JP2002059544A - インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置

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JP2002059544A
JP2002059544A JP2000247514A JP2000247514A JP2002059544A JP 2002059544 A JP2002059544 A JP 2002059544A JP 2000247514 A JP2000247514 A JP 2000247514A JP 2000247514 A JP2000247514 A JP 2000247514A JP 2002059544 A JP2002059544 A JP 2002059544A
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ink jet
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Hiroyuki Kamei
宏行 亀井
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • B41J2002/14241Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm having a cover around the piezoelectric thin film element
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度且つ各圧力発生室間のクロストークを
低減したインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
並びにインクジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 単結晶シリコンからなりノズル開口21
に連通する圧力発生室12が画成される流路形成基板1
0と、該流路形成基板10の一方面側に振動板50を介
して下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる
圧電素子300とを具備するインクジェット式記録ヘッ
ドにおいて、前記流路形成基板10の他方面側に接合基
板110が接合されていると共に、前記圧力発生室12
の前記接合基板110側に当該圧力発生室12の振動板
50とは反対側の面を画成する充填層100を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介
して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク
滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製
造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通する
圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電
素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノ
ズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振
動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわ
み振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2
種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧力発生室を高
密度で配列した場合、各圧力発生室間の隔壁の厚さが薄
くなることによって隔壁の剛性が不足し、各圧力発生室
間のクロストークが発生する。
【0008】一方、縦振動モードの圧電アクチュエータ
では、圧力発生室の振動板側に幅広部を設け、それ以外
の部分の圧力発生室の幅を低くして隔壁の厚さを大きく
する構造が考えられているが、この場合には、圧力発生
室の幅広部の加工や貼り合わせ等の作業が必要で作業性
及び精度が低いという問題がある。
【0009】本発明はこのような事情に鑑み、高密度且
つ各圧力発生室間のクロストークを低減したインクジェ
ット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェッ
ト式記録装置を提供することを課題とする。
【0010】
【発明が解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、単結晶シリコンからなりノズル開口
に連通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該
流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電
体層及び上電極からなる圧電素子とを具備するインクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の他方
面側に接合基板が接合されていると共に、前記圧力発生
室の前記接合基板側には当該圧力発生室の振動板とは反
対側の面を画成する充填層を有することを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
【0011】かかる第1の態様では、流路形成基板の厚
みの制約を受けず、圧力発生室の深さを容易に制御する
ことができる。
【0012】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記充填層が、融点600〜700℃の金属からな
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0013】かかる第2の態様では、圧電体層の結晶化
温度よりも低い温度で充填層を形成することによって、
充填層の形成時に圧電体層の破壊を確実に防止すること
ができると共に接合基板の接合時に充填層が溶融するこ
となく、高精度で形成することができる。
【0014】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記金属がアルミニウム、アンチモン及びマグネシ
ウムからなる群から選択されることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0015】かかる第3の態様では、充填層に所定の材
料を使用することにより、容易に且つ精度よく充填層を
溶融形成することができる。
【0016】本発明の第4の態様は、第1の態様におい
て、前記充填層が熱可塑性樹脂からなることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0017】かかる第4の態様では、充填層に熱可塑性
樹脂を使用することにより、容易に且つ精度よく充填層
を溶融形成することができる。
