JP2002069192A - 架橋型軟質乳酸系ポリマーの製造方法及びその組成物 - Google Patents

架橋型軟質乳酸系ポリマーの製造方法及びその組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、所望の柔軟性、透明性、経時安定性
を持つ架橋型軟質乳酸系ポリマーを提供することを目的
とする。 【解決手段】本発明は、主として乳酸成分を含む脂肪族
ポリエステル(A)、末端反応性アルキレンオキシド
(B)とラジカル反応開始剤(C)を窒素雰囲気下にて
溶融混合する事により生分解性、透明性、柔軟性及び経
時安定性に優れ、かつ外観美麗な架橋型軟質乳酸系ポリ
マーの組成物を得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として乳酸成分
を含む脂肪族ポリエステルと反応性アルキレンオキシド
とをラジカル反応により架橋化する事で、十分な透明
性、柔軟性、経時安定性に優れた架橋型軟質乳酸系ポリ
マーの製造する方法、及びその製造方法より得られた組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明性と柔軟性に優れた熱可塑樹脂とし
ては、軟質塩ビや特殊ポリオレフィン等の樹脂が普及し
ている。しかし、これらの汎用樹脂は自然環境中で分解
せず、焼却処理においてもその燃焼熱が大きいこと、あ
るいは燃焼時にダイオキシン等の有害物質を排出しやす
いことなど、使用後の処理問題が大きな社会問題となっ
ている。これに対し、近年、自然環境保護の見地から、
自然環境中で分解する生分解性ポリマーおよびその成型
品が求められ、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹
脂の研究が活発に行われている。その1例として、ポリ
乳酸がある。ポリ乳酸は、融点が150〜180℃と比
較的高く、しかも透明性に優れる為、成型用材料として
期待されている。しかし、ポリ乳酸は、その剛直な分子
構造の為に、強度は高い一方、耐衝撃性に劣り脆いとい
う欠点がある。
【0003】ポリ乳酸の透明性を維持したまま柔軟性を
付与する方法としては、共重合反応による内部可塑化が
挙げられる。例えば、特開平7−173266号公報に
は、乳酸ポリマー鎖の剛直性を緩和し、ゴム弾性を導入
することを目的として、乳酸成分と他のヒドロキシカル
ボン酸/多価アルコール成分から成る脂肪族ポリエステ
ルとの共重合体に関する技術が開示されている。しか
し、この共重合方法では各構造セグメントがランダム
状、あるいはブロック状に重合する為、構造制御が困難
であり、用途に応じた詳細な柔軟性の変更を行なうこと
は難しい。軟質塩ビでの普及で示されたように、ポリ乳
酸に可塑剤を添加する外部可塑化を行なうことも汎用の
軟質材料として重要な改善である。ポリ乳酸に外部可塑
剤を配合する例としては、USP5,076,983に
は可塑剤としてポリ乳酸モノマーのラクチドを0.1〜
8重量%配合することが開示されている。この方法で
は、配合したラクチドの熱安定性が低く、ポリマーを溶
融成形加工する時にラクチドが昇華して成形機を汚染し
たり、成形品の表面に付着して外観を損ねてしまう。さ
らに、ラクチドが吸水して加水分解しやすいため、使用
中に劣化してしまい、製品価値を失ってしまう。
【0004】特表平9−501456号公報には乳酸系
ポリマーにアルキルもしくは脂肪族エステル、エーテ
ル、および多官能エステルおよび/またはエーテル等の
可塑剤を配合することが開示されている。しかし、この
特表平9−501456号公報における可塑剤の配合目
的はポリ乳酸の加工温度を下げて加工特性を向上させる
ことにあり、実施例によれば可塑剤を最も多く配合した
ものでもアセチルトリ−n−ブチルを乳酸系ポリマーに
対して20重量%しか配合していない。これではガラス
転移点が室温付近にあって汎用樹脂として耐寒性に劣
る。例えば、機械特性はASTM D882に準じて引
張試験を行なっている。この試験の温度範囲では柔軟性
を示すが、冬季の0℃付近の温度ではガラス転移点以下
となって、柔軟性が失われるばかりか、むしろ可塑剤の
配合に伴う脆さが発現してしまう。この場合、汎用樹脂
としては耐寒性が不十分で、かなり限定された用途にし
か利用できない。
【0005】特開平7−177826号公報には、ポリ
乳酸、あるいは乳酸コポリマー100重量部に対して、
可塑剤を1〜50重量部と紫外線吸収剤を配合したフィ
ルムに関する可塑化技術が開示されている。ところが、
この発明においてもポリ乳酸成分における、 可塑剤の
好ましい配合量は5〜20重量部と限定しており、実施
例においてもL−乳酸比率が100%のポリL−乳酸
と、 L−乳酸比率が75%のポリL−乳酸とポリ−D
L乳酸とをブレンドしたものに、可塑剤のトリアセチン
を10重量部配合したものしか示していない。つまり、
このことは本発明者らの比較例で示すように、例えばL
−乳酸含有率が100%の結晶性ポリ乳酸に対して可塑
剤を20重量部以上配合した場合にはブリードを生じて
成型品の経時安定性を欠き、L−乳酸50重量部とDL
−乳酸50重量部から重合したL−乳酸含有率が75%
の結晶性が低いポリ乳酸に対して可塑剤を20重量部以
上配合した場合には、ブリードは生じにくいが、ガラス
転移点が室温以下に低下し、室温ではゴム状態になって
成型品の形状安定性がなくなって融着を生じてしまうこ
とに原因している。この特開平7−177826号公報
