JP2002029856A - 燒結成形体製造用組成物 - Google Patents

燒結成形体製造用組成物

Info

Publication number
JP2002029856A
JP2002029856A JP2000213532A JP2000213532A JP2002029856A JP 2002029856 A JP2002029856 A JP 2002029856A JP 2000213532 A JP2000213532 A JP 2000213532A JP 2000213532 A JP2000213532 A JP 2000213532A JP 2002029856 A JP2002029856 A JP 2002029856A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
resin
fine powder
binder
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000213532A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidemi Kondo
秀水 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Polyplastics Co Ltd filed Critical Polyplastics Co Ltd
Priority to JP2000213532A priority Critical patent/JP2002029856A/ja
Publication of JP2002029856A publication Critical patent/JP2002029856A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリーン成形体の脆さの改善、脱脂工程時間
の効率化、加熱脱脂工程での成形体のひび割れ、膨れ、
変形等発生防止、燒結成形体中に欠陥のない高寸法精
度、均質な燒結成形体を得る燒結成形体製造用組成物を
提供すること。 【解決手段】 焼結可能な無機系微粉末、バインダー成
分及びワックスが混合されてなる燒結成形体製造用組成
物において、バインダー成分はポリアセタール樹脂と酢
酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂とを主成分とする燒結
成形体製造用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燒結成形体製造用組
成物に関する。より詳しくは、燒結可能な無機系微粉
末、特定のバインダー及びワックスを用いた燒結成形体
製造用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス、金属、サーメット等の燒
結可能な微粉末を利用する、特に精密な燒結成形体や複
雑形状の燒結成形体は、燒結可能な微粉末とバインダー
とを含有する燒結成形体製造用組成物を加熱、混練した
成形用原料を射出成形することによってグリーン成形体
を成形した後、該グリーン成形体を脱脂工程に付し、続
いてこれを燒結する方法によって成形してきた。
【0003】上記の方法による燒結成形体の成形におい
て、ひび割れ、膨れ、変形等の欠陥のない品質の良好な
成形体を得るための最も重要な工程は脱脂工程にある。
この脱脂工程は、燒結可能な微粉末とバインダー等とか
らなる成形用原料を使用して得られる成形体、最も代表
的には射出成形体からなるグリーン成形体中からバイン
ダーを除去する工程であり、グリーン成形体を加熱する
ことによってバインダーを加熱分解してガス化して除去
する方法、或いはグリーン成形体を溶媒処理することに
よってグリーン成形体を構成するバインダー中の溶媒可
溶性成分を溶出した後、残存バインダーを加熱分解して
ガス化する方法等が利用されている。
【0004】ところで、グリーン成形体を加熱して脱脂
する加熱脱脂方法においては、グリーン成形体中のバイ
ンダーの熱分解及びガス化が短時間に集中して起こる
と、中心部で加熱分解で生成したガスがスムーズに表面
に移行できず、成形体内部に圧がかかり、成形体にひび
割れや膨れが生ずることがある。このため、急激な加熱
を避け、このような問題が生じない温度条件下で長時間
加熱して脱脂を行なわなければならない。
【0005】特に、燒結成形体製造用組成物に含まれる
燒結可能な粉体が微粉末、即ち数ミクロン〜サブミクロ
ン程度に粒径が小さくなり、比表面積が大きい粒体の場
合には、グリーン成形体を製造する際の成形用原料の加
熱流動性が安定するように、バインダーの配合量を多く
