JP2002048186A - ダイナミックダンパー及び該ダイナミックダンパーが装着されたテニスラケット - Google Patents

ダイナミックダンパー及び該ダイナミックダンパーが装着されたテニスラケット

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JP2002048186A
JP2002048186A JP2000232247A JP2000232247A JP2002048186A JP 2002048186 A JP2002048186 A JP 2002048186A JP 2000232247 A JP2000232247 A JP 2000232247A JP 2000232247 A JP2000232247 A JP 2000232247A JP 2002048186 A JP2002048186 A JP 2002048186A
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damper
clock
viscoelastic material
racket
vibration
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Yumi Kanemitsu
由実 金光
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性の低下や外観悪化の心配なく用いるこ
とができ、かつ衝撃振動の緩和低減作用が十分なダイナ
ミックダンパーを提供する。 【解決手段】 薄めの粘弾性材2と薄手の質量付加材3
を面同士で結合させることにより一体化することで、全
体を目立ち難い横広がり構造として外観悪化を防止する
一方、質量付加材3に高分子材料を含ませて質量付加材
3に軟らかさも持たせるとともに、粘弾性材2の複素弾
性率を1.5MPa以下とし厚みを2.5mm以上とし
て粘弾性材2に十分な変形性をもたせることで、人が当
たっても痛かったり切ったりせずに済むようにして安全
性の低下を防止するのに加え、粘弾性材2が質量付加材
3により強くは拘束されずに十分な共振現象が生じるよ
うにして衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイナミックダン
パー、及び該ダイナミックダンパーが装着されてなるテ
ニスラケットに関し、特に、安全性の低下や外観悪化の
心配なく用いることができるのに加え、衝撃振動の緩和
低減作用を高めるものである。
【0002】
【従来の技術】通常、衝撃を和らげたり、振動を低減し
たりする場合、粘弾性材に質量付加材が結合されてなる
ダイナミックダンパーがよく用いられる。テニスラケッ
トの場合も、特公昭52−13455号、特開昭52−
156031号、特開平4−263876号において、
テニス用のラケットフレームに装着されたダイナミック
ダンパーが提案されている。この種のダイナミックダン
パーをラケットフレームに装着することにより、打球時
に生じるラケットフレームの振動にダイナミックダンパ
ーを共振させて衝撃振動を緩和し、よって、プレーヤー
の手に伝わる振動を低減して、テニスエルボーの発生を
抑制するものである。
【0003】例えば、上記特公昭52−13455号で
は図14に示すように、先端に重り(質量付加材)16
aを取り付けた鋼ワイヤ16b(弾性材)の基端がテニ
スラケットのグリップ15の末端に埋設固定されたダン
パー16が提案されている。また、特開昭52−156
031号では図15に示すように、テニスラケットのス
ロート部14に基部13aを固定し、該基部13aより
首部(弾性材)13bを介して本体(質量付加材)13
cが連結されたダンパーが提案されている。さらに、特
開平4−263876号では図16に示すように、テニ
スラケットのグリップエンド15aに弾性材14aを介
して質量付加材14bが固定されたダンパーが提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来提案されているいずれのダンパーも、細い弾性材を
介して大きな質量付加材からなる重りを突設した構造で
あり、ラケットフレームに装着した場合にダンパーが目
立つ為に、外観が悪くなる問題がある。
【0005】また、ボールを打った時にラケットに生じ
る振動は複数で、その方向も様々である。主なものは、
打球面に垂直な方向に生じる振動であり、また、打球面
に平行な方向の振動もある。この打球面に生じる振動に
対しては打球面を囲むフェイス部(ガット張架部)ある
いはスロート部の各種振動モードの腹に当たる部分にダ
ンパーを取り付けると、従来のグリップにダンパーを取
り付ける場合よりは、振動減衰効果が高い。
【0006】しかしながら、前記した従来の細い弾性材
の先端に大きな重りをつけたダンパーをフェイス部に取
り付けることは外観上も違和感を生じると共に、首振り
状に振動する重り(質量付加材)がプレーヤーの手に当
たりやすく、その場合にはプレーヤーは手に痛みを覚え
たり、場合によっては損傷を負う恐れもある。
【0007】よって、フェイス部やスロート部にダンパ
ーを取り付ける場合には、粘弾性材と質量付加材とを層
状として装着することが好ましいこととなる。この場
合、質量付加材全体が金属で硬いものであると、粘弾性
材の部分も変形し難くなり、振動が十分に起こらないの
で、ダンパーとしての機能が低下する問題がある。
【0008】本発明は、上記した問題に鑑みてなされた
もので、特に安全性の低下や外観悪化を招く心配なく用
いることができるのに加え、衝撃振動の緩和低減作用が
十分であるダイナミックダンパーと、該ダンパーが装着
されてなるテニスラケットを提供することを課題として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、粘弾性材と質量付加材とからなり、該粘
弾性材の一面を、質量付加材でカバーして、面同士を一
体的に結合してなり、上記質量付加材は、高分子材料を
成分として含んでおり、上記粘弾性材は、複素弾性率が
0.5MPa以上1.5MPa以下であり、厚みが2.
