JP2002060974A - コネクタ接点材料とその製造方法、そのコネクタ接点材料を用いたコネクタと接点 - Google Patents
コネクタ接点材料とその製造方法、そのコネクタ接点材料を用いたコネクタと接点Info
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Abstract
が優れ、しかも摺動性が優れているコネクタ接点材料と
その製造方法を提供する。 【解決手段】 導電性基材1の表面にCu含有Snめっ
き層2が形成されていて、前記Cu含有Snめっき層2
の表面はベンゾトリアゾールまたはその誘導体による処
理面であって、かつ、その表面をAES分析したとき
に、Cとして測定される前記ベンゾトリアゾールまたは
その誘導体の厚みが0.0003〜0.01μmになって
いるコネクタ接点材料。
Description
その製造方法、そのコネクタ接点材料を用いたコネクタ
と接点に関し、更に詳しくは、外観変色がほとんど起こ
らず、はんだ濡れ性に優れ、そして摺動性も優れている
コネクタ接点材料とその製造方法に関する。
めっき層やSn−Pbはんだのめっき層を形成した材料
は、コネクタ接点材料として広く実使用されている。し
かしながら、これらSnめっき層やはんだ層は軟質であ
り、また摩擦抵抗も高いので、これらの材料をコネクタ
として使用したときには挿入力が過大となり、また摺動
接点として使用したときには相手材との間で凝着を起こ
して接点特性の劣化を招くことがある。
Cu成分が表面に熱拡散してきて外観変色を起こすとと
もにはんだ付け性が悪化することもある。しかも、Sn
めっき層の場合はめっき時にウィスカの発生があり、は
んだめっき層の場合はPb公害の問題もある。このよう
なことから、コネクタ材料の表面めっき層に関しては、
上記したSnめっき層やはんだめっき層に代わるSn合
金めっき層の検討が進められているが、現在までのとこ
ろ、充分に満足のいくめっき層は開発されていない。
点材料の表面めっき層として使用されているSnめっき
層やはんだめっき層における上記した問題を解決し、適
度な硬さを備えるとともに、はんだ付け時の外観変色も
ほとんど起こらず、はんだ付け性も優れており、しかも
低摩擦係数であるため摺動性も優れているめっき層を備
えた新規なコネクタ材料と、その製造方法、更にはその
材料を用いたコネクタと接点の提供を目的とする。
的を達成するための研究過程で、Snやはんだに比べて
硬質なSn−Cuから成るめっき層に着目した。しかし
ながら、このSn−Cuめっき層は、従来のめっき層に
比べて高硬度であるとはいえ、Cu成分が存在するた
め、外観変色とそれに基づくはんだ付け性の悪化が発生
しやすいという欠点がある。
関して鋭意研究を重ねた結果、後述する処理を施すこと
により、外観変色とはんだ付け性の劣化の問題を解決
し、更には摺動性を高めることに成功し、本発明のコネ
クタ接点材料とその製造方法を開発するに至った。すな
わち、本発明のコネクタ接点材料は、導電性基材の表面
にCu含有Snめっき層が形成されていて、前記Cu含
有Snめっき層の表面はベンゾトリアゾール(Benz
otriazol:BTA)またはその誘導体による処
理面であって、かつ、その表面をAES分析(オージェ
電子分光分析)したときに、Cとして測定される前記B
TAまたはその誘導体の厚みが0.0003〜0.01μ
mになっていることを特徴とする。
にCu含有Snめっき層を形成し、ついで、BTAまた
はその誘導体を溶解して成る溶液に接触させることを特
徴とするコネクタ接点材料の製造方法が提供される。ま
た、本発明においては、上記した接点材料を用いて製造
した接点とコネクタが提供される。
1で示したように、導電性基材1の表面にCu含有Sn
めっき層2が形成されていて、このCu含有Snめっき
層2の表面に後述する処理が施されていることを特徴と
する。導電性基材1としては格別限定されるものではな
く、例えば、銅、黄銅、リン青銅などの銅合金や、SU
S、42アロイなどの鉄合金をあげることができる。
主体としこれにCuが含有されているめっき層である。
この場合のCu含有量は、被膜融点やはんだ濡れ性など
考慮して適宜決めればよいが、概ね、1〜10重量%程
度に設定される。このCu含有Snめっき層は、例えば
所定組成のCu−Sn合金の電気めっきや溶融めっきで
形成してもよく、また最初にSnめっきを行い、その上
にSn−Cu合金めっきを行って形成してもよく、更に
は最初にSnめっきを行い、ついで薄くCuめっきを行
ったのち全体を加熱することによりCuをSnに拡散し
て形成してもよい。なお、基材1とCu合金Snめっき
層2の間には、CuやNiなどを用いて下地層を形成し
てもよい。
しては次のような表面処理が行われる。まず、BTAま
たはその誘導体を、水や、トルエンのような有機溶剤に
溶解して所定濃度の溶液が調製される。そして、この溶
液とCu含有Snめっき層の表面を接触させる。具体的
には、Cu含有Snめっき層の表面に上記溶液を塗布し
たり、または、導電性基材におけるCu含有Snめっき
層の表面を除いた他の箇所をマスキングした状態で上記
溶液に浸漬する。
アゾール、メチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾト
リアゾール、トリルトリアゾールなどをあげることがで
き、またその誘導体としては、上記BTAとメチルアミ
ン、エチルアミンのような有機アミンとの反応生成物
