JP2002055228A - 光学フィルム - Google Patents

光学フィルム

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JP2002055228A
JP2002055228A JP2000240972A JP2000240972A JP2002055228A JP 2002055228 A JP2002055228 A JP 2002055228A JP 2000240972 A JP2000240972 A JP 2000240972A JP 2000240972 A JP2000240972 A JP 2000240972A JP 2002055228 A JP2002055228 A JP 2002055228A
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film
retardation
sio
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carbon atoms
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JP2000240972A
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Masaaki Nakamura
正明 中村
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光線透過性が高く、位相差の波長依存性が小さ
く、応力負荷に対する位相差変化が小さく、かつ耐屈曲
性の優れた位相差フィルムを製造し得る光学フィルムを
提供する。 【解決手段】(A)側鎖に置換または非置換イミド基を
有する熱可塑性樹脂、および(B)有機シリコーン化合
物を含有する光学フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学特性に優れた、
新規な光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】代表的には反射型TFT液晶表示装置な
どに見られるように、近年、位相差フィルムは液晶表示
装置に広く使用されている。位相差フィルム用の材料と
しては、ポリカーボネートが広く使用されている。
【0003】位相差フィルムの用途はさらに広がってお
り、それにつれてより高度な機能が要求されてきてい
る。それら要求のなかで特に重要なものの一つに、位相
差の波長依存性を小さくすることがあげられる。この位
相差の波長依存性は、例えばRe(400)/Re(5
50)で定義され、ここで、Re(400)は、波長4
00nmの単色光で測定したフィルムの位相差を表し、
Re(550)は、波長550nmの単色光で測定した
フィルムの位相差を表す。
【0004】位相差フィルムを1/4波長板や1/2波
長板として使用する場合には、フィルムは、可視光の波
長の全領域に対してすべて1/4波長あるいは1/2波
長に相当する位相差を発現することが望ましい。波長に
よって位相差が異なると、透過光の偏光状態が不揃いと
なるためである。しかし、一般にポリマー材料には位相
差の波長依存性、すなわち透過光の波長によって位相差
が異なるという性質があり、ポリカーボネートは、この
波長依存性が比較的大きい。このような波長依存性の大
きい位相差フィルム使った反射型TFT液晶表示装置で
黒表示をする場合、バックライトからの光を完全に遮光
することができないため、コントラストや階調表示の低
下を招いてしまう。
【0005】特開平5−27118号公報、特開平5−
27119号公報、特開平5−100114号公報およ
び特開平10−68816号公報では、2枚の位相差フ
ィルムを所定の角度で貼合することによりポリカーボネ
ートフィルムでも波長依存性の小さな位相差フィルムが
できることが提案されている。しかしながら、ポリカー
ボネートは配向位相差が生じ易いため、位相差フィルム
を製造する際の延伸工程における張力のわずかな振れに
より位相差のバラツキが生じやすい。さらにこのような
位相差フィルムを貼合する場合、貼合時の張力により所
望する位相差がずれてしまうばかりでなく、貼合後の偏
光板の収縮等により、位相差値が変化しやすい。
【0006】一方、特開平9−328523号公報には
特定のマレイミド・オレフィン共重合体からなるフィル
ムが提案され、該フィルムが透明性や低複屈折性などの
好ましい特性を有することが開示されている。
【0007】しかしながら、該共重合体からなるフィル
ムは、機械的特性が十分でなく、フィルムの屈曲時など
に割れやすい、引張応力負荷時に破断しやすいなど、フ
ィルムの生産時や加工時の取扱い性が悪く、工業的な利
用に際して充分な特性を有しているとはいえなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
欠点を改良し、位相差の波長依存性が小さく、応力によ
る位相差ズレが小さく、耐屈曲性に優れる位相差フィル
ムを生成し得る光学フィルムを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は、鋭意研究した結果、特定の構造を有す
る少なくとも2種の成分、すなわち側鎖にイミド基(置
換または非置換イミド基)を有する熱可塑性樹脂、およ
び有機シリコーン化合物を含有する樹脂組成物から作ら
れたフィルムが所期の目的を達成できることを見いだ
し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は、(A)側鎖に置換ま
たは非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂、および
(B)有機シリコーン化合物を含有する光学フィルムを
提供する。
【0011】本発明の光学フィルムは、光線透過率が8
0%以上である透明性を有することが好ましい。
【0012】好ましくは、熱可塑性樹脂(A)は、下記
式(1)
【0013】
【化3】
【0014】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示
す。)で表される繰り返し単位と、下記式(2)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、Rは、炭素数1〜18のアルキル
基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示
す。)で表される繰り返し単位を含有する。
【0017】また、好ましくは、有機シリコーン化合物
(B)は、下記一般式(3)、(4)、(5)および
