JP2003117029A - ダンパーが装着されたテニスラケット - Google Patents

ダンパーが装着されたテニスラケット

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JP2003117029A
JP2003117029A JP2001318978A JP2001318978A JP2003117029A JP 2003117029 A JP2003117029 A JP 2003117029A JP 2001318978 A JP2001318978 A JP 2001318978A JP 2001318978 A JP2001318978 A JP 2001318978A JP 2003117029 A JP2003117029 A JP 2003117029A
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Yumi Kanemitsu
由実 金光
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面内方向と面外方向の両方の振動を効果的に
抑制すると共に、ラケットの軽量感を向上させる。 【解決手段】 グリップエンド14からテニスラケット
全長の15%以上35%以下の範囲にあたるグリップ部
13からシャフト部12にかけた位置で、ダイナミック
ダンパー20をラケットフレームfに取り付け、上記ダ
イナミックダンパー20は粘弾性材22と質量付加材2
1とからなり、 ラケットフレームfの厚み方向と幅方向
の両面に、粘弾性材22を介して質量付加材21を取り
付け、ラケットフレームfの幅方向の面内方向の振動と
厚さ方向の面外方向の振動の両方を吸収させる構成とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダンパーが装着され
たテニスラケットに関し、特に、面内方向および面外方
向の両方の振動を減衰できるダイナミックダンパーの取
付位置を改良して、軽量感を高めつつ強度を保持するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、テニスラケットに打球時に生じる
振動を減衰し、プレーヤーへの振動伝達を抑制して、所
謂テニスエルボーが発生しないようにするため、振動減
衰用のダンバーが取り付けられる場合が多い。この種の
ダンバーとして、特公昭52−13455号、特開昭5
2−156031号、特開平4−263876号等にお
いて、図17に示すような、テニスラケット5に弾性材
6bを介して荷重材6aを固定した片持ち梁型のダンパ
ー6が提案されている。上記したダンパーはいずれもラ
ケットフレームに一端を固定した1つの弾性材の先端に
荷重材を固定した構成とされており、主として、ラケッ
トフレームの面外方向(ラケットフレームのフェイス面
に垂直な方向で、ラケットフレームの厚さ方向)の1次
振動を抑制する構成とされている。
【0003】しかしながら、テニスラケットに打球時に
生じる振動は、 面外方向の振動のみではなく、 面内方向
(ラケットフレームのフェイス面と平行な方向で、ラケ
ットフレームの幅方向)の振動もあり、よって、面外方
向および面内方向の両方の振動を吸収する必要がある。
上記した面外方向および面内方向の両方の振動を吸収す
るダンパーとして、本出願人は先に特開2000−15
7649号で面外方向および面内方向の両方に取り付け
る断面コ字形状としたダイナミックダンパーを提案して
いる。上記したダンバーはフェイス面を時計面と見て、
2〜5時と7〜10時、3時、5時、9時、7時のガッ
ト張架部(ヘッド部)やスロート部に上記ダイナミック
ダンパーを取り付ける構成としている。
【0004】特に、ガット張架部にダイナミックダンパ
ーを取り付けると、打球時に最も振動が発生するガット
張架部の振動を効果的に吸収できると共に、ダイナミッ
クダンパーの取付によりラケットの重心がよりヘッド側
に移行して、スイングの慣性モーメントが大きくなり飛
び性能が向上したり、ラケットのグリップ回りの慣性モ
ーメントが大きくなり、プレーヤーがフレーム中心軸か
らずれた位置で打撃した時のグリップの回転による衝撃
を抑制することができる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
ラケットの軽量化がより強く望まれており、上記したガ
ット張架部にダイナミックダンパーを取り付けると、ダ
イナミックダンパーの重量が付加されるだけでなく、バ
ランスが手元より離れた重い方になるため、プレーヤー
に取って軽量感が損なわれることとなる。スロート位置
にダイナミックダンパーを取り付けると、バランスが手
元側に近づき軽くなる方向になるが、軽量感を与えるに
は未だ不十分である。また、繊維量を減らすと軽量化を
図ることができるが、耐久性が悪化する。
【0006】また、ダイナミックダンパーを上記ガット
張架部やスロート部に取り付けると、ダイナミックダン
パーがプレー中に地面に擦れて破壊しやすい問題があ
る。また、ダイナミックダンパーがプレーヤーの手に当
たって邪魔になりやすく、ダイナミックダンパーが突出
する割合を小さくするためにダイナミックダンパーの取
付位置のフレームを部分的に薄くすると、応力集中によ
るラケットの強度低下にも繋がる問題が発生する。
【0007】本発明は上記問題を解消し、面内方向及び
面外方向の衝撃・振動の低減すると共に、強度の低下を
防ぎつつ軽量化を図ることができるダイナミックダンパ
ーを装着したテニスラケットを提供することを課題とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、グリップエンドからテニスラケット全長
の15%以上35%以下の範囲にあたるグリップ部から
