JP2002047574A - 高性能無電解めっき法 - Google Patents

高性能無電解めっき法

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JP2002047574A
JP2002047574A JP2000227525A JP2000227525A JP2002047574A JP 2002047574 A JP2002047574 A JP 2002047574A JP 2000227525 A JP2000227525 A JP 2000227525A JP 2000227525 A JP2000227525 A JP 2000227525A JP 2002047574 A JP2002047574 A JP 2002047574A
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plating
reducing
mixed hydroxide
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Yutaka Tsuru
豊 津留
Yashichi Oyagi
八七 大八木
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ISHIKAWA KINZOKU KOGYO KK
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ISHIKAWA KINZOKU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラジウムの供給の不安定性や高価格問題を
解決するため、無電解めっきの触媒としてパラジウムを
全く使用しない新しいめっきプロセスを構築する高性能
無電解めっき法を提供する。 【解決手段】 混合水酸化物を触媒として非電導性物質
の表面に無電解めっきを行う高性能無電解めっき法であ
って、ニッケル及び銅の混合水酸化物を含むコロイド液
中にて、非電導性物質の表面に混合水酸化物を付与する
触媒付与工程と、この非電導性物質を強還元剤を有する
溶液中に投入し、混合水酸化物の還元処理を行う還元工
程と、この非電導性物質を、無電解めっき浴中に含有さ
れている還元剤と同一の還元剤を有する還元液に浸漬
し、非電導性物質の表面を還元液で洗浄する還元液洗浄
工程と、この非電導性物質を水洗することなく無電解め
っき浴中にてめっき処理するめっき工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非電導性物質の表
面に銅あるいはニッケル等の無電解めっき皮膜を形成す
る高性能無電解めっき法に関する。
【0002】
【従来の技術】めっき浴中に還元剤を含有させて行う無
電解めっき(化学めっきとも言う)は、ガラスなどの不
導体にも成膜が可能である他、プラスチックめっき、磁
気ディスク下地めっき、電磁波シールドなど多くの工業
部品に適用されている。無電解めっきされる金属の種類
としては、銅、ニッケルを始めとして、金、銀、コバル
ト、錫、パラジウム、その他これらの合金等多彩な範囲
に及んでいる。無電解めっきを行うにあたり、めっき速
度や被処理物に対するめっき密着性等は極めて重要な要
因であり、その性能は使用される触媒の特性に左右され
る。素地がプラスチックやセラミックスのような非電導
性物質の場合には、被処理物自体の触媒活性度が弱く、
高温度での処理も制約されることがあり、パラジウム金
属の優秀なる触媒作用が有効に活用されている。従っ
て、非電導性物質へのめっきの代表例であるABS(ア
クリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂を代表と
するプラスチックへのめっきは、このパラジウムを使用
して以下の方法で行われている。まず、ABS樹脂への
めっき工程は、(1)脱脂(洗浄)工程、(2)エッチ
ング(表面粗化)工程、(3)中和工程、(4)パラジ
ウム触媒付与工程、(5)パラジウム触媒活性化工程、
(6)無電解ニッケルめっき(めっき)工程、という前
処理工程を有している。なお、それぞれの工程が終了し