する必要がある。従ってこのような微粉末からなる燒結
成形体製造用組成物を使用した場合の脱脂工程は、多量
に含まれるバインダーを除去しなければならず、そのた
め脱脂の際の加熱工程を多段階にする等の工夫が必要に
なる。
【0006】又、加熱による脱脂工程においてひび割れ
や膨れが生ずるおそれがないものであっても、燒結成形
体製造用組成物に含まれる燒結可能な微粉末が比重の高
い金属微粉末や球状微粉末である場合には、加熱脱脂工
程で成形体に変形が生ずることが多い。従って、この場
合にも脱脂の際の昇温速度を遅くする必要がある。バイ
ンダーの除去を容易にするため、バインダーに昇華性物
質を添加する方法があるが、昇華性物質を添加したもの
は、グリーン成形体の成形用材料の混練の際やグリーン
成形体の射出成形の際に昇華性物質が昇華し、グリーン
成形体の製造時のスプルー・ランナー部の再生が困難に
なる。
【0007】一方、グリーン成形体を溶媒処理して溶媒
に可溶なバインダー成分を溶出除去した後、残りのバイ
ンダー成分を加熱分解しガス化して除去する脱脂方法
は、溶媒処理によってグリーン成形体中の溶媒可溶性バ
インダー成分が除去され、これによって生じた空隙が通
り道として加熱による残りのバインダーの熱分解及びガ
ス化がスムーズに行なわれる。これによりグリーン成形
体の脱脂工程でのひび割れ、膨れ、変形等をある程度回
避することができる。しかし、現在使用されているバイ
ンダーは、鉱油、脂肪酸系油、天然油等の液体原料を多
量に含むため、グリーン成形体中からこれらの油成分が
滲み出すことが多い。特に長期間保存したグリーン成形
体は油成分の滲み出しがより激しい。従って、グリーン
成形体の表面に滲み出した油成分によって溶媒処理によ
る脱脂の際にひび割れや膨れが発生する場合がある。
【0008】また、バインダー中の可塑剤や滑剤を沸騰
水によって溶出させる方法がある。しかし、グリーン成
形体の成形用材料の安定性の維持、成形用材料の射出成
形時の加熱流動性の維持、グリーン成形体の強度の維持
等の点から、可塑剤や滑剤の配合量を多くするには限度
がある。更に、水溶性熱可塑性有機ポリマーと水に不溶
の熱可塑性有機ポリマーとを含む有機バインダーを使用
し、成形体と水を接触させて前者を抽出する方法がある
(特公平2−101101号、特開平10−14020
8号各公報)。しかし、ここで記載されているバインダ
ーの組み合わせでは、その後の残りの有機バインダーを
加熱除去する脱脂工程において、成形体の変形を十分に
防止することが出来ないばかりか、水によって反応或い
は腐食する性質を有するセラミックスや金属の微粉末を
使用するものに対しては適用できない。なお、特開平2
−145704号、同3ー199302号各公報、成形
加工シンポジア’93,p225等にはポリアセタール
樹脂とポリエチレングリコールを含むバインダー組成物
が記載されているが、これらは加熱脱脂を対象としたも
のであり、溶媒抽出による脱脂工程については、触れら
れていない。
【0009】更にまた、解重合型ポリマーであるポリア
セタール樹脂は、単独又は他の重合体と共にバインダー
として使用することにより、ポリアセタール樹脂が具備
する剛性に基づくグリーン成形体の形状保持性、及び加
熱による脱脂後に残渣が残らず、加熱による脱脂速度が
早いことから生産効率を高めることができる等の効果が
奏されることが既に知られている(特開平2−1457
04号、同4−247802号、同5−98306号各
公報等)。例えば上記特開平2−145704号公報に
は、一般的記載として、金属粉末とポリアセタールの組
成物にワックス類が使用できる旨、及び金属粉末として
平均粒径0.01〜50μmのものが適用できる旨の記
載がある。
【0010】しかしながら一方、このポリアセタール樹
脂をバインダーとして使用したものは、該ポリアセター
ル樹脂が化学的に安定であるものの、多くの他の有機化
合物成分、例えばバインダーを構成する諸成分との相溶
性、親和性が悪く、射出成形時など剪断力がかかる箇所
では分離しやすいために均質な燒結体が得られない可能
性があるという問題がある。特に、ポリアセタール樹脂
をバインダーとして使用することの上記効果、つまりグ
リーン成形体の脆さを改善し、グリーン成形体自体の形
状保持性及び加熱による脱脂工程での成形体の形状保持
性を高め、また加熱脱脂効率を高めるためには、全バイ
ンダー中に閉めるポリアセタール樹脂の配合割合を高め
る必要があるにもかかわらず、バインダーの他の成分に
対するポリアセタール樹脂の親和性不足により上記欠点
がより増大されるという問題もある。
【0011】更にまた、ポリアセタール樹脂を使用し、
グリーン成形体中のポリアセタール樹脂を酸性触媒によ
