JP2002034659A - 歯ブラシハンドルおよびその製造方法 - Google Patents

歯ブラシハンドルおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬質合成樹脂からなる一次ハンドルの握り部
のまわりに軟質合成樹脂を射出成形する際に、一次ハン
ドルの握り部を金型内で定位置にしっかりと固定するこ
とができ、軟質合成樹脂を均一な厚さで被覆することが
できる歯ブラシハンドルの製造方法と、この方法によっ
て作られた、確実な滑り止め効果を持った歯ブラシハン
ドルを提供すること。 【解決手段】 握り部11の全周面が軟質合成樹脂で覆
われた歯ブラシハンドルを製造する方法において、一次
ハンドル10の射出成形時に、一次ハンドルの握り部1
1の首部12側の先端近傍の背面側、握り部11の後端
側近傍の植毛面側および背面側の3個所に、前記軟質合
成樹脂用の金型50のキャビティ内面52に当接する突
起部13,14,15を一体成形し、該突起部を有する
一次ハンドル10を軟質合成樹脂用の金型50内に設置
した後、握り部11の後端部のゲート51から軟質合成
樹脂を金型内に射出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッド部、首部お
よび握り部を備えた硬質合成樹脂製の一次ハンドルの握
り部全周面を軟質合成樹脂で被覆した歯ブラシハンドル
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−327737号には、歯ブラ
シハンドルの曲げに対する強度・剛性を高めるために、
握り部の先端近傍と後端近傍に合成ゴムの滑止め部を形
成した歯ブラシが示されている。しかし、この歯ブラシ
の場合、握り部の先端近傍と後端近傍だけに合成ゴムの
滑止め部を形成しているため、使用時の滑り止め効果が
十分でなく、特に水に濡れた状態で使用する時に滑りや
すくなるという問題があった。
【0003】また、実開平2−143035号には、ヘ
ッド部、首部および握り部のほぼ全体を軟質被覆層で覆
った歯ブラシハンドルが示されている。しかしながら、
この歯ブラシハンドルをどのようにして作るか、その製
造方法については何ら述べられておらず、不明であっ
た。通常、この種の歯ブラシ用ハンドルはコスト、大量
生産の観点から射出成形によって製造するのが一般的で
あるが、この実開平2−143035号に示された構造
の歯ブラシハンドルの場合、硬質樹脂からなる一次ハン
ドルのまわりに軟質合成樹脂を射出して軟質被覆層を形
成する際、硬質樹脂からなる一次ハンドルを金型内で定
位置に固定配置することができず、従来の射出成形法を
そのまま利用して製造することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたもので、硬質合成樹脂からなる
一次ハンドルの握り部のまわりに軟質合成樹脂を射出成
形する際に、一次ハンドルの握り部を金型内で定位置に
しっかりと固定することができ、軟質合成樹脂を均一な
厚さで被覆することができる歯ブラシハンドルの製造方
法と、この方法によって作られた、確実な滑り止め効果
を持った歯ブラシハンドルを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る歯ブラシハンドルの製造方法は、ヘ
ッド部、首部および握り部を備えた一次ハンドルを硬質
合成樹脂を用いて射出成形によって製造した後、該硬質
合成樹脂製の一次ハンドルを軟質合成樹脂用の金型内に
設置し、該硬質合成樹脂製の一次ハンドルの握り部外周
部に軟質合成樹脂を射出成形し、握り部の全周面が軟質
合成樹脂で覆われた歯ブラシハンドルを製造する方法に
おいて、前記一次ハンドルの射出成形時に、一次ハンド
ルの握り部の首部側先端近傍の背面側、握り部の後端側
近傍の植毛面側および背面側の3個所に、前記軟質合成
樹脂用の金型のキャビティ内面に当接する突起部を一体
成形し、該突起部を有する一次ハンドルを前記軟質合成
樹脂用の金型内に設置した後、握り部の後端部付近の植
毛面側または背面側から軟質合成樹脂を金型内に射出す