たABS樹脂は、工程の終了ごとに水洗され、次工程へ
と送られている。次に、この前処理工程が終了したAB
S樹脂は、電気めっき工程へと送られ、ABS樹脂の表
面には任意のめっき皮膜(例えば、銅、ニッケル、金、
銀、コバルト、錫、パラジウム、その他これらの合金
等)が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非電導
性物質の表面の触媒活性度を強くするために上記したパ
ラジウムを使用する場合、以下の問題がある。パラジウ
ムは、自動車排ガス浄化用触媒としても多用されてお
り、希少な元素で、資源として世界的にも偏在している
ため、非常に高価で価格安定性や供給安定性に乏しい存
在となっている。また、このような背景のもと、金や白
金をも凌ぐパラジウム価格暴騰に対する対応策として、
めっき処理工程にて、回収再利用する技術等が検討され
ているが、あくまで補助的手段に過ぎず、回収コスト等
を考慮すると抜本的解決策がない状況にある。本発明は
かかる事情に鑑みてなされたもので、パラジウムの供給
の不安定性や高価格問題を解決するため、無電解めっき
の触媒としてパラジウムを全く使用しない新しいめっき
プロセスを構築する高性能無電解めっき法を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る高性能無電解めっき法は、混合水酸化物を触媒とし
て非電導性物質の表面に無電解めっきを行う高性能無電
解めっき法であって、ニッケル及び銅の混合水酸化物を
含むコロイド液中にて、非電導性物質の表面に混合水酸
化物を付与する触媒付与工程と、触媒付与工程で混合水
酸化物が付与された非電導性物質を強還元剤を有する溶
液中に投入し、非電導性物質の表面に付与された混合水
酸化物の還元処理を行う還元工程と、還元工程後の非電
導性物質を、無電解めっき浴中に含有されている還元剤
と同一の還元剤を有する還元液に浸漬し、非電導性物質
の表面を還元液で洗浄する還元液洗浄工程と、還元液洗
浄工程後の非電導性物質を水洗することなく無電解めっ
き浴中にてめっき処理するめっき工程とを有する。この
ように、還元工程後の非電導性物質の表面を、無電解め
っき浴中に含有されている還元剤と同一の還元剤を有す
る還元液で洗浄し、更に還元液洗浄工程後の非電導性物
質を水洗処理することなくめっき工程へ送ることによ
り、非電導性物質の表面を水洗した場合に発生する還元
された混合水酸化物の酸化を防止することが可能とな
る。
【0005】ここで、本発明に係る高性能無電解めっき
法において、ニッケル及び銅の混合水酸化物を含むコロ
イド液は、ニッケル金属塩、銅金属塩、有機酸を有する
混合溶液に苛性ソーダ又は苛性カリを添加し、混合溶液
のpH値を6.0〜9.0の範囲に調節することが好ま
しい。これにより、非常に微細なコロイド状の混合水酸
化物を非電導性物質の表面に付着させることが可能とな
る。
【0006】
【発明の実施の形態】続いて、本発明を具体化した実施
の形態につき説明し、本発明の理解に供する。本発明の
一実施の形態に係る高性能無電解めっき法は、混合水酸
化物を触媒として非電導性物質の一例であるABS樹脂
からなる成形体(以降、成形体と言う)の表面に無電解
めっきを行う方法である。この高性能無電解めっき法
は、ニッケル及び銅の混合水酸化物を含むコロイド液中
にて、成形体の表面に混合水酸化物を付与する触媒付与
工程と、触媒付与工程で混合水酸化物が付与された成形
体を強還元剤の一例である水素化ホウ素ナトリウムを有
する溶液中に投入し、成形体の表面に付与された混合水
酸化物の還元処理を行う還元工程、還元工程後の成形体
を、無電解めっき浴中に含有されている還元剤と同一の
還元剤を有する還元液に浸漬し、成形体の表面を還元液
で洗浄する還元液洗浄工程と、還元液洗浄工程後の成形
体を水洗することなく無電解めっき浴中にてめっき処理
するめっき工程とを有している。なお、ニッケル及び銅
の混合水酸化物を含むコロイド液は、ニッケル金属塩、
銅金属塩、有機酸を有する混合溶液に苛性ソーダ又は苛
性カリを添加し、混合溶液のpH値を6.0〜9.0の
範囲に調節されている。以下、詳しく説明する。
