JP2002069771A - 低捲縮仮撚糸の製造方法 - Google Patents

低捲縮仮撚糸の製造方法

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JP2002069771A
JP2002069771A JP2000268120A JP2000268120A JP2002069771A JP 2002069771 A JP2002069771 A JP 2002069771A JP 2000268120 A JP2000268120 A JP 2000268120A JP 2000268120 A JP2000268120 A JP 2000268120A JP 2002069771 A JP2002069771 A JP 2002069771A
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yarns
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twisting
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Hideaki Kunisada
秀明 國貞
Kakuji Murakami
確司 村上
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】織編物としたときフカツキやスポンディッシュ
な風合いではなく、適度な嵩高性とストレッチ性、ソフ
トな風合いとドレープ性を表現することが可能な低捲縮
仮撚糸を高速で加工することができる製造方法を提供す
ること。 【解決手段】2糸条を分離した状態でヒーターに供給
し、それぞれ低仮撚数で加熱した後、仮撚の施撚作用に
より2糸条を合流させる延伸仮撚を800m/min以
上の加工速度で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装置としてもスペ
ースを有効に活用でき、高速化が可能で、しかも織編物
としたとき、フカツクことなく適度な嵩高性を与え、ソ
フトな風合いとドレープ性に優れた低捲縮仮撚糸の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糸条走行方向に1stフィードローラ
ー、ヒーター、冷却装置、ツイスター、2ndフィード
ローラーから構成された延伸仮撚装置を用い、未延伸糸
を2つのローラー間で延伸しながらツイスターの施撚作
用により仮撚を付与した状態でヒーターで熱セット、冷
却装置にて撚形態の熱固定を行った後、ツイスター下流
で解撚させることによって、糸条に3次元捲縮を付与す
る延伸仮撚加工は、嵩高性やストレッチ性を付与する最
も汎用的な糸加工方法である。しかしながら、ヒーター
中の撚係数(=仮撚数(T/m)×{繊度(dte
x)}1/2)が27000程度と二重撚寸前の強撚状態
となっている。したがって、捲縮形態は細かく強固な三
次元コイル形態を有している。そのため、織編物とした
とき、「フカツキ」や「スポンディッシュ」な風合いが
生じ、敬遠され始めている。
【0003】しかし、低捲縮化を狙って例えばベルトニ
ップツイスターのベルト交叉角を変えて仮撚数を低下さ
せると走行が不安定となり、高速化できないという問題
点があった。
【0004】そこで、特開昭59−130336号公報
にガラス転移点以下の温度で加熱しながら延伸仮撚し、
低捲縮な仮撚糸を製造することが提案されている。しか
しながら、熱セットされていないため、収縮率が高くな
り、染色工程時に大きく収縮するため、扱いにくいとい
う問題点を有していた。
【0005】一方、延伸仮撚加工の高速化が進められ、
未延伸糸として高配向未延伸糸を用いたり、特開平4−
333629号公報に提案されているようにヒーターと
して二分割された非接触ヒーターを用いることによっ
て、例えば84dtexのポリエチレンテレフタレート
では現状1000〜1200m/min程度の速度で延
伸仮撚できるようになっている。しかし、それ以上の高
速化を行った場合、加撚域がバルーニングして、走行が
不安定となり、毛羽の発生や糸切れを多発してしまうた
めに実現できていない。また、高速化と共に仮撚機のコ
ンパクト化が求められている。しかし、錘間の間隔はツ
イスターの幅によって規定されており、さらなる省スペ
ース化のためにはツイスター数の削減が必要であった。
【0006】これらの問題点に対して特開平10−27
3841号公報には複数本の未延伸糸にそれぞれ交絡を
