JP2002045663A - 水素選択透過性部材の製法 - Google Patents

水素選択透過性部材の製法

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雅也 得平
Yoshio Henmi
義男 逸見
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俊樹 佐藤
Hiroyuki Morimoto
啓之 森本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質体の表面全域に亘って均一且つ緻密な
水素選択透過膜を形成することができ、水素以外のガス
成分のリークを阻止して高純度の水素を分離取得し得る
様な水素選択透過性部材の製法を提供すること。 【解決手段】 多孔質体の表面に、水素を透過する金属
または合金からなる薄膜をコーティング形成し、該薄膜
の表面に研磨処理を施し、あるいは更にその上に水素透
過膜を追加形成する工程を少なくとも1回以上繰り返
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種混合ガスから
水素のみを選択的に高効率で分離することのできる水素
透過性部材を工業的に効率よく製造し得る様に改善され
た方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】省エネルギー型分離技術として、近年、
選択透過膜を用いた気体の分離法が注目を集めている。
例えば、水素を含む混合気体から水素を選択的に分離し
て高純度の水素を得る方法として、多孔質体の表面にP
dなどの水素透過膜を形成した水素透過部材を使用する
方法が知られている。
【0003】その水素選択透過性部材に用いられている
多孔質体としては、粉末を焼結した金属あるいはセラミ
ックス、金属不織布や発泡メタル、金属バルクに細孔を
形成したものなどが用いられている。また水素選択透過
膜の形成法としては、スパッタリング法、アークイオン
プレーティング法(以後、AIP法と略記する)、めっ
き法、溶射法、あるいは圧延箔を貼付する方法などが採
用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の様な方法によっ
て製造される水素選択透過性部材の水素選択透過膜は、
水素以外のガス成分の透過は確実に阻止し、水素のみを
効率よく選択透過するものでなければならないので、非
常に綴密で且つ薄いものが要求される。
【0005】こうした要求を一応満たすものとして、例
えば「三菱重工技法」Vol.33,No.4(199
4)p.235には、多孔質体の表面に無電解めっき法
で20μmの膜を形成することにより、99.99%以
上の純度の水素を得たことが報告されている。しかしな
がら無電解めっきのみでは、厚さが20μmよりも薄く
て且つ緻密な膜を得ることは極めて難しい。
【0006】そこで、該薄膜を織密化するための方法と
して例えば特開平5−85702号公報には、該薄膜に
しごき処理を加えたりショットブラスト処理を施す方法
を提案している。しかし、それらの方法のみで薄膜全体
に均一な処理を施すことは極めて困難であり、全面を均
一な緻密化状態にすることは容易でない。その結果とし
て、薄膜の緻密度不足部位で水素以外のガス成分のリー
クが起こり、分離取得される水素の純度が低下するとい
う致命的な問題が生じてくる。
【0007】本発明は上記の様な事情に着目してなされ
たものであって、その目的は、多孔質体の表面全域に亘
って均一且つ緻密な水素選択透過膜を形成することがで
き、水素以外のガス成分のリークを阻止して高純度の水
素を分離取得し得る様な水素選択透過性部材の製法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の製法とは、 多孔質体の表面に、水素を透過する金属または合金か
らなる薄膜をコーティング形成し、該薄膜の表面に研磨
処理を施し、 多孔質体の表面に、水素を透過する金属または合金か
