JP2001152602A - 壁パネル - Google Patents

壁パネル

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JP2001152602A
JP2001152602A JP34018399A JP34018399A JP2001152602A JP 2001152602 A JP2001152602 A JP 2001152602A JP 34018399 A JP34018399 A JP 34018399A JP 34018399 A JP34018399 A JP 34018399A JP 2001152602 A JP2001152602 A JP 2001152602A
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plate
weight
wall panel
inorganic
strength
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JP34018399A
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English (en)
Inventor
Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】板状体の耐火性を向上すること。 【解決手段】木造家屋の軸組13に取り付け可能な壁パ
ネルを、板状体12と、その片面に接着された断熱材2
0とから構成する。そして、板状体12を、無機非晶質
体中に繊維状物を混在したものから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造家屋に用いら
れる壁パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸組に内装材と外装材とを取り付けてな
る木造家屋の壁の場合、断熱性の向上を目的として、内
装材と外装材とがなす空間内に、断熱機能を有する壁パ
ネルを配置することが一般的に行われる。この壁パネル
は、木製の板状体と、その板状体の片面に接着された断
熱材とから構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来技術に
おける壁パネルにおいては、板状体の形成材料が粉砕さ
れた植物性繊維を固めたものからなるため、軽量化に優
れている反面、耐火性に乏しいという問題があった。
【0004】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、板状体の耐火性を向上することが
可能な壁パネルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、板状体と、その板状
体の片面に設けられた断熱材とを備え、木造家屋の軸組
に取り付け可能な壁パネルにおいて、前記板状体の形成
材料を、無機非晶質体中に繊維状物を混在させたものに
したことを要旨としている。
【0006】請求項2に記載の発明では、板状体と、そ
の板状体の片面に設けられた断熱材とを備え、木造家屋
の軸組に取り付け可能な壁パネルにおいて、前記板状体
の形成材料を、産業廃棄物である製紙スラッジを硬化さ
せたものにしたことを要旨としている。
【0007】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1に記載の発明によると、板状体の形成材料
を、無機非晶質体中に繊維状物を混在させたものにした
ため、板状体の耐火性が向上する。
【0008】請求項2に記載の発明によると、板状体の
形成材料を、産業廃棄物である製紙スラッジを硬化させ
たものにしたため、板状体の耐火性が向上する。しか
も、材料コストを安くすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、この発明
を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】図1は、木造家屋の屋内側からみた壁パネ
ル11の正面図を示す。図2は、壁パネル11の平断面
図を示す。図4は、木造家屋の屋外側からみた壁パネル
11の背面図を示す。図1,図2,図4に示すように、
壁パネル11は、その外側面を構成する板状体12を備
えており、板状体12は、木造家屋の軸組13に設けら
れている。板状体12の上下両端縁は、軸組13を構成
する梁や土台等の横架材15に対して固定されている。
又、板状体12の周縁は、柱14に対して固定されてい
る。板状体12の屋外側面S11には、その周縁に沿っ
て釘打ち用マーキング16が記されている。この釘打ち
用マーキング16は、複数の点16aから構成されてい
る。なお、本実施形態において、板状体12の幅は30
0〜1300mm、長さは、3100〜3300mmと
なっている。
【0011】図1〜図3に示すように、板状体12の屋
内側面S12の中央部には、パネル長手方向に沿って延
びる木製の間柱17が1本接合されている。板状体12
の屋内側面S12において間柱17の面側には、外径寸
法が板状体12よりもひとまわり小さい長方形状の断熱
材20が設けられている。この断熱材20は板状体12
に対して接着剤により接着されている。断熱材20は、
いわば1本の間柱17により仕切られている。断熱材2
0は、壁パネル11が断熱効果を発揮する際にその主た
る部分を担うものである。断熱材20は、軸組13にお
いて形成された設置空間Kに、はめ込まれるようになっ
ている。
【0012】断熱材20の材質としては、発泡性のポリ
スチレンを使用している。ポリスチレンを選択した理由
は、次の通りである。ポリスチレンは内部に微細で独立
した気孔(非連続の気孔)を備えるものであるため、押
圧することによって適度の塑性変形を起こすからであ
る。
【0013】又、断熱材20の原料であるポリスチレン
の中には、難燃剤が含まれている。本実施形態では、難
燃剤に水酸化アルミニウム又はハロゲン系化合物を使用
している。これは、板状体12と断熱材20との接着性
を高くするためである。ハロゲン系化合物としては、具
体的に、ジブロモプロピルホスフェート、四臭化エタ
ン、ブロモクロロプロピルホスフェートがある。難燃剤
の分量は、ポリスチレンの2重量%〜30重量%となっ
ている。又、難燃剤の分量は、ポリスチレンの5重量%
〜10重量%にした方がいっそう好ましい。
【0014】更に、断熱材20の発泡倍率は、30〜7
0倍に設定されている。この範囲の倍率にした理由は次
の通りである。即ち、発泡倍率が30倍よりも低いと、
断熱材20内に含まれる気泡が減るため、材料であるポ
リスチレンを多く必要とする。従って、断熱材20の材
料費が高くなるからである。又、発泡倍率が70倍より
も高いと、熱伝導率が高くなり、断熱性が低下し、断熱
材20全体の強度が低下してしまうからである。なお、
断熱材20の発泡倍率は、35〜65倍にした方がいっ
そう好ましい。
【0015】この壁パネル11を軸組13に組み付ける
