JP2002054661A - 遠心クラッチ - Google Patents

遠心クラッチ

Info

Publication number
JP2002054661A
JP2002054661A JP2000238299A JP2000238299A JP2002054661A JP 2002054661 A JP2002054661 A JP 2002054661A JP 2000238299 A JP2000238299 A JP 2000238299A JP 2000238299 A JP2000238299 A JP 2000238299A JP 2002054661 A JP2002054661 A JP 2002054661A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
rotating
rotating body
respect
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000238299A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Mimura
建治 三村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2000238299A priority Critical patent/JP2002054661A/ja
Publication of JP2002054661A publication Critical patent/JP2002054661A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 常に安定した摩擦力を発生させることがで
き、耐久性にも優れた遠心クラッチを提供する。 【解決手段】 各クラッチプレート3,4間に回転差を
生じている場合は、各ローラ5は各クラッチプレート
3,4に接触しながら転動するが、各ローラ5の転動軸
は各回転体1,2の回転軸を含む平面に対してそれぞれ
所定角度だけ傾斜しているため、各ローラ5は各クラッ
チプレート3,4の間に滑り摩擦を生じながら転動す
る。これにより、低回転時に静摩擦が生じても各ローラ
5の転動により瞬時に動摩擦に移行することから、静摩
擦と動摩擦が間欠的に生ずるスティック・スリップが極
めて少なくなる。また、入力側回転体1の回転速度が上
がると、各押圧部材7に遠心力が作用して各クラッチプ
レート3,4への押圧力が増加し、により、各ローラ5
と各クラッチプレート3,4との摩擦力が大きくなって
伝達トルクが増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばスクータ型
自動二輪車や特殊な小型車両等の動力伝達装置に用いら
れる遠心クラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の遠心クラッチとしては、
例えば特開平10−176727号公報に記載されてい
るように、入力軸と一体に回転する多数の摩擦板と、出
力軸と一体に回転する多数の摩擦板とを備え、入力軸の
遠心力に応じて各摩擦板を互いに圧接させることによ
り、入力軸側の回転力を各摩擦板の摩擦力によって出力
軸側に伝達するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記遠
心クラッチのように複数の摩擦板を用いる構造では、各
摩擦板間に静摩擦と動摩擦とが間欠的に生ずる、いわゆ
るスティック・スリップにより、伝達トルクが不安定に
なり、特に低回転時のクラッチ接続が滑らかに行われな
い場合があるという問題点があった。また、従来の遠心
クラッチのように摩擦板同士を面接触させる構造では、
摩擦熱による劣化や摩耗を生じ易く、耐久性に劣るとい
う問題点もあった。
【0004】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、常に安定した摩擦力
を発生させることができ、耐久性にも優れた遠心クラッ
チを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、請求項1では、互いに同軸状に配置された
入力側回転体及び出力側回転体とを備え、入力側回転体
に作用する遠心力に応じて入力側回転体の回転力を出力
側回転体に伝達する遠心クラッチにおいて、前記各回転
体に互いに軸方向に対向する対向面をそれぞれ設けると
ともに、各回転体の対向面間に互いに各回転体の周方向
に所定間隔をおいて配置された複数のローラと、各ロー
ラをその転動軸が各回転体の回転軸を含む平面に対して
それぞれ所定の傾斜角度をなすように転動自在に保持す