においても、上述の特表平9−501456号公報と同
様に、たとえ延伸加工したフィルムでも可塑剤の配合量
が少ないため、成型品のガラス転移点室温付近にあるた
め、冬季の低温下での柔軟性が劣ることは容易に想像で
きる。
【0006】特開平8−034913号公報にはL−乳
酸比率が75%以上のL−乳酸ポリマーを用い、可塑剤
としてアセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価
カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテートやグ
リセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステ
ルを5〜20重量%配合し、さらに熱処理によって結晶
化させて利用する組成物とそのフィルムに関する可塑化
技術が開示されている。その実施例では、ポリ乳酸成分
における、L−乳酸比率が100%のポリL−乳酸と、
L−乳酸比率が75%のポリL−乳酸とポリ−DL乳酸
とをブレンドしたものに可塑剤を配合した例が示されて
いる。しかし、この特開平8−034913号公報にお
いても、実施例では、可塑剤はポリ乳酸中に15重量%
までしか配合しておらず、本文には20重量%以上の配
合では成形フィルムの安定性が得られないと記載されて
いる。20重量%以上の可塑剤を配合した場合、結晶性
のポリ乳酸を用いるとブリードを生じ、非晶性のポリ乳
酸に可塑剤を配合した場合には室温でガラス転移点以上
のゴム状態になってしまう。すなわち、前述の特開平7
−177826号公報の場合と同様に、用いるポリ乳酸
が結晶性か非晶性かだけで判断したことによる。
【0007】さらに、特開平7−177826号公報に
おいて、可塑化フィルムの機械特性は、45℃でJIS
−L1096に準じた剛軟性試験を行なっている。これ
は、たとえ結晶化されていても、冬季の使用温度ではガ
ラス転移点以下となって耐寒性に劣り、上述の特表平9
−501456号公報と同様にその用途が限定されてし
まうことが容易に想像される。このように、ポリ乳酸の
L−体の含有率を変えたポリ乳酸に可塑剤を配合する検
討は行なわれているが、結晶性ポリマーであるポリ乳酸
にガラス転移温度を使用温度以下に下げるほどの大量の
可塑剤を安定して配合し、耐寒性を有する軟質ポリ乳酸
は未だ見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、主と
して乳酸成分を含む脂肪族ポリエステルと末端反応性ア
ルキレンオキシドとをラジカル発生剤により架橋反応さ
せる事で、構造鎖中に鎖長が制御された柔軟構造を導入
し、所望の柔軟性、透明性、経時安定性をもつ架橋型軟
質乳酸系ポリマーを製造する方法とその組成物を提供す
る事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、主として乳酸成分を含む脂肪族ポリエステルと、
末端をアリル基やグリシジル基など反応基に変成したア
ルキレンオキシドとをラジカル発生剤により反応させる
事で構造を制御し、所望の柔軟性、透明性、経時安定性
をもつ架橋型軟質乳酸系ポリマーを製造する方法を見い
だした。
【0010】すなわち、本発明は、主として乳酸成分を
含む脂肪族ポリエステル(A)、末端反応性アルキレン
オキシド(B)とラジカル反応開始剤(C)を窒素雰囲
気下にて溶融混合する事により生分解性、透明性、柔軟
性及び経時安定性に優れ、かつ外観美麗な架橋型軟質乳
酸系ポリマーの組成物を得る製造方法、及びその製造方
法より得られた組成物に関するものである。又、本発明
は、請求項1〜9記載の製造方法及びその製造法より得
た組成物に関するものであり、かつその組成物より得た
請求項11記載の成型品に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、主として乳酸成
分を含む脂肪族ポリエステル(A)(以下、単に「脂肪
族ポリエステル」という)とは、主としてL−乳酸及び
/又はD−乳酸由来のモノマー単位で構成されるポリマ
ーであり、乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマー、ブ
レンドポリマーをも含むものである。乳酸ホモポリマー
としては、2つのL−乳酸からなるL−ラクタチド、D
−乳酸からなるD−ラクチド、L−乳酸とD−乳酸から
なるメソ−ラクチドという3種類のラクチド環状2量化
したラクチドいずれを主原料としたポリマーでも良く、
触媒存在下において重合反応する事により得られる。L
−ラクチド、またはD−ラクチドのみを含む共重合体
は、結晶化し高融点の共重合体を得ることができる。本
発明の共重合体ではこれら3種のラクチドを組み合わせ
ることにより、更に良好な諸特性が得られる。乳酸コポ
リマーは、乳酸モノマー又はラクチドと共重合可能な他
の成分とが共重合されたものである。このような他の成
分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を
持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボ
ン酸、ラクトン等、及びこれら種々の構成成分より成る
各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボ
ネート等が挙げられる。
【0012】ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸等が挙げられる。多価アルコールの例として