シャフト部にかけた位置で、ダイナミックダンパーをラ
ケットフレームに取り付け、、上記ダイナミックダンパ
ーは粘弾性材と質量付加材とからなり、 ラケットフレー
ムの厚み方向と幅方向の両面に、上記粘弾性材を介して
質量付加材を取り付け、ラケットフレームの幅方向の面
内方向の振動と厚さ方向の面外方向の振動の両方を吸収
させる構成としていることを特徴とするダンパーが装着
されたテニスラケットを提供している。
【0009】上記構成とすると、ダイナミックダンパー
の装着位置をグリップ側としているため、バランスが軽
くなる方向の手元側となるため、プレーヤーに軽量感を
与えることができる。具体的には、ダイナミックダンパ
ーを取り付けることにより、ラケットのバランス位置
(グリップエンドからラケットの重心位置までの寸法)
を280mm〜400mmの範囲としている。上記28
0mm〜400mmの範囲としているのは、280mm
より小さいと、強い打球ができなくなり、400mmよ
り大きくなるとラケットの取り回しがしにくくなり、特
に、非力な女性や子供では操作性が悪くなるためであ
る。
【0010】また、上記ダイナミックダンパーの取付位
置のグリップエンドからラケット全長の15%以上35
%以下の位置は、面外方向の振動モードと面内方向の振
動モードの両方の腹となるので、効果的に振動を抑止す
ることができる。なお、14%以下または39%以上で
は、ラケットの振動モードの節に近くなるため減衰減衰
の効果が減少し、また、14%以下ではプレーヤーが握
る位置に近くなるためにダイナミックダンパーが邪魔に
なる。
【0011】本発明のラケット重量は200g〜350
g、好ましくは300g以下、より好ましくは250g
以下と軽量化したもので、この軽量としたラケットにダ
イナミックダンパーを取り付けても、その取付位置をシ
ャフト部からグリップ部にかけた位置としているため、
軽量感を阻害することはない。
【0012】さらに、該ダイナミックダンパーをラケッ
トフレームの厚み方向面および幅方向面の両方に取り付
けているため、面外方向の振動と面内方向の振動の両方
向の振動を効果的に抑止し、衝撃振動を十分に緩和低減
することができる。
【0013】具体的には、粘弾性材及び質量付加材を合
わせたダイナミックダンパー全体の厚みは、3.0mm
以上7.0mm以下であることが好ましい。これは、ダ
イナミックダンパー全体の厚みが3.0mm未満である
とダイナミックダンパーが振動しにくくなり、ダイナミ
ックダンパーの振動抑制効果が損なわれるためである。
また、ダイナミックダンパー全体の厚みが7.0mmよ
りも大きいと、取り付ける場合に邪魔になったり、見た
目が悪くなるためである。質量負荷材の厚さt1は0.
5mm〜1.5mm、粘弾性材の厚さt2は2.5〜
5.5mmとするのが好ましい。t1が0.5mm未満
では軽すぎてダイナミックダンパーが振動しにくく、t
2が2.5mm未満ではダイナミックダンパーが振動し
にくいからである。粘弾性材と質量付加材を合わせた全
重量が8g〜23gの範囲が好ましい。これば、8g未
満であると、振動を抑制する性能が十分でなく、23g
より重いと、テニスラケット等の被装着物の操作性が悪
くなるためである。また、ダイナミックダンパーの長さ
(ラケットの長手方向の長さ)は5mm〜40mm、好
ましくは10mm〜35mm、最も好ましくは10mm
〜30mmで、上記範囲を外れるとダンパー効果が発生
しない。
【0014】上記ダイナミックダンパーの粘弾性材と質
量付加材とはそれぞれシート状として一体的に積層し、
中空状の上記ラケットフレームの外面あるいは内面に取
り付けている。
【0015】上記ダイナミックダンパーは、粘弾性材の
一面に質量付加材を貼着して積層した構造とし、粘弾性
材の他面をラケットフレームに外面あるいは内面に接着
材を介して固着している。該構成とすると、ダイナミッ
クダンパー自体を薄くかつ軽量化でき、かつ、プレーヤ
ーに違和感を与えない形状とすることができる。上記ダ
イナミックダンパーでは、ラケットフレームの振動によ
り粘弾性材が大きく振動して該振動を質量付加材に伝達
して質量付加材を振動させ、フレームが振動するエネル
ギーをダイナミックダンパーの振動で消費することによ
り、ラケットフレームの振動を速やかに減衰させること
ができる。その結果、プレーヤーの手に加わる衝撃と振
動を大きく減らすことが出来る。
【0016】上記ダイナミックダンパーの具体的な形状
としては、横枠部と該横枠部の両側の縦枠部とからなる
格子形状とすることが好ましく、横枠部と縦枠部とを連
続的に一体化して設け、あるいは別体として接合してい
る。上記横枠部がラケットの厚み方向の少なくとも一面
に取り付けられ、縦枠部がラケットの幅方向両面に取り
付けられている。上記縦枠部はラケットフレームの面外
方向の振動に主として共振する一方で、横枠部はラケッ
トフレームの面内方向の振動に主として共振し、面内、
面外両方向の振動を効果的に抑止することができる。
【0017】特に、格子状に一体成形した場合には、縦
枠部と横枠部とが一体につながっているので、面内方向
の揺れと共に格子全体も共振するため、振動を抑止する
効果がより優れている。すなわち、格子状に一体成形し
た場合にはダイナミックダンパー全体の重量が面内方向
と面外方向の振動抑制に寄与することにより、縦枠部と
横枠部が個々に面内方向と面外方向の振動抑制に寄与す
るよりも振動抑制効果が増すので、振動減衰性により優
れている。このダイナミックダンパーが装着されたテニ
スラケットは、面外2次と面内3次の振動減衰比が共に
1%以上となり、非常に振動減衰性に優れている。な
お、ダンパー効果を効果的に発生させるために、縦枠部
の長さL2と横枠部の長さL1の比L2/L1は0.3
以上1.0以下とするのが好ましい。より好ましくは
0.6以上0.9以下するとよい。
【0018】上記ラケットフレームのダイナミックダン