(6) (SiO4/2) (3) (R4SiO3/2) (4) (R45SiO2/2) (5) (R456SiO1/2) (6) (式中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水酸
基、炭素数が1〜12の1価の炭化水素基、または、反
応性基を有する炭素数1〜16個の置換アルキル基もし
くは置換アリール基を表す。)で表される基本構造単位
を、(SiO4/2)単位0〜20モル%、(R4SiO3/
2)単位0〜40モル%、(R45SiO2/2)単位0〜
80モル%、および(R 456SiO1/2)単位10〜
80モル%の割合で含有する。
【0018】本発明は、他の側面において、本発明の光
学フィルムを少なくとも一軸に延伸して得られる位相差
フィルムを提供する。
【0019】本発明のさらに他の側面によれば、本発明
の位相差フィルムを少なくとも一枚用いた位相差フィル
ムであって、位相差が550nmの単色光に対して90
nmから1000nmであることを特徴とする位相差板
が提供される。
【0020】さらにまた、本発明によれば、本発明の位
相差フィルムと偏光板が積層されて一体化された楕円偏
光板もしくは円偏光板を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルムは、(A)
側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹
脂、および(B)有機シリコーン化合物を含有する樹脂
組成物を含有する。
【0022】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)
は、側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性
樹脂である。側鎖に置換または非置換イミド基を有する
ことによって光学特性や耐熱性などの点で好ましい特性
バランスを発現できる。前記熱可塑性樹脂(A)は、少
なくとも1種のオレフィン(アルケン)から誘導される
繰り返し単位と少なくとも1種の置換あるいは非置換マ
レイミド構造を有する繰り返し単位とを含有するオレフ
ィン−マレイミド共重合体(二元もしくはそれ以上の多
元共重合体)であることが好ましい。さらには、前記オ
レフィン−マレイミド共重合体は、下記式(1)
【0023】
【化5】
【0024】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示
す。)で表される繰り返し単位と、下記式(2)
【0025】
【化6】
【0026】(式中、Rは、水素、炭素数1〜18のア
ルキル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示し、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、また
は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)で表さ
れる繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0027】式(1)の繰り返し単位(以下、オレフィ
ン単位という)に対応するオレフィンは、下記式
(7):
【0028】
【化7】
【0029】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示
す。)で表される。
【0030】前記オレフィンの具体例としては、イソブ
テン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペン
テン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘ
プテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテ
ン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ブテ
ン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキ
セン他が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、
あるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0031】前記式(2)の繰り返し単位(以下、マレ
イミド単位という)に対応するマレイミド化合物は、下
記式(8):
【0032】
【化8】
【0033】(式中、Rは、水素、炭素数1〜18のア
ルキル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示し、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、また
は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)で表さ
れる。
【0034】前記マレイミド化合物の具体例としては、
マレイミド、並びにN−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プ
ロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i
−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−
t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、
N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイ
ミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレ
イミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピ
ルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シク
ロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチ
ルマレイミド等のN−置換マレイミド他が挙げられる。
これらのマレイミド化合物は、単独で、または2種以上
を組み合わせて用いることができる。マレイミド化合物
としては、N−置換マレイミド(式(8)において、R
が水素以外の基)が特に好ましい。
【0035】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)
