JP2002060532A - 多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents

多孔質フィルムの製造方法

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JP2002060532A
JP2002060532A JP2000252770A JP2000252770A JP2002060532A JP 2002060532 A JP2002060532 A JP 2002060532A JP 2000252770 A JP2000252770 A JP 2000252770A JP 2000252770 A JP2000252770 A JP 2000252770A JP 2002060532 A JP2002060532 A JP 2002060532A
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JP
Japan
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sheet
porous film
solvent
polyolefin resin
molded product
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JP2000252770A
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Shinichi Oizumi
新一 大泉
Tomoaki Ichikawa
智昭 市川
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高強度、高比表面積及び高細孔容積を有し、か
つイオン透過性及び高速充放電特性にも優れる多孔質フ
ィルムの製造方法を提供すること。 【解決手段】ポリオレフィン樹脂及び溶媒を含有する樹
脂組成物を溶融混練し、得られた溶融混練物をシート状
に成形し、該シート状成形物の圧延処理と脱溶媒処理を
行う工程を有する多孔質フィルムの製造方法において、
該脱溶媒処理をシート状成形物の巾方向の両端を固定し
て行った後、該両端を固定したままで、乾燥処理を施す
ことを特徴とする多孔質フィルムの製造方法、並びに前
記の製造方法により得られた多孔質フィルムを有する電
池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質フィルムの
製造方法に関する。さらに詳しくは、電池の正極負極間
に配置されてこれらを隔離させる電池用セパレーター等
として好適に用いられる多孔質フィルムの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々のタイプの電池が実用に供さ
れているが、近年、電子機器のコードレス化等に対応す
るために、軽量で、高起電力及び高エネルギーが得るこ
とができ、しかも自己放電が少ないリチウム電池が注目
を集めている。例えば、リチウム二次電池は、携帯電話
やノートブックパソコン用として多量に用いられてお
り、更に、今後、電気自動車用バッテリーとして期待さ
れている。
【0003】このようなリチウム電池の負極材料として
は、金属リチウムを始め、リチウム合金やリチウムイオ
ンを吸蔵放出できる炭素材料のような層間化合物を挙げ
る事ができる。他方、正極材料としては、コバルト、ニ
ッケル、マンガン、鉄等の遷移金属の酸化物やこれら遷
移金属とリチウムとの複合酸化物を挙げることができ
る。
【0004】一般に、このようなリチウム電池において
は、上述したような正極と負極との間に、それら電極間
の短絡を防止するためのセパレーターが設けられてい
る。このようなセパレーターとしては、通常、正極負極
間のイオンの透過性を確保するために、多数の微細孔を
有する多孔質フィルムが用いられている。
【0005】このような電池用セパレーターとして、従
来、超高分子量ポリオレフィン樹脂を、必要に応じてそ
の他のポリオレフィン樹脂と共に、溶媒中で加熱して溶
解させ、これをゲル状のシートに成形し、このシートを
延伸処理し、この延伸の前後に脱溶媒処理を行って、シ
ート中に残存する溶媒を除去することにより、多孔質フ
ィルムを製造する方法が種々提案されている。
【0006】例えば、特開平7−228718号公報に
は、重量平均分子量が1×106 以上の超高分子量ポリ
オレフィン樹脂を少なくとも10重量%有するポリオレ
フィン樹脂組成物からなり、フィブリル繊維の平均径が
0.01〜0.2μm、貫通孔の平均径が0.01〜
0.1μm、空孔率が35〜95%、比表面積が20〜
400m2 /g、膜厚に対する貫通経路の比率である曲
