JP2002045602A - 段塔式反応装置及びそれを用いたポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法 - Google Patents

段塔式反応装置及びそれを用いたポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法

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JP2002045602A JP2000237891A JP2000237891A JP2002045602A JP 2002045602 A JP2002045602 A JP 2002045602A JP 2000237891 A JP2000237891 A JP 2000237891A JP 2000237891 A JP2000237891 A JP 2000237891A JP 2002045602 A JP2002045602 A JP 2002045602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応速度及び転化率が高く、工業的に効
率よく反応蒸留できる段塔式反応装置の提供。 【解決手段】 触媒存在下、反応蒸留する際に用いる、
ダウンカマーを有する段塔式反応装置であって、該装置
がバッフルを設置したトレイを有することを特徴とする
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、段塔式反応装置及
びそれを用いたポリアルキレンエーテルグリコールの製
造方法に関する。更に詳しくは、特定のトレイを設置し
た段塔式反応装置とそれを用いて、ポリアルキレンエー
テルグリコールアルキルエステルをアルカリ金属触媒の
存在下に低級アルコールによりエステル交換してポリア
ルキレンエーテルグリコール化合物を製造する方法の改
良に関する。
【0002】ポリアルキレンエーテルグリコール、特に
ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂等のソフトセグメントとして
用いられ、衣料用弾性繊維等に加工されている。
【0003】
【従来の技術】従来、平衡反応を伴う化学反応を棚段式
蒸留塔にて実施する方法は広く知られており、その設計
手法もいくつか開示されている。例えば、化学装置設計
資料第3集(昭和47年化学工学社編)には、酢酸ビニ
ルとステアリン酸との反応を蒸留塔の中で行い、ステア
リン酸ビニルと酢酸を得る方法が記載されている。特許
第2768681号公報には、酢酸エステルとアルコー
ルのエステル交換反応を金属アルコラート触媒の存在下
で均一液相状態で反応蒸留にて行う方法が開示されてい
る。また、WO97/23559号公報には、ポリテト
ラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを反応
蒸留によりエステル交換してポリテトラメチレンエーテ
ルグリコールを得る方法が記載されている。しかしなが
ら、これらには、蒸留塔内のトレイの構造が反応効率に
大きく影響することは記載も示唆もされていない。
【0004】一方、段塔式反応装置に設置されたトレイ
の形態を改良することにより、反応効率を改善する方法
も提案されている。例えば、特公昭第55−51602
号公報には、トレイの上流端部に溢流逃げ口形成部材と
障塞横断バーとを包含するバブル棚板型流体接触装置が
開示されている。また、特開平第10−53552号公
報には、反応蒸留塔内でアルデヒドをアルドール縮合し
脱水反応させて二量体アルデヒドを製造する方法で、蒸
気通過孔の開口面積と気液接触部面積基準の開口率を規
定した多孔板型トレイが記載されている。しかしなが
ら、工業的規模の装置で反応蒸留を行う場合、気液の接
触挙動が理論的理想となるには不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、反応
速度及び転化率が高く、工業的に効率よく反応蒸留でき
る段塔式反応装置を提供することであり、別の観点から
は、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸
エステルを工業的に効率よくエステル交換することによ
るポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、段塔式反応装置のトレイ上