ることを特徴とするものである。
【0006】また、請求項2に係る歯ブラシハンドルの
製造方法は、ヘッド部、首部および握り部を備えた一次
ハンドルを硬質合成樹脂を用いて射出成形によって製造
した後、該硬質合成樹脂製の一次ハンドルを軟質合成樹
脂用の金型内に設置し、該硬質合成樹脂製の一次ハンド
ルの握り部外周部に軟質合成樹脂を射出成形することに
より、握り部の全周面が軟質合成樹脂で覆われた歯ブラ
シハンドルを製造する方法において、前記一次ハンドル
の射出成形時に、一次ハンドルの握り部の首部側先端近
傍の背面側、握り部の後端部付近の植毛面側および背面
側、握り部の中央部付近の植毛面側の4個所に、前記軟
質合成樹脂用の金型のキャビティ内面に当接する突起部
を一体成形し、該突起部を有する一次ハンドルを前記軟
質合成樹脂用の金型内に設置した後、握り部の中央部付
近の背面側から軟質合成樹脂を金型内に射出することを
特徴とするものである。
【0007】また、請求項3に係る歯ブラシは、ヘッド
部、首部および握り部を備えた硬質合成樹脂製の一次ハ
ンドルの握り部全周面を軟質合成樹脂で被覆した歯ブラ
シハンドルにおいて、握り部の首部側先端近傍の背面
側、握り部の後端側近傍の植毛面側および背面側の3個
所で、前記一次ハンドルと一体成形された硬質合成樹脂
製の突起部が露出していることを特徴とするものであ
る。
【0008】また、請求項4に係る歯ブラシは、ヘッド
部、首部および握り部を備えた硬質合成樹脂製の一次ハ
ンドルの握り部全周面を軟質合成樹脂で被覆した歯ブラ
シハンドルにおいて、握り部の首部側先端近傍の背面側
と、握り部の後端側近傍の植毛面側および背面側、握り
部の中央部付近の植毛面側の4個所で、前記一次ハンド
ルと一体成形された硬質合成樹脂製の突起部が露出して
いることを特徴とするものである。
【0009】硬質合成樹脂製の一次ハンドルの握り部全
周面を軟質合成樹脂で被覆した歯ブラシハンドルを製造
する場合、硬質合成樹脂製の一次ハンドルを軟質合成樹
脂用の金型内で定位置にしっかり固定しないと、軟質合
成樹脂の射出圧力によって一次ハンドルの握り部が上下
・左右方向にぶれてしまい、軟質合成樹脂を均一な厚さ
で被覆することができない。
【0010】軟質合成樹脂の射出成形時、一次ハンドル
の握り部が軟質合成樹脂の射出圧力でぶれることを防止
するには、一次ハンドルの握り部の部分に、軟質合成樹
脂用の金型のキャビティ内面に当接する突起部を設ける
ことで解決できる。しかし、突起部を何個所も設けてし
まうと、握り部を覆う軟質合成樹脂の表面積が減少して
しまい、十分な滑り止め効果を持たせることができなく
なってしまう。
【0011】そこで、本発明者らは、上記ぶれを防止で
きる必要最小限の突起部の数とその位置を種々検討し、
実験を行なったところ、一次ハンドルの握り部の首部側
先端近傍の背面側、握り部の後端側近傍の植毛面側およ
び背面側の計3個所、あるいは、一次ハンドルの握り部
の首部側先端近傍の背面側、握り部の後端部付近の植毛
面側および背面側、握り部の中央部付近の植毛面側の計
4個所に突起部を形成すると、軟質合成樹脂の射出成形
時に発生するぶれを防止できることを掴んだ。
【0012】通常、軟質合成樹脂を射出するゲートは、
握り部の後端側近傍の背面側か、あるいは中央部付近の
背面側に設けられるのが一般的である。これらの位置か
ら軟質合成樹脂を射出すると、硬質合成樹脂製の一次ハ
ンドルの握り部の後端側は射出圧力によって上下方向と
左右方向にぶれるが、一次ハンドルの握り部の後端側近
傍の植毛面側と背面側に突起部を設けることにより、上
下方向のぶれをなくすことができる。通常の大きさの歯
ブラシハンドルの場合、この突起部の大きさは、約4m
m×4mmの四角形突起、あるいは直径約4mmの円形
突起で十分である。
【0013】さらに、被覆される軟質合成樹脂の表面と
の間に段差ができるように前記突起部の露出面中央部に
凹部または凸部を設け、軟質合成樹脂用の金型のキャビ
ティ内面にも、前記凹部または凸部と対応する位置に凸
部または凹部を設け、お互いの凹凸部が嵌まり合うよう
に構成すれば、歯ブラシハンドルをさらに確実に定位置
