JP2002154186A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2002154186A
JP2002154186A JP2000352889A JP2000352889A JP2002154186A JP 2002154186 A JP2002154186 A JP 2002154186A JP 2000352889 A JP2000352889 A JP 2000352889A JP 2000352889 A JP2000352889 A JP 2000352889A JP 2002154186 A JP2002154186 A JP 2002154186A
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overcoat layer
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polyolefin
decorative sheet
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JP2000352889A
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English (en)
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Masabumi Shimizu
正文 清水
Reiko Suga
玲子 菅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹凸模様を有するオレフィン系化粧シートに
て、耐候性の為に添加する紫外線吸収剤のブリードアウ
トによる白化や上塗り層の剥離等の悪影響、及び上塗り
層による凹凸模様の埋没を防ぎつつ、耐摩耗性、耐擦傷
性を良くする。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂層1上に2液硬化
型ウレタン樹脂の硬化物による上塗り層2が形成され且
つ熱圧エンボス加工による凹凸模様3が形成された化粧
シートSを、ポリオレフィン系樹脂層が分子中にヒドロ
キシル基を有する紫外線吸収剤を含有し、上塗り層を凹
凸模様の凹部3A及び凸部3Bを含む全面に形成される
第1上塗り層2Aと、その上で且つ少なくとも凸部上に
形成される第2上塗り層2Bとから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の外装、内
装、建具、家具、車両内装等の表面装飾等に用いられる
化粧シートに関する。特に、塩化ビニル樹脂シートを使
用しない非塩ビ系の化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、印刷絵柄の他に更に意匠性を
高める為に、熱圧によるエンボス加工で、装飾層印刷済
みの塩化ビニル樹脂シート等を加熱軟化させて凹凸模様
を付与した化粧シートが各種用途で使用されている(特
公昭58−14312号公報等参照)。また、通常は、
耐摩耗性や耐擦傷性を考慮して、化粧シート表面には2
液硬化型ウレタン樹脂等による塗液で上塗り層を形成
し、また耐候性を考慮して樹脂シート等の樹脂層中には
紫外線吸収剤を添加する事が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、環境
問題への配慮から、従来多用されて来た塩化ビニル樹脂
は、化粧シート廃棄燃焼時に塩化水素ガスを発生したり
する点から、次第に塩化ビニル樹脂に替わってポリオレ
フィン系樹脂等の非塩ビ系樹脂を使用する傾向になって
きている。これに呼応して、基材シート等とするポリオ
レフィン系樹脂層中に紫外線吸収剤を添加し、更に凹凸
模様及び上塗り層を設けた構成の化粧シート等も提案さ
れている(特開平11−99597号公報等参照)。と
ころが、この様なオレフィン系の化粧シートの場合、塩
化ビニル樹脂を使用した従来の化粧シートの場合には見
られなかった問題に直面した。
【0004】それは、ポリオレフィン系樹脂層(基材シ
ートや表面シート等として形成される)に含有させた紫
外線吸収剤がブリードアウトし易く、使用環境下(特に
高温時)で経時的にブリードアウトする上、凹凸模様を
形成する為のエンボス加工時の熱でもブリードアウトし
てしまい製造段階から問題が発生した。この結果、エン
ボス加工後のポリオレフィン系樹脂層表面に2液硬化型
ウレタン樹脂等で上塗り層を形成すると、ブリードアウ
トした紫外線吸収剤によって上塗り層の塗膜が均一に形
成されずに艶ムラが発生したり、表面にブリードアウト
してきた紫外線吸収剤が塗膜の密着を阻害して、上塗り
層のポリオレフィン系樹脂層に対する密着性が悪くなっ
たりする問題であった。上記艶ムラの問題は、一般的に
は上塗り層を厚くすれば回避できるが、上塗り層が厚す
ぎると凹凸模様の凹部が埋まってしまう為に限界があ
り、凹凸模様を残したまま艶ムラの解決する事は出来な
かった。
【0005】そこで、エンボス加工時の熱によって表面
にブリードアウトした紫外線吸収剤による上塗り層の密
着性低下の問題を解決すべく、エンボス加工前に上塗り
層を形成してその密着性を確保する事を試みた。しか
し、この場合、上塗り層の上からエンボス加工する為
に、該上塗り層にはエンボス加工で変形して凹凸模様が
形成できる様なある程度の柔らかさ(成形性)が要求さ
れる。この為、軟質の上塗り層を形成してエンボス加工
適性を満足させると、今度は肝心の上塗り層形成目的で
ある耐摩耗性や耐擦傷性が不足した。一方、硬質の上塗
り層を形成して耐摩耗性や耐擦傷性を満足させると、エ
ンボス加工時に上塗り層に亀裂が発生する上、その亀裂
から使用環境下や後加工時に紫外線吸収剤がブリードア
ウトしてしまうという、新たな問題が発生した。
【0006】すなわち、本発明の課題は、上述の如く、
塩化ビニル樹脂シートを使用しないオレフィン系の凹凸
模様を有する化粧シートについて、耐候性の為に添加す
る紫外線吸収剤のブリードアウトによる白化や上塗り層
の剥離等の悪影響、上塗り層による凹凸模様の埋没を防
ぎつつ、耐摩耗性及び耐擦傷性を良くする事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために、本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系
樹脂層の表面側に、2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物か
らなる上塗り層が形成され且つ熱圧エンボス加工による
凹凸模様が形成されている化粧シートにおいて、ポリオ
レフィン系樹脂層が分子中にヒドロキシル基を有する紫
外線吸収剤を含有し、上塗り層が該ポリオレフィン系樹
脂層上の凹凸模様の凹部及び凸部を含む全面に形成され
る第1上塗り層と、該第1上塗り層上に形成され且つ前
記凹凸模様の少なくとも凸部上に形成される第2上塗り
層からなる構成とした。
【0008】この様な構成とすることで、先ず、紫外線
吸収剤が上塗り層までブリードアウトしてきても、上塗
り層は2液硬化型のウレタン樹脂で形成してあるので、
その硬化時のイソシアネート基を残基として残して紫外
線吸収剤のヒドロキシル基と反応させることで、上塗り
層で紫外線吸収剤をトラップ(捕捉)する事が出来る様
になる。更に、上塗り層を全面に形成する第1上塗り層
と少なくとも凸部上に形成する第2上塗り層との2層構
成としてあるので、第1上塗り層にエンボス加工適性を
持たせてエンボス加工による亀裂発生を防ぎ、第1上塗
り層形成後に熱圧エンボス加工したりする事が容易とな
る。それは、エンボス加工時の上塗り層は第1上塗り層
のみとなる為に、その分薄くできる上、第2上塗り層の
下側の第1上塗り層は該第2上塗り層に比べて耐摩耗性
や耐擦傷性よりもエンボス加工適性の方を重視した層と
して形成できるからである。その結果、エンボス加工後
に単層の上塗り層を形成する場合に発生した、紫外線吸
収剤のブリードアウトによる上塗り層の艶ムラ及び密着
性低下は第1上塗り層によって回避できる。しかも、第
2上塗り層を凸部上のみに形成すれば凹凸模様の凹部が
埋まってしまう事も回避できる。更に、第1上塗り層と
第2上塗り層の両層によって、上塗り層として要求され
る厚みも十分に確保できるので、耐摩耗性及び耐擦傷性
も得られる事になる。
【0009】また、本発明の化粧シートは、上記構成に
対して更に、第2上塗り層が第1上塗り層よりも無機粒
子を多く含有する構成とした。例えば、第2上塗り層が
無機粒子を含有し、第1上塗り層は無機粒子を含有しな
い構成とした。
【0010】この様な構成とすることで、ポリオレフィ
ン系樹脂層側の第1上塗り層は第2上塗り層に比べて軟
質に、最表面側の第2上塗り層は第1上塗り層に比べて
硬質にする事ができる。この為、エンボス加工前に第1
