JP4641206B2 - 多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムを連続的に製造する製造方法に関するものであり、より詳しくは、突刺強度および透過性に優れ、種々の電池、特に電気自動車用電池において、安定性と耐久性に優れる高性能のセパレータとして好適に用いることができる多孔質フィルムの製造方法に関するものである。
種々のタイプの電池が実用に供されているが、近年、電子機器のコードレス化等に対応するため、電池として軽量で、高起電力、高エネルギーが得られ、しかも自己放電が少ないリチウム電池が注目を集めている。例えば、リチウムイオン二次電池などが、携帯電話、ノートブックパソコン用として数多く生産されてきている。また今後は電気自動車用電池としても期待されている。
これら電池の中で正極負極の短絡防止のため、セパレータが介在せしめられるが、かかるセパレータとしては正極負極間のイオンの透過性を確保するため多数の微細孔が形成された多孔質フィルムが使用される。該セパレータ用多孔質フィルムには電池特性に関与する多くの要求特性が必要となるが、高強度でかつ高空孔率であることが要求されている。高強度化は電池の組立作業性の向上、および内部短絡不良率の低下に貢献し、さらにはセパレータの薄膜化による容量アップが期待できる。高空孔率化はイオン透過性を向上させ、充放電特性、特に高レート時の充放電特性が有利になる。
しかし、超高分子量ポリオレフィン樹脂からの多孔質フィルムを電気自動車用電池等のセパレータとして実用的に用いるには、多孔質フィルムが一層の高強度と高空孔率を有するとともに、電解液保液性に優れ、イオン透過性、高速充放電特性に一層優れることが強く要望されている。
従来、多孔質フィルムの製法としては、超高分子量ポリオレフィンや超高分子量ポリオレフィンとその他のポリオレフィン樹脂を溶媒中で加熱溶解した液からゲル状シートをつくり、延伸処理し、残存溶媒を除去する方法など種々提案されている。
このようなセパレータ用の多孔質フィルムの製造方法としては、例えば、下記の特許文献1に、超高分子量ポリオレフィン樹脂を便宜の溶媒中で加熱して溶解し、これをゲル状のシートに成形した後、延伸処理し、次いで脱溶媒処理を行って、シート中に残存する溶媒を除去することによって、多孔質フィルムを製造する方法が開示されている。しかしながら、この製法によれば、混練シートの冷却・結晶化を従来の冷却ロールにより行っているため、冷却速度の兼ね合いから原反厚みを厚くできないという欠点があった。そして原反厚みが薄いと、延伸・脱溶媒処理後のフィルム厚みが薄くなるばかりか、延伸倍率も高くできないために、フィルム強度を高くできないといった問題があった。
また、同様な多孔質フィルムの製造方法として、下記の特許文献2に、溶融混練したポリオレフィン溶液をゲル状に冷却成形する際の冷却条件として、90℃以下まで、好ましくは80〜30℃までは、少なくとも50℃/分という冷却速度で急冷させる方法が開示されている。この製法においても、冷却速度の兼ね合いから、冷却成型時の厚みを厚くできないといった問題がある。また仮に冷却成型時の厚みを厚くできた場合でも、連続工程で製造を行う場合、冷却成形に引き続いて行う圧延・延伸時の昇温時間の問題から、シート内部まで十分な加熱が行えず、シートの伸びや形状が不均一となり、蛇行によって均一な多孔質フィルムが得られないといった問題があった。
一方、下記の特許文献3に、超高分子量ポリエチレンの溶液を90℃以下に冷却されたダイスから押出すことで50℃/分以上の速度で急冷し、厚手原反を製造する方法が開示されている。しかしながら、この製法でも、上記のように連続工程による製造が困難であり、これに加えて、ダイスの形状が複雑で温度制御が困難になり、作業性に劣るという問題があった。
特開平9−87413号公報 特開2000−574599号公報 特公平5−75011号公報
そこで、本発明の目的は、適度な空孔率をもちながら高強度である多孔質フィルムを、連続的な工程により高い生産性で製造できる多孔質フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、連続的な工程により高い生産性で多孔質フィルムを製造する方法について鋭意研究したところ、溶融混練を所定の温度で行い、押出後の冷却を従来より遅い冷却速度にて比較的高い温度まで行うことにより、後の加熱圧延工程が好適に行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の多孔質フィルムの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂及び溶媒を含む組成物を溶融混練し、押出後に冷却してシート状成形物とした後、このシート状成形物を加熱圧延、延伸処理、及び脱溶媒処理する工程を含む多孔質フィルムの製造方法において、少なくとも前記押出、冷却、加熱圧延、及び延伸処理の工程をこの順で連続的に行うと共に、前記溶融混練を140〜220℃で行い、前記冷却を−10℃以上に冷却された冷却媒体により、冷却速度8〜50℃/minにて混練物のゲル化温度より50℃低い温度〜ゲル化温度に達するまで行い、厚み4〜10mmのシート状成形物を得ることを特徴とする。