JP2002053931A - 歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板およびその製造方法

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JP2002053931A JP2001161947A JP2001161947A JP2002053931A JP 2002053931 A JP2002053931 A JP 2002053931A JP 2001161947 A JP2001161947 A JP 2001161947A JP 2001161947 A JP2001161947 A JP 2001161947A JP 2002053931 A JP2002053931 A JP 2002053931A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車車体用として好適な歪時効硬化性に優
れた冷延鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.15%以下、Al:0.02%以下、N:
0.0050〜0.0250%を含み、かつSi+Mn/5+10Pを0.44未
満、N/Alを0.3 以上に調整した組成のスラブをFD
T:800 ℃以上とする熱間圧延後、巻き取り、ついで冷
間圧延後、再結晶温度以上950 ℃以下の温度での焼鈍
と、500 ℃以下の温度域まで急冷する焼鈍後冷却と、35
0 〜500 ℃の温度域での滞留時間を20s以上とする過時
効処理を行い、粒径15μm以下のフェライト相を90%以
上、残部をパーライト相とする組織を有し、固溶Nを0.
0010%以上含有し、引張強さ440MPa未満、降伏比70%未
満の歪時効硬化特性に優れた鋼板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として自動車車
体用として好適な冷延鋼板に係り、とくに引張強さ(T
S)440MPa未満、降伏比(YR)が70%未満で歪時効硬
化特性に優れた冷延鋼板、およびその製造方法に関す
る。自動車車体用鋼板としては、いわゆる軽加工用から
超深絞り加工用までさまざまな等級の鋼板があるが、本
発明の冷延鋼板は比較的低い等級で適切な加工性が要求
される用途に適するものである。また、本発明の冷延鋼
板は、軽度の曲げ加工やロールフォーミングによりパイ
プに成形されるような比較的軽加工に供されるものから
比較的厳しい絞り成形に供されるものまで、広範囲の用
途に適するものである。なお、本発明における鋼板と
は、鋼板、鋼帯を含むものとする。
【0002】また、本発明において、「歪時効硬化特性
に優れた」とは、引張歪5%の予変形後、170 ℃の温度
に20min 保持する条件で時効処理したとき、この時効処
理前後の変形応力増加量(BH量と記す;BH量=時効
処理後の降伏応力−時効処理前の予変形応力)が80MPa
以上であり、かつ歪時効処理(前記予変形+前記時効処
理)前後の引張強さ増加量(ΔTSと記す;ΔTS=時
効処理後の引張強さ−予変形前の引張強さ)が40MPa 以
上であることを意味する。
【0003】
【従来の技術】昨今の地球環境問題からの排出ガス規制
に関連し、自動車における車体重量の軽減は極めて重要
な課題となっている。自動車の車体重量軽減のために
は、多量に使用されている鋼板の強度を増加させ、すな
わち高張力鋼板を適用して、使用する鋼板の薄肉化を図
るのが有効である。
【0004】しかし、自動車部品を作る過程において
は、鋼板に対してプレス成形が行われ、鋼板の強度が高
すぎるとプレス成形した場合に、 形状凍結性が劣化する、 延性が劣化するため成形時に割れやネッキングなどの
不具合を生ずる、 といった問題が生じる。
【0005】これを打開するための手法として、例えば
外板パネル用の冷延鋼板では、極低炭素鋼を素材とし、
最終的に固溶状態で残存するC量を適正範囲に制御した
鋼板が知られている。この種鋼板は、プレス成形時には
軟質に保たれ、形状凍結性、延性を確保し、プレス成形
後に行われる、170 ℃×20min 程度の塗装焼付工程で起
こる歪時効硬化現象を利用した降伏応力の上昇を得て、
耐デント性を確保しようとするものである。この種の鋼
板では、プレス成形時にはCが鋼中に固溶して軟質であ
り、一方、プレス成形後には、塗装焼付工程で、プレス
成形時に導入された転位を固溶Cが固着して、降伏応力
が上昇する。
【0006】しかし、この種鋼板では、表面欠陥とな
る、プレス成形時のストレッチャーストレインの発生を
防止する観点から、歪時効硬化による降伏応力上昇量は
低く抑えられている。このため、実際に部品の軽量化に
寄与するところは小さいことになる。すなわち、部品の
軽量化には、単に歪時効により降伏応力のみ上昇するの
ではなく、さらに変形が進んだときの強度特性の上昇が
必要である。言い換えれば、歪時効後の引張強さの上昇
が望まれている。
【0007】一方、外観があまり問題にならない用途に
対しては、固溶Nを用いて焼付硬化量をさらに増加させ
た鋼板や、組織をフェライトとマルテンサイトからなる
複合組織とすることで焼付硬化性をより一層向上させた
鋼板が提案されている。例えば、特開昭60-52528号公報
には、C:0.02〜0.15%、Mn:0.8 〜3.5 %、P:0.02
〜0.15%、Al:0.10%以下、N:0.005 〜0.025 %を含
む鋼を550 ℃以下の温度で巻き取る熱間圧延と、冷延後
の焼鈍を制御冷却熱処理とする延性およびスポット溶接
性がともに良好な高強度薄鋼板の製造方法が開示されて
いる。特開昭60-52528号公報に記載された技術で製造さ
れた鋼板は、フェライトとマルテンサイトを主体とする
低温変態生成物相からなる混合組織を有し延性に優れる
とともに、積極的に添加されたNによる塗装焼付けの際
の歪時効を利用して、高強度を得ようとするものであ
る。
【0008】しかしながら、特開昭60-52528号公報に記
載された技術では、歪時効硬化による降伏応力YSの増
加量は大きいが引張強さTSの増加量が少なく、また、
降伏応力YSの増加量も大きくばらつくなど機械的性質
の変動も大きいため、現状で要望されている自動車部品
の軽量化に寄与できるほどの鋼板の薄肉化が期待できな
い。
【0009】また、特公平5-24979 号公報には、C:0.
