JP2001132212A - フリーアクセスフロア及びその下地材 - Google Patents

フリーアクセスフロア及びその下地材

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JP2001132212A
JP2001132212A JP31253399A JP31253399A JP2001132212A JP 2001132212 A JP2001132212 A JP 2001132212A JP 31253399 A JP31253399 A JP 31253399A JP 31253399 A JP31253399 A JP 31253399A JP 2001132212 A JP2001132212 A JP 2001132212A
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inorganic
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JP31253399A
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Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
Toshihiro Nomura
敏弘 野村
Kenji Sato
健司 佐藤
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】遮音性、剛性及び耐衝撃性が高いフリーアクセ
スフロア及びその下地材を提供すること。 【解決手段】建物の床スラブ11上に立設した複数本の
支持脚12によって複数枚の仕上げ材18を支持するこ
とにより、床スラブ11から離間して仕上げ材18を敷
き詰める。仕上げ材18の下面に下地材17を配設す
る。この下地材17を無機非晶質体中に繊維状物を混在
した複合硬化体1から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリーアクセスフ
ロアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、オフィスビルや集合住宅ではフ
リーアクセスフロアを採用している。このフリーアクセ
スフロアは、床スラブと仕上げ材との間に床下空間が形
成された2重床構造となっている。この床下空間にはO
A機器等の配線ケーブル、電話の通信ケーブル、空調用
の配管等が収納され、これによって室内の美観の向上、
歩行安全性の向上を図るようにしている。このようなフ
リーアクセスフロアにおいては、従来より床下空間内に
下地材が設けられている。通常、オフィスビル用の下地
材には、鋼板の一種であるスチールや、コンクリート・
窯業系の一種であるケイカルが使用される。又、集合住
宅用の下地材には、粉砕された粗荒な植物性繊維を固め
たパーティクルボードが使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のフリ
ーアクセスフロアの下地材は、比重が小さい材料を用い
て構成されていたため、遮音性が低いばかりでなく、剛
性、耐衝撃性も低いという問題があった。これらの問題
を解決するために、下地材を厚くして対処することが考
えられる。しかし、下地材の肉厚化は重量の増加につな
がるので、作業性が悪くなるとともに、コストが高くな
る。
【0004】そこで、本発明は上記の課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、遮音性、剛性及び耐衝撃
性が高いフリーアクセスフロア及びその下地材を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、建物の床と仕上げ材
との間に形成された床下空間に設けられるフリーアクセ
スフロアの下地材において、無機非晶質体中に繊維状物
を混在したことをその要旨とする。
【0006】請求項2に記載の発明では、建物の床と仕
上げ材との間に形成された床下空間に設けられるフリー
アクセスフロアの下地材において、産業廃棄物である製
紙スラッジを硬化させたものであることをその要旨とす
る。
【0007】請求項3に記載の発明では、建物の床上に
立設した複数本の支持脚によって複数枚の仕上げ材を支
持することにより、前記床から離間して前記仕上げ材を
敷き詰めたフリーアクセスフロアにおいて、前記仕上げ
材の下面に請求項1又は2に記載の下地材を設けたこと
をその要旨とする。
【0008】請求項4に記載の発明では、前記下地材の
比重は、0.2〜2.2の範囲内に設定されていること
をその要旨とする。以下、本発明の「作用」について説
明する。
【0009】請求項1、3に記載の発明によると、下地
材は無機非晶質体中に繊維状物を混在したものであるた
め、遮音性、剛性、耐衝撃性を向上することができる。
請求項2、3に記載の発明によると、下地材は産業廃棄
物である製紙スラッジを硬化させたものであるため、材
料コストを低くすることができる。
【0010】請求項4に記載の発明によると、下地材の
比重は、0.2〜2.2に設定されているため、建物内
への搬入性がよくなり、支持脚の上部に敷設し易くな
る。従って、施工作業性を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
オフィスビルのフリーアクセスフロアに具体化した第1
実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0012】図1,図2に示すように、鉄筋コンクリー
トからなる建物の床スラブ11には、複数の支持脚12
が立設されている。各支持脚12は、互いに直交する縦
列上及び横列上に等間隔をおいて配置されている。各支
持脚12は、ベースプレート13と、ベースプレート1
3の上面に突設された支柱14と、支柱14の上部に設
けられた受け台15とから構成されている。受け台15
は支柱14に進退可能に螺合されている。そして、受け
台15の位置を調節することにより、支持脚12の上下
方向の長さを調整できるようになっている。
【0013】支持脚12には下地材17を介して仕上げ
材18が支持されている。仕上げ材18は、床スラブ1
1から離間して建物のフロア全体に敷き詰められてい
る。本実施形態において、仕上げ材18としてタイルカ
ーペットが使用されている。床スラブ11と仕上げ材1
8との間には、床下空間19が形成されている。この床
下空間19には、図示しないOA機器等の配線ケーブル
や電話の通信ケーブル、空調用の配管等が配設される。
【0014】前記下地材17は、各仕上げ材18の下側
全体に敷き詰められている。図3の模式図に示すよう
に、下地材17は、厚さが10〜30mmの複合硬化体
1によって構成されている。特に、本実施形態のような
オフィスビルで用いられる下地材17であれば、その厚
みを20mm〜25mmにした方がいっそう好ましい。
