JP2002053980A - 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002053980A
JP2002053980A JP2001162888A JP2001162888A JP2002053980A JP 2002053980 A JP2002053980 A JP 2002053980A JP 2001162888 A JP2001162888 A JP 2001162888A JP 2001162888 A JP2001162888 A JP 2001162888A JP 2002053980 A JP2002053980 A JP 2002053980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
steel sheet
film
compound
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001162888A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3903740B2 (ja
Inventor
Akira Matsuzaki
晃 松崎
Satoshi Ando
聡 安藤
Naoto Yoshimi
直人 吉見
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Masaaki Yamashita
正明 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2001162888A priority Critical patent/JP3903740B2/ja
Publication of JP2002053980A publication Critical patent/JP2002053980A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3903740B2 publication Critical patent/JP3903740B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程や使用する際にも安全、無害であっ
て、しかも優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提供
する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化物
微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属とを含有する複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2
層皮膜として、OH基及び/又はCOOH基を有する有
機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、これに(a)Ca
イオン交換シリカ及びリン酸塩、(b)Caイオン交換
シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素、(c)カルシウム化
合物及び酸化ケイ素、(d)カルシウム化合物、リン酸
塩及び酸化ケイ素、(e)モリブデン酸塩、(f)トリ
アゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾー
ル類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合
物、のうちのいずれかの防錆添加成分(B)を含有する
有機皮膜を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途などに最適な有機被覆鋼板に関し、製品を取扱う
作業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さ
らには使用環境下における製品からの有害物質の揮発・
溶出などの環境問題に適応するために、製造時および製
品中にクロム、鉛、カドミウム、水銀などの重金属を全
く含まない環境適応型表面処理鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)
を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸又はその塩
類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施さ
れた鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理
は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことができる経
済的な処理方法である。
【0003】クロメート処理は公害規制物質である6価
クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理
工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還
元・回収されて自然界には放出されていないこと、ま
た、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート
皮膜中からのクロム溶出もほぼゼロにできることから、
実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染される
ことはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、
6価クロムを含めた重金属の使用を自主的に削減しよう
とする動きが高まりつつある。また、廃棄製品のシュレ
ッダーダストを投棄した場合に環境を汚染しないように
するため、製品中にできるだけ重金属を含ませない若し
くはこれを削減しようとする動きも始まっている。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術、所謂クロムフリー技術が数多く提
案されている。このうち有機系化合物や有機樹脂を利用
した方法もいくつか提案されており、例えば、以下のよ
うな方法を挙げることができる。
【0005】(1)タンニン酸を用いる方法(例えば、
特開昭51−71233号) (2)エポキシ樹脂とアミノ樹脂とタンニン酸を混合し
た熱硬化性塗料を用いる方法(例えば、特開昭63−9
0581号) (3)水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成
物を用いる方法(例えば、特開平8−325760号)
などのようなタンニン酸のキレート力を利用する方法 (4)ヒドラジン誘導体水溶液をブリキ又は亜鉛鉄板の
表面に塗布する表面処理方法(例えば、特公昭53−2
7694号、特公昭56−10386号) (5)アシルザルコシンとベンゾトリアソールとの混合
物にアミンを付加させて得られたアミン付加塩を含む防
錆剤を用いる方法(例えば、特開昭58−130284
号) (6)ベンゾチアゾール化合物などの複素環化合物とタ
ンニン酸を混合した処理剤を用いる方法(例えば、特開
昭57−198267号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には以下に述べるような問題点がある。ま
ず、上記(1)〜(4)の方法はいずれも耐食性の面で
問題がある。これは、いずれの方法によっても、得られ
る皮膜が自己補修効果を有していないことに一因があ
る。すなわち、クロメート皮膜では、 (a) バリア効果:3価Cr主体の難溶性化合物(水和酸
化物)による腐食因子(水、酸素、塩素など)に対する
障壁効果 (b) 自己補修効果:6価Crによる腐食起点での保護皮
膜形成効果 の両者の相乗効果によって高度の耐食性を発現する。と
ころが、従来のクロムフリー技術では、バリア効果につ
いてはクロムに頼らなくとも有機樹脂などによってある
程度付与できるが、自己補修効果については、6価Cr
の代替となる自己補修性発現物質が提供されていなかっ
たため、高度の耐食性は実現できなかった。
【0007】また、上記(1)の方法では耐食性が不十
分であるだけでなく、処理後の均一な外観が得られな
い。また、上記(2)の方法は、特に亜鉛系又はアルミ
ニウム系めっき表面に直接、薄膜状(0.1〜5μm)
の防錆皮膜を形成することを狙いとしたものではなく、
このため亜鉛系又はアルミニウム系めっき表面に薄膜状
に適用したとしても十分な防食効果は得られない。ま
た、上記(3)の方法についても同様に耐食性が不十分
である。
【0008】さらに上記(4)の方法は亜鉛系又はアル
ミニウム系めっき鋼板について適用したものではなく、
また、仮に亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板に適用
したとしても、得られる皮膜はネットワーク構造を有し
ていないため十分なバリヤー性がなく、このため耐食性
が不十分である。また、特公昭53−23772号、特
公昭56−10386号には皮膜の均一性向上を狙いと
してヒドラジン誘導体水溶液に水溶性高分子化合物(ポ
リビニルアルコール類、マレイン酸エステル共重合体、
アクリル酸エステル共重合体など)を混合することが開
示されているが、ヒドラジン誘導体水溶液と水溶性高分
子化合物との単なる混合物では十分な耐食性は得られな
い。
【0009】さらに、上記(5)、(6)の方法も亜鉛
系又はアルミニウム系めっき鋼板表面に短時間で防錆皮
膜を形成することを狙いとしたものではなく、また、仮
に処理剤をめっき鋼板表面に塗布したとしても、酸素や
水などの腐食因子へのバリヤー性がないため優れた耐食
性は得られない。また、(6)の方法については、添加
剤として樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル樹脂など)と
の混合についても述べられているが、ベンゾチアゾール
化合物などの複素環化合物と樹脂との単なる混合物では
十分な耐食性は得られない。
【0010】また、上記(1)〜(6)の方法はいずれ
も、プレス加工などで表面に塗布した油を除去するため
に、スプレーなどによるpH9〜11程度のアルカリ脱
脂を行うような実用条件においては、アルカリ脱脂によ
って皮膜が剥離又は損傷し、耐食性を保持できないとい
う問題がある。したがって、これらの方法は、防錆皮膜
を形成する方法としては実用に適したものではない。ま
た、最近のOA機器やAV機器はデジタル化が進み、ノ
イズ対策から表面処理鋼板に対して厳しい導電性が要求
されるようになってきた。また、OA機器ではシャーシ
の組み立て工程でスポット溶接を行う場合が多く、高い
生産性を確保するためはスポット溶接での高度な連続打
点性が要求される。クロメート皮膜を有する有機被覆鋼
板の場合は極めて薄い皮膜で優れた耐食性を示すため、
そのような厳しい導電性やスポット溶接での高度な連続
打点性の要求にも対応することができるが、従来のクロ
ムフリーの有機被覆鋼板では、薄膜になるほど皮膜の欠
陥部からの腐食が発生しやすくなり、これにより耐食性
が著しく低下するという問題がある。
【0011】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、皮膜中に6価クロムなどの重金
属を含まず、製造工程や使用する際にも安全、無害であ
って、しかも優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提
供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の
ような優れた耐食性とともに高度の導電性及びスポット
溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜
として特定の複合酸化物皮膜を形成し、その上部に第2
層皮膜として、特定の有機高分子樹脂を基体樹脂とし、
この基本樹脂中に6価クロムに代わる特定の自己補修性
発現物質(防錆添加成分)を適量配合した有機皮膜を形
成することにより、環境や人体に悪影響を及ぼすおそれ
のあるクロメート処理を行うことなく、無公害で且つ耐
食性に極めて優れた有機被覆鋼板が得られることを見い
出した。さらに、このような有機被覆鋼板の第1層皮膜
と第2層皮膜の付着量を特定の範囲に規制することによ
り、優れた耐食性とともに高度の導電性及びスポット溶
接性を兼ね備えた有機被覆鋼板が得られることを見い出
した。
【0013】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化物微粒子と、
(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)Mg、
Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金属(但し、化
合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を含む)
と、を含有する膜厚が0.005〜3μmの複合酸化物
皮膜を有し、その上部に第2層皮膜として、OH基及び
/又はCOOH基を有する有機高分子樹脂(A)を基体
樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固形分)に対して
下記(a)〜(f)のうちのいずれかの防錆添加成分
(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有する、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0014】[2]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記(e)、(g)及び(h)の防錆添
加成分(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有
する、 (e)モリブデン酸塩 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0015】[3]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記下記(e)及び(i)の防錆添加成
分(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有す
る、 (e)モリブデン酸塩 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0016】[4]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記下記(f)、(g)及び(h)の防
錆添加成分(B)を合計で1〜100重量部(固形分)
含有する、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0017】[5]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記(f)及び(i)の防錆添加成分
(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有する、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0018】[6]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記(e)及び(f)の防錆添加成分
(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0019】[7]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記(e)、(f)、(g)及び(h)
の防錆添加成分(B)を合計で1〜100重量部(固形
分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0020】[8]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹
脂(A)を基体樹脂とし、該基体樹脂100重量部(固
形分)に対して下記(e)、(f)及び(i)の防錆添
加成分(B)を合計で1〜100重量部(固形分)含有
する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0021】[9]上記[1]〜[8]のいずれかの有機
被覆鋼板において、有機皮膜が、さらに固形潤滑剤
(C)を含有し、該固形潤滑剤(C)の含有量が前記基
体樹脂100重量部(固形分)に対して1〜80重量部
(固形分)であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。 [10]上記[1]〜[9]のいずれかの有機被覆鋼板にお
いて、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子
樹脂(A)が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする耐
食性に優れた有機被覆鋼板。 [11]上記[1]〜[10]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分
子樹脂(A)が、エポキシ樹脂及び/又は変性エポキシ
樹脂であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0022】[12]上記[1]〜[11]のいずれかの有
機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中に含まれる成分
(α)が酸化ケイ素であることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。 [13]上記[12]の有機被覆鋼板において、酸化ケイ素
の一次粒子径が8nm以下であることを特徴とする耐食
性に優れた有機被覆鋼板。 [14]上記[1]〜[13]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、複合酸化物皮膜がさらに有機樹脂を含有するこ
とを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [15]上記[1]〜[14]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、複合酸化物皮膜は成分(α)とP換算量
での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での
成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/mであ
り、有機皮膜は付着量が0.1g/m以上、0.5g
/m未満であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。
【0023】[16]上記[1]〜[15]のいずれかの有
機被覆鋼板の製造方法であって、亜鉛系めっき鋼板又は
アルミニウム系めっき鋼板の表面に、(イ)酸化物微粒
子と、(ロ)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(ハ)
Mg、Mn、Alのうちのいずれかの金属イオン、前記
金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記
金属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属の
うちの少なくとも1種を含む複合化合物からなる群の中
から選ばれる1種または2種以上と、を含有し、前記添
加成分(イ)のモル濃度、前記添加成分(ロ)のP2O
5換算の合計モル濃度、前記添加成分(ハ)の前記金属
の金属量換算の合計モル濃度が、モル比(イ)/(ハ)
=0.1〜20、モル比(ハ)/(ロ)=0.1〜1.