って分解する脱脂方法をとることにより、脱脂時間を大
幅に短縮させる方法が考えられるが、この方法は脱脂触
媒に硝酸等の強酸をしようするために、燒結可能な粉体
の種類が大幅に制限される欠点を有する。
【0012】ポリアセタール樹脂を使用したグリーン成
形体の上記諸問題の解決のために、ポリオレフィン系重
合体変性ポリアセタール樹脂を使用する方法(特開平9
−111306号公報)、ポリアセタール樹脂に変性ポ
リオレフィン樹脂及び他の成分、例えば熱可塑性樹脂、
ワックス類、可塑剤を添加使用する(特開平09−11
1305号、同11−181502号各公報)技術も開
示されているが、上記課題の改善効果、特にポリアセタ
ールとの相溶性の更なる向上が求められる。
【0013】その他、一般に微粉末は活性度が高いの
で、ポリアセタール樹脂の分解現象があり、その対策と
して、燒結用粉体表面を予めアクリル系樹脂等でコーテ
ィングしておき、その後にポリアセタール樹脂と混練す
る方法(特開平9−328369号公報)、バインダー
成分として特定のメタクリレート系重合体を使用する方
法(同5−213663号公報)、α−オレフィン重合
体の存在下にメタクリル酸エステル単量体を懸濁重合さ
せた樹脂を使用する方法(同4−59651号公報)、
ポリアセタール樹脂にα−オレフィンとα,β−不飽和
カルボン酸等との共重合体又はその塩とともにアクリル
樹脂を併用する方法(特開2000−109904号)
も提案されているが、本発明の課題の解決手段としては
いずれも焼結性の点で更に改善が求められる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、グリーン成形体の脆さを改善し、脱脂工程を短時間
で効率的に行い得、しかも加熱脱脂工程で成形体にひび
割れ、膨れ、変形等を生ずることがなく、又燒結成形体
中に欠陥を生ずることのない寸法精度の高い、均質な燒
結成形体が得られる燒結成形体製造用組成物を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意研究をした結果、バインダー主成分とし
てポリアタール樹脂と酢酸ビニル樹脂又はアクリル系樹
脂を併用すると極めて効果的であるという知見を得、本
発明を完成するに到った。以下、本発明の要旨を説明す
る。本発明の第1は、焼結可能な無機系微粉末、バイン
ダー成分及びワックスが混合されてなる燒結成形体製造
用組成物において、バインダー成分はポリアセタール樹
脂と酢酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂とを主成分とす
ることを特徴とする燒結成形体製造用組成物を提供する
ものである。本発明の第2は、無機系微粉末が粒径1μ
m以下の金属又はセラミックスの微粉末である本発明の
第1の燒結成形体製造用組成物を提供するものである。
本発明の第3は、軟化点が55〜70℃の範囲から選ば
れる酢酸ビニル樹脂、又は軟化点が70〜125℃の範
囲から選ばれるアクリル系樹脂が使用されてなる本発明
の第1又は2の燒結成形体製造用組成物を提供するもの
である。本発明の第4は、ポリアセタール樹脂のMFR
(190℃)が8〜50である本発明の第1〜3のいず
れかの燒結成形体製造用組成物を提供するものである。
本発明の第5は、バインダー成分におけるポリアセター
ル樹脂と酢酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂の含有比が
質量で5〜95%:95〜5%である本発明の第1〜4
のいずれかの燒結成形体製造用組成物を提供するもので
ある。本発明の第6は、無機系微粉末、バインダー成分
及びワックスの混合割合が、40〜80容量%:10〜
30容量%:10〜30容量%(合計100容量%)の
各範囲にある本発明の第1〜5のいずれかの燒結成形体
製造用組成物を提供するものである。本発明の第7は、
アクリル系樹脂がメチルメタクリレートの単独重合体又
は共重合体である本発明の第1〜6の焼結成形体製造用
組成物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳しく説明
する。本発明における燒結可能な無機系微粉末とは、当
該微粉末を融点以下或いは一部液相を生ずる温度に加熱
した場合に、焼き締まってある程度の強度を持つ固体を
生成することのできる無機系微粉末であり、通常は金属
微粉末及び/又はセラミックス微粉末が使用される。具
体的には、金属微粉末としてはFe,Ni,Co,C
r,Cu等の粉体が使用され、セラミックス微粉末とし
てはAl2 3 ,BeO,ZrO2 ,ThO2等の酸化
物、TiC,ZrC,B4 C,WC等の炭化物、Cr