上塗り層のみを形成しておく場合に、第1上塗り層はよ
りエンボス加工適性を重視し、第2上塗り層はより耐摩
耗性及び耐擦傷性を重視した層として形成することで、
凹凸模様の埋没やエンボス加工による上塗り層の亀裂発
生等を回避しつつ、上塗り層全体としての耐摩耗性及び
耐擦傷性をより良くできる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧シートについ
て、図面を参照しながら実施の形態を説明する。
【0012】〔概要〕先ず、図1は本発明の化粧シート
の一形態を例示する断面図である。図1の化粧シートS
は、分子中にヒドロキシル基を有する紫外線吸収剤が添
加されているポリオレフィン系樹脂層1上に、熱圧エン
ボス加工によって凹凸模様3として凹部3A及び凸部3
Bが形成され、且つ該ポリオレフィン系樹脂層1上に2
液硬化型ウレタン樹脂の硬化物による上塗り層2とし
て、前記凹部3A及び凸部3Bを含む全面に形成される
第1上塗り層2Aと、少なくとも凸部3B上に形成され
る第2上塗り層2Bが形成された構成であり、同図では
該第2上塗り層2Bは凸部3B上のみに形成された構成
である。なお、第2上塗り層2Bは、凹凸模様の凹部3
Aを埋め尽くさなければ、全面に形成されていても良い
(図2参照)。
【0013】また、上塗り層2のうち第2上塗り層が第
1上塗り層よりも無機粒子を多く含有する構成、例えば
第2上塗り層には無機粒子を添加し、第1上塗り層には
無機粒子を添加しない構成とすると、表面側の第2上塗
り層は主として耐摩耗性及び耐擦傷性を考慮して(相対
的に)硬質とし、内側の第1上塗り層は熱圧エンボス加
工前に形成する事を前提に主としてエンボス加工適性を
考慮して(相対的に)軟質とする事も可能となり、製造
容易な化粧シートとなる。
【0014】なお、図1に例示の化粧シートSの構成
は、基本的とも言える構成であるが、本発明の化粧シー
トは、例えば図2に例示の如く、凹凸模様3や上塗り層
2以外による装飾機能、例えば印刷絵柄を表現した装飾
層4等の従来公知の化粧シートに於ける層構成を更に採
用しても良い。また、図2の化粧シートSでは、樹脂層
等からなる裏打層5を設けてあり、裏打層を樹脂シート
等のシートから構成する場合には、前記装飾層4はこの
裏打層に印刷等で形成して、これをポリオレフィン系樹
脂層1と間に適宜接着剤層6を介して積層する等しても
良い。
【0015】また、上塗り層2は通常は下側に装飾層を
形成する等の為に透明とするが、不透明(着色或いは無
着色)であっても良い。また、ポリオレフィン系樹脂層
もその下側に装飾層を形成する場合等では該装飾層が透
視可能な様に透明(着色或いは無着色)とするが、その
必要がなければ必ずしも透明でなくても良い。例えば図
2に例示の化粧シートSの構成においては、裏打層5は
着色隠蔽性(不透明)として、装飾層4上に位置するポ
リオレフィン系樹脂層1及び上塗り層2は無着色透明と
する構成は、代表的構成でもある。
【0016】以下、各層について順をおって更に詳述す
る。
【0017】〔ポリオレフィン系樹脂層〕ポリオレフィ
ン系樹脂層1は、その樹脂成分がポリオレフィン系樹脂
からなる層であるが、本発明ではこの層に分子中にヒド
ロキシル基を有する紫外線吸収剤を添加しておく。この
様なポリオレフィン系樹脂層は、図1の様に裏打層が無
い構成の場合には、通常は樹脂シートとして用意され
る。なお、裏打層を樹脂シート等の裏打シートとして用
意する場合には、ポリオレフィン系樹脂層は裏打シート
に対してポリオレフィン系樹脂の溶融塗工法で形成する
事もできる。或いは、ポリオレフィン系樹脂層及び裏打
層をシートとして用意する場合には、2液硬化型ウレタ
ン樹脂等の接着剤を介してドライラミネーション法でこ
れらシートを積層する事もできる。
【0018】なお、ポリオレフィン系樹脂としては、公
知の樹脂を使用できる。例えば、ポリエチレン(低密
度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合
体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラ
ストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーが用いられる。オレフィン系
熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記のものが使
用できる。
【0019】(1)特公平6−23278号公報記載
の、(A) ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが
25,000以上、且つ、質量平均分子量Mwと数平均
分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶
なアタクチックポリプロピレン10〜90質量%と、
(B) ハードセグメントとして、メルトインデックスが
0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタ
クチックポリプロピレン90〜10質量%、との混合物
からなる軟質ポリプロピレン。
【0020】この種のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加熱、加
圧により各種形状に成形したりエンボス加工する際に適
性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレ
ンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタ
クチックポリプロピレンの質量比で5質量%以上50質
量%以下のものである。ポリプロピレン系のオレフィン
系熱可塑性エラストマー自体は既に公知のものである
が、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強
度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチッ
クポリプロピレンの質量比が5質量%未満のものが専ら
使用されていた。しかしながら、三次元形状、乃至凹凸
形状に成形したりエンボス加工するという新規な用途に
これを適用しようとすると、前記の如くネッキングを生
じて良好な加工が不可能であった。そこで、従来の組成
の設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィン系熱可
塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレ
ンの質量比を5質量%以上とすることにより、エンボス
加工したり、三次元形状、乃至凹凸形状の物品表面形状
に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変
形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点を解
消する事ができる。特にアタクチックポリプロピレンの
質量比が20質量%以上の場合が良好である。一方、ア
タクチックポリプロピレンの質量比が増加し過ぎると、
シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した
ときにシートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場
合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。ま
た、成形時にも破れ易くなる為に好ましくない。アタク
チックポリプロピレンの質量比の上限としては、輪転グ
ラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷
し、また、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット
加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50
質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0021】(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、その
ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン
の3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共
重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を
一部含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の
好ましい具体例としては次の(i) 〜(iii) が挙げられ