には次のように行う。なお、図5は壁パネル11を軸組
13に組み付ける前の状態を示し、図6は壁パネル11
を軸組13に組み付けた状態を示す。同図に示すよう
に、壁パネル11の断熱材20を、軸組13に形成され
た設置空間Kにはめ込む。そして、上記のようにはめ込
まれた壁パネル11の取り付けは、釘打ち用マーキング
16に釘等を打ち付けることによって行われる。壁パネ
ル11を取り付けた後、図示しない内装下地材を介して
内装仕上げ材43を軸組13に取り付ける。又、板状体
12が木造家屋の外部から見えないように、図示しない
外装下地材を介して外装仕上げ材44を軸組13に取り
付ける。
【0016】次に、本実施形態の要部である板状体12
の形成材料について以下に詳述する。図7の模式図に示
すように、板状体12は、厚さが6〜25mmの複合硬
化体1から構成されている。特に、本実施形態のような
木造戸建住宅に用いる板状体12であれば、その厚みを
9〜12mmにした方がいっそう好ましい。複合硬化体
1は、無機非晶質体2中に無機結晶体が存在し、更に無
機非晶質体2中に繊維状物3が混在するものである。こ
の無機結晶体の存在により、圧縮強度、曲げ強度、耐ク
ラック性が向上する。これは、結晶体がクラックの進展
を阻害し、又、硬度、密度を向上させてクラックそのも
のを発生しにくくしているからである。
【0017】このような結晶体としては、Hydrogen Al
uminum Silicate、Kaolinite、Zeolite、Gehlenite、s
yn、Anorthite、Melitite、Gehlenite−synthetic、tob
ermorite 、xonotlite、ettringiteや、SiO2、Al2
3、CaO、Na2O、MgO、P25、SO3、K
2O、TiO2、MnO、Fe23及びZnO等の酸化
物、そしてCaCO3(Calcite)などの結晶体
がある。結晶体の含有量は、複合硬化体1の全重量に対
して0.1〜50重量%であることが望ましい。この理
由は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆に
多すぎると強度低下を招くからである。
【0018】ちなみに、上記Al23−SiO2系の結
晶性化合物がHydrogen Aluminium Silicate、kaolinit
e、Zeolite、Al23−CaO系の結晶性化合物がCalc
ium AluminateCaO−SiO2系の結晶性化合物がCalc
ium Silicate、Al23−SiO2−CaO系の結晶性化
合物がGehienite−syn、Anorthiteであり、又はAl2
3−SiO2−CaO−MgO系の結晶性化合物がMeliti
te、Gehlenite-syntheticである。
【0019】更に、結晶体として炭酸カルシウム(Calc
ite)を添加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体
は強度発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を無
機非晶質体が取り囲むことにより、クラックの進展を阻
止する等の作用により強度向上に寄与すると考えられ
る。又、炭酸カルシウムが圧縮の力に対する支柱の役割
を奏するのではないかと推定している。この炭酸カルシ
ウムの含有量は、複合硬化体1の全重量に対して48重
量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を越える
と曲げ強度が低下するからである。又、前記含有量は、
0.1重量%以上が望ましい。0.1重量%未満では、
強度向上に寄与しないからである。
【0020】本実施形態で使用される無機非晶質体につ
いては特に限定されず、Si、Al、Ca、Na、M
g、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる
少なくとも1種以上の元素を含む各種酸化物の無機非晶
質体を使用することができる。特に、2種以上の酸化物
の系からなる無機非晶質体が最適である。
【0021】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、C
a、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Zn
から選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回
折による分析のチャートでは2θ:20°〜40°の範
囲でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな
起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとし
て観察される。ハローは半値幅が2θ:2°以上であ
る。
【0022】複合硬化体1は、まず無機非晶質体2及び
無機結晶体が相互に作用して強度発現物質となり、しか
も繊維状物3が無機非晶質体2中に分散して破壊靭性値
を改善するため、曲げ強度値や耐衝撃性を向上すること
ができる。又、非晶質体の方が結晶質のものより気孔を
有しやすく、比重を調整しやすい。更に、非晶質体は強
度に異方性がなく均質な硬化体が得られる。又、結晶質
中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に分散しやす
いことから、破壊靭性値も向上すると考えられる。
【0023】ここで、酸化物としては、金属及び/又は
非金属の酸化物を使用でき、Al23、SiO2、Ca
O、Na2O、MgO、P25、SO3、K2O、Ti
2、MnO、Fe23及びZnOから選ばれることが
望ましい。とりわけ、Al23−SiO2−CaO系又
はAl23−SiO2−CaO−酸化物系からなる無機
非晶質体、もしくはこれら無機非晶質体の複合体が最適
である。なお、後者の無機非晶質体における酸化物は、
Al23、SiO2及びCaOを除く金属及び/又は非
金属の酸化物の1種以上である。
【0024】まず、Al23−SiO2−CaO系から
なる無機非晶質体は、Al23、SiO2及びCaOの
各成分の全部又は一部が互いに固溶あるいは水和反応等
により生成する非晶質構造を有する化合物である。すな
わち、Al23とSiO2、SiO2とCaO、Al23
とCaO、そしてAl23、SiO2及びCaOの組合
せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する
化合物のいずれかを含むと考えられる。
【0025】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caが確認され、X線回折
による分析のチャートでは2θ:20°〜40°の範囲
でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな起
伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとして
観察される。
【0026】又、Al23、SiO2及びCaO以外に
少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl23
SiO2−CaO−酸化物系からなる無機非晶質体は、
上記Al23−SiO2−CaO系での組み合わせ以外
に、Al23と酸化物、SiO2と酸化物、CaOと酸
化物、Al23、SiO2及び酸化物、SiO2、CaO
及び酸化物、Al23、CaO及び酸化物、そしてAl
23、SiO2、CaO及び酸化物の組合せで固溶ある
いは水和反応等させることにより生成する化合物のいず
れかを含むと考えられる。
【0027】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種以上)が確認さ
れ、X線回折による分析のチャートでは2θ:20°〜
40°の範囲でハローが見られる。ハローはX線の強度
の緩やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り
上がりとして観察される。
【0028】ここで、Al23、SiO2及びCaOと
組み合わせる酸化物は、1種又は2種以上であり、Al
23、SiO2、CaOを除く金属及び/又は非金属の
酸化物を使用でき、例えばNa2O、MgO、P25
SO3、K2O、TiO2、MnO、Fe23及びZnO
から選ぶことができる。
【0029】例えば、Na2O又はK2Oは、アルカリ等
で除去できるため、めっき処理に先立って除去処理を行
えば、複合硬化体1の表面の被めっき面が粗くなってめ
っきのアンカーとして作用させることができる。MgO
は、Al23、SiO2、CaOと固溶して強度発現に
寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P25
は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯根、人工
骨)に使用する場合に有利である。SO3は、殺菌作用
がある。TiO2は、白系着色材であるとともに、光酸
化触媒として作用することから、付着した有機汚染物質
を強制的に酸化でき、光を照射しただけで洗浄できる。
MnOは暗色系の着色材、Fe23は明色系の着色材、
ZnOは白系の着色材として有用である。なお、これら
の酸化物は、無機非晶質体中にそれぞれ単独で存在して
いてもよい。
【0030】前記無機非晶質体の組成は、それぞれAl
23、SiO2及びCaOに換算して、A123:複合
硬化体1の全重量に対して5〜51重量%、SiO2
複合硬化体1の全重量に対して8〜53重量%及びCa
O:複合硬化体1の全重量に対して10〜63重量%
で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲にお
いて、含有することが好ましい。
【0031】なぜなら、Al23の含有量が5重量%未
満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体1の強度
が低下し、又、SiO2の含有量が8重量%未満あるい
は53重量%をこえても、複合硬化体1の強度が低下す
るからである。又、CaOの含有量が10重量%未満あ
るいは63重量%をこえてもやはり複合硬化体1の強度
が低下するからである。
【0032】更に、酸化物に換算してCaO/SiO2
の比率を0.2〜7.9、CaO/Al23の比率を
0.2〜12.5に調整することが、強度の大きい硬化
体を得るのに有利である。
【0033】又、Al23、SiO2及びCaO以外の
酸化物として、Na2O、MgO、P 2O6、SO3、K2
O、TiO2、MnO、Fe23及びZnOを含有する
場合、各成分の好適含有量は次のとおりである。なお、
これら酸化物の合計量は、100重量%を越えないこと
はいうまでもない。
【0034】 Na2O :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜2.4重量% MgO :複合硬化体1の全重量に対して0.3〜22.0重量% P25 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜14.6重量% SO3 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜7.0重量% K2O :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜2.4重量% TiO2 :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜17.4重量% MnO :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜3.0重量% Fe23:複合硬化体1の全重量に対して0.2〜35.6重量% ZnO :複合硬化体1の全重量に対して0.1〜3.6重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体1、つまり板状体12の
強度が低下するからである。
【0035】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:20°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。
【0036】又、この実施形態の複合硬化体1では、少
なくとも2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体中
に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲンは、固溶
体、水和物の生成反応の触媒となり、燃焼抑制物質とし
て作用する。その含有量は、0.1〜1.2重量%が望
ましい。なぜなら、0.1重量%未満では強度が低く、
1.2重量%を越えると燃焼により有害物質を発生する
からである。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が
望ましい。
【0037】この実施形態の複合硬化体1(板状体1
2)は、比重が0.6〜1.5であることが望ましい。
比重が0.2未満では気孔が多すぎて板状体12の強度
が低下し、逆に比重が2.2を越えると強度に占める無
機非晶質体自体の影響が大きくなりすぎて繊維状物の補
強効果が相対的に低下し、やはり強度が低下してしま
う。即ち、比重が0.6〜1.5の範囲で実用的な圧縮
強度、曲げ強度が得られるのであり、この範囲は強度を
得るための有利な範囲と言える。なお、比重は、4℃の
水の密度を1とした場合の物質の密度をいう。比重の測
定は、硬化体の体積及び重量を測定し、(重量/体積)
/0.999973で計算したものである。特に、本実
施形態のような木造戸建住宅に用いられる板状体12で
あれば、その比重を0.8〜1.3にした方がよりいっ
そう好ましい。この範囲で特異的に釘打ちの際のクラッ