は、上記オレフィンとマレイミド化合物とを既知の重合
方法により重合させることにより製造することができ
る。この重合には、グラフト重合も含まれる。あるい
は、本発明の熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィンと
無水マレイン酸とを常法に従って重合させて前駆重合体
とした後、これにアミン化合物を反応させて前駆重合体
の無水マレイン酸部位をイミド化させることによっても
製造することができる。その場合に使用するアミン化合
物としては、前記式(2)のマレイミド単位におけるイ
ミド部位に対応するアミンを用いることができ、具体的
には、R−NH2(ただし、Rは、式(2)に同じ。)
で表されるアミン化合物、例えばメチルアミン、エチル
アミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n
−ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミ
ン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミンやアンモ
ニアの他、ジメチル尿素、ジエチル尿素等を好ましく例
示することができる。この場合にも、前記オレフィン単
位とマレイミド単位を有する共重合体が得られる。
【0036】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)
は、前記オレフィン単位とマレイミド単位以外の成分と
して、他の共重合性単量体を共重合成分として含有する
ことができる。他の共重合性単量体を光学的特性を損な
わない程度に含有させることにより、熱可塑性樹脂
(A)の耐熱性を向上させたり、機械的強度を増大させ
たりすることができる。前記共重合性単量体の具体例と
しては、アクリル酸メチルやアクリル酸ブチルのような
アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸メチルやメタ
クリル酸シクロヘキシルのようなメタクリル酸エステル
単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル単量体、メチル
ビニルエーテルのようなビニルエーテル単量体等のビニ
ル単量体、並びに無水マレイン酸のような不飽和二重結
合を有する酸無水物等が挙げられる。これらの共重合性
単量体は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0037】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)
は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共
重合体、交互共重合体のいずれであってもよいが、少な
くとも一部が交互共重合体構造であることは好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A)は、式(1)におけるR1が水
素であり、R2およびR3がそれぞれメチル基であるオレ
フィン単位すなわちイソブチレン単位と、式(2)にお
けるRがメチル基、エチル基、イソプロピル基およびシ
クロヘキシル基から選ばれたアルキル基である1種以上
のマレイミド単位とを含有する共重合体であることが好
ましく、さらには、イソブチレン単位と、N−メチルマ
レイミド単位とを含有する共重合体であることが好まし
い。
【0038】前記熱可塑性樹脂(A)におけるマレイミ
ド単位の含有量としては、30モル%以上80モル%未
満であることが好ましく、より好ましくは、40モル%
以上60モル%以下である。マレイミド単位の含有量が
この範囲を逸脱すると、得られる位相差フィルムの耐熱
性や機械的強度が損なわれるおそれがある。
【0039】また、マレイミド単位とオレフィン単位と
の合計量としては、熱可塑性樹脂(A)の70モル%以
上であることが好ましい。
【0040】前記熱可塑性樹脂(A)の分子量は、1×
104以上5×105以下の重量平均分子量であることが
好ましい。
【0041】前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度
は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以
上、さらに好ましくは130℃以上であることが好まし
い。
【0042】本発明のオレフィン−マレイミド共重合体
は、既述のようにそれ自体既知の方法で製造することが
でき、例えば特開平5−59193号公報、特開平5−
195801号公報、特開平6−136058号公報お
よび特開平9−328523号公報に記載されているよ
うに、オレフィンとマレイミド化合物とを直接共重合さ
せたり、その一方の重合体に他方をグラフト共重合した
り、あるいは前述した前駆重合体に対してアミン化合物
を反応させてイミド結合を導入することによって製造す
ることができる。
【0043】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)は、主鎖骨格中にSi−O結合およびSi−C結
合を有する化合物であり、下記一般式(3)、(4)、
(5)および(6) (SiO4/2) (3) (R4SiO3/2) (4) (R45SiO2/2) (5) (R456SiO1/2) (6) (式中、R4、R5およびR5は、それぞれ独立に、水酸
基、炭素数が1〜12の1価の炭化水素基、または、反
応性基を有する炭素数1〜16個の置換アルキル基もし
くは置換アリール基を表す。)で表される基本構造単位
を有する化合物が好ましい。ここで、代表的な反応性基
としては、水酸基、ビニル基、アクリル基、メタクリル
基、エポキシ基などが挙げられる。
【0044】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)における前記一般式(3)で表される構造単位
(以下Q単位という)の含有量は任意に選択できるが、
通常0〜20モル%、好ましくは0〜10モル%であ
る。
【0045】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)における前記一般式(4)で表される構造単位
(以下T単位という)の含有量は任意に選択できるが、
通常0〜40モル%、好ましくは10〜30モル%であ
る。
【0046】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)における前記一般式(5)で表される構造単位
(以下D単位という)の含有量は任意に選択できるが、
通常0〜80モル%、好ましくは20〜70モル%であ
る。