バーが取り付らける部分は厚み方向と幅方向に凹凸を有
する形状とし、凹部にダイナミックダンパーを取り付け
て、該ダイナミックダンパーがラケットフレームの外面
より突出させないと共にねじれ剛性を持たせた構成とし
ている。上記のように、ダイナミックダンパーがラケッ
トフレームの外面より突出させない構成とすると、ダイ
ナミックダンパーは出っぱらず、プレー時の邪魔になら
ず、操作性を阻害しないと共に、外観に違和感を生じさ
せない。かつ、ダイナミックダンパー取付用の凹部を設
けて、厚さ方向および幅方向の寸法を小さくしても、ダ
イナミックダンパーを取り付けるシャフト部からグリッ
プ部にかけた部分は、ガット張架部やスロート部に比べ
て厚さ、幅ともに大きくなっているため、その一部を小
さくしても強度への影響を極力抑えることができる。
【0019】具体的には、上記ダイナミックダンパーの
取付部を断面十字形状とすることにより、断面四角形状
や断面円形状のものよりも断面2次モーメントが大きく
なり、曲げや捩れに対する剛性が高められ、プレーヤー
がフレーム中心軸から離れて打撃しても衝撃特性やボー
ルのコントロール性能が良好となる。さらに、上記取付
部が断面十字形状とすると、断面コ字形状であるダイナ
ミックダンパーを両側に取りつける際に、該ダイナミッ
クダンパーとラケットフレームとの外面を平面として、
出っぱらずに取り付けることができ、外見上も好まし
い。
【0020】また、上記ダイナミックダンパーをシャフ
ト部あるいはグリップ部の内面に取り付ける場合には、
上記シャフト部あるいは上記グリップ部に厚み方向また
は幅方向に貫通穴を穿設し、該貫通穴に面する内面に対
向してダイナミックダンパーを取り付けている。上記構
成とすると、ダイナミックダンパーがフレーム内部に収
容されるので、邪魔にならずに、面内方向及び面外方向
の両方のフレームの振動を効果的に抑制することができ
る。
【0021】上記ダイナミックダンパーの粘弾性材は2
0℃、10Hzでの複素弾性率が0.3MPa以上1.
5MPa以下、上記質量付加材は20℃、10Hzでの
複素弾性率が100MPa以上800MPa以下として
いる。
【0022】上記粘弾性材の20℃、10Hzでの複素
弾性率を0.3MPa以上1.5MPa以下としている
のは、複素弾性率が0.3MPa未満であるとラケット
フレームに取りつけるのに適当な固形材料はないためで
ある。一方、複素弾性率が1.5MPaよりも大きい
と、テニスラケットの振動数にダイナミックダンパーの
振動数を合わせることができないためである。上記質量
付加材の20℃、10Hzでの複素弾性率を100MP
a以上800MPa以下としているのは、複素弾性率が
この範囲であると、粘弾性材ほど軟らかくはないが、硬
い金属に比べれば軟らかく、弾性がある。このように、
ある程度の軟らかさもある質量付加材と、非常に軟らか
い粘弾性材からなる本発明のダイナミックダンパーな
ら、人が当たっても、痛かったり、手に傷を負わせこと
がなく、安全性が低下する心配はない。また、質量付加
材に軟らかさがあると、粘弾性材が質量付加材と面同士
の結合により一体化されていても、粘弾性材が質量付加
材によって強くは拘束されず、粘弾性材の部分のみなら
ず質量付加材の部分も変形できるので、ダイナミックダ
ンパー全体にダイナミックな動きが起こり十分な共振現
象が生じ、衝撃振動の緩和低減作用を十分に発揮するこ
とができる。なお、質量付加材が硬い剛体であると、粘
弾性材の部分しか変形できず、粘弾性材が質量付加材と
面同士の結合により一体化されている場合、粘弾性材が
質量付加材によって強く拘束されて、ダイナミックダン
パー全体にダイナミックな動きが起こらず十分な共振現
象が生じなくなり、衝撃振動の緩和低減作用を十分に発
揮できない。
【0023】なお、質量付加材の複素弾性率が100M
Pa未満であると、十分な質量付加効果をもたせるだけ
の比重(重さ)が確保することができず、800MPa
を越えると、必要な軟らかさを持たせられない。また、
質量付加材の複素弾性率が300MPa以下であれば、
質量付加材の軟らかさがより十分となり、衝撃振動の緩
和低減作用を十二分に発揮することができるので、30
0MPa以下であることがより好ましい。
【0024】本発明における粘弾性材および質量付加材
の複素弾性率は、以下の条件の下で測定されるものであ
る。 使用測定器 :(株)レオロジー(RHEOLOGY)製の粘弾性スペクトル グラフィー DVE−V4FTレオスペクトラー 初期荷重 :250g 周波数 :10Hz 変位振幅 :5μm 方向 :引っ張り 温度 :20℃ チャック間距離:30mm
【0025】上記質量付加材としては、金属製でも良い
が、好ましくは高比重金属粉末と高分子材料とを主成分
とするとともに高比重金属粉末が高分子材料に混練分散
された混合物からなるものが挙げられ、高分子材料とし
ては、樹脂、ゴム、エラストマーの群より選択される1
種又は2種以上の混合物などが好ましい。また、上記粘
弾性材としては、好ましくは質量付加材に高分子材料を
用いる場合にはその高分子材料と同じか又は近い高分子
材料が用いられる。なお、高分子材料と高比重金属粉末
に加えて、さらに弾性率調整用のオイル及び/又は成形
性を良くするためのオイルを添加したり、着色用の顔料
を添加したりしてもよい。
【0026】高比重金属粉末の金属としては、特定の金
属に限られないが、20℃における比重が5以上25以
下のものが好適に用いられる。これは、比重5を下回る
と、質量付加材として十分な質量付加作用をもたせよう
とすると、容積が大きくなり過ぎるからであり、比重2
5を上回ると、該当する金属が稀少金属であり、高価ま
たは入手困難であるからである。具体的な金属には、鉄
(比重7.86)、銅(比重8.92)、鉛(比重1
1.3)、ニッケル(比重8.85)、亜鉛(比重7.