5を満足するように調整された処理液を塗布し、しかる
後、加熱乾燥することによりめっき鋼板表面に膜厚が
0.005〜3μmの複合酸化物皮膜を形成し、次い
で、その上部に有機皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、
加熱乾燥することにより、膜厚が0.1〜5μmの有機
皮膜を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被
覆鋼板の製造方法。
【0024】[17]上記[16]の製造方法において、複
合酸化物皮膜形成用の処理液中の添加成分(イ)が酸化
ケイ素であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆
鋼板の製造方法。 [18]上記[16]又は[17]の製造方法において、複合
酸化物皮膜形成用の処理液が、さらに有機樹脂を含有す
ることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造
方法。 [19]上記[16]〜[18]のいずれかの製造方法におい
て、めっき鋼板表面に、成分(α)とP換算量で
の成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での成
分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/mの複合
酸化物皮膜を形成し、該複合酸化物皮膜の上部に付着量
が0.1g/m以上、0.5g/m未満の有機皮膜
を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板の製造方法。
【0025】本発明の有機被覆鋼板の基本的な特徴は、
亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面
に、第1層皮膜として、(α)酸化物微粒子と、(β)
リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)Mg、Mn、
Alの中から選ばれる1種以上の金属(但し、化合物及
び/又は複合化合物として含まれる場合を含む)とを含
有する(好ましくは、主成分として含有する)複合酸化
物皮膜を形成し、さらにその上部に第2層皮膜として、
OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子樹脂
(A)(好ましくは熱硬化性樹脂、さらに好ましくはエ
ポキシ樹脂及び/又は変性エポキシ樹脂)を基体樹脂と
し、これに自己補修性発現物質(防錆添加成分)とし
て、(a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩、(b)
Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素、
(c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素、(d)カルシ
ウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素、(e)モリブデ
ン酸塩、(f)トリアゾール類、チオール類、チアジア
ゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる
1種以上の有機化合物、のうちのいずれかの、若しくは
上記(e)及び/又は(f)に他の成分を複合添加した
防錆添加成分(B)を配合した有機皮膜を形成した点に
ある。
【0026】このような特定の複合酸化物皮膜と有機皮
膜とからなる二層皮膜構造による防食機構は必ずしも明
らかでないが、第1層皮膜の複合酸化物皮膜による以下
に述べるような腐食抑制効果と第2層皮膜の皮膜形成樹
脂によるバリヤー作用とが複合化することにより、薄膜
でありながらクロメート皮膜に匹敵する耐食性が得られ
るものと考えられる。
【0027】上記第1層皮膜である複合酸化物皮膜の防
食機構については必ずしも明確でないが、緻密で難溶
性の複合酸化物皮膜がバリヤー性皮膜として腐食因子を
遮断すること、酸化ケイ素などの酸化物微粒子が、リ
ン酸及び/又はリン酸化合物とMg、Mn、Alの中か
ら選ばれる1種以上の金属と共に安定で緻密なバリヤー
皮膜を形成すること、酸化物微粒子が酸化ケイ素であ
る場合にケイ酸イオンが腐食環境下で塩基性塩化亜鉛の
形成を促し、バリヤー性を向上させること、などにより
優れた防食性能が得られるものと考えられる。
【0028】さらに皮膜に欠陥が生じた場合でも、カソ
ード反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ
性になることにより上記成分(γ)がMe(OH)
して沈殿し、緻密で難溶性の生成物として欠陥を封鎖
し、腐食反応を抑制するものと考えられる。また、上述
したようにリン酸および/またはリン酸化合物は複合酸
化物皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠陥
部で腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜鉛
イオンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化合
物としてそこに沈殿生成物を形成するものと考えられ
る。以上のように、成分(γ)とリン酸および/または
リン酸化合物は皮膜欠陥部での自己補修作用を示すもの
と考えられる。
【0029】また、上記成分(γ)の中でも、マグネシ
ウム成分を含有する場合に特に優れた耐食性が得られ
る。これは、Mgは他の金属に較べて水酸化物の溶解度
が低く、難溶塩を形成しやすいためであると考えられ
る。また、上記のような作用効果は、上述したように複
合酸化物皮膜の成分(α)としてSiO微粒子を特定
の付着量で、成分(β)としてリン酸および/またはリ
ン酸化合物を特定の付着量で、成分(γ)としてマグネ
シウム成分を特定の付着量で、それぞれ含有させた場合
に特に顕著に得られる。
【0030】上記第2層皮膜である有機皮膜の防食機構
についても必ずしも明確でないが、OH基及び/又はC
OOH基を有する有機高分子樹脂(A)(好ましくは熱
硬化性樹脂、さらに好ましくはエポキシ樹脂及び/又は
変性エポキシ樹脂)が架橋剤との反応により緻密なバリ
ヤー皮膜を形成し、このバリヤー皮膜は、酸素などの腐
食因子の透過抑制能に優れ、また分子中のOH基やCO
OH基により素地との強固な結合力が得られるため、特
に優れた耐食性(バリヤー性)が得られるものと考えら
れる。
【0031】また、本発明の有機被覆鋼板では、上記の
ような特定の有機高分子樹脂からなる有機皮膜中に、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 のうちのいずれかの、若しくは上記(e)及び/又は
(f)に他の成分を複合添加した防錆添加成分(B)
(自己補修性発現物質)を適量配合することにより、特
に優れた防食性能(自己修復効果)を得ることができ
る。この特定の有機皮膜中に上記(a)〜(f)の成分
を配合したことにより得られる防食機構は以下のように
考えられる。
【0032】まず、上記(a)〜(d)の成分は沈殿作
用によって自己補修性を発現するもので、その反応機構
は以下のステップで進むと考えられる。 [第1ステップ]:腐食環境下において、めっき金属で
ある亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶
解する。 [第2ステップ]:リン酸塩の場合、加水分解反応によ
り解離したリン酸イオンと上記第1ステップで優先溶解
したカルシウムイオンが錯形成反応を起こし、また酸化
ケイ素の場合、表面に上記第1ステップで優先溶解した
カルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的中和して
凝集する。その結果、いずれの場合も緻密且つ難溶性の
保護皮膜が生成し、これが腐食起点を封鎖することによ
って腐食反応を抑制する。
【0033】また、上記(e)の成分は不動態化効果に
よって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で
溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成
し、これが腐食起点を封鎖することによって腐食反応を
抑制する。また、上記(f)の成分は吸着効果によって
自己補修性を発現する。すなわち、腐食によって溶出し
た亜鉛やアルミニウムが、上記(f)の成分が有する窒
素や硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形成し、
これが腐食起点を封鎖することによって腐食反応を抑制
する。
【0034】一般の有機皮膜中に上記(a)〜(f)の
成分を配合した場合でも、ある程度の防食効果は得られ
るが、本発明のように特定の有機高分子樹脂からなるバ
リア性に優れた有機皮膜中に上記(a)〜(f)の自己
補修性発現物質を配合したことにより、両者の効果(バ
リア性と自己補修性)が複合化し、これにより極めて優
れた防食効果が発揮されるものと考えられる。また、上
記(a)〜(d)、(e)、(f)の各成分によって得
られる自己補修効果からして、より高度な自己補修性を
得るには上記(e)及び/又は(f)を必須成分とし、
これに他の成分を複合させた以下のような組み合せの防
錆添加成分(B)を調整(配合)するのが好ましく、特
に、下記(6)及び(7)の場合に最も高度な自己補修性(す
なわち、耐白錆性)が得られる。
【0035】(1) (e)モリブデン酸塩、(g)カルシ
ウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩
及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (2) (e)モリブデン酸塩、及び(i)Caイオン交換
シリカ、を配合した防錆添加成分 (3) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、(g)カルシウム及び/又はカルシ
ウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ
素、を配合した防錆添加成分 (4) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、
を配合した防錆添加成分
【0036】(5) (e)モリブデン酸塩、及び(f)ト
リアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾ
ール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化
合物、を配合した防錆添加成分 (6) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カル
シウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸
塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (7) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、及び(i)
Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分
【0037】また、本発明の有機被覆鋼板は以上述べた
ような機構によって高度な耐食性を有するため、これら
皮膜の付着量を十分に低減させること、具体的には第1
層皮膜の成分(α)とP換算量での成分(β)と
Mg、Mn及びAlの金属換算量での成分(γ)の合計
付着量を6〜1000mg、第2層皮膜の付着量を0.