らなる薄膜をコーティング形成し、該薄膜の表面に塑性
変形を施した後、更にその上に水素透過膜をコーティン
グ形成する工程を少なくとも1回以上行ない、或いは 多孔質体の表面に水素を透過する薄膜を気相法によっ
てコーティング形成し、更にその上に、気相法により上
記とは異なる条件で薄膜をコーティング形成する工程を
少なくとも1回以上行なうところに要旨を有している。
【0009】本発明では、上記処理を施すことによって
該薄膜表面の緻密度を高め、水素以外のガス成分のリー
クを阻止するもので、薄膜形成のために採用されるコー
ティング形成法としては気相法、特にAIP法が好まし
く、また薄膜表面を塑性変形させる方法としては研磨処
理法が最適の方法として推奨される。
【0010】多孔質体の表面にコーティング薄膜を多層
に形成することにより水素選択透過性を高める場合に
は、最初に形成する薄膜の形成条件とは異なる条件で、
その上に薄膜をコーティング形成し、多層コーティング
薄膜における夫々の結晶の性状や成長方向を積極的に変
えれば、多層コーティング膜全体としての水素選択透過
性を一段と高めることができるので好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明では、多孔質体
の表面に水素透過膜をコーティング形成して水素選択透
過性部材を製造する際に、薄膜形成後に研磨加工を施
し、あるいは該薄膜に塑性変形を加えてから更にその上
に薄膜形成を行なう作業を少なくとも1回以上繰り返
し、この際、好ましくは異なる薄膜形成条件で複数回の
成膜処理を施すことにより、例えば20μm以下といっ
た薄膜であっても極めて緻密で水素選択透過性に優れた
部材を提供可能にしたものである。
【0012】即ち従来技術では、先に説明した如く薄膜
形成後にしごき処理やブラスト処理を施すことによって
緻密度を高める方法は知られていたが、これらの方法で
は、コーティング形成された薄膜を全面に亘って均一に
緻密化することは困難であり、特に20μm以下といっ
た薄膜のもので万遍なく均一に緻密化することは殆ど不
可能であった。
【0013】そこで本発明者らは、様々の薄膜綴密化法
について鋭意研究を重ねた結果、研磨法を採用すれば、
薄膜全体に渡って均一にむらなく塑性加工を施すことが
でき、それにより全面を均等に緻密化し得ることに成功
したものである。
【0014】なお該研磨処理によって薄膜の一部は当然
に研削されるが、同時に薄膜表面の微細な凹凸部に効果
的に塑性加工を与えることができ、その現象を利用する
ことにより、薄膜を均一に緻密化し得たのである。この
際に適用される研磨処理には湿式法と乾式法を採用する
ことができるが、本発明では乾式法を採用することが望
ましい。その理由は、乾式法を採用することによって研
磨部を局所的に高温にすることができ、それにより薄膜
表面の微細凹凸をより効率よく塑性変形させることがで
き、延いては研磨処理による緻密度向上効果をより効果
的に発揮させることができるからである。
【0015】上記研磨処理により薄膜が緻密化する現象
について更に詳細に説明すると、まず、粗い番手の研磨
剤を用いて研磨すると、薄膜表面に微細な凹凸が形成さ
れると共に膜表面は塑性変形し、成膜工程で生じていた
微細空隙(ピンホールなど)の一部が埋められる。その
後、最初に用いた番手よりも細番手の研磨剤を用いて研
磨を行なうと、最初の粗研磨で薄膜表面に形成された凸
部が研磨力により塑性変形して引き延ばされ、更に薄膜
表面に存在する隙間を埋める。次いで更に細かい番手の
研磨材で研磨を行ない、こうした作業を粗番手のものか
ら細番手の研磨材を用いて繰り返し実施することによ
り、薄膜表面の凹凸を次第に微細化すると共に最初の薄
膜に存在していた空孔欠陥(ピンホールなど)を全て埋
め尽くし、極めて緻密度の高い膜に改質できるのであ
る。
【0016】従って本発明で成膜後に行なわれる研磨処
理は、粗番手のものから順次細番手の研磨材を用いて多
段階に行なうことが望ましく、また研磨処理による薄膜
の研削量を少なく抑えるうえでは、最初に用いる研磨材