ここで、ゲル化温度とは、溶融した組成物が冷却によりゲル化が開始する温度を指し、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
本発明の多孔質フィルムの製造方法によると、押出後の冷却を従来より遅い冷却速度で行うため、シート状成形物の厚みを大きくすることができ、後の圧延及び延伸の倍率を高めることができるので、適度な空孔率をもちながら高強度である多孔質フィルムを得ることができる。また、冷却速度が遅いため冷却を比較的高い温度で停止することができ、これによって、加熱圧延時の昇温を均一かつ経済的に行うことができるため、加熱圧延工程を連続的に好適に行うことができる。その結果、適度な空孔率をもちながら高強度である多孔質フィルムを、連続的な工程により高い生産性で製造できる。
上記において、前記冷却により厚み4〜10mmのシート状成形物を得た後、100℃以上で加熱圧延を行うことが好ましい。厚み4〜10mmのシート状成形物であると、後の圧延及び延伸の倍率を高められると共に、加熱圧延時の昇温をより均一かつ経済的に行うことができる。
また、前記組成物がポリオレフィン系樹脂10〜40重量%と、溶媒90〜60重量%とを含むことが好ましい。このような組成にすることによって、溶融混練がより均一に行え厚みムラや特性ムラを防止しながら、膜強度を高めることができる。
本発明を以下詳細に説明する。本発明の多孔質フィルムの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂及び溶媒を含む組成物を溶融混練し、押出後に冷却してシート状成形物とした後、このシート状成形物を加熱圧延、延伸処理、及び脱溶媒処理する工程を含むものである。本発明では、少なくとも前記押出、冷却、加熱圧延、及び延伸処理の工程をこの順で連続的に行う。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体などの変成ポリオレフィン樹脂などがあげられる。また、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴムなどオレフィン単位を含有するエラストマー類を用いてもよい。これらのなかでも、特に多孔質フィルムの強度を高くできる観点から、重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンが好ましい。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明では、組成物中のポリオレフィン系樹脂の少なくとも5重量%が重量平均分子量100万以上であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂中の超高分子量ポリオレフィンが5重量%未満では、超高分子量ポリオレフィンの絡み合いが少なく、十分な膜強度が得られない傾向がある。
ポリオレフィン樹脂の配合量は10〜40重量%が好ましい。ポリオレフィン樹脂の配合量が10重量%未満では得られる多孔質フィルムの膜強度が弱く、また40重量%を超えると、均一な混練が困難になり厚みムラ、特性ムラの原因となる傾向がある。
溶媒としては上記ポリオレフィン樹脂の溶解性に優れたものであれば良く、例えばノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、デカリン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式の炭化水素、沸点がこれらに対応する鉱油留分、あるいはこれらの混合物があげられるが、パラフィン油などの不揮発性溶媒が好ましい。
溶媒量としては全重量の60〜90重量%の範囲が好ましく、その範囲を超えると、得られる多孔質フィルムの強度が極端に弱くなり、その範囲未満では均一な混練が困難になり、均一な孔構造の多孔質フィルムが得られない。