【0007】まず、例えば射出成形機等を使用して、A
BS樹脂からなる所定の形状(例えば、円盤状、棒状、
平面視して矩形状等)に成形された成形体を製造する。
このように、射出成形機等を使用して成形した成形体の
表面には、例えば指紋、機械油、ほこり等が付着してい
るため、成形体の表面を例えば溶剤洗浄や非シリカ系の
アルカリクリーナ等を用いて洗浄し、更に水洗する(以
上、脱脂工程)。脱脂工程後、成形体の全表層部に均一
に1〜3μm程度の凹凸を形成すると共に極性基を残留
させ、触媒吸着特性とめっき密着性を確保するため、成
形体を例えば硫酸−クロム酸の混合溶液に浸漬した後、
水洗する(以上、エッチング工程)。従って、このエッ
チング工程はABS樹脂めっきにおいて必須の工程であ
る。
【0008】エッチング工程後、クロム酸等を成形体の
凹凸部から除去するため、例えば濃塩酸を使用し中和を
行い、その後水洗する(以上、中和工程)。次に、ニッ
ケル及び銅の混合水酸化物を含むコロイド液中に、成形
体を浸漬して、エッチング工程にて成形体の表面につけ
られた凹凸部や穴の内部まで混合水酸化物をむらなく吸
着させる。なお、浸漬条件としては、室温にて5〜20
分程度で十分である。コロイド液中に成形体を所定時間
浸漬した後、コロイド液中から成形体を取出し水洗する
(以上、触媒付与工程)。
【0009】水洗した成形体を、水素化ホウ素ナトリウ
ムを有する溶液中に投入し、成形体の表面に付与された
混合水酸化物の還元処理を行う。なお、水素化ホウ素ナ
トリウム溶液による還元処理としては、濃度を0.5〜
5.0g/リットル、温度を室温〜50℃、時間を2〜
20分の条件を適用する(以上、還元工程)。水素化ホ
ウ素ナトリウム溶液による混合水酸化物の還元処理後、
成形体の表面を水洗することなく、還元液に浸漬する。
この還元液は、後続する無電解めっき浴中に含まれてい
る還元剤と同一の還元剤を有するものを採用する。な
お、この還元剤は、無電解ニッケルめっきの場合、ホス
フィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)あるいは
ジメチルアミンボラン(DMAB)が使用され、無電解
銅めっきの場合、ホルムアルデヒドが使用されることが
多い。処理条件は、使用される還元剤の種類で異なる
が、概略的には、濃度5〜80g/リットル、温度30
〜80℃、時間2〜20分の条件を適用する(以上、還
元液洗浄工程)。
【0010】還元液洗浄工程後の成形体は、水洗処理す
ることなく無電解めっき浴中にてめっき処理する。ここ
で、無電解めっき浴は特に限定するものではなく、通常
の無電解めっき浴を使用する。なお、無電解めっきの代
表であるニッケルめっきの場合、無電解めっき浴はニッ
ケル塩と還元剤、緩衝剤、錯化剤、安定剤や改良剤等多
種の薬剤より構成されている。ニッケル塩としては硫酸
塩、塩化物が一般的であり、還元剤としてはホスフィン
酸ナトリウムあるいはジメチルアミンボラン、緩衝剤と
しては酢酸塩、錯化剤としてはクエン酸や酒石酸等の有
機酸、安定剤としては硫黄化合物や鉛イオン等が組合せ
て使用される。また、無電解銅めっきの場合、使用され
る薬剤の種類は、ニッケルめっきに使用したものと異な
るが、還元剤、緩衝剤、錯化剤、安定剤や改良剤等、基
本的にはニッケルめっきに使用したものと類似機能を有
する薬剤が選択して使用される(以上、めっき工程)。
【0011】前記したように、還元液に成形体を浸漬す
ることで、還元工程で還元処理された混合水酸化物は、
還元された状態を維持したまま後続する無電解めっき浴
中に含まれる還元剤と同一の還元剤で洗浄することが可
能となる。また、無電解めっき浴中に含まれる還元剤と
同一の還元剤で成形体を洗浄することにより、還元液洗
浄工程後の成形体を水洗処理することなく、後続するめ
っき工程へと送ることが可能となる。従って、水中に含
まれる溶存酸素によって、還元された混合水酸化物が酸
化される恐れが無くなる。また、無電解めっき浴中へ
の、還元工程の還元液の混入を防止することが可能とな
るため、無電解めっき浴の浴組成が変化する恐れがなく
なるので、無電解めっき浴の浴寿命を伸ばすことが可能
となる。