【0018】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記圧電体層がチタン酸ジルコン酸鉛
からなり、前記充填層が前記接合基板の接合温度よりも
高く且つ前記圧電体層の結晶化温度より低い融点を有す
る材料からなることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0019】かかる第5の態様では、充填層に所定範囲
の融点の材料を用いることにより、充填層の形成時に、
圧電体層の破壊を確実に防止することができると共に接
合基板の接合時に充填層が溶融することなく、高精度で
形成することができる。
【0020】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記接合基板が、ガラス又は単結晶シ
リコンからなると共に前記流路形成基板に陽極接合によ
って接合されていることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0021】かかる第6の態様では、接合基板を陽極接
合により容易に且つ確実に流路形成基板に接合すること
ができる。
【0022】本発明の第7の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記接合基板が前記流路形成基板に接
着剤により接合されていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
【0023】かかる第7の態様では、接合基板を接着剤
により容易に且つ確実に流路形成基板に接合することが
できる。
【0024】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記圧電素子が成膜及びリソグラフィ
法により形成されていることを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドにある。
【0025】かかる第8の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量且つ比較
的容易に形成できる。
【0026】本発明の第9の態様は、第1〜8の何れか
の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを
特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0027】かかる第9の態様では、ヘッドのインク吐
出特性を向上したインクジェット式記録ヘッドを実現で
きる。
【0028】本発明の第10の態様は、流路形成基板に
圧力発生室を形成すると共に、前記流路形成基板の一方
面側に振動板を介して成膜及びリソグラフィ法により形
成された薄膜からなる下電極、圧電体層及び上電極から
なる圧電素子を形成するインクジェット式記録ヘッドの
製造方法において、前記流路形成基板の一方面側に前記
振動板を介して前記下電極、圧電体層及び上電極を順次
積層及びパターニングして前記圧電素子を形成する工程
と、前記流路形成基板の他方面側に前記振動板まで貫通
する圧力発生室を形成する工程と、前記圧力発生室に充
填剤を所定量充填する工程と、前記流路形成基板の他方
面側に接合基板を接合する工程と、前記充填剤を加熱溶
融することによって前記圧力発生室内の前記接合基板側
に前記振動板とは反対側の面を画成する充填層を形成す
る工程とを有することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドの製造方法にある。
【0029】かかる第10の態様では、流路形成基板の
厚みの制約を受けず、圧力発生室の深さを容易に制御す
ることができる。
【0030】本発明の第11の態様は、第10の態様に
おいて、前記充填剤が、融点600〜700℃の金属か
らなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
【0031】かかる第11の態様では、圧電体層の結晶
化温度よりも低い温度で充填層を形成することによっ
て、充填層の形成時に圧電体層の破壊を確実に防止する
ことができると共に接合基板の接合時に充填層が溶融す
ることなく、高精度で形成することができる。
【0032】本発明の第12の態様は、第11の態様に
おいて、前記金属が、アルミニウム、アンチモン及びマ
グネシウムからなる群から選択されることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0033】かかる第12の態様では、充填層に所定の
材料を使用することにより、容易に且つ精度よく充填層
を溶融形成することができる。
【0034】本発明の第13の態様は、第10の態様に
おいて、前記充填剤が熱可塑性樹脂からなることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0035】かかる第13の態様では、充填層に熱可塑
性樹脂を使用することにより、容易に且つ精度よく充填
層を溶融形成することができる。
【0036】本発明の第14の態様は、第10〜13の
何れかの態様において、前記圧電体層がチタン酸ジルコ
ン酸鉛からなり、前記充填剤が前記接合基板の接合温度
より高く且つ前記圧電体層の結晶化温度より低い融点を
有する材料からなることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドの製造方法にある。
【0037】かかる第14の態様では、充填層に所定範
囲の融点の材料を用いることにより、充填層の形成時
に、圧電体層の破壊を確実に防止することができると共
に接合基板の接合時に充填層が溶融することなく、高精
度で形成することができる。
【0038】本発明の第15の態様は、第10〜14の
何れかの態様において、前記接合基板が単結晶シリコン
又はガラスからなり、前記流路形成基板と前記接合基板
とを陽極接合によって接合することを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0039】かかる第15の態様では、接合基板を陽極
接合により容易に且つ確実に流路形成基板に接合するこ
とができる。
【0040】本発明の第16の態様は、第10〜14の
何れかの態様において、前記流路形成基板と前記接合基
板とを接着剤によって接合することを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0041】かかる第16の態様では、接合基板を接着
剤により容易に且つ確実に流路形成基板に接合すること
ができる。
【0042】本発明の第17の態様は、第10〜16の
何れかの態様において、前記充填剤が、顆粒形状を有す
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造
方法にある。
【0043】かかる第17の態様では、圧力発生室とな
る凹部内に容易に所定量の充填剤を充填することができ
る。
【0044】本発明の第18の態様は、第10〜17の
何れかの態様において、前記流路形成基板及び前記充填
層にノズル開口と連通するノズル連通口及び前記圧力発
生室にインクを供給するインク供給口を形成する工程を