付与した後、引き揃えて延伸仮撚し、その後各々分割す
ることが提案されており、低捲縮仮撚糸を製造すること
が可能である。しかしながら、ヒーター中の撚係数は従
来仮撚糸と変わらないため高速化に限界があること、さ
らに複数の糸条を引き揃えた状態で加熱しているため、
加熱効率が低下しやすく、高速化しにくいという問題点
があった。
【0007】また、本発明の製造方法に近似した提案が
特開平10−317236号公報に提案されており、複
数のマルチフィラメントにしそれぞれ空気交絡処理を施
し、それらを引き揃えて仮撚加撚域で合流させ、加撚−
熱固定−解撚の延伸仮ヨリ加工を施すものであり、「サ
ラサラ」したドライタッチの風合いと凹凸表面効果に優
れた波状形状ケン縮糸を製造するものである。ヒーター
下流で2糸条を仮ヨリの施撚作用により合流させている
点で一見似ているように思えるが、製造される仮撚糸の
形態がマルチフィラメントとしてジグザク形状を取って
いる波状ケン縮を有しており、本発明の低ケン縮仮撚糸
とは全く異なっている。これは、ヒーター中での仮撚数
について記載されていないが、ヒーター内にほとんど仮
撚が遡上していないためであると推定される。またこれ
によってヒーターとの摩擦抵抗が大きいために300m
/min程度の加工速度しか達成できていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、織編
物としたときにやわらかな風合いと適度な嵩高性、ドレ
ープ性を表現できる低捲縮仮撚糸を低コストに製造する
ことができる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、 (1)2糸条を分離した状態でヒーターに供給し、ヒー
ター内での仮撚数Tが、3000/D1/2≦T≦150
00/D1/2の範囲となる条件でそれぞれ加熱した後、
仮撚の施撚作用により2糸条を合流させる延伸仮撚を8
00m/min以上の速度で行うことを特徴とする低捲
縮仮撚糸の製造方法。(ただしD:繊度(dtex)) (2)糸条を加熱し、2糸条を合流した後、冷却するこ
とを特徴とする前記(1)に記載の低捲縮仮撚糸の製造
方法。
【0010】(3)加熱、冷却した後、2糸条を合流す
ることを特徴とする前記(1)に記載の低捲縮仮撚糸の
製造方法。
【0011】(4)延伸仮撚後、フィード率−5〜5%
に設定したローラー間で2糸条に分離し、巻き取ること
を特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の低
捲縮仮撚糸の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の低捲縮仮撚糸の製
造方法について詳細に説明する。
【0013】本発明の低捲縮仮撚糸の製造方法として
は、2糸条を分離した状態でヒーターに供給し、ヒータ
ー内での仮撚数Tが、3000/D1/2≦T≦1500
0/D1 /2の範囲となる条件でそれぞれ加熱した後、仮
撚の施撚作用により2糸条を合流させる延伸仮撚を80
0m/min以上の速度で行うものである。まず、本発
明で重要なことは、低仮撚状態である特定の仮撚数範囲
で加熱することである。従来の延伸仮撚の更なる高速化
を阻害している原因を鋭意検討した結果、強撚状態で加
熱しているためであることを見出した。また、低仮撚化
による仮撚捲縮の低捲縮化によって、「フカツキ」や
「スポンディッシュ」といった好まれない風合いがなく
なり、適度な嵩高性とドレープ性を有する優れた織編物
となることが判明した。そこで、加熱時に安定に低仮撚
数とする延伸仮撚方法について検討した結果、2糸条を
分離した状態でヒーターに供給し、それぞれ低仮撚数で
加熱した後、仮撚の施撚作用により2糸条を合流させる
ことにより問題を解決できることを見出したものであ
る。これにより、2糸条を同時に延伸仮撚しながら80
0m/min以上の速度で延伸仮撚することができる。
しかも、2糸条を同時に延伸仮撚できるために実質的な
加工速度は1600m/minに値するものである。こ
こで、加熱時に低仮撚状態にするとはヒーターにおいて
仮撚数Tが3000/D1/2≦T≦15000/D1/2
範囲であることが好ましい。3000/D1/2未満の仮
撚数の時にはヒーターとの摩擦により毛羽が発生しやす
く、糸切れも多発するため好ましくなく、15000/
1/2を越える仮撚数の場合、低仮撚化の効果が小さく
なり、高速化が難しくなると共にケン縮が強くなってフ
カツク風合いとなってしまう。ただしDは仮撚糸の繊度