は、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加反応さ
せたものなどの芳香族多価アルコール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサ
ンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタ
ン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール
などの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール等のエーテルグリコール等が挙
げられる。ヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコ
ール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、その他特開平6
−184417号公報に記載されているもの等が挙げら
れる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラク
トングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラ
クトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラ
クトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げ
られる。
【0013】乳酸系ポリマーは、従来公知の方法で合成
させたものである。すなわち、特開平7−33861号
公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予
稿集44巻3198−3199頁に記載のような乳酸モ
ノマーからの直接脱水縮合、または乳酸環状二量体ラク
チドの開環重合によって合成することが出来る。直接脱
水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、
又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。
又、開環重合を行う場合においても、L−ラクチド、D
−ラクチド、DL−ラクチド、又はこれらの混合物のい
ずれのラクチドを用いても良い。また乳酸系ポリマー中
に乳酸成分を重量分率で50%以下の時は、その透明
性、耐熱性、または生分解性などポリ乳酸独自の特性が
失われる為好ましくない。
【0014】ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例
えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出
願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 49
1-495(1985)及び Makromol Chem., 187, 1611-16
28(1986)等の文献に様々に記載されている。この
重合反応に用いる触媒は、特に限定されるものではない
が、公知の乳酸重合用触媒を用いる事が出来る。例え
ば、乳酸錫スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラ
ウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸ス
ズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフ
トエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化合物、粉末ス
ズ、酸化スズ; 亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、
有機亜鉛系化合物、テトラプロピルチタネート等のチタ
ン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコ
ニウム系化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン系化
合物、酸化ビスマス(III)等のビスマス系化合物、酸
化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のア
ルミニウム系化合物等を挙げることができる。これらの
中でも、スズ又はスズ化合物からなる触媒が活性の点か
ら特に好ましい。これら触媒の使用量は、例えば開環重
合を行う場合、ラクチドに対して0.001〜5重量%
程度である。重合反応は、上記触媒の存在下、触媒種に
よって異なるが、通常100〜220℃の温度で行う事
ができる。また特開平7−247345号公報に記載の
ような2段階重合を行う事も好ましい。
【0015】また、本発明における脂肪族ポリエステル
(A)は、重量平均分子量で300,000以下の範囲
が好ましい。かかる範囲を上回る場合は加工性に劣る。
【0016】また、本発明における脂肪族ポリエステル
(A)は、脂肪族ポリエステル(A’)との2成分以上
の混合体でも良く、例えばそのうちの1成分としては、
脂肪族カルボン酸成分と脂肪族アルコール成分からなる
ポリマーやε−カプロラクトンなど環状無水物を開環重