クを抑制できるからである。
【0038】更に、結合剤を添加することも、強度のさ
らなる向上や、耐水性、耐薬品性及び耐火性の向上に、
有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂及び無
機結合剤のいずれか一方又は両方からなることが望まし
い。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン
樹脂,工ポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる少なくと
も1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤としては、珪
酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群から選ばれ
る少なくとも1種以上が望ましい。
【0039】次に、無機非晶質体中に混在させる繊維状
物は、有機質及び無機質のいずれでもよい。有機質繊維
状物としては、ビニロン、ポリプロピレン及びポリエチ
レン等の化学繊維、そして多糖類からなる有機質繊維状
物から選ばれる少なくとも1種以上を使用できるが、多
糖類からなる有機質繊維状物であることが望ましい。な
ぜなら、多糖類に存在するOH基は、水素結合によりA
23、SiO2又はCaOの各種化合物と結合しやす
いからである。
【0040】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロース及びペクチンか
ら選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが望
ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌等の古紙の粉砕物
が有利に適合する。なお、パルプは、セルロースの他に
リグニンを10〜30重量%程度含んでいる。
【0041】一方、無機質繊維状物としては、アルミナ
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種以
上を使用できる。
【0042】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では板状体12の強度が低下し、一方75重量%を越
えると耐火性能、耐水性、寸法安定性なとが低下するお
それがあるからである。更に、繊維状物の平均長さは、
10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎると
絡み合いが生じず、長すぎると空隙が生じて複合硬化体
1の強度が低下しやすいからである。
【0043】以上の複合硬化体1としては、産業廃棄物
を乾燥させて凝集硬化させて得たものが推奨され、とり
わけ製紙スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させ
たものが最適である。すなわち、製紙スラッジは、無機
物を含むパルプかすであり、産業廃棄物を原料として使
用するため低コストであり、環境問題の解決に寄与する
からである。しかも、この製紙スラッジは、それ自体が
バインダーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物
と混練することにより、所望の形状に成形できる利点を
有する。
【0044】又、製紙スラッジ中には、パルプの他に、
Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、M
n、Fe及びZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩あるいは
これらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物の前駆体
であるゾル状物、又はそれらの複合物、ハロゲン及び炭
酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そして水を
含むのが、一般的である。
【0045】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では、硬くなりすぎて成形が難しくな
り、一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形
が難しくなるからである。
【0046】ここで、図8に示すように、複合硬化体1
中に、無機粉末4を混在させることが、耐火性を向上さ
せたり、無機非晶質体と反応して強度発現物質を形成し
て強度を向上するのに有利である。又、この無機粉末量
を調整することにより、複合硬化体1、つまり板状体1
2の比重を調整することもできる。
【0047】無機粉末としては、炭酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、
製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨層、及び珪砂の
粉砕層から選ばれる少なくとも1種の産業廃棄物粉末を
用いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉
末を使用することにより、低コスト化を実現でき、更に
環境問題の解決に寄与できるからである。
【0048】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。このようにして得られる無機粉
末は、非晶賞であり、強度、靭性に優れ、かつ密度も小
さいため、複合硬化体1に分散させることにより軽量化
を実現できる。又、製紙スラッジを300℃以上800
℃未満で焼成した場合及び、300〜1500℃で加熱
処理後、急冷することによって得られる無機粉末は、確
実に無機非晶質体を含むため有利である。
【0049】無機粉末は、比表面積が、1.6〜100
2/gであることが望ましい。1.6m2以下である
と、無機非晶質体と無機粉末の接触面積が小さくなり強
度が低下する。逆に100m2/gを越えるとクラック
進展や硬度の向上といった効果が低下して結果的に強度
が低下する。
【0050】更に、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれていることが望まし
い。これらは、化学的に安定で耐候性に優れる。
【0051】この無機粉末は、その平均粒子径が小さす
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
【0052】次に、本実施形態の板状体12の製造方法
について説明する。複合硬化体1の原料には、製紙スラ
ッジを使用する。製紙スラッジとしては、印刷・情報用
紙、クラフト紙、チタン紙、テイッシュペーパー、ちり
紙、トイレットペーパー、生理用品、タオル用紙、工業
用雑種紙、家庭用雑種紙を抄造した際に排出される製紙
スラッジを使用することが望ましい。市販の製紙スラッ
ジとしては、丸東窯材社が取扱う「サイクロン灰」「生