に固定することができ、一次ハンドルの握り部の左右方
向のぶれをさらに確実になくすことができる。この凹部
または凸部の大きさは、直径約2.5mm程度の略円形
で、その立上がり高さまたはへこみ深さは約0.5mm
程度で十分である。
【0014】また、前記突起部の握り部長手方向と直交
する向きの長さをその位置の一次ハンドルの握り部の幅
とほぼ同じにすると、軟質合成樹脂の表面の角の丸みと
突起部の丸みが一致させてあるので、突起部が金型内面
と当接して突起部の左右方向の動きが規制され、これに
よっても握り部の後端側の左右方向のぶれを防止するこ
とができる。この方法によれば、前記凹部または凸部を
設ける必要なしに、左右方向のぶれをなくすことができ
る。例えば、突起部位置の一次ハンドルの握り部幅が8
mmであるとしたら、長さ8mm×幅2mm程度の長方
形状をした突起部形状とすればよい。
【0015】さらに、ゲートから軟質合成樹脂を射出す
ると、一次ハンドルの握り部の首部側先端近傍は軟質合
成樹脂の射出圧力によって背面側(植毛面と反対側)に
反って変位してしまう。したがって、一次ハンドルの握
り部の首部側先端近傍の背面側に突起部を設けることに
よって、この反りを防止することができる。なお、一次
ハンドルのヘッド部、首部の全体は、軟質合成樹脂用の
金型によって定位置に固定されているので、首部側先端
近傍では上下方向のぶれに対してのみ対策をとるだけで
十分である。
【0016】一方、軟質合成樹脂射出用のゲートを握り
部の中央部付近の背面側に設け、中央部付近から軟質合
成樹脂を金型内に射出した場合、一次ハンドルの握り部
の中央部付近は軟質合成樹脂の射出圧力によって上側
(植毛面側)に反って変位してしまう。したがって、ゲ
ートを握り部の中央部付近の背面側に設ける場合には、
一次ハンドルの握り部の中央部付近の植毛面側にも、反
りを防止するための突起部を設ける必要がある。
【0017】なお、一次ハンドルのヘッド部と首部の全
体は、軟質合成樹脂用の金型によって定位置に固定され
ており、さらに握り部の後端側近傍は前記した突起部に
よって固定されているので、握り部の中央部付近では上
下方向のぶれに対してのみ対策をとれば十分である。
【0018】前記握り部の中央部付近の植毛面側に形成
する突起部としては、四角形、長方形、円形、長円形な
どの任意の形状からなる単なる突起でもよいが、歯ブラ
シの商品名を示す文字やロゴマークなどの文様表象を兼
ねた突起部とすればより好ましいものとなる。
【0019】一般的な歯ブラシハンドルの場合、硬質合
成樹脂製の一次ハンドルの握り部の厚さと幅は、握り部
の弾力感、持ちやすさなどの点から、厚さ約5〜6m
m、幅10〜12mmがよい。この握り部のまわりに被
覆される軟質合成樹脂の厚さは、使用時の弾力感、しっ
とり感、手へのなじみと成形時の流動性の点から、1m
m前後がよい。軟質合成樹脂を被覆した後の握り部全体
の厚さと幅は、厚さ7〜8mm、幅12〜14mm程度
がよく、握り部全体の長さは100〜110mm程度が
よい。
【0020】一次ハンドルを構成する硬質合成樹脂とし
ては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リアリレートなどの射出成形可能な樹脂を用いることが
できる。また、軟質合成樹脂としては、射出成形可能
で、滑りにくく、弾力感、しっとり感があり、手へのな
じみのよい、ポリオレフィン系TPE(TPE:熱可塑
性エラストマー)、ポリスチレン系TPE、ポリウレタ
ン系TPE、天然ゴム系TPE、フッ素系TPEなど、
さまざまなTPEを用いることができる。
【0021】歯ブラシハンドルとして求められる物性や
価格、硬質合成樹脂と軟質合成樹脂の相溶性などを考慮
すると、硬質合成樹脂としてはポリプロピレンが、また
軟質合成樹脂としてはポリオレフィン系TPEがもっと
も好ましい。
【0022】なお、最終製品としての歯ブラシを得るに
は、前記のようにして作られた歯ブラシハンドルのヘッ
ド部の植毛面に刷毛または刷毛束を植毛する必要がある
が、平線式植毛法、インモールド式植毛法(特開昭61