る。 (i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体に
よるランダム共重合体である。単量体成分の質量比はプ
ロピレンが90質量%以上とする。メルトフローレート
は、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のも
のが好適である。そして、このような三元ランダム共重
合体100質量部に対して、燐酸アリールエステル化合
物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50質量部、
炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3質
量部を熔融混練してなるものである。 (ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、
エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であ
って、プロピレン成分含有率が50質量%以上の非晶質
重合体20〜100質量%に、結晶質ポリプロピレンを
80〜0質量%添加してなるものである。 (iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体
であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が
50質量%以上の低結晶質重合体20〜100質量%に
対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポ
リオレフィン80〜0質量%を混合した組成物に対し
て、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸
エステル等の油ゲル化剤を0.5質量%添加してなるも
のである。
【0022】なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii)
に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して
用いても良い。
【0023】(3)特公昭53−21021号公報記載
の如き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハ
ードセグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン
−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン
共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に
配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、
モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜
90/10(質量比)の割合で混合する。
【0024】(4)特公昭53−34210号公報等に
記載の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム
(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体
(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加
熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレ
フィン系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム
/(A) オレフィン系共重合体=60/40〜80/20
(質量比)である。
【0025】(5)特公昭56−15741号公報等に
記載の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1
共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を
減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合
体(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン
共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三
元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱すること
により、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モ
ノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)
ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合
・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド
非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質
成分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系
等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの
存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマ
ー。なお、(A) が90〜40質量部、(B) が10〜60
質量部で、(A) +(B) =100質量部として、これに、
(C) 及び/又は(D) が5〜100質量部の配合比とな
る。
【0026】(6)特開平2−139232号公報に記
載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体から
なるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0027】(7)極性官能基としてヒドロキシル基又
は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)から
(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、
エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合
でヒドロキシル基を、また、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレ
フィン系熱可塑性エラストマーを用いる。極性官能基が
この様に例えばヒドロキシル基とカルボキシル基の場
合、どちらか一方、又は両方を併用してもよい。また、
極性官能基としては、カルボニル基等でも良い。これら
極性官能基は、第1上塗り層、裏打層、装飾層等のポリ
オレフィン系樹脂層と接して形成される他の層と該ポリ
オレフィン系樹脂層との密着性を向上させる作用を持
つ。
【0028】なお、上記(7)は、オレフィン系熱可塑
性エラストマーに於いて極性官能基を付与した(極性官
能基含有)ポリオレフィン系樹脂の例示であったが、上
記の様な極性官能基をオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー以外のポリオレフィン系樹脂に付与した樹脂も使用で
きる。例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高
密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブ
テン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブ
テン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフ
ィン系樹脂等に上記の様な極性官能基を付与した樹脂で
ある。
【0029】なお、極性官能基含有ポリオレフィン系樹
脂としては、エチレンと、カルボン酸、カルボン酸塩、
カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボン酸ア
ミド又はカルボン酸イミド、アルデヒド、ケトン等に基
づくカルボニル基を単独で、或いは、シアノ基、ヒドロ
キシル基、エーテル基、オキシラン環等との組み合わせ
で有するエチレン系不飽和単量体の1種又は2種との共
重合体等も用いることができる。なお、この様な極性官
能基含有単量体の共重合比は、通常0.1〜10質量%
程度でその密着性向上効果が得られる。