【0012】続いて、前記したニッケル及び銅の混合水
酸化物を含むコロイド液の製造方法について説明する。
このコロイド液の作製は、ニッケル金属塩、銅金属塩及
び有機酸を有する混合溶液の作製を第1段階とする。こ
こで、ニッケル金属塩としては、硫酸ニッケル、塩化ニ
ッケル、硝酸ニッケル等を水に溶かすか、酸化ニッケ
ル、炭酸水酸化ニッケル等の水不溶物を硫酸や塩酸等に
溶かして使用する。金属銅塩としては、塩化銅、硫酸
銅、硝酸銅等を水に溶かすか、炭酸水酸化銅等の水不溶
物を硫酸や塩酸等の酸に溶かして使用する。有機酸とし
ては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、酢酸、
乳酸、シュウ酸等のニッケルイオンと安定な可溶性錯体
を形成するものを1種又は2種以上組合せて使用する。
【0013】これらの金属塩と有機酸を適当な比率に混
ぜ、混合水酸化物を含むコロイド液を作製する基本溶液
とする。金属塩の濃度比率は、無電解めっきの種類によ
り異なり、ニッケル無電解めっきを対象とするときは、
モル比としてニッケル60〜90%、銅を40〜10%
の配分で添加し、銅無電解めっきを対象とするときは、
ニッケルを10〜40%、銅を90〜60%の配分で添
加する。また、有機酸濃度は、金属塩濃度との関連で決
定される。傾向として、有機酸濃度が高くなるにつれ
て、有機酸による錯化作用が大きくなり、生成するニッ
ケル及び銅のコロイド状の混合水酸化物の大きさが小さ
くなる傾向にある。但し、過剰な添加は、中性域におい
ても安定な錯体の形成をもたらし、水酸化物の形成を困
難とするため、適度な濃度比率を保つ必要がある。な
お、有機酸を適正濃度に調整するには、有機酸をモル濃
度にして、金属塩の0.2〜0.8倍程度の比率になる
ように添加することが好ましい。
【0014】ニッケル金属塩、銅金属塩及び有機酸を溶
かして作製された混合溶液は、pH値が酸性域にある。
このとき、ニッケル塩及び銅塩は、溶液に添加された有
機酸と錯体を形成しているが、苛性ソーダあるいは苛性
カリの添加によるpHの上昇と共に水酸化物に姿を変
え、非常に細かなコロイド状の混合水酸化物となる。微
細なコロイド状の混合水酸化物を形成させるためには、
苛性ソーダあるいは苛性カリの添加方法も重要な要因で
あり、なるべく時間をかけ、溶液を撹拌しながら少量ず
つ徐々に添加する必要がある。苛性ソーダあるいは苛性
カリ溶液は、特に規定するものではないが、1.0〜1
0モル/リットル程度のものを使用する。形成されるコ
ロイド状の混合水酸化物の大きさは、非常に重要な意味
を有している。なぜなら、混合水酸化物が成形体の表層
部に形成された微細な凹凸や穴の内部にまで浸入し吸着
することにより、めっきの微視的均一性やめっき密着性
を確保する作用を発揮するからである。
【0015】ここで、混合溶液のpH値を6.0〜9.
0の範囲に限定した理由について説明する。混合溶液に
苛性ソーダあるいは苛性カリを添加することで、混合溶
液のpH値が4.5以上に上がってくると、金属の溶解
度がなくなるため水酸化物が析出し、微細な沈殿が生成
する。このコロイド状の微細な沈殿物が混合水酸化物の
触媒の正体であるため、成形体に対するめっきの微視的
均一性やめっき密着性を確保することが可能な沈殿物の
作製の下限値として6.0とした。一方、pH値が9.
0より大きくなると沈殿物が大きくなり、成形体の表層
部に形成された微細な凹凸や穴の内部にまで浸入させる
ことが不可能となる。従って、pH値は6.0〜9.0
に調整することが好ましく、より良好な沈殿物を生成さ
せるには、pH値を6.5〜8.5、更には7.0〜
8.0に調整することが好ましい。
【0016】前記したように、パラジウム触媒を全く使
用しないプロセスでめっきされた製品は、ピール(剥
離)強度試験にて1.6〜2.0kg/cmのめっき密
着強度を有し、外観的にも優れた均一性を有し、パラジ
ウムを触媒とする従来工程品に比べ優るとも劣らない品
質を有するめっき皮膜を得ることができる。
【0017】
【実施例】本発明に係る高性能無電解めっき法を適用
し、試験を行った結果について説明する。(実施例1)
めっき用のABS樹脂を射出成形し、外径寸法50×4