14)、金(比重19.3)、白金(比重21.4)、
オスミウム(比重22.6)、イリジウム(比重22.
4)、タンタル(比重16.7)、銀(比重10.4
9)、クロム(比重7.19)、真鍮(比重8.5)、
タングステン(比重19.3)などが挙げられるが、鉛
は有害性があり、金や銀などは高価であることから、タ
ングステン、銅、ニッケルやこれらの合金が好ましい。
【0027】高比重金属粉末の粒径は、1μm以上25
0μm以下の範囲が好適に用いられる。粒径が1μmを
下回ると飛散又は凝集し易く、混練の際に分散し難くな
り、粒径が250μmを上回ると粒が大きくなり、薄肉
の質量付加材の作成が難しい。
【0028】また、粘弾性材及び質量付加材に用いられ
る高分子材料用樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、
ポリアセテート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸
ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱可塑性樹脂
や、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェ
ノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリ
ルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド
系樹脂などの熱硬化性樹脂等が挙げられる。成形性やリ
サイクル性から熱硬化性樹脂よりも熱可塑性樹脂の方が
好ましい。
【0029】さらに、熱可塑性エラストマーは熱可塑性
樹脂よりも軟らかく、振動数を合わせ易い上に、ゴム弾
性があって塑性変形も少ないのに加え、リサイクル性も
あるので、質量付加材用の高分子材料として特に好まし
い。即ち、高比重金属粉末と熱可塑性エラストマーとを
主成分として高比重金属粉末が熱可塑性エラストマーに
分散されている混合物の場合、適切な複素弾性率をもっ
た質量付加材が得易い。
【0030】熱可塑性エラストマーとしては、特に限定
されないが、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、
エステル系などが挙げられる。市販の熱可塑性エラスト
マーとして、クラレプラスチック(株)製のセプトンコ
ンパウンド、(株)クラレ製のハイブラー、セプトン、
東ソー(株)製のエラステージ、鐘淵化学工業(株)製
ニートポリマー、帝人製ヌーベラン、アロン化成(株)
製エラストマーAR、シェルジャパン(株)製クレイト
ンD、クレイトンG、東洋紡績(株)製ペルプレン、旭
化成工業(株)製タフテック、住友ベークライト(株)
製スミフレックス、モルデックス、スパイデックス、ス
ミコンRM、三菱化成(株)製サーモラン、ラバロン、
住友化学(株)製住友TPE、住友TPE−SB、ダイ
セル化学(株)製エポフレンド、日本ゼオン(株)製ク
インタック、エーイーエス・ジャパン(株)製サントプ
レーン、トレフシン、DSM製サーリンクなどが挙げら
れる。
【0031】本発明のダイナミックダンパーの粘弾性材
としては、上記の様に質量付加材に高分子材料が用いら
れる場合には、質量付加材の高分子材料と同じか又は近
い高分子材料が用いられるのが好ましい。粘弾性材の場
合は発泡体であってもよい。同じか近い高分子材料であ
れば、融点が近いので、粘弾性材と質量付加材の材料を
一つの金型内で加熱し、溶融、密着させて一体成形して
ダイナミックダンパーを製造することも可能となる。
【0032】粘弾性材及び質量付加材の高分子材料用ゴ
ムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(I
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンーブタジエン
ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロ
ニトリルーブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル化
ニトリルゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチ
ルゴム(X−IIR)、エチレンープロピレンゴム(E
PM)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPD
M)、エチレンー酢酸ビニルゴム(EVA)、アクリル
ゴム(ACM,ANM)エチレンーアクリルゴム、クロ
ロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩化ポリエチレ
ン(CM),エピクロルヒドリンゴム(CO)、ウレタ
ン系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴムなどが挙げ
られる。粘弾性材及び質量付加材が同系ゴム材料の場合
は、加硫接着がし易いので、一体成形に向くのでより好
ましい。耐侯性が優れている点ではエチレン・プロピレ
ンージエンゴム(EPDM)、シリコーン系ゴムが良
く、振動吸収が優れている点ではブチルゴム(IIR)
が良い。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1乃至図4は本発明の第1実施形
態に係るダイナミックダンパー20を装着したテニス用
のラケットフレーム100を示す。
【0034】上記ダイナミックダンパー20は図2に示
すように、質量付加材21と粘弾性材22とを積層した
シートからなり、該ダイナミックダンパー20を左右一