【0030】なお、上記エチレン系不飽和単量体として
は、例えば次の(A) 〜(D) 等が挙げられる。なお、好ま
しくは、(A) エチレン系不飽和カルボン酸、或いは(B)
エチレン系不飽和無水カルボン酸が用いられる。また、
エチレンとエチレン系不飽和カルボン酸との共重合体の
金属中和物(アイオノマー)等も使用する事ができる。
【0031】(A) エチレン系不飽和カルボン酸;アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸等。 (B) エチレン系不飽和無水カルボン酸;テトラヒドロ無
水フタル酸等。 (C) エチレン系不飽和エステル;アクリル酸エチル、メ
タクリ酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マレ
イン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタクリル酸プロ
ピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、β−N−エチ
ルアミノエチルアクリレート等。 (D) エチレン系不飽和アミド又はイミド;アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、マレインイミド等。
【0032】ところで、ポリオレフィン系樹脂層の形成
は、予め熔融押出法、カレンダー法等の公知の成膜方法
によってシート(フィルム)化した樹脂シートとして用
意することができる。或いは、裏打層を設けた構成で
は、該裏打層とする樹脂シート等の裏打シートに、ポリ
オレフィン系樹脂層とする特定の紫外線吸収剤添加済み
の樹脂を、熔融押出塗工法(EC法)によって成膜と同
時に形成しても良い。後者の場合、装飾層を裏打層とポ
リオレフィン系樹脂層間に設ける構成とする際は、裏打
シートに対して、印刷等により形成しておけば良い。
【0033】ポリオレフィン系樹脂層に含有させる分子
中にヒドロキシル基を有する紫外線吸収剤としては、分
子中にヒドロキシル基を有する有機系の化合物を使用で
きる。例えば、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−
ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter
t−アミル−5′−イソブチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−
イソブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベン
ゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−イソ
ブチル−5′−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール等の、2′−ヒドロキシフェニル−5−ク
ロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の、2′
−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤類等の、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,
2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン等の、2,2′−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等
の、2ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、等
のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニ
ル、4−tert−ブチル−フェニル−サリシレート等
のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が用いられる。そ
の他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又は
メタクリロイル基を導入した反応性紫外線吸収剤等も用
いられる。なお、これら紫外線吸収剤の添加量は、樹脂
分に対して、通常、0.1〜5質量%程度である。
【0034】なお、紫外線による各層の劣化をさらに防
止し、耐候性を向上させるためには、他の耐候剤として
ラジカル捕捉剤を添加することが好ましい。このラジカ
ル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メ
チル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625
号公報に開示されている化合物などのヒンダードアミン
系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が使
用される。ラジカル捕捉剤の添加量は、樹脂分に対し
て、通常、0.1〜5質量%程度である。
【0035】また、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤
を添加する場合には、ポリオレフィン系樹脂層、及び該
層に隣接させる第1上塗り層、装飾層、裏打層、接着剤
層等の層には分子中に塩素原子を含む樹脂を用いない事
が耐候性向上の点で好ましい。例えば、装飾層を印刷形
成する場合、そのバインダー樹脂に塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩素化ポリオレフィン等の分子中に塩素
原子を含む樹脂を用いると、紫外線又は熱の作用により
これら塩素含有樹脂から脱塩素反応で塩化水素が発生し
た場合に、これがヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤と
反応してその作用を失活・阻害するため、該捕捉剤によ
る耐候性向上効果が十分に発揮されないからである。
【0036】なお、ポリオレフィン系樹脂層中には、上
記特定の紫外線吸収剤、或いは更に光安定剤等の他に、
必要に応じ適宜、着色剤、充填剤、難燃剤、酸化防止剤
等の各種の添加剤を添加することができる。但し、ポリ
オレフィン系樹脂層は、その下側に装飾層を設ける場合
は、該装飾層が透視可能な様な透明(無着色又は着色)
性を損なわない範囲とする。
【0037】なお、ポリオレフィン系樹脂層の厚みは、
用途等によるが、通常は10〜300μm程度である。
また、ポリオレフィン系樹脂層を2層等の多層構成とし
ても良いが、その場合、第1上塗り層、裏打層、装飾
層、接着剤層等の他の層と接する側を、極性官能基含有
ポリオレフィン系樹脂からなる層(成膜技術の観点から
通常5μm以上とする)で構成するのは、層間密着性向
上の点で、好ましい態様である。
【0038】また、ポリオレフィン系樹脂層の表面に
は、隣接する他層との密着性向上の為に、公知の易接着
処理を施しても良い。例えば、コロナ放電処理、オゾン
吹付処理、プラズマ処理等の表面処理、或いは、プライ
マー層形成等の易接着処理である。なお、プライマー層
の形成は、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱
可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の、硬化性
樹脂或いは熱可塑性樹脂等からなる公知のプライマー剤
を公知の塗工法等で形成すれば良い。
【0039】〔上塗り層:第1上塗り層と第2上塗り
層〕上塗り層は、耐摩耗性及び耐擦傷性等の表面物性を
向上させる層である。本発明では上塗り層を、2液硬化
型ウレタン樹脂の硬化物として形成するので、樹脂の硬
化反応で残ったイソシアネート残基は、ポリオレフィン
系樹脂層からブリードアウトして来た分子中にヒドロキ
シル基を有する紫外線吸収剤の該ヒドロキシル基と反応
させて、紫外線吸収剤を上塗り層中でトラップ(捕捉)
して、化粧シート表面にまで到達する事を防ぎ、表面に
浮き出した紫外線吸収剤によって表面が白化したりする
のを防ぐことも可能としてある層である。もちろん、こ
の場合、イソシアネートの配合量はそれと反応させるポ
リオール等に対して、イソシアネート基が残る様に過剰
にしておく。
【0040】また、本発明では、この上塗り層を第1上
塗り層と第2上塗り層との2層構成とし、なお且つ第1
上塗り層は全面に形成し、第2上塗り層の方は凹凸模様
の少なくとも凸部上に形成する。第2上塗り層の形成面
が部分的であっても、第1上塗り層が全面に形成されて
いるので、ポリオレフィン系樹脂層からブリードアウト
してきた紫外線吸収剤は、第1上塗り層によって全面に
於いてトラップすることが可能となる。そして、化粧シ
ート表面中で最も他の物と接触し易い凹凸模様の凸部上