0×25mmの直方体のタオル掛け用部品を得た。この
部品を以下に示す前処理工程にて処理することによりN
i−P化学めっき(Ni−P無電解めっきとも言う)を
試みた。 (1)部品を液温65℃のアルカリ溶液(NaOH:4
00g/リットル)に5分間浸漬し、部品の表面の洗浄
を行って、アルカリ溶液中から部品を取出し水洗する
(脱脂工程)。
【0018】(2)表面を洗浄し、水洗した部品を液温
65℃のエッチング液(CrO3 :400g/リット
ル、Cr23 :10g/リットル、H2 SO4 :40
0g/リットル)に5分間浸漬して、部品の表層部に凹
凸部を形成させた後、エッチング液中から部品を取出し
水洗する(エッチング工程)。 (3)この部品を液温を室温とした中和液(HCl:5
0ミリリットル/リットル)に5分間浸漬し、部品の表
層部に形成された凹凸部に残存するエッチング液を除去
し、水洗する(中和工程)。 (4)この水洗した部品の表面に混合水酸化物の触媒を
付与(触媒付与工程)する。(5)その後、液温30℃
の水素化ホウ素ナトリウム溶液(NaBH4 :1.5g
/リットル)に10分間浸漬する(還元工程)。(6)
更に液温60℃の還元液(NaH2 PO2 ・H2 O:2
5g/リットル)に10分間浸漬する(還元液洗浄工
程)。 (7)続いて、部品を液温60℃、pH5.4のNi−
P化学めっき浴(NiSO4 ・6H2 O:25g/リッ
トル、H2 NCH2 COOH:30g/リットル、Na
2 PO2 ・H2 O:20g/リットル)に120分間
浸漬させ、部品に化学めっきを行った後、水洗し(めっ
き工程)、(8)更に乾燥する(乾燥工程)。
【0019】上記したように、乾燥工程を含めて8工程
(水洗は工程数としてカウントせず)にて部品全面に均
一なNi−P化学めっき皮膜(Ni−P皮膜とも言う)
を得ることができた。Ni−P皮膜により表面電導性が
付与された部品を、乾燥工程後の工程として、液温が室
温の30%H2 SO4 に2分間浸漬させることで表面の
活性化を行い、水洗した(表面活性化工程)。この水洗
した部品を、液温30℃のめっき浴(CuSO4 ・5H
2 O:200g/リットル、H2 SO4 :50g/リッ
トル)を用い、電流密度を50mA/cm2 とした電気
銅めっきを行い、めっきの厚みが50μmの剥離強度試
験用サンプルを得た(電気銅めっき工程)。得られたサ
ンプルの表面に、10mm幅になるよう素地(ABS樹
脂)に達する2本の切り込みを入れ、銅めっきを90度
の角度で剥離する場合のピール強度を測定した。平均剥
離強度として1.9kg/cmが得られ、十分実用に供
し得るめっき密着性を有することが確認された。
【0020】なお、混合水酸化物を含む溶液は、以下の
方法で作製した。硫酸ニッケル(NiSO4 ・6H2
O)0.08モル/リットル、硫酸銅(CuSO4 ・5
2 O)0.01モル/リットル、及び酒石酸0.04
モル/リットルからなる水溶液を溶製し、この溶液を撹
拌しながら5NのNaOH溶液を少量ずつ滴下し、2時
間かけpH7.8に調整した。pH調整後の液は、水酸
化物の形成を示す白濁(薄青色も混じる)現象が生じ、
長時間放置しても沈殿しないことより、非常に微細なコ
ロイドを形成していることを示している。この液を高性
能無電解めっきの触媒付与工程で混合水酸化物触媒とし
て使用した。
【0021】(実施例2)めっき用のABS樹脂を射出
成形し、外径寸法50×40×25mmの直方体のタオ
ル掛け用部品を得た。この部品を以下の前処理工程にて
処理することにより無電解銅めっきを試みた。まず、実
施例1と全く同様の条件にて、脱脂、エッチング、中和
の3工程の処理を終えた後、部品を銅及びニッケル混合
水酸化物を含むコロイド溶液中に室温にて10分間浸漬
し、部品表面に水酸化物コロイドを吸着させた(触媒付
与工程)。水洗後、部品を、液温30℃の水素化ホウ素
ナトリウム溶液(NaBH4 :2.0g/リットル)に
10分間浸漬し(還元工程)、更にpH9.5に調整さ
れた液温30℃のホルマリン(HCHOの40%水溶
液:3ミリリットル/リットル)に10分間浸漬する
(還元液洗浄工程)。
【0022】この部品を水洗することなく、pH12.
