JP4089141B2 - 段塔式反応装置及びそれを用いたポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、段塔式反応装置及びそれを用いたポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法に関する。更に詳しくは、特定のトレイを設置した段塔式反応装置とそれを用いて、ポリアルキレンエーテルグリコールアルキルエステルをアルカリ金属触媒の存在下に低級アルコールによりエステル交換してポリアルキレンエーテルグリコール化合物を製造する方法の改良に関する。
【0002】
ポリアルキレンエーテルグリコール、特にポリテトラメチレンエーテルグリコールは、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のソフトセグメントとして用いられ、衣料用弾性繊維等に加工されている。
【0003】
【従来の技術】
従来、平衡反応を伴う化学反応を棚段式蒸留塔にて実施する方法は広く知られており、その設計手法もいくつか開示されている。例えば、化学装置設計資料第3集(昭和47年化学工学社編)には、酢酸ビニルとステアリン酸との反応を蒸留塔の中で行い、ステアリン酸ビニルと酢酸を得る方法が記載されている。特許第2768681号公報には、酢酸エステルとアルコールのエステル交換反応を金属アルコラート触媒の存在下で均一液相状態で反応蒸留にて行う方法が開示されている。また、WO97/23559号公報には、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを反応蒸留によりエステル交換してポリテトラメチレンエーテルグリコールを得る方法が記載されている。しかしながら、これらには、蒸留塔内のトレイの構造が反応効率に大きく影響することは記載も示唆もされていない。
【0004】
一方、段塔式反応装置に設置されたトレイの形態を改良することにより、反応効率を改善する方法も提案されている。例えば、特公昭55−51602号公報には、トレイの上流端部に溢流逃げ口形成部材と障塞横断バーとを包含するバブル棚板型流体接触装置が開示されている。また、特開平10−53552号公報には、反応蒸留塔内でアルデヒドをアルドール縮合し脱水反応させて二量体アルデヒドを製造する方法で、蒸気通過孔の開口面積と気液接触部面積基準の開口率を規定した多孔板型トレイが記載されている。しかしながら、工業的規模の装置で反応蒸留を行う場合、気液の接触挙動が理論的理想となるには不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、反応速度及び転化率が高く、工業的に効率よく反応蒸留できる段塔式反応装置を提供することであり、別の観点からは、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルを工業的に効率よくエステル交換することによるポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討した結果、段塔式反応装置のトレイ上にバッフルを設置し、反応液の流路を規制することでトレイ上での液混合を限りなく理想的混合状態に保ちつつ反応を行うことが可能となり、更には過大な設備を必要とせずに充分な反応転化率が達成出来ることを見出した。
【0007】
また、反応蒸留によりポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルをポリアルキレンエーテルグリコールに変換する際、トレイ上にバッフルを設置した段塔式反応装置を用いる事により、高い速度で十分な転化率を達成できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、触媒存在下、反応蒸留する際に用いる、ダウンカマーを有する段塔式反応装置であって、該装置がバッフルを設置したトレイを有し、該バッフルの設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダウンカマーへの主な流路に対して45〜90°の角度であることを特徴とする装置にある。
【0008】