や、プロピオン酸、安息香酸、アジピン酸のような有機
カルボン酸との反応生成物をあげることができる。
っき層2の摩擦係数は低下し、しかも耐食性が向上す
る。これはBTAまたはその誘導体とCu含有Snめっ
き層のCu成分との間で吸着反応が起こって、当該Cu
含有Snめっき層の表面には、BTAまたはその誘導体
を主体とする化学吸着層3が形成されるためであると考
えられる。
摩擦係数や耐食性との間に相関関係がある。具体的に
は、表面処理後のCu合金Snめっき層の表面にAES
分析を行って、化学吸着層として表面に存在しているB
TAやその誘導体をCとして測定したときに、表面から
0.0003μmより深い箇所ではCが検出されないよ
うな表面処理の場合、すなわち上記した化学吸着層の厚
みが0.0003μmより薄い場合には、Cu含有Sn
めっき層の表面摩擦係数は大きく、しかも外観変色を起
こしやすくなる。また、表面から0.01μmより深い
箇所でもCが検出されるような表面処理の場合、すなわ
ち上記した化学吸着層の厚みが0.01μmより厚い場
合には、摩擦係数は小さくなるが、他方では、Cu含有
Snめっき層に表面ムラが生じ、しかもはんだ付け性が
悪くなる。
表面処理後のCu含有Snめっき層の表面はAES分析
を行ったときに、Cの検出される最大深さが0.000
3〜0.01μmとなるように前記した表面処理が行わ
れる。具体的には、前記した溶液として、BTAまたは
その誘導体の濃度が0.01〜1.0重量%となるように
調整したものを用いればよい。上記濃度が0.01重量
%より低い場合は、処理後のCu含有Snめっき層の耐
食性の向上効果や摩擦係数の低減効果は不充分であり、
また1.0重量%より高濃度である場合は、処理後の乾
燥時にBTAやその誘導体の粉が発生するようになる。
酸洗を順次行ったのち、厚み1.5μmのCu下地めっ
き層を形成し、更にその上に厚み1.2μmのSn−1
%Cu合金めっき層を形成した。上記した各工程の条件
を表1に示す。
処理、湯洗処理を充分に行い、更に温風乾燥を行った。
一方、表2で示した濃度のベンゾトリアゾールのエタノ
ール溶液を調製し、その溶液に室温下において上記めっ
き黄銅条を10秒間浸漬したのち取り出してSn−1%
Cu合金めっき層に対する表面処理を行った。
試験を行った。 (1)AES分析 処理品の表面をアルゴンイオンビームによりスパッタ
し、表層からC強度とSn強度が交わる部分を有機被覆
層とした。なお、厚み0.01μmの有機被膜を塗布し
た銅板を標準試料とした。
5%/IPAを塗布した幅10mmの処理品(試片)を、
浸漬速度10mm/min、浸漬深さ10mmの条件で10秒
間浸漬したのち取り出し、はんだで濡れた部分の面積を
測定し、その値を試片の浸漬面積で除算してその百分率
(%)を求めた。この値が大きいほどはんだ濡れ性に優
れ、はんだ付け性が優れていることを表す。
間放置し、めっき表面の変色の有無を目視観察した。 (4)動摩擦係数の測定 同種のめっき黄銅条を先端5mmRに張り出し加工して相
手材とし、これを摺動片として、摺動距離10mm、摺動
速度100mm/min、加重200kgfの条件下で測定し
た。
場合をムラあり、現れない場合をムラなしとした。以下
の結果を一括して表2に示した。
るCの検出された最大深さが深すぎる比較例2の材料
は、動摩擦係数が小さくなるとはいえ、外観にムラが生
じているとともにそのはんだ付け性は悪い。また、AE
S分析によるCの検出された最大深さが浅すぎる比較例
1や比較例3の材料は、外観、加速劣化変色、はんだ付
け性は良好であるものの動摩擦係数は大きく摺動性に劣
る。
の検出された最大深さが0.0003〜0.01μmとな
るような表面処理を行うこと、そのためには表面処理に
用いる溶液におけるBTA濃度を0.01〜1.0重量%
に設定することの有用性が明らかである。
1〜3と同様にして厚み1.2μmのSn−1%Cu合
金めっき層が形成されるめっき黄銅条を製造した。そし
て、このめっき黄銅条に対しても、実施例1〜3と同様
の表面処理を行い、各試験を行った。その結果を表3に
示した。
全く同様の結果が得られた。
コネクタ接点材料は、劣化後の外観変色が起こらず、は
んだ付け性が優れ、しかも摺動性も優れている。これ
は、めっき層をCu含有Snめっき層とし、しかもその
表面をBTA含有溶液で処理することにより、耐食性の
向上効果と摩擦係数の低減効果を発揮する化学吸着層を
形成したことによって得られる効果である。
である。
着層
Claims (4)
- 【請求項1】 導電性基材の表面にCu含有Snめっき
層が形成されていて、前記Cu含有Snめっき層の表面
はベンゾトリアゾールまたはその誘導体による処理面で
あって、かつ、その表面をAES分析したときに、Cと
して測定される前記ベンゾトリアゾールまたはその誘導
体の厚みが0.0003〜0.01μmになっていること
を特徴とするコネクタ接点材料。 - 【請求項2】 導電性基材の表面にCu含有Snめっき
層を形成し、ついで、前記Cu含有Snめっき層の表面
をベンゾトリアゾールまたはその誘導体を溶解して成る
溶液に接触させることを特徴とするコネクタ接点材料の
製造方法。 - 【請求項3】 請求項1のコネクタ接点材料を用いた接
点。 - 【請求項4】 請求項1のコネクタ接点材料を用いたコ
ネクタ。
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