合して得られた脂肪族ヒドロキシカルボン酸ポリマーな
どが挙げられる。これらを直接重合して高分子量物を得
る方法と、オリゴマー程度に重合した後、鎖延長剤等で
高分子量物を得る間接的な方法がある。また脂肪族ポリ
エステル(A’)は、主として上記脂肪族ポリエステル
成分を含む組成物であれば共重合体あるいは他樹脂との
混合複合体であってもよい。本発明に使用される脂肪族
ポリエステル(A’)は、ジカルボン酸とジオールから
なる事が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハ
ク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン
酸などの化合物、又はこれらの無水物や誘導体が挙げら
れる。一方、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコ
ール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジ
オール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール
系化合物、及びこれらの誘導体が一般的である。いずれ
も炭素数2〜10のアルキレン基、シクロ環基又はシク
ロアルキレン基をもつ化合物で、縮重合により製造され
る。カルボン酸成分或いはアルコール成分のいずれにお
いても、2種以上用いても構わない。又、溶融粘度の向
上の為ポリマー中に分岐を設ける目的で3官能以上のカ
ルボン酸、アルコール或いはヒドロキシカルボン酸を用
いても構わない。これらの成分は、多量に用いると得ら
れるポリマーが架橋構造を持ち、熱可塑性でなくなった
り、熱可塑性であっても部分的に高度に架橋構造をもっ
たミクロゲルを生じる場合がある。従って、これら3官
能以上の成分は、ポリマー中に含まれる割合はごくわず
かで、ポリマーの化学的性質、物理的性質を大きく左右
するものではない程度に含まれる。多官能成分として
は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸或いはペンタエリスリットやトリメチロー
ルプロパンなどを用いる事が出来る。製造方法のうち、
直接重合法は、上記の化合物を選択して化合物中に含ま
れる、あるいは重合中に発生する水分を除去しながら高
分子量物を得る方法である。又、間接重合法としては、
上記化合物を選択してオリゴマー程度に重合した後、分
子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネートなどのジイソシアネート化合物を使用し
て高分子量化する方法がある。あるいはカーボネート化
合物を用いて脂肪族ポリエステルカーボネートを得る方
法がある。
【0017】本発明において、末端反応性アルキレンオ
キシド(B)とは、特に限定されるものではないが、エ
チレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドよりな
るアルキレンオキシド重合体からなり、片末端、あるい
は両末端に官能基を有する末端変成アルキレンオキシド
重合体の事である。官能基の例としては、アリル、グリ
シジル、アクリル、メタクリル等が挙げられ、官能基以
外の末端はメトキシ基やブトキシ基により末端封止して
ある事が好ましい。また、エチレンオキシド及び/また
はプロピレンオキシドよりなるアルキレンオキシド重合
体はアルキレンオキシド鎖の重量平均分子量で10,0
00以下である事が好ましい。かかる範囲を上回る場合
は、既存化学物質の範囲を超え入手・取扱いが困難にな
る為好ましくない。より好ましくは100〜5,000
の範囲にある事が好ましい。かかる範囲を下回る場合
は、分岐鎖が短く柔軟性付与効果が低い為好ましくな
く、かかる範囲を上回ると分岐鎖が長くなりすぎ、柔軟
性付与についての改質効果が低下する為好ましくない。
また、脂肪族ポリエステル(A)と反応性アルキレンオ
キシド(B)は、20/80〜99/1の重量比で構成
することが好ましい。
【0018】本発明におけるラジカル反応開始剤(C)
とは、過酸化物などラジカル発生剤の事を意味するが特
に限定されるものではない。また、ラジカル反応開始剤
(C)は、過酸化物類より選ばれた1つまたは2つ以上
からなるものを使用することができる。またラジカル反
応開始剤としては油溶性開始剤のみでなくエマルジョン
重合に用いられる水溶性開始剤を用いる事も可能であ
る。油溶性開始剤の例としては、t−ブチルハイドロパ
ーオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ア
ゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリルなど
が挙げられる。またこれらのラジカル反応開始剤と亜硫
酸塩類、スルホキシレート類との組み合わせによりな
る、いわゆるレドックス系触媒として用いる事が出来
る。有機過酸化物としては例えば、ケトンパーオキシド
類、ハイドロパーオキシド類、ジアシルパーオキシド
類、ジアルキルパーオキシド類、パーオキシケタール
類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等が
挙げられる。さらに10時間半減期温度や活性酸素量、
遊離水酸基の有無等の諸特性を総合的に判断してジアル
キルパーオキシドが良い。
【0019】なお、ラジカル反応開始剤(C)は、混合
する樹脂の総量(A+B)100重量部に対して0.0