対として、ラケットフレーム100のシャフト部12に
形成した取付部12aの両側外面に取り付けている。上
記ダイナミックダンパー20の取付位置は、グリップエ
ンド14からラケットフレーム100の全長の15%以
上35%以下に、ダイナミックダンパー20の長さ方向
の中心が位置するように設定している。
【0035】上記一対のダイナミックダンパー20は、
断面コ字形状に折り曲げ、その中央部分20aを取付部
12aの左右両側の厚み方向面S1に取り付け、両側部
20b、20cを折り曲げて前後両側の幅方向面S2に
取り付けている。各ダイナミックダンパー20は図2に
示すように、コ字形状とした3個の横枠部23を平行に
間隔を開けて位置させ、これらの横枠部23に縦枠部2
4を連続させた形状としている。
【0036】ダイナミックダンパー20は、質量付加材
21の厚さt1を0.5mm以上1.5mm以下とし、
粘弾性材22の厚さt2は2.5mm以上5.5mm以
下とし、粘弾性材22と質量付加材21を合わせたダイ
ナミックダンパー20の全体の厚みを3.0mm以上
7.0mm以下とし、ダイナミックダンパー20の重量
を8 g〜23gとしている。ダイナミックダンパー2
0の長さ(ラケットの長手方向の長さ)は5mm〜40
mmとしている。縦枠部24の長さL2と横枠部の長さ
L1の比L2/L1は0.3以上1.0以下としてい
る。
【0037】質量付加材21は、高比重金属粉末と熱可
塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、ゴム又はそれらの混
合物を主成分として高比重金属粉末が熱可塑性エラスト
マー又は熱可塑性樹脂に分散されている混合物で、20
℃、10Hzでの複素弾性率が100MPa以上800
MPa以下のものとしている。粘弾性材12は、20
℃、10Hzでの複素弾性率が、0.5MPa以上1.
5MPa以下のものを用いている。
【0038】ラケットフレーム100のシャフト部12
のダイナミックダンパー取付部12aは、図4(A)に
示すように、厚さ方向面S1、幅方向面S2の寸法を小
さくして段状に形成した凹部からなる。この凹部に、図
4(B)に示すように、各ダイナミックダンパー20の
中央部20aの横枠部23を嵌め込んだ状態で装着し、
折り曲げた両側部20b、20cの縦枠部24を幅方向
面S2の外面に装着している。
【0039】ラケットフレーム100は、カーボン繊維
を強化繊維とし、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂とした
プリプレグを積層してパイプ状に成形した繊維強化樹脂
からなる。なお、ラケットフレーム100の材質は上記
に限定されない。テニスラケットの重量は、ダイナミッ
クダンパー20を装着した状態で、200g以上250
g以下としている。また、ダイナミックダンパー20を
装着したテニスラケットのバランス点(重心)は、ラケ
ット全長を710mmとすると、グリップエンドから2
80mm以上400mm以下としている。
【0040】上記構成からなるダイナミックダンパー2
0を装着したテニスラケットは、シャフト部12に取り
付けているため、バランス点が手元側に移行して、軽量
感をプレーヤーに与えることができると共に、非力な女
性や子供にとっても操作性が良くなる。また、シャフト
部12はガット張架部およびスロート部よりも太いた
め、その一部に凹部を設けてダイナミックダンパー20
を取り付けても強度低下の影響は少ない。さらに、シャ
フト部12にダイナミックダンパー20を配置している
ため、プレー時にダイナミックダンパー20が地面に擦
れて損傷を生じることはなく、かつ、プレーヤーの手に
当たりにくく、プレーヤー時に邪魔にならない。
【0041】また、上記シャフト部に取り付けるダイナ
ミックダンパー20は厚さ方向面S1の全面に取り付け
ていると共に、幅方向面S2にも折り曲げて配置してい
るため、打球時に生じる面外方向の振動と面内方向の振
動の両方の振動に共振して、振動を減衰することができ
る。特に、シャフト部12は面外方向および面内方向の
振動モードの腹に当たるため、シャフト部12にダイナ
ミックダンパー20を取り付けると、該ダイナミックダ
ンパー20による振動減衰効果を高めることができる。
【0042】図5(A)(B)は第2実施形態を示す。
ラケットフレーム100のシャフト部12の前後幅方向
面S2の中央に開口を設け、厚み方向の貫通穴Hを穿設
し、該貫通穴Hの両側内面をダイナミックダンパー20
の取付部12bとしている。上記取付部12bには、水
平断面で中央部に凸部12b−1を対向させて設け、一
対のダイナミックダンパー20を、その中央部20aを
凸部12b−1の突出面に被せ、両側折り曲げ部20
b、20cを凸部12b−1の両側の凹部12b−2と
若干の間隔をあけて嵌め込んでいる。
【0043】上記構成のようにダイナミックダンパー2
0をシャフト部12の内面に取り付けると、ダイナミッ
クダンパー20が外面に露出せず、外見上良好となる。
また、ダイナミックダンパー20は取付部12bの凸部
12b−1の突出面に被せている箇所が厚さ方向面の配
置部、両側折り曲げ部が幅方向面の配置部となり、厚み
方向及び幅方向ともにダイナミックダンパー20の粘弾
性材が当接し、ラケットの面内振動及び面外振動の両方
に対して共振し、効果的に振動吸収を行うことができ
る。
【0044】図6(A)(B)は第3実施形態を示す。
テニスラケットTRのシャフト部12に設けるダイナミ
ックダンパー20の取付部12dを断面十字形状として
いる。取付部12aの厚み方向面S1の寸法を小さくす
る一方、幅方向面S2を凸部12d−1以外の面の寸法
を小さくし、断面十字形状を形成している。図6(A)