として番手が#1200以上のものを使用し、その後、
順次細番手の研磨材を用いて多段研磨することが望まし
い。
【0017】但し最初に用いる研磨材の番手は、薄膜の
厚さや薄膜構成素材の種類(例えば、Pd系、Ti系、
Zr系、V系、Nb系、Ta系などの如き水素を透過す
る金属またはそれらの合金)、薄膜の初期表面性状など
も考慮して最適番手のものを使用することが望まれる。
最終研磨に用いる研磨材の番手は可能な限り細番手のも
のを使用するのがよく、好ましくは少なくとも#400
0程度のものを使用するのがよい。また、初期研磨から
最終研磨に至るまでの研磨材の番手も、薄膜の厚さや薄
膜構成素材の種類、薄膜の初期状態などを考慮して最適
のものを選択使用するのがよい。
【0018】該研磨に用いる砥粒の種類も特に制限され
ないが、好ましいものとしては、SiO2やSiC、ア
ルミナなどのセラミックス粉末が例示される。
【0019】上述した様に本発明によれば、製膜後の研
磨処理によって薄膜の緻密度を大幅に改善できるが、該
研磨処理を施した緻密薄膜の上に更に水素透過性薄膜を
コーティング成形してから研磨処理を施し、或いは更に
この操作を繰り返して多層構造の薄膜を形成すれば、全
体としての薄膜の緻密度を一段と高めることができ、水
素以外のガス成分のリークを一層確実に阻止してより高
レベルの水素選択透過性能を与えることができる。
【0020】この様に薄膜を多層構造とすることによっ
て緻密度が更に高められる理由は下記の通りである。即
ち、製膜後の研磨処理によって前述の如くピンホール欠
陥などを効果的に埋めてリーク間隙を低減できるが、初
期の成膜状態によっては該研磨処理で欠陥を完全に埋め
きれないこともあり、研磨処理後も残留する貫通空隙が
ごく少量であっても、他成分ガスのリーク原因となって
水素選択透過性を著しく阻害する。しかし、製膜後の研
磨処理による塑性変形によって貫通空隙を埋めた後、更
にその上に成膜してから研磨処理を施すと、前記貫通空
隙を塞ぐ形で膜の成長が起こることになり、膜全体とし
ての貫通空隙がより確実にふさがれて緻密度が一段と高
められるからである。従って、成膜を多段に行なう場合
は、最初に形成した薄膜を研磨処理することなく、その
上に薄膜を多層上に形成するだけでも緻密度を大幅に高
めることが可能となる。
【0021】薄膜を上記の様に多層構造とする際の各層
成膜後に好ましく行なわれる塑性変形の導入は、必ずし
も研磨に限られるものではなく、ブラストやしごき加工
を採用することも可能である。またこの場合も、前記と
同様の考え方で、成膜条件を変えて新たな結晶成長を起
こさせ、貫通するリーク間隙隙間を遮断することが有効
となる。即ち、1回目の成膜した上に、新たな結晶成長
が起こる条件で更に成膜を行うのである。こうした新た
な結晶成長を起させるための手段としては、バイアスや
基盤温度を変える方法が例示される。
【0022】そして、上述した成膜−塑性変形−成膜あ
るいは成膜−成膜の操作を多数回繰り返すほど、膜の緻
密性を高めることができる。この様な操作で新たな結晶
成長を起こさせるために継ぎ足した膜の界面は、例えば
SIM像(図面代用写真1参照)などによって確認でき
る。
【0023】本発明で薄膜の形成に採用されるコーティ
ング法としては、AIP法やスパッタリング法などの気
相法、あるいは無電解めっき法の如き湿式法を採用でき
るが、中でも特に好ましいのは気相法、とりわけAIP
法である。しかしてAIP法であれば、特に多層構造の
薄膜を形成する際に、例えばバイアスや基板温度の変更
などにより新たな結晶の成長を容易に起こさせることが
でき、積層による緻密化を一層効果的に発揮させること
ができるからである。
【0024】また、本発明において支持層となる多孔質
体の種類にも格別の制限はないが、好ましいものとして
は、金属やセラミックスの粉末や不織布などを圧縮、焼
結した焼結金属やセラミックス、発泡金属や金属箔、金
属バルクなどに細孔を形成したものなどが、用途に応じ