08〜0.20%、Mn:1.5 〜3.5 %を含み残部Feおよび不可
避的不純物からなる成分組成を有し、組織がフェライト
量5%以下の均一なベイナイトもしくは一部マルテンサ
イトを含むベイナイトで構成された焼付硬化性高張力冷
延薄鋼板が開示されている。特公平5-24979 号公報に記
載された冷延鋼板は、連続焼鈍後の冷却過程で400 〜20
0 ℃の温度範囲を急冷とし、その後を徐冷とすることに
より、組織をベイナイト主体の組織として、従来になか
った高い焼付硬化量を得ようとするものである。
【0010】しかしながら、特公平5-24979 号公報に記
載された鋼板では、塗装焼付け後に降伏強さが上昇し従
来になかった高い焼付け硬化量が得られるものの、引張
強さまでは上昇させることができず、強度部材に適用し
た場合、成形後の耐疲労特性、耐衝撃特性の向上が期待
できない。このため、耐疲労特性、耐衝撃性等が強く要
求される用途への適用ができないという問題が残されて
いた。
【0011】さらに、上記した従来の鋼板では、単純な
引張試験による塗装焼付処理後の強度評価では優れてい
るものの、実プレス条件にしたがって、塑性変形させた
ときの強度に大きなばらつきが存在し、信頼性が要求さ
れる部品に適用するには必ずしも十分とはいえなかった
のである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の限界を打破し、成形性と、安定した品質特性を
有するうえ、自動車部品に成形したのちに自動車部品と
して十分な強度が得られ自動車車体の軽量化に充分に寄
与できる、歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板およびこれ
ら鋼板を工業的に安価に、かつ形状を乱さずに製造でき
る製造方法を提供することを目的とする。本発明におけ
る歪時効硬化特性は、引張歪5%の予変形後、170 ℃の
温度に20min 保持する時効条件で、BH量が80MPa 以
上、ΔTSが40MPa 以上を目標とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために、組成および製造条件を種々変えて鋼
板を製造し、多くの材質評価実験を行った。その結果、
高加工性が要求される分野では従来あまり積極的に利用
されることがなかったNを強化元素として、この強化元
素の作用により発現する大きな歪時効硬化現象を有利に
活用することにより、成形性の向上と成形後の高強度化
とを容易に両立させることができることを知見した。
【0014】さらに、本発明者らは、Nによる歪時効硬
化現象を有利に活用するためには、Nによる歪時効硬化
現象を自動車の塗装焼付け条件、あるいはさらに積極的
に成形後の熱処理条件と有利に結合させる必要があり、
そのために、熱延条件や冷延、冷延焼鈍条件を適正化し
て、鋼板の微視組織と固溶N量とをある範囲に制御する
ことが有効であることを見いだした。また、Nによる歪
時効硬化現象を安定して発現させるためには、組成の面
で、特にAl含有量をN含有量に応じて制御することが重
要であることも見いだした。また、本発明者らは、鋼板
の微視組織を、フェライトを主相とし、平均粒径を15μ
m 以下とすることにより、従来問題であった室温時効劣
化の問題もなく、Nを充分に活用できることを見い出し
た。
【0015】すなわち、本発明者らは、Nを強化元素と
して用い、Al含有量をN含有量に応じて適正な範囲に制
御するとともに、熱延条件や冷延、冷延焼鈍条件を適正
化して、微視組織と固溶Nを最適化することにより、従
来の固溶強化型のC−Mn系鋼板、析出強化型鋼板に比べ
て格段に優れた成形性と、上記した従来の鋼板にない歪
時効硬化特性とを有する鋼板が得られることを見いだし
たのである。
【0016】また、本発明の鋼板は、単純な引張試験に
よる塗装焼付処理後の強度が従来の鋼板よりも高いう
え、さらに実プレス条件にしたがって塑性変形させたと
きの強度のばらつきが小さく、安定した部品強度特性が
得られる。例えば、歪が大きく加わり板厚が減少した部
分は、他の部分より硬化代が大きく(板厚)×(強度)
という載荷重能力で評価すると均一化する方向であり、
部品としての強度は安定するのである。
【0017】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討を加え完成されたものである。すなわち、第1の本
発明では、質量%で、C:0.15%以下、Si:0.4 %以
下、Mn:2.0 %以下、P:0.04%以下、S:0.02%以
下、Al:0.02%以下、N:0.0050〜0.025 %を含み、か
つSi、Mn、Pを次(1)式 Si+Mn/5+10P<0.44 ………(1) (ここで、Si、Mn、P:各元素含有量(質量%))を満
足する範囲で含有し、さらにN/Alが0.3 以上で、固溶
状態のNを0.0010%以上含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる組成と、フェライト相とパーライト相
からなる組織とを有し、前記フェライト相が面積率で90
%以上でかつ平均結晶粒径15μm以下であることを特徴
とする引張強さ440MPa未満、降伏比YR70%未満で、歪
時効硬化特性に優れた、好ましくは板厚3.2mm 以下の冷
延鋼板であり、また、第1の本発明では、前記組成に加
えてさらに、質量%で、次a群〜c群 a群:Cu、Ni、Cr、Moの1種または2種以上を合計で1.
0 %以下 b群:Nb、Ti、Vの1種または2種以上を合計で0.1 %
以下 c群:Ca、REM の1種または2種を合計で0.0010〜0.01
0 % の1群または2群以上を含むことが好ましい。
【0018】また、第2の本発明では、質量%で、C:
0.15%以下、Si:0.4 %以下、Mn:2.0 %以下、P:0.