スラッジ」等を使用できる。
【0053】この製紙スラッジを、所望の型枠に流し込
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造する等の方法にて成形を行う。そして、成
形後、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させると、
複合硬化体1が得られる。この加熱温度が高すぎると、
変形やクラック等が発生し、一方低すぎると乾燥に長時
間を必要とし、生産性が低下してしまう。
【0054】特に、複合硬化体1を板状に成形するに
は、製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで
押さえてシート状の成形体にする。もしくは、製紙スラ
ッジのスラリーを抄造した後、プレスしシート状の成形
体にする。そして、このシート状成形体を加熱温度80
〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の芯材に成形す
る。その際の圧力は1〜400kgf/cm2が適当で
ある。圧力を適宜変えることにより、比重を調整するこ
とができる。例えば、180kg/cm2で概ね比重が
1.5となる。なお、圧締とは、圧力をかけたまま保持
することをいう。
【0055】比重の調整方法としては、加圧時の圧力を
変える以外に、無機粉末を添加する方法、あるいは各種
発泡剤を添加して無機非晶質体に気泡を形成する方法等
がある。更に、製紙スラッジに無機粉末を添加して混合
した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体1中に
無機粉末を分散させることができる。
【0056】なお、製紙スラッジ以外にも、原料として
金属アルコキシドや金属水酸化物を使用することができ
る。例えば、Al、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と古紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸又は
アルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化してもよい。この
ようなゲルは、結果的にAl23、SiO2、CaO、
Na2O、MgO、P25、SO3、K2O、TiO2、M
nO、Fe23及びZnO等の酸化物を固溶あるいは水
和反応させて得られる化合物と同一となると推定してい
る。
【0057】
【実施例】(実施例1)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯
材社 商品名「生スラッジ」:固形分50重量% 水分
50重量%)800kgを用意した。これに水を加え、
固形分15%のスラリーとした。次いで、製紙スラッジ
スラリーを湿式抄造した後、76kgf/cm2の圧力
を加えて成形することにより、厚さ12mmのシート状
成形体とした。このシート状成形体を100℃で加熱し
て板状の板状体12とした。
【0058】このように得られた板状体12を、蛍光X
線分析装置(Rigaku製 RIX2100)を用いて分析
したところ、酸化物に換算して下記の組成であることが
判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成し
たときの重量減少量に基づいて測定した。 記 パルプ: 50.4重量%, MgO: 1.4 重量% SiO2: 25.2重量%, SO3: 0.5 重量% Al23: 14.0重量%, P25: 0.2 重量% CaO: 8.0重量%, Cl: 0.2 重量% TiO2: 1.0重量%, ZnO: 0.1 重量% その他 微量 又、得られた板状体12は長方形の板であるため、各辺
の長さを測定すれば体積を算出することができる。更に
重量を算出することができる。比重は、1.3であっ
た。 (実施例2)未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社 商品
名「生スラッジ」 固形分48重量% 水分52重量
%)700kgを用意した。次いで、この製紙スラッジ
をコンベアで搬送する際、35kgf/cm2の圧力を
加えて成形することにより、厚さ10mmのシート状成
形体とした。このシート状成形体を100℃で加熱乾燥
して板状の板状体12とした。
【0059】このようにして得られた板状体12を、蛍
光X線分析装置(Rigaku製RIX2100 )を用いて分
析したところ、酸化物に換算して下記の組成であること
が判った。なお、パルプについては、1100℃で焼成
したときの重量減少量に基づいて測定した。
【0060】 パルプ: 45.0重量%, TiO2: 1.0 重量% Al23:15.0重量%, SO3: 1.0 重量% CaO: 8.0重量%, P25: 0.2 重量% Na2O: 0.2重量%, Cl: 0.3 重量% K2O: 0.2重量%, その他: 微量 Fe23: 0.2重量%, 実施例1と同様に測定した比重は、1.2であった。 (実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東窯材社 商品
名「サイクロン灰」)20重量部と、実施例1の未焼成
の製紙スラッジ1210重量部とを混練した。なお、焼
成スラッジの組成は、蛍光X線分析装置(Rigaku
製 RIX2IOO )を用いて分析を行い、各酸化物に換算し
て次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO2 34.1重量% MgO 6.0 重量% Al23 20.7重量% P25 2.7 重量% Fe23 12.4重量% TiO2 1.0 重量% CaO 21.3重量% SO3 0.5 重量% Cl O.2 重量% ZnO 0.1 重量% その他 微量 平均粒子径 11.0μm 真比重 2.756 比表面積 19.0m2/g 実施例1と同様に測定した比重は、0.9であった。
【0061】次いで、混練物をコンベアで搬送する際、
5kgf/cm2の圧力を加え、厚さ20mmのシート
状成形体とした。このシート状成形体を110℃で加熱
して板状の板状体12とした。 (実施例4)実施例1の未焼成の製紙スラッジ1512
重量部及びフェノール樹脂110重量部を混練し混練物
を得た。得られた混練物をコンベアで搬送する際、3k
gf/cm2の圧力を加え、厚さ10mmのシート状成
形体とした。このシート状成形体を110℃加熱して板
状の板状体12とした。
【0062】実施例1と同様に測定した比重は、1.4
であった。この板状体12の両面に厚さ18μmの銅箔
を酢酸ビニル接着剤を介して貼付し、電磁波シールド層
とした。 (実施例5)実施例1の未焼成の製紙スラッジ1200
重量部、フェノール樹脂200重量部及び製紙スラッジ
の焼成物(丸東窯材社 商品名「サイクロン灰」)30
0重量部を混練し混練物を得た。この混練物をコンベア
で搬送する際、13kgf/cm2の圧力で加圧し、厚