B,ZrB2 等の硼化物、TiN,ZrN,VN,Nb
N等の窒化物が挙げられる。又これらの組み合わせの例
としてはAl2 3 −Fe系、TiC−Ni系、TiC
−Co系、B4 C−Fe系等が挙げられる。
【0017】本発明に係る焼結可能な無機系微粉末の粒
径は特に限定されるものではないが、本発明に係るバイ
ンダー、ワックスの使用は、主として粒径が数ミクロン
〜サブミクロンの範囲の微粉末に好適なものであり、微
粉末自体、その焼結方法が余り開示されていなかったも
のである。ここに本発明に係る燒結用微粉末の好ましい
適用範囲は1μm以下である。因みに粒径が小さいもの
は粉体自体の結晶の成長が見られなくなることから、結
果として燒結体の強度を向上させ、しかも該粒径の小さ
い粉体の使用は燒結体の物理的強度、密度、外観を著し
く向上させるので好ましく、平均粒径1μm以下が特に
好ましい。
【0018】しかし、一方では一般に粉体の粒径が小さ
くなればなるほど、グリーン成形体の強度の保持が困難
になり、バインダーの量を多くする必要があったが、特
にポリアセタール樹脂の場合は、ワックス等他の添加剤
との低相溶性、燒結後の残炭素の多いことなどの欠点を
有し、上記数ミクロン〜サブミクロンの範囲の微粉末に
十分満足して適用できるバインダーは未だ知られていな
い。本発明の焼結成形体製造用組成物において、燒結可
能な無機系粉体のうち、特に小粒径の微粉末、例えば数
ミクロンないしサブミクロンの無機系微粉末を使用した
場合、グリーン成形体の脆さを改善し、又グリーン成形
体の脱脂工程を短時間の加熱で完了でき、脱脂工程中に
おける成形体のひび割れ、膨れ、変形等の欠陥を生ずる
ことがないばかりか、寸法精度が高く、層分離のない均
質な燒結成形体を得ることのできる。
【0019】本発明に係る燒結成形体製造用組成物にお
けるバインダーの主成分としては、ポリアセタール樹脂
と酢酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂が使用される。こ
こにポリアセタール樹脂としては、オキシメチレン基
(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物
であればよく、従ってポリオキシメチレンホモポリマ
ー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を含有するコ
ポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマーの何れも
使用することができる。また分子構造は線状のみなら
ず、分岐、架橋構造を有するものであってもよい。
【0020】前記他の構成単位となるコモノマーとして
は、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、
1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシ
ド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジオ
キセパン等が例示できる。上記他の構成単位として使用
されるコモノマー含有量は、ポリアセタール樹脂の特性
を損なわない限り特に限定されるものではないが、全モ
ノマー中70モル%以下であることが好ましく、より好
ましくは50モル%以下である。70モル%を超えると
剛性が低くなり易く、又変形等の問題が発生する傾向が
ある。ポリアセタール樹脂の分子量、流動性は特に限定
されるものではないが、190℃のメルトフローレート
(MFR)が8〜50が好適である。8未満では成形時
の流動性が悪化する現象が見られ、逆に50を超えると
保形性が悪くなる現象が見られるからである。
【0021】本発明において、バインダー成分としてポ
リアセタール樹脂を用いることにより、グリーン成形体
の変形、更にはこれに続く加熱脱脂時の成形体の熱変形
を小さくすることができると共に、カーボン等の残渣が
残らない優れた焼結成形体を得ることができる。
【0022】本発明に係るバインダーの他の主成分であ
る酢酸ビニル樹脂は、親水性が特に高いというものでは
ないが、ケン化が進むと親水性、水可溶性が出てくる。
従ってポリアセタール樹脂と併用される酢酸ビニル樹脂
としては、ケン化がほとんどされていないものが好まし
い。ケン化が進むと親水性が増大し、ポリアセタール樹
脂との親和性が低下するからである。酢酸ビニル樹脂は
単独重合体が好ましいが、酢酸ビニル樹脂の性質を特に
大きく変えない限り、必要に応じて公知の他の共重合性
モノマーを共重合成分としたものも使用できる。
【0023】上記酢酸ビニル樹脂の分子量、流動性は特