また、本発明の別の要旨は、触媒及び低級アルコールの存在下、反応蒸留によりポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルをエステル交換してポリアルキレンエーテルグリコールを製造する方法において、ダウンカマー及びバッフルを設置したトレイを有する段塔式反応装置であって、該バッフルの設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダウンカマーへの主な流路に対して45〜90°の角度である段塔式反応装置を用いることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の段塔式反応装置としては、バッフルを設置したトレイ及びダウンカマーを有する装置である。ダウンカマーによりトレイ上では一定の液の流れが形成され、本願発明の効果が発揮される。液の流れに着目した分類によると、段塔式反応装置の構造としては、塔の片側に流下した液が対面に配置されたダウンカマーに向かってトレイ上を流れるクロスフロー構造、上段からダウンカマーを通って流下した液がトレイ中央に設けられた溢流せきを回り込んで下段へダウンカマーから流下するリバースフロー構造または塔壁に沿った下降管を有するトレイと中央部のダウンカマーを有するトレイが交互に設置されている構造であってよい。好ましくは、クロスフロー構造の段塔式反応装置である。
【0010】
反応原料のひとつとして揮発性の成分を用いている場合、本発明の装置の気液接触方法としては、ダウンカマーより流下しトレイ上を流れる液と、該トレイ下より上昇したガスを該トレイ上で接触させる方法が採用される。
本発明の段塔式反応装置に用いるトレイは、バッフルを設置したトレイである。トレイの型式としては、特に制限されず、通常用いられるものでよく、例えば、多数の蒸気通過孔を有する通常の多孔板トレイや泡鐘式トレイ、バブルキャップトレイ、フロート式のバルブトレイ等があげられる。また、特公昭55−51602号公報記載のバブル棚板であってもよい。
【0011】
トレイ上での開口部の配列は、通常三角形配列又は正方形配列であるが、これ以外の配列であってもよい。例えば長方形配列や六角形配列等が挙げられる。
本発明のトレイには、トレイ上を通過する液の主な流路を規制するバッフルが設置されている。バッフルの形状としては、特に限定されないが、通常、平板状のものが用いられる。バッフルの高さは、トレイ上の液の主な流路がバッフルによって規制されるならば、特に限定されないが、通常の使用状態において、液面よりも高いことが望ましい。また、一時的に液面より低くなってもよい。幅としては、バッフルの遮蔽部により液流が妨げられない程度に開口していれば、特に制限されないが、通常、該バッフルの設置によって、液流が完全に遮蔽される長さの5〜50%、好ましくは10〜30%程度である。バッフルの厚さは、材質にもよるが、液流に対する機械的強度が得られる程度の厚さが必要である。通常1mm以上であるが、流路を必要以上に狭くすることは好ましくない。好ましくは2〜5mmの範囲である。従って、該バッフルの具体的な形状は、上記範囲を満たすものであれば特に制限されないが、例えば、平板状、平板の角を丸めた板状等が挙げられる。該バッフルの材質は、通常、カーボンスチール、ステンレススチール等が挙げられ、好ましくはステンレススチールである。トレイ上へのバッフルの設置枚数としては、反応原料或いは生成物の性質に鑑みて好適に選択すればよいが、1つのトレイ上に少なくとも1枚のバッフルを設置する必要がある。設置枚数の上限は、工業的使用に適切な程度であれば、特に制限されることはない。好ましい設置枚数としては、1トレイ上に1〜3枚、より好ましくは1〜2枚、更に好ましくは2枚である。
【0012】
トレイ上へのバッフルの設置方向としては、トレイ上の液の主な流路が、バッフルを設置していないものとは異なるように設置されているものであって、バッフルを設置していないトレイ上の液の主な流路に対して、通常45〜90°の角度、好ましくは60〜90°、より好ましくは80〜90°、特に好ましくは約90°である。
【0013】
ここで、バッフルを設置していないトレイ上の液の主な流路とは、例えば、反応装置がクロスフロー構造の場合、トレイ片側の上段からのダウンカマーから、対面にある下段へのダウンカマーに向かう中心線上の直線方向であり、リバースフロー構造の場合、予め設置された溢流せきを回り込む曲線の接線方向のことである。
【0014】
バッフルの設置位置としては、トレイ上を流れる液の流速又は液面高さに大きな差異を生じさせないようにすれば特に制限されないが、通常、1枚設置する場合、トレイの中央部付近である。ここで、バッフル設置により、主な流路が規定されていれば、バッフルの片端が塔内壁と接触している必要はない。2枚以上設置する場合は、トレイ上の液の滞留を少なくするよう、左右交互に設置することが好ましい。
【0015】
本発明のトレイの一態様を図1に示した。反応原料混合物は上段のトレイから、ダウンカマー5を通じてトレイ3上に流下し、バッフル1により規制された流路4を形成して、溢流せき2を越えて下段へのダウンカマーに達し、下段のトレイへ流下する。反応液がこのトレイ3を通過する間に、トレイ3上の液面下で気液接触し、反応及び/又は蒸留が行われる。
【0016】
トレイ3からダウンカマー5への入口は、トレイ3の一部を切断したままの形状でもよいが、流路4を規制する壁6をダウンカマー5の上部の一部に接続して設置してもよく、その場合はその壁6の高さをバッフル1の高さより高くするのが好ましく、バッフル1と左右交互となる位置に設置するのが好ましい。