04%以下、S:0.02%以下、Al:0.02%以下、N:0.00
50〜0.025 %を含み、かつSi、Mn、Pを次(1)式 Si+Mn/5+10P<0.44 ………(1) (ここで、Si、Mn、P:各元素含有量(質量%))を満
足する範囲で含有し、さらにN/Alが0.3 以上である組
成を有する鋼スラブを、スラブ加熱温度:1000℃以上に
加熱し、粗圧延してシートバーとし、該シートバーに仕
上圧延出側温度:800 ℃以上とする仕上圧延を施し、巻
き取り熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗お
よび冷間圧延を行い冷延板とする冷間圧延工程と、該冷
延板に再結晶温度以上950 ℃以下の温度で保持時間:10
〜120sとする焼鈍を行い、ついで500 ℃以下の温度域
まで冷却速度:10〜300 ℃/sで冷却する焼鈍後冷却
と、あるいはさらに350 〜500 ℃の温度域で20s以上滞
留する過時効処理とを行う冷延板焼鈍工程とを、順次施
すことを特徴とする引張強さ440MPa未満、降伏比YR70
%未満で歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板の製造方法で
あり、また、第2の本発明では、前記仕上げ圧延後、冷
却速度30℃/s以上で急冷し、前記巻き取りを行うこと
が好ましい。
【0019】また、第2の本発明では、前記冷延板焼鈍
工程に続いてさらに、伸び率:1.0〜15%の調質圧延ま
たはレベラー加工を施すことが好ましい。また、第2の
本発明では、前記粗圧延と前記仕上圧延の間で、相前後
するシートバー同士を接合することが好ましく、また、
第2の本発明では、前記粗圧延と前記仕上圧延の間で、
前記シートバーの幅端部を加熱するシートバーエッジヒ
ータ、前記シートバーの長さ端部を加熱するシートバー
ヒータのいずれか一方または両方を使用することが好ま
しい。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、本発明鋼板の組成限定理由
について説明する。なお、質量%は、以下、単に%と記
す。 C:0.15%以下 Cは、鋼板の強度を増加する元素であり、また本発明の
重要な構成要件であるフェライトの平均結晶粒径15μm
以下を達成するため、さらに所望の強度を確保するとい
う観点から、0.005 %以上含有するのが好ましいが、0.
15%を超えると、鋼板中の炭化物分率が過大となり、延
性が顕著に低下し成形性が劣化するうえ、さらにスポッ
ト溶接性、アーク溶接性などが顕著に低下する。このよ
うな成形性および溶接性の観点からCは0.15%以下に限
定した。なお、プレス成形性の観点からは0.08%以下、
さらに良好な延性が要求される用途では0.05%以下とす
るのが好ましい。
【0021】Si:0.4 %以下 Siは、鋼の延性を顕著に低下させることなく鋼板の強度
を高めることができる有用な元素であり、その効果を得
るには0.005 %以上含有させるのが好ましく、所望の強
度に合わせて適宜含有量を調整する。一方、Siは、熱間
圧延時に変態点を大きく上昇させて品質、形状の確保を
困難にしたり、あるいはまた表面性状、化成処理性など
鋼板表面の美麗性に悪影響を与える元素であり、本発明
では0.4%以下に限定した。Siが0.4 %以下であれば、
併合添加するMnの量を調整することで変態点の顕著な上
昇を抑制することができ、良好な表面性状も確保でき
る。なお、とくに美麗性が要求される場合には0.2 %以
下とするのが望ましい。
【0022】Mn:2.0 %以下 Mnは、Sによる熱間割れを防止する有効な元素であり、
含有するS量に応じて添加するのが好ましく、またMnは
本発明の重要な構成要件である結晶粒の微細化に対して
大きな効果があり、積極的に添加して材質改善に利用す
るのが好ましい。Sを安定して固定する観点からは、Mn
は0.2 %以上含有するのが好ましい。
【0023】また、Mnは鋼板強度を増加させる元素であ
り、比較的高い強度が要求される場合には、1.2 %以上
より好ましくは1.5 %以上である。Mn含有量をこのレベ
ルまで高めると、熱延条件を含め製造条件の変動に対す
る鋼板の機械的性質、および歪時効硬化特性のばらつき
が小さくなり、品質安定化に効果的である。また、Mnは
熱間圧延時に変態点を下げる働きがあり、Siとともに含
有することにより、Si含有による変態点の上昇を相殺す
ることができる。とくに板厚が薄い製品では、変態点の
変動によって品質・形状が敏感に変わるため、MnとSiの
含有量を厳密にバランスさせることが肝腎となる。この
ようなことから、Mn/Si は3.0 以上とするのがより好ま
しい。
【0024】一方、Mnを2.0 %を超えて多量に含有する
と、鋼板の熱間変形抵抗が増加する傾向となるうえ、ス
ポット溶接性、および溶接部の成形性が劣化する傾向と
なり、さらに、フェライトの生成が抑制されるため、延
性が顕著に低下する傾向となる。このため、Mnは2.0 %
以下に限定した。なお、より良好な耐食性と成形性が要
求される用途では、Mnは1.7 %以下とするのが望まし
い。
【0025】P:0.04%以下 Pは、鋼の固溶強化元素として有用な元素であり、その
効果を得るには0.001%以上含有させるのが好ましく、
所望の強度に合わせて適宜含有量を調整する。なお、P
を用いて固溶強化による大きな強度増加を得るためには
0.015 %以上含有するのが望ましいが、過剰に含有する
と鋼を脆化させ、さらに鋼板の伸びフランジ加工性を低
下させる。また、Pは鋼中で偏析する傾向が強いためそ
れに起因した溶接部の脆化をもたらす。このため、Pは
0.04%以下に限定した。なお、伸びフランジ加工性や溶
接部靱性が特に重要視される場合は0.02%以下とするの
が好ましい。
【0026】Si、Mn、P:(1)式を満足する範囲 Si+Mn/5+10P<0.44 ………(1) (ここで、Si、Mn、P:各元素含有量(質量%)) Si、Mn、Pは、いずれも固溶強化により強度を増加させ
る作用を有するため、本発明では、組織をフェライト相
とパーライト相からなる組織に限定していることや、引
張強さを440MPa未満と限定していることから、Si、Mn、
Pの含有量をそれぞれ上記した範囲内でかつ(1)式を
満足する範囲に制限する。(1)式の左辺(A=Si+Mn
/5+10P)が0.44以上となると、強度が増加しすぎて所
望の延性が確保できなくなり、さらに、鋼の溶接性、鋼
板表面の美麗性が低下する。
【0027】また、詳細な機構は不明であるがA値が0.