5mm以上5.5mm以下であることを特徴とするダイ
ナミックダンパーを提供している。
【0010】本発明のダンパーでは、厚みが5.5mm
以下の粘弾性材と質量付加材とが面同士の結合により一
体化されており、両材が厚み方向よりも面方向に大きく
広がっていて、ダンパー全体が横広がり構造となるの
で、先に向かっては粘弾性材と質量付加材の合計厚み分
のみ突出するだけで目立ち難く、外観(見た目)が悪く
なる心配がない。
【0011】また、本発明のダンパーは、質量付加材が
高分子材料を成分として含んでいるので、質量付加材全
体が金属である場合に比べれば軟らかく弾性がある。こ
のように軟らかさもある質量付加材と十分に軟らかい粘
弾性材からなる本発明のダンパーなら、人が当たって
も、痛かったり、手に傷を負わせることがなく、安全性
が低下する心配はない。また、質量付加材に軟らかさが
あると、粘弾性材が質量付加材と面同士の結合により一
体化されていても、粘弾性材が質量付加材によって強く
は拘束されずにダンパー全体にダイナミックな動きが起
こり共振し易くなるので、本発明のダンパーは衝撃振動
の緩和低減作用を十分に発揮することができる。なお、
質量付加材全体が金属の硬い剛体であると、粘弾性材と
質量付加材が面同士の結合により一体化された場合、粘
弾性材が質量付加材によって強く拘束されてダンパー全
体にダイナミックな動きが起こらず共振し難くなるの
で、衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮できない。
【0012】なお、本発明のダイナミックダンパーの質
量付加材の場合、複素弾性率が100MPa未満である
と、十分な質量付加効果をもたせるだけの比重(重さ)
が確保し難くなり、逆に800MPaを越えると、必要
な軟らかさを持たせ難くなるので、複素弾性率は100
MPa以上800MPa以下であることが好ましい。
【0013】また、本発明のダンパーでは、上記粘弾性
材の複素弾性率が0.5MPa以上1.5MPa以下で
あるが、本発明における質量付加材や粘弾性材の複素弾
性率は、以下の条件の下で測定されるものである。 使用測定器 :(株)レオロジー(RHEOLOGY)製の粘弾性スペクトル グラフィー DVE−V4FTレオスペクトラー 初期荷重 :250g 周波数 :10Hz 変位振幅 :5μm 方向 :引っ張り 温度 :20℃ チャック間距離:30mm
【0014】本発明のダンパーは、粘弾性材の複素弾性
率が1.5MPa以下で十分な軟らかさがある上に、
2.5mm以上の十分な厚みがあって、粘弾性材が変形
性に富むので、衝撃振動を受けた際にダンパーが共振し
易く、衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮する。この
粘弾性材の場合、複素弾性率が0.5MPaを下回ると
適当な材料が見つけ難くて発明の実施が容易でなくなる
ので、複素弾性率は0.5MPa以上の必要がある。ま
た、厚みが5.5mmを越えると、ダンパー全体が厚く
て目立ち易く外観が損なわれたり、ラケットフレームに
取り付け難くなったりするので、厚みは5.5mm以下
の必要がある。
【0015】以上のことから、本発明のダイナミックダ
ンパーの場合、ダンパー全体の厚みは好ましくは3mm
以上10mm以下、より好ましくは7mm以下である。
ダンパー全体の厚みが10mmを越えると外観が損なわ
れ易くなり、3mm未満だと、衝撃振動の緩和低減作用
を十分に発揮させることが難しくなる。
【0016】本発明のダイナミックダンパーの場合、質
量付加材としては質量付加用の高比重金属粉末と弾性付
加用の高分子材料の混合物からなる質量付加材が好適に
用いられ、粘弾性材としては高分子材料からなる粘弾性
材が好適に用いられる。粘弾性材のは発泡体であっても
よい。また、質量付加材や粘弾性材は、成形性調整用又
は弾性率調整用のオイルが添加されていたり、着色用の
顔料が添加されていてもよい。さらに、質量付加材と粘
弾性材は同じか又は近い高分子材料が用いられることが
好ましい。ひとつのダンパーの粘弾性材と質量付加材
が、同じか近い高分子材料であれば、融点が近いので、
粘弾性材と質量付加材の材料を一つの金型内で加熱一体
成形してダンパーを製造することも可能となる。
【0017】質量付加用の高比重金属粉末の金属として
は、特定の金属に限られないが、20℃における比重が
5以上25以下、好ましくは7以上22以下のものが好
適に用いられる。これは、比重が、5を下回ると、質量
付加材として十分な質量付加作用をもたせようとする
と、容積が大きくなり過ぎるからであり、比重が、25
を上回ると、該当する金属が稀少金属であり、高価また
は入手困難であるからである。具体的な金属には、鉄
(比重7.86)、銅(比重8.92)、鉛(比重1
1.3)、ニッケル(比重8.85)、亜鉛(比重7.
14)、金(比重19.3)、白金(比重21.4)、
オスミウム(比重22.6)、イリジウム(比重22.