では、第1上塗り層と第2上塗り層とによって上塗り層
として耐摩耗性に必要な厚みを賄う事ができる。なお、
凹凸模様の凹部内は第2上塗り層が無くても、他の物と
も接触し難いので、該凸部上程には耐摩耗性に影響しな
い。
【0041】第2上塗り層を凹凸模様の凸部上のみに形
成すれば、すなわち凹凸模様の凹部には形成しなけれ
ば、凹凸模様形成後に第2上塗り層を形成しても、該第
2上塗り層の形成によって凹凸模様の凹部が埋め尽くさ
れ凹凸模様が消失する様な事は起きない。一方、全面に
形成する第1上塗り層は、凹凸模様をエンボス加工で賦
形する前に形成しておけば、たとえ第1上塗り層を厚め
に形成しても凹凸模様の凹部が埋まる事は本質的に回避
できる。しかも、本発明では、上塗り層を単層では無く
2層構成としてあるので、表面側の第2上塗り層は内側
の第1上塗り層よりも耐摩耗性及び耐擦傷性を重視した
層として、第1上塗り層の方は(エンボス加工で亀裂が
入らない様な)エンボス加工適性を第2上塗り層よりも
重視した層とする事も可能となり、この結果、エンボス
加工前の上塗り層形成と、耐摩耗性及び耐擦傷性を両立
させる事が可能となる。しかも、第1上塗り層及び第2
上塗り層の両層を形成後にその上からエンボス加工する
のに比べて、第1上塗り層のみであり上塗り層全体より
も薄い点でも、第1上塗り層のエンボス加工による亀裂
発生は防ぎ易くなる。この様に、本発明の特定の2層構
成の上塗り層の形成法としては、第1上塗り層はエンボ
ス加工前に形成し、第2上塗り層はエンボス加工後に形
成する形成法は、好ましい形成法である。
【0042】なお、もちろんだが、本発明の化粧シート
では、第1及び第2の各上塗り層の形成法は限定される
ものでは無く、結果として同じ構成となるのであれば、
上記説明した以外の手順で形成しても良い。例えば、凹
凸模様形成後に第1上塗り層を形成する等である(もち
ろん、この場合、既に形成された凹凸模様の凹部が第1
上塗り層によって埋め尽くされてしまわない様に形成す
る)。
【0043】なお、凹凸模様の凹部を除いて凸部上にの
み第2上塗り層等の上塗り層を形成するには、グラビア
ロールコート、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷
等のの公知の(接触式の)塗工又は印刷による形成方法
によって形成すれば良い。スプレーコート、カーテンフ
ローコート等の(非接触式の)塗工法では、凹凸模様と
位置同調した塗工面のマスキングが出来ない限り難しい
からである。なお、凹凸模様の凹部内に塗液(或いはイ
ンキ)が流れ込まない様にするには、例えばグラビア印
刷やグラビアロールコートでは、インキ(或いは塗液)
の粘度、版の版深、形成する上塗り層の厚み等を適宜調
整する。なお、凸部と凹部との境界では、凸部上から凹
部内に多少はインキ(或いは塗液)が流れこむことはあ
る(図1参照)。なお、上塗り層を全面に形成するとき
は、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法で
も形成できる。
【0044】上述の様に、上塗り層を2層構成とするこ
とで、それぞれの上塗り層の形成面(第2上塗り層につ
いてのみ全面又は部分)、形成時期(エンボス加工前又
は後)、物性(軟質又は硬質等)等を用途に応じて使い
分けて、紫外線吸収剤のブリードアウトによる悪影響を
防ぎ、なお且つ凹凸模様の凹凸形状に悪影響を与える事
無く、上塗り層による耐摩耗性及び耐擦傷性を実現する
事が可能となるのである。
【0045】上塗り層形成とエンボス加工との関係に於
ける1具体例としては、形成面的には第2上塗り層は凹
凸模様の凸部上のみに形成し、なお且つ形成時期的に
は、第1上塗り層はエンボス加工前に形成し、第2上塗
り層はエンボス加工後に形成し、なお且つ物性的には第
1上塗り層はエンボス加工適性を考慮し(第2上塗り層
よりは)軟質とし、第2上塗り層は耐摩耗性及び耐擦傷
性等の表面物性を考慮して(第1上塗り層よりは)硬質
とする等である。
【0046】また、各上塗り層の硬さを区別する場合に
は、表面側の第2上塗り層を(第1上塗り層よりも)硬
くするのが耐摩耗性及び耐擦傷性の点で好ましい。ま
た、内側の第1上塗り層は、凹凸模様の凹部内も含めて
全面に形成する該第1上塗り層をエンボス加工前に形成
してもエンボス加工適性を出し易い点で、(第2上塗り
層よりも)柔らかくするのが好ましい。すなわち、第1
上塗り層は軟質に、第2上塗り層は硬質にするのが好ま
しい。
【0047】本発明では第1上塗り層と第2上塗り層と
は、何方も2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物として形成
するが、これらに全く同じ組成の2液硬化型ウレタン樹
脂を使用する必要は無い。むしろ、前記の如く、これら
両層の硬さを第1上塗り層は軟質、第2上塗り層は硬質
とするのが好ましい。これら上塗り層の硬軟を調整する
には、2液硬化型ウレタン樹脂の主鎖構造や架橋密度、
充填剤の添加等によって調整することができる。例え
ば、架橋密度は、使用するポリオールの分子量、反応当
量、イソシアネートの官能基数、ポリオールとイソシア
ネートとの配合割合等によって調整する。架橋密度を高
くした方の層が硬質となり、低くした方の層が軟質とな
る。また、充填剤としては無機粒子の種類、及び添加量
で調整する。例えば、無機粒子のみで硬軟を出す場合
は、2液硬化型ウレタン樹脂は同一組成のものを使用
し、無機粒子の添加の有無或いは添加量の大小で硬軟の
差を出して、軟質の第1上塗り層と硬質の第2上塗り層
との組み合わせで上塗り層を構成する等である。添加量
を多くした方の層が硬質となり添加量を少なくした方の
層が軟質となる。
【0048】なお、上塗り層の硬軟は、使用する2液硬
化型ウレタン樹脂としてのでは無く塗膜(層)としての
硬軟を把握できる測定法、例えば、ユニバーサル硬度
(H.Fisher社製の超微小硬度計H100Vを用
いて、微小圧子を上塗り層塗膜に圧入して測定する)、
或いはエンピツ硬度等で、硬さを測定し比較できる公知
の測定法で把握できる。或いは、上塗り層の物性がポリ
オレフィン系樹脂層に積層された状態では無く上塗り層
塗膜単体として測定可能ならば(離型シート上に塗膜を
形成した後、塗膜を剥がし、それで測定できる等)、塗
膜の引張弾性率、破断伸度等を指標としても良い。
【0049】無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウ
ム、アルミナ(α−アルミナ等)、ガラス、炭化ケイ
素、炭化ホウ素、ダイヤモンド等の(樹脂成分よりも)
硬質の粒子を使用する。粒子の粒径は、要求される耐摩
耗性及び耐擦傷性、上塗り層の厚み等により適宜粒径と
すれば良く、例えば平均粒径で1〜20μm程度であ
る。また、無機粒子の添加量は、樹脂分に対して5〜3
0質量%程度である。なお、無機粒子は、硬さ調整以外
にも、上塗り層表面の艶調整、塗工適性等の為に添加す
ることもできる。
【0050】なお、第2上塗り層も第1上塗り層と同様
に、第1上塗り層と同一組成の2液硬化型ウレタン樹脂
或いは異なる組成の2液硬化型ウレタン樹脂を使用し
て、軟質とした場合には、第2上塗り層を硬質とする構
成に比較して、耐摩耗性及び耐擦傷性は低下する。しか
し、この構成の場合でも、第1上塗り層或いは第2上塗
り層のみの単層構成よりは、第1上塗り層と第2上塗り
層とによって、上塗り層全体としての総厚は増している
ので、その厚みの増加分に応じて、特に耐摩耗性を良く
することができる。また、耐擦傷性も良くすることがで
きる。なお、耐擦傷性は内部の物性も影響するが、最表
面の物性が第一に影響するので、厚み増分による向上効
果は耐摩耗性よりは少ない。また、もちろんだが、最表
面層となる上塗り層を軟質とする場合、該上塗り層はポ
リオレフィン系樹脂層よりも硬質とする。
【0051】なお、上塗り層には、上述無機粒子の他、
紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の公知の添加剤を添
加しても良い。紫外線吸収剤、光安定剤は前述ポリオレ
フィン系樹脂層で述べた様な化合物を使用できる。
【0052】なお、本発明では上塗り層は、2層構成と
すれば所望の目的は達成されるが、更に第3上塗り層を
設ける等の3層以上の多層構成として、より高度の要求
に対応した構成とすることも考えられる。但し、その
分、製造コストは上昇する。
【0053】なお、上塗り層に用いる2液硬化型ウレタ
ン樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを架橋
剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールは
分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物で、