【0047】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)における前記一般式(6)で表される構造単位
(以下M単位という)の含有量は任意に選択できるが、
通常10〜80モル%、好ましくは20〜60モル%で
ある。
【0048】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)の重量平均分子量は、200〜3000であるこ
とが好ましく、300〜1500であることがさらに好
ましい。
【0049】前記R4、R5およびR6として用いられる
炭素数が1〜12の炭化水素基としては、例えば、メチ
ル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチ
ル、i−ブチル、t−ブチルなどの飽和アルキル基、ビ
ニル、アリルなどの不飽和アルキル基、フェニル、トリ
ル、キシリルなどのアリール基、β−フェニルエチル、
β−フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、メト
キシ、エトキシ、プロピルオキシなどのアルコキシ基な
どが挙げられる。
【0050】前記R4、R5およびR6として用いられる
反応性基を有する炭素数1〜16個の置換アルキル基又
は置換アリール基としては、例えば下記のようなものが
例示される。 −C36OC24OH −C24(C64)OH −C36OC(O)CH=CH2 −C36OC(O)C(CH3)=CH2
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】熱可塑性樹脂(A)との相溶性を良好にで
きるという観点から、全てのR4、R5およびR6のうち
の50モル%以上がメチル基及び/またはフェニル基で
あることが好ましく、さらに60モル%であることがさ
らに好ましい。また、本発明のフィルムの耐熱性を良好
に保持できるという観点から、全てのR4、R5およびR
6のうちの水酸基及び/またはアルコキシル基の割合
は、10モル%未満であることが好ましく、6モル%未
満であることがさらに好ましい。10モル%以上である
と、耐熱性が低下する場合がある。
【0054】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)の製造方法は、工業的に用いられている周知の方
法によって製造することができる。例えば、下記一般式
(9) R7 a8 b9 cSi(−OR104-n (9) (式中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素
数が1〜12の1価の炭化水素基、または、反応性基を
有する炭素数1〜16個の置換アルキル基もしくは置換
アリール基を表し、R10は独立に水素または炭素数が1
〜12の1価の炭化水素基を表す。式中、a、b、cお
よびnは0、1、2または3の整数であり、n=a+b
+c≦3である。)で表されるアルコキシシラン類の加
水分解に続く脱水縮合反応や、下記一般式(10) R7 a8 b9 cSiCl4-n (10) (式中、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素
数が1〜12の1価の炭化水素基、または、反応性基を
有する炭素数1〜16個の置換アルキル基もしくは置換
アリール基を表しす。式中、a、b、cおよびnは0、
1、2または3の整数であり、n=a+b+c≦3であ
る。)で表されるクロロシラン類の加水分解に続く脱水
縮合反応によるような任意の方法によって製造できる。
【0055】前記アルコキシシラン類の好ましい具体例
としては、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジア
ルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、フェニ
ルトリアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシラ
ン、トリフェニルアルコキシシラン、メチルフェニルジ
アルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランなどが
挙げられる。
【0056】前記クロロシラン類の好ましい具体例とし
ては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルクロロシ
ラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジメチルフェニ
ルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げら
れる。
【0057】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)は、1種で、あるいは、2種以上組み合わせて使
用することができる。2種以上組み合わせて使用する場
合には、組み合わせは限定されない。例えば、本発明の
目的を逸脱しない範囲において、構成成分、モル比、分
子量などが異なるものを任意に組み合わせて用いること
ができる。
【0058】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)の形状には特に制限はなく、オイル状、ガム状、
ワニス状、粉体状、ペレット状、等の任意のものが利用
可能である。
【0059】本発明に用いられる有機シリコーン化合物
(B)の添加量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に
対して、1〜40重量部であるが、好ましくは1.5〜
30重量部、さらに好ましくは2〜20重量部である。
添加量が1重量部未満では耐屈曲性改良の効果が不充分
となる傾向になり、40重量部をこえると耐熱性や光学
特性が不充分となる傾向にある。
【0060】本発明の光学フィルムは、必要に応じて、
可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤やフィラー等の公知の
添加剤やその他の化合物を本発明の効果を損なわない範
囲で含有することができる。
【0061】本発明の光学フィルムは、熱可塑性樹脂
(A)、有機シリコーン化合物(B)および必要に応じ
て用いられる前記添加剤やその他の化合物とからなる樹
脂組成物を用いて、例えば、溶融押出し法、インフレー
ション法、溶液流延法等の公知の方法でフィルム化する
ことによってえることができる。なかでも、フィルムの
厚みムラが小さいフィルムを比較的容易にえることがで
きるという観点からは溶液流延法によることが好ましい
場合がある。