【0015】複合硬化体1は、無機非晶質体2中に無機
結晶体が存在し、更に無機非晶質体2中に繊維状物3が
混在するものである。この無機結晶体の存在により、圧
縮強度、曲げ強度、耐クラック性が向上する。これは、
結晶体がクラックの進展を阻害し、又、硬度、密度を向
上させてクラックそのものを発生しにくくしているから
である。
【0016】このような結晶体としては、Hydrogen Al
uminum Silicate、Kaolinite、Zeolite、Gehlenite、s
yn、Anorthite、Melitite、Gehlenite−synthetic、tob
ermorite 、xonotlite、ettringiteや、SiO2、Al2
3、CaO、Na2O、MgO、P25、SO3、K
2O、TiO2、MnO、Fe23及びZnO等の酸化
物、そしてCaCO3(Calcite)などの結晶体
がある。結晶体の含有量は、複合硬化体1の全重量に対
して0.1〜50重量%であることが望ましい。この理
由は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆に
多すぎると強度低下を招くからである。
【0017】ちなみに、上記Al23−SiO2系の結
晶性化合物がHydrogen Aluminium Silicate、kaolinit
e、Zeolite、Al23−CaO系の結晶性化合物がCalc
ium Aluminate CaO−SiO2系の結晶性化合物がCal
cium Silicate、Al23−SiO2−CaO系の結晶性
化合物がGehienite−syn、Anorthiteであり、又はAl 2
3−SiO2−CaO−MgO系の結晶性化合物がMeli
tite、Gehlenite-syntheticである。
【0018】更に、結晶体として炭酸カルシウム(Calc
ite)を添加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体
は強度発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無
機非晶質体が取り囲むことにより、クラックの進展を阻
止する等の作用により強度向上に寄与すると考えられ
る。又、炭酸カルシウムが圧縮の力に対する支柱の役割
を奏するのではないかと推定している。この炭酸カルシ
ウムの含有量は、複合硬化体1の全重量に対して48重
量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を越える
と曲げ強度が低下するからである。又、前記含有量は、
0.1重量%以上が望ましい。0.1重量%未満では、
強度向上に寄与しないからである。
【0019】本実施形態で使用される無機非晶質体につ
いては特に限定されず、Si、Al、Ca、Na、M
g、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる
少なくとも1種以上の元素を含む各種酸化物の無機非晶
質体を使用することができる。特に、2種以上の酸化物
の系からなる無機非晶質体が最適である。
【0020】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Zn
から選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回
折による分析のチャートでは2θ:20°〜40°の範
囲でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな
起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとし
て観察される。ハローは半値幅が2θ:2°以上であ
る。
【0021】複合硬化体1は、まず無機非晶質体2及び
無機結晶体が相互に作用して強度発現物質となり、しか
も繊維状物3が無機非晶質体2中に分散して破壊靭性値
を改善するため、曲げ強度値や耐衝撃性を向上すること
ができる。又、非晶質体の方が結晶質のものより気孔を
有しやすく、比重を調整しやすい。更に、非晶質体は強
度に異方性がなく均質な硬化体が得られる。又、結晶質
中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に分散しやす
いことから、破壊靭性値も向上すると考えられる。
【0022】ここで、酸化物としては、金属及び/又は
非金属の酸化物を使用でき、Al23、SiO2、Ca
O、Na2O、MgO、P25、SO3、K2O、Ti
2、MnO、Fe23及びZnOから選ばれることが
望ましい。とりわけ、Al23−SiO2−CaO系又
はAl23−SiO2−CaO−酸化物系からなる無機
非晶質体、もしくはこれら無機非晶質体の複合体が最適
である。なお、後者の無機非晶質体における酸化物は、
Al23、SiO2及びCaOを除く金属及び/又は非
金属の酸化物の1種以上である。
【0023】まず、Al23−SiO2−CaO系から
なる無機非晶質体は、Al23、SiO2及びCaOの
各成分の全部又は一部が互いに固溶あるいは水和反応等
により生成する非晶質構造を有する化合物である。すな
わち、Al23とSiO2、SiO2とCaO、Al23
とCaO、そしてAl23、SiO2及びCaOの組合
せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する
化合物のいずれかを含むと考えられる。
【0024】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caが確認され、X線回折
による分析のチャートでは2θ:20°〜40°の範囲
でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな起
伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとして
観察される。
【0025】又、Al23、SiO2及びCaO以外に
少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl23
SiO2−CaO−酸化物系からなる無機非晶質体は、
上記Al23−SiO2−CaO系での組み合わせ以外
に、Al23と酸化物、SiO2と酸化物、CaOと酸
化物、Al23、SiO2及び酸化物、SiO2、CaO
及び酸化物、Al23、CaO及び酸化物、そしてAl
23、SiO2、CaO及び酸化物の組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物のいず
れかを含むと考えられる。
【0026】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種以上)が確認さ
れ、X線回折による分析のチャートでは2θ:20°〜
40°の範囲でハローが見られる。ハローはX線の強度
の緩やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り
