059 AA30 BB02 BK08 DA03 4L055 AG08 AG10 AG16 AG17 AG18 AG99 AH01 AH50 BF03 EA32 FA13 FA30 GA22
Claims (4)
- 【請求項1】 製紙スラッジを乾燥させて硬化させてな
り、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からなる
無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物および
炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、 前記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化
体の全重量に対して3重量%以上で6重量%未満に調整
されており、 かつ前記複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合
硬化体の全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量
%未満であることを特徴とする、複合硬化体。 - 【請求項2】 製紙スラッジを乾燥させて硬化させてな
り、少なくともSi、AlおよびCaの酸化物からなる
無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊維状物および
炭酸カルシウムを含有してなる複合硬化体であって、 前記複合硬化体中のCaの量が、CaO換算で複合硬化
体の全重量に対して6重量%以上で63重量%以下に調
整されており、 かつ前記複合硬化体中のS成分量が、SO3換算で複合
硬化体の全重量に対して0.5重量%を越え6.5重量
%未満であることを特徴とする、複合硬化体。 - 【請求項3】 前記複合硬化体中のCa、Alの量は、
それぞれCaO、Al2O3 に換算してCaO/Al2
O3 の比率で0.2を越えることを特徴とする、請求項
1または2に記載の複合硬化体。 - 【請求項4】 前記複合硬化体は、防蟻機能および防鼠
機能の少なくとも一方を持つ建築材料に使用されるもの
であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記
載の複合硬化体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001081336A JP2002275799A (ja) | 2001-03-21 | 2001-03-21 | 複合硬化体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001081336A JP2002275799A (ja) | 2001-03-21 | 2001-03-21 | 複合硬化体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002275799A true JP2002275799A (ja) | 2002-09-25 |
Family
ID=18937465
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001081336A Pending JP2002275799A (ja) | 2001-03-21 | 2001-03-21 | 複合硬化体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002275799A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007106654A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Oji Paper Co Ltd | 無機粒子その製造方法およびそれを使用した紙 |
JP2008285874A (ja) * | 2007-05-17 | 2008-11-27 | Lonseal Corp | 耐動荷重性床材およびその床構造 |
JP2009220335A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Daio Paper Corp | 床材用含浸紙 |
JP2010031420A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Daio Paper Corp | 床材用含浸原紙及び床材用含浸紙 |
-
2001
- 2001-03-21 JP JP2001081336A patent/JP2002275799A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007106654A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Oji Paper Co Ltd | 無機粒子その製造方法およびそれを使用した紙 |
JP2008285874A (ja) * | 2007-05-17 | 2008-11-27 | Lonseal Corp | 耐動荷重性床材およびその床構造 |
JP2009220335A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Daio Paper Corp | 床材用含浸紙 |
JP4533937B2 (ja) * | 2008-03-14 | 2010-09-01 | 大王製紙株式会社 | 床材用含浸紙 |
JP2010031420A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Daio Paper Corp | 床材用含浸原紙及び床材用含浸紙 |
JP4533945B2 (ja) * | 2008-07-29 | 2010-09-01 | 大王製紙株式会社 | 床材用含浸原紙及び床材用含浸紙 |
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