(dtex)を示しており、解撚後の仮撚糸を2糸条に
分離した際の仮撚糸の繊度である。なお、合流後からツ
イスターまでの仮撚数は通常の延伸仮撚と同様に施撚さ
れており、25000/D 1/2〜31000/D1/2とな
っている。
【0014】また、2糸条を分離した状態で加熱するた
め、ヒーターを必要以上に長大化する必要がなく、さら
に2糸条を延伸仮撚するにも関わらず、ツイスターが1
つしか必要でないため、従来延伸仮撚装置の半分の幅に
しか必要なくなり、単位面積当たりの生産性を格段に高
めることができる。さらにまた、2糸条を一度に糸掛け
できる効果は大きく、糸掛けに要する時間を大幅に短縮
化することができる。
【0015】ヒーターに供給する糸条本数としては2本
だけでなく、3本以上にすることは原理的には可能であ
るが、対等に合流させることが難しく、糸条間の張力バ
ランスが崩れてしまうので、好ましくない。
【0016】本発明の仮撚加工速度は800m/min
以上であることが好ましいが、ヒーターや冷却装置での
走行抵抗や撚登りの阻害を抑制することによってより好
ましくは1000m/min、特に好ましくは1200
m/minの加工速度で延伸仮撚加工できるものであ
る。
【0017】それぞれ低仮撚数で加熱した糸条を仮撚の
施撚作用によって合流させる位置としては、ヒーター出
口からツイスター入口までの間で行われれば問題ない。
中でもヒーターと冷却装置の間で2糸条を合流させるこ
とによって、糸条を冷却前に合流させ、強撚の仮撚状態
で冷却することにより比較的嵩高な捲縮を付与すること
ができ好ましい。ただし、従来の仮撚糸ほど細かい捲縮
とならない。一方、糸条を別々に冷却した後、冷却装置
とツイスターの間で2糸条を合流させることにより、冷
却効率が向上するため、高速化、太繊度化に有利とな
る。したがって、合流位置は狙いとする繊度、加工速
度、捲縮形態に応じて選択可能であり、さらに冷却装置
を2分割し、その間で合流させることもできる。
【0018】また、2糸条間の張力バランスが崩れると
張力の高い糸条に優先的に撚が遡上してしまう。したが
って、2糸条間の張力は実質的に等しいことが好まし
く、そのために延伸仮撚に供給する未延伸糸としては繊
度が等しいことが好ましい。また、毛羽を抑制するため
にはヒーター中での加撚張力の低下は、少ない方が望ま
しい。したがって、ツイスター入口での加撚張力とヒー
ター入口張力の糸条張力比TR は0.90≦TR ≦1.
25であることが好ましい。
【0019】2糸条を用いて延伸仮撚しているために2
糸条を分離せずに巻き取ることは可能である。しかし、
生産性向上および細繊度の仮撚糸を製造するため、延伸
仮撚後2糸条に分離することは好ましく行われる。ま
た、前述のように低捲縮であることから2糸条に分離す
ることは容易である。分離の方法としては実質的に同速
で回転しているローラー間で分離すればよく、ローラー
間のフィード率としては−5〜5%とすることが好まし
く、−5〜3%がさらに好ましく、−3〜1%が特に好
ましい。ただし、フィード率(%)とは{(V下−V
上)/V上}×100 (V上:上流側ローラー速度、
V下:下流側ローラー速度)を示す。さらにまた、分離
を安定に行うために糸道規制ガイドを下流ローラー前に
設置したり、分離開始点を安定させるためのガイドを設
置することは好ましく行われる。
【0020】また、設定延伸倍率DR(倍)を適切に設
定することが重要であり、低すぎると加撚張力が低下し
すぎてバルーニングが生じ始め、加工が不安定となる場
合がある。高すぎると毛羽、糸切れが多発する傾向があ
る。したがって、例えばポリエステル高配向未延伸糸の
場合、自然延伸比NDR(%)に対して延伸同時仮撚の
延伸倍率DR(倍)を0.85×NDR≦DR≦1.1
2×NDRに設定することが好ましい。また、上記範囲
内に延伸倍率を設定することによって、残留伸度をおお
むね15〜45%にすることが可能となり製編織時の取
り扱い性からも好ましい。
【0021】本発明による低捲縮仮撚糸を製造するのに
使用する供給原糸としては、熱可塑性の未延伸糸を用い
るものであり、延伸可能な熱可塑性マルチフィラメント
であれば限定されない。好ましいポリマーとしては、例
えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニ
ルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化
ビニリデン系繊維、ポリプロピレン系繊維、セルロース
系繊維等を単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用
いることができる。その中でもポリエステル繊維やナイ
ロン6やナイロン66等のポリアミド繊維が好ましく、
特にポリエステルが好ましい。さらにポリエステルの中
でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸
がより好ましく、そのなかでもポリエチレンテレフタレ
ートがもっとも好ましい。ここでいうポリエチレンテレ
フタレートとしては、80%以上のエチレンテレフタレ
ート単位を含有するエチレンテレフタレート系重合体が
好ましい。このエチレンテレフタレートには、共重合成
分として、例えばアジピン酸、セバシン酸、イソフタル
酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸
等の二塩基酸類、オキシ安息香酸等のオキシ酸類および
ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール等のグリコール類および5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸等の1種または2種以上を共重合
することができる。さらに酸化チタン等の艶消し剤、カ
オリナイト等の微細孔形成剤および帯電防止剤等が少量
添加されていても良い。さらに未延伸糸の中でも高配向
未延伸糸(POY)が好ましく用いられる。例えば複屈
折が0.02未満のポリエチレンテレフタレートを用い
た場合、構造形成が進んでいないために糸切れが多発し
て生産上好ましくなく、一方、複屈折0.12を越えた
ものは加工可能であるが、残留伸度が小さく、捲縮を付
与しにくい。同様の理由からポリエチレンテレフタレー
トを用いる場合、複屈折は0.025〜0.08である
ことがより好ましく、ナイロン6を用いる場合、複屈折
は0.035〜0.04であることが好ましく、ナイロ
ン66の場合、複屈折は0.042〜0.047である
ことが好ましい。
【0022】また、染色性の異なる供給原糸を用いて、
2糸条を分離せずに巻き取ることにより織編物としたと
きに杢調を表現することも可能である。
【0023】ヒーター中の仮撚数が低く、従来延伸糸に
比べて断面変形が小さいため、使用する供給原糸の断面
形状として丸断面だけではなく、異形断面は好ましく用
いられる。異形断面として多角形、多葉形、扁平、中空
等どのような形状でも問題なく利用できる。また2つ以
上の断面形状の組み合わせも好ましく用いられる。ま
た、同様に、繊度に制限はないが、延伸後のフィラメン
ト繊度が、0.2〜11dtexから程度またはその組
み合わせ、トータル繊度としては、11〜550dte
x程度が好ましく用いられる。
【0024】次に本発明の低捲縮仮撚糸の製造方法につ
いて図を用いて説明する。
【0025】図1に本発明に係る低捲縮仮撚糸の加工装
置の一例を示した。図1は加工装置の概略図である。2
つの供給未延伸糸パッケージ1から未延伸糸を1stフ
ィードローラー(1stFR)2に供給し、2ndフィ
ードローラー(2ndFR)との間でツイスター6を用
いて延伸同時仮撚するものである。1stFR2と2n
dFR7の間には糸道順にヒーター3、合流ガイド4、
冷却板5、ツイスター6が配置されている。2つの供給
未延伸糸パッケージ1から引き出された2本の糸条は分
離された状態で1stFR2に供給され、同方向の低仮
撚数撚が入った状態でヒーター3によって加熱された
後、仮撚の施撚作用によって合流ガイド4下流において
合流している。ここで1stFR2は1つのローラーに
2糸条を通しても問題ない。
【0026】ヒーター3としては加熱方法に限定はな
く、熱板に接触させる方法や高温雰囲気下を走行させる
いわゆる高温ショートヒーターを用いることができる。
しかし、低仮撚状態で加熱するため、ヒーターとの接触
抵抗が小さい方が好ましく、そのためヒーター表面が鏡
面状態よりも梨地状になっている方が好ましく、ガイド
により糸道が規定されて高温雰囲気下を走行させる高温
ショートヒーターは好ましく用いられる。また設定温度
やヒーター長さは、加工速度、加熱方法、繊維のポリマ
ー、繊度等により適宜設定すれば良い。
【0027】合流ガイド4は図1に示すようにヒーター
3と冷却板5の間に設置してもよいし、図2に示すよう
に冷却板5とツイスター6の間に設置してもよい。
【0028】ツイスター6としては限定されるものでは
なく、内接型、外接型は特に問わないが施撚作用と共に
糸の送り作用をも十分に有しているものであることが好
ましく、3軸ツイスターやベルトニップツイスターは好
ましく用いられる。
【0029】分離せずにワインダー11に巻き取ること
も可能であるし、2ndFR7と3rdFR10との間
で分離して別々に巻き取ることも可能である。その際、
安定して分離するために糸条分離ガイド8や糸道規制ガ
イド9は好ましく設置される。また、2ndFR7以降
に交絡ノズルを設置して交絡を付与することは製織時の
工程通過性向上のために好ましく行われ、2糸条に分離
する際には、分離後に交絡することが好ましい。また、
1stFR2の前に未延伸糸に交絡を付与することも可
能であり、糸条分離を容易にするために必要に応じて用
いればよい。
【0030】次に本発明の低捲縮仮撚糸の製造方法によ
り製造される低捲縮仮撚糸について説明する。ヒーター
中での仮撚数が従来仮撚糸に比べて低いために、従来の
仮撚糸に見られた3次元コイル状捲縮ではなく、ここの
フィラメントは緩やかな波状ケン縮であり、しかしなが
らマルチフィラメントとしてはケン縮の位相がずれてい
るために嵩高である低捲縮仮撚糸となる。そのため、織
編物としたとき適度な嵩高性を有しながら、フカツキや
スポンディッシュな風合いではなく、ソフトでドレープ
性に優れたものとなる。しかもヒーター中での仮撚数が
従来仮撚糸に比べて低いことから、断面変形が抑制され
る。すなわち、従来仮撚糸は丸断面の供給原糸を用いた
場合、四〜六角形に角張り、一部は扁平化するために仮
撚糸特有の光沢であるグリッターを発生しやすく、高級
感を損なう原因の一つであった。それに対して本発明に
よって製造される低捲縮仮撚糸は断面変形が小さく、表
面光沢としても好ましいものとなる。また、ヒーター温
度の設定により、収縮率をコントロールすることが可能
であり、低収縮化を容易に行うことができる。
【0031】本発明によって製造される低捲縮仮撚糸の
用途は、編織物として衣料用だけでなく各種産業用途に
も活用可能であり、限定されるものではない。そのなか
でも好ましい用途としてはドレープ性を生かしたブラウ
ス、スカート、ボトムや適度な嵩高性を生かしてのジャ
ケット類、ニット類、さらにストレッチ性を生かしての
裏地などが挙げられる。
【0032】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0033】なお、実施例および比較例における各測定
値は、次の方法で得たものである。
【0034】A.固有粘度(IV値) 常法によりオルソクロロフォノール中25℃で測定し
た。
【0035】B.複屈折 複屈折はOLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡を用い
レターデーションΓと光路長dより複屈折=Γ/dを求
めた。なお、dは繊維中心でのΓと繊維径より求めた。
【0036】C.糸条張力 インテック社製 デジタルテンションメーターIT−2
00を用いて測定した。
【0037】D.ヒーター中の撚係数 仮撚加工中にヒーター部の入口部および出口部の糸条を
同時に把持して、ヒーター中の糸条を採取し、電動検撚
器を用いて0.088cN/dtexの荷重下で仮撚数
T(T/m)を測定した。仮撚糸の繊度をDとすると
き、撚係数はT×D1/2 により求められる。また、仮撚
糸の繊度Dとして2糸条に分離したときの仮撚糸の繊度
(dtex)を用いている。
【0038】E.強伸度 装置としてINSTRON4301型試験機を用い、未
延伸糸については試長50mm、引張速度400mm/
minにて測定を行った。また、仮撚糸については試料
を0.088cN/dtexの初荷重下で間隔が200
mmであるつかみに取り付け、引張速度200mm/m
inにて試料の伸度(%)に対する応力(cN/dte
x)を測定した。
【0039】F.加撚張力ととヒーター入口張力の糸条
張力比TR 加撚張力T1 、ヒーター入口の糸条張力TE とすると
き、糸条張力比TR は(T 1 /2)/TE により求めら
れる 。
【0040】G.沸水収縮率 JIS規格L1090−1992 5.10熱水収縮率
A法(かせ収縮率)に従い測定した。
【0041】H.伸縮復元率CR(%) 仮撚加工糸をパッケージのまま1週間放置したサンプル
について、JIS規格L1090−1992 5.8伸
縮復元率に従い小カセを作り、24時間放縮後、粗布で
包んだまま98℃の熱水中で30分間浸せきした後試料
を取り出し、濾紙上で24時間自然乾燥させた試料を
5.8伸縮復元率に従い測定する。
【0042】[実施例1]IV値が0.65であり、艶
消剤として二酸化チタンを0.4wt%含有するポリエ
チレンテレフタレートを常法により丸断面用口金を有す
る紡糸口金から紡出し、151dtex、36フィラメ
ントである高配向未延伸糸(以下、POYとする)とし
て巻き取り(伸度171%、自然延伸比1.64、複屈
折0.035)、これを供給未延伸糸パッケージ1とし
て2個用い、図1に示す装置にて、表1の条件で延伸仮
撚加工を行った。ヒーター3としては2.5mの熱板
を、冷却板5としては長さ1mで、冷却効率を上げるた
めにジャケットに冷却水を循環させている。ツイスター
としては3軸ツイスターを用いた。2ndFR7と3r
dFR10との間で2糸条に分離し(フィード率−1
%)、ワインダー11に巻き取った。
【0043】[実施例2]実施例1と同じPOYを用
い、表1の条件で延伸仮撚加工を行った。装置として
は、図1の構成をとりながらヒーター3として上流側2
60mm、下流側690mmの2つのユニットにより構
成されている高温ショートヒーターを、冷却板5として
特開平11−107084号公報に提案されている60
cmの冷却装置を設置し、平均吸引速度27m/秒で吸
引して冷却した。ツイスターとしては3軸ツイスターを
用いた。実施例1と同様2ndFR7と3rdFR10
との間で2糸条に分離し(フィード率−1%)、ワイン
ダー11に巻き取った。
【0044】[比較例1]従来の延伸仮撚糸として比較
に用いるために、実施例1と同じPOYを用い、実施例
1と同じ加工速度において、図3に示す装置を用いて表
1の条件で延伸仮撚加工を行った。ただしヒーター3、
冷却板5、ツイスター6は実施例1と同じ装置を用い
た。
【0045】[比較例2]従来の延伸仮撚糸として比較
に用いるために、実施例2と同じPOYを用い、実施例
2と同じ加工速度において、図3に示す装置を用いて表
1の条件で延伸仮撚加工を行った。ただしヒーター3、
冷却板5、ツイスター6は実施例2と同じ装置を用い
た。
【0046】[実施例3]IV値が0.65であり、艶
消剤として二酸化チタンを0.4wt%含有するポリエ
チレンテレフタレートを常法により丸断面用口金を有す
る紡糸口金から紡出し、300dtex、48フィラメ
ントであるPOY(伸度172%、自然延伸比1.5
6、複屈折0.035)として巻き取りこれを供給未延
伸糸パッケージ1として2個用い、図2に示す装置に
て、表1の条件で延伸仮撚加工を行った。ヒーター3、
冷却板5、ツイスター6は実施例2と同じ装置を用い
た。
【0047】[実施例4]IV値が0.65であり、艶
消剤として二酸化チタンを0.4wt%含有するポリエ
チレンテレフタレートを常法により丸断面用口金を有す
る紡糸口金から紡出し、141dtex、72フィラメ
ントであるPOY(伸度156%、自然延伸比1.4
6、複屈折0.036)として巻き取りこれを供給未延
伸糸パッケージ1として2個用い、実施例1と同じ装置
において、表1の条件で延伸仮撚加工を行った。
【0048】[実施例5]艶消剤として二酸化チタンを
0.3wt%含有する硫酸中の相対粘度ηrが2.70
のナイロン6ポリマーを常法により丸断面用口金を有す
る紡糸口金から紡出し、4000m/minにて巻き取
り、95dtex、24フィラメントであるPOYとし
て巻き取り(伸度75%、比重1.129)、これを供
給未延伸糸パッケージ1として2個用い、実施例1と同
じ装置において、表1の条件で延伸仮撚加工を行った。
【0049】[比較例3]従来の延伸仮撚糸として比較
に用いるために、実施例5と同じPOYを用い、実施例
5と同じ加工速度において、図3に示す装置を用いて、
表1の条件で延伸仮撚加工を行った。
【0050】ツイスター上流で測定した加撚糸条張力T
1 および1stFR2とヒーター3の間で測定したヒー
ター入口の糸条張力TE および加撚張力とヒーター入口
張力の糸条張力比TR、ヒーター3中の撚係数を表1に
示した。ただし、高温ショートヒーターを用いた実施例
2、3、比較例2ではヒーター中の撚数を測定できなか
った。さらに得られた延伸仮撚糸の繊度、強度、伸度、
伸縮復元率(CR)、沸水収縮率を表2に示した。
【0051】実施例1〜5および比較例1〜3のすべて
の加工は安定に行うことが可能であった。得られた仮撚
糸を側面から観察したところ、実施例の仮撚糸は緩やか
な各フィラメントの捲縮位相が互いにずれて嵩高となっ
ているが、各フィラメントの捲縮は波形状捲縮を有して
いるのに対して比較例では細かい3次元コイル状捲縮と
なっていた。
【0052】27G(実施例1、2、4、5および比較