1g/m以上、0.5g/m未満とすることがで
き、これによって優れた耐食性とともに高度の導電性及
びスポット溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板とすること
ができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−
Mgめっき鋼板、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき
皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複
合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼
板)などを用いることができる。
【0039】また、上記のようなめっきのうち、同種又
は異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用
いることもできる。また、本発明の有機被覆鋼板のベー
スとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニ
ウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用い
ることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に
予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のよ
うな各種めっきを施したものであってもよい。めっき方
法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中
での電解)、溶融法及び気相法のうち、実施可能ないず
れの方法を採用することもできる。
【0040】また、後述するような二層皮膜をめっき皮
膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないように
するため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカ
リ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調
整処理、酸性の表面調整処理)などの処理を施しておく
ことができる。また、有機被覆鋼板の使用環境下での黒
変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、
必要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオン(N
iイオン、Coイオン、Feイオン)を含む酸性又はア
ルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくことも
できる。また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用
いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄
族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオン)
を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上
含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中
の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。
【0041】次に、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に形成される第1層皮膜である複
合酸化物皮膜について説明する。この複合酸化物皮膜
は、従来の酸化リチウムと酸化ケイ素からなる皮膜組成
物に代表されるアルカリシリケート処理皮膜とは全く異
なり、(α)酸化物微粒子(好ましくは、酸化ケイ素)
と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)M
g、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金属(但
し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を
含む)と、を含有する(好ましくは、主成分として含有
する)複合酸化物皮膜である。
【0042】前記成分(α)である酸化物微粒子として
は、耐食性の観点から特に酸化ケイ素(SiO微粒
子)が好ましい。また、酸化ケイ素の中でもコロイダル
シリカが最も好ましい。コロイダルシリカとしては、例
えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノ
ーテックスOS、スノーテックスOXS、スノーテック
スOUP、スノーテックスAK、スノーテックスO4
0、スノーテックスOL、スノーテックスOL40、ス
ノーテックスOZL、スノーテックスXS、スノーテッ
クスS、スノーテックスNXS、スノーテックスNS、
スノーテックスN、スノーテックスQAS−25、触媒
化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI−3
50、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カタロ
イドSN、旭電化工業(株)製アデライトAT−20〜
50、アデライトAT−20N、アデライトAT−30
0、アデライトAT−300S、アデライトAT20Q
などを用いることができる。
【0043】これらの酸化ケイ素の中でも、特に粒子径
が14nm以下のもの、さらには好ましくは8nm以下
のものが耐食性の観点から望ましい。また、酸化ケイ素
としては、乾式シリカ微粒子を皮膜組成物溶液に分散さ
せたものを用いることもできる。この乾式シリカとして
は、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル20
0、アエロジル3000、アエロジル300CF、アエ
ロジル380などを用いることができ、なかでも粒子径
12nm以下、さらに好ましくは7nm以下のものが望
ましい。
【0044】酸化物微粒子としては、上記の酸化ケイ素
のほかに、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなどのコロイド
溶液、微粉末などを用いることもできる。耐食性および
溶接性の観点から上記成分(α)の好ましい付着量は
0.01〜3000mg/m、より好ましくは0.1
〜1000mg/m、さらに好ましくは1〜500m
g/mである。また、耐食性と高度の導電性及びスポ
ット溶接性を同時に得るという観点からは、上記成分
(α)の好ましい付着量は1〜600mg/mであ
る。
【0045】前記成分(β)であるリン酸及び/又はリ
ン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポ
リリン酸、メタリン酸などこれらの金属塩や化合物など
の1種又は2種以上を皮膜組成物中に添加することによ
り皮膜成分として配合することができる。また、皮膜組
成物に有機リン酸やそれらの塩(例えば、フィチン酸、
フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの
金属塩)の1種以上を添加してもよい。また、そのなか
でも第一リン酸塩が皮膜組成物溶液の安定性の面から好
適である。また、リン酸塩として第一リン酸アンモニウ
ム、第二リン酸アンモニウム、第三リン酸アンモニウム
の1種以上を皮膜組成物溶液に添加すると、耐食性がよ
り改善される傾向が認められた。その理由は明らかでな
いが、これらのアンモニウム塩を使用した場合には、皮
膜組成物溶液のpHを高くしても液がゲル化しない。一
般に、アルカリ域では金属塩が不溶性となるため、pH
の高い皮膜組成物溶液から皮膜が形成される場合に、よ
り難溶性の化合物が乾燥過程で生じるものと考えられ
る。
【0046】皮膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形
態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であ
るか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸、リン酸
化合物のイオン性、溶解度についても特別な制約はな
い。耐食性および溶接性などの観点から上記成分(β)
の好ましい付着量はP 量換算で0.01〜300
0mg/m、より好ましくは0.1〜1000mg/
、さらに好ましくは1〜500mg/mである。
また、耐食性と高度の導電性及びスポット溶接性を同時
に得るという観点からは、上記成分(β)の好ましい付
着量は1〜600mg/mである。
【0047】前記成分(γ)である Mg、Mn、Al
の中から選ばれる1種以上の金属が皮膜中に存在する形
態は特に限定されず、金属として、或いは酸化物、水酸
化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などの化
合物若しくは複合化合物として存在してよい。これらの
化合物、水酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化
合物などのイオン性、溶解度などについても特に限定さ
れない。成分(γ)である上記各元素は皮膜中でリン
酸、リン酸化合物及び酸化物微粒子と複合化合物を形成
し、緻密なバリヤー性皮膜を形成して耐食性向上に寄与
する。
【0048】これらの元素のうちMgは、腐食環境下で
カソード反応によってOHイオンが生成して界面がアル
カリ性になり、緻密で難溶性のMg(OH)として沈
殿することにより皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制
するものと考えられる。Mnは、腐食環境下でカソード
反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ性に
なり、緻密で難溶性のリン酸塩若しくは水酸化物として
沈殿することにより皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑
制するものと考えられる。また、ユーザーで鋼板表面の
加工油、防錆油、揮発油等をアルカリ脱脂で洗浄する場
合には、Mnのリン酸塩はアルカリ環境下で溶解し難い
ので、極めて好適である。Alは、腐食環境下でカソー
ド反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ性
になり、緻密で難溶性のリン酸塩として沈殿することに
より皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制するものと考
えられる。また、ユーザーで鋼板表面の加工油、防錆
油、揮発油等をアルカリ脱脂で洗浄する場合には、Al
のリン酸塩はアルカリ環境下で溶解し難いので、極めて
好適である。
【0049】皮膜中に成分(γ)を導入する方法として
は、 Mg、Mn、Alのリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、
塩化物などとして皮膜組成物に添加すればよい。耐食性
および皮膜外観の低下防止の観点から上記成分(γ)の
好ましい付着量は金属量換算で0.01〜1000mg
/m、より好ましくは0.1〜500mg/m、さ
らに好ましくは1〜100mg/mある。また、耐食
性と高度の導電性及びスポット溶接性を同時に得るとい
う観点からは、上記成分(γ)の好ましい付着量は1〜
600mg/mである。
【0050】複合酸化物皮膜の構成成分である、(α)
酸化物微粒子と、(γ)Mg、Mn、Alの中から選ば
れる1種以上の金属(但し、化合物及び/又は複合化合
物として含まれる場合を含む)のモル比(α)/(γ)
(但し、成分(γ)は前記金属の金属換算量)は0.1
〜20、望ましくは0.1〜10とすることが好まし
い。このモル比(α)/(γ)が0.1未満では酸化物
微粒子の添加効果が十分に得られず、一方、20を超え
ると酸化物微粒子が皮膜の緻密化を阻害してしまう。ま
た、複合酸化物皮膜の構成成分である、(β)リン酸及
び/又はリン酸化合物と、(γ)Mg、Mn、Alの中
から選ばれる1種以上の金属(但し、化合物及び/又は
複合化合物として含まれる場合を含む)のモル比(γ)
/(β)(但し、成分(β)はP換算、成分
(γ)は前記金属の金属量換算)は0.1〜1.5とす
ることが好ましい。このモル比が0.1未満では、可溶
性のリン酸によって複合酸化物皮膜の難溶性が損なわ
れ、耐食性が低下するため好ましくない。また、モル比
が1.5を超えると処理液安定性が著しく低下するため
好ましくない。
【0051】複合酸化物皮膜中には、皮膜の加工性、耐
食性を向上させることを目的として、さらに有機樹脂を
配合することができる。この有機樹脂としては、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチ
レン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド
樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂などの1種又は
2種以上を用いることができる。これらは水溶性樹脂及
び/又は水分散性樹脂として皮膜中に導入できる。さら
に、これらの水系樹脂に加えて、水溶性エポキシ樹脂、
水溶性フェノール樹脂、水溶性ブタジエンラバー(SB
R、NBR、MBR)、メラミン樹脂、ブロックイソシ
アネート、オキサゾリン化合物などを架橋剤として併用
することが有効である。
【0052】複合酸化物皮膜中には、耐食性をさらに向
上させるための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、
リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリ
ブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金
属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例え
ば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバ
ミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレング
リコールなど)などの1種又は2種以上を配合してもよ
い。
【0053】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性ア
ゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例
えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えば、チオー
ルなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、
ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ
型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・
シアヌル酸付加物などの1種又は2種以上を添加するこ
ともできる。
【0054】また、複合酸化物皮膜中には、有機被覆鋼
板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一
種)を防止する目的で、鉄族金属イオン(Niイオン,
Coイオン,Feイオン)の1種以上を添加してもよ
い。なかでもNiイオンの添加が最も好ましい。この場
合、鉄族金属イオンの濃度としては、処理組成物中の金
属量換算での成分(γ)1M(金属換算)に対して1/
10000M以上あれば所望の効果が得られる。鉄族イ
オン濃度の上限は特に定めないが、濃度の増加に伴い耐
食性に影響を及ぼさない程度とするのが好ましく、成分
(γ)1M(金属換算)に対して1M、望ましくは1/
100M程度とするのが好ましい。
【0055】複合酸化物皮膜の膜厚は0.005〜3μ
m、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.