にバッフルを設置し、反応液の流路を規制することでト
レイ上での液混合を限りなく理想的混合状態に保ちつつ
反応を行うことが可能となり、更には過大な設備を必要
とせずに充分な反応転化率が達成出来ることを見出し
た。
【0007】また、反応蒸留によりポリアルキレンエー
テルグリコールのジカルボン酸エステルをポリアルキレ
ンエーテルグリコールに変換する際、トレイ上にバッフ
ルを設置した段塔式反応装置を用いる事により、高い速
度で十分な転化率を達成できることを見出し、これらの
知見に基づいて本発明を完成するに至った。即ち、本発
明の要旨は、触媒存在下、反応蒸留する際に用いる、ダ
ウンカマーを有する段塔式反応装置であって、該装置が
バッフルを設置したトレイを有することを特徴とする装
置にある。
【0008】また、本発明の別の要旨は、触媒及び低級
アルコールの存在下、反応蒸留によりポリアルキレンエ
ーテルグリコールのジカルボン酸エステルをエステル交
換してポリアルキレンエーテルグリコールを製造する方
法において、バッフルを設置したトレイを有する段塔式
反応装置を用いることを特徴とするポリアルキレンエー
テルグリコールの製造方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の段塔式反応装置としては、バッフルを設置した
トレイ及びダウンカマーを有する装置である。ダウンカ
マーによりトレイ上では一定の液の流れが形成され、本
願発明の効果が発揮される。液の流れに着目した分類に
よると、段塔式反応装置の構造としては、塔の片側に流
下した液が対面に配置されたダウンカマーに向かってト
レイ上を流れるクロスフロー構造、上段からダウンカマ
ーを通って流下した液がトレイ中央に設けられた溢流せ
きを回り込んで下段へダウンカマーから流下するリバー
スフロー構造または塔壁に沿った下降管を有するトレイ
と中央部のダウンカマーを有するトレイが交互に設置さ
れている構造であってよい。好ましくは、クロスフロー
構造の段塔式反応装置である。
【0010】反応原料のひとつとして揮発性の成分を用
いている場合、本発明の装置の気液接触方法としては、
ダウンカマーより流下しトレイ上を流れる液と、該トレ
イ下より上昇したガスを該トレイ上で接触させる方法が
採用される。本発明の段塔式反応装置に用いるトレイ
は、バッフルを設置したトレイである。トレイの型式と
しては、特に制限されず、通常用いられるものでよく、
例えば、多数の蒸気通過孔を有する通常の多孔板トレイ
や泡鐘式トレイ、バブルキャップトレイ、フロート式の
バルブトレイ等があげられる。また、特公昭第55−5
1602号公報記載のバブル棚板であってもよい。
【0011】トレイ上での開口部の配列は、通常三角形
配列又は正方形配列であるが、これ以外の配列であって
もよい。例えば長方形配列や六角形配列等が挙げられ
る。本発明のトレイには、トレイ上を通過する液の主な
流路を規制するバッフルが設置されている。バッフルの
形状としては、特に限定されないが、通常、平板状のも
のが用いられる。バッフルの高さは、トレイ上の液の主
な流路がバッフルによって規制されるならば、特に限定
されないが、通常の使用状態において、液面よりも高い
ことが望ましい。また、一時的に液面より低くなっても
よい。幅としては、バッフルの遮蔽部により液流が妨げ
られない程度に開口していれば、特に制限されないが、
通常、該バッフルの設置によって、液流が完全に遮蔽さ
れる長さの5〜50%、好ましくは10〜30%程度で
ある。バッフルの厚さは、材質にもよるが、液流に対す
る機械的強度が得られる程度の厚さが必要である。通常
1mm以上であるが、流路を必要以上に狭くすることは
好ましくない。好ましくは2〜5mmの範囲である。従
って、該バッフルの具体的な形状は、上記範囲を満たす
ものであれば特に制限されないが、例えば、平板状、平
板の角を丸めた板状等が挙げられる。該バッフルの材質
は、通常、カーボンスチール、ステンレススチール等が
挙げられ、好ましくはステンレススチールである。トレ
イ上へのバッフルの設置枚数としては、反応原料或いは
生成物の性質に鑑みて好適に選択すればよいが、1つの
トレイ上に少なくとも1枚のバッフルを設置する必要が
ある。設置枚数の上限は、工業的使用に適切な程度であ
れば、特に制限されることはない。好ましい設置枚数と
しては、1トレイ上に1〜3枚、より好ましくは1〜2