に限定されるものではないが、190℃のメルトフロー
レート(MFR)が5〜50が好適である。MFRが5
未満の場合はポリアセタール樹脂との分散性が悪化する
問題が発生する可能性があり、逆に50を超えると、流
動性はよいが保形性が悪化する問題も現れる傾向にあ
る。又、上記酢酸ビニル樹脂はポリアセタール樹脂と併
用されてバインダーに供されるものである。バインダー
成分としてポリアセタール樹脂と酢酸ビニル樹脂が使用
された場合の各成分使用比率は、特に限定されるもので
はないが、質量で5〜95%:95〜5%の範囲が好適
である。
【0024】燒結可能な微粉体へのバインダー成分の添
加は、該バインダー成分であるポリアセタール樹脂と酢
酸ビニル樹脂を個別に、順に混合すのではなくて、同時
に、又は予めバインダー成分同士を混合しておいて行う
ことが好ましい。上記微粉体表面は活性が高いので、別
々に加えると先に加えた成分の層が先ずできて2層のバ
インダー層になりやすいからである。
【0025】本発明に係るバインダーの他の主成分であ
るアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸とC
1-8 程度のアルコールとから得られるエステルの重合体
であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸
エステル単量体の具体例としては、例えば、C1-8 のn
−アルキル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート
などが挙げられる。これらのうちではメチル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートのような
1-4 のn−アルキル(メタ)アクリレート、イソプロ
ピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート及びt−ブチル(メタ)アクリレートがより好ま
しく、特にメチルメタクリレートの単独重合体又はメチ
ルメタクリレートを含む共重合体が好ましい。なお、ア
クリル系樹脂は単独でもよく、2種以上併用してもよ
い。なお、本発明に用いられるアクリル系樹脂の本質を
損なわない限りにおいて、他のモノマー、例えば(メ
タ)アクリル酸、酢酸ビニルなどのモノマーを少量併用
してもよい。
【0026】上記アクリル系樹脂の分子量、流動性は特
に限定されるものではないが、230℃のMFRが10
〜500がポリアセタール樹脂との分散性の点で好適で
ある。又、上記アクリル系樹脂はポリアセタール樹脂と
併用されてバインダーに供されるものであり、軟化点は
90〜120℃ものが好ましいが、更に100℃のもの
が特に好ましく使用される。
【0027】バインダー成分としてポリアセタール樹脂
とアクリル系樹脂が使用された場合の各成分使用比率
は、特に限定されるものではないが、質量で5〜95
%:95〜5%の範囲が好適である。ポリアセタール樹
脂が5%未満(アクリル系樹脂が95%を超える場合)
では保形性が悪化しやすく、逆に95%(アクリル系樹
脂が5%未満の場合)を超えると焼結成形体中にボイド
が増え易くなる傾向があるからである。燒結可能な微粉
体へのバインダー成分の添加は、酢酸ビニル樹脂の場合
同様、該バインダー成分であるポリアセタール樹脂とア
クリル樹脂を個別に順次加えるのではなくて、同時に、
又は予め混合して行うことが好ましい。
【0028】本発明に係る燒結成形体製造用組成物は、
更にワックス類が添加使用される。ワックス類は燒結可
能な微粉末、バインダー成分自体の流動性をよくし、相
互間の親和性を向上させて均質混合を得易くさせたり、
射出成形の動力を低下させたりする効能を有するもので
ある。ここにワックス類としては、アミドワックス、ウ
レタン化ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレン
ワックス等の合成ワックス、カルナバワックス、蜜ロ
ウ、木ロウ、等の天然ワックスのいずれも使用できる。
【0029】本発明に係る燒結成形体製造用組成物にお
ける各成分間の混合比は特に限定されるものではない
が、無機系微粉末:バインダー成分:ワックスなる比
が、容積比で40〜80%:10〜30%:10〜30
%(合計100容量%)であることが好ましい。無機系
微粉末の量が40容量%未満では充分な焼結性が得られ
ない傾向があり、80容量%を超えるとグリーン成形体
がもろくなる傾向があり、バインダー成分の量が10容
量%未満ではグリーンもろくなる傾向があり、30容量
%を超えると焼結性が悪くなる傾向があり、ワックスの
量が10容量%未満では流動性が悪くなる傾向があり、