1〜1μm、さらに好ましくは0.2〜0.5μmとす
る。複合酸化物皮膜の膜厚が0.005μm未満では耐
食性が低下する。一方、膜厚が3μmを超えると、溶接
性などの導電性が低下する。また、複合酸化物皮膜をそ
の付着量で規定する場合、上記成分(α)、上記成分
(β)のP換算量、上記成分(γ)の金属換算量
を含めた合計付着量を6〜3600mg/m、好まし
くは10〜1000mg/m、さらに好ましくは50
〜500mg/m 、特に好ましくは100〜500m
g/m、最も好ましくは200〜400mg/m
することが適当である。この合計付着量が6mg/m
未満では耐食性が低下し、一方、合計付着量が3600
mg/mを超えると、導電性が低下するため溶接性な
どが低下する。また、耐食性とともに高度の導電性及び
スポット溶接性を得たい場合には、上記成分(α)とP
換算量での上記成分(β)とMg、Mn及びAl
の金属換算量での上記(γ)の合計付着量を6〜100
0mg/m、好ましくは10〜600mg/mとす
ることが適当である。この合計付着量が6mg/m
満では耐食性が不十分であり、一方、合計付着量が10
00mg/mを超えると所望とする極めて高度な導電
性及びスポット溶接性が得られない。
【0056】次に、上記複合酸化物皮膜の上部に第2層
皮膜として形成される有機皮膜について説明する。本発
明において、複合酸化物皮膜の上部に形成される有機皮
膜は、OH基及び/又はCOOH基を有する有機高分子
樹脂(A)を基体樹脂とし、これに自己補修性発現物質
である下記(a)〜(f)のうちのいずれかの防錆添加
成分(B)、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 若しくは上記(e)及び/又は(f)に他の成分を複合
添加した防錆添加成分(B)が配合され、さらに、必要
に応じて固形潤滑剤(C)が配合された膜厚が0.1〜
5μmの有機皮膜である。
【0057】有機皮膜の基体樹脂としては、OH基及び
/又はCOOH基を有する有機高分子樹脂(A)を用い
る。また、そのなかでは熱硬化性樹脂が好ましく、特に
エポキシ樹脂又は変性エポキシ樹脂が好ましい。さらに
その中でも、酸素などの腐食因子に対して優れた遮断性
を有する熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が
最適であり、とりわけ高度な導電性及びスポット溶接性
を得るために皮膜の付着量を低レベルにする場合には特
に有利である。OH基及び/又はCOOH基を有する有
機高分子樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリヒ
ドロキシポリエーテル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、
エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アルキッド樹脂、
ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリアミン樹脂、ポリフェニレン樹脂類及びこれら
の樹脂の2種以上の混合物若しくは付加重合物などが挙
げられる。
【0058】(1)エポキシ樹脂 エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ノボラックなどをグリシジルエーテル化したエ
ポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイ
ド、エチレンオキサイド又はポリアルキレングリコール
を付加し、グリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、さ
らには脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリ
エーテル系エポキシ樹脂などを用いることができる。こ
れらエポキシ樹脂は、特に低温での硬化を必要とする場
合には、数平均分子量1500以上のものが望ましい。
なお、上記エポキシ樹脂は単独又は異なる種類のものを
混合して使用することもできる。
【0059】変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ
樹脂中のエポキシ基又はビドロキシル基に各種変性剤を
反応させた樹脂が挙げられる。例えば、乾性油脂肪酸中
のカルボキシル基を反応させたエポキシエステル樹脂、
アクリル酸、メタクリル酸などで変性したエポキシアク
リレート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレ
タン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂にイソシアネート
化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂にアルカ
ノールアミンを付加したアミン付加ウレタン変性エポキ
シ樹脂などを挙げることができる。上記ポリヒドロキシ
ポリエーテル樹脂は、単核型若しくは2核型の2価フェ
ノール又は単核型と2核型との混合2価フェノールを、
アルカリ触媒の存在下にほぼ等モル量のエピハロヒドリ
ンと重縮合させて得られる重合体である。単核型2価フ
ェノールの代表例としてはレゾルシン、ハイドロキノ
ン、カテコールが挙げられ、2核型フェノールの代表例
としてはビスフェノールAが挙げられ、これらは単独で
使用しても或いは2種以上を併用してもよい。
【0060】(2)ウレタン樹脂 ウレタン樹脂としては、例えば、油変性ポリウレタン樹
脂、アルキド系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリ
ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカー
ボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ
る。 (3)アルキド樹脂 アルキド樹脂としは、例えば、油変性アルキド樹脂、ロ
ジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、
スチレン化アルキド樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、
アクリル変性アルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹
脂、高分子量オイルフリーアルキド樹脂などを挙げるこ
とができる。
【0061】(4)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸及び
その共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合
体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ポリ
メタクリル酸エステル及びその共重合体、ウレタン−ア
クリル酸共重合体(又はウレタン変性アクリル樹脂)、
スチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられ、さらに
これらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂などによって変性させた樹脂を用いてもよ
い。
【0062】(5)エチレン樹脂(ポリオレフィン樹
脂) エチレン樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、カルボキ
シル変性ポリオレフィン樹脂などのエチレン系共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン系
アイオノマーなどが挙げられ、さらに、これらの樹脂を
他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂など
によって変性させた樹脂を用いてもよい。 (6)アクリルシリコン樹脂 アクリルシリコン樹脂としては、例えば、主剤としてア
クリル系共重合体の側鎖又は末端に加水分解性アルコキ
シシリル基を含み、これに硬化剤を添加したものなどが
挙げられる。これらのアクリルシリコン樹脂を用いた場
合、優れた耐候性が期待できる。
【0063】(7)フッ素樹脂 フッ素樹脂としては、フルオロオレフィン系共重合体が
あり、これには例えば、モノマーとしてアルキルビニル
エーテル、シンクロアルキルビニルエーテル、カルボン
酸変性ビニルエステル、ヒドロキシアルキルアリルエー
テル、テトラフルオロプロピルビニルエーテルなどと、
フッ素モノマー(フルオロオレフィン)とを共重合させ
た共重合体がある。これらフッ素樹脂を用いた場合に
は、優れた耐候性と優れた疎水性が期待できる。
【0064】また、樹脂の乾燥温度の低温化を狙いとし
て、樹脂粒子のコア部分とシェル部分とで異なる樹脂種
類、又は異なるガラス転移温度の樹脂からなるコア・シ
ェル型水分散性樹脂を用いることができる。また、自己
架橋性を有する水分散性樹脂を用い、例えば、樹脂粒子
にアルコキシシラン基を付与することによって、樹脂の
加熱乾燥時にアルコキシシランの加水分解によるシラノ
ール基の生成と樹脂粒子間のシラノール基の脱水縮合反
応を利用した粒子間架橋を利用することができる。ま
た、有機皮膜に使用する樹脂としては、有機樹脂をシラ
ンカップリング剤を介してシリカと複合化させた有機複
合シリケートも好適である。
【0065】本発明では有機皮膜の耐食性や加工性の向
上を狙いとして、特に熱硬化性樹脂を用いることが望ま
しい。この場合、尿素樹脂(ブチル化尿素樹脂など)、
メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹脂)、ブチル化尿素
・メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹
脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物、フ
ェノール樹脂などの硬化剤を配合することができる。以
上述べた有機樹脂の中で、耐食性、加工性、塗装性を考
慮すると、エポキシ樹脂、エチレン系樹脂が好ましく、
特に、酵素などの腐食因子に対して優れた遮断性を有す
る熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が特に好
適である。これらの熱硬化性樹脂としては、熱硬化性エ
ポキシ樹脂、熱硬化性変性エポキシ樹脂、エポキシ基含
有モノマーと共重合したアクリル系共重合体樹脂、エポ
キシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有す
るポリウレタン樹脂、及びこれらの樹脂の付加物もしく
は縮合物などが挙げられ、これらのエポキシ基含有樹脂
の1種を単独で、または2種以上混合して用いることが
できる。
【0066】本発明では、有機皮膜中に自己補修性発現
物質である下記(a)〜(f)のうちのいずれかの防錆
添加成分(B)、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 若しくは上記(e)及び/又は(f)に他の成分を配合
した防錆添加成分(B)を添加する。これら成分(a)
〜(f)による防食機構については先に述べた通りであ
る。
【0067】上記成分(a)、(b)中に含まれるCa
イオン交換シリカは、カルシウムイオンを多孔質シリカ
ゲル粉末の表面に固定したもので、腐食環境下でCaイ
オンが放出されて沈殿膜を形成する。Caイオン交換シ
リカとしては任意のものを用いることができるが、平均
粒子径が6μm以下、望ましくは4μm以下のものが好
ましく、例えば、平均粒子径が2〜4μmのものを用い
ることができる。Caイオン交換シリカの平均粒子径が
6μmを超えると耐食性が低下するとともに、塗料組成
物中での分散安定性が低下する。Caイオン交換シリカ
中のCa濃度は1wt%以上、望ましくは2〜8wt%
であることが好ましい。Ca濃度が1wt%未満ではC
a放出による防錆効果が十分に得られない。なお、Ca
イオン交換シリカの表面積、pH、吸油量については特
に限定されない。
【0068】以上のようなCaイオン交換シリカとして
は、商品名でW.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C
303(平均粒子径2.5〜3.5μm、Ca濃度3w
t%)、SHIELDEX AC3(平均粒子径2.3
〜3.1μm、Ca濃度6wt%)、SHIELDEX
AC5(平均粒子径3.8〜5.2μm、Ca濃度6
wt%)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDE
X(平均粒子径3μm、Ca濃度6〜8wt%)、SH
IELDEX SY710(平均粒子径2.2〜2.5
μm、Ca濃度6.6〜7.5wt%)などを用いるこ
とができる。
【0069】上記成分(a)、(b)、(d)中に含ま
れるリン酸塩は、単塩、複塩などの全ての種類の塩を含
む。また、それを構成する金属カチオンに限定はなく、
リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、
リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カチオンでもよ
い。また、リン酸イオンの骨格や縮合度などにも限定は
なく、正塩、二水素塩、一水素塩又は亜リン酸塩のいず
れでもよく、さらに、正塩はオルトリン酸塩の他、ポリ
リン酸塩などの全ての縮合リン酸塩を含む。
【0070】上記成分(c)、(d)中に含まれるカル
シウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化
物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種また
は2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類に
も特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカル
シウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜
鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカル
シウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用し
てももよい。
【0071】上記成分(b)、(c)、(d)中に含ま
れる酸化ケイ素は、コロイダルシリカ、乾式シリカのい
ずれでもよい。コロイダルシリカとしては、水系皮膜形
成樹脂をベースとする場合には、例えば、商品名で日産
化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックス
N、スノーテックス20、スノーテックス30、スノー
テックス40、スノーテックスC、スノーテックスS、
触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI
−350、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カ
タロイドSN、旭電化工業(株)製のアデライトAT−
20〜50、アデライトAT−20N、アデライトAT
−300、アデライトAT−300S、アデライトAT
20Qなどを用いることができる。
【0072】また、溶剤系皮膜形成樹脂をベースとする
場合には、例えば、商品名で日産化学工業(株)製のオ
ルガノシリカゾルMA−ST−M、オルガノシリカゾル
IPA−ST、オルガノシリカゾルEG−ST、オルガ
ノシリカゾルE−ST−ZL、オルガノシリカゾルNP
C−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST、オルガ
ノシリカゾルDMAC−ST−ZL、オルガノシリカゾ
ルXBA−ST、オルガノシリカゾルMIBK−ST、
触媒化成工業(株)製のOSCAL−1132、OSC
AL−1232、OSCAL−1332、OSCAL−
1432、OSCAL−1532、OSCAL−163
2、OSCAL−1722などを用いることができる。
【0073】特に、有機溶剤分散型シリカゾルは、分散
性に優れ、ヒュームドシリカよりも耐食性に優れてい
る。また、ヒュームドシリカとしては、例えば、商品名
で日本アエロジル(株)製のAEROSIL R97
1、AEROSIL R812、AEROSIL R81
1、AEROSIL R974、AEROSIL R20
2、AEROSILR805、AEROSIL 13
0、AEROSIL 200、AEROSIL300、
AEROSIL 300CFなどを用いることができ
る。
【0074】微粒子シリカは、腐食環境下において緻密
で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生
成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐
食の促進を抑制することができると考えられている。耐
食性の観点からは、微粒子シリカは粒子径が5〜50n
m、望ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜1
5nmのものを用いるのが好ましい。前記成分(e)の
モリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例
えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタ
モリブデン酸塩などが挙げられる。また、単塩、複塩な
どの全ての塩を含み、複塩としてはリン酸モリブデン酸
塩などが挙げられる。
【0075】上記成分(f)の有機化合物のうち、トリ
アゾール類としては、1,2,4−トリアゾール、3−
アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−
1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプ
ト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾ
ールなどが、またチオール類としては、1,3,5−ト
リアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプト
ベンツイミダゾールなどが、またチアジアゾール類とし
ては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チア
ジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チア
ジアゾールなどが、またチアゾール類としては、2−
N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール類などが、またチウラム類として
は、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが、それぞ
れ挙げられる。
【0076】上記成分(a)において、Caイオン交換
シリカ(a1)とリン酸塩(a2)の配合比は固形分の
重量比で(a1)/(a2)=1/99〜99/1、好
ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは2
0/80〜80/20が適当である。(a1)/(a
2)が1/99未満では、カルシウム溶出量が少なく、
腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成できない。一
方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必要
以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、そのカ
ルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオン
が十分供給されないため、耐食性が却って低下してしま
う。
【0077】上記成分(b)において、Caイオン交換
シリカ(b1)とリン酸塩(b2)と酸化ケイ素(b
3)の配合比は固形分の重量比で(b1)/(b2)+
(b3)=1/99〜99/1、好ましくは10/90
〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/2
0が適当であり、また(b2)/(b3)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当である。(b
1)/(b2)+(b3)が1/99未満又は(b2)
/(b3)が1/99未満では、カルシウム溶出量やリ
ン酸イオン量が少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護
皮膜を形成できない。一方、(b1)/(b2)+(b
3)が99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必
要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、その
カルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオ
ンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十
分に供給されず、また、(b2)/(b3)が99/1
を超えると溶出したカルシウムを吸着させるのに必要な
酸化ケイ素が十分に供給されず、いずれの場合も耐食性
が却って低下してしまう。
【0078】上記成分(c)において、カルシウム化合
物(c1)と酸化ケイ素(c2)の配合比は固形分の重
量比で(c1)/(c2)=1〜99〜99/1、好ま
しくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20
/80〜80/20が適当である。(c1)/(c2)
が1/99未満では、カルシウム溶出量が少なく、腐食
起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成できない。一方、
99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必要以上
の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、そのカルシ
ウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十分に供給さ
れないため、耐食性が却って低下してしまう。
【0079】上記成分(d)において、カルシウム化合
物(d1)とリン酸塩(d2)と酸化ケイ素(d3)の
配合比は固形分の重量比で(d1)/(d2)+(d
3)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜9
0/10、さらに好ましくは20/80〜80/20が
適当であり、また、(d2)/(d3)=1/99〜9
9/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好
ましくは20/80〜80/20が適当である。(d
1)/(d2)+(d3)が1/99未満又は(d2)
/(d3)が1/99未満では、カルシウム溶出量やリ
ン酸イオン量が少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護
皮膜を形成できない。一方、(d1)/(d2)+(d
3)が99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必
要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、その
カルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオ
ンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十
分に供給されず、また、(d2)/(d3)が99/1
を超えると溶出したカルシウムを吸着させるのに必要な
酸化ケイ素が十分に供給されず、いずれの場合も耐食性
が却って低下してしまう。
【0080】上記の防錆添加成分(a)〜(f)は、先
に述べたように腐食環境下において沈殿効果(成分
(a)〜(d)の場合)、不動態化効果(成分(e)の
場合)、吸着効果(成分(f)の場合)により、それぞ
れ保護皮膜を形成する。特に本発明では、特定の有機高
分子樹脂に上記成分(a)〜(f)のいずれかを配合す
ることにより、特定の有機高分子樹脂によるバリア効果
と上記成分(a)〜(f)による自己補修効果とが複合
化することによって極めて優れた防食効果が発揮され
る。
【0081】また、上記(a)〜(d)、(e)、
(f)の各成分によって得られる自己補修効果(上述し
た3つのタイプの保護皮膜形成効果)からして、より高
度な自己補修性を得るには上記(e)及び/又は(f)
に他の成分を複合添加した以下のような組み合せの防錆
添加成分(B)を調整(配合)するのが好ましく、特
に、下記(6)及び(7)の場合に最も高度な自己補修性(す
なわち、耐白錆性)が得られる。 (1) (e)モリブデン酸塩、(g)カルシウム及び/又
はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸
化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (2) (e)モリブデン酸塩、及び(i)Caイオン交換
シリカ、を配合した防錆添加成分
【0082】(3) (f)トリアゾール類、チオール類、
チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から
選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カルシウム及び
/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又
は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (4) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、
を配合した防錆添加成分 (5) (e)モリブデン酸塩、及び(f)トリアゾール
類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チ
ウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、を配
合した防錆添加成分
【0083】(6) (e)モリブデン酸塩、(f)トリア
ゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール
類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合
物、(g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物、及
び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防
錆添加成分 (7) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、及び(i)
Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分 ここで、適用し得るカルシウム化合物、リン酸塩、酸化
ケイ素、Caイオン交換シリカについては、先に(a)
〜(d)の成分に関して述べたものと同様である。
【0084】上記(1)の(e)モリブデン酸塩、(g)
カルシウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リ
ン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分
において、これら(e)、(g)及び(h)の配合比は
固形分の重量比で(e)/(g)+(h)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当であり、また
(g)/(h)=1/99〜99/1、好ましくは10
/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜8
0/20が適当である。
【0085】ここで、(e)/(g)+(h)が1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0086】上記(2)の(e)モリブデン酸塩及び
(i)Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分
において、(e)及び(i)の配合比は固形分の重量比
で(e)/(i)=1/99〜99/1、好ましくは1
0/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜
80/20が適当である。ここで、(e)/(i)が1
/99未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果
を複合させることによる効果が十分に得られない。
【0087】上記(3)の(f)トリアゾール類、チオー
ル類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の
中から選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カルシウ
ム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及
び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分におい
て、これら(f)、(g)及び(h)の配合比は固形分
の重量比で(f)/(g)+(h)=1/99〜99/
1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好まし
くは20/80〜80/20が適当であり、また、
(g)/(h)=1/99〜99/1、好ましくは10
/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜8
0/20が適当である。
【0088】ここで、(f)/(g)+(h)が1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0089】上記(4)の(f)トリアゾール類、チオー
ル類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の
中から選ばれる1種以上の有機化合物及び(i)Caイ
オン交換シリカ、を配合した防錆添加成分において、
(f)及び(i)の配合比は固形分の重量比で(f)/
(i)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当である。ここで、(f)/(i)が1/99未満
又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複合させ
ることによる効果が十分に得られない。
【0090】上記(5)の(e)モリブデン酸塩、及び
(f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物、を配合した防錆添加成分において、
(e)及び(f)の配合比は固形分の重量比で(e)/
(f)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当である。ここで、(e)/(f)が1/99未満
又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複合させ
ることによる効果が十分に得られない。
【0091】上記(6)の(e)モリブデン酸塩、(f)
トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チア
ゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機
化合物、(g)カルシウム及び/又はカルシウム化合
物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合
した防錆添加成分において、これら(e)、(f)、
(g)及び(h)の配合比は固形分の重量比で(e)/
(f)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当であり、(e)/(g)+(h)=1/99〜9
9/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好
ましくは20/80〜80/20が適当であり、(f)
/(g)+(h)=1/99〜99/1、好ましくは1
0/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜
80/20が適当であり、(g)/(h)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当である。
【0092】ここで、(e)/(f)、(e)/(g)
+(h)、(f)/(g)+(h)が、それぞれ1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0093】上記(7)の(e)モリブデン酸塩、(f)
トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チア
ゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機
化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、を配合した
防錆添加成分において、これら(e)、(f)及び
(i)の配合比は固形分の重量比で(e)/(f)=1
/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/1
0、さらに好ましくは20/80〜80/20が適当で
あり、(e)/(i)=1/99〜99/1、好ましく
は10/90〜90/10、さらに好ましくは20/8
0〜80/20が適当であり、(f)/(i)=1/9
9〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さ
らに好ましくは20/80〜80/20が適当である。
ここで、(e)/(f)、(e)/(i)、(f)/
(i)が、それぞれ1/99未満又は99/1超えで
は、異なる自己補修効果を複合させることによる効果が
十分に得られない。
【0094】有機樹脂皮膜中での上記防錆添加成分
(B)の合計の配合量(上記成分(a)〜(f)のうち
のいずれか、若しくは上記(e)及び/又は(f)に他
の成分を複合添加した自己補修性発現物質の合計の配合
量)は、基体樹脂100重量部(固形分)に対して、1
〜100重量部(固形分)、好ましくは5〜80重量部
(固形分)、さらに好ましくは10〜50重量部(固形
分)とする。防錆添加成分(B)の配合量が1重量部未
満では耐食性向上効果が小さい。一方、配合量が100
重量部を超えると、耐食性が低下するので好ましくな
い。
【0095】また、有機皮膜中には上記の防錆添加成分
に加えて、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例え
ば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタ
ン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブ
デン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、及びこれらの
金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)、
有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオー
ル化合物、ジチオカルバミン酸塩など)などの1種又は
2種以上を添加できる。
【0096】有機皮膜中には、さらに必要に応じて、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤(C)を配合
することができる。本発明に適用できる固形潤滑剤
(C)としては、例えば、以下のようなものが挙げら
れ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。 (1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など (2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレ
ン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂など)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
【0097】また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物
(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレン
ビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カル
シウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物
(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンな
ど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリア
ルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種又
は2種以上を用いてもよい。
【0098】以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエ
チレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダス
ト 9615A、セリダスト 3715、セリダスト 3
620、セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサ
ンワックス 131−P、サンワックス 161−P、三
井石油化学(株)製のケミパール W−100、ケミパ
ール W−200、ケミパールW−500、ケミパール
W−800、ケミパール W−950などを用いること
ができる。
【0099】また、フッ素樹脂微粒子としては、テトラ
フルオロエチレン微粒子が最も好ましく、例えば、ダイ
キン工業(株)製のルブロン L−2、ルブロン L−
5、三井・デュポン(株)製のMP1100、MP12
00、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフル
オンディスパージョン AD1、フルオンディスパージ
ョン AD2、フルオン L141J、フルオン L15
0J、フルオン L155Jなどが好適である。また、
これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフル
オロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が
期待できる。
【0100】有機皮膜中での固形潤滑剤(C)の配合量
は、基体樹脂100重量部(固形分)に対して、1〜8
0重量部(固形分)、好ましくは3〜40重量部(固形
分)とする。固形潤滑剤(C)の配合量が1重量部未満
では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が80重量部を超
えると塗装性が低下するので好ましくない。
【0101】本発明の有機被覆鋼板が有する有機皮膜
は、通常、特定の有機高分子樹脂(A)を基体樹脂と
し、これに自己補修性発現物質である、(a)Caイオ
ン交換シリカ及びリン酸塩、(b)Caイオン交換シリ
カ、リン酸塩及び酸化ケイ素、(c)カルシウム化合物
及び酸化ケイ素、(d)カルシウム化合物、リン酸塩及
び酸化ケイ素、(e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾ
ール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール
類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合
物、のうちのいずれか、若しくは上記(e)及び/又は
(f)に他の成分を複合添加した防錆添加成分(B)が
配合され、必要に応じて、固形潤滑剤(C)及び硬化剤
などが添加されるが、さらに必要に応じて、添加剤とし
て、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタ
ロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、有機
溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、
無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例
えば、チオールなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、ア
ルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アン
チモンドープ型酸化錫など)、カップリング剤(例え
ば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤な
ど)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種又は2種
以上を添加することができる。
【0102】また、上記基体樹脂および添加成分を含む
皮膜形成用の塗料組成物は、通常、溶媒(有機溶剤及び
/又は水)を含有し、さらに必要に応じて中和剤などが
添加される。以上述べたような有機皮膜は上記複合酸化
物皮膜の上部に形成される。有機皮膜の乾燥膜厚は0.