また、シャットダウン機能(電池膜内の温度上昇時に、発火等の事故を防止するため、微多孔膜が溶融して微多孔膜を目詰まりさせ、電流を遮断する機能)を付与する目的として、重量平均分子量5×10未満のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマー、グラフトコポリマーが1種類以上含有されてもよい。
また、多孔質フィルムを加熱架橋させるために、反応性官能基を有するポリマーを添加してもよい。このようなポリマーとしては、例えば、二重結合を有するポリマーや酸無水物基などがグラフトされたポリマー、エポキシ基を有するポリマーなどが挙げられる。
二重結合を有するポリマーとしては、例えば、ポリノルボルネンやエチレン−プロピレン−ターポリマー、ポリブタジエンのうち少なくとも1種のポリマーが好ましい。
なお、前記樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、造核剤、顔料、難燃剤、充填剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加しても良い。
溶融混練工程では、ポリオレフィン樹脂と溶媒を均一なスラリー状に混合し、得られた組成物を140〜220℃の範囲の温度、好ましくは150〜180℃の温度で混練し、均一な混練物を調製する。
本発明においては、ポリマー鎖の十分な絡み合いを得るために、上記ポリオレフィン樹脂と溶媒の混合物に高いせん断力を作用させて混練することが重要である。混練時に十分なせん断力を作用させることができないときには絡み合いが不十分になり、強度アップさせることが不可能になる。よって本発明によれば、ポリオレフィン系組成物と溶媒との混練には、混合物に強いせん断力を与えることができるニーダーや2軸混練機が好ましく用いられる。
このようにして得られた溶融混練物をシート状に押出し、その後、冷却速度8〜50℃/minにて混練物のゲル化温度より50℃低い温度〜ゲル化温度に達するまで冷却を行い、シート状成形物を得る。好ましい冷却速度は10〜40℃/minであり、好ましい冷却停止温度は、ゲル化温度より40℃低い温度〜ゲル化温度より10℃低い温度である。
この時の冷却方法は、冷却速度を8〜50℃/minの間で任意に調整できる方法であれば、特に限定されないが、例えば、所定の温度に冷却したサイジングダイスに通すことで冷却する方法、所定の温度に冷却した冷媒中に浸漬し冷却する方法、あるいは所定の温度に冷却されたロールに接触させて冷却する方法等があげられる。
中でも所定の厚みに成形しながら冷却させることができるサイジングダイスを用いる方法が安定性、作業性に優れているため望ましい。また、冷媒としては、水や水で希釈された不凍液等を用いることができる。いずれの方法を採用しても、冷媒の出入り口の温度差を可能な限り小さくして温度ムラや温度勾配のない、かつ冷却効率のより高いものが望ましい。
本発明によれば、上記温度の範囲まで、上記の冷却速度で冷却するが、ポリオレフィン系樹脂として超高分子量ポリエチレンを用いた場合、そのゲル化温度は100〜120℃であり、ゲル化温度−50℃未満の温度に過冷却させないことが重要である。
上記の冷却速度が8℃/min未満では、押出シートからゲル状シートへの成型時の冷却が著しく遅く、混練によって引き延ばされ、絡み合っているフィブリルが糸毬状に戻って太いフィブリルを形成するため、細く、かつ均一なフィブリルからなる微多孔構造が形成されがたく、望ましくない。また、冷却速度が50℃/minを超えると、冷却媒体の温度をかなり低くする必要があり、押出シート表面と中心部の冷却速度の差が大きく、厚み方向のゲル化が不均一になるため、好ましくない。また、冷却速度がかなり速いため、ゲル化温度−50℃未満に過冷却されやすく、到達冷却温度の制御が困難になる。実際、ゲル化温度−50℃未満に過冷却された場合、冷却成形に引き続いて行う圧延、延伸時において、厚み方向を均一に昇温するためには生産速度を遅くする必要があり、生産性向上の点から望ましくない。
冷却後にゲル化したシート状成形物(ゲル状シート)の厚みは、2〜20mmが好ましく、4〜10mmがより好ましい。ゲル状シートの熱伝導性は大きくないために、表面層に比べて中心部に近いほど冷却されにくい傾向がある。特に5mm以上の厚いシートではこの傾向は著しく、表面層は数秒で冷却媒体に近い温度まで冷却されるが、中心部では温度の低下が遅い。このため、押出シートの冷却を、適度な冷却速度に調整することで、厚み方向に均一な孔構造を有する多孔質構造を有するとともに、ゲル化温度−50℃未満に過冷却しないことで、冷却成形に引き続いて行う圧延、延伸時において、昇温過程に時間を要することがなく、生産性向上が期待できる。