ダウンカマー5の上部に接続して溢流せき2を設置してもよいが、その場合、溢流せき2の高さはバッフル1の高さより低いのが好ましい。トレイ3上の液面の高さは溢流せき2の高さとなるので、溢流せき2の高さがバッフル1の高さより高いと流路の規制が不十分になることがあるので好ましくない。
【0017】
また、ダウンカマー5の出口の高さが、溢流せき2の高さ以下であることが好ましい。こうすることにより、トレイ3上の液面高さがダウンカマー5出口高さ以上となるため、気体がダウンカマー5の流路を上昇しにくくなり、気液接触がトレイ3上で行われやすくなる。
ダウンカマー5から下段トレイ3へ至る流路の形状は、ダウンカマー5の管壁とトレイ3上面で形成されたままの形状でよいが、流路を規制する壁7をダウンカマー5の管壁下部の一部に接続して設置してもよく、その場合、その壁7がダウンカマー5の管壁下部とトレイ3上面とを連結させることが好ましく、トレイ3上のバッフル1と左右交互に設置するのが好ましい。
【0018】
上記したように設計されたトレイを有する段塔式反応装置を用いることにより、反応速度及び転化率が高く、工業的に効率よく反応蒸留できる。反応蒸留方法としては、それ自体既知の方法でよいが、例えば、該段塔式反応装置の上部に、溶媒及び/又は触媒を含んでいてもよい反応原料を導入する。反応原料混合物が塔内を流下する過程で生成物に変換され、同時に蒸留が行われて、精製された生成物を得る。
【0019】
反応蒸留方法における、本発明のトレイの好ましい態様を以下に説明するが、これは例示のためのものであり、これに限定されることはない。
本発明の段塔式反応装置が好適に用いられる反応としては、既知の反応蒸留方法で行われる反応であれば特に制限されないが、通常、均一液相での平衡反応を利用したエステル交換反応に用いられる。具体的には、ポリアルキレンエーテルグリコールのジアルキルエステルと低級アルコールを触媒の存在下、段塔式反応装置を用いて反応蒸留し、ポリアルキレンエーテルグリコールを製造する反応に好適に用いられる。
【0020】
反応蒸留によるポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法は以下のようにして行われる。即ち、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル、低級アルコール及び触媒を含有した溶液を段塔式反応装置に導入し、エステル交換して、塔底よりポリアルキレンエーテルグリコールを得る反応である。
ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステル(以下これを「PTME」と称することがある)、ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールがそれぞれ挙げられ、PTMEと低級アルコールとのエステル交換反応でPTMGが得られる。PTMEの製造方法としては、特に制限されないが、通常、テトラヒドロフラン(以下これを「THF」と称することがある)を無水酢酸の存在下、酸触媒を用いて開環重合させる方法により得られる。酸触媒としては、例えば、超強酸性イオン交換樹脂、活性白土、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸が用いられる。反応方式としては固定床流通反応が好適である。
【0021】
反応条件は、ポリアルキレンエーテルグリコールの分子量や酸触媒の種類により異なるが、通常、無水酢酸及び触媒は、反応液中の濃度が、それぞれ0.5〜30重量%及び0.1〜30重量%となるように用いて、反応温度、通常20〜80℃の範囲で、反応時間、通常0.5〜10時間の範囲で重合が行われ、THFと無水酢酸とのモル比を調整することにより、生成ポリマーの分子量を調整することができる。得られた重合反応液は、未反応のTHF及び無水酢酸を含んでいるので、これらを常圧又は減圧下で留去させて、PTMEを得る。留去したTHF及び無水酢酸は、必要に応じて精製して再利用することができる。
【0022】
PTMEと反応させる低級アルコールとしては、通常、炭素数1〜4のアルコールが用いられるが、特にメタノールが好ましい。メタノールは分子量が小さく、同じ重量でもPTMEとのモル比が大きく取れること、生成した酢酸メチルとの比揮発度が他のものに比べ大きいことから好適に用いられる。
エステル交換触媒としては、通常、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等の水酸化物又はアルコキシドが用いられるが、これらの中、アルカリ金属の水酸化物又はアルコキシドが好ましく、アルカリ金属のアルコキシドがより好ましく、中でもナトリウムのアルコキシドは反応速度が大きく、アルコールに対する溶解度も大きく、取扱いも容易で好適に用いられる。ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
