JP2002036460A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2002036460A
JP2002036460A JP2000219164A JP2000219164A JP2002036460A JP 2002036460 A JP2002036460 A JP 2002036460A JP 2000219164 A JP2000219164 A JP 2000219164A JP 2000219164 A JP2000219164 A JP 2000219164A JP 2002036460 A JP2002036460 A JP 2002036460A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニル樹脂シートを使用せずに、真空成
形性、折曲加工性及び接着性が良好な化粧シートとす
る。 【解決手段】 基材層1上にポリオレフィン系樹脂から
なる表面層2を積層した化粧シートSについて、基材層
とする非晶性ポリエステル樹脂の樹脂シートに、少なく
とも基材層側を極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂と
した表面層を溶融押出法等で積層する。例えば、表面層
は、基材側の内側表面層2Aを極性官能基含有ポリオレ
フィン系樹脂として、外側表面層2Bは極性官能基未含
有ポリオレフィン系樹脂とした2層構成を、共押出法で
形成する。また、装飾処理として、基材層と表面層間に
は絵柄層3等を適宜印刷形成したりする。また、基材層
と表面層は、接着剤層4を介して積層するのも好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の外装、内
装、建具、家具、車両内装等の表面装飾等に用いられる
化粧シートに関する。特に、塩化ビニル樹脂シートを使
用しない非塩ビ系の化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧シートの基材層や表面層等と
する樹脂シートには、塩化ビニル樹脂シートが多用され
てきたが、最近では、それに替わってポリオレフィン系
樹脂シート等の非塩ビ系の樹脂シートが使用される様に
なってきた。例えば、(1) 特開平6−16832号公
報、特許第2916130号公報等では、着色したポリ
オレフィン系樹脂シートを基材層として用い、これに絵
柄層を印刷形成した上で、オレフィン系熱可塑性エラス
トマー等のポリオレフィン系樹脂からなる透明な表面層
(表面シート)を積層し、基材層及び表面層共にポリオ
レフィン系樹脂からなる構成の化粧シートを開示してい
る。 (2) また、表面層はポリオレフィン系樹脂だが、基材層
にアクリル樹脂を用いた化粧シート等も試みられてき
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1) の様に基材層及び表面層の両層にポリオレフィン系
樹脂を用いた化粧シート、或いは上記(2) の様に基材層
にアクリル樹脂を用い表面層にポリオレフィン系樹脂を
用いた化粧シートは、いずれも、従来の塩化ビニル樹脂
シートを使用した化粧シートに比べて、必ずしも満足す
べき性能が得られてはいなかった。
【0004】例えば、真空成形性が不十分な場合があっ
た。この為、被着体の凹凸面へ真空成形積層法等で化粧
シートをラミネートする場合に、化粧シートの凹凸追従
性が不十分となったり、熱成形加工の適正条件幅が狭か
ったり(特に高結晶性ポリオレフィンを用いた場合)、
或いは、化粧シートが延ばされる部分でネッキングが発
生して局所的に不均一な伸びが発生したりする事があっ
た。また、Vカット加工等の折曲加工性が不十分な場合
があり、白化、亀裂、割れを生じ易かった。また、基材
層をポリオレフィン系樹脂とした場合は、ポリオレフィ
ン系樹脂は一般に難接着性の為に、化粧シートを被着体
にラミネートする際には、コロナ放電処理、オゾン処理
等の易接着処理や、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を
使用する等、接着性を十分に留意した処方とする必要が
あった。
【0005】一方、基材層にアクリル樹脂を用い表面層
にポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートの場合で
は、上記被着体との接着性の問題は解消するが、アクリ
ル樹脂は耐有機溶剤性が弱く、基材層とするアクリル樹
脂シートに絵柄層を印刷形成したり、表面層を塗工形成
する場合に、アクリル樹脂シートが膨潤して絵柄層の見
当ズレが発生したり、アクリル樹脂シートが版に巻き付
いたり白化したりする事があった。また、真空成形性、
或いは、Vカット加工等の折曲加工性も十分とは言えな
い場合があった。
【0006】そこで、本発明の課題は、塩化ビニル樹脂
シートを使用しない化粧シートでありながら、真空成形
性等の成形性、Vカット加工等の折曲加工性、及び、被
着体に対する接着性を良好にする事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために、本発明の化粧シートは、基材層上にポリオ
レフィン系樹脂からなる表面層を積層してなる化粧シー
トにおいて、基材層が非晶性ポリエステル樹脂からな
り、表面層の少なくとも基材層側が極性官能基含有ポリ
オレフィン系樹脂からなる構成とした。
【0008】この様に基材層に非晶性ポリエステル樹脂
を用いた構成とすることで、その物性によって、真空成
形性等の成形性、Vカット加工等の折曲加工性、及び被
着体に対する接着性を良好にすることができる。従っ
て、凹凸面へのラミネート時でも化粧シートの凹凸追従
性は良好となる。また、熱成形加工の適正条件幅も広く
成形加工し易い上、基材層によるネッキング発生も起き
ず、Vカット加工等の折曲加工時に白化、亀裂、割れを
生じ難い。そして、被着体にラミネート時に、易接着層
や接着剤に特別に留意する必要も無い。しかも、表面層
のポリオレフィン系樹脂は、少なくとも基材側を極性官
能基含有ポリオレフィン系樹脂とする層としてあるの
で、一般に密着性が悪いと言われているポリオレフィン
系樹脂系ではあっても、基材層と表面層との層間密着性
も良好な化粧シートにできる。
【0009】また、本発明の化粧シートは、上記構成に
於いて、更に基材層と表面層とが接着剤層を介して積層
されている構成とした。
【0010】この様な構成とすることで、基材層と表面
層との層間密着性は更に出し易くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧シートについ
て、図面を参照しながら実施の形態を説明する。
【0012】〔概要〕先ず、図1は本発明の化粧シート
の幾つかの形態例を示す断面図である。図1(A)の化
粧シートSは、最も基本的な層構成と言えるものであ
り、非晶性ポリエステル樹脂からなる基材層1上に、ポ
リオレフィン系樹脂からなり且つ少なくとも基材層1側
が極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂からなる表面層
2が形成され、これら基材層1と表面層2との2層から