44以上となると時効硬化特性も低下し、良好な歪時効硬
化特性を確保するためにもA値を0.44未満とする。 S:0.02%以下 Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性、さ
らには耐食性の劣化をもたらす元素であり、本発明では
Sは0.02%以下に限定した。なお、特に良好な加工性が
要求される用途においては、0.015 %以下とするのが好
ましい。さらに伸びフランジ性の要求レベルが高い場合
は、Sは0.008 %以下とするのが好ましい。また、歪時
効硬化特性を安定して高レベルに維持するためには、詳
細な機構は不明であるが、Sを0.008 %以下まで低減す
るのが好ましい。
【0028】Al:0.02%以下 Alは、脱酸剤として作用し鋼の清浄度を向上させるのに
有効な元素であり、さらに鋼板の組織を微細化する元素
でもあり、本発明では0.001 %以上の含有が望ましい。
一方、過剰のAl含有は、鋼板表面性状を悪化させ、さら
に本発明の重要な構成要件である固溶状態のNを減少さ
せ、歪時効硬化現象に寄与する固溶Nの不足を生じ、製
造条件がばらついた場合本発明の特徴である歪時効硬化
特性にばらつきが生じやすくなる。このため、本発明で
は、Al含有量は0.02%以下と低く限定した。なお、材質
安定性の観点からは、Alは0.015 %以下とするのが好ま
しい。
【0029】N:0.0050〜0.025 % Nは、固溶強化と歪時効硬化により鋼板の強度を増加さ
せる元素であり、本発明において最も重要な元素であ
る。また、Nには鋼の変態点を下げる働きもあり、Nの
含有は薄物で変態点を大きく割り込んだ圧延が忌避され
る状況下での操業安定化にも有用である。本発明では、
適量のNを含有し、さらに製造条件を制御することによ
り、冷延製品あるいはめっき製品で必要かつ十分な量の
固溶状態のNを確保し、それによって固溶強化と歪時効
硬化での強度(YS、TS)上昇効果が十分に発揮さ
れ、焼付け硬化量(BH量)80MPa 以上、歪時効処理前
後での引張強さの増加量ΔTS40MPa 以上という本発明
鋼板の機械的性質要件を安定して満足することができ
る。
【0030】Nが0.0050%未満では、上記の強度上昇効
果が安定して現れにくい。一方、Nが0.025 %を超える
と、鋼板の内部欠陥発生率および表面の欠陥発生率が高
くなるとともに、連続鋳造時のスラブ割れなどが多発す
るようになる。このため、Nは0.0050〜0.025 %の範囲
とした。なお、製造工程全体を考慮した材質の安定性・
歩留り向上の観点からは、Nは0.0070〜0.020 %の範囲
とするのがより好ましい。なお、本発明範囲内のN量で
あれば、スポット溶接、アーク溶接等の溶接性への悪影
響は全くない。
【0031】固溶状態のN:0.0010%以上 冷延製品で十分な強度が確保され、さらにNによる歪時
効硬化が十分に発揮されるには、鋼中に固溶状態のN
(固溶Nともいう)が0.0010%以上の量(濃度)で存在
する必要がある。ここで、固溶N量は、鋼中の全N量か
ら析出N量を差し引いて求めるものとする。なお、析出
N量の分析法としては、本発明者らが種々の分析法を比
較検討した結果によれば、定電位電解法を用いた電解抽
出分析法により求めるのが有効である。なお抽出分析に
用いる地鉄を溶解する方法として、酸分解法、ハロゲン
法および電解法がある。この中で、電解法は炭化物、窒
化物などの極めて不安定な微細析出物を分解させること
なく、安定して地鉄のみを溶解できる。電解液としては
アセチル・アセトン系を用いて、定電位にて電解する。
本発明では定電位電解法を用いて析出N量を測定した結
果が、実際の部品強度ともっともよい対応を示した。
【0032】このようなことから、本発明では、定電位
電解法により抽出した残渣を化学分析して残渣中のN量
を求め、これを析出N量とする。なお、より高いBH
量、ΔTSを得るためには、固溶N量は0.0020%以上、
さらに高い値を得るためには、0.0030%以上とするのが
好ましい。 N/Al(N含有量とAl含有量の比):0.3 以上 製品状態で、固溶Nを0.0010%以上安定させて残留させ
るためには、Nを強力に固定する元素であるAlの量を制
限する必要がある。本発明の組成範囲内のN含有量とAl
含有量の組合せを広範囲に変えた鋼板について検討した
結果、冷延製品およびめっき製品での固溶Nを0.0010%
以上とするには、Al量を0.02%以下と低く限定した場
合、N/Alを0.3 以上とすることが必要であることがわ
かった。すなわち、Al含有量は(N含有量)/0.3 以下
に制限される。
【0033】本発明では、上記した組成に加えてさら
に、次a群〜c群 a群:Cu、Ni、Cr、Moの1種または2種以上を合計で1.