1〜5.0重量部、好ましくは0.01〜3.0重量部
である。かかる範囲を下回る場合、反応が十分に進行せ
ず好ましくなく、かかる範囲を上回る場合、局所的に反
応が進行し、ゲル発生の原因となる等制御が難しくなる
為好ましくない。
【0020】本発明の組成物は,必要に応じて可塑剤を
添加し、更なる柔軟化が可能である。また、架橋構造を
有している為、可塑剤の保持性も直鎖構造のポリマーに
比べ高くなっている。用いる可塑剤(D)としては、一
般にポリ乳酸やポリ乳酸変性品の可塑化に使用される可
塑剤を用いることができる。それら可塑剤の例として
は、広くは塩化ビニルポリマー用に開発される多くの可
塑剤を利用できるが、好ましくは、フタル酸エステル、
アジピン酸エステル、グリコール酸誘導体、エーテルエ
ステル誘導体、グリセリン誘導体、アルキル燐酸エステ
ル、ジアルキレーテル、ジエステル、トリカルボン酸エ
ステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、ア
ルキルアルキレーテルジエステル、脂肪族ジエステル、
アルキレーテルモノエステル、クエン酸エステル、芳香
族炭化水素から選ばれた単一または複数の混合物を用い
る事ができる。更に詳細には、可塑剤(D)がフタル酸
ジメチル、フタル酸ジエチル、エチルフタリルエチルグ
リコレート、トリエチレングリコールジアセテート、エ
ーテルエステル、アセチルクエン酸トリブチル、トリア
セチンから選ばれた単一または複数の混合物が好まし
い。一般にSP値の近いものは相溶性が高い事が知れれ
ている。乳酸系ポリマーのSP値は9.7前後である
為、SP値が9.0〜11.0である可塑剤が良い。更
に好ましくは9.5〜10.5が良い。特にSP値が乳
酸系ポリマーよりも高いほうが低いものに比べ相溶性が
高い傾向にある。9.0より小さい、または11.0よ
り大きいと相溶性が悪い為、透明性が低下する。可塑剤
(D)の重量平均分子量は100〜5000が好まし
く、更に好ましくは200〜3000がよい。重量平均
分子量が100より小さい場合、十分な可塑効果が得ら
れず、5000より大きい場合は、十分な可塑効果が得
られず、かつその可塑剤の分子特性が顕著となり耐熱
性、透明性が低下する為好ましくない。
【0021】可塑剤(D)の配合量は、脂肪族ポリエス
テル(A)と反応性アルキレンオキシド(B)との総量
を100重量部とした時、1〜100重量部、好ましく
は5〜50重量部である。可塑剤が1重量部より少ない
と、添加効果が十分に発揮されず、100重量部より多
いと、経時安定性が低下するためである。具体的には、
例えば、乳酸系ポリマーの可塑化に有効な配合例とし
て、脂肪族ポリエステル(A)と反応性アルキレンオキ
シド(B)との総量100重量部に対してフタル酸ジメ
チル10〜50重量部、および/またはフタル酸ジエチ
ル10〜50重量部を用いることができる。あるいは、
同様にトリアセチンおよび/またはトリエチレングリコ
ールジアセテート、エーテルエステルとして旭電化工業
社製RS1000を用いても良い。これらの可塑剤
(D)を用いることで、乳酸系ポリマーの透明性、色相
を維持したまま、その軟化温度を下げる事ができる。結
果として、共重合物の色相を良好に保ち、また成形品に
十分な可塑効果が付与できる。
【0022】本発明の製造方法を説明する。まず、脂肪
族ポリエステル(A)と末端反応性アルキレンオキシド
(B)及びラジカル反応開始剤(C)の混合反応方法や
混合装置は、特に限定されないが、連続的に処理できる
ものが工業的に有利で好ましい。例えば、脂肪族ポリエ
ステル(A)と末端反応性アルキレンオキシド(B)及
びラジカル反応開始剤(C)を所定比率で混合し、その
まま成形機のホッパー内に投入し、溶融させ、直ちに成
形しても良い。又、各成分を溶融混合した後、一旦ペレ
ット化し、その後で必要に応じて溶融成形しても良い。
同じく、ポリマーをそれぞれ別に押出機などで溶融し、
ラジカル反応開始剤(C)を一定量でフィードしながら
所定比率で静止混合機及び/又は機械的撹拌装置で混合
し、直ちに成形しても良く、一旦ペレット化しても良
い。押出機などの機械的撹拌による混合と、静止混合機
とを組み合わせても良い。均一に混合させるには、一旦
ペレット化する方法が好ましい。溶融押出温度として
は、使用する生分解性樹脂の融点及び混合比率を考慮し
て、適宜選択するが、通常100〜250℃の範囲であ
る。好ましくは120〜220℃の範囲より選択する事
が望ましい。反応溶融時間としては20分以内であるこ
とが好ましく、より好ましくは10分以内である。また
脂肪族ポリエステル(A’)が2成分以上からなる場合
は、予め脂肪族ポリエステル(A’)のみ溶融混合した
ものを用いても良く、または上記混合工程において同時
期に行う事も可能である。
【0023】ラジカル反応開始剤(C)の添加方法とし
ては特に限定されないが、上記のように予め3成分を混
合したものを溶融混合しても良く、液状物質であれば、
プランジャ式ポンプやチューブポンプなど定量性の高い
フィードポンプを用いて、ポリ乳酸(A)及び脂肪族ポ
リエステル(A’)が溶融混合しているところに滴下し
ても良い。定量性の低いポンプを使用したりフィード量
が安定して供給されない場合は局在的にラジカル反応が
進行し、分解反応が起きたりミクロゲルの生成などの問
題を生じる為好ましくない。またラジカル反応開始剤
(C)が分解する事が考えられるので、ラジカル反応開
始剤を添加する点での温度は、少なくとも200℃以下