に示すように、両側より各ダイナミックダンパー20の
横枠部23が厚み方向面S1に当接するように嵌め込
み、縦枠部24の一端は凸部12d−1の側面と若干の
間隔をあけて幅方向面S2に装着している。
【0045】上記構成とすると、上記取付部を断面四角
形状や断面円形状にしたものよりも断面2次モーメント
が大きくなり、曲げや捩れに対する剛性が高められ、プ
レーヤーがフレーム中心軸から離れて打撃しても衝撃特
性やボールのコントロール性能が良好となる。さらに、
上記取付部が断面十字形状とすると、断面コ字形状であ
るダイナミックダンパーを両側に取りつける際に、該ダ
イナミックダンパーとラケットフレームとの外面を平面
として、出っぱらずに取り付けることができる。
【0046】図7は第4実施形態を示す。第4実施形態
では、第1実施形態と同様の取付部12aに、断面L字
形状とした一対のダイナミックダンパー20’を両側面
より対向するように取り付けている。ダイナミックダン
パー20’は断面L字形状としているので、取付部12
aの厚み方向と幅方向の両方と当接しており、ラケット
の面内方向及び面外方向の振動の両方を効果的に抑止す
ることができる。また、図7(B)に示すように、取付
部12cの幅方向の外面に段差部12c−1を設けて、
上記ダイナミックダンパー20’の一端を段差部12c
−1と若干の隙間をあけて嵌めるように取り付けると、
突出する部分を無くすことができ、外見上も良好とな
る。
【0047】ダイナミックダンパーの形状は上記した実
施形態に示すのような断面コ字形状、断面L字形状等に
限られず、全周を囲む断面ロ字形状としてもよい。
【0048】以下、本発明のダイナミックダンパーを装
着したテニスラケットの実施例1〜4及び比較例1〜3
について詳述する。なお、実施例、比較例とも、テニス
ラケットの長さ、フェイス面積は同一とした。図1及び
図8(A)(B)(C)(E)に示すように、全長は7
10mm、フェイス面Sを囲むガット張架部10の厚み
は24mm、スロート部11の厚みは24mm、シャフ
ト部12の厚みは24mm、グリップ部13の厚みは2
7mmとしている。ガット張架部10の幅は14.5m
m、スロート部11の幅は14mm、シャフト部12の
幅は28mm、グリップ部13の幅は31mmとしてい
る。 ダイナミックダンパーは第1実施形態の態様で、
図8(D)に示すようにシャフト部に装着した。
【0049】フェイス面Sにガットを張らない状態での
重量が228g、バランス点はグリップエンドより37
3mmとした。ラケットフレームは繊維強化樹脂製の中
空形状であり、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用
い、強化繊維として炭素繊維を用いた。ダイナミックダ
ンパーの縦枠部の長さ方向がラケットフレームの長手方
向と平行に位置するようにダイナミックダンパーを装着
した。
【0050】(実施例1)ダイナミックダンパー20の
質量付加材21として、タングステン入りクロロプレン
ゴム(住友電気工業製のヘビイメタルシート)を用い
た。比重が9、複素弾性率が200MPaのものを、厚
さ0.6mmとして使用した。また、ダイナミックダン
パー20の粘弾性材22として、下記の表1に示す組成
物からなるゴムをもちいた。その複素弾性率は0.53
MPaである。
【0051】
【表1】
【0052】表中、Mは2−メルカプト・ベンゾチアゾ
ール、TETはテトラチウラムジスルフィド、BZはジ
ブチル・ジチオアーバミン、TTTEはジエチルジチオ
アルバミン酸テルルである。
【0053】以上の質量付加材21と粘弾性材22とを
積層して金型に仕込み、170℃で20分間プレスし、
加硫した。得られたダイナミックダンパー20は、上記
第1実施形態と同様の形状とし、図3(A)(B)
(C)に示される様に、3個のコ字形状の横枠部23が
2個の短冊形状の縦枠部24と一体化した格子状とし
た。コ字形状の横枠部23の間隔は5.5mmであり、
短冊形状の縦枠部24の長さは26mm、コ字形状の横
枠部23の長さは34mmとした。
【0054】ダイナミックダンパー20の取付状態での
中心位置は、図1に示すようにグリップエンドから25
0mm(ラケットの全長の35%)の位置に設け、取付
部12aの長さL3は30mmとしていると共に、取付
部12aの断面形状は、図8(D)に示すように、厚み
18mm、幅20mmとしている。このダイナミックダ
ンパー20を、シャフト部12の取付部12aに夫々接
着固着した。なお、接着後のラケットの重量は240
g、バランス点は367mmとした。
【0055】(実施例2)ダイナミックダンパー20お
よび取付部12dの位置(ラケットの全長の35%)、
長さは実施例1と同じであるが、取付部12dの形状
は、図6(A)(B)に示すように断面十字形状として
おり、取付部12d全体の厚みは26mm、凸部12d
−1を含まない部分の厚みは18mmであり、また、凸
部12d−1の幅を5mm、取付部12d全体の幅を2
3mmとしている。なお、ダイナミックダンパー20の
装着後の重量は240g、バランス点は367mmとな
った。
【0056】(実施例3)ダイナミックダンパー20お
よび取付部の形状・長さは実施例2と同じであるが、取
付部の位置は、グリップエンドから180mmの位置
(ラケットの全長の25%)とした。ダイナミックダン
パー20の装着後の重量は240g、バランス点は36
3mmとなった。
【0057】(実施例4)ダイナミックダンパー20お
よび取付部の形状・長さは実施例2と同じであるが、取
付部の位置は、グリップエンドから110mmの位置
(ラケットの全長の25%)とした。ダイナミックダン
パー20の装着後の重量は240g、バランス点は36