例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオー
ル、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イ
ソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネ
ート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例え
ば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイ
ソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシ
アネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレ
ンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソ
シアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート
が用いられる。或いはまた、上記各種イソシアネートの
付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネート
の付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trim
er)等も用いられる。
【0054】〔凹凸模様〕凹凸模様3は、ポリオレフィ
ン系樹脂層1に対して、その表面側、すなわち上塗り層
形成面側に、熱圧エンボス加工により形成される凹凸模
様である。凹凸模様の模様としては、例えば、木目板導
管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクス
チュア、梨地、砂目、石目、ヘアライン、万線条溝等で
ある。熱圧エンボス加工は、加熱軟化させた対象物(ポ
リオレフィン系樹脂層)に対して、エンボス版を押圧し
て凹凸模様を賦形する公知のエンボス加工方法である
が、具体的には熱プレス方式の枚葉又は輪転式エンボス
機を用いる。なお、化粧シートがポリオレフィン系樹脂
層の裏側に裏打層を設けた構成の場合には、これらを積
層した後の積層体に対して熱圧エンボス加工をしても良
い。なお、本発明の化粧シートでは、上記凹凸模様以外
の凹凸模様、例えば、ポリオレフィン系樹脂層の裏側
面、裏打層の表側面等にも凹凸模様が形成されていても
良い。この場合、その凹凸模様は、熱圧エンボス加工以
外の形成方法、例えばヘアライン加工、サンドブラスト
加工等によって形成されたものでも良い。
【0055】〔装飾層〕装飾層4は、代表的には、グラ
ビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転
写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェッ
ト印刷等公知の印刷法によってインキにて形成される絵
柄層である。絵柄層の模様としては、例えば、木目模
様、石目模様、砂目模様、梨地模様、布目模様、皮絞模
様、幾何学図形、文字、記号、全面ベタ等を1種又は2
種以上を組み合わて用いる。なお、絵柄層の形成は、全
面ベタ柄の場合は、グラビアコート、ロールコート等の
公知の塗工法によって塗料で形成する事もできる。ま
た、全面ベタ柄は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層
等として使用される。
【0056】なお、上記絵柄層形成に用いるインキ(或
いは)塗料としては、バインダーとして、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、
或いは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等
の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2種以上混合
して用いる。但し、塩素化ポリオレフィン樹脂等の塩素
含有樹脂は、塩素を含有する点で塩化ビニル樹脂と同類
となる為に、本発明の非塩ビ系の化粧シートとしては、
好ましくは使用しない方が良い。また、紫外線吸収剤と
共にヒンダードアミン系光安定剤を併用しなお且つ該光
安定剤を添加した層に隣接する場合には、該光安定剤の
作用効果を低下させる点でも、塩素含有樹脂は使用しな
い方が良い。
【0057】なお、上記インキ(或いは)塗料に用いる
着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、
コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック、
鉄黒等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ベンジ
ジンイエロー、キナクリドンレッド、パーマネントレッ
ド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーR
S、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含
む)、アルミニウム、真鍮等の金属の粉末や鱗片状箔
片、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉から
なる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を、1種又は
2種以上混合して用いる。
【0058】上述絵柄層は、装飾層として形成する代表
的な層の一つであったが、装飾層としては、金属薄膜層
等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロ
ム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリ
ング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせで
も良い。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部
分的にパターン状に設けても良い。
【0059】なお、装飾層は、代表的には耐摩耗性等の
点で、図2の例示の化粧シートSの如く、ポリオレフィ
ン系樹脂層1の裏側面に形成されるが、その形成位置は
特に限定は無い。但し、本発明が耐摩耗性及び耐擦傷性
を目的とする点で、第2上塗り層の上、すなわち、最表
面層として装飾層が露出する位置は避けるべきである。
従って、この以外の位置、例えば、前記位置の他、ポリ
オレフィン系樹脂層と第1上塗り層の間、ポリオレフィ
ン系樹脂層と裏打層との間、裏打層の裏側面等でも良
く、また、これらの2種以上の位置に形成しても良い。
【0060】〔裏打層〕必要に応じ適宜、ポリオレフィ
ン系樹脂層の裏面側には、例えば樹脂シート等からなる
裏打層を積層しても良い(図2及び図3参照)。裏打層
は、化粧シートとして必要な厚みや強度、各種特性・耐
性を確保する等の為に設ける。裏打層としては樹脂シー
ト、紙、金属箔、或いはこれらの積層体等からなる裏打
シートの積層、或いは塗工された樹脂層等として形成さ
れる。裏打シートとしては、後述する化粧シートの被着
体のうち、シート形態のものが挙げられる。但し、裏打
シートとして樹脂シートを用いる場合、その樹脂として
は、本発明の基本的な趣旨から、塩化ビニル樹脂以外の
樹脂が好ましい。例えば、前述した様なポリオレフィン
系樹脂等である。なお、ポリオレフィン系樹脂等の密着
性の悪い材料からなるシートを用いる場合は、前述ポリ
オレフィン系樹脂層で述べた様な公知の易接着処理を他
層との積層面に施すのが好ましい。なお、裏打層の厚み
は用途等によるが、通常は10〜300μm程度であ
る。また、裏打層を設ける場合には、前記装飾層は裏打
シートに形成してから、ポリオレフィン系樹脂層と積層
することもできる。
【0061】〔化粧シートの被着体〕なお、本発明の化
粧シートの用途は特に限定されず、各種被着体の表面に
積層して表面を化粧する用途に用いる。被着体は各種素
材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或
いはフィルム)等である。例えば、木材単板、木材合
板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の
木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる
木質板素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状物品
或いはシート等として用いられる金属素材、ガラス、陶
磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材