1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さらに好まし
くは0.5〜2μmとする。有機皮膜の膜厚が0.1μ
m未満では耐食性が不十分であり、一方、膜厚が5μm
を超えると導電性、加工性が低下する。また、耐食性と
ともに高度の導電性及びスポット溶接性を得たい場合に
は、有機皮膜の付着量を0.1g/m以上、0.5g
/m未満、好ましくは0.15g/m以上、0.5
g/m未満とすることが適当である。有機皮膜の付着
量が0.1g/m未満では耐食性が不十分であり、一
方、付着量が0.5g/m以上では所望とする極めて
高度な導電性及びスポット溶接性が得られない。
【0103】亜鉛めっき鋼板に表面に、表2及び表3の
No.1の第1層皮膜用組成物からなる本発明条件を満
足する複合酸化物皮膜(成分(α)とP換算量で
の成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での成
分(γ)の合計付着量:359mg/m)を形成し、
その上部に表4のNo.1の第2層皮膜用樹脂組成物
(基体樹脂:熱硬化性エポキシ樹脂)の固形分100重
量部に対して表5のNo.15の防錆添加成分を15重
量部配合した皮膜用組成物からなる有機皮膜を形成した
有機被覆鋼板について、有機皮膜の付着量と耐食性との
関係を調べた結果を図1に、同じく有機皮膜の付着量と
スポット溶接性との関係を調べた結果を図2に、同じく
有機皮膜の付着量と導電性との関係を調べた結果を図3
に、それぞれ示す。なお、耐食性は[実施例1]におい
て耐白錆性を評価した複合腐食試験(CCT)を行い、
20サイクル後の白錆発生面積率をもとに[実施例1]
と同様の評価基準で評価した。また、スポット溶接性と
導電性については[実施例2]と同様の試験を行い、同
様の評価基準で評価した。
【0104】図1によれば有機皮膜の付着量が多くなる
ほどの耐食性は向上し、付着量を0.1g/m以上、
好ましくは0.15g/m以上とすることにより良好
な耐食性が得られていることが判る。一方、図2によれ
ば有機皮膜の付着量が0.5g/m以上となるとスポ
ット溶接性(スポット連続打点性)が急激に低下し、ま
た、図3によれば有機皮膜の付着量が0.5g/m
上となると導電性も急激に悪化していることが判る。以
上の理由から、優れた耐食性と特に高度な導電性及びス
ポット溶接性を得るためには、有機皮膜の付着量を0.
1g/m以上、0.5g/m未満、好ましくは0.
15g/m以上、0.5g/m未満とすることが適
当である。
【0105】次に、本発明の有機被覆鋼板の製造方法に
ついて説明する。本発明の有機被覆鋼板は、上述した複
合酸化物皮膜の構成成分を含む処理液で亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面を処理(処理
液を塗布)した後、加熱乾燥させ、次いでその上層に、
上述した有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、(a)
Caイオン交換シリカ及びリン酸塩、(b)Caイオン
交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素、(c)カルシウ
ム化合物及び酸化ケイ素、(d)カルシウム化合物、リ
ン酸塩及び酸化ケイ素、(e)モリブデン酸塩、(f)
トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チア
ゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機
化合物、のうちのいずれか、若しくは上記(e)及び/
又は(f)に他の成分を複合添加した防錆添加成分
(B)が添加され、さらに必要に応じて固形潤滑剤
(C)などが添加された塗料組成物を塗布し、加熱乾燥
させることにより製造される。なお、めっき鋼板の表面
は、上記処理液を塗布する前に必要に応じてアルカリ脱
脂処理し、さらに密着性、耐食性を向上させるために表
面調整処理などの前処理を施すことができる。
【0106】亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系め
っき鋼板の表面を処理液で処理し、複合酸化物皮膜を形
成するには、(イ)酸化物微粒子と、(ロ)リン酸及び
/又はリン酸化合物と、(ハ)Mg、Mn、Alのうち
のいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
含む複合化合物からなる群の中から選ばれる1種以上
と、を含有し、さらに必要に応じて上述した各添加成分
(有機樹脂成分、鉄族金属イオン、腐食抑制剤、その他
の添加剤)を添加した処理液(水溶液)で処理し、しか
る後加熱乾燥させることが好ましい。
【0107】ここで、上記処理液としては、前記添加成
分(イ)のモル濃度、前記添加成分(ロ)のP2O5換
算の合計モル濃度、前記添加成分(ハ)の前記金属の金
属量換算の合計モル濃度が、モル比(イ)/(ハ)=
0.1〜20、好ましくは0.1〜10、モル比(ハ)
/(ロ)=0.1〜1.5を満足するように調整された
処理液を用いる。前記モル比(イ)/(ハ)が0.1未
満では酸化物微粒子の添加効果が十分に得られず、一
方、20を超えると酸化物微粒子が皮膜の緻密化を阻害
してしまう。また、上記モル比(ハ)/(ロ)が0.1
未満ではMgなどの金属成分の添加に効果が十分に得ら
れず、一方、1.5を超えると、処理液安定性が低下し
てしまう。
【0108】添加成分(イ)である酸化物微粒子として
は酸化ケイ素(SiO微粒子)が最も好ましい。この
酸化ケイ素は処理液中で安定な水分散性のシリカ微粒子
であればよく、市販のシリカゾルや水分散性のケイ酸オ
リゴマーなどを用いることができる。但し、ヘキサフル
オロケイ酸などのフッ化物は腐食性が強く、人体への影
響も大きいため、作業環境への影響などの観点から使用
しないことが望ましい。処理液中での酸化物微粒子の添
加量(酸化ケイ素の場合はSiO2量としての添加量)
は0.001〜3.0モル/L、好ましくは0.05〜
1.0モル/L、さらに好ましくは0.1〜0.5モル
/Lとするのが適当である。酸化物微粒子の添加量が
0.001モル/L未満では添加による効果が十分でな
く、耐食性が劣る傾向がある。一方、添加量が3.0モ
ル/Lを超えると皮膜の耐水性が悪くなり、結果的に耐
食性も劣化する傾向がある。
【0109】添加成分(ロ)であるリン酸及び/又はリ
ン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリ
ポリリン酸などのポリリン酸、メタリン酸及びこれらの
無機塩(例えば、第一リン酸アルミニウムなど)、亜リ
ン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩などのリ
ン酸含有の化合物が、水溶液中で溶解した際に生じるア
ニオン、あるいは金属カチオンとの錯イオンとして存在
している形態、遊離酸として存在している形態、無機塩
として水分散状態で存在している形態など全てを含み、
本発明におけるリン酸成分の量は処理液中で存在するこ
れら全ての形態の合計をP2O5換算として規定する。
【0110】処理液中でのリン酸および/またはリン酸
化合物の添加量はP2O5換算で0.001〜6.0モ
ル/L、好ましくは0.02〜1.0モル/L、さらに
好ましくは0.1〜0.8モル/Lとするのが適当であ
る。リン酸及び/又はリン酸化合物の添加量が0.00
1モル/L未満では添加による効果が十分でなく、耐食
性が劣る傾向がある。一方、添加量が6.0モル/Lを
超えると過剰のリン酸イオンが湿潤環境においてめっき
皮膜と反応し、腐食環境によってはめっき素地の腐食を
促進し、変色やシミ状錆発生の要因となる。また、添加
成分(ロ)としては、耐食性の優れた複合酸化物を得る
ことができるため、リン酸アンモニウム塩を使用するこ
とも有効である。リン酸アンモニウム塩としては、第一
リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウムなどの1
種または2種以上を用いることが好ましい。
【0111】添加成分(ハ)の処理液中での存在形態は
化合物や複合化合物でもよいが、特に優れた耐食性を得
るためにはMg、Mn、Alの金属イオン又はMg、M
n、Alの金属が含まれる水溶性イオンの形態が特に好
ましい。なお、添加成分(ハ)のイオンを金属塩として
供給するために、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどのアニオンが処理液
中に添加されてもよい。本発明におけるMg、Mn、A
lの成分の量は処理液中で存在するこれら全ての形態の
合計を金属量換算として規定する。
【0112】処理液中での上記添加成分(ハ)の添加量
は、金属量換算の合計で0.001〜3.0モル/L、
好ましくは0.01〜0.5モル/Lとするのが適当で
ある。これらの合計の添加量が0.001モル未満では
添加による効果が十分に得られず、一方、添加量が3.