5に調整された液温30℃の無電解銅めっき浴(CuS
4 ・5H2 O:7.5g/リットル、ロッシェル塩:
85g/リットル、HCHOの37%水溶液:25ミリ
リットル/リットル)に60分間浸漬し銅めっきを行っ
た後、部品を水洗し(めっき工程)、更に乾燥した(乾
燥工程)。その後は、実施例1の表面活性化工程以降と
全く同一の条件で部品を処理し、剥離強度試験用のサン
プルを得た。剥離強度試験の結果は、平均剥離強度とし
て2.1kg/cmが得られ、従来製品に優るとも劣ら
ないめっき密着性を有することが確認された。なお、混
合水酸化物を含む溶液の作製方法は、実施例1と同様で
あるが、硫酸ニッケルと硫酸銅の比率を変え、硫酸ニッ
ケル0.01モル/リットル、硫酸銅0.08モル/リ
ットルとした。
【0023】(比較例1)実施例1と同じ工程で処理を
行い、還元工程及び還元液洗浄工程を共に省略した工程
にてNi−P化学めっきを行った。めっき工程及び乾燥
工程が終了した後、部品表面を観察したところ、Ni−
P皮膜の形成が認められなかった。部品に後続する電気
銅めっきを試みたが、電導性はなく、電気めっきは不可
能であった。 (比較例2)実施例1と同じ工程で処理を行い、還元工
程のみを省略し、その他は実施例1の条件でめっき工程
まで行った。めっき工程の終了後、部品表面を観察した
ところ、Ni−P皮膜の形成が認められなかった。部品
に後続する電気銅めっきを試みたが、電導性は低く、電
気めっきは不可能であった。
【0024】(比較例3)実施例1と同じ工程で処理を
行い、還元液洗浄工程のみを省略した。めっき工程が終
了した後、部品表面を観察したところ、均一性はあまり
良くないがNi−P皮膜は形成されており、後続する電
気銅めっきも可能であり、しかもめっき密着性は1.9
kg/cmと優れたものであった。しかし、連続した処
理を行うと、部品に付着した強還元剤がNi−P化学め
っき浴中に持ち込まれ、更にこのめっき浴中で不純物と
して蓄積されるため、Ni−P化学めっき浴の浴寿命が
通常の1/4程度となった。 (比較例4)実施例2で用いた無電解銅めっき浴でめっ
きを行うに際し、還元液洗浄工程で還元剤を有する還元
液として液温が60℃の次亜リン酸ソーダ(NaH2
2 ・H2 O:25g/リットル)に部品を10分間浸
漬して還元液の洗浄を行った。その後、水洗処理するこ
となく、ホルムアルデヒドを還元剤とする無電解銅めっ
き浴にて銅めっきを試みた。無電解銅めっき後の外観は
均一性が悪く、無電解銅めっき浴への次亜リン酸ソーダ
の持ち込みによる浴寿命の劣化が起こった。以上の試験
からも、本発明は、パラジウム触媒をベースとして構成
されている従来の化学めっきのプロセスを革新する画期
的プロセスを提供するものであることが分かる。
【0025】以上、本発明を、一実施の形態を参照して
説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記
載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施
の形態や変形例も含むものである。例えば、前記実施の
形態においては、強還元剤として水素化ホウ素ナトリウ
ムを使用した場合について示したが、混合水酸化物を還
元できる強還元剤であれば他の還元剤、例えばジメチル
アミンボランを使用することも可能である。また、前記
実施の形態においては、脱脂工程で、成形体の表面を溶
剤洗浄や非シリカ系のアルカリクリーナ等を用いて洗浄
する場合について示したが、成形体の表面を洗浄できる
のであれば、他の脱脂方法を用いることも可能である。
前記実施の形態においては、エッチング工程で、成形体
の表層部に対して、凹凸部を付けると共に極性基を残留
させ、触媒吸着特性とめっき密着性を確保するため、成
形体を硫酸−クロム酸の混合溶液に浸漬した場合につい
て示した。しかし、上記した効果を得ることが可能であ
れば、他のエッチング方法を使用することも可能であ
る。そして、前記実施の形態においては、脱脂工程、エ
ッチング工程及び中和工程をそれぞれ実施した場合につ
いて示したが、必要に応じて各工程を省略することも可
能である。
【0026】更に、前記実施の形態においては、非電導
性物質の一例としてABS樹脂からなる成形体を使用し
た場合について説明した。しかし、非電導性物質であれ
ば、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、
ポリエステル樹脂等のエンジニアリングプラスチック
や、例えばポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹
脂(PES)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PP
S)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹
脂(PEI)、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリエー
テルエーテルケトン樹脂(PEEK)等のスーパーエン