路率が膜厚の1.5〜2.5倍である多孔質フィルムが
記載されている。
【0007】しかし、超高分子量ポリオレフィン樹脂を
用いて得られる多孔質フィルムを電気自動車用バッテリ
ーのセパレーターとして実用的に用いるには、フィルム
が一層の高強度、高比表面積及び高細孔容積を有すると
共に、電解液保液性に優れ、更に、イオン透過性及び高
速充放電特性に一層優れることが強く要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高強
度、高比表面積及び高細孔容積を有し、かつイオン透過
性及び高速充放電特性にも優れる多孔質フィルムの製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ポリオ
レフィン樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成物を溶融混練
し、得られた溶融混練物をシート状に成形し、該シート
状成形物の圧延処理と脱溶媒処理を行う工程を有する多
孔質フィルムの製造方法において、該脱溶媒処理をシー
ト状成形物の巾方向の両端を固定して行った後、該両端
を固定したままで、乾燥処理を施すことを特徴とする多
孔質フィルムの製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリオレフィ
ン樹脂は、超高分子量ポリオレフィン樹脂を含有するこ
とが好ましい。超高分子量ポリオレフィン樹脂として
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン等のオレフィンの単独重合
体、共重合体及びこれらの混合物等が挙げられ、これら
の中では、得られる多孔質フィルムの高強度化の観点か
ら、超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましく用いられ
る。
【0011】超高分子量ポリオレフィン樹脂の重量平均
分子量は、5×105 以上、好ましくは5×105 〜2
0×106 、より好ましくは1×106 〜15×106
が望ましい。
【0012】超高分子量ポリオレフィン樹脂の含有量
は、ポリオレフィン樹脂中に、好ましくは5〜100重
量%、より好ましくは8〜100重量%である。
【0013】超高分子量ポリオレフィン樹脂以外にポリ
オレフィン樹脂に含有されてもよい樹脂としては、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペン
テン、1−ヘキセン等のオレフィンの単独重合体、共重
合体及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中で
は、得られる多孔質フィルムの高強度化の観点から、高
密度ポリエチレン樹脂が好ましい。これらの樹脂の重量
平均分子量は、好ましくは1×104 以上5×105
満、より好ましくは1×104 〜3×105 である。
【0014】本発明に用いることのできる溶媒として
は、ポリオレフィン樹脂の溶解性に優れたものであれ
ば、特に限定されないが、凝固点が−10℃以下のもの
が好ましく用いられる。このような溶媒の好ましい具体
例としては、例えば、デカン、デカリン、流動パラフィ
ン等の脂肪族又は脂環式炭化水素、沸点がこれらに対応
する鉱油留分等が挙げられ、なかでも、流動パラフィン
等の不揮発性溶媒が好ましく、凝固点が−45〜−10
℃、40℃での動粘度が65cst以下の不揮発性溶媒
がより好ましい。
【0015】ポリオレフィン樹脂及び溶媒の混合割合
は、ポリオレフィン樹脂の種類、溶解性、混練温度等に
より異なるため、一概には決定できないが、得られるス
ラリー状の樹脂組成物を溶融混練してシート状に成形で
きる程度であれば特に限定されない。例えば、ポリオレ
フィン樹脂が樹脂組成物の5〜30重量%であることが
好ましく、8〜20重量%であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂の混合割合が5重量%以上である
と、得られる多孔質フィルムの強度を向上させることが
でき、またポリオレフィン樹脂の混合割合が30重量%
以下であると、ポリオレフィン樹脂を十分に溶媒に溶解
させて、伸び切り状態近くまで混練することができるた
め、ポリマー鎖の十分な絡み合いを得る事ができる。
【0016】なお、前記樹脂組成物には、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、造核剤、顔料、
帯電防止剤等の添加物を、本発明の目的を損なわない範
囲で添加する事ができる。
【0017】樹脂組成物の溶融混練は、ポリオレフィン
樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得るために、樹脂
組成物に十分な剪断力を作用させて行うことが好まし
い。従って、本発明における樹脂組成物の溶融混練に
は、通常、混合物に強い剪断力を与えることができるニ
ーダや二軸混練り機が好ましく用いられる。
【0018】樹脂組成物を溶融混練する際の温度は、適
当な温度条件下であればよく、特に限定されないが、1
15〜185℃が好ましい。溶融混練の際の温度は、樹
脂組成物を十分に混練して、ポリオレフィン樹脂のポリ
マー鎖の十分な絡み合いを得るために、115℃以上が
好ましく、適度な粘度で、樹脂組成物に十分な剪断力を
作用させるために、185℃以下が好ましい。
【0019】次に、得られた溶融混練物をシート状に成
形する。溶融混練物をシート状に成形する方法は、特に
限定されず、例えば、冷却された金属板に挟み込み急冷
して急冷結晶化によりシート状成形物にしてもよく、フ
ィッシュテールダイ、Tダイ等を取り付けた押出機など
を用いてシート状に成形した後、冷却して結晶化させて
もよい。溶融混練物の冷却には、従来より用いられてい
る冷却ロール等を特に眼定することなく用いることがで
きるが、本発明では、シート状成形物の表面層のみなら
ず、中心部までポリオレフィン樹脂を微細に結晶化させ
るために、サイジングダイスを用いることが好ましい。
【0020】なお、本発明では、得られるシート状成形
物の表面層のみならず、中心部までポリオレフィン樹脂
を微細に結晶化させて、細く、かつ均一なフィブリルか
らなる曲路率の大きい多孔質膜構造を有する多孔質フィ
ルムを得るためには、溶融混練物を、好ましくは−15
℃以下、より好ましくは−20℃以下に急冷して、シー
ト状に成形することが望ましい。これは、溶液状態、す
なわち、溶融混練物からシート状に成形する際の冷却速
度が遅い場合は、溶融混練により引き延ばされ、絡み合
っているフィブリルが毛球状に戻って、太い繊維を形成
するためである。しかしながら、通常、ゲル状のシート
状成形物は、熱伝導性が大きくないため、表面層に比べ
て中心に近い部分ほど冷却されにくい。しかし、冷却さ
れたサイジングダイスを用いた場合には、金属による熱
伝導の効果で、溶融混練物の冷却ムラを抑えることがで
き、かつ精度の高い空間を所定の圧力で通過することと
あいまって、得られるシート状成形物の形状安定性を飛
躍的に向上させることができる。
【0021】このようにして得られるシート状成形物の
厚みは、通常、0.5〜20mmが好ましい。
【0022】このようにして得られたシート状成形物
は、溶融混練により引き伸ばされ、絡み合っているフィ
ブリル繊維が毛球状に戻って、太い繊維を形成し、シー
ト状成形物に大きな貫通孔が形成されるのを防止するた
めに、ただちに後述する圧延処理に供するか、又は用い
た溶媒の凝固点以下の温度で保存して、ポリオレフイン
樹脂の結晶構造を維持することが好ましい。
【0023】次に、圧延処理を行う。圧延処理を行うた
めの方法としては、特に限定されるものではないが、シ
ート状成形物のベルトプレス機による圧延処理を行うこ
とが好ましい。ここでいうベルトプレス機とは、ベルト
間にサンプルを挟み圧延する構造を有するものを意味す
る。このようなベルトプレス機は、ベルトを駆動ドラム
により一定のスピードで移動できるため、連続した圧延
処理が可能である。
【0024】圧延処理に用いられるベルトプレス機は、
前記構造を有するものであれば特に限定されないが、例
えば、加圧にプレスをもちいた液圧式ダブルベルトプレ
ス機、加圧ロールを用いた加圧ロール式ダブルベルトプ
レス機、ベルト把持型ベルトプレス機、ロートキュアー
等が挙げられるが、これらの中ではギャップ調整の融通
性の観点から加圧ロール式ダブルベルトプレス機が好ま
しい。
【0025】圧延処理は、加熱圧延と冷却圧延を連続し
て行うことが好ましい。加熱圧延と冷却圧延は、加熱ベ
ルトプレス機と冷却ベルトプレス機を分離させて2台の
ベルトプレス機を用いて行ってもよく、1台のベルトプ
レス機内でシート状成形物と接触する加圧手段の接触部
の温度を適宜調整して行ってもよいが、加熱ベルトプレ
ス機と冷却ベルトプレス機を分離させて用いた方が、各
々のベルトプレス機の温度の影響を受けなくなるので任
意に圧延速度を変えることが可能になりライン速度のア
ップが望めるため、好ましい。例えば、ロール式の場
合、所定の温度に加熱された加圧ロール(加熱ロール)
で加熱圧延し、次いで所定の温度に冷却された加圧ロー
ル(冷却ロール)で冷却圧延を行う。
【0026】さらに、2台のベルトプレス機を用いる場
合は、加熱ベルトプレス機と冷却ベルトプレス機のライ
ン速に差をつけることも可能である。加熱ベルトプレス
機ライン速と冷却ベルトプレス機ライン速に差をつける