上がりとして観察される。
【0027】ここで、Al23、SiO2及びCaOと
組み合わせる酸化物は、1種又は2種以上であり、Al
23、SiO2、CaOを除く金属及び/又は非金属の
酸化物を使用でき、例えばNa2O、MgO、P25
SO3、K2O、TiO2、MnO、Fe23及びZnO
から選ぶことができる。
【0028】例えば、Na2O又はK2Oは、アルカリ等
で除去できるため、めっき処理に先立って除去処理を行
えば、複合硬化体1の表面の被めっき面が粗くなってめ
っきのアンカーとして作用させることができる。MgO
は、Al23、SiO2、CaOと固溶して強度発現に
寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P25
は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯根、人工
骨)に使用する場合に有利である。SO3は、殺菌作用
がある。TiO2は、白系着色材であるとともに、光酸
化触媒として作用することから、付着した有機汚染物質
を強制的に酸化でき、光を照射しただけで洗浄できる。
MnOは暗色系の着色材、Fe23は明色系の着色材、
ZnOは白系の着色材として有用である。なお、これら
の酸化物は、無機非晶質体中にそれぞれ単独で存在して
いてもよい。
【0029】前記無機非晶質体の組成は、それぞれAl
23、SiO2及びCaOに換算して、A123:複合
硬化体1の全重量に対して5〜51重量%、SiO2
複合硬化体1の全重量に対して8〜53重量%及びCa
O:複合硬化体1の全重量に対して10〜63重量%
で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲にお
いて、含有することが好ましい。
【0030】なぜなら、Al23の含有量が5重量%未
満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体1の強度
が低下し、又、SiO2の含有量が8重量%未満あるい
は53重量%をこえても、複合硬化体1の強度が低下す
るからである。又、CaOの含有量が10重量%未満あ
るいは63重量%をこえてもやはり複合硬化体1の強度
が低下するからである。
【0031】更に、酸化物に換算してCaO/SiO2
の比率を0.2〜7.9、CaO/Al23の比率を
0.2〜12.5に調整することが、強度の大きい硬化
体を得るのに有利である。
【0032】又、Al23、SiO2及びCaO以外の
酸化物として、Na2O、MgO、P 2O6、SO3、K2
O、TiO2、MnO、Fe23及びZnOを含有する
場合、各成分の好適含有量は次のとおりである。なお、
これら酸化物の合計量は、100重量%を越えないこと
はいうまでもない。
【0033】 Na2O :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜2.4重量% MgO :複合硬化体1の全重量に対して0.3〜22.0重量% P25 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜14.6重量% SO3 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜7.0重量% K2O :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜2.4重量% TiO2 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜17.4重量% MnO :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜3.0重量% Fe23:複合硬化体1の全重量に対して0.2〜35.6重量% ZnO :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜3.6重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体1、つまり下地材17の
強度が低下するからである。
【0034】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:20°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。
【0035】又、この実施形態の複合硬化体1では、少
なくとも2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体中
に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲンは、固溶
体、水和物の生成反応の触媒となり、燃焼抑制物質とし
て作用する。その含有量は、0.1〜1.2重量%が望
ましい。なぜなら、0.1重量%未満では強度が低く、
1.2重量%を越えると燃焼により有害物質を発生する
からである。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が
望ましい。
【0036】この実施形態の複合硬化体1(下地材1
7)は、比重が0.2〜2.2であることが望ましい。
比重が0.2未満では気孔が多すぎて下地材17の強度
が低下し、逆に比重が2.2を越えると強度に占める無
機非晶質体自体の影響が大きくなりすぎて繊維状物の補
強効果が相対的に低下し、やはり強度が低下してしま
う。即ち、比重が0.2〜2.2の範囲で実用的な圧縮
強度、曲げ強度が得られるのであり、この範囲は強度を
得るための有利な範囲と言える。なお、比重は、4℃の
水の密度を1とした場合の物質の密度をいう。比重の測
定は、硬化体の体積及び重量を測定し、(重量/体積)
/0.999973で計算したものである。特に、本実
施形態のようなオフィスビルで用いられる下地材17で
あれば、その比重を1.2〜1.3(?)にした方がよ
りいっそう好ましい。この範囲で特異的に釘打ちの際の
クラックを抑制できるからである。
【0037】更に、結合剤を添加することも、強度のさ
らなる向上や、耐水性、耐薬品性及び耐火性の向上に、
有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂及び無
機結合剤のいずれか一方又は両方からなることが望まし
い。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン
樹脂,工ポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる少なくと
も1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤としては、珪
酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群から選ばれ