料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯
業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯
業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロ
ース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシート
等として用いられる樹脂素材、或いは、専らシートとし
て用いられる上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガラ
ス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布、或い
は、これら2種以上の素材を複合した素材、例えば、板
材や立体形状物品等として用いられる、木粉プラスチッ
ク、紙粉プラスチック、FRP(繊維強化プラスチッ
ク)等の複合(素)材が挙げられる。
【0062】〔化粧シートの被着体への積層方法〕被着
体への化粧シートの積層方法としては、例えば(1) 接着
剤を間に介して板状の被着体に加圧ローラーで加圧して
積層する方法、(2) 特公昭50−19132号公報、特
公昭43−27488号公報等に記載される様に、化粧
シートを射出成形の雌雄両金型間に配置した後、溶融樹
脂を型内に射出充填し、樹脂成型品である被着体の成形
と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射
出成形同時ラミネート方法、(3) 特公昭56−4576
8号公報、特公昭60−58014号公報等に記載され
る様に、立体形状の被着体の表面に化粧シートを、間に
接着剤を介して対向又は載置し、被着体側からの少なく
とも真空吸引と更に適宜化粧シート側からの圧空押付
け、弾性体シートによる押圧も併用する圧力により化粧
シートを被着体の表面に積層する、所謂真空成形積層方
法、(4) 特公昭61−5895号公報、特公平3−26
66号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱
状の被着体の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤を介
して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、
被着体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接
着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法が有る。
【0063】なお、化粧シートを積層して化粧板とした
物に対する更なる加工方法としては、実公大15−31
122号公報、特開昭48−47972号公報に記載さ
れる様に、まず化粧シートを板状の被着体に間に接着剤
を介して積層して化粧板とし、化粧シートとは反対側の
面に、化粧シートと被着体との界面に到達する、断面が
V字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤
を塗布した上で該溝を折り曲げ箱体又は柱状体を成形す
る所謂、Vカット又はUカット加工法等の折曲加工法が
ある。
【0064】〔化粧シート及びその積層物の用途〕本発
明の化粧シートは各種被着体に積層し、必要に応じて所
定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例えば、
壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具
の表面化粧、家具又は家電製品キャビネットの表面化
粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内装、船舶内
装、窓硝子の化粧等である。
【0065】
【実施例】以下、本発明の化粧シートを実施例により更
に説明する。
【0066】〔実施例1〕図2に示す構成の化粧シート
Sを、次の様にして作製した。まず、裏打層5とする着
色不透明な樹脂シートとして、弁柄、黄鉛、フタロシア
ニンブルー、及び二酸化チタンを主成分とする着色剤で
不透明黄褐色に着色した厚さ100μmのポリエチレン
系熱可塑性エラストマーシート(高密度ポリエチレン6
0質量部、水素添加スチレン−ブタジエンゴム30質量
部、及び炭酸カルシウム粉末10質量部からなる)を用
意した。この樹脂シートの表裏両面をコロナ放電処理し
た後、その表側とする面に、ポリエステルポリオール1
00質量部と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
6質量部とからなる2液硬化型ウレタン樹脂のプライマ
ー剤でプライマー層(不図示)をグラビア塗工で形成し
た後、装飾層4として着色インキをグラビア印刷して欅
木目の板目柄模様を表現した絵柄層(裏打層側から全ベ
タ層と柄パターン層とからなる)を形成して、印刷シー
トを製作した。なお、着色インキは、全面ベタ層には、
バインダー樹脂としてアクリルポリオール100質量部
に硬化剤として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト5質量部を配合した2液硬化型ウレタン樹脂を用い、
着色剤に二酸化チタン、カーボンブラック、弁柄及び黄
鉛を用いた着色インキを使用した。また、全面ベタ層上
の柄パターン層には、バインダー樹脂として塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1質量比
の混合物を用い、これに着色剤として弁柄とカーボンブ
ラックを主体として用いた着色インキを使用した。な
お、装飾層印刷後、更に樹脂シートの裏面側には、裏面
プライマー層(不図示)を、塩化ビニル−酢酸ビニル−
マレイン酸共重合体に硬化剤として2,4−トリレンジ
イソシアネートを用い、また粒径3.5μmのシリカと
粒径0.5μmの沈降性硫酸バリウムを配合したプライ
マー剤をグラビア塗工して形成しておいた。
【0067】一方、ポリオレフィン系樹脂層1とする樹
脂シートとしては、ハードセグメントとする結晶質のア
イソタクチックポリプロピレン75質量部と、ソフトセ
グメントとする非晶質のアタクチックポリプロピレン2
5質量部とを混合して成るポリプロピレン系熱可塑性エ
ラストマー100質量部に対して、分子中にヒドロキシ
ル基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.8
質量部、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤0.4質量
部、滑剤(エルカ酸アミド)500ppmを添加した樹
脂組成物を、熔融押出法で厚さ80μmに成膜した無着
色透明な樹脂シートを用意した。そして、この樹脂シー
トを前記印刷シートの印刷面とを間に接着剤層6を設け
てドライラミネーション法により貼り合わせて積層シー
トを作製した。なお、接着剤層には、ポリエステルポリ
オール100質量部に1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート系硬化剤10質量部を配合した2液硬化型ウレ
タン樹脂系接着剤を、固形分基準15g/m2 の厚さに
ポリオレフィン系樹脂層とする樹脂シート側にロールコ
ートして形成した。
【0068】次いで、上記積層シートのポリオレフィン
系樹脂層面に対して、メチルメタクリレート−2ヒドロ
キシエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−ス
チレン共重合体からなるアクリルポリオール100質量
部に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート付加体8
質量部を配合した2液硬化型ウレタン樹脂塗料を、グラ
ビアロールコート法により塗工して、厚さ2μmで無着
色透明な第1上塗り層2Aを形成した。
【0069】次に、上記(第1上塗り層形成済の)積層
シートを加熱軟化させて、その第1上塗り層2Aの面に
対して、熱圧エンボス加工により木目導管溝模様の凹凸
模様3を形成した。この後、上記第1上塗り層形成に用
いた塗料の樹脂分100質量部に対して、更に無機粒子
として平均粒径2μmのシリカ15質量部を添加した塗
料を用いて、グラビアロールコート法で厚さ4μmで無
着色透明な第2上塗り層2Bを、凹凸模様の凹部は埋め
尽くさずに全面に形成して、図2の如き本発明の化粧シ
ートSを得た。
【0070】〔実施例2〕実施例1に於いて、第2上塗
り層形成に際して、塗工厚、塗液粘度、グラビア版の版
深及び線数を調整して、凹凸模様3の凹部3A内に塗液
が流れ込まない様にして、凹凸模様3の凸部3B上のみ