さ10mmのシート状成形とした。このシート状成形体
を110℃加熱して板状の板状体12とした。実施例1
と同様に測定した比重は、1.0であった。この板状体
12の両面にフェノール樹脂を塗布し、100℃で1時
間加熱硬化させた。 (比較例1)実施例1の製紙スラッジを1N塩酸水溶液
と混合し、炭酸カルシウムを分解除去した後、350k
gf/cm2の圧力を加え、厚さ10mmのシート状成
形体とした。このシート状成形体を100℃で加熱して
板状の板状体12とした。 (比較例2)焼成スカム60重量部、水36重量部、セ
メント100重量部及びビニロン繊維0.3重量部を強
制攪拌ミキサで3分間混合してスラリを調製し、このス
ラリを型に流し込み、150〜180kgf/cm2
加圧した後に脱型した。 (比較例3)ここでは、石灰系下水汚泥溶融スラグ(大
阪市下水道公社品で主要化学成分が下記のもの)をボー
ルミルにて粉砕し、粉末度が比表面積で0.35m2
g(プレーン値3500cm2/g)となるように粉砕
したものを用いた。前記スラグ5重量部に、普通ポルト
ランドセメント(秩父小野田社品)を95重量部混合
し、更にセメント中のS03量が2重量%となるように
天然石膏にて調整して混合セメント組成物を製造した。
このセメントと砂とを1:3の割合で混合し、3日間放
置した。 記 SiO2: 33.4 重量%, MgO: 2.4 重量% Al23: 14.2 重量%, P25: 7.0 重量% Fe23: 5.0 重量%, NaO: 0.7 重量% CaO: 33.9 重量%, K2O: 0.7 重量% 以上の実施例及び比較例で得られた板状体12について
曲げ強度、圧縮強度、加工性及び釘打ち性に関する試験
を行った。その結果を表1に示す。なお、曲げ強度試験
については、JIS A6901に準じて行い、又圧縮
強度試験についてはJIS A 5416に規定された
方法に準じて行った。又、加工性については、木工用丸
鋸にて切断加工を行うことにより判断した。更に、釘打
ち性については、直径4mm、長さ50mmの釘を打ち
つけた後、クラックの有無を調べた。なお、耐火性は、
JISA1321に規定されている表面加熱試験方法に
準じて測定した。
【0063】
【表1】 又、実施例1及び実施例3の板状体12について、X線
回折により結晶構造を確認した。そのX線回折のチャー
トを、図9及び図10に、それぞれ示す。なお、X線回
折では、Rigaku製MiniFlexを使用し、C
uをターゲットとした。2θ=20°〜30°の領域に
ゆるやかな起伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶
構造を示すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構造
が混在していることが判る。又、ピークからは、炭酸カ
ルシウムの結晶(Calsite)、Kaolinite 、SiO2の結
晶体が同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換算値
で板状体12に対して9.8重量%であった。
【0064】従って、本実施形態によれば以下のような
効果を得ることができる。 (1)木造戸建住宅の板状体12は、無機非晶質体2中
に繊維状物3が混在されたものである。そのため、板状
体12の耐火性を向上することができる。又、複合硬化
体1中に、無機粉末4を混在させている。そのため、板
状体12の耐火性をいっそう向上させることができる。
更に、軸組13に板状体12を取り付ける場合に、板状
体12の周縁に沿って釘を打ち付けてもクラックが発生
するのを抑制することができる。加えて、板状体12を
厚くすることなく、板状体12の比重を大きくすること
ができる。この結果、遮音性、圧縮強度、曲げ強度及び
耐衝撃性を向上することができる。
【0065】(2)板状体12を構成する複合硬化体1
は、産業廃棄物である製紙スラッジを硬化させたもので
あるため、材料コストを安くすることができる。 (3)板状体12を構成する複合硬化体1は、無機物を
含むパルプかすである。そのため、板状体12を鋸等に
より簡単に切断加工することができる。従って、施工現
場で板状体12の大きさを調整でき、軸組13の大きさ
に容易に合わせることができる。
【0066】(4)板状体12を製造工場から出荷して
現場に納入する迄の間に、周囲の温度や湿度が変化して
も、板状体12が反ったり、厚みや長さ等の寸法が変化
するのを防止することができる。すなわち、板状体12
の寸法安定性を向上することができる。
【0067】(5)無機粉末4の混入量を調整すること
により、建物の用途に応じて、板状体12の比重を自在
に変えることができる。 (第2実施形態)次に、第2実施形態について説明す
る。本実施形態における板状体12は、以下のように構
成されている。図11に示すように、複合硬化体1の両
面には補強層6が設けられている。つまり、複合硬化体
1が板状体12の芯材としての役割を果たしている。従
って、板状体12に引っ張り力が加わった場合でも、複
合硬化体1自体が曲げ強度に優れているため、しかも補
強層6が設けられていることも相まって、容易に破壊が
起きない構成となっている。又、板状体12の表面に局
所的に圧力が加わっても凹みや窪みが生じることもな
い。
【0068】又、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材6
bを埋設することにより構成されている。この樹脂6a
には、特に熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。すな
わち、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に
優れ高温下でも軟化しないため、補強層6としての機能
が失われないからである。熱硬化性樹脂としては、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド
樹脂、尿素樹脂等が適合する。そして、補強層6に充分
な剛性と耐衝撃性、更に高い耐火性を付与するには、補
強層6における熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜
65重量%の範囲にすることが望ましい。
【0069】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウール及びセ
ラミックファイバーを用いることが好ましい。これらの
繊維は、低価格でかつ耐熱性並びに強度に優れるからで
ある。この繊維基材6bとしては、非連続の繊維をマッ
ト状に成形したもの、又は連続した長繊維を3〜7cm
に切断してマット状にしたもの(いわゆるチョップドス
トランドマット)、水で分散させてシート状にすきあげ
たもの、連続した長繊維を渦巻き状に積層しマット状に
したもの、或いは連続した長繊維を織りあげたものが適
している。
【0070】更に、補強層6の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。厚さをこの範囲に設