0 %以下 b群:Nb、Ti、Vの1種または2種以上を合計で0.1 %
以下 c群:Ca、REM の1種または2種を合計で0.0010〜0.01
0 % の1群または2群以上を含有するのが好ましい。
【0034】a群の元素:Cu、Ni、Cr、Moは、いずれも
鋼板の延性を大きく低下させることなく強度上昇に寄与
する元素であり、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、C
r:0.01%以上、Mo:0.01%以上でその効果を得ること
ができ、必要に応じ選択して単独または複合して含有で
きる。しかし、含有量が多すぎると熱間変形抵抗が増加
し、あるいは化成処理性や広義の表面処理特性が悪化す
るうえ、溶接部が硬化し溶接部成形性が劣化する。この
ため、a群の元素は合計で1.0 %以下とするのが好まし
い。
【0035】b群の元素:Nb、Ti、Vは、いずれも結晶
粒の微細化・均一化に寄与する元素であり、Nb:0.002
%以上、Ti:0.002 %以上、V:0.002 %以上でその効
果を得ることができ、必要に応じ選択して単独または複
合して含有できる。しかし、含有量が多すぎると、熱間
変形抵抗が増加し、化成処理性や広義の表面処理特性が
悪化する。このため、b群の元素は合計で0.1 %以下と
するのが好ましい。
【0036】特に、微細析出しやすいNb析出物に関して
は、多量に含有すると降伏比が大きくなりやすいため、
その含有量を0.01%未満とすることが好ましい。より好
ましくは0.007 %未満である。 c群の元素:Ca、REM は、いずれも介在物の形態制御に
役立つ元素であり、特に伸びフランジ成形性の要求があ
る場合には、単独または複合して含有するのが好まし
い。その場合、c群の元素の合計で、0.0010%未満では
介在物の形態制御効果が不足し、一方、0.010 %を超え
ると表面欠陥の発生が目立つようになる。このため、c
群の元素は合計で0.0010〜0.010 %の範囲に限定するの
が好ましい。
【0037】次に、本発明鋼板の組織について説明す
る。 フェライト相の面積率:90%以上 本発明の冷延鋼板は、高度な加工性が要求される自動車
用鋼板等の使途を目的としており、延性を確保するため
に、フェライト相を面積率で90%以上含む組織とする。
フェライト相の面積率が90%未満では、高度な加工性が
要求される自動車用鋼板として必要な延性を確保するこ
とが困難となる。また、詳細な機構は不明であるが、フ
ェライト相の面積率が90%未満では安定して高い歪時効
硬化を達成することが困難である。
【0038】なお、フェライト相以外の相は、パーライ
ト相とする。 フェライト相の平均結晶粒径:15μm以下 本発明では結晶粒径として、断面組織写真からASTM
に規定の求積法により算出した値と、断面組織写真から
ASTMに規定の切断法により求めた公称粒径(例えば
梅本ら:熱処理, 24(1984), 334 参照)のうち、いず
れか大きい方を採用する。
【0039】本発明の冷延鋼板は、製品として所定量の
固溶Nを確保しているが、本発明者らの実験・検討結果
によれば、固溶N量を一定に保ってもフェライト+パー
ライト組織においては、フェライト相の平均結晶粒径が
15μmを超えると歪時効硬化特性に大きなばらつきが生
じることが判明した。また、室温で保管した場合の機械
的特性の劣化も顕著となる。この詳細な機構は現在のと
ころ不明であるが、歪時効硬化特性のばらつきの原因の
一つが結晶粒径にあり、結晶粒界への合金元素の偏析と
析出、さらにはこれらに及ぼす加工、熱処理の影響に関
係するものと推定される。したがって、歪時効硬化特性
の安定化を図るには、フェライト相の平均結晶粒径を15
μm以下とする必要がある。なお、BH量およびΔTS
量のさらなる増加を、安定して得るためにはフェライト
の平均結晶粒径は12μm以下とするのが好ましい。
【0040】上記した組成と組織を有する本発明の冷延
鋼板は、引張強さTSが440MPa未満で、歪時効硬化特性
に優れた冷延鋼板である。本発明において、「歪時効硬
化特性に優れた」とは、上記したように、引張歪5%の
予変形後、170 ℃の温度に20min 保持する条件で時効処
理したとき、この時効処理前後の変形応力増加量(BH
量と記す;BH量=時効処理後の降伏応力−時効処理前
の予変形応力)が80MPa 以上であり、かつ歪時効処理
(前記予変形+前記時効処理)前後の引張強さ増加量
(ΔTSと記す;ΔTS=時効処理後の引張強さ−予変
形前の引張強さ)が40MPa 以上であることを意味する。
【0041】歪時効硬化特性を規定する場合、予歪量
(予変形)が重要な因子となる。本発明者らは、自動車
用鋼板に適用される変形様式を想定して、歪時効硬化特
性におよぼす予歪量の影響について調査し、極めて深い
絞り加工以外は、概ね1軸相当歪量で整理でき、実部品
ではこの1軸相当歪が5%を上回っており、部品強度が
予歪5%の歪時効処理後に得られる強度と良く対応して
いることを突き止めた。このことから、本発明では、歪
時効処理の予変形を引張歪5%に定めた。
【0042】従来の塗装焼付け処理条件は、170 ℃×20
min が標準として採用されている。なお、多量の固溶N
を含む本発明鋼板に5%以上の歪が加わる場合は、より
緩やかな(低温側の)時効処理でも硬化が達成され、言
い換えれば時効条件をより幅広くとることが可能であ
る。また、一般に、硬化量を稼ぐには、過度の時効で軟
化させない限りにおいて、より高温で、より長時間保持
することが有利である。
【0043】具体的に述べると、本発明鋼板では、予変
形後に硬化が顕著となる加熱温度の下限は概ね100 ℃で
ある。一方、加熱温度が300 ℃を超えると硬化が頭打ち
となり、逆にやや軟化する傾向が現れるほか、熱歪やテ
ンパーカラーの発生が目立つようになる。また、保持時
間については、加熱温度200 ℃程度のとき概ね30s程度
以上とすれば略十分な硬化が達成される。さらに大きな
安定した硬化を得るには保持時間60s以上とするのが好
ましい。しかし、20min を超える保持では、さらなる硬