4)、タンタル(比重16.7)、銀(比重10.4
9)、クロム(比重7.19)、真鍮(比重8.5)、
タングステン(比重19.3)などが挙げられるが、鉛
は有害性があり、金や銀などは高価であることから、タ
ングステン、銅、ニッケルやこれらの合金が好ましい。
また高比重金属粉末は高分子材料との接着性をよくする
ためにカップリング剤で処理(例えばシランカップリン
グコーティング)を施すのが適当である。
【0018】高比重金属粉末の粒径は、1μm以上25
0μm以下の範囲が好適に用いられる。粒径が1μmを
下回ると飛散又は凝集し易く、混練の際に分散し難くな
り、粒径が250μmを上回ると粒が大きくなり、肉薄
の質量付加材の作成が難しい。高比重金属粉末及び高分
子材料等の混合物である質量付加材の比重は5〜22、
好ましくは7〜12である。余り比重が小さいと質量付
加効果が少なくて体積を大きくしなければならなくなる
が、余り体積が大きくなると外観を悪くする恐れがあ
る。
【0019】質量付加材・粘弾性材用の高分子材料の一
つとして合成樹脂があり、例えば、ポリアミド系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ABS系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ
アセテート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱可塑性樹脂や、エ
ポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール
系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリルフタ
レート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂
などの熱硬化性樹脂等が挙げられる。成形性やリサイク
ル性から熱硬化性樹脂よりも熱可塑性樹脂の方が好まし
い。
【0020】さらに、熱可塑性エラストマーは熱可塑性
樹脂よりも軟らかい上に、ゴム弾性があって塑性変形も
少ないのに加え、リサイクル性もあるので、質量付加材
・粘弾性材用の高分子材料として特に好ましい。高比重
金属粉末と熱可塑性エラストマーとを主成分として高比
重金属粉末が熱可塑性エラストマーに分散されている混
合物の場合、適切な複素弾性率をもった質量付加材が得
易い。
【0021】熱可塑性エラストマーとしては、特定のも
のに限らないが、スチレン系、オレフィン系、ウレタン
系、エステル系などが挙げられる。市販の熱可塑性エラ
ストマーとして、クラレプラスチック(株)製のセプト
ンコンパウンド、(株)クラレ製のハイブラー、セプト
ン、東ソー(株)のエラステージ、鐘淵化学工業(株)
製ニートポリマー、帝人製ヌーベラン、アロン化成
(株)製エラストマーAR、シェルジャパン(株)製ク
レイトンD、クレイトンG、東洋紡績(株)製ペルプレ
ン、旭化成工業(株)製タフテック、住友ベークライト
(株)製スミフレックス、モルデックス、スパイデック
ス、スミコンRM、三菱化成(株)製サーモラン、ラバ
ロン、住友化学(株)製住友TPE、住友TPE−S
B、ダイセル化学(株)製エポフレンド、日本ゼオン
(株)製クインタック、エーイーエス・ジャパン(株)
製サントプレーン、トレフシン、DSM製サーリンクな
どが挙げられる。
【0022】質量付加材・粘弾性材用の高分子材料とし
てはゴムもあり、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレ
ンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−
ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(C
R)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、
カルボキシル化ニトリルゴム、ブチルゴム(IIR)、
ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、エチレン−プロ
ピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン
ゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EV
A)、アクリルゴム(ACM,ANM)、エチレン−ア
クリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CS
M)、塩化ポリエチレン(CM)、エピクロルヒドリン
ゴム(CO)、ウレタン系ゴム、シリコーン系ゴム、フ
ッ素系ゴムなどが挙げられる。粘弾性材と質量付加材が
同系ゴム材料の場合は、加硫接着がし易いので、一体成
形に向く。
【0023】さらに、上記課題を解決するため、本発明
は、請求項1のダイナミックダンパーを、粘弾性材の他
面をラケットフレームの表面に接触させて装着してな
り、上記ダイナミックダンパーの粘弾性材は幅(ラケッ
トフレームの長手方向の寸法)が4mm以上8mm以下
であるとともに、ダンパー全体の重量が10g以上23
g以下であることを特徴とするテニスラケットを提供し
ている。
【0024】本発明のテニスラケットには装着されてい
るダンパーは、粘弾性材と質量付加材とを結合した状態
においても全体として比較的肉薄とし、横広がりの構造