定することにより、充分な剛性、耐衝撃性等が得られ、
かつ高い加工性を維持できるからである。なお、補強層
6には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の
ような難燃化剤や、シリカゾル、アルミナゾル、水ガラ
ス等のような一般に使用される無機質の結合剤を添加し
てもよい。前記補強層6は、弾性高分子を含むことが望
ましい。釘を打ちつけても釘を起点としてクラックが発
生せず、又、弾性高分子が釘表面との摩擦力を確保して
釘の保持力を向上させることができるからである。
【0071】このような樹脂としては、熱硬化性樹脂及
び弾性高分子からなる釘耐力付与のための樹脂組成物が
望ましい。即ち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高分
子のエマルジョンが分散したものである。このような樹
脂が硬化することにより、熱硬化性樹脂マトリックスの
“海”の中に弾性高分子の“島”が分散した構成になる
ため、樹脂の強度を確保し、又靭性を付与できるのであ
る。
【0072】前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、ア
クリル系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレ
タン系ラテックスであることが望ましい。これらは、未
硬化の熱硬化性樹脂液中に液状で分散させることができ
るからである。熱硬化性樹脂及び弾性高分子は、共に液
状であるため、多孔質基材や繊維質基材に含浸させやす
いという利点がある。
【0073】前記ゴム系ラテックスとしては、ニトリル
−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴ
ム(SBR)を用いることがよい。前記熱硬化性樹脂と
しては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂等を用いることがよい。前記熱硬化
性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比は、95/5〜6
5/35であることが望ましい。この理由は、熱硬化性
樹脂量が多すぎると靭性が低下して、クラックが発生し
やすくなり、釘の保持力が低下してしまうからである。
逆に弾性高分子が多すぎると樹脂強度が低下して、釘の
保持力が低下してしまうからである。このように、熱硬
化性樹脂と弾性高分子の固形分との重量比が95/5〜
65/35であるとき、釘の保持力が最適となる。
【0074】なお、本実施形態の板状体12において
は、芯材である複合硬化体1と化粧層との間に、樹脂及
び繊維基材からなる補強部が形成されてなることが望ま
しい。耐衝撃性を更に向上させることができるからであ
る。この補強部を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂が望ま
しい。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に
優れ、高温化でも軟化しないため、補強部としての機能
が失われないからである。更に、板状体12の耐水性、
強度を向上させるために、複合硬化体1の少なくとも片
面に耐水紙を貼付してもよい。
【0075】次に、本実施形態の板状体12の製造方法
について説明する。まず、製紙スラッジをコンベアで搬
送しながら、ロールで押さえてシート状成形体とする。
一方、繊維基材6bに樹脂を含浸させ、25〜70℃で
加熱処理して、乾燥させて補強シートとする。次いで、
シート状成形体と補強シートとを積層し、加熱しながら
圧締し、複合硬化体1と補強層6とからなる板状体12
に成形する。ここでの加熱温度は80〜200℃、圧力
は1〜400kgf/cm2程度が適当である。
【0076】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化させて成形したものを補強層6と
し、この補強層6を接着剤にて予め硬化しておいた複合
硬化体1に貼付する方法でもよい。
【0077】又、ガラス繊維、ロックウール、セラミッ
クファイバーの繊維表面にフェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊維か
らなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱プレ
スする方法も採用できる。この繊維表面に熱硬化性樹脂
を別工程でコーティングしておく方法では、含浸した樹
脂との密着性が向上し、又繊維同士を接着しやすく、更
に樹脂の含浸率を改善できるため有利である。このよう
なコーティングの方法としては、例えば前記繊維基材に
未硬化の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥する方法がある。こ
のほか、ガラス繊維、ロックウール、セラミックファイ
バーの原料溶融物をノズルから流出させて、ブローイン
グ法あるいは遠心法により繊維化し、この繊維化と同時
にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の溶液を吹きつける
方法等もある。
【0078】従って、この第2実施形態においても、前
述した第1実施形態とほぼ同様の効果を発揮させること
ができる。又、この第2実施形態の板状体12では、複
合硬化体1の両面に補強層6が設けられている。そのた
め、複合硬化体1の曲げ強度をいっそう向上することが
できる。従って、軸組13に板状体12を組み付けた際
に、その表面に風力が加わっても、十分な耐久性を発揮
することができる。
【0079】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 前記実施形態では、軸組13に板状体12を釘打ち
することにより固定した。この釘打ち以外の方法で板状
体12を軸組13に固定してもよい。
【0080】・ 前記実施形態では、間柱17を備えた
壁パネル11に具体化した。これ以外にも、間柱17を
省略し、断熱材20の中央部分を平坦な形状にしてもよ
い。又、軸組13に間柱17が設けられている場合に
は、図12に示す構成にしてもよい。すなわち、壁パネ
ル11を軸組13に取り付けた際に、軸組13に設けた
間柱17に係合する溝部50を断熱材20に形成しても
よい。
【0081】・ 図13に示すように、断熱材20の屋
内側面上部に、その幅方向に延びるV溝状の施工調整用
マーキング33を複数個形成してもよい。この構成にす
れば、断熱材20の上下方向の長さを調節するのに際し
て、切り取り位置を断熱材20にマーキングする必要が
ない。従って、対向する横架材15間の内法寸法に合わ
せて、断熱材20の上下方向の長さを簡単に調整するこ
とができる。この結果、施工を効率的に行うことがで
き、施工時間の短縮にも繋げることができる。
【0082】・ 図13に示すように、断熱材20にお