例1〜3)および20G(実施例3)の丸編機を用いて
筒編みを作成し、通常条件にて染色加工を行なった。実
施例はいずれも嵩高であるにもかかわらずフカツクこと
なく、ソフトでドレープ性に富んだ風合いを有してい
た。特に実施例4ではソフトでドレープ性に優れてい
た。一方、比較例1、2はそれぞれ実施例1、2に比べ
て、嵩高であるけれどもフカツキが感じられ、スポンデ
ィッシュな風合いであった。実施例5と比べて比較例3
においても同様の風合いが感じられた。
【0053】織物で風合いを比較するために経糸として
84dtex、36fのポリエステル延伸糸を(経糸密
度123本/2.54cm)用意し、緯糸として実施例
1、2、4の仮撚糸を緯糸密度86本/2.54cm、
比較例1〜3の仮撚糸を緯糸密度92本/2.54cm
にて打ち込み(経・緯糸とも追撚なし、織組織:2/1
綾)を行い、通常の染色加工により仕上げた。実施例の
織物は適度な嵩高性を有し、やわらかい風合いでありド
レープ性を有していた。それに対して、比較例の織物は
嵩高性には富んでいるもののボテついた風合いで表面も
仮撚糸特有のジャリついた風合いを有していた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】織編物としたときに適度な嵩高性、ソフ
トな手触り、優れたドレープ性を表現可能な低捲縮仮撚
糸を800m/min以上の高速で仮撚加工することが
できる。しかも、2糸条を合わせて加工できるために糸
掛け時間が短縮でき、しかも装置のスペースをコンパク
トにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる仮撚加工装置の一例を示す概略
図である。
【図2】本発明に係わる仮撚加工装置の他の一例を示す
概略図である。
【図3】従来技術に係る仮撚加工装置を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1:供給未延伸糸パッケージ 2:1stFR 3:ヒーター 4:合流ガイド 5:冷却板 6:ツイスター 7:2ndFR 8:糸条分離ガイド 9:糸道規制ガイド 10:3rdFR 11:ワインダー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2糸条を分離した状態でヒーターに供給
    し、ヒーター内での仮撚数Tが、3000/D1/2
    T≦15000/D1/2の範囲となる条件でそれぞれ加
    熱した後、仮撚の施撚作用により2糸条を合流させる延
    伸仮撚を800m/min以上の速度で行うことを特徴
    とする低捲縮仮撚糸の製造方法。(ただしD:繊度(d
    tex))
  2. 【請求項2】糸条を加熱し、2糸条を合流した後、冷却
    することを特徴とする請求項1記載の低捲縮仮撚糸の製
    造方法。
  3. 【請求項3】加熱、冷却した後、2糸条を合流すること
    を特徴とする請求項1記載の低捲縮仮撚糸の製造方法。
  4. 【請求項4】延伸仮撚後、フィード率−5〜5%に設定
    したローラー間で2糸条に分離し、巻き取ることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の低捲縮仮撚糸の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010024598A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd ポリエステル捲縮糸及びその製造方法と、同捲縮糸との複合糸を使った織編物
CN115161830A (zh) * 2022-08-01 2022-10-11 浙江长兴鹏飞纺织有限公司 一种仿棉低弹丝加捻工艺

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JP2010024598A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd ポリエステル捲縮糸及びその製造方法と、同捲縮糸との複合糸を使った織編物
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CN115161830B (zh) * 2022-08-01 2023-08-01 浙江长兴鹏飞纺织有限公司 一种仿棉低弹丝加捻工艺

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