としているため、目立ち難く、外観が悪くなる心配がな
い。かつ、質量付加材にも多少軟らかさがあるので、人
がダンパーに当たっても、痛かったり、切ったりせずに
済み、安全性が低下する心配がない。さらに、粘弾性材
が質量付加材によって強くは拘束されないのに加え、粘
弾性材が十分な軟らかさと厚みとを持ち変形性に富んで
いて、十分な共振現象が生じるので、衝撃振動をよく緩
和低減させることができるので、打球時のラケットの衝
撃振動が少なくなり、プレーヤーの手の負担が大いに軽
減される。また、粘弾性材は幅が十分で装着面(他面)
が広いのでダンパーがラケットフレームにしっかり装着
される上、ダンパー全体の重量がテニスラケットにとっ
て適切であるので、振りやすさ(良好な操作性)を維持
しながら衝撃振動を十分に緩和低減させられる。
【0025】本発明のテニスラケットに装着されている
粘弾性材は幅(ラケットフレームの長手方向の寸法)が
4mm以上8mm以下とする必要がある。幅が4mm未
満では装着面が狭くてダンパーがラケットフレームにし
っかり装着されなくなり、幅が8mmを越えるとダンパ
ー全体の重量を上限重さにとどめることが難しくなる。
なお、粘弾性材の長さは、普通、幅の寸法より大きい
が、特定の寸法に限られない。
【0026】また、本発明のラケットに装着されるダイ
ナミックダンパーの重さは、10g以上23g以下の必
要がある。10g未満だと、共振により消費する振動エ
ネルギーが小さく、衝撃振動の緩和低減作用が十分でな
い。23gを越えると、ラケットのバランスをとるため
ラケットの重量も重くする必要があり、その結果、総重
量が増加して、操作性が悪くなり振り難くなる。
【0027】また、上記ダイナミックダンパーはラケッ
トフレームの厚さ方向の外面および幅方向の両面にかけ
て略コ字状に屈曲されて装着される。即ち、ラケットフ
レームの厚さ方向だけでなく、ラケットフレームの幅方
向にも延びている形態が好ましい。この形態だと、ラケ
ットの面外方向(ラケットのガットが張架されるフェイ
ス面に垂直な方向、つまりラケットフレームの厚さ方
向)の衝撃振動だけでなく、ラケットの面内方向(ラケ
ットのフェイス面に水平な方向、つまりラケットフレー
ムの幅方向)の衝撃振動を緩和低減させられ、さらには
グリップの平進方向や回転方向の衝撃振動を緩和低減さ
せることも可能となるからである。つまり、打球時にラ
ケットに生じる衝撃振動は複数あり、主なものはラケッ
トの面外方向の衝撃振動であるが、ラケットの面内方向
の衝撃振動に加えて、グリップの軸を中心にねじれる
(回転する)方向の非常に不快な衝撃振動もある。球
(ボール)をフェイス面のどの位置で打つかによって主
たる衝撃振動の種類が決まるのではあるが、プレー時に
は殆ど全ての種類の衝撃振動が普通は複合化されたかた
ちで起こる。
【0028】従来、特にラケットの面内方向の衝撃振動
については余り考慮されていなかったが、この面内方向
のガット張架部の衝撃振動は、球が直接当たるガットの
変形によってガット張架部に生じるものであり、プレー
ヤーの感性評価(フィーリング)、つまり打球感の良し
悪しに大きな影響を与えるものである。例えば、飛びを
良くするために開発されたフェイス面積が大きい所謂デ
カラケは、フェイス面積が小さいラケットよりも不快な
振動が多いと言われている。これは、フェイス面積が大
きいために、面内方向へ撓み易い、つまりガット張架部
の面内方向の振動が大きいためである。これらのことか
ら、飛びを良くするために設計されたデカラケ、厚ラケ
は、ラケットの面外方向の衝撃振動だけでなく面内方向
の衝撃振動をも緩和低減させられることは、打球感の改
善に有効であると考えられる。
【0029】本発明のラケットの場合、ラケットフレー
ムのフェイス面を囲むガット張架部において、フェイス
面を時計面と見てトップ位置を12時とすると、2時〜
5時の範囲と7時〜10時の範囲にダイナミックダンパ
ーを装着していることが好ましい。特に、3時位置を中
心とする±15°の角度範囲および9時位置を中心とす
る±15°の角度範囲は少なくともダイナミックダンパ
ーが装着されていることが好ましい。3時と9時の位置
は面内振動の最大振動幅位置であり、かつ、面外2次振
動の最大振動幅位置であるので、3時と9時の位置の近
傍にダンパーを装着すると、やはり面内振動及び面外振
動を十分に抑えることができる。また、上記同様の理由
により、少なくとも、4時位置を中心とする±15°の
角度範囲および8時位置を中心とする±15°の角度範
囲に、ダイナミックダンパーが装着されていることが好
ましい。
【0030】勿論、3時と9時に限らず、2時〜5時、
7時〜10時の範囲に装着することも有効である。5時
と7時の位置は面内及び面外の1次振動の最大振動幅位
置にあたるため、5時と7時の位置の近傍にダンパーを
装着すると、面内振動及び面外振動を十分に抑えること
ができる。3時と9時の位置の近傍、及び、5時と7時
の位置の近傍にダンパーを装着すると、テニスラケット
の操作性を損なうことなく、面内振動及び面外振動を十
分に抑えることができる。
【0031】また、2時〜5時、7時〜10時にダンパ
ーを装着すると、ガット張架部の横幅が大きい部分に質
量が加わるため、グリップ回りの慣性モーメントが大き
くなり、フェイス面の中央以外に球が当たった場合に、
ラケットが回転するのを抑制する作用も十分に発揮させ
られる。この場合も、やはり3時と9時の位置にダンパ
ーを装着するのが回転抑制の観点からは最適である。
