JP2002048476A

JP2002048476A - 加熱炉及びその運転方法

Info

Publication number: JP2002048476A
Application number: JP2000231443A
Authority: JP
Inventors: Masaaki Shoji; 雅朗正司; Toshio Onishi; 寿雄大西
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 2000-07-31
Filing date: 2000-07-31
Publication date: 2002-02-15

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、冷間造管用の鋼帯を通過させても、
その表面にローラからの疵が転写したり、スケールの付
着が生じない加熱炉及びその運転方法を提供することを
目的としている。【解決手段】内部雰囲気を高温にする加熱手段及び常温
にする冷却手段を備えた筒状炉室と、該炉室の長手方向
に離隔して直列に配設され、金属帯の面を水平にして移
送する高温用ローラ群とを備えた加熱炉において、前記
高温用ローラ群の上方空間に、炉内が高温時には炉壁外
に待避し、常温時に炉壁から挿入される低温用ローラ群
を設けると共に、該低温用ローラ群の挿入前に前記高温
用ローラ群上を移送中の金属帯を低温用ローラ群の挿入
高さまで押し上げる金属帯昇降手段とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、加熱炉及びその運
転方法に係わり、詳しくは、炉内雰囲気を高温にして炉
内通過物を加熱したり、常温にして単なる搬送路として
も利用可能な加熱炉及びその運転方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄鋼製品を製造するには、素材を加熱し
てから加工を施すことが多い。例えば、「鍛接鋼管」
は、素材である鋼帯の全体を高温に加熱してから管状に
成形し、その突き合わせ部をさらに高温下で鍛造し、互
いに密着させて製造する（以下、熱間造管ともいう）。
この場合、素材の鋼帯は、加熱炉内に配設されたローラ
群からなる直線状の搬送ラインを、その面を水平にして
通過することで加熱される。一方、「電縫鋼管」は、鋼
帯を管状に成形するのは「鍛接鋼管」の場合と同じであ
るが、突き合わせ部の接合は、その部分のみを誘導加熱
してからスクイズロールで加圧することで製造される
（以下、冷間造管ともいう）。この場合には、鋼帯の全
体を加熱しなくても良いので、管状成形前の加熱炉通過
は必然でない。

【０００３】ところで、本出願人は、上記した各種鋼管
の製造では、管状成形工程の他にも共用可能な工程が多
いことに着眼して、前記した種類の異なる鋼管のいずれ
もが製造可能な設備列の建設を計画している。ただし、
管状成形前の鋼帯は、加熱の必要な場合には、前記加熱
炉を高温雰囲気にして通過させ、加熱の不要な場合に
は、常温雰囲気にして通過させることになる。つまり、
熱間造管材も冷間造管材も同一の加熱炉を使用する。な
お、加熱炉を高温雰囲気から常温雰囲気にするには、加
熱炉の燃料燃焼を停止して、冷却のためのファンを運転
開始してから３時間程度を要するが、同一設備列で多種
の鋼管が製造できれば、工場敷地ばかりでなく設備建設
費も大幅に節約でき、鋼管のメーカにとっては多大なメ
リットがある。

【０００４】しかしながら、このような熱間造管及び冷
間造管で兼用可能な加熱炉を実際に建設するに際して
は、以下に述べるような問題の生じることが予想され
る。１．加熱炉内に鋼帯の搬送路を形成すべく配設された各
ローラは、造管開始前あるいは造管終了後の鋼帯を搬送
していない時も常に回転させておく必要がある。これ
は、そのような時期には炉内雰囲気を冷却しているが、
ロールの曲がりを防止するための処置であり、電力費の
上昇になる。２．冷間造管材である鋼帯の表面に、ローラとの摩擦に
よる疵、あるいはスケール（酸化鉄）の圧着が生じ、製
品鋼管の品質に影響を与える。熱間圧延材の鋼帯は、表
面の所謂「黒皮」で保護されるので、これらの疵発生は
問題にならない。しかし、冷間造管材の鋼帯は、表面を
酸洗して「黒皮」を除いてから加熱炉を通過させるの
で、表面の荒れたロールでの搬送は、製品鋼管の品質上
大いに問題となる。

【０００５】ローラ表面の材質を改良して、通過する鋼
帯の表面に転写する疵を防止したり、スケール圧着を防
止することは、従来より多々試みられている。しかしな
がら、完全に防止できる技術は存在しないのが現状であ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み、冷間造管用の鋼帯を通過させても、その表面に
ローラからの疵が転写したり、スケールの付着が生じな
い加熱炉及びその運転方法を提供することを目的として
いる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、加熱炉内に上下２段に金属帯の搬送系路を
別々に設けることに着眼してその具現化に鋭意努力し、
その成果を本発明として完成させた。