て任意に選択して使用できる。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0026】実施例1 直径35mm、厚さ2mmのSUS410L製多孔質管
(相対密度75%)の外面に、Pd−23%Agからな
る厚さ10μmの薄膜をAIP法によってコーティング
形成し、次いで、該薄膜の表面を研磨処理して緻密化し
た。研磨処理には、番手が#2000、#3000、#
4000の3種の研磨剤を粗いものから順次使用し、3
段階で研磨処理を行なった。また比較材として研磨無し
の試料を準備した。
【0027】得られた2つの試料を、水素透過測定装置
の試験用セルにセットし、50%H 2−50%Heガス
を用いて、550℃の環境下でガス入り側と出側の差圧
を1気圧として水素選択透過性を評価したところ、研磨
を行なった本発明材では純度99.99%水素が得られ
たのに対し、無研磨の比較材では純度99.90%の水
素しか得られなかった。
【0028】実施例2 直径35mm、厚さ2mmのSUS410L製多孔質管
(相対密度75%)の外面に、厚さ5μmのPd−23
%Ag膜をスパッタリング法により成膜した後、研磨処
理を行なって膜を綴密化した。研磨材としては番手#3
000と#4000の2種を使用した。また、比較材と
して無研磨の試料を準備した。
【0029】得られた各試料を前記と同じ水素透過測定
装置の試験用セルにセットし、同様の条件で水素選択透
過性を評価したところ、研磨を行なった本発明材では純
度99.99%水素が得られたのに対し、無研磨の比較
材では純度99.50%の水素しか得られなかった。
【0030】実施例3 直径35mm、厚さ2mmのアルミナ多孔質管(用いた
アルミナ粉末の平均粒径は1μm、相対密度は70%)
の外面に、厚さ5μmのPd−23%Ag膜をスパッタ
リング法により成膜し後、研磨処理によって膜に塑性加
工を施した。研磨材としては、番手#3000と#40
00のものを2種使用した。また、比較材として無研磨
の試料を準備した。
【0031】得られた2つの試料を、前記と同様の水素
透過測定装置の試験用セルにセットして同様の条件で水
素透過性を評価したところ、スパッタリング膜+研磨処
理を行なった実施例材では、純度99.99%の水素が
得られたのに対し、スパッタリング処理のみの比較材で
は、純度99.50%の水素しか得られなかった。
【0032】実施例4 直径35mm、厚さ2mmのSUS410L製多孔質管
(相対密度75%)の外面に、厚さ5μmのPd−23
%Ag膜をAIPにより成膜した。その後、研磨処理に
よって膜に塑性加工を施した。研磨材としては、番手#
1600のものを使用した。研磨処理した薄膜の更にそ
の上に、上記と同様にして厚さ5μmのPd−23%A
g膜をAIPにより追加成膜し、トータル膜厚を8μm
とした。また、比較材として連続AIPにより厚さ8μ
mのPd−23%Ag膜を形成した試料を準備した。
【0033】得られた2つの試料を、前記と同様の水素
透過測定装置の試験用セルにセットして同様の条件で水
素透過性を評価したところ、AIP膜+研磨処理+AI
P処理を行なった実施例材では、純度99.999%の
水素が得られたのに対し、連続AIP皮膜形成のみを行
なった比較材では、純度99.90%の水素しか得られ
なかった。
【0034】実施例5 前記実施例で用いたのと同じ多孔質管の外面に、厚さ5
μmのPd−23%Ag膜をAIPにより成膜した。そ
の後、ブラスト処理によって膜に塑性加工を施した。ブ
ラスト処理には、平均粒径100μmのアルミナビーズ
を用い、圧力は3kg/cm2で行った。該ブラスト処
理面上に、更に上記と同様にして厚さ5μmのPd−2
3%Ag膜をAIPにより追加成膜し、トータル膜厚を
9μmとした。また、連続AIP処理により厚さ9μm
のPd−23%Ag膜をAIP法により成膜し、比較材
とした。
【0035】得られた2つの試料を、前記と同じ水素透
過測定装置の試験用セルにセットし、前記と同じ条件で
水素透過性を評価したところ、AIP処理+ブラスト処
理+AIP追加処理を施した実施例材では、純度99.