次に、得られたシート状成形物の加熱圧延、および延伸を行う。一般的に、加熱圧延および延伸は、ポリオレフィン系組成物の結晶分散温度〜融点(DSC測定におけるオンセット温度)+5℃以下の温度で行う。ポリオレフィン系樹脂として超高分子量ポリエチレンを用いた場合、好ましくは100〜125℃、より好ましくは110〜120℃の温度範囲で行う。
本発明は、特に100℃以上で加熱圧延を行う場合に有効である。加熱圧延の方法については、特に限定されないが、プレス圧延や、ロール圧延など公知の方法で行うことができる。加熱圧延は、シートの厚みが0.5〜1.5mmになるまで行うのが好ましい。
延伸処理の方法は特に限定されるものではなく、通常のテンター法、ロール法、またはこれらの方法の組み合わせであってもよい。また、一軸延伸、二軸延伸等のいずれの方法をも適用することができ、二軸延伸の場合は、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよいが、強度向上の観点から、縦横同時延伸が好ましい。
延伸倍率は、目的とする空孔率や強度により適宜設定できるが、好ましくは、延伸前の面積に対し5〜250倍の範囲で行うのが好ましく、40〜150倍の範囲で行うのがより好ましい。
延伸処理時の温度は、ポリオレフィン系樹脂の融点+5℃以下の温度が好ましい。温度が高すぎると構造が崩れて強度が低下する恐れがある。またあまりにも低い温度であると延伸時に、膜の破断や延伸後の収縮が大きくなる恐れがある。
次いで、このようにした得られた延伸フィルムを適宜の溶剤で洗浄して、フィルムに残留する溶媒を除去する脱溶媒処理を行う。脱溶媒処理に用いる溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類などの易揮発性のものが好ましく用いられる。これらの溶剤は混練時に用いた溶媒に応じて適宜に選ばれる。フィルムに残留する溶媒除去には、例えばフィルムを溶剤に浸漬すればよい。
さらに、抽出されたサンプルの熱収縮性を低下させるために、必要に応じてヒートセット処理を行う。ヒートセット処理はポリオレフィン系組成物の結晶分散温度−10℃〜融点以下の温度で行う。収縮防止のため、ヒートセット時にはサンプルを全周囲固定して行うほうが好ましい。ヒートセット方法については、加熱ロールに接触させる方法や、乾燥機内に放置する方法など公知の方法で行うことができる。
このような本発明による製造方法に従えば、厚みが5〜50μm、好ましくは10〜30μmであり、突き刺し強度が16μmあたり200gf以上で、空孔率が30〜60%、通気度が16μmあたり300秒/100cc以下である多孔質フィルムを得ることができる。
本発明で得られる多孔質フィルムは、適度な空孔率をもちながら高強度であるため、種々の電池用のセパレータ、特に電気自動車用電池セパレータとして、好適に使用できる。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、各種特性については下記要領にて測定を行った。
(重量平均分子量)
ゲル浸透クロマトグラフ(ウオーターズ社製、GPC−150C)により、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用い、135℃で測定した。なおカラムはShodex−80M(昭和電工社製)を用い、データ処理にはTRC社製データ処理システムを用いた。また、分子量はポリスチレンを基準として算出した。
(融点)
(株)セイコー電子工業製、示差走査熱量測定装置(DSC−200)を用いて、昇温速度10℃/minで測定し、オンセット温度を融点とした。
(ゲル化温度)
(株)セイコー電子工業製、示差走査熱量測定装置(DSC−200)を用いて、組成物を昇温速度10℃/minで加熱し、完全に溶解させた後、降温速度30℃/minで冷却し、結晶化ピーク温度を求めた。この結晶化ピーク温度をゲル化温度とした。
(厚み)
1/10000mmシックネスゲージ及び多孔質フィルムの断面の1万倍走査電子顕微鏡写真から測定した。
(空孔率)
フィルムの単位面積Sあたりの重さW、平均厚みt、密度dから下式により算出した値を使用した。
空孔率(%)=(T−(10×W/S/t/d))×100
(通気度)
JIS P8117に準拠して測定した。
(突き刺し強度)カトーテック(株)製の圧縮試験機KES−G5を使用して突き刺し試験を行った。測定により得られた荷重変位曲線より最大荷重を読みとり、突き刺し強度とした。針は直径0.5mm、先端の曲率半径0.5mmを用い、2cm/秒の速度で行った。
実施例1