【０００８】すなわち、本発明は、内部雰囲気を高温に
する加熱手段及び常温にする冷却手段を備えた筒状炉室
と、該炉室の長手方向に離隔して直列に配設され、金属
帯の面を水平にして移送する高温用ローラ群とを備えた
加熱炉において、前記高温用ローラ群の上方空間に、炉
内が高温時には炉壁外に待避し、常温時に炉壁から挿入
される低温用ローラ群を設けると共に、該低温用ローラ
群の挿入前に前記高温用ローラ群上を移送中の金属帯を
低温用ローラ群の挿入高さまで押し上げる金属帯昇降手
段とを設けたことを特徴とする加熱炉である。

【０００９】また、本発明は、上記した加熱炉の内部雰
囲気を高温にして前記高温用ローラ群上で金属帯を移送
中に、その移送を一時停止すると同時に前記加熱手段の
使用を停止して冷却手段で内部雰囲気を常温にしてか
ら、該金属帯を前記金属帯昇降手段で前記低温用ローラ
群高さまで持上げ、その後、持上げられた金属帯の下方
に該低温用ローラ群を挿入して、該金属帯を支え、移送
することを特徴とする加熱炉の運転方法である。

【００１０】さらに、本発明は、前記金属帯を鋼帯とす
ることを特徴とする加熱炉又は加熱炉の運転方法であ
る。

【００１１】本発明によれば、冷間造管する金属帯を搬
送する際には、加熱炉内を常温にすると同時に、高温時
に使用したローラ群に代え、別のローラ群からなる搬送
路を容易に形成できるようになる。その結果、熱間造管
材に必要な加熱炉を、冷間造管材の単なる搬送路に使用
しても、該冷間造管材の表面に疵がついたり、スケール
の圧着するのが回避でき、品質の良い金属管が製造でき
るようになる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯を
交え、本発明の実施の形態について説明する。

【００１３】最初に、従来の金属帯を加熱する炉を説明
しておく。それは、図４（ａ）の平面図及び図４（ｂ）
の側面図に模式的に示すように、耐火物製の壁、天井及
び炉底で長方形に築いた筒状の炉室１と、炉壁及び天井
に炉内へ向けて、適当な間隔に多数設けられたガス・バ
ーナ等の加熱手段２と、炉内へ冷風を吹込むファン等の
冷却手段３と、炉底に炉の長手方向に沿い、該長手方向
と軸を直交させ、互いに離隔して配設した一群のローラ
４とで形成されている。従って、金属帯５は、このロー
ラ４上を、その面を水平にして一定速度で移送される間
に、雰囲気の温度近くまで加熱されることになる。本発
明は、かかる加熱炉６を、冷間造管の素材となる酸洗で
表面が清浄された金属帯５を単に下流の成形工程へ移送
する搬送路としても利用できるようにするものである。

【００１４】そのため、発明者は、ローラ４（以下、高
温用ローラ４という）群で形成した既存搬送路７（パス
ラインともいう）の上方空間に、図１（ａ）に示すよう
に、別のローラ群（以下、低温用ローラという）８から
なる別の搬送路９を新設する２段搬送を着想した。２段
としたのは、既設搬送路７の左右にスペースがなく、炉
の幅を拡大するのでは、設備改造が大掛かりになり、設
備改造費も膨大になるからである。そして、低温用ロー
ラ群８は、高温雰囲気で利用しないようにするため、炉
内が高温時には図１（ｂ）に示すように炉外に待避さ
せ、常温時に炉壁から挿入するように工夫した。

【００１５】つまり、低温用ローラ８の幅方向の一端に
軸受１０、他端に軸受１０とローラの回転手段（図示せ
ず）を取り付けてガイドレール１２上にセットし、図２
に示すように、該低温用ローラ８の挿入高さに対応する
炉外位置に設けた送り手段１３の上に載置しておく。炉
壁には、上記挿入高さと同じ位置に該低温ローラ等が通
過可能な大きさの開口１４（炉幅を挟み両側に２個）を
設け、炉内が高温雰囲気にあるい時は、外気を遮断する
扉（図示せず）がしてある。従って、冷間造管する際に
は、炉内を常温にしてからこの扉を開放すれば、前記送
り手段１３を稼動させて、低温用ローラ８等を水平に炉
内へ挿入することが可能になる。低温用ローラ８が挿入
側と対向する開口１４を越えて炉壁の外に抜けたら、そ
こには受け座１６が設けてあり、該受け座１６に前記軸
受１０を固定する。炉内雰囲気を常温にするには、ガス
バーナ等の燃料の燃焼を停止し、ファンを運転して炉内
へ冷風を送れば良い。

【００１６】この低温用ローラ８に金属帯５を乗せるに
は、高温用ローラ４上を移送する金属帯５を一度すべて
取り除いてから、低温用ローラ８上に別途新たに金属帯
５をセットすれば良い。しかしながら、そのような作業
では、金属帯５の先端にダミーとする板を取り付け、そ
れを加熱炉６内に新たに通過させるので、作業時間が非
常に長くなる。これでは、加熱炉としての使用から単な
る搬送路として使用するための切換だけに、無駄な停止
時間が増えてしまう。