る少なくとも1種以上が望ましい。
【0038】次に、無機非晶質体中に混在させる繊維状
物は、有機質及び無機質のいずれでもよい。有機質繊維
状物としては、ビニロン、ポリプロピレン及びポリエチ
レン等の化学繊維、そして多糖類からなる有機質繊維状
物から選ばれる少なくとも1種以上を使用できるが、多
糖類からなる有機質繊維状物であることが望ましい。な
ぜなら、多糖類に存在するOH基は、水素結合によりA
23、SiO2又はCaOの各種化合物と結合しやす
いからである。
【0039】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロース及びペクチンか
ら選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが望
ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌等の古紙の粉砕物
が有利に適合する。なお、パルプは、セルロースの他に
リグニンを10〜30重量%程度含んでいる。
【0040】一方、無機質繊維状物としては、アルミナ
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種以
上を使用できる。
【0041】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では下地材17の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性なとが低下するお
それがあるからである。更に、繊維状物の平均長さは、
10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎると
絡み合いが生じず、長すぎると空隙が生じて複合硬化体
1の強度が低下しやすいからである。
【0042】以上の複合硬化体1としては、産業廃棄物
を乾燥させて凝集硬化させて得たものが推奨され、とり
わけ製紙スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させ
たものが最適である。すなわち、製紙スラッジは、無機
物を含むパルプかすであり、産業廃棄物を原料として使
用するため低コストであり、環境問題の解決に寄与する
からである。しかも、この製紙スラッジは、それ自体が
バインダーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物
と混練することにより、所望の形状に成形できる利点を
有する。
【0043】又、製紙スラッジ中には、パルプの他に、
Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、M
n、Fe及びZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩あるいは
これらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物の前駆体
であるゾル状物、又はそれらの複合物、ハロゲン及び炭
酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そして水を
含むのが、一般的である。
【0044】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では、硬くなりすぎて成形が難しくな
り、一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形
が難しくなるからである。
【0045】ここで、図4に示すように、複合硬化体1
中に、無機粉末4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、無機非晶質体と反応して強度発現物質を形成し
て強度を向上するのに有利である。又、この無機粉末量
を調整することにより、複合硬化体1、つまり下地材1
7の比重を調整することもできる。
【0046】無機粉末としては、炭酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、
製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨層、及び珪砂の
粉砕層から選ばれる少なくとも1種の産業廃棄物粉末を
用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉
末を使用することにより、低コスト化を実現でき、更に
環境問題の解決に寄与できるからである。
【0047】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶賞であり、強度、靭性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体1に分散させることにより軽量化を実現
できる。又、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合及び、300〜1500℃で加熱処理
後、急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。
【0048】無機粉末は、比表面積が、1.6〜100
2/gであることが望ましい。1.6m2以下である
と、無機非晶質体と無機粉末の接触面積が小さくなり強
度が低下する。逆に100m2/gを越えるとクラック
進展や硬度の向上といった効果が低下して結果的に強度
が低下する。
【0049】更に、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれていることが望まし
い。これらは、化学的に安定で耐候性に優れる。
【0050】この無機粉末は、その平均粒子径が小さす
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
【0051】次に、本実施形態の下地材17の製造方法
について説明する。複合硬化体1の原料には、製紙スラ
ッジを使用する。製紙スラッジとしては、印刷・情報用
紙、クラフト紙、チタン紙、テイッシュペーパー、ちり
紙、トイレットペーパー、生理用品、タオル用紙、工業
用雑種紙、家庭用雑種紙を抄造した際に排出される製紙
スラッジを使用することが望ましい。市販の製紙スラッ
ジとしては、丸東窯材社が取扱う「サイクロン灰」「生
スラッジ」等を使用できる。
【0052】この製紙スラッジを、所望の型枠に流し込
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造する等の方法にて、成形を行う。この際、
濾水性を高めるために、濾水改良剤、凝集剤を添加して
もよい。そして、成形後、加熱温度20〜160℃で乾
燥、硬化させると、複合硬化体1が得られる。この加熱
温度が高すぎると、変形やクラック等が発生し、一方低
すぎると乾燥に長時間を必要とし、生産性が低下してし
まう。
