JP2013000458A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植毛面20に複数の毛束22が植毛されたヘッド部2と、該ヘッド部2に延設されたネック部4と、該ネック部4に延設されたハンドル部6とを備えるハンドル体10を備え、該ハンドル体10には、硬質樹脂で構成された基台11の表面に、前記ヘッド部2の表面積と前記ネック部4の表面積との合計の70%以上を覆う軟質樹脂からなる被覆層12が形成された歯ブラシ1において、前記被覆層12には、前記基台11が露出した露出部14が1以上形成され、前記ネック部4の軸線O1を対称軸とした線対称の領域に露出部14が形成されていないことよりなる。
【選択図】図1
Description
ヘッド部は、口腔内での操作性が考慮され、できるだけ薄く成形されることが多い。また、ネック部は、口腔内での操作性が考慮され、ヘッド部より縮径された形状とされていることが多い。
あるいは、ネック部にリブ等を形成してネック部の強度を高めると、リブが口腔内に接触するため、使用感が損なわれる。
硬質樹脂の体積を大きくすると、ヘッド部やネック部が厚くなり、操作性や使用感が損なわれやすい。
加えて、ヘッド部及びネック部の一方の面だけを軟質樹脂で被覆しても、ヘッド部及びネック部の欠損や折れを十分に防止できない。
ハンドル体を軟質樹脂で被覆するには、ハンドル体の芯を硬質樹脂で成形し(一次成形)、これを金型に入れ、金型内に軟質樹脂を射出する(二次成形)。このため、二次成形において、軟質樹脂を射出した際に、芯の姿勢が動き、安定した厚みで軟質樹脂を被覆しにくいという問題がある。特に、ハンドル体の全面を安定した厚みの軟質樹脂で被覆するのは困難である。
そこで、本発明は、ヘッド部及びネック部の欠損や折れを防止でき、かつ容易に製造できる歯ブラシを目的とする。
前記硬質樹脂は、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明の第一の実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に図1を用いて説明する。
図1に示す歯ブラシ1は、ヘッド部2と、ヘッド部2に延設されたネック部4と、ネック部4に延設されたハンドル部6とを備えるハンドル体10と、ヘッド部2の植毛面20に植毛された複数の毛束22とを備えるものである。
本実施形態におけるヘッド部基端、即ちヘッド部2とネック部4との境界は、ヘッド部2の平面視形状の隅切を形成する曲線の終点(即ち、隅切を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置)P1である(図1(a)参照)。
本実施形態におけるハンドル部基端、即ちネック部4とハンドル部6との境界は、平面視において、ネック部4の拡幅が終了する位置(ネック部終点)P2である(図1(a)参照)。
ヘッド部2の長さL1は、口腔内での操作性等を勘案して決定でき、例えば、15〜30mmとされる。
ヘッド部2の厚みT1は、口腔内での操作性やハンドル体10に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、3〜5mmとされる。
また、ネック部4の軸線O1を対称軸とし、任意の露出部14と線対称の領域には、基台11が露出した領域が形成されていない。即ち、本実施形態においては、ヘッド部2の表面の内、植毛面20と反対側の面(底面)にのみ露出部14が形成されている。
軸線O1は、ヘッド部基端とハンドル部基端とを結び、かつネック部4の中心を通る線である。
基台11の材質としては、歯ブラシ1に求める剛性や機械特性等を勘案して決定でき、例えば、曲げ弾性率(JIS K7203)が500〜3000MPaの範囲にある硬質樹脂が挙げられる。このような硬質樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアセタール(POM)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)等が挙げられ、中でもPBTが好ましい。PBTは、折れ強度が高いため、ハンドル体10が折れたり、一部が欠損するのをより防止できる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ネック部4における基台11の厚みは、ヘッド部11における基台11の厚みT2と同様である。
また、被覆層12の材質は、基台11の材質を勘案して決定することがより好ましい。例えば、基台11の材質がPBTであれば、被覆層12の材質は、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーが好ましく、ポリエステル系エラストマーがより好ましい。また、基台11の材質がPPであれば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましく、ポリオレフィン系エラストマーがより好ましい。基台11の材質と被覆層12の材質とをこのような組み合わせとすることで、基台11から被覆層12が剥離するのをより低減できる。
[露出部の面積の合計]/[被覆面積]で表される露出比は、被覆層12の被覆率等を勘案して決定でき、0.05〜0.3が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。上記下限値未満であると、後述する二次成形において二次金型内で基台を固定しにくくなるおそれがあり、上記上限値超であると、被覆層12が剥離しやすくなるおそれがある。
なお、被覆面積とは、被覆層12の面積と露出部14の面積との合計である。