さらに有することを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法にある。
【0045】かかる第18の態様では、圧力発生室にイ
ンク供給口を介して比較的容易にインクを供給すること
ができると共にノズル連通口を介してノズル開口から容
易にインクを吐出することができる。
【0046】本発明の第19の態様は、第18の態様に
おいて、前記ノズル連通口及びインク供給口をエキシマ
レーザ又はドライエッチングにより形成することを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0047】かかる第19の態様では、ノズル連通口及
びインク供給口を比較的容易に形成することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0049】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であ
り、図2は、圧力発生室の並設方向の断面図及びそのA
−A’断面図である。
【0050】図示するように、流路形成基板10は、シ
リコン単結晶基板からなり、その一方の面には異方性エ
ッチングすることにより複数の隔壁11により区画され
た圧力発生室12が形成されている。
【0051】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板を水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬する
と、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(1
11)面と、この第1の(111)面と約70度の角度
をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第
2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチン
グレートと比較して(111)面のエッチングレートが
約1/180であるという性質を利用して行われるもの
である。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の
(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形
成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工
を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列する
ことができる。
【0052】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより凹部120を形成し、この凹部120内の
開口する面側に充填層100を設けることにより、圧力
発生室12は浅く形成されている。
【0053】この凹部120内に設けられる充填層10
0の材料は、特に限定されないが、融点が後述する圧電
体層70の結晶化温度よりも低い材料であることが好ま
しい。これは、充填層100が加熱溶融することにより
形成されるため、圧電体層70の結晶化温度よりも高温
であると、充填層100を加熱溶融した際に圧電体層7
0を破壊する虞があるからである。
【0054】そのため、充填層100の材料は、例え
ば、融点600〜700℃のアルミニウム、アンチモン
及びマグネシウム等の金属や熱可塑性樹脂等が挙げられ
る。本実施形態では、充填層100の材料として、融点
650℃のマグネシウムを用いた。
【0055】また、各圧力発生室12の長手方向両端部
近傍の充填層100には、インクの流路となるインク連
通路101,102が開口している。このインク連通路
101,102は、圧力発生室12の幅より小さい径で
充填層100を貫通して設けられており、エキシマレー
ザ等によるレーザ加工、あるいはドライエッチング等に
より形成されている。
【0056】さらに、流路形成基板10のインク連通路
101,102が開口する面には、各インク連通路10
1,102に連通するインク連通孔111及び112が
設けられたガラス又はシリコン単結晶基板からなる接合
基板110が接合されている。
【0057】この接合基板110は、凹部120内で充
填層100を加熱溶融して形成する際に、充填層100
の底面を形成するためのものである。この接合基板11
0の接合方法は、特に限定されず、例えば、熱硬化型接
着剤による接着、陽極接合による接合等が挙げられる。
本実施形態では、接合基板110にガラスを用いて陽極
接合により接合した。
【0058】ここで、陽極接合とは、内部に稼働イオン
を含むガラスとシリコンとを重ね、加熱状態でシリコン
側を正電位となる方向に直流電圧を加えてガラスとシリ
コンとを化学結合するものである。
【0059】詳しくは、相対する面を鏡面状に研磨した
シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10と、ガラ
スからなる接合基板110とを重ね、全体を450℃近
くに昇温させ、200〜1000Vの電位を両端に印加
する。このとき、ガラスの融点以下の温度でも、正のN
+イオンはガラスの中で動きやすくなるため、負電界
に引かれてガラスの表面に到達する。一方、ガラス中に
残った多量の負イオンがシリコン単結晶基板との接着面
に空間電荷層を形成して、シリコン単結晶基板とガラス
との間に強い吸引力が生じ、流路形成基板10と接合基
板110とを陽極接合させる。
【0060】なお、本実施形態では、接合基板110を
ガラスで形成するようにしたが、例えば、流路形成基板
10と同材料のシリコン単結晶基板で形成した場合に
は、流路形成基板10と接合基板110との接合面に酸
化シリコン層を設けることにより、これらを陽極接合で
接合することができる。
【0061】また、このような陽極接合は、充填層10
0に、融点が陽極接合の加熱温度(450℃)以上の材
料を用いた場合に実施するのが好ましい。これは、充填
層100の溶融形成が凹部120内で接合基板110を
接合した後に行われるため、接合基板110を陽極接合
する際に充填層100が溶融してしまうと、充填層10
0が弾性膜50等に付着し易く、充填層100の形成精
度が低下してしまう虞があるためである。
【0062】なお、本実施形態では、接合基板110を
陽極接合によりに接合するようにしたが、これに限定さ
れず、例えば、接合基板110を接着剤を介して流路形
成基板10に接合するようにしてもよい。
【0063】このように接合された接合基板110のイ
ンク連通孔111,112が開口する面には、各インク
連通孔111に連通するノズル開口21と、各インク連
通孔112に連通するインク供給連通口22とが穿設さ
れたノズルプレート20が接合されている。このノズル
プレート20の接合方法は、例えば、接着剤又は熱溶着
フィルムを介した接着や陽極接合による接合等、特に限
定されない。なお、ノズルプレート20は、厚さが例え
ば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、
例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセ
ラミックスからなる。ノズルプレート20は、一方の面
で流路形成基板10を覆い、シリコン単結晶基板である
流路形成基板10を衝撃や外力から保護する補強板の役
目も果たしている。
【0064】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
【0065】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、ノズルプレート20に形成されたイン
ク供給連通口22を介して連通されており、インクはこ
のインク供給連通口22を介して共通インク室31から
供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0066】また、共通インク室31に供給されるイン
クは、ノズルプレート20の共通インク室31に対向す
る領域に形成されたインク導入口23により供給され
る。
【0067】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0068】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成されている。なお、薄肉壁4
1は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口21と反
対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発
生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は
負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、イン
ク導入口23と外部のインク供給手段との接続時等に必
要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmと
し、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としてい
るが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略
するために、インク室側板40の厚さを初めから0.0
2mmとしてもよい。
【0069】一方、圧力発生室12が形成された流路形
成基板10上には、例えば、二酸化シリコン等の絶縁層
からなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が設けられてい
る。この弾性膜50は、一方の面で圧力発生室12の一
壁面を構成している。
【0070】このような弾性膜50の上の各圧力発生室
12に相対向する領域には、厚さが例えば、約0.5μ
mの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体
層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80
とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子3
00を構成している。ここで、圧電素子300は、下電
極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態で
は、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上
電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、
駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部
が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素
子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じ
る弾性膜とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
【0071】また、圧電素子300の個別電極である上
電極膜80は、上電極膜80上から弾性膜50上まで延
設されたリード電極90を介して図示しない外部配線と
接続されている。
【0072】ここで、このような本実施形態のインクジ
ェット式記録ヘッドの製造工程、特に、流路形成基板1
0に圧力発生室12を形成する工程及びこの圧力発生室
12に対応する領域に圧電素子300を形成する工程に
ついて、以下に説明する。なお、図3〜図5は、圧力発
生室12の長手方向の断面図である。
【0073】図3(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して流路形成基板10の両面に、
それぞれ二酸化シリコンからなる弾性膜50及び保護膜
55を一度に形成する。
【0074】次に、図3(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を流路形成基板10の圧力発生室
12側に全面に亘って形成すると共に所定形状にパター
ニングする。この下電極膜60の材料としては、白金、
イリジウム等が好適である。これは、スパッタリング法
やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜
後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000
℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからで
ある。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高
温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、
殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変
化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金、イ
リジウムが好適である。
【0075】次に、図3(c)に示すように、圧電体層
70及び上電極膜80を形成すると共に圧電体層70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300の
パターニングを行う。
【0076】この圧電体層70は、例えば、本実施形態
では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾル
を塗布乾燥してゲル化し、さらに600〜1000℃、
本実施形態では700℃で焼成することで金属酸化物か
らなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用
いて形成した。圧電体層70の材料としては、PZT系
の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合に
は好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、
