JP2002047178A - I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 - Google Patents
I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤Info
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Abstract
A)照射により真皮線維芽細胞において促進されるI型
マトリックスメタロプロテアーゼの産生に対し、特異的
且つ高い阻害活性を示し、皮膚の光老化の防止に有効な
I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤を得
る。 【解決手段】 スルフヒドリル基を有する化合物
及びジスルフィド結合を有する化合物(ただしリポ酸及
びその塩並びに誘導体を除く)より選択した1種又は2
種以上を担体に含有させる。前記化合物としては、L-シ
ステイン,D-システイン,DL-システイン,L-シスチ
ン,D-シスチン,DL-シスチン,酸化型グルタチオン,
還元型グルタチオン,及びこれらの塩並びに誘導体が好
ましく使用できる。
Description
VA)照射により真皮線維芽細胞において促進されるI
型マトリックスメタロプロテアーゼの産生を特異的に阻
害し得るI型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害
剤に関する。
るマトリックスメタロプロテアーゼと病態との関係につ
いて、多くの知見が得られている。真皮においては、紫
外線照射により線維芽細胞におけるI型マトリックスメ
タロプロテアーゼの産生が誘導され、その結果、真皮細
胞外マトリックスの主成分であるコラーゲンの分解が促
進され、しわの形成や弾性の低下といった皮膚の老化が
進行することが知られている。
を改善し、或いは防止するべく、紫外線吸収剤や散乱剤
の皮膚外用剤への配合や、紫外線照射により生じる活性
酸素種の消去作用を有する物質のスクリーニングが盛ん
に行われてきた。それと同時に、上記したようなコラー
ゲンの分解に関与するI型マトリックスメタロプロテア
ーゼの活性を阻害する物質のスクリーニングも行われて
いる。
(特開平7−101925)、ザクロ実,レモンバーム
実及び葉,グアバ,ハマメリスといった植物の抽出物
(特開平7−196526,同7−291873,同8
−283133)、ポリポレン酸及びこれを含有するホ
ウロクタケ抽出物(特開平9−40552)、ジカルボ
ン酸(特開平9−124472)、アスペルギルス属微
生物の産生物質(特開平9−241287)などが開示
されている。
トリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の中には、細菌性
のコラゲナーゼ等に対し強い活性を示し、間質系のI型
マトリックスメタロプロテアーゼに対する特異性の低い
ものや、阻害活性の十分でないもの、安定性に欠けるも
のも存在していた。
は、紫外線、特にUVA照射により真皮線維芽細胞にお
いて促進されるI型マトリックスメタロプロテアーゼの
産生に対し、特異的且つ高い阻害活性を示すI型マトリ
ックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤を得ることを目的
とした。
種々検討した結果、スルフヒドリル基を有する化合物、
又はリポ酸以外のジスルフィド結合を有する化合物が、
UVA照射により促進される真皮線維芽細胞におけるI
型マトリックスメタロプロテアーゼ産生に対し、特異的
な阻害作用を示すことを見いだし、本発明を完成するに
至った。
する化合物及び、リポ酸及びその塩並びに誘導体以外の
ジスルフィド結合を有する化合物より選択した1種又は
2種以上を、担体に含有させてI型マトリックスメタロ
プロテアーゼ産生阻害剤とする。
リル基を有する化合物としては、L-システイン,D-シス
テイン,DL-システイン,L-ホモシステイン,D-ホモシ
ステイン,DL-ホモシステイン,システアミン,ジヒド
ロリポ酸,システイニルグリシン,補酵素A,還元型グ
ルタチオン,還元型メタロチオネイン,還元型チオレド
キシン等が挙げられ、ジスルフィド結合を有する化合物