構成された化粧シートである。この場合、表面層2は、
その厚み方向の全層が極性官能基含有ポリオレフィン系
樹脂からなる層でも良い。
【0013】なお、もちろんの事だが、例えば図1
(A)の様な構成の本発明の化粧シートSは、何らかの
装飾機能を有する。図1(A)の如く基材層1及び表面
層2のみからなる構成の化粧シートSで、これら両層が
無着色透明層の場合では、化粧シートを貼着する被着体
に対して、塗装感等の装飾効果を付与できる化粧シート
となる。但し、通常は更に高意匠とすべく何らかの装飾
処理が成された化粧シートとなる。例えば図1(A)の
場合では、基材層を着色剤添加により着色した層とする
装飾処理である。或いはまた、例えば次の図1(B)及
び(C)で例示する如く、絵柄層3等の印刷形成による
装飾処理等である。
【0014】次に、図1(B)の化粧シートSは、非晶
性ポリエステル樹脂からなる基材層1上に、絵柄層3が
印刷等で形成された上に、ポリオレフィン系樹脂からな
り且つ少なくとも基材層1側が極性官能基含有ポリオレ
フィン系樹脂からなる表面層2として、極性官能基含有
ポリオレフィン系樹脂からなる内側表面層2Aと、極性
官能基未含有ポリオレフィン系樹脂からなる外側表面層
2Bとの2層構成の表面層2を形成した例である。表面
層2をこの様に2層構成とする形態は、該表面層2を少
なくとも基材層1側が極性官能基含有ポリオレフィン系
樹脂からなる層とする形態として、(基材層全層を極性
官能基含有ポリオレフィン系樹脂からなる層とするより
は)コスト面等で好ましい一形態である。また、図1
(C)の化粧シートSは、図1(B)の構成に対して、
絵柄層3が形成された基材層1と表面層2とを、間に接
着剤層4を介して積層した構成例である。接着剤層4に
より、表面層2と基材層1や絵柄層3等との層間密着性
もより良好にし易くなる。また、図1(B)及び図
(C)等の形態に於いて、基材層1は着色隠蔽性とし
て、表面層2は無着色の透明とする構成は、代表的構成
でもある。
【0015】なお、上記絵柄層3は必須ではないが、意
匠表現上、通常は、各種模様を表現する為に印刷法等
で、基材層とする非晶性ポリエステル樹脂シートに対し
て形成する。そして、この絵柄層が形成された基材層
(印刷シート)に対して、表面層をポリオレフィン系樹
脂シートのドライラミネーション法や、或いは該樹脂の
溶融押出塗工法によって積層する。この際、表面層の基
材側を極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂とするに
は、例えば図1(B)及び(C)に例示の如く2層構成
の表面層等とする。表面層を2層構成とするには、二種
類の樹脂シートの熱融着等によるラミネート、2層共押
出等によると良い。
【0016】以下、各層について順をおって更に詳述す
る。
【0017】〔基材層〕基材層1は、非晶性ポリエステ
ル樹脂から構成する。この基材層は、通常は、該ポリエ
ステル樹脂からなる樹脂シートとして構成する。しか
し、基材層は、表面層を表面シートとして用意し、該表
面シートに対して該非晶性ポリエステル樹脂の溶融塗工
法で形成したりする他の方法によって形成する事も可能
である。そして、基材層に非晶性ポリエステル樹脂を使
用する事で、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び
被着体への接着性が良好となる。
【0018】上記非晶性ポリエステル樹脂としては、市
販されているものとして、例えば、イーストマンケミカ
ル社製の「Eastar PETG 6763」(商品
名)(押出グレード)が使用出来る他、既に樹脂シート
となっているものとしては、鐘紡株式会社による「カネ
ボウPETシート」(商品名)、帝人株式会社による
「テイジンテトロンシート」(商品名)、電気化学工業
株式会社による「デンカA−PETシート」(商品
名)、東洋紡績株式会社による「東洋紡PETMAXシ
ート」(商品名)、長瀬産業株式会社による「NAGA
SE A−PETシート」(商品名)、ポリテック株式
会社による「ポリテックA−PETシート」(商品
名)、SAEHAN社による「SAEHAN APET
SEET」(商品名)、三菱化学株式会社による「ノ
バクリアー」(商品名)、三井・デュポンポリケミカル
社による「シーラーPT」(商品名)等が使用できる。
なお、包装材料分野でA−PETと呼ばれている樹脂乃
至はシートは、非晶性ポリエステル樹脂である。
【0019】非晶性ポリエステル樹脂の酸成分及びジオ
ール成分は、例えば上記イーストマンケミカル社製の
「Eastar PETG 6763」の場合は、酸成
分にはテレフタル酸を、ジオール成分にはエチレングリ
コールの他の更に1,4−シクロヘキサンジメタノール
を併用した共重合樹脂である。エチレングリコールと
1,4−シクロヘキサンジメタノールとの割合を調整す
る事で、結晶化速度を約ゼロとする事ができると言われ
ている。また、この割合を調整する事で、物性を調整す
る事も出来る。
【0020】上記は非晶性ポリエステル樹脂の酸成分及
びジオール成分の一例であったが、本発明で使用する非
晶性ポリエステル樹脂としては、この他の酸成分及びジ
オール成分から構成される樹脂でも非晶性を呈する樹脂
であれば構わない。例えば、酸成分としては、テレフタ
ル酸以外にも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸の芳香族ジカルボン酸、或いは脂環式ジカルボ
ン酸、或いは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられ
る。また、ジオール成分としては、上述1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール以外のその他の脂環式ジオール、
或いは、プロピレングリコール、ブチレングリコール、
ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル等の脂肪族ジオール、キシレングリコール等の芳香族
ジオール等が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂は、
通常、ジオール及び酸成分の合計が3種以上となる様
に、これらの、1種又は2種以上のジオール成分と、1
種又は2種以上の酸成分との共重合体として得られる。
なお、非晶性とは結晶化を全く起こさない様な樹脂でも
良いが、非結晶性を呈する部分と共に結晶性を呈する部
分を有する樹脂でも良い。また、非晶性ポリエステル樹
脂には結晶性ポリエステル樹脂が混合されていても良
い。
【0021】なお、従来から化粧シートの基材層として
ポリエステル樹脂が使用される場合、該ポリエステル樹
脂としては2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PE
T)シートが一般的であり、このポリエチレンテレフタ
レートはエチレングリコール成分とテレフタル酸成分と
からなる結晶性ポリエステル樹脂であった。従って、真
空成形性等の成形性、Vカット加工等の折曲加工性が乏
しく、この様な用途の化粧シートに対しては使えなかっ
たのである。
【0022】なお、上述の如き非晶性ポリエステル樹脂