30容量%を超えると焼結性が悪くなる傾向があるから
である。
【0030】上述の本発明に係る燒結成形体製造用組成
物は、燒結成形体の予備成形体であるグリーン成形体を
射出成形によって成形する際の成形用原料であり、この
燒結成形体製造用組成物を加熱混練した後に冷却して造
粒し、グリーン成形体用成形原料となる。この成形用原
料を射出成形することによってグリーン成形体を成形し
た後、該グリーン成形体を加熱による脱脂工程に付し、
更に脱脂後の成形体を燒結することによって、目的の燒
結成形体が得られる。なお、燒結成形体製造用組成物は
前記のように一旦造粒することなく、射出成形機の前段
の溶融混練押出機で混練し、そのままグリーン成形体を
射出成形してもよい。
【0031】加熱による脱脂は、グリーン成形体を25
0〜550℃で2〜20時間加熱することによりバイン
ダー成分を除去する方法が一般的である。この場合の昇
温速度は、好ましくは20〜100℃/時間であり、公
知の方法で行われる。本発明に係る燒結成形体製造用組
成物は、バインダー成分としてポリアセタール樹脂を含
むため、この加熱脱脂を極めて効率的に行うことがで
き、加熱脱脂後、この樹脂に起因する残渣が残ることも
殆どない。また抽出脱脂工程及び加熱脱脂工程を通し
て、グリーン成形体の変形も極めて小さい。脱脂後の成
形体は、減圧下で通常の方法により焼結工程に付され
る。
【0032】本発明に係る燒結成形体製造用組成物を用
いれば、時計部品、産業用機械部品、医療用器具、自動
車部品等の精密な燒結成形体や形状が複雑な燒結成形体
を製造することができる。
【0033】
【実施例】以下、前記構成からなる本発明の燒結成形体
製造用組成物の、より具体的な成分、組成を実施例に基
づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 (実施例1〜4、比較例1〜3) <燒結成形体製造用組成物の調製>燒結可能な微粉末と
してZrO2 (平均粒径0.3μm)の粉体を用い、ポ
リアセタール樹脂(MFRの異なる2種類使用)、酢酸
ビニル樹脂及びワックスを配合したもの、及び該酢酸ビ
ニル樹脂に代えてポリメタクリル酸メチルを配合したも
のについて表1に示す割合で配合して燒結成形体製造用
組成物を調製した。
【0034】<グリーン成形体の成形>実施例1〜4及
び比較例1〜3に示す配合組成物を、加圧ニーダーによ
って160℃、60分間混練した後、この混練物を冷
却、破砕して得た射出成形用原料を、成形温度180〜
200℃にて射出成形し、グリーン成形体を得た。
【0035】<加熱脱脂工程>次いで、これら各グリー
ン成形体を220℃/2時間の速度で昇温した後、30
℃/時間の昇温速度で340℃まで昇温し、更にそのま
ま340℃温度に2時間維持する加熱条件による脱脂工
程に付した。
【0036】<燒結工程>脱脂工程を完了した成形体
を、1350℃にて2時間の燒結条件で燒結し、燒結成
形体を得た。
【0037】<評価>本発明に係る燒結成形体製造用組
成物の評価をするため、該燒結成形体を得るにあたって
の上記各工程における、下記項目の評価を行った。(表
1) なお、いずれの評価項目においても優劣の区別の表示を
次のように行った。 ○(優)、△(中間)、×(劣)。 (1)成形性:グリーン成形体の成形における容易さ、
得られたグリーン成形体の性状(特に成形体の均一性)
を相対的に評価した。 (2)グリーン体の性状(表では「成形体性状」と表
す。):グリーン体のタフさを相対的に評価した。 (3)燒結性:燒結密度の高さを相対的に評価した。 (4)焼結体の性状:焼結後の割れ、膨れの発生状況を
観察し、評価した。
【0038】
【表1】 無機系微粉体:ZrO2 POM1:MFR(190℃)=45g/10分のポリアセ
タール樹脂 POM2:MFR(190℃)=30g/10分のポリアセ
タール樹脂 PVAc:ポリ酢酸ビニル、MFR(190℃)=20g/
10分 PMMA:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業社製、
商品名「スミペックLG6」、MFR(230℃,3
7.3N,JIS K7210)=20g/10分) PE-co-PMMA:ポリメチルメタクリレートの共重合変性ポ
リエチレン PE-g-AS:アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフ
ト変性ポリエチレン ワックス:パラフィンワックス/アミドワックスの50
/50(質量の比)混合物
【0039】
【発明の効果】本発明の燒結成形体製造用組成物は、燒
結可能な無機系微粉末にバインダー成分としてポリアセ