化を望みえないばかりか、生産効率も著しく低下して実
用面では不利である。
【0044】以上のことから、本発明では、時効処理条
件として従来の塗装焼付処理条件の加熱温度である170
℃、保持時間を20min で評価すると定めた。従来の塗装
焼付け型鋼板では十分な硬化が達成されない低温加熱・
短時間保持の時効処理条件下でも、本発明鋼板では大き
な硬化が安定的に達成される。なお、加熱の仕方はとく
に制限されず、通常の塗装焼付けに採用されている炉に
よる雰囲気加熱のほか、たとえば誘導加熱や、無酸化
炎、レーザ、プラズマなどによる加熱などのいずれも好
ましく用いうる。
【0045】自動車用の部品強度は外部からの複雑な応
力負荷に抗しうる必要があり、それゆえ素材鋼板では小
さな歪域での強度特性だけでなく大きな歪域での強度特
性も重要となる。本発明者らはこの点に鑑み、自動車部
品の素材となすべき本発明鋼板のBH量を80MPa 以上と
するとともに、ΔTS量を40MPa 以上とする。なお、よ
り好ましくは、BH量100MPa以上、ΔTS50MPa 以上と
する。BH量とΔTS量をより大きくするには、時効処
理の際の加熱温度をより高温側に、および/または、保
持時間をより長時間側に、設定すればよい。
【0046】また、本発明鋼板は、成形加工されない状
態では、室温で1年程度の長時間放置されても時効劣化
(YSが増加しかつEl(伸び)が減少する現象)は起
こらないという、従来にない利点が備わっている。とこ
ろで、本発明の効果は製品板厚が比較的厚い場合でも発
揮されうるが、製品板厚が3.2mm を超える場合には、冷
延板焼鈍工程で必要十分な冷却速度を確保することがで
きず、連続焼鈍時に歪時効が生じ、製品として目標とす
る歪時効硬化特性が得にくくなる。したがって、本発明
鋼板の板厚は3.2 mm以下とするのが好ましい。
【0047】また、本発明では、上記した本発明冷延鋼
板の表面に電気めっきまたは溶融めっきを施しても何ら
問題はない。これらめっき鋼板も、めっき前と同程度の
TS、BH量、ΔTS量を示す。めっきの種類として
は、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛
めっき、溶融アルミめっき、電気錫めっき、電気クロム
めっき、電気ニッケルめっき等、いずれも好ましく適用
しうる。
【0048】次に、本発明鋼板の製造方法について説明
する。本発明鋼板は、基本的に、上記した範囲内の組成
を有する鋼スラブを加熱後粗圧延してシートバーとし、
該シートバーに仕上圧延を施し、巻き取り熱延板とする
熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および冷間圧延を行い
冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に連続焼鈍およ
び過時効処理を行う冷延板焼鈍工程とを、順次施すこと
により製造される。
【0049】本発明の製造方法で使用するスラブは、成
分のマクロな偏析を防止すべく連続鋳造法で製造するこ
とが望ましいが、造塊法、薄スラブ連鋳法で製造しても
よい。また、スラブを製造後いったん室温まで冷却して
再度加熱する通常プロセスのほか、冷却せず温片のまま
で加熱炉に挿入したのち圧延する直送圧延、あるいは僅
かの保熱を行った後に直ちに圧延する直接圧延などの省
エネルギープロセスも問題なく適用できる。とくに、固
溶状態のNを有効に確保するには、Nの析出が遅延する
直送圧延は有用な技術の一つである。
【0050】まず、熱間圧延工程条件の限定理由につい
て説明する。 スラブ加熱温度:1000℃以上 スラブ加熱温度は、初期状態として、必要かつ十分な固
溶N量を確保し、製品での固溶N量の目標値(0.0010%
以上)を満たすために、1000℃以上とするのが好まし
い。なお、酸化重量の増加に伴うロスの増大を避ける観
点から、スラブ加熱温度は1280℃以下とするのが好まし
い。
【0051】上記した条件で加熱されたスラブは、粗圧
延によりシートバーとされる。なお、粗圧延の条件はと
くに規定する必要はなく、常法にしたがって行えばよ
い。しかし、固溶N量の確保という観点からはできるだ
け短時間での処理とするのが望ましい。ついで、シート
バーを仕上圧延して熱延板とする。
【0052】なお、本発明では、粗圧延と仕上圧延の間
で、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上
圧延することが好ましい。接合手段としては、圧接法、
レーザ溶接法、電子ビーム溶接法などを用いるのが好ま
しい。これにより、仕上圧延およびその後の冷却におい
て形状の乱れを生じやすい非定常部(被処理材の先端部
および後端部)の存在割合が減少し、安定圧延長さ(同
一条件で圧延できる連続長さ)および安定冷却長さ(張
力をかけたまま冷却できる連続長さ)が延長して、製品
の形状・寸法精度および歩留りが向上する。
【0053】また、従来のシートバー毎の単発圧延では
通板性や噛込み性等の問題により実施が難しかった薄物
・広幅に対する潤滑圧延が容易に実施できるようにな
り、圧延荷重およびロール面圧が低減してロールの寿命
が延長する。また、本発明では、粗圧延と仕上圧延の間
で、シートバーの幅端部を加熱するシートバーエッジヒ
ータ、シートバーの長さ端部を加熱するシートバーヒー
タのいずれか一方または両方を使用して、シートバーの
幅方向および長手方向の温度分布を均一化することが好
ましい。これにより、鋼板内の材質ばらつきをさらに小
さくすることができる。シートバーエッジヒータ、シー
トバーヒータは誘導加熱方式のものとするのが操業安定
性の点で好ましい。
【0054】使用手順は、まずシートバーエッジヒータ
により幅方向の温度差を補償することが望ましい。この
ときの加熱量は、鋼組成などにもよるが、仕上圧延出側
での幅方向温度分布範囲が概ね20℃以下となるように設
定するのが好ましい。次いでシートバーヒータにより長
手方向の温度差を補償する。このときの加熱量は、長さ