【0032】なお、ダンパーの装着位置はラケットフレ
ームにおける2時〜5時、7時〜10時の範囲に限らな
い。ラケットフレームのスロート部にダンパーを装着す
ると、ラケットのバランスがグリップ寄りとなるため、
操作性が良くなる。さらにガット張架部のトップ位置に
装着すると、ラケットのバランスがトップ寄りとなるた
め、超軽量ートップバランス用のラケットの場合に好適
となる。
【0033】本発明のダイナミックダンパーは、テニス
ラケットに限定するものではなく、打球具や工具、例え
ば、金属製軟式バット(1500Hz)、木製軟式バッ
ト(500Hz)、卓球ラケット(1000Hz)の様
に、ダンパーの振動数を合わせることができる振動モー
ドをもつ全てのものに適応される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態を図
面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態に係る
ダイナミックダンパーが装着されているテニスラケット
のダンパー装着部分を示す斜視図であり、図2は第1実
施形態のダンパーの正面図、図3は第1実施形態のダン
パーの分解斜視図である。
【0035】第1実施形態のダイナミックダンパー1
は、図1〜図3に示すように、肉薄の粘弾性材2と、該
粘弾性材2よりさらに肉薄の質量付加材3とが面同士の
結合により一体化されてなる全体がコ字状に折れ曲がっ
た形状となっている。上記粘弾性材2と質量付加材3と
を積層した状態においても、比較的肉薄とし、肉厚方向
の断面積よりも、表面積が大となる横広がりの形状とし
ている。
【0036】上記ダイナミックダンパー1は、ラケット
フレームfの厚み方向と幅方向の両方に跨がるようにし
てラケットフレームfに装着される。ダンパー1の粘弾
性材2の方は裏面がラケットフレームfの表面形状に合
わせて曲面となっている。即ち、ダイナミックダンパー
1は、ダンパー1の中央部1Aをラケットフレームfの
厚み方向に配置し、ダンパー1の両側部1B,1Bをラ
ケットフレームfの幅方向に配置しながらラケットフレ
ームfに粘弾性材2の側の表面(他面)をラケットフレ
ームfの内側(ガットgの張架側)の表面に当てた状態
で取り付けられている。
【0037】具体的には、ダンパー1は幅(ラケットフ
レームの長手方向の寸法)は46mmであって、図2に
示すように、中央部1Aの部分寸法L1が19mm,両
側部1B,1Bの部分寸法L2がそれぞれ13.5mm
であり、幅(短手方向の寸法)L3は4mm〜8mmで
ある。粘弾性材2の厚みは2.5mm〜5.5mmであ
り、質量付加材3の厚みは0.5mmである。ただし、
質量付加材3の厚みは、0.5mmに限定するものでは
なく、例えば、1mmにして、その粘弾性材の厚みを−
0.5mmにすることも可能である。ダイナミックダン
パー1は全体としては横広がり構造で余り先へは突出せ
ずに目立たないので、ラケットフレームfの外観を損な
うこともない。
【0038】粘弾性材2は、1.5MPa以下の複素弾
性率と2.5mm以上の厚みがあるので、軟らかさも厚
みも十分で変形性に富む。質量付加材3は、高比重金属
粉末と熱可塑性エラストマーを主成分として高比重金属
粉末と熱可塑性エラストマーが十分に混ざり合った混合
物であり、一定の軟らかさがある。共に軟らかさのある
粘弾性材2と質量付加材3からなるダイナミックダンパ
ー1は全体としても軟らかさがあるので、競技中、プレ
ーヤーの手が質量付加材3に当たっても、痛かったり、
切れたりする心配はなく安全性は十分である。
【0039】そして、第1実施形態のダイナミックダン
パー1は、上記のように、粘弾性材2が変形性に富み、
質量付加材3にも軟らかさがあって粘弾性材2が質量付
加材3によって強くは拘束されないので、衝撃振動を受
けて、図4に示す静止状態から図5に示す振動状態へ移
行した際、ダンパー全体にダイナミックな動きが起こ
り、十分な共振現象が生じるので、衝撃振動を十分に緩
和低減する。これに対し、図6に示すように、質量付加
材全体が金属からなる硬い(剛体の)質量付加材3’を
具備するダンパー1’の場合には、粘弾性材2が質量付
加材3’によって強く拘束されてダンパー全体にダイナ
ミックな動きが起こらず十分な共振現象は生じなくな
り、衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮することがで
きない。なお、図4〜図6では、各図(a)がダンパー
1の内側の変形状況を示す概略断面図であり、各図
(b)がダンパー1の外側の変形状況を示す概略正面図
である。
【0040】第1実施形態のダイナミックダンパー1は
全体の重量が、共振により消費する振動エネルギーが必
要量確保できる10gを越えているので、衝撃振動の緩
和低減作用が十分であるとともに、ラケットの重量を重
くしてバランスをとる必要を生じる23gを下回ってい
るので、操作性が良い。さらに、第1実施形態のダイナ
ミックダンパー1の場合、粘弾性材2は幅は、接着面積
が十分でダンパー1をしっかり装着できる4mm以上で
あって、ダンパー全体の重量をテニスラケットに適した
重さにおさめられる8mm以下の範囲にある。また、第
1実施形態のダイナミックダンパー1は、ラケットフレ
ームfの厚さ方向だけでなくラケットフレームfの幅方
向にも延びている両側部1B,1Bを有する形態である
ので、面外方向の衝撃振動だけでなく、面内方向の衝撃
振動も十分に緩和低減させられる。