タール樹脂と酢酸ビニル樹脂又はアクリル樹脂を使用
し、更にワックスを配合したものであるが、従来の各種
バインダー成分にも優る成形性、成形体性状、燒結性、
燒結体性状が得られることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 31/04 C08L 59/00 33/00 91/06 33/12 C04B 35/00 108 59/00 C 91/06 D X Fターム(参考) 4G030 AA17 GA11 GA14 GA18 GA21 PA21 4J002 AE033 AE043 AF003 BB033 BF02X BG02X BG03X BG04X BG05X BG06X CB00W DA066 DA076 DA086 DE096 DE146 DF016 DK006 DM006 GT00 4K018 BB04 CA09 CA30 DA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結可能な無機系微粉末、バインダー成
    分及びワックスが混合されてなる燒結成形体製造用組成
    物において、バインダー成分はポリアセタール樹脂と酢
    酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂とを主成分とすること
    を特徴とする燒結成形体製造用組成物。
  2. 【請求項2】 無機系微粉末が粒径1μm以下の金属又
    はセラミックスの微粉末である請求項1記載の燒結成形
    体製造用組成物。
  3. 【請求項3】 軟化点が55〜70℃の範囲から選ばれ
    る酢酸ビニル樹脂、又は軟化点が70〜125℃の範囲
    から選ばれるアクリル系樹脂が使用されてなる請求項1
    又は2記載の燒結成形体製造用組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアセタール樹脂のMFR(190
    ℃)が8〜50である請求項1〜3のいずれかに記載の
    燒結成形体製造用組成物。
  5. 【請求項5】 バインダー成分におけるポリアセタール
    樹脂と酢酸ビニル樹脂又はアクリル系樹脂の含有比が質
    量で5〜95%:95〜5%である請求項1〜4のいず
    れかに記載の燒結成形体製造用組成物。
  6. 【請求項6】 無機系微粉末、バインダー成分及びワッ
    クスの混合割合が、40〜80容量%:10〜30容量
    %:10〜30容量%(合計100容量%)の各範囲に
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の燒結成形体製造用
    組成物。
  7. 【請求項7】 アクリル系樹脂がメチルメタクリレート
    の単独重合体又は共重合体である請求項1〜6のいずれ
    かに記載の焼結成形体製造用組成物。
JP2000213532A 2000-07-13 2000-07-13 燒結成形体製造用組成物 Pending JP2002029856A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000213532A JP2002029856A (ja) 2000-07-13 2000-07-13 燒結成形体製造用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000213532A JP2002029856A (ja) 2000-07-13 2000-07-13 燒結成形体製造用組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002029856A true JP2002029856A (ja) 2002-01-29

Family

ID=18709272

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000213532A Pending JP2002029856A (ja) 2000-07-13 2000-07-13 燒結成形体製造用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002029856A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105116A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Seiko Epson Corp 蓄光性蛍光体の焼結体製造方法および射出成型用原料ペレット製造方法