からなる基材層は、無着色透明でも良いが、無着色不透
明、着色透明、着色不透明(着色隠蔽性)等でも良い。
着色とするには、後述する絵柄層で述べる様な公知の着
色剤を樹脂中に添加すれば良い。
【0023】基材層は、通常は樹脂シートとして用意さ
れるが、その様な基材層の厚みは用途によるが、通常は
50〜300μm程度である。また、基材層は単層の他
に2層、3層等の複層構成であっても良い。
【0024】〔表面層〕表面層2は、ポリオレフィン系
樹脂からなり、しかもその少なくとも基材層側すなわち
内側を、極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂で構成し
た層である。特に内側を極性官能基含有ポリオレフィン
系樹脂とする事で、表面層と基材層或いは絵柄層等の表
面層と接する他の層との密着性を良好にできる。表面層
の内側を極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂で構成す
る好ましい一形態は、図1(B)の様に、表面層2を極
性官能基含有ポリオレフィン系樹脂で構成する内側表面
層2Aと、極性官能基未含有ポリオレフィン系樹脂で構
成する外側表面層2Bとの2層構成とした形態であっ
た。極性官能基は、例えば、カルボキシル基、カルボニ
ル基、ヒドロキシル基等であり、これら極性官能基の1
種又は2種以上がポリオレフィン系樹脂骨格に結合した
構造を極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂は有する。
外側表面層2Bのポリオレフィン系樹脂は極性官能基を
含有する樹脂でも良いが、少なくとも基材層等の内側の
層との密着性は考慮する必要が無いので、極性官能基は
含有しない極性官能基未含有ポリオレフィン系樹脂で構
わない。しかし、表面層の上に更に上塗り層等を形成
し、これらの密着性向上が必要な場合には、表面層の少
なくとも表側面も、極性官能基含有ポリオレフィン系樹
脂で構成した方が好ましい場合もある。この様な場合
は、図1(A)に例示の化粧シートSに於ける単層構成
の表面層2を、その全厚み分が極性官能基含有ポリオレ
フィン系樹脂で構成すると良い。或いは、図示は省略す
るが、内部を極性官能基未含有ポリオレフィン系樹脂と
して表裏両側(内外両側)を極性官能基含有ポリオレフ
ィン系樹脂とする3層構成の表面層としても良い。な
お、表面層のうち、内側表面層2A等の極性官能基含有
ポリオレフィン系樹脂で構成する部分は、物性調整等の
為に極性官能基未含有ポリオレフィン系樹脂を併用して
も良い。
【0025】そして、上記極性官能基未含有ポリオレフ
ィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、
又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、
ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレ
ン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリ
オレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性
エラストマーが用いられる。オレフィン系熱可塑性エラ
ストマーとしては、例えば下記のものが使用できる。
【0026】(1)特公平6−23278号公報記載
の、(A) ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが
25,000以上、且つ、質量平均分子量Mwと数平均
分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶
なアタクチックポリプロピレン10〜90質量%と、
(B) ハードセグメントとして、メルトインデックスが
0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタ
クチックポリプロピレン90〜10質量%、との混合物
からなる軟質ポリプロピレン。
【0027】この種のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加熱、加
圧により各種形状に成形したりエンボス加工する際に適
性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレ
ンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタ
クチックポリプロピレンの質量比で5質量%以上50質
量%以下のものである。ポリプロピレン系のオレフィン
系熱可塑性エラストマー自体は既に公知のものである
が、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強
度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチッ
クポリプロピレンの質量比が5質量%未満のものが専ら
使用されていた。しかしながら、三次元形状、乃至凹凸
形状に成形したりエンボス加工するという新規な用途に
これを適用しようとすると、前記の如くネッキングを生
じて良好な加工が不可能であった。そこで、従来の組成
の設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィン系熱可
塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレ
ンの質量比を5質量%以上とすることにより、エンボス
加工したり、三次元形状、乃至凹凸形状の物品表面形状
に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変
形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点を解
消する事ができる。特にアタクチックポリプロピレンの
質量比が20質量%以上の場合が良好である。一方、ア
タクチックポリプロピレンの質量比が増加し過ぎると、
シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した
ときにシートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場
合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。ま
た、成形時にも破れ易くなる為に好ましくない。アタク
チックポリプロピレンの質量比の上限としては、輪転グ
ラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷
し、また、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット
加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50
質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0028】(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、その
ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン
の3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共
重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を
一部含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の
好ましい具体例としては次の(i) 〜(iii) が挙げられ
る。 (i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体に
よるランダム共重合体である。単量体成分の質量比はプ
ロピレンが90質量%以上とする。メルトフローレート
は、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のも
のが好適である。そして、このような三元ランダム共重
合体100質量部に対して、燐酸アリールエステル化合
物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50質量部、
炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3質
量部を熔融混練してなるものである。 (ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、
エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であ
って、プロピレン成分含有率が50質量%以上の非晶質
重合体20〜100質量%に、結晶質ポリプロピレンを
80〜0質量%添加してなるものである。 (iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体
であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が
50質量%以上の低結晶質重合体20〜100質量%に
対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポ
リオレフィン80〜0質量%を混合した組成物に対し
て、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸
エステル等の油ゲル化剤を0.5質量%添加してなるも
のである。
【0029】なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii)
に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して
用いても良い。
【0030】(3)特公昭53−21021号公報記載
の如き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハ
ードセグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン
−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン
共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に
配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、
モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜
90/10(質量比)の割合で混合する。
【0031】(4)特公昭53−34210号公報等に
記載の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム
(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体
(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加
熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレ
フィン系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム
/(A) オレフィン系共重合体=60/40〜80/20
(質量比)である。
【0032】(5)特公昭56−15741号公報等に
記載の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1
共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を
減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合
体(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン
共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三
元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱すること
により、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モ
ノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)
ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合
・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド
非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質
成分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系
等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの
存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマ
ー。なお、(A) が90〜40質量部、(B) が10〜60
質量部で、(A) +(B) =100質量部として、これに、
(C) 及び/又は(D) が5〜100質量部の配合比とな
る。
【0033】(6)特開平2−139232号公報に記
載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体から
なるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0034】一方、上述の極性官能基含有ポリオレフィ
ン系樹脂としては、例えば、極性官能基としてヒドロキ
シル基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記
(1)から(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー
等を使用できる。例えば、エチレン−ビニルアルコール
共重合体等のグラフト重合でヒドロキシル基を、また、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカル
ボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーを用いる。極性官能基がこの様に例えばヒドロキシル
基とカルボキシル基の場合、どちらか一方、又は両方を
併用してもよい。また、極性官能基としては、カルボニ
ル基等でも良い。また、これら極性官能基を付与するポ
リオレフィン系樹脂としては、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー以外のポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリ
エチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピ
レン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高
結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂等でも良
い。
【0035】また、極性官能基含有ポリオレフィン系樹
脂としては、エチレンと、カルボン酸、カルボン酸塩、
カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボン酸ア
ミド又はカルボン酸イミド、アルデヒド、ケトン等に基
づくカルボニル基を単独で、或いは、シアノ基、ヒドロ
キシル基、エーテル基、オキシラン環等との組み合わせ
で有するエチレン系不飽和単量体の1種又は2種との共
重合体等も用いることができる。なお、この様な極性官
能基含有単量体の共重合比は、通常0.1〜10質量%
程度でその密着性向上効果が得られる。
【0036】なお、上記エチレン系不飽和単量体として
は、例えば次の(A) 〜(D) 等が挙げられる。なお、好ま
しくは、(A) エチレン系不飽和カルボン酸、或いは(B)
エチレン系不飽和無水カルボン酸が用いられる。また、
エチレンとエチレン系不飽和カルボン酸との共重合体の
金属中和物(アイオノマー)等も使用する事ができる。
【0037】(A) エチレン系不飽和カルボン酸;アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸等。 (B) エチレン系不飽和無水カルボン酸;テトラヒドロ無
水フタル酸等。 (C) エチレン系不飽和エステル;アクリル酸エチル、メ
タクリ酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マレ
イン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタクリル酸プロ
ピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、β−N−エチ
ルアミノエチルアクリレート等。 (D) エチレン系不飽和アミド又はイミド;アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、マレインイミド等。
【0038】なお、表面層の形成は、予め熔融押出法、
カレンダー法等の公知の成膜方法によってシート(フィ
ルム)化した樹脂シートを、基材層とするシートにドラ
イラミネーション、或いは熱融着によって積層する事で
形成できる。或いは、表面層とする樹脂を、基材層とす
るシートに対して、熔融押出塗工法(EC法)によって
成膜と同時に形成しても良い。また、図1(B)や図1
(C)で例示の2層構成の表面層の様に多層構成の表面
層は、シート化した各層を熱融着等で接着積層しても良
いが、熔融押出時に多層押出しする事で形成すれば良
い。なお、表面層(全体の)の厚みは、用途、層構成
(単層、多層)等によるが、通常は10〜300μm程
度である。また、表面層を2層等の多層構成する場合等
に於ける、極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂から構
成する内側表面層2Aは、層間密着性向上が目的である
ので、安定的に成膜できる厚さ以上であれば良く、通常
は10μm以上である。
【0039】なお、表面層2中には、必要に応じ、着色
剤、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加する。また、表面
層は通常はその下側に設ける絵柄層が透視可能な様に、
透明(無着色又は着色)とするが、表面層の下に絵柄層
が無く例えば表面層の着色自体が装飾機能を有する場合
等では、表面層は不透明であっも良い。
【0040】なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾ
トリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステ
ル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm
以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン
等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、
ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉
剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を
用いることができる。
【0041】〔装飾処理〕前述した如く、本発明の化粧
シートには通常は何らかの装飾処理が施されている。装
飾処理としては、基材層や表面層中への着色剤添加によ
る着色(透明又は不透明着色)、装飾層として図1
(B)や図1(C)の化粧シートSで示す様な、模様等
を表現する印刷等による絵柄層3の付与、或いは、エン
ボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による表面
層表面等への凹凸模様賦形等である。この様な装飾処理
は、化粧シートに於ける従来公知の各種装飾処理で良
い。また、各種装飾処理は、用途に応じて適宜組み合わ
せても使用する。なかでも、次に述べる絵柄層3は、装
飾処理によって設ける代表例でもある。
【0042】絵柄層3は、例えば、グラビア印刷、オフ
セット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの
転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷等公知の
印刷法によってインキにて形成する。また、全面ベタ柄
の場合は、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗
工法によって塗料で形成する事もできる。絵柄層の模様
としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、