【0023】
低級アルコールとPTMEとの比は、重量比で通常1:1〜1:3である。低級アルコールが少ないと粘度が高く、反応が遅くなり、逆に多過ぎると装置が大きくなり、しかも過剰の低級アルコールの除去のためにコストアップとなる。また、原料である低級アルコールは副生する低級アルコールの酢酸エステルと共沸物を形成し、反応系から除去されることがあるので、原料アルコールを適宜補給してもよい。
【0024】
これらの混合物が、均一溶液として、上記した特徴のトレイを有する段塔式反応装置に導入される。操作圧力は、任意に選択できるが、低級アルコールとしてメタノールを使用した場合、通常0.1〜2.5MPa、好ましくは0.5〜2.0MPaで行う。 また塔内の温度は、操作圧力及びPTMEとアルコールの混合比等により決定される物理量であるが、アルコールとしてメタノールを使用した場合、通常65〜180℃、好ましくは100〜170℃、より好ましくは130〜160℃で運転される。
【0025】
段塔式反応装置における本発明のトレイの設置箇所としては、特に限定されないが、好ましくは、原料混合物仕込み段より下部であって、生成物回収部辺りまであればよい。原料混合物仕込み段より上部又は段塔式反応装置に濃縮部がある場合にはその濃縮部のトレイについては、特に工夫の必要が無く、通常の蒸留設備が使用できる。例えばシーブトレイ等のトレイ或いはラシヒリングやポールリング等の不規則充填物や圧力損失の少ない規則充填物が精留部に使用出来る。
【0026】
還流比は、通常0.5〜20、好ましくは1〜10の還流比が用いられる。過大な還流比は、トレイ上の液の触媒濃度を低下させ、反応速度が小さくなると同時に、トレイ上での滞留時間が短くなるのでエステル交換反応には不利である。
段塔式反応装置のトレイの段数は、通常5〜60段、好ましくは10〜50段であり、その内訳として、濃縮部1〜10段、回収部は5段以上あるものが好ましい。PTMEの反応蒸留に適用する場合、バッフルの高さは通常30〜450mm、好ましくは50〜250mm、溢流せきの高さは10〜200mm、好ましくは30〜100mmである。通常、バッフルの高さは溢流せきの高さより高く、その差としては、好ましくは10〜250mm、より好ましくは20〜200mmである。
【0027】
上記した方法により、高い転化率でPTMEからPTMGが得られる。本発明の方法を用いると、段数増加による過大設計の必要が無く、塔径拡大によるトレイ上の液の濃度分布あるいは偏流の発生が防止できる。
反応蒸留は、反応と蒸留を同時に行うものであり、得られた反応液は、留出物と塔底液に分かれて取得される。留出物は主に、酢酸メチルとメタノールを含有する。この混合物は、メタノール回収塔に移送され、酢酸メチル及びメタノールの共沸混合物を塔頂から留出させ、メタノールは塔底より回収され、通常、PTMEのエステル交換の原料として再循環される。この時回収されるメタノールの純度は、95%程度以上が好ましい。
【0028】
塔底液は、主にPTMGとメタノールの混合物になるが、PTMGの濃度としては、通常30〜70%、好ましくは40〜50%である。PTMGの濃度が高くなるにつれ粘度も高くなるので、必要に応じてポンプを用いて、リボイラー内の液を流動させてもよい。リボイラー中の液の流動が悪くなると、リボイラーのサーモサイホンが作動しなくなる可能性がある。
【0029】
塔底から抜き出されたPTMGとメタノールの混合物は、中和或いは吸着等の通常用いられる方法による触媒除去工程、フラッシュ缶や蒸留塔等を用いたメタノール除去工程、5Torr以下の高真空下で運転される薄膜蒸発器によるオリゴマー除去工程等を経て、製品PTMGとなる。ここで留去されたメタノールは、エステル交換反応の原料として再利用することが出来る。
【0030】
通常、工業的には上記した方法により、数平均分子量500〜3000のPTMGが得られ、ポリウレタン弾性繊維、ポリウレタンエラストマー或いはポリエステルエラストマー等の原料として使われる。
【0031】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1
図2に示した多孔板トレイ(図面上は孔構造を省略した)は、内径1260mm、バッフル高さ200mm、溢流せき高さ100mm、ダウンカマー出口高さ80mmであり、バッフルを設置していない場合の液の主な流路に対して90゜の位置で2枚のバッフルを設置したものである。また、ダウンカマーの入口と出口の一部に壁が設置されていて流路を規制している。このトレイを5枚有する段塔式反応装置において、水と空気のトレイ上での気−液混合性解析を実施した。解析方法としては、トレーサーとして塩化ナトリウムを用いて、電気伝導計にて応答測定する、公知のインパルス応答法を採用した。反応装置の上部より、流量0.5Ton/Hrで水を導入し、装置下部より、流量800Nm3/Hrで空気を導入し、装置内温度20℃、装置内圧力常圧にて気−液混合した。インパルス応答により得られた結果から、液の混合性は95%であることが確認された。