としては、L-シスチン,D-シスチン,DL-シスチン,L-
ホモシスチン,D-ホモシスチン,DL-ホモシスチン,酸
化型グルタチオン,酸化型メタロチオネイン,酸化型チ
オレドキシン等が挙げられる。さらにこれらのアルカリ
金属塩,塩酸塩,硫酸塩,酢酸塩,乳酸塩,アンモニウ
ム塩といった塩や、アルキル又はアルケニルエステル,
コレステリルエステル,ホスファチジルエステル,アミ
ド,配糖体などの誘導体をも用いることができる。本発
明においては、前記スルフヒドリル基を有する化合物及
び、リポ酸及びその塩並びに誘導体以外のジスルフィド
結合を有する化合物より、1種又は2種以上を選択して
用いる。
び、リポ酸及びその塩並びに誘導体以外のジスルフィド
結合を有する化合物の中でも、L-システイン,D-システ
イン,DL-システイン,L-シスチン,D-シスチン,DL-シ
スチン,酸化型グルタチオン,還元型グルタチオン及び
これらの塩並びに誘導体が、I型マトリックスメタロプ
ロテアーゼ産生阻害作用の点から、好ましく使用でき
る。
を有する化合物及び、リポ酸及びその塩並びに誘導体以
外のジスルフィド結合を有する化合物より選択した1種
又は2種以上を担体に含有させて、I型マトリックスメ
タロプロテアーゼ産生阻害剤とする。担体としては、
水、エタノール,プロパノール,ブタノール等低級アル
コールなどの極性有機溶媒、これらの混合液といった液
状担体、各種乳濁液、各種クリーム基剤、軟膏基剤、ゲ
ル、粉体などが用いられる。従って、本発明に係るI型
マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤は、ローシ
ョン剤,懸濁剤,乳剤,クリーム剤,軟膏剤,ゲル剤,
粉末剤,散剤,顆粒剤等の形態で提供することができ
る。また、リポソームやマイクロカプセルに内包させた
状態とすることもできる。なお、本発明に係るI型マト
リックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤には、本発明の
特徴を損なわない範囲で、抗酸化剤,防菌防黴剤,紫外
線吸収剤等の安定化剤や、吸収促進剤等を添加すること
もできる。
テアーゼ産生阻害剤における、スルフヒドリル基を有す
る化合物及び、リポ酸及びその塩並びに誘導体以外のジ
スルフィド結合を有する化合物より選択した1種又は2
種以上の含有量は、用いる担体の種類及び剤型により異
なるが、0.0001重量%〜1.0重量%程度とする
のが適切である。
説明する。
スメタロプロテアーゼ産生阻害剤L-システイン,還元型
グルタチオン,酸化型グルタチオンをそれぞれ10mM
となるように精製水に溶解して、実施例1,実施例3,
実施例4とし、L-シスチンを10mMとなるように9
9.5容量%エタノールに溶解して、実施例2とし、グ
ルタチオンエチルエステルを10mMとなるように50
容量%エタノール水溶液に溶解して、実施例5とした。
Aを照射した際のI型マトリックスメタロプロテアーゼ
産生に対する阻害効果を次のようにして評価した。ま
ず、ヒト線維芽細胞を2×104個/ウェルとなるよう
に96穴プレートに播種し、牛胎仔血清5(w/v)%を添
加したダルベッコ基礎培地(DMEM)にて、37℃で
24時間培養した。Hanks(+)液で洗浄した後、培
地を、各最終濃度の試料を含むHanks(+)液0.1
mlに交換し、40J/cm2のUVAを照射した。次
いでHanks(+)液で洗浄し、培地を0.1(w/v)%牛
血清アルブミンを含有するDMEMに交換して37℃で
24時間培養した後、生細胞数を計測し、培地上清中の
I型マトリックスメタロプロテアーゼ活性を測定した。
また比較のため、代表的な抗酸化剤であるビタミンEに
ついても、同様に評価を行った。
テアーゼ活性は、最終濃度0.04mg/mlのトリプ
シンを添加して37℃で15分間インキュベートした
後、最終濃度0.2mg/mlの大豆トリプシン阻害剤
を添加し、これについて、フルオレセインイソチオシア
ネート(FITC)で標識したI型コラーゲンを基質と
して用いて測定した。すなわち、0.25mg/mlの
FITC標識I型コラーゲンを含有する50mMトリス
塩酸緩衝液(pH7.5、0.2M塩化ナトリウム,5
mM塩化カルシウム及び0.02(w/v)%アジ化ナトリ