端部温度が中央部温度よりも20〜40℃程度高くなるよう
に設定するのが好ましい。
【0055】仕上圧延出側温度:800 ℃以上 仕上圧延出側温度FDTは、鋼板の組織を均一かつ微細
とするために、800 ℃以上とする。FDTが800 ℃を下
回ると、パーライトバンドの発生など組織が不均一とな
り、一部に加工組織が残留したりする。なお、機械的性
質をさらに改善させるには、FDTは820 ℃以上とする
のが望ましい。
【0056】仕上げ圧延後の冷却:仕上げ圧延終了後、
冷却速度30℃/s以上で急冷 仕上圧延後は空冷でもよいが、仕上げ圧延後急冷するこ
とが望ましく、平均冷却速度を30℃/s以上で冷却する
のが望ましい。このような条件で急冷することにより、
AlN が析出する高温域を急冷でき、固溶状態のNを有効
に確保できる。仕上げ圧延後行う巻き取りの条件は、特
に限定されないが、巻取温度CTの低下につれて、鋼板
強度が増加し、固溶Nも安定して残留するので、歪時効
硬化特性を安定して高めるためには、CTは650 ℃以下
とするのが好ましい。なお、CTが200 ℃未満では鋼板
形状が乱れやすくなり、実操業上、不具合を生じる危険
性が高く、材質の均一性が低下する傾向を示す。このた
め、CTは200 ℃以上とするのが望ましい。なお、より
材質の均一性が要求される場合には、CTは300℃以上
とするのが好ましい。なお、より好ましくは400 ℃以上
である。
【0057】また、本発明では、仕上圧延において、熱
間圧延荷重を低減するために、また、最終的に歪時効硬
化特性を安定させるために、潤滑圧延を行ってもよい。
潤滑圧延を行うことにより、熱延板の形状・材質がより
均一化されるという効果もある。なお、潤滑圧延の際の
摩擦係数は0.25〜0.10の範囲とするのが好ましい。ま
た、潤滑圧延と連続圧延とを組み合わせることによりさ
らに、熱間圧延の操業も安定する。
【0058】上記した熱間圧延工程を施された熱延板
は、ついで、冷間圧延工程により、酸洗および冷間圧延
を施されて冷延板となる。酸洗の条件は通常公知の条件
でよく、とくに限定されない。なお、熱延板のスケール
が極めて薄い場合には、酸洗を施すことなく直ちに冷間
圧延を行ってもよい。
【0059】また、冷間圧延条件は、通常公知の条件で
よく、とくに限定されない。なお、組織の均一性確保と
いう観点から冷間圧下率は40%以上とするのが好まし
い。ついで、冷延板は、焼鈍と、焼鈍後冷却と、あるい
はさらに過時効処理とによる冷延板焼鈍工程を施され
る。 焼鈍温度:再結晶温度以上で950 ℃以下 焼鈍温度は再結晶温度以上とした。
【0060】焼鈍温度が再結晶温度未満では、再結晶が
完了せず、強度は目標を満足するものの延性が低く、そ
のため成形性が低下し自動車用鋼板としては適用できな
い。なお、成形性をより一層向上させるためには、焼鈍
温度は700 ℃以上とするのが好ましい。一方、焼鈍温度
が950 ℃を超えると、鋼板の形状の乱れが顕著となる。
このため、焼鈍温度は再結晶温度以上で950 ℃以下とす
るのが好ましい。
【0061】焼鈍温度での保持時間:10〜120 s 前記焼鈍温度での保持時間は、組織の微細化、所望以上
の固溶N量を確保する観点から、できるだけ短時間とす
るのが好ましく、いわゆる連続焼鈍とすることが好まし
く、操業の安定性から焼鈍温度での保持時間は10s以上
とするのが望ましい。保持時間が120 sを超えると、組
織の微細化、固溶N量の確保が困難となる。このため、
焼鈍温度における保持時間は10〜120 sの範囲とするの
が好ましい。
【0062】焼鈍後冷却:500 ℃以下の温度域まで冷却
速度:10〜300 ℃/s 焼鈍における焼鈍後の冷却(均熱後冷却ともいう)は、
組織の微細化、固溶N量の確保の観点から重要であり、
本発明では均熱後冷却として、500 ℃以下の温度域まで
10〜300 ℃/sの冷却速度で連続冷却する。冷却速度が
10℃/s未満では、均一で微細な組織と所望量以上の固
溶Nの確保が困難となる。一方、冷却速度が300 ℃/s
を超えると、固溶C量が多量に残存し、降伏強さYSが
増加し、伸びElが顕著に低下するとともに、鋼板の幅
方向での材質の均一性が不足する。10〜300 ℃/sの冷
却速度で冷却した際の冷却停止温度が、500 ℃超えの温
度では、組織の微細化が達成できない。
【0063】均熱後冷却に続いて、過時効処理を施すこ
ともできる。過時効処理は、必ずしも必要ではないが、
固溶C量を調整することができ、それにより関連する材
質(YS、El)を調整することができる。このため、
材質の安定化の必要性に応じて、過時効処理を実施して
もよい。 過時効処理:350 〜500 ℃の温度域で20s以上 過時効処理を行うことで、固溶N量を維持したままで、
固溶C量を低減することができる。極めて大きな歪時効
硬化特性を得るためには、固溶N、固溶Cどちらでも可
能であるが、固溶Cが多量に存在すると室温での時効が
顕著となり、延性、加工性等の特性劣化が顕著となる。
本発明では、主として、固溶Nにより歪時効硬化特性を
向上させ、優れた機械的特性を発現する。過時効処理温
度が350℃未満では、固溶Cの低減効果が小さく、一
方、500 ℃を超えると、組織の微細化が達成できない。
過時効処理時間は20s未満ではその効果が小さい。この
ため、過時効処理は350 〜500 ℃の温度域で20s以上と
するのが好ましい。なお、過時効処理時間は連続焼鈍設
備のライン長やその他の制約のため600 s以下とするの
が好ましい。
【0064】さらに、本発明では、冷延板焼鈍工程に続
いてさらに、伸び率:1.0 〜15%の調質圧延またはレベ
ラー加工を施すことが好ましい。通常冷延板焼鈍工程後
に比較的低い伸び率の調質圧延やレベラ加工が施される
が、比較的高い伸び率で調質圧延またはレベラー加工を
施すことにより、新たにフリー転位を導入でき、BH
量、ΔTS量といった歪時効硬化特性を安定して向上す
ることができる。歪時効効果特性を安定して向上するた
めには調質圧延またはレベラー加工における伸び率は合
計で1.0 %以上とするのが好ましい。より好ましくは1.