【0032】
比較例1
多孔板トレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例1と同一の方法にて気−液混合性解析を実施した。その結果、混合性は40%であった。
実施例2
図3に示した内径400mm、高さ4000mmの段塔式反応装置である棚段式蒸留塔内で5段の多孔板トレイを有し、各多孔板トレイ上にはバッフルを設置していない場合の液の主な流路に対して90゜の方向で2枚のバッフルを設置したものを用いた。ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステル(PTME)35重量%とメタノール64.95重量%および反応触媒としてナトリウムメチラート0.05重量%を溶解した均一液状の原料混合物を0.5T/Hrの流量で、蒸留塔の塔頂より供給し、塔頂温度131℃、塔底温度137℃、塔内圧力950KPa、還流比4にて運転した。
【0033】
PTMEとメタノールはアルコリシス反応により、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)と酢酸メチルに変換された。塔底から回収された缶出液中のカルボニル基をIR分析した結果、PTMEのPTMGへの転化率は99.9%であった。
比較例2
各多孔板トレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例2と同一の方法にてPTMEのアルコリシス反応を行った。その結果、PTMEのPTMGへの転化率は92%であった。
【0034】
実施例3
多孔板トレイの代わりにバブルキャップトレイを使用した以外は、実施例2と同一の方法にてPTMEのメタノリシス反応を実施した結果、PTMEのPTMGへの転化率は99.9%であった。
比較例3
バブルキャップトレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例3と同一の方法にてPTMEのアルコリシス反応を行った。その結果、PTMEのPTMGへの転化率は93%であった。
【0035】
実施例4
多孔板トレイの代わりにフロート式型のバルブトレイを使用した以外は、実施例2と同一の方法にてPTMEのメタノリシス反応を実施した結果、PTMEのPTMGへの転化率は99.9%であった。
比較例4
フロート式型のバルブトレイ上にバッフルを設置しない以外は実施例3と同一の方法にてPTMEのアルコリシス反応を行った。その結果、PTMEのPTMGへの転化率は93%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】段塔式反応装置内のバッフルを設置した多孔板トレイ
1 バッフル
2 溢流せき
3 トレイ
4 トレイ上の液の流路
5 ダウンカマー
6 ダウンカマー上部に設置した、流路を規制する壁
7 ダウンカマーの管壁下部に設置した、流路を規制する壁
【図2】バッフルを設置した多孔板トレイ上面図
1 バッフル
2 溢流せき
3 トレイ
4 トレイ上の液の流路
5 ダウンカマー
【図3】段塔式反応装置
10 段塔式反応器装置
11 原料供給ライン
12 冷却装置
13 気液分離器
14 ポンプ
15 加熱装置
16 生成物排出ライン
Claims (3)
- 触媒存在下、反応蒸留する際に用いる、ダウンカマーを有する段塔式反応装置であって、該装置がバッフルを設置したトレイを有し、該バッフルの設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダウンカマーへの主な流路に対して45〜90°の角度であることを特徴とする装置。
- バッフルの形状が板状であり、バッフルの設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダウンカマーへの主な流路に対して90度の角度であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 触媒及び低級アルコールの存在下、反応蒸留によりポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルをエステル交換してポリアルキレンエーテルグリコールを製造する方法において、ダウンカマー及びバッフルを設置したトレイを有する段塔式反応装置であって、該バッフルの設置方向が、トレイ上方から流下した液が対面するダウンカマーへの主な流路に対して45〜90°の角度である段塔式反応装置を用いることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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