0モル/Lを超えると、逆にこれらの成分が皮膜のネッ
トワークを阻害するようになり、緻密な皮膜ができにく
くなる。また、金属成分が皮膜から溶出しやすくなり、
環境によっては外観が変色するなどの欠陥を生じる。
【0113】処理液中にはさらに、添加成分(ニ)とし
て、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、
前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンか
らなる群の中から選ばれる1種以上を適量添加すること
ができ、このような鉄族金属を添加することにより、鉄
族金属を添加しない場合に生じる、湿潤環境下における
めっき最表層の腐食に起因した黒変現象が回避できる。
また、これらの鉄族金属のなかでも特にNiの効果が高
く、微量でも優れた効果が認められる。但し、Ni、C
oなどの鉄族金属の過剰添加は耐食性劣化につながるた
め、適量の添加が必要である。
【0114】上記添加成分(ニ)の添加量としては、金
属量換算で、金属量換算での添加成分(ハ)1モルに対
して1/10000〜1モル、望ましく1/10000
〜1/100モルの範囲とすることが好ましい。添加成
分(ニ)の添加量が添加成分(ハ)1モルに対して1/
10000モル未満では添加による効果が十分でなく、
一方、添加量が1モルを超えると上記のように耐食性が
劣化する。処理液中には、上記添加成分(イ)〜(ニ)
のほかに、先に述べた皮膜中への添加成分を適量添加し
てもよい。処理液(水溶液)のpHは0.5〜5、好ま
しくは2〜4とすることが適当である。処理液がpH
0.5未満では処理液の反応性が高くなり過ぎるため皮
膜に微細な欠陥部が形成され、耐食性が低下する。一
方、処理液がpH5を超えると処理液の反応性が低くな
り、めっき皮膜と複合酸化物皮膜との界面の結合が不十
分となり、この場合も耐食性が低下する傾向がある。
【0115】めっき鋼板表面に処理液をコーティングす
る方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式の
いずれでもよく、塗布方式ではロールコーター(3ロー
ル方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイ
コーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。ま
た、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理、
スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法によ
り塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うこ
とも可能である。処理液の温度に特別な制約はないが、
常温〜60℃程度が適当である。常温以下では冷却など
のための設備が必要となるため不経済であり、一方、6
0℃を超えると水分が蒸発し易くなるため処理液の管理
が難しくなる。
【0116】上記のように処理液をコーティングした
後、通常、水洗することなく加熱乾燥を行うが、本発明
で使用する処理液は下地めっき鋼板との反応により難溶
性塩を形成するため、処理後に水洗を行ってもよい。コ
ーティングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であ
り、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、
赤外線炉などの手段を用いることができる。この加熱乾
燥処理は到達板温で50〜300℃、望ましくは80〜
200℃、さらに望ましくは80〜160℃の範囲で行
うことが好ましい。加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜
中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、
加熱乾燥温度が300℃を超えると非経済的であるばか
りでなく、皮膜に欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下
する。
【0117】以上のようにして亜鉛系めっき鋼板または
アルミニウム系めっき鋼板の表面に複合酸化物皮膜を形
成した後、その上層に有機皮膜形成用の塗料組成物を塗
布する。塗料組成物を塗布する方法としては、塗布法、
浸漬法、スプレー法などの任意の方法を採用できる。塗
布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロー
ル方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどの
いずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーター
などによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後
に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、
外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0118】塗料組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく、加熱乾燥を行うが、塗料組成物の塗布後に水洗工
程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ドライヤ
ー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いる
ことができる。加熱処理は、到達板温で50〜350
℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが望
ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多量
に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が35
0℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠
陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0119】本発明は、以上述べたような皮膜を両面ま
たは片面に有する鋼板を含むものである。したがって、
本発明鋼板の形態としては、例えば、以下のようなもの
がある。 (1)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−公知のリン酸塩処理皮膜など (3)両面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜 (4)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜 (5)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−有機皮膜
【0120】
【実施例】[実施例1]表2及び表3に示す第1層皮膜
形成用の処理液(皮膜組成物)と、表4に示す第2層皮
膜形成用の樹脂組成物を調整した。表4に示す樹脂組成
物には表5(表5−1及び表5−2)に示す防錆添加成
分(自己補修性発現物質)、表6に示す固形潤滑剤を適
宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用い
て必要時間分散させて所望の塗料組成物とした。
【0121】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム
系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処理原板とし
て用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び
水洗乾燥した後、表2及び表3に示す処理液(皮膜組成
物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥させて第1層
皮膜を形成させた。この第1層皮膜の膜厚は、処理液の
固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの圧下力、回
転速度など)により調整した。次いで、表4に示す塗料
組成物をロールコーターにより塗布し、加熱乾燥して第
2層皮膜を形成させ、本発明例及び比較例の有機被覆鋼
板を製造した。第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形
分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの圧下力、回転速
度など)により調整した。
【0122】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を第1層
皮膜および第2層皮膜の皮膜構成などとともに表7〜表
39に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評価は以下のよ
うにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0123】(2) 耐白錆性 各サンプルについて以下に示す複合腐食試験(CCT)
を行い、所定サイクル後の白錆発生面積率で評価した。 [複合腐食試験(CCT)の1サイクル内容] 3wt%塩水噴霧試験(30℃;0.5時間) ↓ 湿潤試験(30℃、95%RH;1.5時間) ↓ 熱風乾燥試験(50℃、20%RH;2.0時間) ↓ 熱風乾燥試験(30℃、20%RH;2.0時間) 評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0124】(3) アルカリ脱脂後の耐白錆性 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
アルカリ処理液CLN−364S(60℃,スプレー2
分)でアルカリ脱脂を行った後、上記の複合腐食試験
(CCT)を行い、所定サイクル後の白錆面積率で評価
した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0125】(4) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、粘着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0126】(5) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】下記の表7〜表39において、表中に記載
してある *1〜*7 は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のめっき鋼板No. *2:表2及び表3に記載の第1層皮膜用組成物No. *3:成分(β)はP換算の付着量、成分(γ)は
Mg,Mn,Alの金属量換算の付着量 *4:表4に記載の第2層皮膜用樹脂組成物No. *5:表5に記載の防錆添加成分No. *6:表6に記載の固形潤滑剤No. *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対する配合量
(重量部)
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】
【0136】
【表9】
【0137】
【表10】
【0138】
【表11】
【0139】
【表12】
【0140】
【表13】
【0141】
【表14】
【0142】
【表15】
【0143】
【表16】
【0144】
【表17】
【0145】
【表18】
【0146】
【表19】
【0147】
【表20】
【0148】
【表21】
【0149】
【表22】
【0150】
【表23】
【0151】
【表24】
【0152】
【表25】
【0153】
【表26】
【0154】
【表27】
【0155】
【表28】
【0156】
【表29】
【0157】
【表30】
【0158】
【表31】
【0159】
【表32】
【0160】
【表33】
【0161】
【表34】
【0162】
【表35】
【0163】
【表36】
【0164】
【表37】
【0165】
【表38】
【0166】
【表39】
【0167】[実施例2]家電、建材、自動車部品用の
有機被覆鋼板を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さ
Ra:1.0μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっき又はア
ルミニウム系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処
理原板として用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱
脂処理及び水洗乾燥した後、表2及び表3に示す処理液
(皮膜組成物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥さ
せて第1層皮膜を形成させた。この第1層皮膜の付着量
は、処理液の固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロール
の圧下力、回転速度など)により調整した。次いで、表
4に示す塗料組成物をロールコーターにより塗布し、加
熱乾燥して第2層皮膜を形成させ、本発明例及び比較例
の有機被覆鋼板を製造した。第2層皮膜の付着量は、塗
料組成物の固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの
圧下力、回転速度など)により調整した。
【0168】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性、スポット溶接性、導電性)の評価を
行った。その結果を第1層皮膜及び第2層皮膜の皮膜構
成等とともに表40〜表57に示す。有機被覆鋼板のス
ポット溶接性と導電性の評価は以下のようにして行い、
その他の性能の評価は[実施例1]と同様とした。
【0169】(6) スポット溶接性 板厚1.2mmの試験片を用いて、上電極CR型(元径
16mm、先端径5.4mm)、下電極F型(先端径1
6mm)、加圧力300kg、通電時間13サイクル
(60Hz)の条件下で、スポット溶接性の連続打点試
験を行い、ナゲット径が4.4mmよりも小さくなった
場合を溶接打点の限界とし、下記により評価した。 ◎:連続打点3000点以上 ○:連続打点1000点以上、3000点未満 △:連続打点500点以上、1000点未満 ×:連続打点500点未満
【0170】(7) 導電性(表面抵抗値) 4探針法抵抗率計(三菱化学(株)製「ロレスタA
P」)を用いて、試験片の表面抵抗を測定し、下記によ
り評価した。 ◎:表面抵抗値10−4Ω以下 ○:表面抵抗値10−4Ω超、10−3Ω以下 △:表面抵抗値10−3Ω超、10Ω以下 ×:表面抵抗値10Ω超
【0171】下記の表40〜表57において、表中に記
載してある*1〜*7は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のめっき鋼板No. *2:表2及び表3に記載の第1層皮膜用組成物No. *3:成分(β)はP換算の付着量、成分(γ)は
Mg,Mn,Alの金属量換算の付着量 *4:表4に記載の第2層皮膜用樹脂組成物No. *5:表5に記載の防錆添加成分No. *6:表6に記載の固形潤滑剤No. *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対する配合量
(重量部)
【0172】
【表40】
【0173】
【表41】
【0174】
【表42】
【0175】
【表43】
【0176】
【表44】
【0177】
【表45】
【0178】
【表46】
【0179】
【表47】
【0180】
【表48】
【0181】
【表49】
【0182】
【表50】
【0183】
【表51】
【0184】
【表52】
【0185】
【表53】
【0186】
【表54】
【0187】
【表55】
【0188】
【表56】
【0189】
【表57】
【0190】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、製造時の処理液や製品の皮膜成分中に6価クロムを
全く含まず、しかも建材、家電、自動車等の用途の有機
被覆鋼板として高度の耐食性を有し、また、皮膜外観、
塗料密着性等にも優れている。また、第1層皮膜と第2
層皮膜の付着量を特定の範囲に規制することにより、製
品のノイズ対策から厳しい導電性が要求され、且つシャ
ーシの組み立て工程などにおいて高い生産性を得る必要
から高度のスポット溶接性が要求されるOA機器、AV
機器などの素材として好適な、優れた耐食性と高度な導
電性及びスポット溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量と耐食性との関係を示したグラフ
【図2】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量とスポット溶接性との関係を示し
たグラフ
【図3】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量と導電性との関係を示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 15/18 B32B 15/18 (72)発明者 吉見 直人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE16 AE27 BB24Y BB24Z BB26Z BB87X BB92Y BB92Z CA09 CA13 CA22 CA32 CA33 CA36 DA03 DA06 DB05 DB07 DC01 DC10 DC11 DC18 EA07 EA37 EB12 EB13 EB14 EB16 EB19 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB36 EB37 EB38 EB43 EB44 EB45 EB56 EC01 EC03 EC07 EC15 EC53 EC54 4F100 AA04C AA04D AA17C AA20D AB03A AB09C AB10B AB10C AB14C AB18B AH03D AH04D AK01D AK36 AK53 CA14D DE01C EH71B GB07 GB33 GB41 JB02 JL00 YY00C YY00D 4K044 AA02 AB02 BA10 BA17 BA21 BB03 BC02 BC08 CA11 CA16 CA18 CA53

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(a)〜
    (f)のうちのいずれかの防錆添加成分(B)を合計で
    1〜100重量部(固形分)含有する、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(e)、
    (g)及び(h)の防錆添加成分(B)を合計で1〜1
    00重量部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記下記
    (e)及び(i)の防錆添加成分(B)を合計で1〜1
    00重量部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記下記
    (f)、(g)及び(h)の防錆添加成分(B)を合計
    で1〜100重量部(固形分)含有する、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(f)及
    び(i)の防錆添加成分(B)を合計で1〜100重量
    部(固形分)含有する、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(e)及
    び(f)の防錆添加成分(B)を合計で1〜100重量
    部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(e)、
    (f)、(g)及び(h)の防錆添加成分(B)を合計