【００１７】そこで、本発明では、かかる停止時間を最
小にすべく、以下のような金属帯昇降手段（以下、単に
昇降手段という）を考え、備えるようにした。つまり、
低温用ローラ群８の挿入前に、高温用ローラ群４上を移
送中の金属帯５を低温用ローラ群８の挿入高さまで押し
上げるようにした。そのため、図１（ｂ）に示すよう
に、加熱炉６の長手方向に沿い、離隔して複数の金属帯
５の昇降手段１７を配置した。各昇降手段１７は、図３
に示すように、上下に駆動するシリンダの軸１８に、金
属帯５の下面と接触する先端金具１９を取り付けたもの
で、これを用いると高温用ローラ４上を移送中の金属帯
５を、移送を一時停止さえすれば容易に低温用ローラ８
の挿入高さまで持上げることができる。従って、持上げ
後に、前記したように炉壁の扉を開け、低温用ローラ８
の炉内挿入及び固定作業を行うことになる。なお、この
場合、高温用ローラ４上にある金属帯５の一部は、冷間
造管材として使用できず切り捨てることになるが、ダミ
ー材とみなせば無駄にはならない。

【００１８】

【実施例】素材に厚み３ｍｍ、幅４６０ｍｍの鋼帯を用
い、外径１４６ｍｍφの「鍛接鋼管」及び「電縫鋼管」
を製造した。その際、管状に成形する工程では、同一の
成形機を使用するので、前記素材は、すべて上流に設け
た本発明に係る加熱炉６を通過させた。まず、「鍛接鋼
管」を製造するため、加熱炉６の炉内雰囲気を１２００
℃に設定して、操業を行なった。勿論、素材は、炉底に
配設した高温用ローラ４上を移送した。次に、「電縫鋼
管」を製造するため、炉内雰囲気の温度を常温まで低下
し、鋼帯５の移送を一時停止した。直ちに、鋼帯５を本
発明にかかる昇降手段１７で低温用ローラ８の挿入高さ
まで持上げた。引き続き、炉壁の扉を開き、低温用ロー
ラ８の挿入及び固定作業を行ない、その作業終了後、操
業を再開した。

【００１９】その結果、加熱炉を本来の加熱炉から単な
る搬送路へ切換えても、冷間造管材にローラからの疵の
転写やスケールの付着が起きないので、製品の合格率を
高く維持できることが明らかになった。つまり、本発明
により、単なる金属帯の搬送路としても利用可能な従来
にない新規な加熱炉が開発できたのである。なお、炉体
耐火物にはセラミックファイバーを使用し、短時間で昇
降温可能な構造としている。

【００２０】上記実施例は、素材を鋼帯としたが、本発
明は、鋼帯に限らず、いかなる金属帯での造管にも適用
できることは言うに及ばない。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明により、熱間
造管材に必要な加熱炉を、冷間造管材の単なる搬送路に
使用しても、その材料の表面に疵がついたり、スケール
の圧着するのが回避でき、冷間造管で品質の良い金属管
が製造できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る加熱炉を模式的に示す図であり、
（ａ）は側面、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ矢視である。

【図２】本発明に係る加熱炉に設ける低温用ローラを説
明する図である。

【図３】本発明に係る加熱炉に設ける金属帯の昇降手段
を説明する図である。

【図４】既設加熱炉の金属帯の搬送路を模式的に示す図
であり、（ａ）は側面、（ｂ）は平面図である。

【符号の説明】

１炉室２加熱手段３冷却手段４ローラ（高温用ローラ群）５金属帯６加熱炉７既設搬送路８低温用ローラ（群）９別の搬送路１０軸受１２ガイドレール１３送り手段１４開口１６受け座１７昇降手段１８シリンダの軸１９先端金具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 4K034 AA06 AA14 BA04 CA05 DB04 EA12 EB01 4K043 AA01 BA06 CA02 CB03 EA07 GA06 HA05 4K050 AA01 BA02 CG06

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内部雰囲気を高温にする加熱手段及び常
温にする冷却手段を備えた筒状炉室と、該炉室の長手方
向に離隔して直列に配設され、金属帯の面を水平にして
移送する高温用ローラ群とを備えた加熱炉において、前記高温用ローラ群の上方空間に、炉内が高温時には炉
壁外に待避し、常温時に炉壁から挿入される低温用ロー
ラ群を設けると共に、該低温用ローラ群の挿入前に前記
高温用ローラ群上を移送中の金属帯を低温用ローラ群の
挿入高さまで押し上げる金属帯昇降手段とを設けたこと
を特徴とする加熱炉。
【請求項２】請求項１記載の加熱炉の内部雰囲気を高
温にして前記高温用ローラ群上で金属帯を移送中に、そ
の移送を一時停止すると同時に前記加熱手段の使用を停
止して冷却手段で内部雰囲気を常温にしてから、該金属
帯を前記金属帯昇降手段で前記低温用ローラ群高さまで
持上げ、その後、持上げられた金属帯の下方に該低温用
ローラ群を挿入して、該金属帯を支え、移送することを
特徴とする加熱炉の運転方法。
【請求項３】前記金属帯を鋼帯とすることを特徴とする
請求項１記載の加熱炉又は請求項２記載の加熱炉の運転
方法。