0mmとなった。
【0058】(比較例1)ダイナミックダンパー20は
実施例1と同じであるが、このダイナミックダンパーの
取付部11aを、図9に示すようにラケットフレームf
のガット張架部11の3時と9時の位置にそれぞれ1個
のダイナミックダンパーを装着した。図10(A)
(B)に示すように取付部11aの長さは30mmと
し、厚みは18mm、幅は12mmとしている。なお、
ダイナミックダンパー装着後の重量は240g、バラン
ス点は380mmとなった。
【0059】(比較例2)ダイナミックダンパー20及
び取付部の位置は比較例1と同じであるが、テニスラケ
ットのトップ部分のカーボン繊維量を5g減らして成形
した。その結果、ダイナミックダンパー20の装着前の
ラケットの重量は216g、バランス点は366mmで
あり、装着後のラケットの重量は235g、バランス点
は373mmとなった。
【0060】(比較例3)ダイナミックダンパー20及
び取付部の位置は比較例1と同じであるが、ダイナミッ
クダンパーの取付部であるガット張架部11の3時と9
時の位置のカーボン繊維量を夫々6g減らして成形し
た。その結果、ダイナミックダンパー20の装着前のラ
ケットの重量は223g、バランス点は366mmであ
り、ダイナミックダンパー20の装着後のラケットの重
量は228g、バランス点は373mmとなった。
【0061】上記実施例1〜4及び、比較例1〜3のテ
ニスラケットに対して、それぞれ、面外2次および面内
3次の振動数、減衰比を測定し、かつ、テニスラケット
の振動に関する評価を行った。
【0062】(振動数、減衰比の測定)テニスラケット
の固有振動数及びその減衰比の測定方法を図11乃至図
13に示す。 各振動モードの最大振動幅位置に加速度ピ
ックアップ73を取り付け、 同様に最大振幅位置にイン
パクトハンマー71で加振した。ラケットフレーム10
0のガット張架部にはガットを張らず、図12、図13
で示される様に紐でつるす自由支持法により測定した。
インパクトハンマー71に取り付けたフォースピックア
ップで計測した入力振動(F) と加速度ピックアップ
73で計測した応答振動(α)をアンプ72と70を介
して周波数解析装置74( ヒューレットパッカード製
ダイミックシグナルアナライザーHP3562A)に
より解析した。これは、ラケットフレームの剛性が線形
性であると仮定した評価方法である。
【0063】上記解析で周波数領域での伝達関数を求め
て、ラケットフレームの面外2次振動数及び面内3次振
動数を得た。減衰比 (ζ) は図14から下記の数式に
よって求めた。
【0064】ζ= (1/2)× (Δω/ωn) To=Tn/√2
【0065】上記面外2次振動数とは、図12で示され
る様にテニスラケットを紐で吊るす自由支持状態にセッ
トし、裏からインパクトした場合に低周波から2つめに
現れるピークであり、図15(A)の未振動(変形前)
のテニスラケットTRに、図15(B)に示すように
(テニスラケットの側面図),面外2次モードの振動
(変形)が起こる場合の振動数である。上記面内3次振
動数とは図13で示される様にテニスラケットを紐で吊
るす自由支持状態にセットし、外側からインパクトした
場合に低周波から3つめに現れるピークであり、図16
(A)の未振動(変形前)のテニスラケットTRに、図
16(B)に示すように,面内3次モードの振動(変
形)が起こる場合の振動数である。
【0066】(振動に関する評価)上記実施例1〜4お
よび比較例1〜3のテニスラケットのフェイス面SにB
ABOLAT製ストリングス シントロニック700P
Aを縦501b、横451bで張って、30人の中級・
上級のプレーヤーに、ボールを打ってもらい、打球時の
振動の少なさについて5点満点で評価を行った。振動が
最も少ないものを「5」、振動が最も多いものを「1」
とした。30人の平均値を算出し、評価値とした。
【0067】上記実施例1〜4および比較例1〜3のダ
イナミックダンパーの重量、バランス点、面外2次の振
動数及び減衰比、面内3次の振動数及び減衰比、試打評
価(満足度、軽量感、振動の少なさ、面ぶれの少なさ)
を下記の表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】上記表2に示される様に、実施例1〜実施
例4と比較例1〜比較例3は振動に関する評価(面外2
次、面内3次の振動数及び減衰比)は同等であり、か
つ、面外2次と面内3次の減衰比が共に1%以上となっ
ているので、実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例3
の全てにおいて振動減衰性に優れていると言える。試打
評価は、実施例1において面ぶれの評価がやや劣るもの
の、全て普通(3)以上であり、満足度は実施例1〜実
施例4の方が比較例1に比べて高い評価であった。特
に、試打評価の軽量感に関する評価については、比較例
1が1.7点であるのに対して、実施例1〜実施例4は
3.8点〜4.6点の高評価を得ている。なお、比較例
2及び比較例3に関しては、軽量化のためにラケットの
カーボン繊維の量を減らしたため、試打評価中に破壊し
てしまった。
【0070】以上より、実施例の様に、横枠部と縦枠部
を格子状に配置したダイナミックダンパーを、(グリッ
プエンドを起点として)ラケット全長の15%以上35
%以下の位置に取り付けることにより、面外方向と面内
方向の両方向の振動減衰性に優れていると共に、プレー
ヤーの軽量感を向上させることができ、さらにラケット
の強度も維持できることが確認できた。
【0071】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、ダイナミックダンパーの装着位置をグリップ