ことにより、機械軸流れ方向(MD方向)の延伸効果が
得られるだけでなく、MD方向の圧延倍率を制御するこ
とができ、この速度差そのものがMD方向の圧延倍率と
なる。また、両ベルトプレス機間でのシート状成形物の
ネッキングを抑制するために、加熱ベルトプレス機と冷
却ベルトプレス機間の距離をできるだけ小さくとること
が好ましい。
【0027】また、加熱ベルトプレス機前に繰出し装置
を設け、繰出し速度と加熱ベルトプレス機ライン速に差
をつけることも可能である。加熱ベルトプレス機ライン
速と繰出し機スピードに差をつけることは、シートプレ
ス時の蛇行を抑える効果も期待でき、歩留まりを上げる
事が可能になる。
【0028】加熱圧延の際の温度は、好ましくはポリオ
レフィン樹脂の融点−30℃以上、ポリオレフィン樹脂
の融点−10℃以下の温度、より好ましくは、ポリオレ
フィン樹脂の融点−20℃以上、ポリオレフィン樹脂の
融点−15℃以下の温度である。即ち、圧延による薄膜
化を容易に行うために、ポリオレフィン樹脂の融点−3
0℃以上の温度が好ましく、得られた多孔質フィルムを
電池用セパレーターとして使用する際の強度及び厚みの
均一性を確保するために、ポリオレフィン樹脂の融点−
10℃以下の温度が好ましい。なお、本明細書におい
て、ポリオレフィン樹脂の融点とは、DSC測定におけ
る昇温過程での吸熱ピーク値温度を言う。
【0029】冷却圧延の際の温度は、好ましくは40℃
以下、より好ましくは10〜20℃である。即ち、圧延
状態を保持して、加熱圧延後のシート状成形物の弾性回
復を防止して、シートの厚みを均一にするために、40
℃以下が好ましい。
【0030】なお、圧延処理の際の圧延倍率を大きくす
る方法として、加圧ロールのギャップを調整する方法が
挙げられるが、急激に圧延倍率が大きくなるように設定
すると、シート状成形物がベルト間で滑ってしまい、噛
み込みが不十分となり圧延されなくなる。
【0031】加圧ロール組み数は、特に限定されない
が、通常、10〜30個程度であることが好ましい。ま
た、加圧ロールの噛み込み角度は特に眼定されないが、
0〜10°が好ましく、0〜0.5°がより好ましい。
なお、ここで言う噛み込み角度とは、シート状成形物の
進行水平方向に対するベルト面の角度を意味し、該ベル
ト面とは、シート状成形物が噛み込み圧延される領域を
示す。
【0032】加熱圧延の際は、シート状成形物の潤滑な
噛み込みを考慮して、噛み込み角度を持ったベルト間で
加熱圧延し、冷却圧延では目標とされる圧延倍率となる
ように噛み込み角度を0°にしてギャップを一定にする
ことが好ましい。
【0033】また、ベルト面とシート状成形物の摩擦係
数を高くして噛み込みを良好にするために、ベルト面の
表面粗度を制御したり、紙などの給油性のあるシートで
シート状成形物を挟んでサンドイッチ状にして圧延する
方法をとることも可能である。
【0034】なお、プレスによる圧延は一種の固相加工
であり、樹脂組成物を高粘度状態で加工するため、樹脂
内部に分子摩擦が生ずる剪断流動は脆性破壊の原因にな
り、均一な圧延が困難になる。理想的な二軸伸長を達成
するために、流動抵抗を極力小さくし均一な栓流(プラ
グフロー)で流動させることが必要である。そのため
に、樹脂組成物とベルト界面に潤滑剤を介在させてもよ
いが、本発明にあるようにポリオレフィン樹脂と溶媒か
らなる樹脂組成物であれば、圧延処理時に溶媒が組成物
とベルト面間に染み出してきて潤滑剤の役目をする。そ
の挙動を期待する意味でも、ポリオレフィン樹脂と溶媒
との樹脂組成物において、溶媒が70重量%以上である
のが好ましい。
【0035】圧延処理前後に、延伸処理を行ってもよ
い。延伸処理の方法は特に限定されるものではなく、通
常のテンター法、ロール法、インフレーション法又はこ
れらの方法の組み合わせであってもよい。また、一軸延
伸、二軸延伸等いずれの方法をも適用することができ、
二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれ
でもよいが、縦横同時延伸が好ましい。
【0036】圧延されたシート状成形物の延伸倍率は、
1方向に2〜20倍が好ましく、面延伸倍率は4〜40
0倍が好ましい。
【0037】延伸処理時の温度は、ポリオレフィン樹脂
の融点−30℃以上、ポリオレフィン樹脂の融点+5℃
以下の温度が好ましく、ポリオレフィン樹脂の融点−2
5℃以上、ポリオレフィン樹脂の融点以下の温度がより
好ましい。その他の延伸処理条件は、通常用いられる公
知の条件を採用することができる。
【0038】次に、前記シート状成形物の脱溶媒処理を
行う。
【0039】脱溶媒処理は、シート状成形物から溶媒を
除去して多孔質構造を形成させる工程であり、例えば、