995%の水素が得られたのに対して、連続AIP処理
材(比較材)では、純度99.90%の水素しか得られ
なかった。
【0036】実施例6 前記と同じSUS410L製多孔質管の外面に、厚さ5
μmのPd−23%Ag膜をAIP法により成膜した。
成膜条件は、Arボンバード2min、Arガス量50
0sccm、圧力5Pa、バイアス25Vとした。その
後、該膜上に更に5μmの追加成膜し、トータル膜厚を
10μmとした。この時の成膜条件は、Arボンバード
2min、Arガス量500sccm、圧力5Pa、バ
イアス100Vとした。また、上記初回の成膜条件と同
じ条件で連続AIP処理を行なって膜厚10μmの比較
材を製造した。
【0037】得られた2つの試料を、前記と同様の水素
透過測定装置の試験用セルにセットして同様の条件で水
素透過性を評価したところ、AIP処理+AIP追加処
理で成膜した実施例材では、純度99.995%の水素
が得られたのに対して、連続AIP処理を行なった比較
材では純度99.90%の水素しか得られなかった。
【0038】実施例7 前記と同じSUS410L製多孔質管の外面に、厚さ5
μmのPd−23%Ag膜をAIP法により成膜した。
成膜条件は、Arボンバード2min、Arガス量50
0sccm、圧力5Pa、バイアス25V、基盤温度3
00℃とした。その後、該膜上に更に5μmの追加成膜
し、トータル膜厚を10μmとした。この時の成膜条件
は、Arボンバード2min、Arガス量500scc
m、圧力5Pa、バイアス25V、基盤温度500℃と
した。また、上記初回の成膜条件と同じ条件で連続AI
P処理を行なって膜厚10μmの比較材を製造した。
【0039】得られた2つの試料を、前記と同様の水素
透過測定装置の試験用セルにセットして同様の条件で水
素透過性を評価したところ、AIP処理+AIP追加処
理で成膜した実施例材では、純度99.995%の水素
が得られたのに対して、連続AIP処理を行なった比較
材では純度99.90%の水素しか得られなかった。
【0040】なお図1は、上記実施例で得た各試料にお
ける水素選択透過膜の形成条件と膜厚が水素選択透過性
(到達真空度で評価)に及ぼす影響をグラフ化して示し
たものである。
【0041】このグラフからも明らかな様に、AIP法
によって形成したPd−23%Ag膜の研磨前の到達真
空度は、研磨処理によって1オーダー程度減少し、研磨
後のAIP膜上に更に追加AIP膜を形成すると、到達
真空度を更に1オーダー(最初のAIP膜に比べて2オ
ーダー)低下させることができ、これら研磨処理と追加
成膜処理を繰り返すことによって到達真空度を大幅に低
減し得ることが分かる。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
水素選択透過膜の形成とその表面の研磨処理、あるいは
更に、好ましくは成膜条件を変えて新たな結晶成長を起
こさせた追加膜形成によって、水素選択透過膜に緻密度
を著しく高めることができ、他成分ガスのリーク量を抑
えて高純度の水素を得ることのできる水素選択透過性部
材を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得た多層構造水素選択透過膜の積層界
面部のSIM像を例示する図面代用写真である。
【図2】水素選択透過膜の膜厚とその表面の研磨処理、
あるいは更に、成膜条件を変えて新たな結晶成長を起こ
させた追加膜形成が、水素選択透過試験における到達真
空度に与える影響を、実施例データから整理して示した
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 俊樹 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 森本 啓之 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA41 KE06P KE12P KE13P KE16P MA02 MA06 MA09 MA31 MB06 MC02X MC03X NA32 NA45 NA50 NA61 NA65 PA01 PB20 PB66 4G040 FA06 FB09 FC01 FE01 4K044 AA03 AA13 AB02 AB08 BA08 BB01 CA07 CA13 CA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質体の表面に、水素を透過する金属
    または合金からなる薄膜をコーティング形成し、該薄膜
    の表面に研磨処理を施すことを特徴とする水素選択透過
    性部材の製法。
  2. 【請求項2】 多孔質体の表面に、水素を透過する金属
    または合金からなる薄膜をコーティング形成し、該薄膜
    の表面に塑性変形を施した後、更にその上に水素透過膜
    をコーティング形成する工程を少なくとも1回以上行な
    うことを特徴とする水素選択透過性部材の製法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜の表面に施される塑性変形を、
    研磨処理によって行なう請求項2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 薄膜のコーティング形成を気相法によっ
    て行なう請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. 【請求項5】 多孔質体の表面に水素を透過する薄膜を
    気相法によってコーティング形成し、更にその上に、気
    相法により上記とは異なる条件で薄膜をコーティング形
    成する工程を少なくとも1回以上行なうことを特徴とす
    る水素選択透過性部材の製法。
  6. 【請求項6】 上記気相合成法として、アークイオンプ
    レーティング法を採用する請求項4または5に記載の製
    法。
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