であることが望ましい。好ましくは、そのラジカル反応
開始剤(C)の10時間半減期温度+50℃以下の温度
である事が望ましい。
【0024】この共重合体の柔軟性は、用いる反応性ア
ルキレンオキシド(B)の組成、、分子量および使用量
を適宜変えることで、制御可能である。さらに、反応後
期、または反応終了後、溶融状態で減圧下にさらすこと
で、1〜3%程度残留している未反応のラクチドモノマ
ーや反応副生成物が除去できる。
【0025】具体的な減圧処理の方法としては、2軸の
横型反応装置の後半部分を120〜160℃、1〜50
Torrに維持し、3〜15分間滞留・脱揮させること
で可能である。このようにしてラクチドモノマーと副生
成物を除去した共重合体は、経時安定性が大幅に改善さ
れた優れたものを得ることができる。
【0026】得られた共重合体には、柔軟構造成分であ
る反応性アルキレンオキシド(B)が分子構造中に含ま
れており、柔軟な性質を有する熱可塑樹脂である。この
共重合体は、ポリ乳酸単独の場合よりもむしろ成形温度
を低く設定することができ、成形時の分子劣化が少な
く、着色しにくく、透明な成形品を得ることができる。
また、成形温度を低く設定できるため、成形後の冷却時
間を短縮でき、良好な成形性が発揮される。
【0027】次に、この共重合体と可塑剤(D)とを混
合する方法を説明する。混合方法は、公知の方法を用い
ることができ、例えば、共重合体100重量部にフタル
酸ジメチル10〜50重量部とフタル酸ジエチル10〜
50重量部を加え、180℃の押出しで窒素雰囲気下で
攪拌・溶融混合して得られる。溶融混合するときには、
水分の混入を防ぐため乾燥窒素気流中で行い、溶融混合
する温度は、共重合体の融解温度以上が好ましく、溶融
温度が高すぎると可塑剤(D)が揮発減量されるため、
組成物の物性が不十分になるので、具体的には80〜1
80℃の範囲で行うことが好ましい。
【0028】本発明の共重合体は、上述の2軸横型反応
装置のほかに、公知の反応容器で作成でき、例えば、1
軸又は複数軸の撹拌機が配設された竪型反応容器又は横
型反応容器、1軸又は複数軸の掻き取り羽根が配設され
た横型反応容器、又、1軸又は複数軸のニーダーや、1
軸又は複数軸の押出機等の反応装置を単独で用いても良
く、又は複数基を直列又は並列に接続して用いても良
い。上記の方法で混合されたポリマーを、通常の成形機
のホッパーに投入し、溶融後、成形を行う事で、本発明
の成型品は容易に得られる。本発明の成型品としては、
通常の成形機で成形できるすべての成形品を指している
が、フィルム、シート、被覆紙、ブロー成形体、射出成
形体、押出し成形体、繊維、または不織布、粘・接着
剤、塗料材、包装材などに適している。
【0029】本発明の生分解性射出成型品は、脂肪族ポ
リエステル(A)と末端反応性アルキレンオキシド
(B)及びラジカル反応開始剤(C)からなり、自然環
境中で分解する。一般的に、アルキレンオキシド(B)
は、ポリ乳酸と比べ加水分解し易く分解速度は速いの
で、これらの混合比を適宜選択する事で、分解速度を調
整することができる。またラジカル反応開始剤(C)の
添加量により、架橋点間距離や架橋密度を制御する事で
分解速度を調整する事ができる。さらに、本発明の組成
物は、溶融混合時あるいは成形時に、副次的添加剤を加
えていろいろな改質も可能である。副次的添加剤の例と
しては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着
色剤、各種フィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、
香料、抗菌剤、核形成剤等その他の類似の物が挙げられ
る。さらに、適宜2次可塑剤としてさらに可塑剤を追加
して添加して利用することも可能である。
【0030】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をよ
り具体的に説明する。本発明及び以下の実施例、比較例
において、引張試験は射出成形によりJIS−2号試験
片を作成し、JIS K7113法に準じて測定した。
又、MFRはJIS−K7210熱可塑性プラスチック
の流れ試験方法に準じて、190℃、荷重2.16kg
にて測定した。更に、安定性は射出成形により1mmtの名
刺大プレートを作成し、その外観を目視し判断し、作成
した1mmtの名刺大プレートに700nmの光線を照射し
た時の光線透過率より透明性を判断した。また、作成し
た1mmtの名刺大プレートで、JIS−K7198A法に
準じて、株式会社島津製作所製動的粘弾性測定装置DV
A−300にて動的粘弾性測定を行った。本実施例で
は、以下に示すポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、反応性
アルキレンオキシド、ラジカル反応開始剤、及び可塑剤
を使用し実験を行った。
【0031】<ポリ乳酸(P1)> 物質名:ポリ乳酸 製品名:島津製作所製 ラクティ#9000 <脂肪族ポリエステル1(P2)> 物質名:ポリブチレンサクシネートアジペート 製品名:昭和高分子製ビオノーレ#3001 <反応性アルキレンオキシド(A1)> 物質名:ポリエチレングリコールジアリルエーテル 製品名:日本油脂製 ユニオックスAA−800 <反応性アルキレンオキシド(A2)> 物質名:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル 製品名:日本油脂製 エピオールE−400 <未変成アルキレンオキシド(AO)> 物質名:ポリエチレングリコール 製品名:和光純薬製 ポリエチレングリコール1000 <ラジカル反応開始剤(O1)> 物質名:(2,5-シ゛メチル-2,5-シ゛(t-フ゛チルヘ゜ルオキシ)ヘキサン) 製品名:化薬アクゾ製 カヤヘキサAD40C <可塑剤(C1)> 物質名:アセチルクエン酸トリブチルエステル 製品名:新日本理化工業製 サンソサイザーATBC