幾何学図形、文字、記号、或いは全面ベタ等がある。な
お、絵柄層は、木目模様等の模様を表現する柄パターン
層と、全面ベタ層との組み合わせでも使用される。全面
ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層等として
使用される。但し、全面ベタ層を基材層と表面層との間
に表面層に接して設ける場合は、表面層は基材層と全く
接触しない為、表面層を少なくとも基材層側を極性官能
基含有ポリオレフィン系樹脂からなる層とする目的は、
表面層と基材層との直接の層間密着性で無く、表面層と
該全面ベタ層からなる絵柄層と層間密着性向上が目的と
なる。
【0043】なお、絵柄層は、通常は、基材層1とする
樹脂シートに印刷形成する為、図1(B)及び(C)で
例示する化粧シートSの如く、基材層1の表側面に形成
されるが、この他、絵柄層は、基材層の裏面、表裏両
面、或いは、表面層を樹脂シートで形成する場合では、
該樹脂シートの裏側面、表側面、表裏両面等も可能であ
る。特に、本発明では、基材層に非晶性ポリエステル樹
脂を使用しているので、従来、基材層にアクリル樹脂シ
ートを使用した場合に起き易かった印刷時の耐有機溶剤
性の問題が起き難いので、基材層とする樹脂シートに対
して絵柄層を形成する方法、及びそれによる層構成は、
好ましい形態の一つである。
【0044】なお、上記絵柄層形成に用いるインキ(或
いは)塗料としては、バインダーとして、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、
或いは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等
の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2二種以上混
合して用いる。また、上記インキ(或いは)塗料に用い
る着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群
青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラッ
ク等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイ
エローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4
R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、
アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、
アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、
二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる
真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を、1種又は2種
以上混合して用いる。
【0045】上述絵柄層は、装飾層として形成する代表
的な層の一つであったが、装飾層としては、金属薄膜層
等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロ
ム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリ
ング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせで
も良い。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部
分的にパターン状に設けても良い。
【0046】装飾処理としての凹凸模様賦形では、凹凸
模様を、ヘアライン加工、サンドブラスト加工、エンボ
ス加工等により賦形する。例えば、エンボス加工は、熱
プレス方式の枚葉又は輪転式エンボス機を用いて、加熱
軟化させた樹脂シートの表面にエンボス版を押圧して形
成する。該樹脂シートは、表面層とする樹脂シート、或
いは基材層とする樹脂シートである。また、凹凸模様の
賦形は、樹脂シートの成膜と同時に賦形しても良い。例
えば、Tダイ溶融押出法にて、冷却ローラとして凹凸模
様を冷却面に有するエンボス兼冷却ローラを用いて、成
膜と同時に賦形する方法等である。また、凹凸模様の賦
形は、基材層とする樹脂シートと、表面層とする樹脂シ
ートとを積層すると同時に、表面層とする樹脂シートの
表側面に熱圧によるエンボス加工で賦形する所謂ダブリ
ングエンボス法によって、賦形する方法もある。なお、
凹凸模様としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗
岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘア
ライン、万線条溝等である。また、凹凸模様は通常は表
面層の表側面だが、表面層裏側面、基材層表側面、基材
層裏側面の場合もある。
【0047】また、装飾処理としては、凹凸模様の凹部
内に公知のワイピング法(特公昭58−14312号公
報等参照)によって、着色インキを充填して着色部を形
成することもできる。着色インキは前記絵柄層と同様の
物が可能である。但し、耐摩耗性の点で、2液硬化型ウ
レタン樹脂をバインダーとする物が好ましい。なお、ワ
イピング法は、ドクダーブレード法、ロールコート法
等、従来から使用されているワイピング法のいずれによ
っても良い。すなわち、凹凸模様全面に着色インキを塗
工し、而る後に、凸部のインキをドクダーブレード、ス
ポンジロール、布等で掻き落としたり、拭き取ったりし
て、凹部に着色インキを残留させるようにする。
【0048】また、装飾処理には、艶調整、塗装感等の
意匠性付与の為の上塗り層を、表面層の上に更に形成す
る処理等もある。但し、上塗り層は化粧シートの最表面
層となる為に、装飾処理と言うよりは、耐擦傷性、耐汚
染性等の表面物性の向上目的で通常は設ける。もちろ
ん、装飾と表面物性向上の両方を目的に設ける事もあ
る。上塗り層には、2液硬化型等のウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、アクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂等
の樹脂が使用される。上塗り層の形成は、これら樹脂か
らなる塗液を用いてグラビアコート、ロールコート等の
公知の塗工法で形成する。なお、上塗り層中には、必要
に応じ適宜、炭カルシウム、シリカ等の艶消し剤、アル
ミナ、シリカ等の減磨剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着
色剤等の公知の添加剤を添加する。また、上塗り層の厚
さは通常1〜10μm程度である。
【0049】〔接着剤層〕接着剤層4は、基材層1と表
面層2との間に設けてこれらの層間密着性を向上させる
層であるが、好ましくは図1(C)の如く、表面層2の
基材側面に接する様に設ける。その結果、本発明では表
面層2を、その基材側の面を極性官能基含有ポリオレフ
ィン系樹脂から構成してはいるが、該接着剤層によって