以下のようにして、溶融混練後の押出、冷却、加熱圧延、延伸処理及び脱溶媒処理を連続したラインで連続的に行った。重量平均分子量が100万の超高分子ポリエチレン12.5重量%、オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学製TPE821)2.5重量%、溶媒である流動パラフィン(40℃における動粘度が59cstの溶媒)85重量%からなる組成物(ゲル化温度101.7℃)を、スラリー状に均一混合し、これを2軸混練機(シリンダー径44mm、L/D=49)に25kg/hrの処理量で供給し、160℃の温度で加熱、溶解させ、混練してポリオレフィン系樹脂と溶媒との混練物を得た。次いで、2軸混練機の先端に取り付けられたTダイ(巾100mm、リップ厚み10mm)を用いて、160℃で混練物をシート状に押出した後、−10℃に冷却されたサイジングダイス(巾100mm、リップ厚み10mm、長さ300mm)に通し、リップ厚みの厚さに成形しながら冷却し、ゲル状シートを得た。このとき、シート中心部の冷却速度は28℃/min、冷却温度は83℃であった。
ついで、このゲル状シートを115℃の温度でシート厚が1.0mmになるまでヒートプレスにより圧延し、120℃の温度で縦横4.0×4.0倍に同時二軸延伸し、ヘプタンを用いて脱溶媒処理を行った。その後、さらに抽出膜を85℃×12hr、116℃×2hrでヒートセット処理を行い多孔質フィルムを得た。このようにして得られた多孔質フィルムの特性は、厚み18.9μm、空孔率42.3%、通気度282秒/100cc、突き刺し強度467gfであった。
実施例2
実施例1において、サイジングダイスの冷却温度を30℃にした以外は同様にして多孔質フィルムを得た。このとき、ゲル状シートを成形する際のシート内部の冷却速度は120℃/min、冷却温度は92℃であった。このようにして得られた多孔質フィルムの特性は、厚み18.0μm、空孔率42.8%、通気度271秒/100cc、突き刺し強度421gfであった。実施例3実施例1において、押出時のTダイのリップ厚みを4mm、サイジングダイスのリップ厚みを4mm、サイジングダイスの冷却温度を20℃にした以外は同様にして多孔質フィルムを得た。このとき、ゲル状シートを成形する際のシート内部の冷却速度は40℃/min、冷却温度は72℃であった。このようにして得られた多孔質フィルムの特性は、厚み14.8μm、空孔率43.7%、通気度180秒/100cc、突き刺し強度266gfであった。
比較例1
実施例1において、2軸混練機先端に取り付けられたTダイ(巾100mm、リップ厚み10mm)を用いて、160℃で混練物をシート状に押出した後、積極的な冷却せずにそのまま放冷し、自然に押出シートをゲル化させた。このとき、ゲル状シートを成形する際のシート内部の冷却速度は2℃/min、冷却温度は60℃であった。このゲルシートを実施例1と同様に延伸処理を行おうとしたが、均一な延伸処理ができず、厚みが不均一で安定した多孔質フィルムを得ることはできなかった。
比較例2
実施例1において、押出時のTダイのリップ厚みを8mm、サイジングダイスのリップ厚みを8mm、サイジングダイスの冷却温度を−30℃にした以外は同様にして押出シートをゲル化させた。このとき、ゲル状シートを成形する際のシート内部の冷却速度は72℃/min、冷却温度は17℃であった。このゲルシートを実施例1と同様な条件で圧延処理を行おうとしたが、予熱時間が足らず、シート内部まで十分予熱されていなかったため、圧延時にゲルシートが蛇行し、多孔質フィルムを得ることができなかった。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂及び溶媒を含む組成物を溶融混練し、押出後に冷却してシート状成形物とした後、このシート状成形物を加熱圧延、延伸処理、及び脱溶媒処理する工程を含む多孔質フィルムの製造方法において、
    少なくとも前記押出、冷却、加熱圧延、及び延伸処理の工程をこの順で連続的に行うと共に、前記溶融混練を140〜220℃で行い、前記冷却を−10℃以上に冷却された冷却媒体により、冷却速度8〜50℃/minにて混練物のゲル化温度より50℃低い温度〜ゲル化温度に達するまで行い、厚み4〜10mmのシート状成形物を得ることを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
  2. 前記冷却により厚み4〜10mmのシート状成形物を得た後、100℃以上で加熱圧延を行う請求項1記載の多孔質フィルムの製造方法。
  3. 前記組成物がポリオレフィン系樹脂10〜40重量%と、溶媒90〜60重量%とを含む請求項1又は2に記載の多孔質フィルムの製造方法。
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