ウムを含む)50μlを、前記トリプシン処理した培地
上清50μlに加え、遮光下にて37℃で2時間反応さ
せた。次いで40mMのο-フェナントロリン(phenant
hroline)5μlを加えて反応を停止した後、37℃に
て30分間コラーゲンの変性処理を行い、エタノールと
0.17Mトリス塩酸緩衝液(pH9.5、0.67M
塩化ナトリウムを含む)との容量比7:3の混合液50
μlを添加し、変性されたコラーゲンのみを抽出した。
2,000rpmで15分間遠心分離し、上清の蛍光強
度を励起波長495nm,蛍光波長520nmで測定し
た。
濃度(各実施例に含まれるスルフヒドリル基を有する化
合物もしくはジスルフィド結合を有する化合物の最終濃
度で示す)と、I型マトリックスメタロプロテアーゼ活
性との関係を、それぞれ表1〜表5に示した。また、試
料を添加しない場合の前記酵素活性を100として示し
たI型マトリックスメタロプロテアーゼ産生インデック
スについても、各表中に併せて示した。ビタミンEにつ
いては、表6に示した。
系では、40J/cm2のUVAを照射することによ
り、培地中に産生,分泌されたI型マトリックスメタロ
プロテアーゼは40倍〜60倍近くに増加することが認
められる。しかしながら、実施例1添加系ではL-システ
イン濃度にして0.0625mMで約30%まで、0.
25mM〜1mMで16〜18%までI型マトリックス
メタロプロテアーゼの産生が抑制されていた。実施例2
添加系では、L-シスチン濃度にして0.25mMで27
%まで、実施例3添加系では、還元型グルタチオン濃度
にして0.25mMで64%まで、実施例4添加系で
は、酸化型グルタチオン濃度にして0.25mMで60
%まで、1mMで50%まで、実施例5添加系では、グ
ルタチオンエチルエステル濃度にして0.0625mM
〜0.25mMでほぼ60%まで、1mMでほぼ50%
までI型マトリックスメタロプロテアーゼの産生が抑制
されていた。これに対し表6より明らかなように、抗酸
化剤であるビタミンEについては、同じ濃度範囲で有意
なI型マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制効果は
認められていなかった。
ル基を有する化合物もしくはジスルフィド結合を有する
化合物について、50%阻害濃度(IC50値)を算出し
た結果を表7に示した。
るスルフヒドリル基を有する化合物もしくはジスルフィ
ド結合を有する化合物のうちでは、L-システインが最も
低濃度で有効であることが示される。還元型グルタチオ
ン,酸化型グルタチオン及びグルタチオンのエチルエス
テルについては、いずれもほぼ同程度のI型マトリック
スメタロプロテアーゼ産生阻害作用が認められていた。
スメタロプロテアーゼ産生阻害剤について以下に示す。
し、70℃に保つ。一方、(7)〜(11)の水相成分を混
合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に
前記油相成分を撹拌しながら徐々に添加して乳化し、冷
却する。
て添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、(6)を添加,混
合する。
し、75℃に保つ。一方、(8)〜(10)の水相成分を混
合,加熱して均一とし、75℃とする。この水相成分に
前記油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサー
にて均一に乳化し、冷却後40℃にて(11)を添加,混合
する。
て70℃とし、油相とする。一方、(7)を(6)に溶解して
(8)に加えて混合し、70℃に加熱する。前記油相に水
相を添加し、ホモジナイザー処理して乳化後冷却する。
75℃に加熱する。一方、(6)を(7)に溶解して75℃に
加熱し、これに前記油相成分を添加して乳化し、冷却後
40℃にて(8)を添加,混合する。
(3)を添加して55℃で懸濁し、次いで超音波処理して
リポソームを調製し、遠心分離により回収する。
使用試験によりUVAに起因する光老化に対する防止効
果を評価した。実使用試験は、日常戸外で作業する20
才〜50才代の男女パネラー20名を1群とし、各群に
4月〜7月の4カ月間、1日2回実施例及び比較例のそ
れぞれをブラインドにて使用させて行った。なお比較例