更に、表面層の基材側の面に接する層(基材層、絵柄層
等)との密着性をより向上させる事ができる。
【0050】接着剤層4としては、2液硬化型ウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、或いは、塩素化ポリプロピレン等
の塩素化ポリオレフィン樹脂等を使用すれば良い。接着
剤層は、これら樹脂による塗料又はインキを、ロールコ
ート、グラビア印刷等の公知の塗工又は印刷法で形成す
れば良い。形成対象は、表面層とする樹脂シート、基材
層とする樹脂シート、或いはこれら両方である。そし
て、例えば、表面層とする樹脂シートに接着剤層を形成
後、この樹脂シートと、基材層とする樹脂シートに絵柄
層等を印刷した印刷シートとを、該接着剤層を介してド
ライラミーション法等によって接着積層して化粧シート
とする。
【0051】なお、上記2液硬化型ウレタン樹脂は、ポ
リオールを主剤としイソシアネートを架橋剤(硬化剤)
とするウレタン樹脂である。ポリオールは分子中に2個
以上のヒドロキシル基を有する化合物で、例えばポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタ
ンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートと
しては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する
多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−ト
リレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、
ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメ
タンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或い
は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ
ート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の
脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。
或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体又は多量
体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリ
レンジイソシアネート3量体(trimer)等も用い
られる。
【0052】〔化粧シートの被着体〕なお、本発明の化
粧シートの用途は特に限定されず、各種被着体の表面に
積層して表面を化粧する用途に用いる。被着体は各種素
材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或
いはフィルム)等である。例えば、木材単板、木材合
板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の
木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる
木質板素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状物品
或いはシート等として用いられる金属素材、ガラス、陶
磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材
料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯
業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯
業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロ
ース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシート
等として用いられる樹脂素材、或いは、専らシートとし
て用いられる上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガラ
ス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布が挙げ
られる。
【0053】〔化粧シートの被着体への積層方法〕被着
体への化粧シートの積層方法としては、例えば(1) 接着
剤を間に介して板状の被着体に加圧ローラーで加圧して
積層する方法、(2) 特公昭50−19132号公報、特
公昭43−27488号公報等に記載される様に、化粧
シートを射出成形の雌雄両金型間に配置した後、溶融樹
脂を型内に射出充填し、樹脂成型品である被着体の成形
と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射
出成形同時ラミネート方法、(3) 特公昭56−4576
8号公報、特公昭60−58014号公報等に記載され
る様に、立体形状の被着体の表面に化粧シートを、間に
接着剤を介して対向又は載置し、被着体側からの少なく
とも真空吸引と更に適宜化粧シート側からの圧空押付け
の併用による圧力差により化粧シートを被着体の表面に
積層する、所謂真空成形積層方法、(4) 特公昭61−5
895号公報、特公平3−2666号公報等に記載され
るように、円柱、多角柱等の柱状の被着体の長軸方向
に、化粧シートを間に接着剤を介して供給しつつ、複数
の向きの異なるローラーにより、被着体を構成する複数
の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、
所謂ラッピング加工方法が有る。
【0054】なお、化粧シートを積層して化粧板とした
物に対する更なる加工方法としては、実公大15−31
122号公報、特開昭48−47972号公報に記載さ
れる様に、まず化粧シートを板状の被着体に間に接着剤
を介して積層して化粧板とし、化粧シートとは反対側の
面に、化粧シートと被着体との界面に到達する、断面が
V字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤
を塗布した上で該溝を折り曲げ箱体又は柱状体を成形す
る所謂、Vカット又はUカット加工法等の折曲加工法が
ある。
【0055】特に、本発明の化粧シートでは、真空成形
性等の成形性、及び折曲加工性を確保してあるので、上
記方法のうち(2) 、(3) 、(4) 等の積層方法、及びVカ
ット加工法等の折曲加工方法が好適である。
【0056】〔化粧シート及びその積層物の用途〕本発
明の化粧シートは各種被着体に積層し、必要に応じて所
定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例えば、
壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具
の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの
表面化粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内装、船
舶内装、窓硝子の化粧等である。
【0057】
【実施例】以下、本発明の化粧シートを実施例により更
に説明する。
【0058】〔実施例1〕図1(B)に示す構成の化粧
シートSを、次の様にして作製した。先ず、基材層1と
して、非晶性ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル
社製、「Easter PETG 6763」(商品
名)〕に、着色剤としてチタン白、黄鉛、弁柄を主体と
する着色顔料を添加して、黄褐色に着色した着色樹脂を
熔融押出法で成膜して、厚さ60μmで隠蔽性の着色樹
脂シートを用意した。次に、上記着色樹脂シートの片面
に、木目模様の絵柄層3を印刷形成して印刷シートとし
た。該絵柄層は、バインダーの樹脂に、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1質量比の混
合樹脂を使用し、着色剤に弁柄及びカーボンブラックを
使用した着色インキをグラビア印刷して形成した。
【0059】そして、上記印刷シートの絵柄層印刷面に
対して、2層共押出法によって、厚さ10μmの内側表
面層2A及び厚さ50μmの外側表面層2Bとからなる
2層構成で厚さ60μmの表面層2を成膜と同時に積層
して、化粧シートSを得た。なお、内側表面層2Aに
は、マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン系の
オレフィン系熱可塑性エラストマー(アイソタクチック
ポリプロピレン/アタクチックポリプロピレン=75/
25質量比混合)を、極性官能基含有ポリオレフィン系
樹脂として使用した。一方、外側表面層2Bには、エチ
レン−プロピレンランダム共重合体系のオレフィン系熱
可塑性エラストマーにベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤を0.5重量%及びヒンダードアミン系光安定剤を
0.3重量%添加した樹脂を、極性官能基未含有ポリオ
レフィン系樹脂として使用した。
【0060】〔実施例2〕図1(C)に示す構成の化粧
シートSを、次の様にして作製した。実施例1に於い
て、基材層1に絵柄層3を形成した印刷シートに、表面
層3を2層共押出法で積層する前に、前記印刷シートの
絵柄層印刷面に対して、アクリルポリオール100質量
部と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート8質量部
とからなる2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を塗工し
て、厚さ10μmの接着剤層4を形成した後、表面層2
を積層して、化粧シートとした。
【0061】〔比較例1〕基材層としてエチレン−プロ
ピレンランダム共重合体からなる厚み60μmの樹脂シ
ートを使用して、この樹脂シートの片面に実施例1同様
の絵柄層を印刷形成して印刷シートとした後、該絵柄層
印刷面に、表面層としてエチレン−プロピレンランダム
共重合体系のオレフィン系熱可塑性エラストマーを熔融
押出塗工法で成膜と同時に積層して、化粧シートを作製
した。
【0062】〔比較例2〕比較例1に於いて、基材層と
して、厚さ60μmのアクリル樹脂シートを使用した他
は、比較例1と同様にして化粧シートを作製した。
【0063】〔性能評価〕真空成形性と、化粧シートの
層間密着性の評価結果について、表1に示す。なお、真
空成形性と層間密着性は次の様にして評価した。
【0064】(1) 真空成形性:縦横各100mm、厚さ
30mmのラワン合板の表面中央部に、深さ5mmで角
度90度の断面V字状の直線状V溝を形成したものを被
着体として、この被着体に、裏面にウレタン系接着剤を
施した上記化粧シートを、真空成形積層方法にて貼り合
わせた。そして、化粧シートが上記V溝内に綺麗に成形
されて入り込んだものは良好、V溝から浮いていたもの
は不良とした。
【0065】(2) 層間密着性:基材層と表面層間の層間
密着性について、25mm幅に切断した化粧シートの端
部分を、基材層側と表面層側の二つに引き剥がした後、
引張試験機を用いたT型剥離試験により基材層側と表面
層側とを引き剥がし、その時の剥離強度で評価した。剥
離強度が20〔N/25mm幅〕(約2kgf/25m
m幅)以上は良好、それ未満は不良とした。
【0066】
【表1】
【0067】表1の如く、実施例1及び実施例2は、真
空成形性、層間密着性共に良好であった。しかし、比較
例1は何方も不良であり、また、基材層がアクリル樹脂
である比較例2は、真空成形性は一応満足したものの、
層間密着性が不良であった。なお、被着体との接着性
は、各実施例及び比較例2は良好であったが、基材層に
ポリオレフィン系樹脂を用いた比較例1は十分とは言え
ず不良であった。また、Vカット加工適性は実施例1及
び実施例2は良好であったが、比較例1及び比較例2
は、十分とは言えず不良であった。
【0068】
【発明の効果】(1) 本発明の化粧シートによれば、真空
成形等の成形性、折曲加工性、及び被着体に対する接着
性が良好となる。この結果、成形性が良好な為に、凹凸
面へのラミネート時でも化粧シートの凹凸追従性が良
く、また、熱成形加工の適正条件幅も広く成形加工し易
い上、基材層によるネッキング発生も起きない。また、
折曲加工性が良好な為に、Vカット加工等の折曲加工時
に、ネッキングや、白化、亀裂、割れを生じ難い。そし
て、接着性が良好な為に、化粧シートを被着体にラミネ
ート時に、易接着層や接着剤に特別に留意する必要も無
い。また、化粧シート層内の層間密着性も良好となる。
【0069】(2) また、基材層と表面層間に接着剤層を
設けた構成とすれば、基材層と表面層との層間密着性は
更に出し易くなり、化粧シート層内の層間密着性はより
良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの幾つかの形態例を示す断
面図。
【符号の説明】
1 基材層 2 表面層 2A 極性官能基含有ポリオレフィン系樹脂からなる内
側表面層 2B 極性官能基未含有ポリオレフィン系樹脂からなる
外側表面層 3 絵柄層 4 接着剤層 S 化粧シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03B AK03K AK07 AK24 AK41A AK64 AL04 AL06B AL09 AT00A BA02 CA05 CA07 CA13 EH20 HB00 HB31 JA12A JL01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材層上にポリオレフィン系樹脂からな
    る表面層を積層してなる化粧シートにおいて、 基材層が非晶性ポリエステル樹脂からなり、表面層の少
    なくとも基材層側が極性官能基含有ポリオレフィン系樹
    脂からなる、化粧シート。
  2. 【請求項2】 基材層と表面層とが接着剤層を介して積
    層されている、請求項1記載の化粧シート。
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