【0041】なお、第1実施形態のダイナミックダンパ
ー1では、粘弾性材2が一枚物の構成であるが、粘弾性
材2は長手方向に沿って複数のピースに分割されている
ようであってもよい。例えば、ダンパー1の中央部1A
と両側部1B,1Bの間で粘弾性材2が分断されて3つ
のピースからなる構成であってもよい。
【0042】第1実施形態のダンパー1は次のようにし
て製造することができる。まず、高比重金属粉末と熱可
塑性エラストマーとを適当な配合でミルを使って十分に
混練した後、熱プレスにより加熱加圧してシート化して
質量付加材用の混合物シートを得る。ついで、混合物シ
ートをダンパー厚みのキャビティを有する金型にセット
するとともに粘弾性材用の熱可塑性エラストマーを仕込
んでから、加熱加圧して積層一体化した後、カットする
とダイナミックダンパー1が得られる。こうして製造し
たダンパー1は接着剤等によりラケットフレームfに取
り付けて装着することができる。
【0043】上記第1実施形態のダンパー1の物性等を
評価するため、下記の実施例を作成するとともに、かつ
比較例も作成した。
【0044】(実施例1)実施例1は、下記の手順で作
成した。(株)クラレ製のセプトン2063を17.4
g秤量し、東京タングステン(株)製のタングステン粉
末SG50を491g秤量してから、両者を(株)東洋
精機製作所製のラボプラストミルSOC150SWを使
って、200℃の温度下で15分混練した。続いて、混
練物を熱プレスを使って180℃の温度下で5分間プレ
スして厚み0.5mmのシートにした。得られたシート
をダンパー厚みのキャビティを有する金型にセットする
とともに粘弾性材用のクラレプラスチック(株)製セプ
トンコンパウンド(熱可塑性エラストマー)CJ103
を仕込んでから、加熱加圧して積層一体化した後、カッ
トして、長さ46mm、粘弾性材2の厚み4.5mm、
ダンパーの(全体)厚み5mm、幅5mmのダイナミッ
クダンパー1を得た。
【0045】得られたダンパー1を8個、ラケットフレ
ームfに(株)関西ポリマー研究所製の接着剤セット
(プライマーと接着剤クイックボンド7のセット)で十
分に接着することにより装着した。即ち、テニスラケッ
トTRのフェイス面を囲むガット張架部において、フェ
イス面を時計面と見てトップ位置を12時にして、図7
に示す3時位置を中心とする±15°の角度範囲及び9
時位置を中心とする±15°の角度範囲に3個ずつダン
パー1を装着した。図7において、時計面の中心はガッ
ト張架部の縦横の中心である。なお、テニスラケットT
Rには、ダンロップ製PRO30LadyTourをガ
ットを張らずに用いた。また、実施例1におけるセプト
ンコンパウンドCJ103製の粘弾性材2の複素弾性率
を測定したところ、0.6MPaであった。複素弾性率
は前記したように、(株)レオロジー(RHEOLOG
Y)製の粘弾性スペクトルグラフィーDVE−V4FT
レオスペクトラーを用いて測定した。テストピース(試
験片)の大きさ(形)は、幅4mm、厚み0.5mmで
ある。
【0046】(実施例2)実施例2では、粘弾性材2の
厚み5.5mm、ダンパーの(全体)厚み6mmとした
他は、実施例1と同様である。
【0047】(実施例3)実施例3では、粘弾性材2の
厚み2.5mm、ダンパーの(全体)厚み3mmとした
他は、実施例1と同様である。
【0048】(実施例4)実施例4では、粘弾性材2の
厚み3.5mm、ダンパーの(全体)厚み4mm、幅4
mmとした他は、実施例1と同様である。
【0049】(実施例5)実施例5では、粘弾性材2の
厚み3.5mm、ダンパーの(全体)厚み4mm、幅8
mmとした他は、実施例1と同様である。
【0050】(実施例6)実施例6では、粘弾性材用の
クラレプラスチック(株)製セプトンコンパウンドCJ
103の代わりに、(株)クラレ製のセプトン2063
を用いるようにした他は、実施例1と同様にしてダンパ
ー1を製造した。セプトン2063製の粘弾性材2の複
素弾性率は1.3MPaであった。
【0051】(実施例7)実施例7では、図7に示す4
時位置を中心とする±15°の角度範囲及び8時位置を
中心とする±15°の角度範囲に4個ずつダンパー1を
装着した他は、実施例1と同様である。
【0052】(実施例8)実施例8では、粘弾性材用の
クラレプラスチック(株)製セプトンコンパウンドCJ
103の代わりに、(株)クラレ製のセプトン4033
及び適当量の出光興産(株)ダイアナプロセスオイルP
W380を用いた他は、実施例1と同様である。オイル
を添加したセプトン4033製の粘弾性材2の複素弾性
率は、オイル量を調整することによって、1.5MPa
とした。
【0053】(比較例1)比較例1では、粘弾性材2の
厚み6.5mm、ダンパーの(全体)厚み7mmとした
他は、実施例1と同様である。
【0054】(比較例2)比較例2では、粘弾性材2の
厚み1.5mm、ダンパーの(全体)厚み2mmとした
他は、実施例1と同様である。
【0055】(比較例3)比較例3では、粘弾性材2の
厚み3.5mm、ダンパーの(全体)厚み4mm、幅3
mmとした他は、実施例1と同様である。
【0056】(比較例4)比較例4では、粘弾性材2の
厚み3.5mm、ダンパーの(全体)厚み4mm、幅9
mmとした他は、実施例1と同様である。
【0057】(比較例5)比較例5では、粘弾性材用の
クラレプラスチック(株)製セプトンコンパウンドCJ
103の代わりに、(株)クラレ製のセプトン4033
を用いた他は、実施例1と同様である。セプトン403