−268208号、特表平9−512724号)、熱融
着法(特開昭60−241404号)など、従来公知の
植毛方法を利用して植毛すればよい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1に本発明に係る歯ブラ
シハンドルの製造方法の第1の実施の形態を示す。図1
(a)は硬質合成樹脂製の一次ハンドルの握り部のまわ
りに軟質合成樹脂を射出成形するための軟質合成樹脂用
の金型とその内部に固定された一次ハンドルの略示断面
図、図1(b)は図1(a)中のP部分の拡大断面図で
ある。
【0024】この第1の実施の形態は、軟質合成樹脂用
の金型50のゲート51を、硬質合成樹脂製の一次ハン
ドル10の握り部11の後端側近傍の背面側に設けた場
合の一例を示すものである。
【0025】軟質合成樹脂用の金型50内にセットされ
る硬質合成樹脂製の一次ハンドル10は、予め、図示し
ない1次ハンドル用の金型を用いて硬質合成樹脂を射出
成形することにより作成しておく。その際、この1次ハ
ンドル10の握り部11の首部12側の先端近傍の背面
側、握り部11の後端側近傍の植毛面側および背面側の
3個所に、前記軟質合成樹脂用の金型50のキャビティ
内面52に当接する例えば高さ1mmの突起部13,1
4,15をそれぞれ一体成形する。さらに、握り部11
の後端側近傍の背面側に形成した突起部15の先端面に
は、例えば深さ0.5mmの凹部16を形成しておく。
【0026】そして、上記形状に射出成形された硬質合
成樹脂製の一次ハンドル10を、図1に示すような軟質
合成樹脂用の金型50内にセットする。金型50のキャ
ビティ内面52は、一次ハンドル10の握り部11の全
周面にわたって例えば1mmの間隙ができるように、そ
のキャビティ形状が設定されている。したがって、一次
ハンドル10の握り部11に形成した前記3個の突起部
13,14,15は、金型50内にセットされた時点
で、それぞれキャビティ内面52に当接した状態とな
り、後述する軟質合成樹脂の射出時に発生する握り部1
1の反りを防止するように作用する。
【0027】さらに、前記金型50のキャビティ内面5
2には、前記一次ハンドル10の握り部11の後端側近
傍の背面側の突起部15の先端面に形成した凹部16と
対向する位置に、該凹部16の嵌まり合う例えば0.5
mm弱の高さの凸部(符号なし)が形成されており、一
次ハンドル10を金型50内にセットしたとき、突起部
15の凹部16と、金型の凸部とが嵌まり合うことによ
り、握り部11の後端側が左右方向に位置ずれを起こす
ことがないようにしている。
【0028】上記のような状態で一次ハンドル10を金
型50内にセットした後、ゲート51から軟質合成樹脂
を所定の圧力で射出する。射出された軟質合成樹脂は、
キャビティ内面52と握り部11との間の隙間に流れ込
み、前記3個所の突起部13,14,15を除いた握り
部11の全外周面を軟質合成樹脂によって被覆する。
【0029】この射出成形時、軟質合成樹脂の射出圧力
によって、握り部11の後端側は上下・左右方向にぶれ
ようとするが、握り部11の後端側近傍の植毛面側と背
面側に形成した突起部14,15と、突起部15の先端
面に形成した凹部16によってその位置を規制され、上
下・左右方向のぶれが防止される。
【0030】一方、一次ハンドル10の握り部11の首
部12側の先端近傍は流れ込んでくる軟質合成樹脂の射
出圧力によって下側に押され、背面側に反ろうとする
が、握り部11の首部12側の先端近傍の背面側に形成
した突起部13によってその位置が規制され、その反り
が防止される。
【0031】このようにして、握り部11が3点におい
てその位置を規制される結果、握り部11は射出圧力に
よって上下・左右方向にぶれることがなくなり、握り部
11のまわりには均一の厚さで軟質合成樹脂が被覆され
る。
【0032】そして、前記射出した軟質合成樹脂が冷却
・固化した後、金型50から取り出することにより、完
成品としての歯ブラシハンドルが得られる。なお、図
中、符号17は歯ブラシハンドルのヘッド部、18はヘ
ッド部に形成された植毛穴である。
【0033】図2〜図5に、上記第1の実施の形態の製