シート状成形物を溶剤で洗浄して残留する溶媒を除去す
ることにより行うことができる。溶剤は、樹脂組成物の
調整に用いた溶媒に応じて適宜選択する事ができるが、
具体的には、ペンタン、ヘキサン、へプタン、デカン等
の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化
水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、
アルコール類等の易揮発性溶剤が挙げられ、これらは単
独で又は二種以上を混合して用いることができる。かか
る溶剤を用いた脱溶媒処理の方法は、特に限定されず、
例えば、シート状成形物を溶剤中に浸漬して溶媒を抽出
する方法、溶剤をシート状成形物にシャワーする方法等
が挙げられる。
【0040】本発明では、脱溶媒処理を、シート状成形
物の巾方向の収縮を抑制するためにシート状成形物の巾
方向の両端を固定した状態で行った後、該両端を固定し
たままで、乾燥処理を施すことに大きな特徴を有する。
シート状成形物の巾方向の両端を固定したままで、脱溶
媒処理及び乾燥処理を続けて行うことにより、脱溶媒直
後の溶媒気化による急激なシート状成形物の収縮を防止
して、高空孔率及び優れた通気度を有する多孔質フィル
ムを得ることができる。
【0041】脱溶媒及び乾燥処理におけるシート状成形
物の巾方向の両端を固定する方法は特に限定されない
が、例えば、シート固定治具が一定間隔で取り付けられ
たチェーンが脱溶媒装置内で駆動する方法等が挙げられ
る。シート固定治具は、シート脱着機構の簡便さより、
クリップ、針状固定治具等が好ましく用いられる。
【0042】乾燥工程は、乾燥効率を上げることと、シ
ート状成形物の表面滑り性をよくする目的で、120℃
以下の温度で行うことが好ましく、乾燥時間は温度条件
等により異なるため一概には決定できないが、30秒〜
2分間程度が好ましい。
【0043】本発明では、このようにして得られた多孔
質フィルムに、必要に応じてさらにフィルムの熱収縮を
防止するためのヒートセット処理等を施して、形状固定
してもよい。
【0044】このようにして得られる多孔質フィルムの
厚さは1〜60μm、好ましくは5〜45μmであるこ
とが望ましく、BET比表面積が150m2 /g以上、
細孔容積は0.5cm3 /g以上、貫通孔の平均孔径が
0.03μm以下、最大孔径が0.1μm以下であるこ
とが、それぞれ好ましい。なお、細孔容積及び孔径はB
JH法により測定する事ができる。
【0045】また、多孔質フィルムの空孔率は35〜7
5%、通気度は100〜800秒/100cc、針貫通
強度は400gf/25μm以上であることが、それそ
れ好ましい。
【0046】本発明により得られる多孔質フィルムは、
高強度、高比表面積及び高細孔容積を有し、更に、膜を
貫通する孔の経路、即ち貫通経路が長いにもかかわら
ず、イオン透過性に優れ、高速充放電特性にも優れる。
【0047】また、グローブボックス中でガラスの中に
正極にコバルト酸リチウム電極、負極にカーボン電極を
用い、その間に電解液を含浸させた上記多孔質フィルム
をクッション材となる不織布(電解液含浸品)と共に挟
み込み、充放電特性を調べたところ、高電流密度で高放
電効率を示し、短時間での大出力が可能である。
【0048】更に、本発明により得られた多孔質フィル
ムは、通気性は良好なものの、比表面積が高く、細いフ
ィブリルが高密度に配置して、平均孔径も小さいことか
ら、過充電試験におけるデンドライトによる短絡も生じ
難い。従って、種々の電池、特に電気自動車用バッテリ
ーにおいて、安定性と耐久性に優れる高性能セパレータ
ーとして好適に用いる事ができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。なお、各種特性については下記要領
にて測定を行う。
【0050】(融点)セイコー電子工業社製の示差走査
熱量計「DSC−200」を使用し、室温から200℃
まで10℃/minの割合で昇温させ、この昇温過程で
の吸熱ピーク値を融点とする。
【0051】(重量平均分子量)ウォーターズ社製のゲ
ル浸透クロマトグラフ「GPC−150C」を用い、溶
媒にo−ジクロロベンゼンを、また、カラムとして昭和
電工(株)製の「Shodex−80M」を用いて13
5℃で測定する。データ処理は、TRC社製データ処理
システムを用いて行う。分子量はポリスチレンを基準と
して算出する。
【0052】(フィルムの膜厚)1/10000シック
ネスゲージ及び多孔質フィルムの断面の1万倍走査電子
顕微鏡写真から測定する。
【0053】(空孔率)水銀ポロシメータ(オートスキ
ャン33、ユアサアイオニクス)を使用し、細孔容積
(ml/g)を求め、ポリオレフィン樹脂の密度を0.