【0062】溶液流延法によりフィルム化する場合、前
記樹脂組成物を溶剤に溶解したのち、支持体上に流延し
た後、乾燥してフィルムとする。好ましい支持体として
は、ステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフ
ィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
等のようなフィルムを用いることができる。
【0063】必要に応じて、予備乾燥したフィルムを支
持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィル
ムの乾燥は、一般には、フロート法や、テンターあるい
はロール搬送法が利用できる。フロート法の場合、フィ
ルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生
じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支
えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥
に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均
衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要が
ある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送
のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(M
D方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特
徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法
によることが最も好ましい。
【0064】前記溶剤としては、前記樹脂組成物の良溶
媒であれば特に制限はなく、周知の種々の溶剤から選択
して用いることができる。塩化メチレンやトリクロロエ
タン等のハロゲン化炭化水素系溶剤は樹脂材料を溶解し
やすく、また沸点も低いため好適な溶剤の一つである。
また、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等
の極性の高い非ハロゲン系の溶剤も用いることができ
る。さらに、トルエン、キシレンやアニソール等の芳香
族系や、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラ
ンやピラン等の環状エーテル系、メチルエチルケトン等
のケトン系の溶剤も使用可能である。これら溶剤は相互
に混合して用いることもでき、また、アルコール等の非
溶剤を混合して、溶剤の蒸発速度を制御することも、表
面性の優れたフィルムを得るためには好ましい方法であ
る。
【0065】本発明のフィルム厚みは、通常、30μm
から200μmであり、好ましくは50μmから150
μmである。また、フィルムの位相差値は、20nm以
下が好ましく、より好ましくは10nm以下である。フ
ィルムの位相差値がこれ以上大きいと、延伸して位相差
フィルムとした際に位相差値のフィルム面内バラツキが
大きくなるので好ましくない。
【0066】またフィルム化の際に、必要に応じて少量
の可塑剤や熱安定剤、紫外線安定剤等の添加剤を加えて
も良い。特に熱可塑性樹脂(A)のイミド含有率が40
モル%以上と高い場合、得られるフィルムは硬く脆くな
る傾向にあるため、フィルムの応力白化や裂けを防止す
る目的で可塑剤を加えることは有効である。
【0067】好ましい可塑剤を例示すると、フタル酸系
可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ−n−エチルヘキシル、フタル酸ジイソ
オクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−n
−デシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−ド
デシル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジシクロ
ヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−2−
エチルヘキシル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、脂肪族二塩基酸系可塑剤としては、アジピン酸ジ−
n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキ
シル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸ト
リブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸−
2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール、エポキシ
系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化トー
ル油脂肪酸−2−エチルヘキシル、脂肪酸エステル系可
塑剤としては、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチ
ル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、高分子系
可塑剤としては、ポリエチレングリコールジメチルエー
テル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、エス
テル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸等の2塩基酸と1,2−プロピレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール等の重縮合物)等
が挙げられる。これら可塑剤の中でも、芳香族基を含ま
ない可塑剤、例えばアジピン酸ジ−n−デシル、アジピ
ン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸
ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸
トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸
−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、エポキシ
化大豆油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキ
シル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、塩素化
パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、ポリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、あるいはエステル基を含有する
高分子化合物(アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸と
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール等の重縮合物)等の可塑剤が好ましい。
【0068】これらの可塑剤は、可視領域短波長側に吸
収を持たないため、位相差の波長依存性に悪影響を与え
ないため、特に好ましい添加剤である。これら可塑剤は
本発明のフィルム100重量部に対して2〜20重量部
添加される。20重量部を超えると、連続的にロールフ
ィルムを延伸する際の位相差値の安定性が損なわれるお
それがあるため、好ましくない。
【0069】本発明の光学フィルムは、光線透過率が8
0%以上、ヘイズが2%以下の優れた透明性を示す。
【0070】また、本発明の光学フィルムは、周知の方
法で延伸することにより位相差とすることができ、しか
も応力の変化に対する位相差の変化が小さいという特長
をゆうする。
【0071】位相差のバラツキの小さい位相差フィルム
を得るには、延伸する前のフィルムが光学的に均一であ
ることが好ましい。延伸する前のフィルムとしては、ダ
イライン等の欠陥がなく、フィルム厚みのバラツキが5
%以下と小さく、また位相差の小さい光学的に等方なフ
ィルムを用いることが好ましい。
【0072】本発明の位相差フィルムは、本発明の光学
フィルムを公知の延伸方法により少なくとも一軸延伸し
て配向処理を行い、均一な位相差を付与することによっ
てえることができる。延伸方法としては、一軸や二軸の
熱延伸法を採用することができる。所望する位相差が比
較的大きい場合は延伸倍率を大きくすればよいが、大き
な延伸倍率を取る必要がある場合は、縦一軸延伸が好ま
しい。また、得られた位相差フィルムの光学的な一軸性
が重要となる場合は、自由端縦一軸延伸が特に好ましい
延伸方法である。また、特開平5−157911号公報
に示されるような特殊な二軸延伸を施し、フィルムの三
次元での屈折率を制御することも可能である。
【0073】得られた位相差フィルムの位相差値は10
nm〜2000nmの間で、目的に応じて選択すること
ができる。位相差値は、延伸温度や延伸倍率を制御する
ことにより所望の値にすることができる。一般には、延
伸倍率は1.1倍から3倍であり、延伸温度は、ガラス
転移温度Tgに対して、(Tg−30)℃から(Tg+
30)℃までの範囲で選択される。特に好ましい延伸温
度は、(Tg−20)℃から(Tg+20)℃までの範
囲である。この温度範囲とすることにより、延伸時のフ
ィルム白化を防止でき、また、得られた位相差フィルム
の位相差バラツキを小さくすることができる。
【0074】本発明の位相差フィルムは、各種液晶表示
装置用の位相差板として用いることができる。
【0075】本発明の位相差フィルムをSTN液晶表示
装置の色補償用に用いる場合には、その位相差値は、一
般的には、400nmから2000nmまでの範囲で選
択される。また、本発明の位相差フィルムを1/2波長
板として用いる場合は、その位相差値は、200nmか
ら400nmの範囲で選択される。本発明の位相差フィ
ルムを1/4波長板として用いる場合は、その位相差値
は、90nmから200nmまでの範囲で選択される。
1/4波長板としてのより好ましい位相差値は、100
nmから180nmまでである。
【0076】前記位相差板として用いる場合は、本発明
の位相差フィルムを単独で用いることもできるし、2枚
以上を組合わせて用いることもでき、他のフィルム等と
組合わせて用いることもできる。
【0077】本発明の位相差フィルムは、必要によりフ
ィルムの片面あるいは両面にコロナ処理やプラズマ処理
等の表面処理を行うことができる。特に、フィルム表面
にコーティング加工等の表面処理が施される場合や、粘
着剤により別のフィルムがラミネートされる場合は、相
互の密着性を上げるための手段として、フィルム表面の
コロナ処理は好適な方法である。好ましいコロナ処理の
程度は、54dyn/cm以上である。
【0078】本発明の位相差フィルムは、公知のヨウ素
系あるいは染料系の偏光板と粘着剤を介して積層貼合す
ることができる。積層する際、用途によって偏光板の偏
光軸と位相差フィルムの遅相軸とを、特定の角度に保っ
て積層することが必要である。本発明の位相差フィルム
を1/4波長板とし、これを偏光板と積層貼合して円偏
光板として用いることができる。その場合、一般には、
偏光板の偏光軸と位相差フィルムの遅相軸は実質的に4
5°の相対角度を保ち積層される。また、本発明の位相
差フィルムを、偏光板を構成する偏光保護フィルムとし
て用いて積層してもかまわない。さらに、本発明の位相
差フィルムをSTN液晶表示装置の色補償板とし、これ
を偏光板と積層貼合することにより楕円偏光板として用
いることができる。
【0079】本発明の位相差フィルムの表面には、必要
に応じハードコート層等のコーティング層を形成するこ
とができる。
【0080】また、本発明の位相差フィルムは、コーテ
ィング層を介して、または介さずに、スパッタリング法
等によりインジウム−スズ酸化物系等の透明導電層を形
成し、液晶表示装置の電極基板やタッチパネルの電極基
板として用いることもできる。なお、コーティング層は
厚み0.1μmから10μmまで、好ましくは1μmか
ら5μmまでの範囲で形成することが好ましい。
【0081】好ましいコーティング層を例示すると、有
機系コーティング層としては、メラミン樹脂系、アクリ
ル樹脂系、ウレタン樹脂系、アルキド樹脂系または含フ
ッ素系樹脂系があり、また有機−シリコーン複合系とし
ては、ポリエステルポリオールやエーテル化メチロール
メラミンにアルキルトリアルコキシシラン、テトラアル
コキシシランの部分加水分解物を配合したものが挙げら
れる。また、アミノシランやエポキシシランの部分加水
分解物、シランカップリング剤とアルキルトリアルコキ
シシラン・テトラアルコキシシランの部分加水分解物、
コロイダルシリカとアルキルトリアルコキシシランの加
水分解物等のシリコーン系材料も好適に用いることがで
きる。
【0082】これらコーティング材料を本発明の位相差
フィルムの片面または両面にコーティング後、熱硬化に
より耐溶剤性皮膜を有するフィルムを得ることができ
る。このとき、低温硬化型の触媒を同時に用いること
は、好ましくないフィルムの熱変性を抑制するために好
ましい方法である。また多官能アクリレート等のモノマ
ーやオリゴマーに光増感剤を添加し、紫外線や電子線に
より得られる硬化層も好適に用いることができる。これ
らのコーティング層には、必要により、各種フィラーを
添加することができる。透明導電層を有する本発明の位
相差フィルムを抵抗膜式タッチパネルの電極フィルムと
して用いた場合、フィラーを添加することにより透明電
極間での光の干渉による好ましくないニュートンリング
の発生や、透明導電基板同士のブロッキングを防止する
ことができる。好ましいフィラーとしては、ポリメタク
リル酸エステル系やポリアクリル酸エステル系、ポリオ
レフィン系、ポリスチレン系、ジビニルベンゼン系、ベ
ンゾグアナミン系、有機シリコーン系等の有機系フィラ
ーあるいはシリカやアルミナ、酸化チタン等の無機系フ
ィラーが使用可能である。一方、フィラーの添加により
表示像のギラツキ感を与えることがあり、フィラー形
状、コーティング剤やコーティング条件の最適化によ
り、透過像像鮮明度を80%以上にすることが望まし
い。
【0083】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0084】尚、各特性値は以下のようにして測定し
た。。 <位相差値および波長依存性> オーク製作所(株)の顕微偏光分光光度計(TFM−
120AFT)を用い、442nm、515nm、63
3nmおよび780nmの波長における各位相差値Re
を回転検光子法で測定する。
【0085】上記データを用い、化学総説 No.3
9 1998 「透明ポリマーの屈折率制御」第158
頁の式より導き出される式; Re=a+b/(λ2−c) [Re、λはそれぞれ前項の測定位相差と測定波長を示
す。a、b、cは定数]の各定数a、bおよびcを最小
自乗法により決定する。
【0086】最小自乗法により決定された式をもと
に、400nmにおける位相差値(Re(400))と
550nmにおける位相差値(Re(550))を計算
する。
【0087】Re(400)およびRe(550)か
ら、Re(400)/Re(550)を計算し、この値
を波長依存性の指標とした。 <光線透過率>JIS K7105−1981の5.5
記載の方法に準じて測定した。 <ヘイズ>JIS K7105−1981の6.4記載
の方法に準じて測定した。 <光弾性係数>フィルムの光軸方向を長軸方向として長
さ200mm、幅10mmの試験片を切出し、試験片に
荷重をかけない場合と試験片の長軸方向に4.9Nの荷
重をかけた場合とのそれぞれについて顕微偏光分光光度
計(オーク製作所製 TFM−120AFT−PC)に
より位相差を測定し、次式にしたがって光弾性係数を算
出した。
【0088】光弾性係数[m2/N]=(荷重時の位相
差[nm]−無荷重時の位相差[nm])×試験片の幅
[mm]×10―12/荷重[N] <耐屈曲性>耐揉疲労測定装置(東洋精機製作所製MI
T−D)を用いて試験片に繰返し屈曲歪みを与え、試験
片が破断するまでの回数を測定した。
【0089】実施例1 イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互共重合
体(N−メチルマレイミド含量50モル%、ガラス転移
温度157℃)80重量部と、メチルトリジクロロシラ
ン,ジフェニルジクロロシラン,トリフェニルクロロシラ
ンから合成した有機シリコーン化合物(重量平均分子量
600、Q:T:D:M単位構成比率0:2:4:4)
20重量部を、塩化メチレンに15重量%になるように
溶解し、ガラス板上に敷いた二軸延伸PETフィルム上
に流延し室温で60分放置した。その後フィルムを剥
し、4片固定治具に挟んで、100℃で10分間、さら
に140℃で10分間乾燥を行って厚さ約100μmの
フィルムを得た。このフィルムの位相差値は8nm、光
線透過率は92%、ヘイズは0.5%、耐屈曲性は6で
あった。
【0090】このフィルムから30cm×10cmのサ
ンプルフィルムを切り取り、延伸試験装置(東洋精機製
作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度10cm/
分、延伸倍率1.5倍、延伸温度140℃の条件でサン
プルフィルムの長手方向へ自由端縦一軸で延伸し、リタ
ーデーション143nm(測定波長550nm)の位相
差フィルムを得た。この位相差フィルムの波長依存性を
評価するためにRe(400)/Re(550)を計算
したところ1.09であった。また、この位相差フィル
ムの光弾性係数は6×10―122/Nであった。
【0091】実施例2 実施例1で得られたフィルムを用い、30cm×10c
mのサンプルフィルムを切り取り、延伸速度10cm/
分、延伸倍率1.9倍、延伸温度140℃の条件でサン
プルフィルムの長手方向へ自由端縦一軸で延伸し、リタ
ーデーション260nm(測定波長550nm)の位相
差フィルムを得た。この位相差フィルムの波長依存性を
評価するためにRe(400)/Re(550)を計算
したところ、1.09であった。
【0092】実施例3 実施例1で用いたイソブテンとN−メチルマレイミドか
ら成る交互共重合体(A−1)80重量部と、メチルト
リメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリ
フェニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシラ
ンからなる有機シリコーン化合物(B−2、重量平均分
子量600、Q:T:D:M単位構成比率0:15:5
0:35)20重量部を、塩化メチレン溶液に15重量
%になるように溶解し、ガラス板上に敷いた二軸延伸P
ETフィルム上に流延し室温で60分放置した。その後
フィルムを剥し、4片固定治具に挟んで、100℃で1
0分間、さらに140℃で10分間乾燥を行って厚さ約
100μmのフィルムを得た。このフィルムの位相差値
は9nm、光線透過率は90%、ヘイズは0.9%、耐
屈曲性は18であった。
【0093】このフィルムを延伸速度10cm/分、延
伸倍率1.5倍、延伸温度150℃の条件でサンプルフ
ィルムの長手方向へ自由端縦一軸で延伸し、リターデー
ション138nm(測定波長550nm)の位相差フィ
ルムを得た。この位相差フィルムの波長依存性を評価す
るためにRe(400)/Re(550)を計算したと
ころ、1.10であった。また、この位相差フィルムの
光弾性係数は6×10―122/Nであった。
【0094】比較例1 ビスフェノール成分としてビスフェノールAからなるポ