3製の粘弾性材2の複素弾性率は2.6MPaであっ
た。
【0058】(比較例6)比較例6では、オイルの量を
調整することによりオイルを添加したセプトン4033
製の粘弾性材2の複素弾性率は1.8MPaとした他
は、実施例1と同様である。
【0059】(評価試験)上記実施例及び比較例につい
て評価試験を行った。テニスラケットTRのフェイス面
に垂直な方向(面外方向)については図8に示すように
テニスラケットTRを紐で吊るす自由支持状態にセット
し、フェイス面に水平な方向(面内方向)については、
図9に示すようにテニスラケットTRを紐で吊るす自由
支持状態にセットしておいて、図10に示す測定システ
ムによりラケットの固有振動数及びその減衰比をそれぞ
れ測定した。図8に示す設定状態では、図11(a)の
未振動のテニスラケットTRに、図11(b)に示すよ
うに,面外2次モードの振動が起こる場合について測定
することになる。図9に示す設定状態では、図12
(a)の未振動のテニスラケットTRに、図12(b)
に示すように,面内3次モードの振動が起こる場合につ
いて測定することになる。
【0060】また、図10に示す測定システムでは、精
度良く測定するために各振動モードの最大振動幅位置に
加速度ピックアップ33を取り付け、同様に最大振動幅
位置をインパクトハンマー31で加振した。インパクト
ハンマー31に取り付けたフォースピックアップで計測
した入力振動(F)と加速度ピックアップ33で計測し
た応答振動(α)をアンプ30及びアンプ32を介して
周波数解析装置34に取り込み解析した。なお周波数解
析装置34にはヒューレットパッカード製ダイナミック
シグナルアナライザーHP3562Aを用いた。
【0061】上記解析で周波数領域での伝達関数を求め
て、ラケットフレームの面外2次振動数と面内3次振動
数を得た。また、減衰比(ζ)は、図13から下記の数
式によって求めた。
【0062】ζ=(1/2)×(Δω/ωn) To=Tn/√2
【0063】また、ダンパー1を装着したテニスラケッ
トTRの見た目は良い(○)か悪いかを目視で判定する
外観チェックテストを行った。さらに、実際に使用して
ダンパー1がラケットフレームfに十分に接着されてい
るか(○…テスト中に剥がれない)否か(×…テスト中
に剥がれる)を評価する接着力チェックテストも行っ
た。 (測定結果)上記実施例1〜8の各測定結果を下記の表
1に示す、比較例1〜6の各測定結果を下記の表2に示
す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】実施例1〜8と比較例2,5の評価結果を
比べると、実施例1〜8の場合は比較例2,5よりも、
衝撃振動の抑制低減作用が勝っている。このことから、
比較例2の場合は粘弾性材2の厚みの不足により変形性
が不十分であり、比較例5の場合は粘弾性材2の複素弾
性率が大きくて変形性が不十分であるが、実施例1〜6
の場合、ダイナミックダンパー1の粘弾性材2の複素弾
性率が1.5MPa以下と小さい上に厚みが2.5mm
以上と十分であって変形性に富んでいるからであること
が分かる。また、実施例8と比較例6の評価結果を比べ
ると、比較例6の場合は、減衰比が半分近くに落ち込む
のに対し、実施例8の場合は比較例6より減衰比の面で
20%程度の優位があり、複素弾性率の上限を1.5M
Paとすることに限定理由があることも分かる。
【0067】一方、比較例1の場合は、厚みが5.5m
mを越える厚い粘弾性材2であるので、ダンパー1が目
立って外観が損なわれることが分かる。他方、比較例3
の場合は、粘弾性材2の幅が4mm未満であるので、ダ
ンパー1の接着が不十分であり、粘弾性材2の幅は4m
m以上の必要があることが分かる。さらに、比較例4の
場合は、粘弾性材2の幅が8mmを越えているので、ダ
ンパー全体の重量がテニスラケットTRに適当な重さの
上限の20gを越えてしまっており、粘弾性材2の幅は
8mm以下の必要があることも分かる。
【0068】加えて、実施例2と実施例7の評価結果を
比べると、実施例2の場合は、実施例7の場合より衝撃
振動の抑制低減作用がずっと上であり、3時位置及び9
時位置を中心にダンパー1を装着することが、衝撃振動
の抑制低減作用を効果的に発揮させる上で優位性がある
ことが伺われる。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係るダイナミックダンパーによれば、面同士の結合に
より一体化された粘弾性材と質量付加材がいずれも厚み
方向よりも面方向に大きく広がっていて、全体として横
広がり構造であるので、ダンパーが目立ち難く、外観が
悪くなる心配がないのに加え、上記質量付加材には軟ら
かさもあるので、ダンパーに人が当たっても、痛かった
り、切ったりせずに済み、安全性が低下する心配がない
とともに、粘弾性材が変形性に富む上に質量付加材によ
って強くは拘束されずにダイナミックな動きがダンパー
全体に起こり十分な共振現象が生じるので、衝撃振動の
緩和低減作用を十分に発揮することができる。
【0070】さらに、本発明に係るテニスラケットによ
れば、上記ダイナミックダンパーが装着されていて、ダ
ンパーは全体として横広がり構造であるので目立ち難く
てラケットの外観が悪くなる心配がないのに加え、質量
付加材にも軟らかさがあるので、人がダンパーに当たっ
ても、痛かったり、切ったりせずに済み、安全性が低下
する心配がないと共に、粘弾性材が変形性に富む上に質