    で1〜100重量部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基及び/又はCOO
    H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、該
    基体樹脂100重量部(固形分)に対して下記(e)、
    (f)及び(i)の防錆添加成分(B)を合計で1〜1
    00重量部(固形分)含有する、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
    する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  9. 【請求項9】 有機皮膜が、さらに固形潤滑剤(C)を
    含有し、該固形潤滑剤(C)の含有量が前記基体樹脂1
    00重量部(固形分)に対して1〜80重量部(固形
    分)であることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7又は8に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  10. 【請求項10】 OH基及び/又はCOOH基を有する
    有機高分子樹脂(A)が、熱硬化性樹脂であることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9
    に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  11. 【請求項11】 OH基及び/又はCOOH基を有する
    有機高分子樹脂(A)が、エポキシ樹脂及び/又は変性
    エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9又は10に記載の耐食性に
    優れた有機被覆鋼板。
  12. 【請求項12】 複合酸化物皮膜中に含まれる成分
    (α)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11に記載
    の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  13. 【請求項13】 酸化ケイ素の一次粒子径が8nm以下
    であることを特徴とする請求項12に記載の耐食性に優
    れた有機被覆鋼板。
  14. 【請求項14】 複合酸化物皮膜がさらに有機樹脂を含
    有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11、12又は13に記載の耐
    食性に優れた有機被覆鋼板。
  15. 【請求項15】 複合酸化物皮膜は成分(α)とP
    換算量での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換
    算量での成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/
    であり、有機皮膜は付着量が0.1g/m以上、
    0.5g/m未満であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
    13又は14に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  16. 【請求項16】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14又は15に記載
    の有機被覆鋼板の製造方法であって、 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面
    に、 (イ)酸化物微粒子と、 (ロ)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (ハ)Mg、Mn、Alのうちのいずれかの金属イオ
    ン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオ
    ン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前
    記金属のうちの少なくとも1種を含む複合化合物からな
    る群の中から選ばれる1種または2種以上と、を含有
    し、前記添加成分(イ)のモル濃度、前記添加成分
    (ロ)のP2O5換算の合計モル濃度、前記添加成分
    (ハ)の前記金属の金属量換算の合計モル濃度が、モル
    比(イ)/(ハ)=0.1〜20、モル比(ハ)/
    (ロ)=0.1〜1.5を満足するように調整された処
    理液を塗布し、しかる後、加熱乾燥することによりめっ
    き鋼板表面に膜厚が0.005〜3μmの複合酸化物皮
    膜を形成し、次いで、その上部に有機皮膜形成用の塗料
    組成物を塗布し、加熱乾燥することにより、膜厚が0.
    1〜5μmの有機皮膜を形成することを特徴とする耐食
    性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  17. 【請求項17】 複合酸化物皮膜形成用の処理液中の添
    加成分(イ)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求
    項16に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 複合酸化物皮膜形成用の処理液が、さ
    らに有機樹脂を含有することを特徴とする請求項16又
    は17に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 めっき鋼板表面に、成分(α)とP
    換算量での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属
    換算量での成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg
    /mの複合酸化物皮膜を形成し、該複合酸化物皮膜の
    上部に付着量が0.1g/m以上、0.5g/m
    満の有機皮膜を形成することを特徴とする請求項16、
    17又は18に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製
    造方法。
JP2001162888A 2000-05-30 2001-05-30 耐食性に優れた有機被覆鋼板 Expired - Fee Related JP3903740B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001162888A JP3903740B2 (ja) 2000-05-30 2001-05-30 耐食性に優れた有機被覆鋼板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-161049 2000-05-30
JP2000161049 2000-05-30
JP2001162888A JP3903740B2 (ja) 2000-05-30 2001-05-30 耐食性に優れた有機被覆鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002053980A true JP2002053980A (ja) 2002-02-19
JP3903740B2 JP3903740B2 (ja) 2007-04-11

Family

ID=26592949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001162888A Expired - Fee Related JP3903740B2 (ja) 2000-05-30 2001-05-30 耐食性に優れた有機被覆鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3903740B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004018887A (ja) * 2002-06-12 2004-01-22 Jfe Steel Kk プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JP2004263252A (ja) * 2003-03-03 2004-09-24 Jfe Steel Kk 耐白錆性に優れたクロムフリー化成処理鋼板
WO2005049314A1 (ja) * 2003-11-21 2005-06-02 Jfe Steel Corporation 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP2008229518A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐端面赤錆性に優れたクロムフリー塗装鋼板
US7527876B2 (en) 2006-09-07 2009-05-05 Jfe Steel Corporation Surface-treated steel sheet
JP2010018829A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Sumitomo Metal Ind Ltd 潤滑処理鋼板および潤滑皮膜形成用処理液
JP2010100936A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Jfe Steel Corp 防錆鋼板およびその製造方法
WO2010114170A1 (ja) 2009-03-31 2010-10-07 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板
WO2011052701A1 (ja) 2009-10-27 2011-05-05 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板
WO2012042883A1 (ja) 2010-09-29 2012-04-05 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板の製造方法および亜鉛系めっき鋼板
KR20140060573A (ko) 2011-09-14 2014-05-20 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 아연계 도금 강판용의 표면 처리액과 아연계 도금 강판 및 그 제조 방법
US9127366B2 (en) 2010-09-29 2015-09-08 Jfe Steel Corporation Zinc-based metal coated steel sheet
CN110004448A (zh) * 2017-11-14 2019-07-12 埃瓦尔德德尔肯有限公司 腐蚀控制涂层
WO2020129473A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004018887A (ja) * 2002-06-12 2004-01-22 Jfe Steel Kk プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JP2004263252A (ja) * 2003-03-03 2004-09-24 Jfe Steel Kk 耐白錆性に優れたクロムフリー化成処理鋼板
WO2005049314A1 (ja) * 2003-11-21 2005-06-02 Jfe Steel Corporation 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
US7348068B2 (en) 2003-11-21 2008-03-25 Jfe Steel Corporation Surface-treated steel sheet excellent in corrosion resistance, conductivity, and coating appearance
CN102991023A (zh) * 2003-11-21 2013-03-27 杰富意钢铁株式会社 抗蚀性、导电性及被膜外观优良的表面处理钢板
US7527876B2 (en) 2006-09-07 2009-05-05 Jfe Steel Corporation Surface-treated steel sheet
JP2008229518A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐端面赤錆性に優れたクロムフリー塗装鋼板
JP2010018829A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Sumitomo Metal Ind Ltd 潤滑処理鋼板および潤滑皮膜形成用処理液
JP2010100936A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Jfe Steel Corp 防錆鋼板およびその製造方法
WO2010114170A1 (ja) 2009-03-31 2010-10-07 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板
US9051654B2 (en) 2009-10-27 2015-06-09 Jfe Steel Corporation Galvanized steel sheet
WO2011052701A1 (ja) 2009-10-27 2011-05-05 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板
WO2012042883A1 (ja) 2010-09-29 2012-04-05 Jfeスチール株式会社 亜鉛系めっき鋼板の製造方法および亜鉛系めっき鋼板
US9127366B2 (en) 2010-09-29 2015-09-08 Jfe Steel Corporation Zinc-based metal coated steel sheet
US9499914B2 (en) 2010-09-29 2016-11-22 Jfe Steel Corporation Method for manufacturing zinc or zinc alloy coated steel sheet and zinc or zinc alloy coated steel sheet manufactured by the method
KR20140060573A (ko) 2011-09-14 2014-05-20 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 아연계 도금 강판용의 표면 처리액과 아연계 도금 강판 및 그 제조 방법
US9187829B2 (en) 2011-09-14 2015-11-17 Jfe Steel Corporation Surface-treatment solution for zinc or zinc alloy coated steel sheet and method for manufacturing zinc or zinc alloy coated steel sheet
CN110004448A (zh) * 2017-11-14 2019-07-12 埃瓦尔德德尔肯有限公司 腐蚀控制涂层
CN110004448B (zh) * 2017-11-14 2024-03-22 埃瓦尔德德尔肯有限公司 腐蚀控制涂层
WO2020129473A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板
JPWO2020129473A1 (ja) * 2018-12-20 2021-02-15 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板
EP3901296A4 (en) * 2018-12-20 2022-01-19 JFE Steel Corporation SURFACE TREATED STEEL SHEET
US11795526B2 (en) 2018-12-20 2023-10-24 Jfe Steel Corporation Surface-treated steel sheet

Also Published As

Publication number Publication date
JP3903740B2 (ja) 2007-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100551583B1 (ko) 유기피복 강판 및 그의 제조방법
KR100347449B1 (ko) 내식성이 우수한 표면처리 강판 및 그 제조방법
TWI252874B (en) Surface treated steel sheet having excellent corrosion resistance, electroconductivity and appearance
JP3911965B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3903739B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3903740B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
US20060182988A1 (en) Surface-treated steel sheet and method for producing same
JP2001335964A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2007186767A (ja) 高耐食性表面処理鋼板およびその製造方法
JP3480396B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP4110750B2 (ja) 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板
JP2005048200A (ja) 耐食性および皮膜外観に優れる表面処理鋼板
JP4123702B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4096524B2 (ja) 高温多湿環境下での耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4517737B2 (ja) 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP3412540B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3412537B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2000000519A (ja) 耐白錆性に優れた表面処理鋼板
JP3911966B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4419533B2 (ja) 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP3578018B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP3412541B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2017066446A (ja) 耐食性に優れた表面処理溶融亜鉛めっき鋼板
JPH115062A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2000144446A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3903740

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140119

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees