JP2002065895A - ゴルフボール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性を維持し、製造コストの面で有利な、
ゴルフボールを提供することを目的とする。 【解決手段】 ゴルフボールの少なくとも一部を構成す
るゴム質部分に、熱可塑性樹脂を上記ゴム質１００重量
部に対し０．０１〜３．００重量部配合した組成物によ
って形成したゴルフボール。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は生産性に優れる、ワ
ンピース、ツーピース、及びマルチピースゴルフボール
として知られるソリッドゴルフボールに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ワンピ
ースゴルフボールは、単一のゴム質球体によって形成さ
れ、またツーピース及びマルチピースゴルフボールは、
通常コアと呼ばれるゴム質の芯球を比較的薄肉の樹脂カ
バーの１層か複数層によって被覆し形成されている。

【０００３】これらゴルフボールは、構造上のタイプを
問わず、ゴム質球体を成形するに当たっては、適宜配合
された練りゴムを断面が円形の棒状に押出し、必要な長
さに切断して円柱形のスラグが成形される。図１にスラ
グ1を縦断面図として示している。そして半球形キャビ
ティを内部に形成した上型と下型よりなる金型（図示せ
ず）内に上記スラグを入れ、高温、高圧の下で球形に加
硫成形する訳であるが、上記キャビティは、通常、７段
７列配列された金型を用い、一度に４９個が成形され
る。

【０００４】そしてその場合、下型の個々のキャビティ
へは、スラグの軸線jを垂直に、即ちスラグを縦向きに
セットし、しかる後上型を閉じて加硫が行われるが、キ
ャビティ内にスラグをセットするに当たり、成形された
スラグを時間を置かず使用するのであれば問題はない
が、成形後時間が経つにつれ、押出し時のゴム内残留応
力によって、図２に示すようにスラグ1が曲がって変形2
が生じたり、切断面の一方が窪み（符合3）、他方が凸
状突出する（符合4）ことが頻繁に発生する。

【０００５】このように変形したスラグ1は、下型のキ
ャビティ内へのセットに当たり据わりが悪く、しばしば
倒れ込みが生じ、その結果、上型を閉じたとき下型との
間でキャビティ縁部に挟まれることとなる。スラグがこ
のように挟まれると、型からはみだし、その分キャビテ
ィ内のゴム質部分が不足するため、成形体にエア溜まり
が発生する。スラグの倒れ混みは作業者の修正によって
或程度救えるが、上述のように一度に多数個加硫成形さ
れるため、どうしても相当量の不良品の発生は避けるこ
とができないのが実状である。本発明はこのような問題
点に鑑みなされたもので、ゴム質部分に経時変形を極力
抑えたスラグを使用し成形することによって、ボールに
要求される性能を損なうことなく、製造コストの面で有
利なゴルフボールを提供することを目的とする。

【０００６】

【問題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は、ゴルフボールの少なくとも一部を構成するゴム
質部分に、熱可塑性樹脂を上記ゴム質１００重量部に対
し０．０１〜３．００重量部配合した組成物によって形
成したことを特徴とするゴルフボールである。

【０００７】樹脂の配合量が３．００重量部を超過する
と、特に、熱可塑性樹脂として、後述するゴルフボール
の樹脂カバーを粉砕して得た粉末を使用する場合、作業
性が悪くなる。一方、樹脂配合量が０．０１重量部に満
たないときは、本発明の目的であるスラグ変形防止の効
果を得ることができない。

【０００８】上記熱可塑性樹脂は、ゴルフボールに使用
された樹脂カバーを粉砕して得た粉末樹脂をブタジエン
ゴムに配合し、上記ゴム質部分に適用することができ
る。粉砕した樹脂カバーの平均粒径は、１mm以下が好ま
しく０．８５mm以下が一層好ましい。粒径が１mmを越え
ると、加硫成形時においてスラグ軟化後、余分のゴムが
型外（キャビティ外）へ排出されるとき、カバーの粒子
がゴムと共にスム−ズに流れ出難くなり好ましくない。
ここで粒径１mm以下とは、便宜上１mmメッシュの篩を通
過する大きさを云う。

【０００９】カバー材の樹脂としては、例えばアイオノ
マー樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系
エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン
系エラストマー、オレフィン系エラストマー、及びこれ
らの混合物を挙げることができる。

【００１０】カバー表面には、通常塗装による塗膜が付
着しているが、塗膜もろとも粉砕し使用に供することが
できる。

【００１１】

【実施例】本発明におけるゴルフボールについて、製造
時の作業性、飛び性能としての初速及び打撃耐久性を確
かめるため、ゴム質のコアとアイオノマー樹脂カバーよ
りなるツーピース構造を適用し、そしてコアについて
は、熱可塑性樹脂としてアイオノマー樹脂カバーを廃棄
ゴルフボールから採取し、その場合カバー表面に被覆さ
れた塗膜共に粉砕し、粉砕したカバー粉は、１mmメッシ
ュの篩にかけて、篩を通過して得たカバー粉につき添加
量を０．１，０．５，１．０，及び３．０重量部と変化
させ配合した実施例１〜４、及び熱可塑性樹脂を配合し
ない比較例１を試作し、比較テストを行った。

【００１２】コアの基本配合は、実施例、比較例共下記
の内容のものを共通して使用した。 シス-1,4-ポリブタジエン １００重量部 酸化亜鉛 ３０重量部 アクリル酸亜鉛 ２５重量部 老化防止剤 ０．１重量部 ジクミルパーオキサイド ０．６重量部 カバー材には、アイオノマー樹脂としてハイミラン1706
（三井・デュポンポリケミカル社製）を使用した。上記
ゴム主材に対する、カバー粉末（同様にハイミラン170
6）添加量の詳細、及びテスト結果を表１に示す。

【００１３】

【００１４】表１において樹脂粉は、上記ポリブタジエ
ンゴムに対する重量部で表示している。表１の練り、押
出し欄における◎印は、作業性が著しく良好を示し、ま
た○印は、作業性良好を示す。また、反り変形率は、ス
ラグ５００個のなかに５mm以上の変形量b（図２）のス
ラグが含まれた比率を示し、凹変形率は、スラグ５００
個のなかに７mm以上の窪み量d（図２）のスラグが含ま
れる比率を示す。テスト結果欄の初速は、USGA型初速計
を用い、ドラム回転速度が１３７６rpmで測定した値で
ある。そして耐久性としての割れの測定は、＃１ウッド
クラブ（ドライバー）をスイングロボットにセットし４
５m/sのヘッドスピードで実施例、比較例共それぞれ１
０個のボールを用い、割れが発生してボール表面に現れ
るまで繰り返し打ち続け、最初に割れが現れたボールの
打撃回数を割れ開始とし、割れが現れた打撃回数の１０
個の平均値を割れ平均として示している。

【００１５】

【発明の効果】表１において、実施例は何れもコア組成
物に熱可塑性樹脂を全く加えない比較例１対比、練り及
び押出し作業性につき遜色がないことを示している。一
方、コアの加硫成形における作業性及び成形不良発生に
影響するスラグの反り、及び凹変形率は、実施例は何れ
も比較例１より優れ、取分け実施例３（樹脂粉１．０）
及び実施例４（樹脂粉３．０）は極めて良好であること
を示している。

【００１６】次にテスト結果であるが、ボールの材料特
性が最もよく反映される初速は、実施例は総て比較例１
と変わりない数値を得ている。一方、耐久性としての割
れ特性については、比較例１に比べ、やや小さい数値が
現れてはいるが、最も小さい実施例２及び４でも割れ開
始打撃回数は３５５回と云う大きい数値であるため、充
分過ぎる耐久性を有していると云える。

【００１７】このように、本発明になるゴルフボールは
コア等のゴム質部分に、熱可塑性樹脂をゴム質１００重
量部に対し０．０１〜３．００重量部配合した組成物に
よって形成することにより、スラグの変形に起因する製
造上の障害を有利に防止することができる。また上記熱
可塑性樹脂として、製造時に不可避的に生じる格落品又
は不良品や、商品寿命を終えた廃ボールの樹脂カバーを
利用する場合、公害防止の一助となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】スラグの縦断面図である。

【図２】時間の経過によって変形したスラグの縦断面
図。

【符号の説明】

１ スラグ ２ 変形 ３ 窪み ４ 突出

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴルフボールの少なくとも一部を構成す
   るゴム質部分に、熱可塑性樹脂を上記ゴム質１００重量
   部に対し０．０１〜３．００重量部配合した組成物によ
   って形成したことを特徴とするゴルフボール。
2. 【請求項２】 上記熱可塑性樹脂が、ゴルフボールの樹
   脂カバーを粉砕しブタジエンゴムに配合した組成物であ
   る請求項１記載のゴルフボール。
3. 【請求項３】 粉砕した樹脂カバーの平均粒径が１mm以
   下である請求項２記載のゴルフボール。