【0053】特に、複合硬化体1を板状に成形するに
は、製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで
押さえてシート状の成形体にし、このシート状成形体を
加熱温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の
芯材に乾燥成形する。その際の圧力は1〜400kgf
/cm2が適当である。圧力を適宜変えることにより、
比重を調整することができる。例えば、50kg/cm
2で概ね比重が1.4となる。なお、圧縮とは、圧力を
かけたまま保持することをいう。
【0054】比重の調整方法としては、加圧時の圧力を
変える以外に、無機粉末を添加する方法、あるいは各種
発泡剤を添加して無機非晶質体に気泡を形成する方法等
がある。更に、製紙スラッジに無機粉末を添加して混合
した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体1中に
無機粉末を分散させることができる。
【0055】なお、製紙スラッジ以外にも、原料として
金属アルコキシドや金属水酸化物を使用することができ
る。例えば、Al、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と古紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸又は
アルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化してもよい。この
ようなゲルは、結果的にAl23、SiO2、CaO、
Na2O、MgO、P25、SO3、K2O、TiO2、M
nO、Fe23及びZnO等の酸化物を固溶あるいは水
和反応させて得られる化合物と同一となると推定してい
る。
【0056】
【実施例】(実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯
材社 商品名「生スラッジ」:固形分34重量% 水分
66重量%)3020重量部を用意した。次いで、製紙
スラッジをコンベアで搬送する際、35kgf/cm2
の圧力を加えて成形することにより、厚さ20mmのシ
ート状成形体とした。このシート状成形体を100℃で
加熱して板状の下地材17とした。
【0057】このように得られた下地材17を、蛍光X
線分析装置(Rigaku製 RIX2100)を用いて分析
したところ、酸化物に換算して下記の組成であることが
判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成し
たときの重量減少量に基づいて測定した。
【0058】 記 パルプ: 50.4重量%, MgO: 1.4 重量% SiO2: 25.2重量%, SO3: 0.5 重量% Al23: 14.0重量%, P25: 0.2 重量% CaO: 8.0重量%, Cl: 0.2 重量% TiO2: 1.0重量%, ZnO: 0.1 重量% その他 微量 又、得られた下地材17は長方形の板であるため、各辺
の長さを測定すれば体積が測定され、更に重量を測定す
れば、比重を計算できる。比重は、1.5であった。 (実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社 商品
名「生スラッジ」 固形分34重量% 水分66重量
%)3030重量部を用意した。次いで、この製紙スラ
ッジをコンベアで搬送しながら、30kgf/cm2
圧力を加えながら、厚さ20mmのシート状成形体とし
た。このシート状成形体を100℃で加熱して板状の下
地材17とした。
【0059】かくして得られた下地材17を、蛍光X線
分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析し
たところ、酸化物に換算して下記の組成であることが判
った。なお、パルプについては、1100℃で焼成して
重量減少量から測定した。
【0060】 パルプ: 45.0重量%, TiO2: 1.0 重量% Al23:15.0重量%, SO3: 1.0 重量% CaO: 8.0重量%, P25: 0.2 重量% Na2O: 0.2重量%, Cl: 0.3 重量% K2O: 0.2重量%, その他: 微量 Fe23: 0.2重量%, 実施例1と同様に測定した比重は、1.2であった。 (実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社 商品
名「サイクロン灰」)103重量部と、実施例1の未焼
成の製紙スラッジ1210重量部とを混練した。
【0061】なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線分
析装置(Rigaku製 RIX2IOO)を用いて分析を行
い、各酸化物に換算して次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 34.1重量% MgO 6.0 重量% Al23 20.7重量% P25 2.7 重量% Fe23 12.4重量% TiO2 1.0 重量% CaO 21.3重量% SO3 0.5 重量% Cl O.2 重量% ZnO 0.1 重量% その他 微量 平均粒子径 11.0μm 真比重 2.756 比表面積 19.0m2/g 実施例1と同様に測定した比重は、0.8であった。
【0062】次いで、混練物をコンベアで搬送しなが
ら、15kgf/cm2の圧力を加えながら、厚さ25
mmのシート状成形体とした。このシート状成形体を1
10℃で加熱して板状の下地材17とした。 (実施例4)実施例1の未焼成の製紙スラッジ1512
重量部及びフェノール樹脂378重量部を混練し混練物
を得た。得られた混練物をコンベアで搬送しながら、3
kgf/cm2の圧力を加えながら、厚さ25mmのシ
ート状成形体とした。このシート状成形体を110℃加
熱して板状の下地材17とした。
【0063】実施例1と同様に測定した比重は、1.2
であった。この下地材17の両面に厚さ18μmの銅箔
を酢酸ビニル接着剤を介して貼付し、電磁波シールド層
とした。 (実施例5)実施例1の未焼成の製紙スラッジ1200
重量部、フェノール樹脂80重量部及び製紙スラッジの
焼成物(丸東窯材社 商品名「サイクロン灰」)600
重量部を混練し混練物を得た。この混練物をコンベアで
搬送しながら、3kgf/cm2の圧力で加圧しなが
ら、厚さ15mmのシート状成形とした。このシート状
成形体を110℃加熱して板状の下地材17とした。
【0064】実施例1と同様に測定した比重は、1.2
であった。この下地材17の両面にフェノール樹脂を塗
布し、この両面に耐水紙を貼付し、100℃で1時間加
熱硬化させた。 (比較例1)本比較例は、実施例1と同様であるが、実
施例1の製紙スラッジを1N塩酸水溶液と混合し、炭酸
カルシウムを分解除去した後、35kgf/cm2の圧
力を加えながら、厚さ20mmのシート状成形体とし