造方法によって作られた歯ブラシハンドルを示す。図示
するように、完成後の歯ブラシハンドル19は、一次ハ
ンドル10の握り部11の回りに均一厚さの軟質合成樹
脂20が被覆されたものとなる。しかも、位置規制のた
めに形成される突起部13,14,15は、一次ハンド
ル10の握り部11の首部12側の先端近傍の背面側、
握り部11の後端側近傍の植毛面側および背面側の3個
所だけであり、握り部11の回りに被覆された軟質合成
樹脂20の全表面積のごく僅かな面積を占めるだけであ
り、歯ブラシハンドル完成後に軟質合成樹脂20の表面
積を必要以上に狭めることがない。したがって、使用
時、特に水に濡れた状態で使用する際に、確実に滑り止
め効果を持たせることができ、弾力感、しっとり感、手
へのなじみに優れた歯ブラシハンドルとなる。
【0034】図6に本発明に係る歯ブラシハンドルの製
造方法の第2の実施の形態を示す。図6は硬質合成樹脂
製の一次ハンドルの握り部のまわりに軟質合成樹脂を射
出成形するための軟質合成樹脂用の金型とその内部に固
定された一次ハンドルの略示断面図である。なお、前記
第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一の符
号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】この第2の実施の形態は、軟質合成樹脂用
の金型50のゲート51を、硬質合成樹脂製の一次ハン
ドル10の握り部11の中央部付近の背面側に設けると
ともに、これに対応して中央部付近の植毛面側に第4の
突起部21を形成し、さらに、後端側近傍の植毛面側と
背面側の突起部14,15の握り部長手方向と直交する
向きの長さをその位置の一次ハンドル10の握り部11
の幅とほぼ同じにすることにより、握り部11の後端側
近傍の背面側の突起部15の先端面に形成していた凹部
16(図1参照)を省略したものである。
【0036】なお、前述したように、前記握り部11の
中央部付近の植毛面側に形成した突起部21は、四角
形、長方形、円形、長円形などの任意の形状からなる単
なる突起でもよいが、歯ブラシの商品名を示す文字やロ
ゴマークなどの文様表象を兼ねた突起部とするのが意匠
上望ましい。
【0037】この第2の実施の形態の製造方法の場合、
握り部11の中央部付近に設けたゲート51から軟質合
成樹脂が射出されるため、一次ハンドル10の握り部1
1の中央部付近は軟質合成樹脂の射出圧力によって上側
に反って変位しようとするが、握り部11の中央部付近
に設けた突起部21によってその変位が規制され、上方
への反りが防止される。
【0038】また、後端側近傍の植毛面側と背面側の突
起部14,15の握り部長手方向と直交する向きの長さ
をその位置の一次ハンドル10の握り部11の幅とほぼ
同じにしているので、この突起部14,15がキャビテ
ィ内面52に当接し、握り部後端側の左右方向の動きが
規制される。この結果、前記第1の実施の形態のように
背面側の突起部15の先端面の凹部16(図1参照)を
省略しても、握り部11の後端側の左右方向のぶれを防
止することができる。
【0039】このようにして、握り部11の位置が4個
の突起部13,14,15,21によって規制される結
果、握り部11が軟質合成樹脂の射出圧力によって上下
・左右方向にぶれることがなくなり、握り部11のまわ
りには均一の厚さで軟質合成樹脂が被覆される。
【0040】そして、前記射出した軟質合成樹脂が冷却
・固化した後、金型50から取り出することにより、完
成品としての歯ブラシハンドルが得られる。
【0041】図7〜図10に、上記第2の実施の形態の
製造方法によって作られた歯ブラシハンドルを示す。図
示するように、完成後の歯ブラシハンドル19は、一次
ハンドル10の握り部11の回りに均一厚さの軟質合成
樹脂20が被覆されたものとなる。しかも、位置規制の
ために形成される突起部13,14,15,21は、一
次ハンドル10の握り部11の首部12側の先端近傍の
背面側、握り部11の後端側近傍の植毛面側および背面
側、握り部11の中央部付近の植毛面側の4個所だけで