枚、更に好ましくは2枚である。
【0012】トレイ上へのバッフルの設置方向として
は、トレイ上の液の主な流路が、バッフルを設置してい
ないものとは異なるように設置されていれば、特に制限
されるものではないが、通常、バッフルを設置していな
いトレイ上の液の主な流路に対して45〜90°の角
度、好ましくは60〜90°、より好ましくは80〜9
0°、特に好ましくは約90°である。
【0013】ここで、バッフルを設置していないトレイ
上の液の主な流路とは、例えば、反応装置がクロスフロ
ー構造の場合、トレイ片側の上段からのダウンカマーか
ら、対面にある下段へのダウンカマーに向かう中心線上
の直線方向であり、リバースフロー構造の場合、予め設
置された溢流せきを回り込む曲線の接線方向のことであ
る。
【0014】バッフルの設置位置としては、トレイ上を
流れる液の流速又は液面高さに大きな差異を生じさせな
いようにすれば特に制限されないが、通常、1枚設置す
る場合、トレイの中央部付近である。ここで、バッフル
設置により、主な流路が規定されていれば、バッフルの
片端が塔内壁と接触している必要はない。2枚以上設置
する場合は、トレイ上の液の滞留を少なくするよう、左
右交互に設置することが好ましい。
【0015】本発明のトレイの一態様を図1に示した。
反応原料混合物は上段のトレイから、ダウンカマー5を
通じてトレイ3上に流下し、バッフル1により規制され
た流路4を形成して、溢流せき2を越えて下段へのダウ
ンカマーに達し、下段のトレイへ流下する。反応液がこ
のトレイ3を通過する間に、トレイ3上の液面下で気液
接触し、反応及び/又は蒸留が行われる。
【0016】トレイ3からダウンカマー5への入口は、
トレイ3の一部を切断したままの形状でもよいが、流路
4を規制する壁6をダウンカマー5の上部の一部に接続
して設置してもよく、その場合はその壁6の高さをバッ
フル1の高さより高くするのが好ましく、バッフル1と
左右交互となる位置に設置するのが好ましい。ダウンカ
マー5の上部に接続して溢流せき2を設置してもよい
が、その場合、溢流せき2の高さはバッフル1の高さよ
り低いのが好ましい。トレイ3上の液面の高さは溢流せ
き2の高さとなるので、溢流せき2の高さがバッフル1
の高さより高いと流路の規制が不十分になることがある
ので好ましくない。
【0017】また、ダウンカマー5の出口の高さが、溢
流せき2の高さ以下であることが好ましい。こうするこ
とにより、トレイ3上の液面高さがダウンカマー5出口
高さ以上となるため、気体がダウンカマー5の流路を上
昇しにくくなり、気液接触がトレイ3上で行われやすく
なる。ダウンカマー5から下段トレイ3へ至る流路の形
状は、ダウンカマー5の管壁とトレイ3上面で形成され
たままの形状でよいが、流路を規制する壁7をダウンカ
マー5の管壁下部の一部に接続して設置してもよく、そ
の場合、その壁7がダウンカマー5の管壁下部とトレイ
3上面とを連結させることが好ましく、トレイ3上のバ
ッフル1と左右交互に設置するのが好ましい。
【0018】上記したように設計されたトレイを有する
段塔式反応装置を用いることにより、反応速度及び転化
率が高く、工業的に効率よく反応蒸留できる。反応蒸留
方法としては、それ自体既知の方法でよいが、例えば、
該段塔式反応装置の上部に、溶媒及び/又は触媒を含ん
でいてもよい反応原料を導入する。反応原料混合物が塔
内を流下する過程で生成物に変換され、同時に蒸留が行
われて、精製された生成物を得る。
【0019】反応蒸留方法における、本発明のトレイの
好ましい態様を以下に説明するが、これは例示のための
ものであり、これに限定されることはない。本発明の段
塔式反応装置が好適に用いられる反応としては、既知の
反応蒸留方法で行われる反応であれば特に制限されない
が、通常、均一液相での平衡反応を利用したエステル交
換反応に用いられる。具体的には、ポリアルキレンエー
テルグリコールのジアルキルエステルと低級アルコール
を触媒の存在下、段塔式反応装置を用いて反応蒸留し、
ポリアルキレンエーテルグリコールを製造する反応に好
適に用いられる。
【0020】反応蒸留によるポリアルキレンエーテルグ
リコールの製造方法は以下のようにして行われる。即
ち、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸
エステル、低級アルコール及び触媒を含有した溶液を段
塔式反応装置に導入し、エステル交換して、塔底よりポ