側であるラケット全長の15%以上35%以下の位置と
しているので、プレーヤーがグリップを握った時の体感
重量へのダイナミックダンパーの重量の影響を低減し
て、軽量感を向上させることができる。また、ラケット
全長の15%以上35%以下の位置は、面外方向の振動
モードと面内方向の振動モードの腹となるので、効果的
に振動を抑止することができる。さらに、ダイナミック
ダンパーを上記シャフト部からグリップ部にかけた位置
で、厚み方向面と幅方向面に取り付けていることで、面
内方向の揺れと面外方向の揺れの両方向の振動を抑止
し、衝撃振動を十分に緩和低減することができる。
【0072】上記ダイナミックダンパーの取付部は厚み
方向と幅方向に凹凸を有する形状とすることにより、断
面四角形状や断面円形状のものよりも断面2次モーメン
トが大きくなり、曲げや捩れに対する剛性が高められ、
プレーヤーがフレーム中心軸から離れて打撃しても衝撃
特性やボールのコントロール性能が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のダイナミックダンパ
ーをラケットフレームに取り付けた状態の正面図であ
る。
【図2】 第1実施形態のダイナミックダンパーを示す
斜視図である。
【図3】 第1実施形態のダイナミックダンパーの
(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図であ
る。
【図4】 (A)は第1実施形態のダイナミックダンパ
ーの取付部を示す要部正面図、(B)は要部側面図、
(C)はダイナミックダンパーの取付後の断面図であ
る。
【図5】 (A)は第2実施形態のダイナミックダンパ
ーを取り付けた状態を示す要部拡大図、(B)はF−F
線断面図である。
【図6】 (A)は第3実施形態のダイナミックダンパ
ーを取り付けた状態の断面図、(B)は取付前の要部正
面図である。
【図7】 (A)(B)は第4実施形態のダイナミック
ダンパーを取り付けた状態の断面図である。
【図8】 (A)は図1のA−A線断面図、(B)はB
−B線断面図、(C)はC−C線断面図、(D)はD−
D線断面図、(E)はE−E線断面図である。
【図9】 比較例1のダイナミックダンパーを取り付け
た状態の正面図である。
【図10】 (A)は比較例1のダイナミックダンパー
の取付部を示す要部拡大図、(B)は断面図である。
【図11】 振動数、減衰比の測定システムを示すブロ
ック図である。
【図12】 振動数、減衰比の測定システムによる解析
における周波数と伝達関数の関係を示すグラフである。
【図13】 面外2次モードの振動に対する測定位置を
示す概略図である。
【図14】 面内3次モードの振動に対する測定位置を
示す概略図である。
【図15】 (A)(B)は、テニスラケットの面外2
次モードの振動を説明する模式図である。
【図16】 (A)(B)は、テニスラケットの面内3
次モードの振動を説明する模式図である。
【図17】 従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 ガット張架部 11 スロート部 12 シャフト部 13 グリップ部 20 ダイナミックダンパー 21 質量付加材 22 粘弾性材 23 横枠部 24 縦枠部 TR テニスラケット f ラケットフレーム g ガット S フェイス面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリップエンドからテニスラケット全長
    の15%以上35%以下の範囲にあたるグリップ部から
    シャフト部にかけた位置で、ダイナミックダンパーをラ
    ケットフレームに取り付け、 上記ダイナミックダンパーは粘弾性材と質量付加材とか
    らなり、 ラケットフレームの厚み方向と幅方向の両面
    に、上記粘弾性材を介して質量付加材を取り付け、ラケ
    ットフレームの幅方向の面内方向の振動と厚さ方向の面
    外方向の振動の両方を吸収させる構成としていることを
    特徴とするダンパーが装着されたテニスラケット。
  2. 【請求項2】 上記ダイナミックダンパーを取り付け
    て、ラケットのバランス位置(グリップエンドからラケ
    ットの重心位置までの寸法)を280mm〜400mm
    の範囲としている請求項1に記載のダンパーが装着され
    たテニスラケット。
  3. 【請求項3】 上記粘弾性材と質量付加材とはそれぞれ
    シート状として一体的に積層し、中空状の上記ラケット
    フレームの外面あるいは内面に取り付けている請求項1
    または請求項2に記載のダンパーが装着されたテニスラ
    ケット。
  4. 【請求項4】 上記ラケットフレームのダイナミックダ
    ンバーが取り付らける部分は、厚み方向と幅方向に凹凸
    を有する形状とし、凹部に上記ダイナミックダンパーを
    取り付けてラケットフレームの外面より突出させないと
    共にねじれ剛性を持たせた構成としている請求項1乃至
    請求項3のいずれか1項に記載のダンバーが装着された
    テニスラケット。
  5. 【請求項5】 上記ダイナミックダンパーの粘弾性材
    は、20℃、10Hzでの複素弾性率が0.3MPa以
    上1.5MPa以下、上記質量付加材は、20℃、10
    Hzでの複素弾性率が100MPa以上800MPa以
    下である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の
    ダンパーが装着されたテニスラケット。
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