ける屋内側面の両端部に、上下方向に延びる第1切欠き
部27を凹設してもよい。断熱材20における屋内側面
の中央部にも、上下方向に延びる第2切欠き部28を凹
設してもよい。この両切欠き部27,28があることに
より、木造家屋の電気設備に接続する電気配線を通すた
めのスペースを確保することができる。
【0083】・ 前記実施形態では断熱材20の材質を
ポリスチレンにした。これ以外にも、例えばポリウレタ
ンフォームに変更してもよい。次に、特許請求の範囲に
記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によ
って把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0084】(1) 板状体と、その板状体の片面に設
けられた断熱材とを備え、木造家屋の軸組に取り付け可
能な壁パネルにおいて、前記板状体の形成材料を、無機
非晶質体中にCaCO3を含み、かつ繊維状物が混在し
てなるものとしたことを特徴とする壁パネル。
【0085】(2) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体中にAl、Si、Ca、Na、Mg、P、
S、K、Ti、Mn、Fe及びZnから選ばれる少なく
とも1種の元素を含むことを特徴とする壁パネル。
【0086】(3) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が、2種以上の酸化物の系からなり、該酸化
物がAl23、SiO2、CaO、Na2O、MgO、P2
5、SO3、K2O、TiO2、MnO、Fe23又はZn
Oから選ばれることを特徴とする壁パネル。
【0087】(4) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が、Al23−SiO2−CaO系の無機非
晶質体であることを特徴とする壁パネル。 (5) 請求項1又は2において、無機非晶質体が、A
23−SiO2−CaO−酸化物系の無機非晶質体で
あることを特徴とする壁パネル。
【0088】(6) 前記(4)において、酸化物がN
2O、MgO、P25、SO3、K 2O、TiO2、Mn
O、Fe23及びZnOから選ばれる少なくとも1種で
あることを特徴とする壁パネル。
【0089】(7) 前記(3)又は(4)において、
非晶質体は、それぞれAl23、SiO2及びCaOに
換算して、Al23:複合硬化体の全重量に対して5〜
51重量%、SiO2=複合硬化体の全重量に対して8
〜53重量%及びCaO:複合硬化体の全重量に対して
10〜63重量%でかつ3種の合計が100重量%を越
えない範囲で含有する組成であることを特徴とする壁パ
ネル。
【0090】(8) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si、Ca、N
a、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe及びZnから
選ばれる少なくとも1種以上の元素の存在が確認され、
X線回折分析において、2θ:20°〜40°の範囲で
ハローが見られるものであることを特徴とする壁パネ
ル。
【0091】(9) 請求項1又は(1)において、無
機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si及びCaの
存在が確認され、X線回折分析のチャートにおいて、2
θ:20°〜40°の範囲でハローが見られるものであ
ることを特徴とする壁パネル。
【0092】(10) 請求項1又は(1)において、
無機非晶質体が蛍光X線分析によりAl、Si及びCa
の存在が確認され、また、これらに加えて前記蛍光X線
分析によりNa、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe
及びZnから選ばれる少なくとも1種以上の元素の存在
が確認され、更にX線回折分析のチャートにおいて、2
θ:20°〜40°の範囲でハローが見られるものであ
ることを特徴とする壁パネル。
【0093】(11) 請求項1、(1)〜(9)のい
ずれかにおいて、繊維状物が多糖類からなる有機質繊維
状物であることを特徴とする壁パネル。 (12) 請求項1、(1)〜(10)のいずれかにお
いて、更にハロゲンを含有することを特徴とする壁パネ
ル。
【0094】(13) 請求項1、(1)〜(11)の
いずれかにおいて、複合硬化体が産業廃棄物である製紙
スラッジを硬化させたものであることを特徴とする壁パ
ネル。
【0095】(14) 請求項1、(1)〜(13)の
いずれかにおいて、更に無機粉末を含むことを特徴とす
る壁パネル。 (15) 請求項1、(1)〜(16)のいずれかにお
いて、更に結合剤を含むことを特徴とする壁パネル。
【0096】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1、2に記
載の発明によれば、板状体の耐火性を向上することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態において軸組に壁パネルを組み付
けた正面図。
【図2】図1における2−2断面図。
【図3】軸組と壁パネルとを分解して示す斜視図。
【図4】壁パネルの背面図。
【図5】壁パネルを軸組に組み付ける前の断面図。
【図6】壁パネルを軸組に組み付けた後の断面図。
【図7】板状体の断面模式図。
【図8】無機粉末を混入した板状体の断面模式図。
【図9】板状体のX線回折のチャート。
【図10】板状体のX線回折のチャート。
【図11】第2実施形態における板状体の断面模式図。
【図12】別の実施形態における壁パネルの断面図。
【図13】同じく壁パネルの正面図。
【符号の説明】
1…複合硬化体、2…無機非晶質体、3…繊維状物、1
1…壁パネル、13…軸組、12…板状体、20…断熱
材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DD01 EA08 FA03 HB00 HC07 JA21 JD02 2E162 CB00 FA14 4F055 AA15 BA01 CA11 CA17 CA18 FA39 GA20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状体と、その板状体の片面に設けられ
    た断熱材とを備え、木造家屋の軸組に取り付け可能な壁
    パネルにおいて、 前記板状体の形成材料を、無機非晶質体中に繊維状物を
    混在させたものにしたことを特徴とする壁パネル。
  2. 【請求項2】 板状体と、その板状体の片面に設けられ
    た断熱材とを備え、木造家屋の軸組に取り付け可能な壁
    パネルにおいて、 前記板状体の形成材料を、産業廃棄物である製紙スラッ
    ジを硬化させたものにしたことを特徴とする壁パネル。
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