リアルキレンエーテルグリコールを得る反応である。ポ
リアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステ
ルとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コールのジ酢酸エステル(以下これを「PTME」と称
することがある)、ポリアルキレンエーテルグリコール
としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールがそれぞれ挙げられ、PTMEと低級アルコールと
のエステル交換反応でPTMGが得られる。PTMEの
製造方法としては、特に制限されないが、通常、テトラ
ヒドロフラン(以下これを「THF」と称することがあ
る)を無水酢酸の存在下、酸触媒を用いて開環重合させ
る方法により得られる。酸触媒としては、例えば、超強
酸性イオン交換樹脂、活性白土、ゼオライト、シリカア
ルミナ等の固体酸が用いられる。反応方式としては固定
床流通反応が好適である。
【0021】反応条件は、ポリアルキレンエーテルグリ
コールの分子量や酸触媒の種類により異なるが、通常、
無水酢酸及び触媒は、反応液中の濃度が、それぞれ0.
5〜30重量%及び0.1〜30重量%となるように用
いて、反応温度、通常20〜80℃の範囲で、反応時
間、通常0.5〜10時間の範囲で重合が行われ、TH
Fと無水酢酸とのモル比を調整することにより、生成ポ
リマーの分子量を調整することができる。得られた重合
反応液は、未反応のTHF及び無水酢酸を含んでいるの
で、これらを常圧又は減圧下で留去させて、PTMEを
得る。留去したTHF及び無水酢酸は、必要に応じて精
製して再利用することができる。
【0022】PTMEと反応させる低級アルコールとし
ては、通常、炭素数1〜4のアルコールが用いられる
が、特にメタノールが好ましい。メタノールは分子量が
小さく、同じ重量でもPTMEとのモル比が大きく取れ
ること、生成した酢酸メチルとの比揮発度が他のものに
比べ大きいことから好適に用いられる。エステル交換触
媒としては、通常、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等の
水酸化物又はアルコキシドが用いられるが、これらの
中、アルカリ金属の水酸化物又はアルコキシドが好まし
く、アルカリ金属のアルコキシドがより好ましく、中で
もナトリウムのアルコキシドは反応速度が大きく、アル
コールに対する溶解度も大きく、取扱いも容易で好適に
用いられる。ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
【0023】低級アルコールとPTMEとの比は、重量
比で通常1:1〜1:3である。低級アルコールが少な
いと粘度が高く、反応が遅くなり、逆に多過ぎると装置
が大きくなり、しかも過剰の低級アルコールの除去のた
めにコストアップとなる。また、原料である低級アルコ
ールは副生する低級アルコールの酢酸エステルと共沸物
を形成し、反応系から除去されることがあるので、原料
アルコールを適宜補給してもよい。
【0024】これらの混合物が、均一溶液として、上記
した特徴のトレイを有する段塔式反応装置に導入され
る。操作圧力は、任意に選択できるが、低級アルコール
としてメタノールを使用した場合、通常0.1〜2.5
MPa、好ましくは0.5〜2.0MPaで行う。 ま
た塔内の温度は、操作圧力及びPTMEとアルコールの
混合比等により決定される物理量であるが、アルコール
としてメタノールを使用した場合、通常65〜180
℃、好ましくは100〜170℃、より好ましくは13
0〜160℃で運転される。
【0025】段塔式反応装置における本発明のトレイの
設置箇所としては、特に限定されないが、好ましくは、
原料混合物仕込み段より下部であって、生成物回収部辺
りまであればよい。原料混合物仕込み段より上部又は段
塔式反応装置に濃縮部がある場合にはその濃縮部のトレ
イについては、特に工夫の必要が無く、通常の蒸留設備
が使用できる。例えばシーブトレイ等のトレイ或いはラ
シヒリングやポールリング等の不規則充填物や圧力損失
の少ない規則充填物が精留部に使用出来る。
【0026】還流比は、通常0.5〜20、好ましくは
1〜10の還流比が用いられる。過大な還流比は、トレ
イ上の液の触媒濃度を低下させ、反応速度が小さくなる