あり、握り部11の回りに被覆された軟質合成樹脂20
の全表面積のごく僅かな面積を占めるだけであり、歯ブ
ラシハンドル完成後に軟質合成樹脂20の表面積を必要
以上に狭めることがない。したがって、前記第1の実施
の形態の場合と同様に、使用時、特に水に濡れた状態で
使用する際に、確実に滑り止め効果を持たせることがで
き、弾力感、しっとり感、手へのなじみに優れた歯ブラ
シハンドルとなる。
【0042】また、この図7〜図10の歯ブラシハンド
ル19の場合、握り部11の中央部付近の植毛面側に形
成した突起部21を、歯ブラシの商品名を示す「Bet
ween」という文字を兼ねた突起部としているので、
意匠的にも極めて優れたものとなる。なお、前記第1の
実施の形態の場合、握り部の中央付近には反り防止のた
めの突起部が不要のため、前記文字を兼ねた突起部21
はあえて形成しなかったが、前記第1の実施の形態にお
いても、意匠上あるいは強度上の観点から、必要に応じ
て文字を兼ねた突起部を握り部11の中央部付近の植毛
面側に形成してもよいものである。
【0043】
【実施例】前記図7〜図10の歯ブラシハンドルを用い
て作った歯ブラシ(本発明品という)と、従来からある
握り部の一部だけにエラストマーを被覆した歯ブラシハ
ンドルを用いて作った歯ブラシ(比較品という)の使用
テストを被験者を変えて2回実施した。
【0044】第1回目の使用テストは、被験者数24名
(男女半数ずつ)で、7段階絶対評価でアンケート調査
を行なった。その結果を表1に示す。なお、評価点が7
に近いほど、評価が高いことを示す。
【0045】
【表1】
【0046】2回目の使用テストは、被験者数40名
(男女半数ずつ)で、7段階相対評価でアンケート調査
を行なった。その結果を表2に示す。なお、評価点が7
点に近いほど、本発明品の評価が高いことを示す。評価
点が4点の場合は、本発明品と比較品の評価が同一であ
ることを示す。
【0047】
【表2】
【0048】上記2つのテスト結果から明らかなよう
に、本発明品は比較品(従来品)よりも持ちやすく、滑
りにくさ、手へのなじみやすさの点で、その操作性と使
用感が格段に向上し、非常によい握り部を備えた歯ブラ
シであることが確認された。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の歯ブラシ
ハンドルの製造方法によれば、軟質合成樹脂を射出成形
する金型内で必要最小限の突起部によって硬質合成樹脂
製の一次ハンドルを定位置にしっかり固定できるので、
一次ハンドルの握り部が金型内でぶれることなく軟質合
成樹脂を射出成形することができ、硬質合成樹脂製の一
次ハンドルの全周面に均一な厚さで軟質合成樹脂を被覆
することができる。
【0050】また、本発明の歯ブラシハンドルによれ
ば、軟質合成樹脂で覆われた握り部から露出する硬質樹
脂部の面積を小さくすることができ、軟質合成樹脂部の
面積を可能な限り広くとることができるので、使用時、
特に水に濡れた状態で使用する際に、確実に滑り止め効
果を持たせることができ、弾力感、しっとり感、手への
なじみ感に優れた歯ブラシハンドルを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歯ブラシハンドルの製造方法の
第1の実施の形態を示すもので、(a)は硬質合成樹脂
製の一次ハンドルの握り部のまわりに軟質合成樹脂を射
出成形するための軟質合成樹脂用の金型とその内部に固
定された一次ハンドルの略示断面図、(b)は(a)中
のP部分の拡大断面図である。
【図2】 第1の実施の形態の製造方法によって作られ
た歯ブラシハンドルの縦断面図である。
【図3】 第1の実施の形態の製造方法によって作られ
た歯ブラシハンドルを示すもので、(a)は平面図、
(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図4】 図3(b)中のIV−IV線位置における拡大断
面図である。
【図5】 図3(b)中のV−V線位置における拡大断
面図である。
【図6】 本発明に係る歯ブラシハンドルの製造方法