95(g/ml)とし、以下の式に基づき算出する。
【0054】
【数1】
【0055】(通気度)JIS P8117に準拠して
測定する。
【0056】(針貫通強度)カトーテック(株)製のハ
ンディー圧縮試験機「KES−G5」を用いて行う。針
は直径1.0mm、先端形状0.5mmのものを使用
し、ホルダー径11.3mm、押し込み速度2mm/秒
にて測定し、フィルムが破れるまでの最大荷重を針貫通
強度とする。値は全て25μmに換算する。
【0057】実施例1 重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹
脂(融点:134℃)15重量部と流動パラフィン(凝
固点:−15℃、40℃における動粘度:59cst)
85重量部とをスラリー状に均一に混合し、得られた混
合物を二軸押し出し機(シリンダー径:40mm、L/
D=42)に20kg/hrの処理量で供給し、160
℃に加熱し、溶解混練して、超高分子量ポリエチレン樹
脂と溶媒との溶融混練物を得た。次いで、二軸押し出し
機先端に取り付けられたフィッシュテールダイを用い、
160℃で混練物をシート状に押出した直後、−15℃
に冷却されたサイジングダイスを通し、急冷結晶化させ
た。
【0058】次いで、このシート状成形物を加熱加圧ロ
ール式ダブルベルトプレス機で約120℃の温度で加熱
圧延した後、冷却加圧ロール式ダブルベルトプレス機を
用い、30℃で冷却圧延を行った。更に、縦横3.5×
3.5倍、125℃で同時二軸延伸した。次いで、延伸
したシート状成形物の巾方向の両端をクリップで挟み固
定した。ヘプタンに5分間浸漬して脱溶媒処理を行った
後、該両端を固定したままで、25℃で1分間乾燥させ
た。このようにして得られた多孔質フィルムを更に13
0℃で10秒間ヒートセットし多孔質フィルムを得た。
【0059】実施例2 乾燥処理を120℃で、30秒間行った以外は、実施例
1と同様の方法で多孔質フィルムを得た。
【0060】比較例1 シート状成形物の巾方向の両端を固定せずに脱溶媒処理
を行った以外は、実施例1と同様の方法で多孔質フィル
ムを得た。
【0061】比較例2 シート状成形物の巾方向の両端を固定せずに乾燥処理を
行った以外は、実施例1と同様の方法で多孔質フィルム
を得た。
【0062】実施例及び比較例において得られた多孔質
フィルムの膜厚、空孔率、通気度及び針貫通強度を表1
に示す。
【0063】
【表1】
【0064】以上の結果より、比較例1、2の多孔質フ
ィルムは、空孔率及び通気度に劣るのに対し、実施例
1、2の多孔質フィルムは、いずれの特性にも優れた値
が得られていることがわかる。
【0065】
【発明の効果】本発明により、厚みが均一で、高強度、
高比表面積及び高細孔容積を有し、かつイオン透過性及
び高速充放電特性にも優れる多孔質フィルムの製造方法
を提供することが可能となった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂及び溶媒を含有する
    樹脂組成物を溶融混練し、得られた溶融混練物をシート
    状に成形し、該シート状成形物の圧延処理と脱溶媒処理
    を行う工程を有する多孔質フィルムの製造方法におい
    て、該脱溶媒処理をシート状成形物の巾方向の両端を固
    定して行った後、該両端を固定したままで、乾燥処理を
    施すことを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により得られた
    多孔質フィルムを有する電池。
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