と同時に、トレイ上での滞留時間が短くなるのでエステ
ル交換反応には不利である。段塔式反応装置のトレイの
段数は、通常5〜60段、好ましくは10〜50段であ
り、その内訳として、濃縮部1〜10段、回収部は5段
以上あるものが好ましい。PTMEの反応蒸留に適用す
る場合、バッフルの高さは通常30〜450mm、好ま
しくは50〜250mm、溢流せきの高さは10〜20
0mm、好ましくは30〜100mmである。通常、バ
ッフルの高さは溢流せきの高さより高く、その差として
は、好ましくは10〜250mm、より好ましくは20
〜200mmである。
【0027】上記した方法により、高い転化率でPTM
EからPTMGが得られる。本発明の方法を用いると、
段数増加による過大設計の必要が無く、塔径拡大による
トレイ上の液の濃度分布あるいは偏流の発生が防止でき
る。反応蒸留は、反応と蒸留を同時に行うものであり、
得られた反応液は、留出物と塔底液に分かれて取得され
る。留出物は主に、酢酸メチルとメタノールを含有す
る。この混合物は、メタノール回収塔に移送され、酢酸
メチル及びメタノールの共沸混合物を塔頂から留出さ
せ、メタノールは塔底より回収され、通常、PTMEの
エステル交換の原料として再循環される。この時回収さ
れるメタノールの純度は、95%程度以上が好ましい。
【0028】塔底液は、主にPTMGとメタノールの混
合物になるが、PTMGの濃度としては、通常30〜7
0%、好ましくは40〜50%である。PTMGの濃度
が高くなるにつれ粘度も高くなるので、必要に応じてポ
ンプを用いて、リボイラー内の液を流動させてもよい。
リボイラー中の液の流動が悪くなると、リボイラーのサ
ーモサイホンが作動しなくなる可能性がある。
【0029】塔底から抜き出されたPTMGとメタノー
ルの混合物は、中和或いは吸着等の通常用いられる方法
による触媒除去工程、フラッシュ缶や蒸留塔等を用いた
メタノール除去工程、5Torr以下の高真空下で運転
される薄膜蒸発器によるオリゴマー除去工程等を経て、
製品PTMGとなる。ここで留去されたメタノールは、
エステル交換反応の原料として再利用することが出来
る。
【0030】通常、工業的には上記した方法により、数
平均分子量500〜3000のPTMGが得られ、ポリ
ウレタン弾性繊維、ポリウレタンエラストマー或いはポ
リエステルエラストマー等の原料として使われる。
【0031】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、実施例に限定さ
れるものではない。 実施例1 図2に示した多孔板トレイ(図面上は孔構造を省略し
た)は、内径1260mm、バッフル高さ200mm、
溢流せき高さ100mm、ダウンカマー出口高さ80m
mであり、バッフルを設置していない場合の液の主な流
路に対して90゜の位置で2枚のバッフルを設置したも
のである。また、ダウンカマーの入口と出口の一部に壁
が設置されていて流路を規制している。このトレイを5
枚有する段塔式反応装置において、水と空気のトレイ上
での気−液混合性解析を実施した。解析方法としては、
トレーサーとして塩化ナトリウムを用いて、電気伝導計
にて応答測定する、公知のインパルス応答法を採用し
た。反応装置の上部より、流量0.5Ton/Hrで水
を導入し、装置下部より、流量800Nm3/Hrで空
気を導入し、装置内温度20℃、装置内圧力常圧にて気
−液混合した。インパルス応答により得られた結果か
ら、液の混合性は95%であることが確認された。
【0032】比較例1 多孔板トレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例1
と同一の方法にて気−液混合性解析を実施した。その結
果、混合性は40%であった。 実施例2 図3に示した内径400mm、高さ4000mmの段塔
式反応装置である棚段式蒸留塔内で5段の多孔板トレイ
を有し、各多孔板トレイ上にはバッフルを設置していな
い場合の液の主な流路に対して90゜の方向で2枚のバ
ッフルを設置したものを用いた。ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコールのジ酢酸エステル(PTME)35重
量%とメタノール64.95重量%および反応触媒とし
てナトリウムメチラート0.05重量%を溶解した均一
液状の原料混合物を0.5T/Hrの流量で、蒸留塔の
塔頂より供給し、塔頂温度131℃、塔底温度137