の第2の実施の形態を示すもので、硬質合成樹脂製の一
次ハンドルの握り部のまわりに軟質合成樹脂を射出成形
するための軟質合成樹脂用の金型とその内部に固定され
た一次ハンドルの略示断面図である。
【図7】 第2の実施の形態の製造方法によって作られ
た歯ブラシハンドルの縦断面図である。
【図8】 第2の実施の形態の製造方法によって作られ
た歯ブラシハンドルを示すもので、(a)は平面図、
(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図9】 図8(b)中のIX−IX線位置における拡大断
面図である。
【図10】 図8(b)中のX−X線位置における拡大
断面図である。
【符号の説明】
10 硬質合成樹脂製の一次ハンドル 11 握り部 12 首部 13 突起部 14 突起部 15 突起部 16 凹部 17 ヘッド部 18 植毛穴 19 歯ブラシハンドル 20 軟質樹脂 21 突起部 50 軟質合成樹脂用の金型 51 ゲート 52 キャビティ内面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッド部、首部および握り部を備えた一
    次ハンドルを硬質合成樹脂を用いて射出成形によって製
    造した後、該硬質合成樹脂製の一次ハンドルを軟質合成
    樹脂用の金型内に設置し、該硬質合成樹脂製の一次ハン
    ドルの握り部外周部に軟質合成樹脂を射出成形し、握り
    部の全周面が軟質合成樹脂で覆われた歯ブラシハンドル
    を製造する方法において、 前記一次ハンドルの射出成形時に、一次ハンドルの握り
    部の首部側先端近傍の背面側、握り部の後端側近傍の植
    毛面側および背面側の3個所に、前記軟質合成樹脂用の
    金型のキャビティ内面に当接する突起部を一体成形し、 該突起部を有する一次ハンドルを前記軟質合成樹脂用の
    金型内に設置した後、握り部の後端部付近の植毛面側ま
    たは背面側から軟質合成樹脂を金型内に射出することを
    特徴とする歯ブラシハンドルの製造方法。
  2. 【請求項2】 ヘッド部、首部および握り部を備えた一
    次ハンドルを硬質合成樹脂を用いて射出成形によって製
    造した後、該硬質合成樹脂製の一次ハンドルを軟質合成
    樹脂用の金型内に設置し、該硬質合成樹脂製の一次ハン
    ドルの握り部外周部に軟質合成樹脂を射出成形すること
    により、握り部の全周面が軟質合成樹脂で覆われた歯ブ
    ラシハンドルを製造する方法において、 前記一次ハンドルの射出成形時に、一次ハンドルの握り
    部の首部側先端近傍の背面側、握り部の後端部付近の植
    毛面側および背面側、握り部の中央部付近の植毛面側の
    4個所に、前記軟質合成樹脂用の金型のキャビティ内面
    に当接する突起部を一体成形し、 該突起部を有する一次ハンドルを前記軟質合成樹脂用の
    金型内に設置した後、握り部の中央部付近の背面側から
    軟質合成樹脂を金型内に射出することを特徴とする歯ブ
    ラシハンドルの製造方法。
  3. 【請求項3】 ヘッド部、首部および握り部を備えた硬
    質合成樹脂製の一次ハンドルの握り部全周面を軟質合成
    樹脂で被覆した歯ブラシハンドルにおいて、 握り部の首部側先端近傍の背面側、握り部の後端側近傍
    の植毛面側および背面側の3個所で、前記一次ハンドル
    と一体成形された硬質合成樹脂製の突起部が露出してい
    ることを特徴とする歯ブラシハンドル。
  4. 【請求項4】 ヘッド部、首部および握り部を備えた硬
    質合成樹脂製の一次ハンドルの握り部全周面を軟質合成
    樹脂で被覆した歯ブラシハンドルにおいて、 握り部の首部側先端近傍の背面側と、握り部の後端側近
    傍の植毛面側および背面側、握り部の中央部付近の植毛
    面側の4個所で、前記一次ハンドルと一体成形された硬
    質合成樹脂製の突起部が露出していることを特徴とする
    歯ブラシハンドル。
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