【0032】(実施例1)P1を80重量%、O1を
0.3重量部混合し、プランジャー式ポンプにてA1を
20重量%定量フィードしながら190℃の2軸押出機
で平均3分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押
出し、水冷し切断する事で、ポリ乳酸系組成物チップ
(PC1)を得た。そのチップPC1を80℃で真空乾
燥し絶乾状態にした後、射出成形により各種成形品を得
た。
【0033】(実施例2)P1を80重量%、O1を
0.3重量部混合し、プランジャー式ポンプにてA2を
20重量%定量フィードしながら190℃の2軸押出機
で平均3分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押
出し、水冷し切断する事で、ポリ乳酸系組成物チップ
(PC2)を得た。そのチップPC2を80℃で真空乾
燥し絶乾状態にした後、射出成形により各種成形品を得
た。
【0034】(実施例3)P1を70重量%、P2を1
0重量%、O1を0.3重量部混合し、プランジャー式
ポンプにてA1を20重量%定量フィードしながら19
0℃の2軸押出機で平均3分間溶融混合し、直径2mm
のノズルにより押出し、水冷し切断する事で、ポリ乳酸
系組成物チップ(PC3)を得た。そのチップPC3を
80℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により
各種成形品を得た。
【0035】(実施例4)P1を80重量%、O1を
0.3重量部混合し、プランジャー式ポンプにてA1を
20重量%、C1を20重量部定量フィードしながら1
90℃の2軸押出機で平均3分間溶融混合し、直径2m
mのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、ポリ乳
酸系組成物チップ(PC4)を得た。そのチップPC4
を80℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形によ
り各種成形品を得た。
【0036】(比較例1)P1を190℃の2軸押出機
で平均3分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押
出し、水冷し切断する事で、ポリ乳酸系組成物チップ
(PCR1)を得た。そのチップPCR1を80℃で真
空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により各種成形品
を得た。
【0037】(比較例2)P1を80重量%に、プラン
ジャー式ポンプにてAO1を20重量%定量フィードし
ながら190℃の2軸押出機で平均3分間溶融混合し、
直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事
で、ポリ乳酸系組成物チップ(PCR2)を得た。その
チップPCR2を80℃で真空乾燥し絶乾状態にした
後、射出成形により各種成形品を得た。
【0038】(比較例3)P1を80重量%に、プラン
ジャー式ポンプにてAO1を20重量%、C1を20重
量部定量フィードしながら190℃の2軸押出機で平均
3分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、
水冷し切断する事で、ポリ乳酸系組成物チップ(PCR
3)を得た。そのチップPCR3を80℃で真空乾燥し
絶乾状態にした後、射出成形により各種成形品を得た。
【0039】(比較例4)P1を70重量%、P2を1
0重量%を混合し、プランジャー式ポンプにてAO1を
20重量%、C1を20重量部定量フィードしながら1
90℃の2軸押出機で平均3分間溶融混合し、直径2m
mのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、ポリ乳
酸系組成物チップ(PCR4)を得た。そのチップPC
R4を80℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形
により各種成形品を得た。
【0040】実施例1〜4及び比較例1〜4の結果を、
表1、図1に示す。
【表1】 引張試験の結果から、本発明品(実施例1〜4)は、ポ
リ乳酸単体(比較例1)と比較して軟質化されていること
が分かる。また、比較例2〜4でも同等の軟質化は可能
であったが、MFRの結果より、溶融粘度が低く成形性
に問題があり、また、成形直後では透明性も高いが経時
安定性が低い。しかし、本発明品では溶融粘度は高く成
形性が良好で、また、同等の透明性を維持しながら安定
性が高いことが分かる。一方、動的粘弾性測定の結果
(図1)より、比較例と比べ、ガラス転移点由来の転移
点での変化率が低く、温度依存が低く安定した物性が得
られることが分かる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、上述のように脂肪族ポ
リエステル(A)と反応性アルキレンオキシド(B)と
ラジカル反応開始剤(C)を溶融混合する事によって、