ジニアリングプラスチック、そしてこのエンジニアリン
グプラスチックとスーパーエンジニアリングプラスチッ
クを混合したアロイポリマー、またガラス繊維やカーボ
ン繊維等を充填した強化プラスチック(FRP、CFR
P)からなる成形体でもよい。更に、非電導性物のセラ
ミックスからなる成形体として、例えばアルミナ、炭化
ケイ素、炭化チタン等の研削材料、ベアリング、機械部
品等に使用する機械的機能を有するセラミックスや、例
えばアルミナ、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化チタン等
の耐熱材料、断熱材料、電子部品等に使用する熱的機能
を有するセラミックス、そしてアルミナ、酸化ジルコニ
ウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素等のセンサ、コン
デンサ、バリスタ等の電子部品に使用する電気的機能を
有するセラミックスからなる成形体でもよい。なお、上
記した非電導性物質へめっき皮膜を形成させる場合、そ
れぞれの材料に適応した、脱脂工程、エッチング工程、
中和工程をそれぞれ行うことが好ましい。
【0027】
【発明の効果】請求項1及び2記載の高性能無電解めっ
き法においては、還元工程後の非電導性物質の表面を、
無電解めっき浴中に含有されている還元剤と同一の還元
剤を有する還元液で洗浄し、更に還元液洗浄工程後の非
電導性物質を水洗処理することなくめっき工程へ送る。
これにより、非電導性物質の表面を水洗した場合に発生
する還元された混合水酸化物の酸化を防止することが可
能となる。従って、パラジウム触媒を使用することなく
非電導性物質の表面の触媒活性度を強くできるため、無
電解めっきにより非電導性物質の表面にめっき皮膜を形
成することが可能となるので、経済性が良好となる。ま
た、パラジウムの原料供給や価格の安定性等の問題から
全く解放され、ポピュラーな原料でランニングコストの
安い安定生産が可能となる。特に、請求項2記載の高性
能無電解めっき法においては、非常に微細なコロイド状
の混合水酸化物を非電導性物質の表面に付着させること
が可能となる。従って、従来無電解めっきに用いている
非常にポピュラーで安価な硫酸銅や硫酸ニッケル、次亜
リン酸ソーダ、酒石酸等を使用することで、パラジウム
触媒を使用することなく、実用性に供し得るめっき密着
性を有しためっき皮膜を非電導性物質の表面に均一に形
成することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K022 AA04 AA13 AA14 AA31 AA34 AA41 BA08 BA14 CA02 CA03 CA15 DA01 DB01 DB02 DB03 DB06 DB07 DB30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合水酸化物を触媒として非電導性物質
    の表面に無電解めっきを行う高性能無電解めっき法であ
    って、ニッケル及び銅の混合水酸化物を含むコロイド液
    中にて、前記非電導性物質の表面に前記混合水酸化物を
    付与する触媒付与工程と、前記触媒付与工程で前記混合
    水酸化物が付与された非電導性物質を強還元剤を有する
    溶液中に投入し、該非電導性物質の表面に付与された前
    記混合水酸化物の還元処理を行う還元工程と、前記還元
    工程後の非電導性物質を、無電解めっき浴中に含有され
    ている還元剤と同一の還元剤を有する還元液に浸漬し、
    前記非電導性物質の表面を該還元液で洗浄する還元液洗
    浄工程と、前記還元液洗浄工程後の非電導性物質を水洗
    することなく前記無電解めっき浴中にてめっき処理する
    めっき工程とを有することを特徴とする高性能無電解め
    っき法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高性能無電解めっき法に
    おいて、前記ニッケル及び銅の混合水酸化物を含むコロ
    イド液は、ニッケル金属塩、銅金属塩、有機酸を有する
    混合溶液に苛性ソーダ又は苛性カリを添加し、該混合溶
    液のpH値を6.0〜9.0の範囲に調節することを特
    徴とする高性能無電解めっき法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007100164A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Alps Electric Co Ltd 触媒処理方法、無電解めっき方法および無電解めっき方法を用いた回路形成方法
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WO2018174146A1 (ja) * 2017-03-23 2018-09-27 東京エレクトロン株式会社 めっき処理方法、めっき処理装置及び記憶媒体

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