量付加材によって強くは拘束されずにダンパー全体にダ
イナミックな動きが起こり十分な共振現象が生じるの
で、ダンパーが衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮す
ることができ、打球時のラケットの衝撃振動が十分に抑
えられ、プレーヤーの手の負担が大いに軽減される。さ
らに、粘弾性材は幅が十分で装着面(他面)が広いので
ダンパーがラケットフレームにしっかり装着される上
に、ダンパー全体の重量がテニスラケットにとって適切
であるので、振りやすさ(良好な操作性)を維持しなが
ら衝撃振動を十分に緩和低減させられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のダンパーを装着した
テニスラケットを示す部分斜視図である。
【図2】 第1実施形態のダンパーの正面図である。
【図3】 第1実施形態のダンパーの分解斜視図であ
る。
【図4】 (a)(b)は第1実施形態のダンパーの静
止状態を示す概略図である。
【図5】 (a)(b)は第1実施形態のダンパーの振
動状態を示す概略図である。
【図6】 (a)(b)は比較用ダンパーの振動状態を
示す概略図である。
【図7】 テニスラケットのフェイス面を時計面と見た
時の状態を示す模式図である。
【図8】 面外2次モードの振動に対する測定位置を示
す概略図である。
【図9】 面内3次モードの振動に対する測定位置を示
す概略図である。
【図10】 評価試験用の測定システムを示すブロック
図である。
【図11】 (a)(b)はテニスラケットの面外2次
モード振動を説明する模式図である。
【図12】 (a)(b)はテニスラケットの面内3次
モード振動を説明する模式図である。
【図13】 評価試験用の測定システムによる解析にお
ける周波数と伝達関数の関係を示すグラフである。
【図14】 従来例を示す概略図である。
【図15】 他の従来例を示す概略図である。
【図16】 他の従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ダイナミックダンパー 2 粘弾性材 3 質量付加材 f ラケットフレーム TR テニスラケット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘弾性材と質量付加材とからなり、該粘
    弾性材の一面を、質量付加材でカバーして、面同士を一
    体的に結合してなり、 上記質量付加材は、高分子材料を成分として含んでお
    り、 上記粘弾性材は、複素弾性率が0.5MPa以上1.5
    MPa以下であり、厚みが2.5mm以上5.5mm以
    下であることを特徴とするダイナミックダンパー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のダイナミックダンパー
    を、粘弾性材の他面をラケットフレームの表面に接触さ
    せて装着してなり、上記ダイナミックダンパーは、厚み
    方向と垂直な、一方の長さが4mm以上8mm以下であ
    るとともに、ダンパー全体の重量が10g以上23g以
    下であることを特徴とするダイナミックダンパーが装着
    されたテニスラケット。
  3. 【請求項3】 上記ラケットフレームのフェイス面を囲
    むガット張架部において、フェイス面を時計面と見てト
    ップ位置を12時とすると、ラケットフレームの2時か
    ら5時、及び7時から10時の範囲の少なくとも一部に
    上記ダイナミックダンパーが装着された請求項2に記載
    のテニスラケット。
  4. 【請求項4】 上記ラケットフレームのフェイス面を囲
    むガット張架部において、フェイス面を時計面と見てト
    ップ位置を12時とすると、3時位置を中心とする±1
    5°の角度範囲および9時位置を中心とする±15°の
    角度範囲の少なくとも一部に上記ダイナミックダンパー
    が装着された請求項2に記載のテニスラケット。
  5. 【請求項5】 上記ラケットフレームのフェイス面を囲
    むガット張架部において、フェイス面を時計面と見てト
    ップ位置を12時とすると、4時位置を中心とする±1
    5°の角度範囲および8時位置を中心とする±15°の
    角度範囲の少なくとも一部に上記ダイナミックダンパー
    が装着された請求項2に記載のテニスラケット。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6623384B2 (en) * 2000-09-21 2003-09-23 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Dynamic damper and dynamic damper-installed tennis racket

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6623384B2 (en) * 2000-09-21 2003-09-23 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Dynamic damper and dynamic damper-installed tennis racket

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