自然環境下で完全に分解可能であり、所望の機械特性に
調節でき、かつ透明性、経時安定性に優れ、成形性に優
れた架橋型軟質乳酸系ポリマー組成物及び成型品を提供
することができる。この製造法からなる生分解性組成物
は、フィルム、シート、被覆紙、ブロー成形体、射出成
形体、押出し成形体、繊維、または不織布、粘・接着
剤、塗料材、包装材として利用できる。更には、生分解
性を有するので、従来のプラスチックの様な廃棄物処理
の問題も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマーの動的粘弾性測定結果図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 71/02 C08L 71/02 Fターム(参考) 4F070 AA47 AA52 AB09 AB11 AC56 AE08 GA05 GA08 GB04 4F071 AA43 AA43X AA44 AA44X AA51 AA76 AC08 AE02 AF26 AF30 AF57 AH04 AH05 BA01 BB05 BB06 BC01 BC04 4J002 CF18W CF18X CF19W CF19X CH05Y CH05Z EK006 FD146 GG01 GG02 GH01 GJ01 GK01 4J031 AA49 AA53 AB04 AC01 AD01 AE13 AF11 AF12 AF14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として乳酸成分を含む脂肪族ポリエステ
    ル(A)、末端に官能基を有する反応性アルキレンオキ
    シド(B)、ラジカル反応開始剤(C)を窒素雰囲気下
    溶融混合する事を特徴とする架橋型軟質乳酸系ポリマー
    の製造方法。
  2. 【請求項2】脂肪族ポリエステル(A)が2種類以上の
    脂肪族ポリエステルの混合体である事を特徴とする請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】反応性アルキレンオキシド(B)が重量平
    均分子量10,000以下の末端変成アルキレンオキシ
    ドからなる重合体でである事を特徴とする請求項1又は
    2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】反応性アルキレンオキシド(B)が片末
    端、または両末端にアリル基、グリシジル基、メタクリ
    ル基、アクリル基のうち、何れかを有する事を特徴とす
    る請求項1〜3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】脂肪族ポリエステル(A)と反応性アルキ
    レンオキシド(B)が20/80〜99/1の重量比で
    構成される事を特徴とする請求項1〜4記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】ラジカル反応開始剤(C)を、混合する樹
    脂の総量(A+B)100重量部に対して0.01〜
    5.0重量部含む事を特徴とする請求項1〜5記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】反応性アルキレンオキシド(B)を少なく
    とも2成分以上含む事を特徴とする請求項1〜6記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】ラジカル反応開始剤(C)が、過酸化物類
    より選ばれた1つまたは2つ以上からなるものである事
    を特徴とする請求項1〜7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】可塑剤(D)を混合する樹脂の総量(A+
    B)100重量部に対して1.0〜50.0重量部含む
    事を特徴とする請求項1〜8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜9記載の製造方法により製造
    された架橋型軟質乳酸系ポリマー組成物。
  11. 【請求項11】請求項10記載の組成物からなるフィル
    ム、シート、被覆紙、ブロー成形体、射出成形体、押出
    し成形体、繊維、または不織布、粘・接着剤、塗料材、
    包装材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003059994A1 (fr) * 2002-01-10 2003-07-24 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Polyester moule
WO2007088920A1 (ja) * 2006-02-02 2007-08-09 Sumitomo Electric Fine Polymer, Inc. 電子機器用の外装部材、該外装部材を備えた電子機器
JP2009132914A (ja) * 2007-11-08 2009-06-18 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd ポリエステル樹脂成型物の製造方法、それに使用する結晶化誘起剤、マスターバッチおよびポリエステル樹脂成型物

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