5 %以上とである。伸び率が1.0 %未満では歪時効硬化
特性の向上が少なく、一方、伸び率が15%を超えると、
鋼板のYSが増加し、延性が低下する。なお、調質圧延
とレベラー加工ではその加工様式が相違するが、本発明
者らは、鋼板の歪時効硬化特性に対する効果には大きな
相違がないことを確認している。
【0065】なお、本発明の冷延鋼板は、さらにめっき
処理あるいはさらに合金化処理を施しめっき鋼板として
適用してもよい。合金化処理の熱サイクルが、前記した
過時効処理に相当し、室温時効劣化がなく、歪時効硬化
特性が顕著に向上できる。
【0066】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成の溶鋼を転炉で
溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これらスラブを表
2に示す条件で加熱し、粗圧延して表2に示す厚さのシ
ートバーとし、ついで表2に示す条件の仕上圧延を施す
熱間圧延工程により熱延板とした。なお、一部について
は、仕上圧延で潤滑圧延を行った。また、一部について
は、粗圧延後で仕上圧延入側で相前後するシートバー同
士を溶融圧接法で接合して連続圧延した。また、一部に
ついては、シートバーの幅端部、長さ方向端部を誘導加
熱方式のシートバーエッジヒータ、シートバーヒータを
使用してシートバーの温度を調節した。
【0067】これら熱延板を酸洗および表2に示す条件
の冷間圧延からなる冷間圧延工程により冷延板とした。
ついで、これら冷延板に表2に示す条件で連続焼鈍炉に
よる連続焼鈍を行った。また、冷延板焼鈍工程につづい
て、調質圧延を施した。なお、連続焼鈍の焼鈍温度はい
ずれも再結晶温度以上であった。得られた冷延焼鈍板に
ついて、固溶N量、微視組織、引張特性、歪時効硬化特
性を調査した。 (1)固溶N量の調査 固溶N量は、化学分析により求めた鋼中の全N量から析
出N量を差し引いて求めた。析出N量は、上記した定電
位電解法を用いた分析法により求めた。 (2)微視組織 各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に直交する
断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電
子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用
いて組織分率および種類を求めた。
【0068】また、フェライトの結晶粒径は、圧延方向
に直交する断面(C断面)についての組織写真からAS
TMに規定の求積法により算出した値またはASTMに
規定の切断法により求めた公称粒径のうち、いずれか大
きい方を採用した。 (3)引張特性 各冷延焼鈍板からJIS 5号試験片を圧延方向に採取し、
JIS Z 2241の規定に準拠して初期歪速度:3×10-3/s
(クロスヘッド速度:10mm/min 一定)で引張試験を実
施し、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを求め
た。
【0069】また、降伏比YR(%)=(YS/TS)
×100 として求めた。 (4)歪時効硬化特性 各冷延焼鈍板からJIS 5号試験片を圧延方向に採取し、
予変形としてここでは5%の引張予歪を与えて、ついで
170 ℃×20min の塗装焼付処理相当の熱処理を施したの
ち、初期歪速度:3×10-3/sで引張試験を実施し、予
変形−塗装焼付処理後の引張特性(降伏応力YSBH、引
張強さTSBH)を求め、BH量=YSBH−YS5%、ΔT
S=TSBH−TSを算出した。なお、YS5%は、製品板
を5%予変形したときの変形応力であり、YSBH、TS
BHは予変形−塗装焼付処理後の降伏応力、引張強さであ
り、TSは製品板の引張強さである。
【0070】これらの結果を表3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】本発明例では、いずれも優れた延性と、優
れた歪時効硬化特性を有し、格段に高いBH量、ΔTS
を呈している。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、予変形−塗装焼付け処
理により降伏応力が80MPa 以上および引張強さが40MPa
以上と、ともに増加する高い歪時効硬化特性と高い成形
性とを有する汎用性の高い冷延鋼板を、安価にかつ形状
を乱さずに製造でき、産業上格段の効果を奏する。さら
に本発明の冷延鋼板を自動車部品に適用した場合、塗装
焼付け処理などにより降伏応力とともに引張強さも増加
して安定した高い部品特性を得ることができ、使用する
鋼板の板厚を、例えば2.0mm 厚から1.6 mm厚と、従来よ
り1グレード低減することを可能とし、自動車車体の軽
量化に充分に寄与することができるという効果もある。
また、本発明は、熱間変形抵抗の増加が少ないNを添加
して歪時効硬化特性の改善を図るため、とくに熱間圧延
の変形抵抗を増加させることが少なく薄物の熱間圧延を
容易にするという工業的にも顕著な効果を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/46 C21D 9/46 M C22C 38/06 C22C 38/06 38/58 38/58 Fターム(参考) 4E002 AD02 AD04 AD06 BC07 BD03 BD07 BD08 BD09 BD10 CB01 4K037 EA01 EA04 EA05 EA06 EA09 EA11 EA13 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 EA36 EB05 EB08 EB11 EB13 FA02 FC03 FC04 FD04 FE01 FE02 FH01 FJ05 FK02 FK03 FL02 FL05 FM01 HA01 JA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.15%以下、 Si:0.4 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.02%以下、 N:0.0050〜0.025 % を含み、かつSi、Mn、Pを下記(1)式を満足する範囲
    で含有し、さらにN/Alが0.3 以上で、固溶状態のNを
    0.0010%以上含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなる組成と、フェライト相とパーライト相からなる組
    織とを有し、前記フェライト相が面積率で90%以上でか
    つ平均結晶粒径15μm以下であることを特徴とする引張
    強さ440MPa未満、降伏比YR70%未満で歪時効硬化特性
    に優れた冷延鋼板。 記 Si+Mn/5+10P<0.44 ………(1) ここで、Si、Mn、P:各元素含有量(質量%)
  2. 【請求項2】 前記組成に加えてさらに、質量%で、下
    記a群〜c群の1群または2群以上を含むことを特徴と
    する請求項1に記載の冷延鋼板。 記 a群:Cu、Ni、Mo、Crの1種または2種以上を合計で1.
    0 %以下 b群:Nb、Ti、Vの1種または2種以上を合計で0.1 %
    以下 c群:Ca、REM の1種または2種を合計で0.0010〜0.01
    0 %
  3. 【請求項3】 質量%で、 C:0.15%以下、 Si:0.4 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.02%以下、 N:0.0050〜0.025 % を含み、かつSi、Mn、Pを下記(1)式を満足する範囲
    で含有し、さらにN/Alが0.3 以上である組成を有する
    鋼スラブを、スラブ加熱温度:1000℃以上に加熱し、粗
    圧延してシートバーとし、該シートバーに仕上圧延出側
    温度:800 ℃以上とする仕上圧延を施し、巻き取り熱延
    板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および冷間圧
    延を行い冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に再結
    晶温度以上950 ℃以下の温度で保持時間:10〜120 sと
    する焼鈍を行い、ついで500 ℃以下の温度域まで冷却速
    度:10〜300 ℃/sで冷却する焼鈍後冷却と、あるいは
    さらに350 〜500 ℃の温度域で20s以上滞留する過時効
    処理とを行う冷延板焼鈍工程とを、順次施すことを特徴
    とする引張強さ440MPa未満、降伏比YR70%未満で歪時
    効硬化特性に優れた冷延鋼板の製造方法。 記 Si+Mn/5+10P<0.44 ………(1) ここで、Si、Mn、P:各元素含有量(質量%)
  4. 【請求項4】 前記仕上げ圧延後、冷却速度30℃/s以
    上で急冷し、前記巻き取りを行うことを特徴とする請求
    項3に記載の冷延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記冷延板焼鈍工程に続いてさらに、伸
    び率:1.0 〜15%の調質圧延またはレベラー加工を施す
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の冷延鋼板の
    製造方法。
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