る保持体と、入力側回転体に作用する遠心力に応じて各
回転体の対向面と各ローラとを互いに圧接させる押圧手
段とを備えている。
【0006】また、請求項2では、互いに同軸状に配置
された入力側回転体及び出力側回転体とを備え、入力側
回転体に作用する遠心力に応じて入力側回転体の回転力
を出力側回転体に伝達する遠心クラッチにおいて、前記
各回転体にその回転軸に対して所定の角度をなすように
傾斜したテーパ状の対向面をそれぞれ設けるとともに、
各回転体の対向面間に互いに各回転体の周方向に所定間
隔をおいて配置された複数のローラと、各ローラをその
転動軸が各回転体の回転軸を含む平面に対してそれぞれ
所定の傾斜角度をなすように転動自在に保持する保持体
と、入力側回転体に作用する遠心力に応じて各回転体の
対向面と各ローラとを互いに圧接させる押圧手段とを備
えている。
【0007】これにより、請求項1または2では、各回
転体が相対回転を生ずると、各ローラは各回転体の対向
面に接触しながら転動するが、各ローラの転動軸は回転
体の回転軸を含む平面に対してそれぞれ所定角度だけ傾
斜しているため、各ローラは各回転体との間に滑り摩擦
を生じながら転動する。その際、低回転時に静摩擦が生
じても各ローラの転動により瞬時に動摩擦に移行するこ
とから、静摩擦と動摩擦が間欠的に生ずることは極めて
少ない。
【0008】また、請求項3では、請求項1記載の遠心
クラッチにおいて、前記各ローラの転動軸を各回転体の
回転軸を含む平面に対してそれぞれ同一方向に傾斜させ
ている。
【0009】また、請求項4では、請求項2記載の遠心
クラッチにおいて、前記各ローラの転動軸を各回転体の
回転軸に対して所定の角度をなすように傾斜させるとと
もに、その傾斜角を10°よりも大きく20°よりも小
さくし、各ローラの転動軸を各回転体の回転軸を含む平
面に対して所定の角度をなすようにそれぞれ同一方向に
傾斜させ、その傾斜角を25°よりも大きく90°より
も小さくしている。
【0010】これにより、請求項3または4では、請求
項1または2の作用に加え、各ローラがそれぞれ同一方
向に傾斜していることから、各回転体の回転方向によっ
てそれぞれ異なった摩擦力が発生する。
【0011】また、請求項5では、請求項1記載の遠心
クラッチにおいて、前記各ローラの転動軸を各回転体の
回転軸を含む平面に対して所定の個数ずつ反対方向に交
互に傾斜させている。
【0012】また、請求項6では、請求項2記載の遠心
クラッチにおいて、前記各ローラの転動軸を各回転体の
回転軸に対して所定の角度をなすように傾斜させるとと
もに、その傾斜角を3°よりも大きく8°よりも小さく
し、各ローラの転動軸を各回転体の回転軸を含む平面に
対して所定の角度をなすように所定の個数ずつ反対方向
に交互に傾斜させ、その傾斜角を25°よりも大きく9
0°よりも小さくしている。
【0013】これにより、請求項5または6では、請求
項1または2の作用に加え、各ローラが所定の個数ずつ
反対方向に交互に傾斜していることから、各回転体の何
れの回転方向においても互いに等しい摩擦力が発生す
る。
【0014】また、請求項7では、請求項2、4または
6記載の遠心クラッチにおいて、前記各回転体の対向面
におけるローラとの接触面を、ローラの転動軸を含む断
面においてそれぞれローラの外周面に対して凸状をなす
ように形成している。
【0015】また、請求項8では、請求項2、4または
6記載の遠心クラッチにおいて、前記各回転体の対向面
に接触するローラの外周面を、ローラの転動軸を含む断
面においてそれぞれ各回転体との接触面に対して凸状を
なすように形成している。
【0016】これにより、請求項7または8では、請求
項2、4または6の作用に加え、各ローラの軸方向両端
側の接触圧を減少させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1乃至図3は本発明の第1の実
施形態を示すもので、図1は遠心クラッチの側面断面
図、図2はそのX−X線方向矢視断面図、図3はローラ
及びケージの部分正面図である。
【0018】この遠心クラッチは、互いに同軸状に配置
された入力側回転体1及び出力側回転体2と、入力側回
転体1と一体に回転する複数の第1のクラッチプレート
3と、出力側回転体2と一体に回転する複数の第2のク
ラッチプレート4と、各クラッチプレート3,4間に配
置された複数のローラ5と、各ローラ5を転動自在に保
持する複数のケージ6と、入力側回転体1の遠心力に応
じて各クラッチプレート3,4を押圧する複数の押圧部
材7と、入力側回転体1に予圧を付与するスプリング8
とから構成されている。
【0019】入力側回転体1は円筒状部材1aの一端側
に軸方向に移動自在に係合しており、円筒状部材1aと
一体に回転するようになっている。円筒状部材1aの他
端側にはスプロケット1bが取付けられ、スプロケット
1bには図示しないチェーン等を介して外部からの動力
が入力されるようになっている。また、入力側回転体1
の一端側の内周面には、第1のクラッチプレート3と係
合する複数の溝1cが周方向に間隔をおいて設けられて
いる。
【0020】出力側回転体2は出力軸2aの一端に取付
けられ、出力軸2aと一体に回転するようになってい
る。出力軸2aは円筒状部材1a内を挿通しており、円
筒状部材1aにベアリング2bを介して回動自在に支持
されている。また、出力側回転体2の一端側の外周面に
は、第2のクラッチプレート4と係合する複数の溝2c
が周方向に間隔をおいて設けられている。
【0021】各第1のクラッチプレート3は環状に形成
され、その外周面側には入力側回転体1の溝1cにそれ
ぞれ係合する複数の突部3aが設けられている。この場
合、各第1のクラッチプレート3は各第2のクラッチプ
レート4と互いに交互に配置され、最端部の第1のクラ
ッチプレート3はストッパリング3bによって軸方向一
端側への移動を規制されている。
【0022】各第2のクラッチプレート4は環状に形成
され、その外周面側には出力側回転体2の溝2cにそれ
ぞれ係合する複数の突部4aが設けられている。
【0023】各ローラ5は各第1及び第2のクラッチプ
レート3,4間にそれぞれ配置され、各クラッチプレー
ト3,4の対向面に接触している。
【0024】各ケージ6は、図3に示すように各ローラ
5をそれぞれ周方向に間隔をおいて保持する複数の孔6
aを有し、各ローラ5はその転動軸Aが各回転体1,2
の回転軸Bを含む平面C(紙面に直交)に対してそれぞ
れ所定の傾斜角度θをなすように保持されている。この
場合、各ローラ5は互いに同一方向に傾斜している。
【0025】各押圧部材7はそれぞれ球状に形成され、
入力側回転体1の内面と軸方向他端側の第1のクラッチ
プレート3との間に配置されている。この場合、各押圧
部材7に対応する入力側回転体1の内面には径方向外側
が軸方向一端側に向かって傾斜する傾斜面1dが形成さ
れており、入力側回転体1の遠心力が各押圧部材7に作
用すると、各押圧部材7が傾斜面1dによって軸方向一
端側に案内され、各クラッチプレート3,4を軸方向に
押圧するようになっている。
【0026】スプリング8は円筒状部材1aに巻回さ
れ、一端を入力側回転体1の軸方向他端側に当接し、他
端を固定部材8aに当接することにより、入力側回転体
1を軸方向一端側に付勢している。
【0027】以上のように構成された遠心クラッチにお
いては、スプロケット1bに入力された駆動力により入
力側回転体1が回転すると、入力側回転体1と共に第1
のクラッチプレート3が回転する。その際、第1のクラ
ッチプレート3と第2のクラッチプレート4との間に回
転差を生じている場合は、各ローラ5は各クラッチプレ
ート3,4に接触しながら転動するが、各ローラ5の転
動軸Aは各回転体1,2の回転軸Bを含む平面Cに対し
てそれぞれ角度θだけ傾斜しているため、各ローラ5は
各クラッチプレート3,4の間に滑り摩擦を生じながら
転動する。これにより、低回転時に静摩擦が生じても各
ローラ5の転動により瞬時に動摩擦に移行することか
ら、静摩擦と動摩擦が間欠的に生ずるスティック・スリ
ップが極めて少なくなる。また、入力側回転体1の回転
速度が上がると、各押圧部材7に作用する遠心力が大き
くなるため、各押圧部材7による各クラッチプレート
3,4への押圧力が回転速度の上昇に応じて増加する。
これにより、各ローラ5と各クラッチプレート3,4と
の摩擦力が大きくなり、入力側回転体1から出力側回転
体2への伝達トルクが増大する。
【0028】このように、本実施形態の遠心クラッチに
よれば、入力側回転体1から出力側回転体2への伝達力
を各ローラ5の転動を伴う滑り摩擦によって発生させる
ようにしたので、低回転時であってもスティック・スリ
ップを極めて少なくすることができる。従って、常に安
定した伝達トルクを発生させることができ、低回転時で
あっても動力の伝達を滑らかに行うことができる。ま
た、各ローラ5の転動を伴う摩擦力を利用しているた
め、摩擦熱による劣化や摩耗を極めて少なくすることが
でき、耐久性の向上を図ることができる。更に、前記構
成においては、各ローラ5の傾斜角度θを大きくすると
各ローラ5の滑り摩擦も大きくなることから、設計時に
各ローラ5の傾斜角度θを任意に設定することにより、
各種の動力伝達装置に幅広く対応することができる。
【0029】尚、前記実施形態では各ローラ5を互いに
同一方向に傾斜させたものを示したが、図4に示すよう
に各ローラ5をその転動軸Aが各回転体1,2の回転軸
Bを含む平面Cに対して一つずつ(または2つ以上の所
定個数ずつ)反対方向に交互に同角度で傾斜するように
設けてもよい。
【0030】図5乃至図10は本発明の第2の実施形態
を示すもので、図5は遠心クラッチの側面断面図、図6
はローラ及びケージの平面図、図7はローラの傾斜角を
示す概略図、図8はローラの動作説明図、図9及び図1
0はローラの傾斜角と摩擦トルクとの関係を示す図であ
る。
【0031】本実施形態の遠心クラッチは、第1の実施
形態の摩擦力発生要素(各クラッチプレート3,4、ロ
ーラ5及びケージ6)を以下に示す構成に代えたもので
あり、他の構成については、第1の実施形態と同等であ
るため、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0032】即ち、本実施形態の遠心クラッチは、摩擦
力発生要素として、入力側回転体1と一体に回転する第
1のクラッチ部材10と、出力側回転体2と一体に回転
する第2のクラッチプレート11と、各クラッチプレー
ト10,11間に配置された複数のローラ12と、各ロ
ーラ12を転動自在に保持するケージ13とを備えてい
る。
【0033】第1のクラッチ部材10は環状に形成さ
れ、その内周面には第2のクラッチ部材11と対向する
軌道面10aが形成されている。軌道面10aは各回転
体1,2の回転軸を中心とするテーパ状に形成され、図
5に示すように断面が凹状の曲線をなすように形成され
ている。また、第1のクラッチ部材10は、ストッパリ
ング10bによって軸方向一端側への移動を規制されて
いる。
【0034】第2のクラッチ部材11は環状に形成さ
れ、その外周面には第1のクラッチ部材10と対向する
軌道面11aが形成されている。軌道面11aは各回転
体1,2の回転軸を中心とするテーパ状に形成され、図
5に示すように断面が凸状の曲線をなすように形成され
ている。また、第2のクラッチ部材11と各押圧部材7
との間には、軸方向に移動自在なリングプレート11b
が設けられている。
【0035】各ローラ12は外周面が軸方向に一様に延
びる円柱形状をなし、各クラッチ部材10,11の周方
向に等間隔で配列されている。
【0036】ケージ13は環状に形成され、各クラッチ
部材10,11の軌道面10a,11aに沿って湾曲し
たテーパ状をなすとともに、その厚さは各ローラ12の
外径よりも小さく形成されている。ケージ13には各ロ
ーラ12を転動自在に収容する多数の孔13aが設けら
れ、各孔13aはケージ13の周方向に等間隔で配置さ
れている。また、各孔13aは、図6に示すように各ロ
ーラ12の転動軸がそれぞれ同一方向に傾斜するように
形成されている。
【0037】また、図7(a) に示すように各ローラ12
の転動軸Aは、各回転体1,2の回転軸Bに対してそれ
ぞれ所定の傾斜角α1 をなすとともに、図7(b) に示す
ように各回転体1,2の回転軸Bのを含む平面に対して
それぞれ所定の傾斜角β1 をなす。この場合、各ローラ
12の傾斜角α1 は10°よりも大きく20°よりも小
さく設定され、傾斜角β1 は25°よりも大きく、90
°よりも小さく設定されている。尚、傾斜角β1 はロー
ラ12の転動軸Aに直交する方向から見た角度である。
【0038】以上のように構成された遠心クラッチにお
いては、スプロケット1bに入力された駆動力により入
力側回転体1が回転すると、入力側回転体1と共に第1
のクラッチ部材10が回転する。その際、第1のクラッ
チ部材10と第2のクラッチ部材11との間に回転差を
生じている場合は、各ローラ12は各クラッチプレート
10,11の軌道面10a,11aに接触しながら転動
するが、各ローラ12の転動軸Aは各回転体1,2の回
転軸Bを含む平面に対してそれぞれ角度β1 だけ傾斜し
ているため、各ローラ12は各クラッチ部材10,11
の間に滑り摩擦を生じながら転動する。これにより、第
1の実施形態と同様、低回転時に静摩擦が生じても各ロ
ーラ12の転動により瞬時に動摩擦に移行することか
ら、静摩擦と動摩擦が間欠的に生ずるスティック・スリ
ップが極めて少なくなる。また、入力側回転体1の回転
速度が上がると、各押圧部材7に作用する遠心力が大き
くなるため、各押圧部材7による各クラッチ部材10,
11への押圧力が回転速度の上昇に応じて増加する。こ
れにより、各ローラ12と各クラッチ部材10,11と
の摩擦力が大きくなり、入力側回転体1から出力側回転
体2への伝達トルクが増大する。
【0039】前記遠心クラッチにおいて、図8(a) に示
すように各クラッチ部材10,11の相対回転が一方の
回転方向に生じた場合(以下、正回転という)、各ロー
ラ12は各クラッチ部材10,11の軸方向一方、即ち
図中破線矢印で示すように回転軌道に対して角度β1 だ
け傾斜した方向(軌道面10a,11aの径の小さくな
る方向)に転動しようとするのをケージ13で規制され
ながら図中実線矢印で示すように回転軌道に沿って滑り
ながら転動するため、各ローラ12と各クラッチ部材1
0,11との間に軸方向の荷重Fに比例した摩擦力が発
生する。この場合、各ローラ12の転動により第1のク
ラッチ部材10の回転力が第2のクラッチ部材11側に
徐々に伝達されるとともに、荷重Fが所定の押圧力より
も大きい場合は、各ローラ12の転動が停止して第1の
クラッチ部材10の回転力が第2のクラッチ部材11側
に完全に伝達されるようになる。
【0040】また、図8(b) に示すように各クラッチ部
材10,11の相対回転が他方の回転方向に生じた場合
(以下、逆回転という)、各ローラ12は各クラッチ部
材10,11の軸方向他方、即ち図中破線矢印で示すよ
うに回転軌道に対して角度β1 だけ傾斜した方向(軌道
面10a,11aの径の大きくなる方向)に転動しよう
とするのをケージ13で規制されながら図中実線矢印で
示すように回転軌道に沿って転動するため、各ローラ1
2と各クラッチ部材10,11との間に軸方向の荷重F
に比例した摩擦力が発生する。即ち、各クラッチ部材1
0,11の正回転では各ローラ12が軌道面10a,1
1a径の小さくなる方向に転動し、逆回転では各ローラ
2が軌道面10a,11aの径の大きくなる方向に転動
することから、荷重Fが等しい場合でもクラッチ部材1
0,11の回転方向によって発生する摩擦力の大きさは
それぞれ異なる。この場合、正回転における摩擦力が逆
回転における摩擦力よりも大きくなる。
【0041】ところで、出願人は各ローラ12の傾斜角
α1,β1 と摩擦トルクPとの関係を、傾斜角α1 は3°
から40°、傾斜角β1 は5°から85°の範囲につい
て実験及び理論解析によって確認した。
【0042】即ち、図9に示すように前記正回転におけ
る各ローラ12の傾斜角α1 が5°以下の場合は、傾斜
角β1 が小さくなるに従って摩擦トルクPが急激に大き
くなる特性を示し、各クラッチ部材10,11が互いに
ロックし易い状態となる。また、傾斜角α1 が10°よ
りも大きい場合は、摩擦トルクPの急激な変動は示さな
くなるが、傾斜角α1 が20°以上になると、傾斜角β
1 の大きさに拘わらず、実用上有効な値以上の摩擦トル
クPが得られなくなる。一方、各ローラ12の傾斜角β
1 が25°よりも大きい場合は、傾斜角α1 が5°以下
の場合を除き、摩擦トルクPは急激な変動を示さない
が、傾斜角β1 が25°以下になると、摩擦トルクPが
大きく減少し、実用上有効な値以上の摩擦トルクPが得
られなくなる。また、図10に示すように前記逆回転の
場合は、傾斜角α1 が何れの場合も傾斜角β1 が小さく
なると摩擦トルクPが一様に減少する特性を示すが、傾
斜角α1 が20°以上になると、傾斜角β1 の大きさに
拘わらず、実用上有効な値以上の摩擦トルクPが得られ
なくなる。また、傾斜角α1 が20°より小さい場合で
も、傾斜角β1 が25°以下では実用上有効な値以上の
摩擦トルクPが得られなくなる。尚、傾斜角β1 が85
°よりも大きい場合については実際に確認していない
が、前記実験データによれば傾斜角β1 が90°までの
摩擦トルクPは85°の場合とほぼ等しくなると推測さ
れる。
【0043】従って、本実施形態の遠心クラッチにおい
ては、各ローラ12の転動軸が各回転体1,2の回転軸
に対してなす角度α1 を10°よりも大きく20°より
も小さくするとともに、各ローラ12の転動軸が各回転
体1,2の回転軸を含む平面に対してなす角度β1 を2
5°よりも大きく90°よりも小さくすることにより、
常に安定した摩擦力を発生させることができる。
【0044】また、前記実施形態の構成では、図6のI
−I線矢視方向断面図、即ちローラ12の転動軸Aを含
む断面において、図11に示すように各軌道面10a,
11aをローラ12の外周面に軸方向に均一に接触させ
た場合、ローラ12の軸方向両端側の接触圧が中央側よ
りも大きくなる。そこで、図12に示すようにローラ1
2の転動軸Aを含む断面における各軌道面10a,11
aをそれぞれローラ12の外周面に対して凸状をなすよ
うな曲面形状にすれば、ローラ12の軸方向両端側の接
触圧を減少させることができる。従って、各軌道面10
a,11aの曲面形状をローラ12の軸方向の接触圧が
均等になるように形成することにより、各ローラ12に
軸方向に偏った摩耗を生ずることがなく、各ローラ12
の耐久性を向上させることができる。また、図13に示
すようにローラ12の転動軸Aを含む断面において各軌
道面10a,11aを直線状に形成した場合でも、ロー
ラ12の外周面を各軌道面10a,11aに対して凸状
をなすような曲面形状にすることにより、前述と同等の
効果を得ることができる。
【0045】図14乃至図16は本発明の第3の実施形
態を示すもので、図14はローラ及びケージの展開図、
図15はローラの傾斜角を示す概略図、図16はローラ
の傾斜角と摩擦トルクとの関係を示す図である。
【0046】即ち、本実施形態では、前記第2の実施形
態の各ローラ12を各回転体1,2の回転軸を含む平面
に対して同数ずつ(一つずつ)交互に反対方向に傾斜さ
せている。即ち、図15(a) に示すように各ローラ12
の転動軸Aは各回転体1,2の回転軸Bに対してそれぞ
れ所定の傾斜角α2 をなすとともに、図15(b) に示す
ように各回転体1,2の回転軸Bを含む平面に対してそ
れぞれ所定の傾斜角β2 をなす。この場合、各ローラ1
2の傾斜角α2 は3°よりも大きく8°よりも小さく設
定され、傾斜角β2 は25°よりも大きく、90°より
も小さく設定されている。尚、傾斜角β2 はローラ12
の転動軸Aに直交する方向から見た角度である。
【0047】以上の構成においては、前述と同様、各ロ
ーラ12と各クラッチ部材10,11との間に軸方向の
荷重Fに比例した摩擦力を発生させることができる。こ
の場合、各ローラ12はクラッチ部材10の回転軸を含
む平面に対して一つずつ交互に反対方向に傾斜している
ので、各クラッチ部材10,11の何れの相対的な回転
方向においても等しい摩擦力が発生する。
【0048】本実施形態において、出願人は各ローラ1
2の傾斜角α2,β2 と摩擦トルクPとの関係を、傾斜角
α2 は3°から40°、傾斜角β2 は5°から85°の
範囲について実験及び理論解析によって確認した。
【0049】即ち、図16に示すように各ローラ12の
傾斜角α2 が何れの場合も傾斜角β2 が小さくなると摩
擦トルクPが一様に減少する特性を示すが、傾斜角α2
が8°以上になると、傾斜角β2 の大きさに拘わらず、
実用上有効な値以上の摩擦トルクPが得られなくなる。
また、傾斜角α2 が20°より小さい場合でも、傾斜角
β2 が25°以下では実用上有効な値以上の摩擦トルク
Pが得られなくなる。尚、傾斜角β2 が85°よりも大
きい場合については実際に確認していないが、前記実験
データによれば傾斜角β2 が90°までの摩擦トルクP
は85°の場合とほぼ等しくなると推測される。
【0050】尚、前記実施形態では各ローラ12を一つ
ずつ交互に反対方向に傾斜させたものを示したが、各ロ
ーラ12を互いに異なった個数(複数)ずつ反対方向に
傾斜させるようにしてもよい。
【0051】図17は本発明の第4の実施形態を示す遠
心クラッチの側面断面図である。本実施形態の遠心クラ
ッチは、第2の実施形態の摩擦力発生要素(各クラッチ
部材10,11、ローラ12及びケージ13)を軸方向
に二つ備えたものであり、他の構成については、第2の
実施形態と同等であるため、同一の符号を用いて説明を
省略する。
【0052】即ち、本実施形態では各ローラ12を軸方
向二列に配置されるので、より大きな摩擦力を発生させ
ることができる。この場合、各列のローラ12は第2の
実施形態のように互いに同一方向に傾斜するように配置
されていてもよいし、第3の実施形態のように同数ずつ
交互に反対方向に傾斜するように配置されていてもよ
い。また、互いに同一方向に傾斜するように配置した場
合には、各列同士のローラ12の傾斜方向は互いに同一
方向または反対方向の何れであってもよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び2の
遠心クラッチによれば、常に安定した摩擦力を発生させ
ることができ、しかも従来のようにクラッチ板同士を面
接触させる構造に比べて摩耗を極めて少なくすることが
でき、耐久性を格段に向上させることができる。
【0054】また、請求項3及び4の遠心クラッチによ
れば、請求項1または2の効果に加え、各回転体の回転
方向によってそれぞれ異なった摩擦力を発生させること
ができるので、このような機能を要求される動力伝達装
置等に用いる場合に有利である。
【0055】また、請求項5及び6の遠心クラッチによ
れば、請求項1または2の効果に加え、各回転体の何れ
の回転方向においても互いに等しい摩擦力を発生させる
ことができるので、このような機能を要求される動力伝
達装置等に用いる場合に有利である。
【0056】また、請求項7及び8の遠心クラッチによ
れば、請求項2、4または6の効果に加え、各ローラの
軸方向両端側の接触圧を減少させることができるので、
各ローラに軸方向に偏った摩耗を生ずることがなく、各
ローラの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す遠心クラッチの
側面断面図
【図2】図1におけるX−X線方向矢視断面図
【図3】ローラ及びケージの部分正面図
【図4】第1の実施形態の変形例を示すローラ及びケー
ジの部分正面図
【図5】本発明の第2の実施形態を示す遠心クラッチの
側面断面図
【図6】ローラ及びケージの平面図
【図7】ローラの傾斜角を示す概略図
【図8】ローラの動作説明図
【図9】ローラの傾斜角と摩擦トルクとの関係を示す図
【図10】ローラの傾斜角と摩擦トルクとの関係を示す
【図11】各軌道面及びローラの外周面を直線状に形成
した場合を示す図6のI−I線矢視方向断面図
【図12】各軌道面を曲線状に形成した例を示す図6の
I−I線矢視方向断面図
【図13】ローラの外周面を曲線状に形成した例を示す
図6のI−I線矢視方向断面図
【図14】本発明の第3の実施形態を示すローラ及びケ
ージの展開図
【図15】ローラの傾斜角を示す概略図
【図16】ローラの傾斜角と摩擦トルクとの関係を示す
【図17】本発明の第2の実施形態を示す遠心クラッチ
の側面断面図
【符号の説明】
1…入力側回転体、2…出力側回転体、5…ローラ、6
…ケージ、7…押圧部材、12…ローラ、13…ケー
ジ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに同軸状に配置された入力側回転体
    及び出力側回転体とを備え、入力側回転体に作用する遠
    心力に応じて入力側回転体の回転力を出力側回転体に伝
    達する遠心クラッチにおいて、 前記各回転体に互いに軸方向に対向する対向面をそれぞ
    れ設けるとともに、 各回転体の対向面間に互いに各回転体の周方向に所定間
    隔をおいて配置された複数のローラと、 各ローラをその転動軸が各回転体の回転軸を含む平面に
    対してそれぞれ所定の傾斜角度をなすように転動自在に
    保持する保持体と、 入力側回転体に作用する遠心力に応じて各回転体の対向
    面と各ローラとを互いに圧接させる押圧手段とを備えた
    ことを特徴とする遠心クラッチ。
  2. 【請求項2】 互いに同軸状に配置された入力側回転体
    及び出力側回転体とを備え、入力側回転体に作用する遠
    心力に応じて入力側回転体の回転力を出力側回転体に伝
    達する遠心クラッチにおいて、 前記各回転体にその回転軸に対して所定の角度をなすよ
    うに傾斜したテーパ状の対向面をそれぞれ設けるととも
    に、 各回転体の対向面間に互いに各回転体の周方向に所定間
    隔をおいて配置された複数のローラと、 各ローラをその転動軸が各回転体の回転軸を含む平面に
    対してそれぞれ所定の傾斜角度をなすように転動自在に
    保持する保持体と、 入力側回転体に作用する遠心力に応じて各回転体の対向
    面と各ローラとを互いに圧接させる押圧手段とを備えた
    ことを特徴とする遠心クラッチ。
  3. 【請求項3】 前記各ローラの転動軸を各回転体の回転
    軸を含む平面に対してそれぞれ同一方向に傾斜させたこ
    とを特徴とする請求項1記載の遠心クラッチ。
  4. 【請求項4】 前記各ローラの転動軸を各回転体の回転
    軸に対して所定の角度をなすように傾斜させるととも
    に、その傾斜角を10°よりも大きく20°よりも小さ
    くし、 各ローラの転動軸を各回転体の回転軸を含む平面に対し
    て所定の角度をなすようにそれぞれ同一方向に傾斜さ
    せ、その傾斜角を25°よりも大きく90°よりも小さ
    くしたことを特徴とする請求項2記載の遠心クラッチ。
  5. 【請求項5】 前記各ローラの転動軸を各回転体の回転
    軸を含む平面に対して所定の個数ずつ反対方向に交互に
    傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の遠心クラッ
    チ。
  6. 【請求項6】 前記各ローラの転動軸を各回転体の回転
    軸に対して所定の角度をなすように傾斜させるととも
    に、その傾斜角を3°よりも大きく8°よりも小さく
    し、 各ローラの転動軸を各回転体の回転軸を含む平面に対し
    て所定の角度をなすように所定の個数ずつ反対方向に交
    互に傾斜させ、その傾斜角を25°よりも大きく90°
    よりも小さくしたことを特徴とする請求項2記載の遠心
    クラッチ。
  7. 【請求項7】 前記各回転体の対向面におけるローラと
    の接触面を、ローラの転動軸を含む断面においてそれぞ
    れローラの外周面に対して凸状をなすように形成したこ
    とを特徴とする請求項2、4または6記載の遠心クラッ
    チ。
  8. 【請求項8】 前記各回転体の対向面に接触するローラ
    の外周面を、ローラの転動軸を含む断面においてそれぞ
    れ各回転体との接触面に対して凸状をなすように形成し
    たことを特徴とする請求項2、4または6記載の遠心ク
    ラッチ。
JP2000238299A 2000-08-07 2000-08-07 遠心クラッチ Pending JP2002054661A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000238299A JP2002054661A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 遠心クラッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000238299A JP2002054661A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 遠心クラッチ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002054661A true JP2002054661A (ja) 2002-02-20

Family

ID=18730018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000238299A Pending JP2002054661A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 遠心クラッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002054661A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100366940C (zh) * 2006-04-18 2008-02-06 重庆通盛机械工业有限公司 摩托车后置式强制分离单级自动离合器
CN105501375A (zh) * 2015-12-28 2016-04-20 宁波云飚电器科技有限公司 一种具有安全快拆装置的滑板车

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100366940C (zh) * 2006-04-18 2008-02-06 重庆通盛机械工业有限公司 摩托车后置式强制分离单级自动离合器
CN105501375A (zh) * 2015-12-28 2016-04-20 宁波云飚电器科技有限公司 一种具有安全快拆装置的滑板车

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09280340A (ja) 差動装置
JPS645164B2 (ja)
JP2000297860A (ja) オルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置
US6148978A (en) Friction resistance generator
KR100395891B1 (ko) 차동장치
JP2002054661A (ja) 遠心クラッチ
JP3437155B2 (ja) トルクリミッタ
JP3213634B2 (ja) 回転伝達装置
JPS5852092B2 (ja) イツポウクラツチ
JP3368262B2 (ja) 動力伝達装置
JP3030000B2 (ja) 軸力発生装置
JP3444189B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH11118011A (ja) トロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受
JPH11270639A (ja) ローディングカム装置
JPH08135661A (ja) 回転摩擦装置
JP3654425B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3395467B2 (ja) トロイダル型無段変速機
KR20000062508A (ko) 2 방향 차동 클러치
JPH0617838A (ja) 自動復帰機能付トルクリミッタ
JPS62283247A (ja) トルクカム装置
JP4706960B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2001065653A (ja) 摩擦ローラ式変速装置
JPH0553984B2 (ja)
JP2007107628A (ja) トロイダル型無段変速機
JPH0349301Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040323

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040803