植毛面20から毛束22の先端までの長さ(毛丈)は、毛束22に求める毛腰等を勘案して決定でき、例えば、6〜13mmとされる。
全ての毛束22は同じ毛丈であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、用毛としては、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造を有するポリエステル製用毛が挙げられる。
二次成形の際、基台11には、露出部14に対応する形状の凸部が形成されており、この凸部が二次金型の内面に当接する。このため、二次金型の内部には、被覆層12に対応する形状の隙間が安定的に形成される。加えて、二次樹脂を射出した際にも、被覆層12に対応した形状の隙間が確保されるため、被覆層12を所望した厚みで、安定的に形成できる。
本実施形態の歯ブラシによれば、被覆層には、基台が露出した露出部が1以上形成されているため、被覆層を所望する厚さで安定的に形成できる。
本実施形態の歯ブラシによれば、ネック部の軸線を対称軸とした線対称の領域に露出部が形成されていないため、ヘッド部又はネック部を歯で噛んだ際に、上顎歯及び下顎歯のいずれかは露出部に直接接することがない。加えて、ヘッド部又はネック部にいずれの方向から荷重が掛けられた場合でも、被覆層により荷重を緩和できる。このため、ヘッド部又はネック部に過度な負担が掛かるの防止し、ヘッド部及びネック部の欠損や折れを防止できる。
本発明の第二の実施形態にかかる歯ブラシについて、図2を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略すると共に、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、露出部の形状及び露出部の位置である。
図2(d)に示すように、露出部118は、被覆層112の外面と略面一とされている。露出部114及び露出部116も露出部118と同様に被覆層112の外面と略面一とされている。
また、軸線O1を対称軸とし、露出部114、116及び118と線対称の領域には、基台111が露出した領域が形成されていない。
露出部116の長さl2は、ヘッド部2の長さ等を勘案して決定でき、例えば、3〜5mmとされる。露出部116の幅は、露出部114の幅w1と同様である。
露出部118の幅w2は、ネック部4の幅等を勘案して決定でき、例えば、1〜4mmとされる。
本発明の第三の実施形態にかかる歯ブラシについて、図3を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略すると共に、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、露出部の形状及び露出部の位置である。
図3(d)に示すように、露出部214は、被覆層212の外面と略面一とされている。
また、軸線O1を対称軸とし、露出部214と線対称の領域には、基台211が露出した領域が形成されていない。
本発明の第四の実施形態にかかる歯ブラシについて、図4を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略すると共に、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、ネック部の底面に略長方形の露出部が形成されている点である。
図4(d)に示すように、露出部316は、被覆層312の外面と略面一とされている。
また、軸線O1を対称軸とし、露出部316と線対称の領域には、基台311が露出した領域が形成されていない。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一〜第四の実施形態では、露出部が被覆層の外面と略面一とされているが、本発明は、これに限定されず、露出部が被覆層の外面から突出したものであってもよいし、露出部が被覆層の外面から凹んだものであってもよい。
なお、露出部の形状は、被覆層の剥離を抑制するため、真円形もしくは楕円形等の円形、又は曲線で隅切された多角形であることが好ましい。
表1に示す基台材質を一次樹脂として基台を製造し、次いで表1に示す被覆層材質を二次樹脂として基台に被覆層を形成して、下記仕様の図2の歯ブラシ100と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
なお、表中の被覆層の材質において、「ポリエステル系」はポリエステル系エラストマーを示し、「ポリオレフィン系」はポリオレフィン系エラストマーを示し、「スチレン系」はスチレン系エラストマーを示す。
ヘッド部幅:8.5mm
ヘッド部長さ:22mm
ヘッド部の厚み:4.5mm
ネック部幅:5mm
ネック部長さ:50mm
露出部114の長さl1:5mm
露出部114の幅w1:4mm
露出部116の長さl2:3mm
露出部118の幅w2:2mm
被覆層の厚み:0.8mm
基台材質及び被覆層材質を表1のものとし、露出部を下記仕様とした以外は、実施例1と同様にして図3の歯ブラシ200と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
露出部214の幅w3:2mm
基台材質及び被覆層材質を表1のものとし、露出部を下記仕様とした以外は、実施例1と同様にして図4の歯ブラシ300と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
露出部14の直径:3mm
露出部316の長さl3:3mm
露出部316の幅w4:2mm