に厚みを2μmとした第2上塗り層2Bを形成した他
は、実施例1と同様にして、図3の様な化粧シートSを
作製した。
【0071】〔実施例3〕実施例2に於いて、第2上塗
り層の塗料も第1上塗り層用の塗料同様に無機粒子とし
てのシリカを添加しない塗料を用いた他は、実施例2と
同様にして、凸部上にのみ第2上塗り層を形成して、化
粧シートSを作製した。
【0072】〔比較例1〕実施例1に於いて、熱圧エン
ボス加工を第1上塗り層形成前の積層シートに対して行
い、形成された凹凸模様の凸部上にのみ第1上塗り層と
同じ樹脂の塗料で単層の上塗り層を厚み2μmに形成し
た他は、実施例1と同様にして、化粧シートを作製し
た。
【0073】〔比較例2〕実施例1に於いて、第1上塗
り層を、第2上塗り層と同様にシリカを添加した塗料を
用いて全面に厚み2μmとして形成後、熱圧エンボス加
工を行い、その後の第2上塗り層の形成は省略した他
は、実施例1と同様にして、化粧シートを作製した。
【0074】〔比較例3〕実施例1に於いて、第2上塗
り層の形成を省略した他は、実施例1同様にして化粧シ
ートを作製した。
【0075】〔性能評価〕白化(紫外線吸収剤のブリー
ドアウト)、上塗り層の艶ムラ、上塗り層の亀裂、上塗
り層の剥離、耐候性、耐摩耗性、及び耐擦傷性について
次の様にして評価した。上塗り層の内容と性能評価結果
は、纏めて表1に示す。
【0076】(1) 白化(紫外線吸収剤のブリードアウ
ト):エンボス直後と、促進耐候性試験後の表面を目視
観察し、ブリードアウトによる表面の白化が無ければ良
好、白化有れば不良とした。なお、促進耐候性試験は、
カーボンアーク灯型サンシャインウェザオメータで、ブ
ラックパネル温度63℃、降雨時間120分中18分の
条件下にて、1000時間試験した。 (2) 上塗り層の艶ムラ:作製後の化粧シートの表面(上
塗り層表面)を目視観察して評価した。艶ムラ無ければ
良好、有れば不良とした。 (3) 上塗り層の亀裂:作製後の化粧シート表面を目視観
察した。亀裂無ければ良好、有れば不良とした。 (4) 上塗り層の剥離:前記促進耐候性試験後に、碁盤目
テープ法により上塗り層の密着性を評価した。上塗り層
の剥離無ければ良好、有れば不良とした。碁盤目テープ
法は、JIS K 5400−1990準拠した方法
で、表面に1mm間隔で碁盤目状に縦横に、深さがポリ
オレフィン系樹脂層にまで達する切り込みをカッターナ
イフで入れて、縦横で10×10個の合計100個の枡
目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社
製、「セロテープ」(登録商標)24mm幅、産業用)
を貼着し、その後、勢い良く剥がして、枡目がテープと
共に剥がれるか否かで評価する。全枡目が剥がれず残留
したとき(100/100)は良好、一つの枡目でも剥
がれたとき(99/100以下)は不良とする。 (5) 耐候性:上記(1) 及び(4) の促進耐候性試験後の評
価が良好ならば良好、いずれか1つでも不良ならば不良
とした。 (6) 耐摩耗性:テーバ型摩耗試験機を用いて70回転摩
耗後、化粧シートの表面を目視観察して、装飾層の絵柄
の欠落が、半分以上のものは不良、欠落あるも半分未満
のものはやや良好、全く無いものは良好、として評価し
た。 (7) 耐擦傷性:スチールウール(日本スチールウール株
式会社製、商品名「ボンスター」、品番#0000)に
て、化粧シート表面を10往復擦り、表面を目視観察し
て、傷付き無ければ良好、有れば不良とした。
【0077】性能評価の結果、実施例1〜3は、白化、
上塗り層の艶ムラと亀裂と剥離、耐候性、及び耐擦傷性
の各評価項目で良好であった。耐摩耗性は実施例1及び
実施例2は良好で、第2上塗り層にシリカ添加の無い実
施例3はやや良好となったが、実用できる性能であっ
た。しかし比較例はいずれも、評価項目全てに於いて良
好にならなかった。すなわち、単層の上塗り層を凸部上
のみにエンボス加工後に形成した比較例1は、エンボス
加工後の上塗り層形成前にブリードアウトによる白化が
認められた上、ブリードアウトによって上塗り層の艶ム
ラと剥離も発生し、耐候性は不良となった。しかも、凹
部内は上塗り層が無い為に、促進耐候性試験後に凹部内
で紫外線吸収剤が粉として吹き出し白化した。しかも、
耐擦傷性は良好だが耐摩耗性が不良であった。また、単
層の上塗り層だがシリカを添加し且つエンボス加工前に
全面に形成した比較例2は、艶ムラは解消されたがエン
ボス加工で上塗り層に亀裂が入った。この為、亀裂部分
で促進耐候性試験後に白化が起きた。また、単層の上塗
り層として全面の第1上塗り層のみとした比較例3で
は、白化、艶ムラ、亀裂及び剥離の各評価項目こそ良好
となり耐候性及び耐擦傷性も良好なったが、単層で上塗
り層の厚みが薄くシリカ無添加でもある為、耐摩耗性が
不良となった。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】(1) 本発明の化粧シートによれば、塩化
ビニル樹脂シートを使用しないポリオレフィン系の化粧
シートについて、紫外線吸収剤のブリードアウトによる
表面白化や、上塗り層の艶ムラ・剥離等の悪影響の他、
上塗り層による凹凸模様の埋没を防げ、耐候性と共に、
凹凸模様による意匠感、耐摩耗性及び耐擦傷性が得られ
る。 (2) 更に、第2上塗り層が無機粒子を含有し、第1上塗
り層は無機粒子を含有しない構成等と、第2上塗り層が
第1上塗り層よりも無機粒子を多く含有する構成とすれ
ば、更に良好な耐摩耗性及び耐擦傷性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一形態を例示する断面
図。
【図2】本発明の化粧シートの別の形態を例示する断面
図。
【図3】本発明の化粧シートの別の形態を例示する断面
図。
【符号の説明】
1 ポリオレフィン系樹脂層 2A 第1上塗り層 2B 第2上塗り層 3 凹凸模様 3A (凹凸模様の)凹陥部 3B (凹凸模様の)凸部 4 装飾層 5 裏打層 6 接着剤層 S 化粧シート
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/00 B32B 27/00 E 27/18 27/18 A 27/40 27/40 33/00 33/00 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB06Z CA32 CB21 DA04 DB36 EA05 EB38 EC01 EC47 4F100 AA01C AA08 AA20 AA21 AH03 AK03A AK05 AK07 AK12 AK25 AK41 AK51B AK73 AL01 AL09 BA03 BA07 BA10A BA10C BA13 BA44 CA02 CA07A CC00C CC03B DE01C EJ08B EJ17B EJ39B EJ42B GB07 GB08 GB33 HB01 HB21B JB12B JB16 JK09 JK12 JK14 JL10 JN01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂層の表面側に、2
    液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなる上塗り層が形成
    され且つ熱圧エンボス加工による凹凸模様が形成されて
    いる化粧シートにおいて、 ポリオレフィン系樹脂層が分子中にヒドロキシル基を有
    する紫外線吸収剤を含有し、上塗り層が該ポリオレフィ
    ン系樹脂層上の凹凸模様の凹部及び凸部を含む全面に形
    成される第1上塗り層と、該第1上塗り層上に形成され
    且つ前記凹凸模様の少なくとも凸部上に形成される第2
    上塗り層からなる化粧シート。
  2. 【請求項2】 第2上塗り層が第1上塗り層よりも無機
    粒子を多く含有する、請求項1記載の化粧シート。
  3. 【請求項3】 第2上塗り層が無機粒子を含有し、第1
    上塗り層は無機粒子を含有しない、請求項2記載の化粧
    シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012051203A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Dainippon Printing Co Ltd 防湿化粧シート及び防湿化粧材
JP2014148170A (ja) * 2014-03-24 2014-08-21 Dainippon Printing Co Ltd 防湿化粧シート及び防湿化粧材の製造方法
JP2017141665A (ja) * 2017-03-09 2017-08-17 大日本印刷株式会社 床用化粧シート及びその製造方法

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