た。このシート状成形体を100℃で加熱して板状の下
地材17とした。 (比較例2)焼成スカム60重量部、水36重量部、セ
メント100重量部及びビニロン繊維0.3重量部を強
制攪拌ミキサで3分間混合してスラリを調製し、このス
ラリを型に流し込み、28〜35kgf/cm2で加圧
した後、脱型した。 (比較例3)石灰系下水汚泥溶融スラグ(大阪市下水道
公社品で主要化学成分が下記のもの)をボールミルにて
粉砕し、粉末度が比表面積で0.35m2/g(プレー
ン値3500cm2/g)となるように粉砕したもの5
重量部に、普通ポルトランドセメント(秩父小野田社
品)を95重量部混合し、更にセメント中のS03量が
2重量%となるように天然石膏にて調整して混合セメン
ト組成物を製造した。このセメントと砂を1:3の割合
で混合し、3日間放置した。
【0065】 記 SiO2: 33.4 重量%, MgO: 2.4 重量% Al23: 14.2 重量%, P25: 7.0 重量% Fe23: 5.0 重量%, NaO: 0.7 重量% CaO: 33.9 重量%, K2O: 0.7 重量% 以上の実施例及び比較例で得られた下地材17及び複合
建築材料について曲げ強度、圧縮強度、加工性及び釘打
ち性について試験を行った。その結果を表1に示す。な
お、曲げ強度試験については、JIS A6901に準
じて行い、又圧縮強度試験についてはJIS A 54
16に規定された方法に準じて行った。又、加工性につ
いては、木工用丸鋸にて切断加工を行うことにより判断
した。更に、釘打ち性については、直径4mm、長さ5
0mmの釘を打ちつけ、クラックの有無を調べた。又、
530gの鉄球を高さ1mから落下させて生じる打痕の
深さを測定した。更に、遮音性については、重量床衝撃
音(JIS−A1418に指定)に対する床衝撃音(J
IS−A1419に指定する)に関しての衝撃等級(L
値)を測定した。
【0066】
【表1】 又、実施例1及び実施例3の下地材17について、X線
回折により結晶構造を確認した。そのX線回折のチャー
トを、図5及び図6に、それぞれ示す。なお、X線回折
は、Rigaku製MiniFlexを使用し、Cuを
ターゲットとした。2θ=20°〜30°の領域にゆる
やかな起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構造
を示すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が混
在していることが判る。又、ピークからは、炭酸カルシ
ウムの結晶(Calsite)、Kaolinite 、SiO2の結晶体
が同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換算値で下
地材17に対して9.8重量%であった。
【0067】従って、本実施形態によれば以下のような
効果を得ることができる。 (1)フリーアクセスフロアの下地材17は、無機非晶
質体2中に繊維状物3が混在されている。そのため、下
地材17の厚みを厚くすることなく、下地材17の比重
を大きくすることができるので、遮音性、圧縮強度、曲
げ強度、耐衝撃性を向上することができる。従って、歩
行時の衝撃にも十分耐えることができ、床面(仕上げ材
18の上面)が撓むのを確実に防止することができる。
【0068】(2)下地材17を構成する複合硬化体1
は、産業廃棄物である製紙スラッジを硬化させたもので
ある。そのため、従来技術に示すケイカル・スチール
や、パーティクルボード等と比較して材料コストを安く
することができる。
【0069】(3)下地材17を構成する複合硬化体1
は、無機物を含むパルプかすであるため、施工現場で下
地材17を鋸等を用いて簡単に切断加工することができ
る。又、下地材17を製造工場から出荷して現場に納入
する迄に、周囲の温度や湿度変化が生じても、下地材1
7が反ったり、厚みや長さ等の寸法が変化するのを防止
することができる。すなわち、下地材17の寸法安定性
を向上することができる。しかも、複合硬化体1中に無
機質分が多く含まれているため、下地材17の防火性能
を向上することができる。
【0070】(4)無機粉末4の混入量を調整すること
により、建物の用途に応じて、下地材17の比重を自在
に変えることができる。。 (第2実施形態)次に、第2実施形態について説明す
る。本実施形態での下地材17は、以下のように構成さ
れている。図7に示すように、複合硬化体1の両面に補
強層6が設けられている。複合硬化体1を下地材17の
芯材とすることより、下地材17に引っ張り力が加わっ
た場合でも、複合硬化体1自体が曲げ強度に優れている
ため、しかも補強層6が設けられていることも相まっ
て、容易に破壊が起きない構成となっている。又、下地
材17の表面に局所的に圧力が加わっても凹みや窪みが
生じることもない。
【0071】更に、本実施形態の下地材17は、その使
用に当たり、補強層6の上に仕上げ材18を設けること
になるから、耐衝撃性が向上して、凹み等のキズが生じ
にくくなる。又、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材6
bを埋設して構成されている。この樹脂6aには、特に
熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬
化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下
でも軟化しないため、補強層6としての機能が失われな
いからである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿
素樹脂等が適合する。そして、補強層6に充分な剛性と
耐衝撃性、更に高い耐火性を付与するには、補強層6に
おける熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量
%の範囲にすることが望ましい。
【0072】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウール及びセ
ラミックファイバーを用いることが、低価格でかつ耐熱
性並びに強度に優れる点で好ましい。この繊維基材とし
ては、非連続の繊維をマット状に成形したもの、又は連
続した長繊維を3〜7cmに切断してマット状にしたも
の(いわゆるチョップドストランドマット)、水で分散
させてシート状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦
巻き状に積層しマット状にしたもの、或いは連続した長
繊維を織りあげたものが適している。
【0073】更に、補強層6の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性等が得られ、かつ高い加工性
を維持できるからである。なお、補強層6には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム等の難燃化剤、なら
びにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラス等一般に使用
される無機質の結合剤を添加してもよい。前記補強層6
は、弾性高分子を含むことが望ましい。釘を打ちつけて
も釘を起点としてクラックが発生せず、又、弾性高分子
が釘表面との摩擦力を確保して釘の保持力を向上させる
ことができるからである。
【0074】このような樹脂としては、熱硬化性樹脂及
び弾性高分子からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が
望ましい。即ち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高分
子のエマルジョンが分散したものである。このような樹
脂が硬化することにより、熱硬化性樹脂マトリックスの
“海”の中に弾性高分子の“島”が分散した構成にな
り、樹脂の強度を確保し、又靭性を付与できるのであ
る。
【0075】前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、ア
クリル系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレ
タン系ラテックスであることが望ましい。これらは、未
硬化の熱硬化性樹脂液中に液状で分散させることができ
るからである。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であ
るため、多孔質基材や繊維質基材に含浸させやすい。
【0076】前記ゴム系ラテックスは、ニトリル−ブタ
ジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)がよい。前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等がよ
い。前記熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比
は、95/5〜65/35であることが望ましい。この
理由は、熱硬化性樹脂量が多すぎると靭性が低下して、
クラックが発生しやすくなり、釘の保持力が低下してし
まうからである。逆に弾性高分子が多すぎると樹脂強度
が低下して、釘の保持力が低下してしまう。このよう
に、熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比が95
/5〜65/35であるとき、釘の保持力が最適とな
る。
【0077】なお、本実施形態の下地材17において
は、芯材である複合硬化体1と化粧層との間に、樹脂及
び繊維基材からなる補強部が形成されてなることが望ま
しい。耐衝撃性を更に向上させることができ、過酷な耐
久性が要求される床材への応用も可能だからである。こ
の補強部を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂が望ましい。
熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ、
高温化でも軟化しないため、補強部としての機能が失わ
れないからである。更に、下地材17の耐水性、強度を
向上させるために、複合硬化体1の少なくとも片面に耐
水紙を貼付してもよい。
【0078】次に、本実施形態の下地材17の製造方法
について説明する。まず、製紙スラッジをコンベアで搬
送しながら、ロールで押さえてシート状成形体とする。
一方、繊維基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱
処理して、乾燥させて補強シートとする。次いで、シー
ト状成形体と補強シートを積層し、加熱しながら圧締
し、複合硬化体1と補強層6からなる下地材17に成形
する。ここでの加熱温度は、80〜200℃、圧力は1
〜400kgf/cm2程度が適当である。
【0079】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層6とし、こ
の補強層6を接着剤にて予め硬化しておいた複合硬化体
1に貼付する方法でもよい。
【0080】又、ガラス繊維、ロックウール、セラミッ
クファイバーの繊維表面にフェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊維か
らなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱プレ
スする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬化性樹脂
を別工程でコーティングしておく方法では、含浸した樹
脂との密着性が向上し、又繊維同士を接着しやすく、更
に樹脂の含浸率を改善できるため有利である。このよう
なコーティングの方法としては、前記繊維基材に未硬化
の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥する方法、或いはガラス繊
維、ロックウール、セラミックファイバーの原料溶融物
をノズルから流出させて、ブローイング法あるいは遠心
法により繊維化し、この繊維化と同時にフェノール樹脂
等の熱硬化性樹脂の溶液を吹きつける方法がある。
【0081】なお、繊維基材の構成材料として、ガラス
繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用する
場合は、シランカップリング剤をコーティングしておく
とよい。このようにして得られた下地材17の表面、裏
面に塗装を施したり、仕上げ材18を接着剤等で貼りつ
けることができる。塗装は、各種顔料、インク等を印
刷、吹きつけすることにより行う。
【0082】従って、この第2実施形態においても、前
述した第1実施形態とほぼ同様の効果を発揮させること
ができる。又、この第2実施形態の下地材17は、複合
硬化体1の両面に補強層6が設けられている。そのた
め、複合硬化体1の曲げ強度をいっそう向上することが
できる。従って、下地材17の表面に歩行者が歩く際
に、床面に圧力が局所的かつ頻繁に加わっても、十分な
耐久性を発揮することができる。
【0083】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 前記実施形態では、鉄筋コンクリート造の建物に具
体化した。これ以外に、鉄骨鉄筋コンクリート造、軽量
鉄骨造、重量鉄骨造、木造の建物に具体化してもよい。
【0084】・ 建物の用途も、オフィスビルに限ら
ず、例えば集合住宅のフリーアクセスフロア(フリーフ
ロア)に具体化してもよい。集合住宅にした場合には、
仕上げ材18の仕様が、フローリングと合板とを接合し
たものになる。このほかにも仕上げ材18を天然石、人
造石、塩化ビニルタイル、化粧合板、畳等に変更しても
よい。
【0085】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 建物の床と仕上げ材との間に形成された床下空