特に限定されず、例えば、スパッタリング法又はMOD
法(有機金属熱塗布分解法)等のスピンコート法により
成膜してもよい。
【0077】また、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法
もしくはMOD法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆
体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低
温で結晶化させる方法を用いてもよい。
【0078】さらに、上電極膜80は、導電性の高い材
料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等
の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施
形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0079】次に、図3(d)に示すように、リード電
極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共
に、各圧電素子300毎にパターニングする。
【0080】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図4(a)に示すように、流路
形成基板10の圧電素子300とは反対側の面に設けら
れた保護膜55をパターニングする。
【0081】次に、図4(b)に示すように、パターニ
ングされた保護膜55をマスクパターンとして前述した
シリコン単結晶基板(流路形成基板)10の異方性エッ
チングを行い凹部120を形成する。この凹部120
は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達す
るまでエッチングすることにより形成される。
【0082】次に、図4(c)に示すように、凹部12
0の開口面を上にして、凹部120に充填層100の材
料である充填剤100Aを所定量充填する。なお、充填
剤100Aの形状は、例えば、チップ状、顆粒状等、特
に限定されない。本実施形態では、充填剤100Aとし
て顆粒状のマグネシウムを用いた。
【0083】次に、図4(d)に示すように、流路形成
基板10の凹部120の開口した面に接合基板110を
陽極接合で接合する。接合基板110がガラスで形成さ
れており、充填剤100Aとして、融点が陽極接合の加
熱温度(450℃)以上の材料、すなわち、融点650
℃のマグネシウムを用いたため、陽極接合の際に充填剤
100Aが溶融することなく、簡単に接合することがで
きる。
【0084】なお、この接合基板110の接合方法は、
特に限定されず、例えば、接合基板110を接着剤を介
して流路形成基板10に接合するようにしてもよい。
【0085】次に、図5(a)に示すように、充填剤1
00Aを加熱溶融して充填層100を形成して圧力発生
室12を画成する。
【0086】充填剤100Aの加熱溶融は、予め充填剤
100Aを接合基板110側に寄せるように接合基板1
10側を下にして行うことにより、充填剤100Aが弾
性膜50側に付着することによって形成精度が低下する
のを確実に防ぐことができる。また、充填剤100Aの
加熱温度は、充填剤100Aの融点以上で且つ圧電体層
70の結晶化温度以下の温度、すなわち、本実施形態で
は650〜700℃で加熱するのが好ましい。これによ
り、圧電体層70の破壊を確実に防止することができる
と共に確実に充填剤100Aを確実に溶融して圧力発生
室12を画成することができる。
【0087】なお、圧電体層70は、形成時に結晶化を
行わず、仮焼成により形成した後、本工程で充填層10
0の形成と圧電体層70の結晶化とを同時に行うように
してもよい。
【0088】また、充填剤100Aとして、陽極接合時
の温度(450℃)以下の材料を使用した場合は、本工
程で充填剤100Aを溶融して充填層100を形成する
工程と接合基板110を接合する工程とを同時に行うよ
うにしてもよい。
【0089】次に、図5(b)に示すように、充填層1
00及び接合基板110にインク連通路101,102
及びインク連通孔111,112を形成する。
【0090】インク連通路101,102及びインク連
通孔111,112の形成方法は、特に限定されず、例
えば、エキシマレーザ等によるレーザ加工、あるいはド
ライエッチング等が挙げられる。
【0091】以上のような工程で、圧力発生室12及び
圧電素子300が形成される。
【0092】以上説明した一連の膜形成及び異方性エッ
チングでは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形
成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップ
サイズの流路形成基板10毎に分割する。又、分割した
流路形成基板10を、ノズルプレート20、共通インク
室形成基板30及びインク室側板40と順次接着して一
体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0093】このように構成したインクジェット式記録
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口23からインクを取り込み、共通インク室3
1からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たし
た後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加
し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわ
み変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高
まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0094】以上説明したように、本実施形態では、流
路形成基板10を貫通する凹部120内に充填層100
を設け、この充填層100により圧力発生室12の弾性
膜50とは反対側の面を画成するようにしたため、流路
形成基板10の厚みや制約を受けず、任意の深さの圧力
発生室12を容易に形成することができる。また、流路
形成基板10に圧力発生室12を高密度で配設して、隔
壁11の厚みを薄くしても、圧力発生室12を浅く形成
することができるため隔壁11の剛性を保つことができ
る。そのため、クロストークの発生を抑えて圧力発生室
12を高密度で配設することができる。
【0095】また、流路形成基板10の薄化や、犠牲層
等を使う必要がないため、比較的容易に製造することが
できる。
【0096】(実施形態2)図6は、本発明の実施形態
2に係るインクジェット式記録ヘッドの上面図及び圧力
発生室の長手方向の断面図である。
【0097】図示するように、本実施形態では、流路形
成基板10の圧電素子300側に圧電素子保持部131
を有する封止板130を設け、この封止板130に圧力
発生室12にインクを供給する共通インク室31を設け
るようにした以外、上述した実施形態1と同様の構成で