リカーボネート(帝人化成株式会社 C−1400、ガ
ラス転移温度149℃)を塩化メチレン溶液に濃度15
重量%になるように溶解し、ガラス板上に流延し室温で
60分放置後フィルムを剥し、4片固定治具に挟んで、
100℃で10分間、さらに120℃で10分間乾燥を
行って厚さ約80μmのフィルムを得た。このフィルム
の位相差値は21nm、光線透過率は90%、ヘイズは
0.3%であった。
【0095】このフィルムから30cm×10cmのサ
ンプルフィルムを切り取り、延伸試験装置(東洋精機製
作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度10cm/
分、延伸倍率1.1倍、延伸温度165℃の条件で延伸
し、リターデーション250nm(測定波長550n
m)の位相差フィルムを得た。この位相差フィルムの波
長依存性を評価するためにRe(400)/Re(55
0)を計算したところ、1.19であった。
【0096】比較例2 実施例1において、有機シリコーン化合物を用いること
なく、イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互
共重合体100重量部を用いた以外は実施例1と同様に
して厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルム
の耐屈曲性は1であった。
【0097】実施例4 実施例1で得られた位相差フィルムにコロナ処理を行っ
たところ、コロナ処理面の塗れ性は56dyn/cmで
あった。アクリル系粘着剤を用い、偏光板の偏光軸とコ
ロナ処理済み位相差フィルムの遅相軸を45°に配し積
層貼合し円偏光板を得た。この円偏光板を温度40℃、
湿度95%の湿熱環境下に長期放置しても、偏光板と位
相差フィルムとの界面で剥離は認められなかった。
【0098】
【発明の効果】本発明の光学フィルムは、特定の化合物
を組合わせた樹脂組成物を含有することにより、光線透
過性が高い、位相差の波長依存性が小さい、応力負荷に
よる位相差ズレが小さいなどの光学特性に優れ、かつ耐
屈曲性などの機械的特性に優れている。また、本発明の
フィルムは、後加工により容易に位相差フィルムを得る
ことができ、えられる本発明の位相差フィルムは、反射
型TFT液晶表示装置の構成フィルムとして用いた場合
に、色純度の高い表示像を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/02 C08L 101/02 G02F 1/13363 G02F 1/13363 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA03 BA04 BA06 BA07 BB03 BB42 BB48 BB50 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA11X FB02 FD10 LA02 LA12 4F071 AA14 AA14X AA21X AA37 AA37X AA67 AF29 AF30Y AF35 BB07 BC01 4J002 BB16W BK00W CP03X 4J100 AA06P AA08P AA15P AM43Q AM45Q AM47Q BC01Q CA04 JA32

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)側鎖に置換または非置換イミド基
    を有する熱可塑性樹脂、および(B)有機シリコーン化
    合物を含有する光学フィルム。
  2. 【請求項2】 光線透過率が80%以上である透明性を
    有することを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(A)が、下記式(1) 【化1】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素
    または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表される
    繰り返し単位と、下記式(2) 【化2】 (式中、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、または炭
    素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)で表される
    繰り返し単位とを含有するオレフィン−マレイミド共重
    合体である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 【請求項4】 有機シリコーン化合物(B)がその構成
    単位として、下記一般式(3)、(4)、(5)および
    (6) (SiO4/2) (3) (R4SiO3/2) (4) (R45SiO2/2) (5) (R456SiO1/2) (6) (式中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水酸
    基、炭素数が1〜12の1価の炭化水素基、または、反
    応性基を有する炭素数1〜16個の置換アルキル基もし
    くは置換アリール基を表す。)で表される基本構造単位
    を、(SiO4/2)単位0〜20モル%、(R4SiO3/
    2)単位0〜40モル%、(R45SiO2/2)単位0〜
    80モル%、および(R 456SiO1/2)単位10〜
    80モル%の割合で含有する請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載の透明フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の光学フィルムを、少なく
    とも一軸に延伸してなることを特徴とする位相差フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の位相差フィルムを少なく
    とも一枚用いた位相差フィルムであって、位相差が55
    0nmの単色光に対して90nmから1000nmであ
    ることを特徴とする位相差板。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の位相差フィルム
    と偏光板が積層一体化されていることを特徴とする楕円
    偏光板。
  8. 【請求項8】 請求項5または6記載の位相差フィルム
    と偏光板が積層一体化されていることを特徴とする円偏
    光板。
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