間に設けられるフリーアクセスフロアの下地材におい
て、無機非晶質体中にCaCO3を含み、かつ繊維状物
が混在してなることを特徴とするフリーアクセスフロア
の下地材。
【0086】(2) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体中にAl、Si、Ca、Na、Mg、P、
S、K、Ti、Mn、Fe及びZnから選ばれる少なく
とも1種の元素を含むことを特徴とするフリーアクセス
フロアの下地材。
【0087】(3) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が、2種以上の酸化物の系からなり、該酸化
物がAl23、SiO2、CaO、Na2O、MgO、P2
5、SO3、K2O、TiO2、MnO、Fe23又はZn
Oから選ばれることを特徴とするフリーアクセスフロア
の下地材。
【0088】(4) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が、Al23−SiO2−CaO系の無機非
晶質体であることを特徴とするフリーアクセスフロアの
下地材。
【0089】(5) 請求項1又は2において、無機非
晶質体が、Al23−SiO2−CaO−酸化物系の無
機非晶質体であることを特徴とするフリーアクセスフロ
アの下地材。
【0090】(6) 前記(4)において、酸化物がN
2O、MgO、P25、SO3、K 2O、TiO2、Mn
O、Fe23及びZnOから選ばれる少なくとも1種で
あることを特徴とするフリーアクセスフロアの下地材。
【0091】(7) 前記(3)又は(4)において、
非晶質体は、それぞれAl23、SiO2及びCaOに
換算して、Al23:複合硬化体の全重量に対して5〜
51重量%、SiO2=複合硬化体の全重量に対して8
〜53重量%及びCaO:複合硬化体の全重量に対して
10〜63重量%でかつ3種の合計が100重量%を越
えない範囲で含有する組成であることを特徴とするフリ
ーアクセスフロアの下地材。
【0092】(8) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si、Ca、N
a、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe及びZnから
選ばれる少なくとも1種以上の元素の存在が確認され、
X線回折分析において、2θ:20°〜40°の範囲で
ハローが見られるものであることを特徴とするフリーア
クセスフロアの下地材。
【0093】(9) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si及びCaの
存在が確認され、X線回折分析のチャートにおいて、2
θ:20°〜40°の範囲でハローが見られるものであ
ることを特徴とするフリーアクセスフロアの下地材。
【0094】(10) 請求項1又は(1)において、
無機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si及びCa
の存在が確認され、また、これらに加えて前記蛍光X線
分析によりNa、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe
及びZnから選ばれる少なくとも1種以上の元素の存在
が確認され、更にX線回折分析のチャートにおいて、2
θ:20°〜40°の範囲でハローが見られるものであ
ることを特徴とするフリーアクセスフロアの下地材。
【0095】(11) 請求項1、(1)〜(9)のい
ずれかにおいて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維
状物であることを特徴とするフリーアクセスフロアの下
地材。
【0096】(12) 請求項1、(1)〜(10)の
いずれかにおいて、更にハロゲンを含有することを特徴
とするフリーアクセスフロアの下地材。 (13) 請求項1、(1)〜(11)のいずれかにお
いて、複合硬化体が産業廃棄物である製紙スラッジを硬
化させたものであることを特徴とするフリーアクセスフ
ロアの下地材。
【0097】(14) 請求項1、(1)〜(13)の
いずれかにおいて、更に無機粉末を含むことを特徴とす
るフリーアクセスフロアの下地材。 (15) 請求項1、(1)〜(16)のいずれかにお
いて、更に結合剤を含むことを特徴とするフリーアクセ
スフロアの下地材。
【0098】(16) 請求項1、芯材の少なくとも片
面に補強層を形成したフリーアクセスフロアの下地材。
【0099】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
フリーアクセスフロアの遮音性、剛性、耐衝撃性を向上
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるフリーアクセスフロアの
断面図。
【図2】フリーアクセスフロアの床下空間を示す斜視
図。
【図3】下地材の断面模式図。
【図4】無機粉末を混入した下地材の断面模式図。
【図5】下地材のX線回折のチャート。
【図6】下地材のX線回折のチャート。
【図7】第2実施形態における下地材の断面模式図。
【符号の説明】
1…複合硬化体、2…無機非晶質体、3…繊維状物、4
…無機粉末、6…補強層、11…床スラブ、12…支持
脚、18…仕上げ材、19…床下空間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン 株式会社大垣北工場内 (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン 株式会社大垣北工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の床と仕上げ材との間に形成された
    床下空間に設けられるフリーアクセスフロアの下地材に
    おいて、 無機非晶質体中に繊維状物を混在したことを特徴とする
    フリーアクセスフロアの下地材。
  2. 【請求項2】 建物の床と仕上げ材との間に形成された
    床下空間に設けられるフリーアクセスフロアの下地材に
    おいて、 産業廃棄物である製紙スラッジを硬化させたものである
    ことを特徴とするフリーアクセスフロアの下地材。
  3. 【請求項3】 建物の床上に立設した複数本の支持脚に
    よって複数枚の仕上げ材を支持することにより、前記床
    から離間して前記仕上げ材を敷き詰めたフリーアクセス
    フロアにおいて、 前記仕上げ材の下面に請求項1又は2に記載の下地材を
    設けたことを特徴とするフリーアクセスフロア。
  4. 【請求項4】 前記下地材の比重は、0.2〜2.2の
    範囲内に設定されていることを特徴とする請求項3に記
    載のフリーアクセスフロア。
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