基台材質及び被覆層材質を表1のものとした以外は、実施例1と同様にして図5の歯ブラシ700と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
なお、歯ブラシ700は、基台711の全体が被覆層712により覆われたハンドル体710を備えるものである。ハンドル体710は、ヘッド部2の表面とネック部4の表面積の合計の100%が被覆層712で覆われており、露出部が形成されていないものである。
基台材質を表1のものとし、二次成形をしなかった以外は、実施例1と同様にして図6の歯ブラシ800と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
なお、歯ブラシ800は、ハンドル体810に被覆層が形成されておらず、基台のみで構成されたものである。
基台材質及び被覆層材質を表1のものとし、露出部を下記仕様とした以外は、実施例1と同様にして図7の歯ブラシ900と同様の歯ブラシを製造した。得られた歯ブラシについて、ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性を評価し、その結果を表1に示す。
歯ブラシ900は、基台911の表面に被覆層912が形成されたハンドル体910を備えるものである。被覆層912には、ネック部4の上面に略長方形の露出部914が形成されると共に、ネック部4の底面に略長方形の露出部916が形成されている。図7(d)に示すように、露出部914と露出部916とは、軸線O1を対称軸として線対称の領域に形成されている。
露出部914の幅w5:2mm
露出部916の幅w6:2mm
<ヘッド部強度>
各例の歯ブラシの毛束を切断し、ヘッド部の植毛面を平滑にしたサンプルを用意した。このサンプルのヘッド部基端をクランプで把持して、サンプルをデジタル衝撃試験機(DG−1型、株式会社東洋精機製作所製)に固定し、植毛面を0.5Jで加重し、ヘッド部が破断したときの吸収エネルギー(J)を測定(n=10)した。この測定値の平均値を下記評価基準に分類し、ヘッド部強度を評価した。
≪評価基準≫
◎:0.3J以上
○:0.2J以上0.3J未満
△:0.1J以上0.2J未満
×:0.1J未満
各例のサンプルのハンドル部基端をクランプで把持して固定し、植毛面側から2kgで加重し、ネック部が破断したときの破断強度(N)を測定(n=10)した。この測定値の平均値を下記評価基準に分類し、ヘッド部強度を評価した。
≪評価基準≫
◎:100N以上
○:70N以上100N未満
△:40N以上70N未満
×:40N未満
ヘッド部強度及びネック部強度を測定した後のハンドル体を目視で観察し、ハンドル体の分離の有無を評価した。
○:分離していない。
×:分離している。
各例の歯ブラシを目視で確認し、軟質樹脂の充填不良(ショートショット)の程度を下記評価基準に従って評価した。各例10個について成形性を評価し、その平均点が4.0点以上を「◎」、3.0点以上4.0点未満を「○」、2.0点以上3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。
≪評価基準≫
5:被覆層の厚みが均一で、被覆層の変形や欠けがまったく認められない。
4:被覆層の変形や欠けは認められないが、所定の厚さに達していない領域が被覆層の10%未満の領域に認められる。
3:被覆層の変形や欠けは認められないが、所定の厚さに達していない領域が10%以上50%未満の領域に認められる。
2:被覆層の変形や欠けは認められないが、所定の厚さに達していない領域が50%以上の領域に認められる。
1:被覆層に変形や欠けが認められる。
ヘッド部強度、ネック部強度、分離の有無及び成形性の評価結果に基づき、下記評価基準に従って総合評価をした。
≪評価基準≫
◎:全ての評価結果が「○」又は「◎」で、「◎」が2つ以上。
○:全ての評価結果が「○」又は「◎」で、「◎」が1つ以下。
△:全ての評価結果が「△」、「○」又は「◎」で、「△」が1つ以上。
×:評価結果の1つ以上が「×」である。
一方、露出部を形成しなかった比較例1は、成形性が「×」であり、被覆層を形成しなかった比較例2は、ハンドル体の分離が認められた。ネック部の軸線を対称軸とし、線対称となる領域に露出部を形成した比較例3は、ネック部強度が「△」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、ヘッド部及びネック部の欠損や折れを防止でき、かつ容易に製造できる歯ブラシを得られることが判った。
2 ヘッド部
4 ネック部
6 ハンドル部
10、110、210、310 ハンドル体
11、111、211、311 基台
12、112、212、312 被覆層
14、114、116、118、214、316 露出部
20 植毛面
22 毛束
O1 軸線
Claims (2)
- 植毛面に複数の毛束が植毛されたヘッド部と、該ヘッド部に延設されたネック部と、該ネック部に延設されたハンドル部とを備えるハンドル体を備え、該ハンドル体には、硬質樹脂で構成された基台の表面に、前記ヘッド部の表面積と前記ネック部の表面積との合計の70%以上を覆う軟質樹脂からなる被覆層が形成された歯ブラシにおいて、
前記被覆層には、前記基台が露出した露出部が1以上形成され、前記ネック部の軸線を対称軸とした線対称の領域に露出部が形成されていないことを特徴とする歯ブラシ。 - 前記硬質樹脂は、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項1に記載の歯ブラシ。
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