ある。
【0098】また、本実施形態では、充填層100とし
て、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂(ポリ
エチレン、ポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(ナイロ
ン)、フッ素樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポ
リカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いた。
【0099】また、接合基板110は、接着剤を介して
流路形成基板10に接合されている。
【0100】この接着剤としては、熱硬化型のエポキシ
系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の接着剤
が挙げられる。
【0101】このように、熱硬化型接着剤によって接合
基板110を流路形成基板10に接合する場合には、熱
硬化型接着剤の加熱硬化と熱可塑性樹脂からなる充填層
100の溶融形成とを同時に行うようにしてもよい。こ
れにより、接合基板110の接合と充填層100の溶融
形成を同時に行うことができ、製造工程を簡略化するこ
とができる。
【0102】このように、充填層100に熱可塑性樹脂
を用い、接合基板110を接着剤を介して接合するよう
にしても上述した実施形態1と同様に、流路形成基板1
0の厚みや制約を受けず、任意の深さの圧力発生室12
を容易に形成することができる。また、流路形成基板1
0に圧力発生室12を高密度で配設して、隔壁11の厚
みを薄くしても、圧力発生室12を浅く形成することが
できるため隔壁11の剛性を保つことができる。そのた
め、クロストークの発生を抑えて圧力発生室12を高密
度で配設することができる。
【0103】また、流路形成基板10の薄化や、犠牲層
等を使う必要がないため、比較的容易に製造することが
できる。
【0104】なお、勿論、上述した実施形態1と同様に
接合基板110の接合と充填層100の溶融形成とを別
工程で行うようにしてもよい。
【0105】また、充填層100に熱可塑性樹脂を用い
て、接合基板110を陽極接合により接合するようにし
てもよい。このとき、陽極接合の際の加熱により、同時
に充填層100の溶融形成を行うようにすればよい。
【0106】また、流路形成基板10の圧電素子300
側に接合される封止板130は、シリコン単結晶基板か
らなる流路形成基板10の熱膨張係数と略同一の材料を
用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板
10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成され
ている。
【0107】また、封止板130の圧電素子保持部13
1内には、例えば、不活性ガス等の乾燥流体が充填され
るのが好ましい。これは圧電素子300がこの圧電素子
保持部131内の乾燥流体雰囲気中に確実に密封されて
外部環境と遮断され、大気中の水分等の外部環境による
圧電素子300の破壊を防止している。
【0108】なお、乾燥流体としては、不活性ガスの
他、還元性ガスを用いることもできるが、逆に、酸化性
ガスを含有させることにより、圧電体層70の劣化を防
止する環境を形成することができる。また、このような
不活性ガスを用いる場合には、その中の水の蒸気圧(分
圧)をできるだけ低くするのが望ましい。また、圧電素
子保持部131の形成方法は特に限定されず、例えば、
フッ酸によるエッチングやサンドブラスト等が挙げられ
る。
【0109】また、この封止板130は、本実施形態で
は、圧力発生室12にインクを供給する共通インク室3
1を有する共通インク室形成基板を兼ねている。この共
通インク室31は、本実施形態では、封止板130を厚
さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成
されている。そして、流路形成基板10の弾性膜50を
貫通して形成された貫通孔51を介して連通されてい
る。
【0110】このような貫通孔51は、充填層100を
加熱溶融して形成した後、弾性膜50を貫通して形成さ
れる。そのため、充填層100を形成する際に貫通孔5
1及び共通インク室31内に充填層100が流入するこ
とがない。
【0111】さらに、封止板130には、封止膜141
及び固定板142とからなるコンプライアンス基板14
0が接合されている。ここで、封止膜141は、剛性が
低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリ
フェニレンスルフィド(PPS)フィルム)からなり、
この封止膜141によって共通インク室31の一方面が
封止されている。また、固定板142は、金属等の硬質
の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SU
S)等)で形成される。この固定板142の共通インク
室31に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された
開口部143となっているため、共通インク室31の一
方面は可撓性を有する封止膜141のみで封止され、内
部圧力の変化によって変形可能になっている。
【0112】また、この共通インク室31の長手方向略
中央部外側のコンプライアンス基板140上には、共通
インク室31にインクを供給するためのインク導入口1
44が形成されている。さらに、封止板130には、イ
ンク導入口133と共通インク室31の側壁とを連通す
るインク導入路134が設けられている。
【0113】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態1及び2を説明したが、インクジェット式記録ヘッド
の基本的構成は上述したものに限定されるものではな
い。
【0114】これら各実施形態のインクジェット式記録
ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路
を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、イン
クジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのイン
クジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0115】図7に示すように、インクジェット式記録
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0116】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、流路
形成基板の振動板の設けられた面とは反対側の面に接合
基板を接合すると共に圧力発生室の振動板とは反対側の
面を画成する充填層を設けるようにしたため、圧力発生
室の深さを充填層によって容易に制御することができ
る。また、流路形成基板の薄化等を行うことなく圧力発
生室を浅く形成することができるため、圧力発生室間の