℃、塔内圧力950KPa、還流比4にて運転した。
【0033】PTMEとメタノールはアルコリシス反応
により、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PT
MG)と酢酸メチルに変換された。塔底から回収された
缶出液中のカルボニル基をIR分析した結果、PTME
のPTMGへの転化率は99.9%であった。 比較例2 各多孔板トレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例
2と同一の方法にてPTMEのアルコリシス反応を行っ
た。その結果、PTMEのPTMGへの転化率は92%
であった。
【0034】実施例3 多孔板トレイの代わりにバブルキャップトレイを使用し
た以外は、実施例2と同一の方法にてPTMEのメタノ
リシス反応を実施した結果、PTMEのPTMGへの転
化率は99.9%であった。 比較例3 バブルキャップトレイ上にバッフルを設置しない以外は
実施例3と同一の方法にてPTMEのアルコリシス反応
を行った。その結果、PTMEのPTMGへの転化率は
93%であった。
【0035】実施例4 多孔板トレイの代わりにフロート式型のバルブトレイを
使用した以外は、実施例2と同一の方法にてPTMEの
メタノリシス反応を実施した結果、PTMEのPTMG
への転化率は99.9%であった。 比較例4 フロート式型のバルブトレイ上にバッフルを設置しない
以外は実施例3と同一の方法にてPTMEのアルコリシ
ス反応を行った。その結果、PTMEのPTMGへの転
化率は93%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】段塔式反応装置内のバッフルを設置した多孔板
トレイ 1 バッフル 2 溢流せき 3 トレイ 4 トレイ上の液の流路 5 ダウンカマー 6 ダウンカマー上部に設置した、流路を規制する壁 7 ダウンカマーの管壁下部に設置した、流路を規制す
る壁
【図2】バッフルを設置した多孔板トレイ上面図 1 バッフル 2 溢流せき 3 トレイ 4 トレイ上の液の流路 5 ダウンカマー
【図3】段塔式反応装置 10 段塔式反応器装置 11 原料供給ライン 12 冷却装置 13 気液分離器 14 ポンプ 15 加熱装置 16 生成物排出ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 65/332 C08G 65/332 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4D076 AA12 AA16 AA24 CA13 CA14 CC01 FA03 FA12 JA03 4G075 AA14 AA62 BA10 BD03 BD04 BD13 BD23 CA54 EA06 EB04 EC09 4H006 AA02 AA04 AC42 AC43 AD11 BA02 BA06 BA29 BA32 BC10 BC11 BC19 BC31 BC34 BD81 4H039 CA60 CA66 CE10 4J005 AA08 BD00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒存在下、反応蒸留する際に用いる、
    ダウンカマーを有する段塔式反応装置であって、該装置
    がバッフルを設置したトレイを有することを特徴とする
    装置。
  2. 【請求項2】 バッフルの形状が板状であり、バッフル
    の設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダ
    ウンカマーへの主な流路に対して約90度の角度である
    ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 触媒及び低級アルコールの存在下、反応
    蒸留によりポリアルキレンエーテルグリコールのジカル
    ボン酸エステルをエステル交換してポリアルキレンエー
    テルグリコールを製造する方法において、バッフルを設
    置したトレイを有する段塔式反応装置を用いることを特
    徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方
    法。
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