1〜比較例7は、実施例6〜実施例12において、スル
フヒドリル基を有する化合物及びジスルフィド結合を有
する化合物のすべてを没食子酸ナトリウムに代替して調
製した。実施例12及び比較例7については、リポソー
ム15gを精製水85gに分散して使用させた。
使用試験開始前及び使用試験終了後の皮膚のしわ及び皮
膚弾性を比較して評価した。皮膚のしわは写真撮影及び
皮膚表面のレプリカの画像解析により評価し、皮膚弾性
はキュートメーターを用いた測定結果により評価した。
皮膚のしわ及び皮膚弾性について、使用試験終了後に改
善が見られたかどうかを判断し、皮膚のしわについては
「改善」,「やや改善」,「変化なし」,「やや悪
化」,「悪化」の5段階で、皮膚弾性については「向
上」,「やや向上」,「変化なし」,「やや低下」,
「低下」の5段階で評価し、各評価を得たパネラー数に
て表8に示した。
施例使用群では、いずれにおいても皮膚のしわの悪化傾
向及び皮膚弾性の低下傾向を認めたパネラーは存在せ
ず、皮膚のしわについては45%以上のパネラーで改善
傾向が認められ、皮膚弾性については65%以上のパネ
ラーで向上傾向が認められていた。これに対し、本発明
の実施例において含まれるスルフヒドリル基を有する化
合物及びジスルフィド結合を有する化合物のすべてを、
抗酸化剤である没食子酸ナトリウムに代替した比較例使
用群では、皮膚のしわ及び皮膚弾性について明確な改善
もしくは向上を認めたパネラーは存在せず、皮膚のしわ
については35%以上のパネラーで悪化傾向を認めてお
り、皮膚弾性については45%以上のパネラーで低下傾
向を認めていた。
VA照射により誘導されるI型マトリックスメタロプロ
テアーゼの産生が阻害された結果、真皮細胞外マトリッ
クスの構成成分であるコラーゲンの分解が有効に抑制さ
れて、皮膚のしわの増加や皮膚弾性の低下といった光老
化現象が良好に抑制されたと考えられる。一方、抗酸化
剤を配合した比較例使用群では、かかる効果は十分には
認められなかった。
外線、特にUVA照射により真皮線維芽細胞において促
進されるI型マトリックスメタロプロテアーゼの産生に
対し、特異的且つ高い阻害活性を示すI型マトリックス
メタロプロテアーゼ産生阻害剤を得ることができ、これ
により、皮膚の光老化を有効に防止することが可能とな
った。
Claims (2)
- 【請求項1】 スルフヒドリル基を有する化合物及びジ
スルフィド結合を有する化合物(ただしリポ酸及びその
塩並びに誘導体を除く)より選択した1種又は2種以上
を含有して成る、I型マトリックスメタロプロテアーゼ
産生阻害剤。 - 【請求項2】 スルフヒドリル基を有する化合物及びジ
スルフィド結合を有する化合物が、L-システイン,D-シ
ステイン,DL-システイン,L-シスチン,D-シスチン,D
L-シスチン,酸化型グルタチオン,還元型グルタチオ
ン,及びこれらの塩並びに誘導体であることを特徴とす
る、請求項1に記載のI型マトリックスメタロプロテア
ーゼ産生阻害剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000235144A JP2002047178A (ja) | 2000-08-03 | 2000-08-03 | I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000235144A JP2002047178A (ja) | 2000-08-03 | 2000-08-03 | I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002047178A true JP2002047178A (ja) | 2002-02-12 |
Family
ID=18727407
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000235144A Pending JP2002047178A (ja) | 2000-08-03 | 2000-08-03 | I型マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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