クロストークを防止して高密度に配設することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの圧力発生室の並設方向の断面図及びそのA−
A’断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの上面図及び断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 22 インク供給連通口 23 インク導入口 30 共通インク室形成基板 40 インク室側板 50 弾性膜 51 貫通孔 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 90 リード電極 100 充填層 100A 充填剤 101、102 インク連通路 110 接合基板 111,112 インク連通孔 120 凹部 130 封止板 140 コンプライアンス基板 300 圧電素子

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶シリコンからなりノズル開口に連
    通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路
    形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層
    及び上電極からなる圧電素子とを具備するインクジェッ
    ト式記録ヘッドにおいて、 前記流路形成基板の他方面側に接合基板が接合されてい
    ると共に、前記圧力発生室の前記接合基板側には当該圧
    力発生室の振動板とは反対側の面を画成する充填層を有
    することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記充填層が、融点
    600〜700℃の金属からなることを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記金属がアルミニ
    ウム、アンチモン及びマグネシウムからなる群から選択
    されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記充填層が熱可塑
    性樹脂からなることを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
    電体層がチタン酸ジルコン酸鉛からなり、前記充填層が
    前記接合基板の接合温度よりも高く且つ前記圧電体層の
    結晶化温度より低い融点を有する材料からなることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記接
    合基板が、ガラス又は単結晶シリコンからなると共に前
    記流路形成基板に陽極接合によって接合されていること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記接
    合基板が前記流路形成基板に接着剤により接合されてい
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記圧
    電素子が成膜及びリソグラフィ法により形成されている
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかのインクジェット
    式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
    ト式記録装置。
  10. 【請求項10】 流路形成基板に圧力発生室を形成する
    と共に、前記流路形成基板の一方面側に振動板を介して
    成膜及びリソグラフィ法により形成された薄膜からなる
    下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成す
    るインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、 前記流路形成基板の一方面側に前記振動板を介して前記
    下電極、圧電体層及び上電極を順次積層及びパターニン
    グして前記圧電素子を形成する工程と、前記流路形成基
    板の他方面側に前記振動板まで貫通する圧力発生室を形
    成する工程と、前記圧力発生室に充填剤を所定量充填す
    る工程と、前記流路形成基板の他方面側に接合基板を接
    合する工程と、前記充填剤を加熱溶融することによって
    前記圧力発生室内の前記接合基板側に前記振動板とは反
    対側の面を画成する充填層を形成する工程とを有するこ
    とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記充填剤が、
    融点600〜700℃の金属からなることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記金属が、ア
    ルミニウム、アンチモン及びマグネシウムからなる群か
    ら選択されることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項10において、前記充填剤が熱
    可塑性樹脂からなることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10〜13の何れかにおいて、
    前記圧電体層がチタン酸ジルコン酸鉛からなり、前記充
    填剤が前記接合基板の接合温度より高く且つ前記圧電体
    層の結晶化温度より低い融点を有する材料からなること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10〜14の何れかにおいて、
    前記接合基板が単結晶シリコン又はガラスからなり、前
    記流路形成基板と前記接合基板とを陽極接合によって接
    合することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項10〜14の何れかにおいて、
    前記流路形成基板と前記接合基板とを接着剤によって接
    合することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項10〜16の何れかにおいて、
    前記充填剤が、顆粒形状を有することを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項10〜17の何れかにおいて、
    前記流路形成基板及び前記充填層にノズル開口と連通す
    るノズル連通口及び前記圧力発生室にインクを供給する
    インク供給口を形成する工程をさらに有することを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項18において、前記ノズル連通
    口及びインク供給口をエキシマレーザ又はドライエッチ
    ングにより形成することを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッドの製造方法。
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