US8420006B2 (en) 2008-03-05 2013-04-16 Seiko Epson Corporation Method of manufacturing translucent ceramic and orthodontic member
JP2015505575A (ja) * 2012-02-02 2015-02-23 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 熱可塑性pom材料
CN109851853A (zh) * 2019-01-24 2019-06-07 深圳市锦昊辉矿业发展有限公司 低温烧结高温不熔陶瓷化填料及其制备方法
JP2021025001A (ja) * 2019-08-08 2021-02-22 東ソー株式会社 樹脂組成物
JP2021109994A (ja) * 2020-01-08 2021-08-02 合同会社モルージ 金属粉末射出成形用組成物とその製造方法
WO2023002839A1 (ja) * 2021-07-19 2023-01-26 旭化成株式会社 無機粉末射出成形用組成物、並びにそれを用いた成形体及び焼結体

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105116A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Seiko Epson Corp 蓄光性蛍光体の焼結体製造方法および射出成型用原料ペレット製造方法
US8420006B2 (en) 2008-03-05 2013-04-16 Seiko Epson Corporation Method of manufacturing translucent ceramic and orthodontic member
JP2015505575A (ja) * 2012-02-02 2015-02-23 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 熱可塑性pom材料
CN109851853A (zh) * 2019-01-24 2019-06-07 深圳市锦昊辉矿业发展有限公司 低温烧结高温不熔陶瓷化填料及其制备方法
JP2021025001A (ja) * 2019-08-08 2021-02-22 東ソー株式会社 樹脂組成物
JP2021109994A (ja) * 2020-01-08 2021-08-02 合同会社モルージ 金属粉末射出成形用組成物とその製造方法
WO2023002839A1 (ja) * 2021-07-19 2023-01-26 旭化成株式会社 無機粉末射出成形用組成物、並びにそれを用いた成形体及び焼結体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2955754B1 (ja) 金属粉末の射出成形用組成物と、その組成物を用いた射出成形及び焼結法
EP3643693B1 (fr) Liant pour composition de moulage par injection
EP0928656A2 (en) Powder and binder system for use in metal and ceramic powder injection molding
EP2607396B1 (en) Composition for injection molding, sintered compact, and method for producing sintered compact
JP2002029856A (ja) 燒結成形体製造用組成物
CN110436945B (zh) 用于注射模塑组合物的粘合剂
JP2021080350A (ja) 射出成形用組成物とその製造方法
JP3113806B2 (ja) 燒結成形体製造用組成物
JP3042808B2 (ja) 焼結性粉末射出成形用バインダおよび組成物
JPH05320708A (ja) 焼結性粉末射出成形用バインダおよび組成物
JP3822293B2 (ja) 抽出脱脂工程を含む燒結成形体製造用組成物及びそれを用いる焼結成形体の製造方法
JP3911596B2 (ja) 粉末射出成形用組成物
JP2003252676A (ja) 射出成形用組成物
JP2677675B2 (ja) 粉末成形用バインダー及び金属粉末またはセラミック粉末からなる焼結品の製造方法
JP2001106581A (ja) 燒結成形体製造用組成物
JPS62250102A (ja) 超硬合金又はサ−メツト合金物品の製造法
JP3081779B2 (ja) 燒結成形体製造用組成物
JPS58223662A (ja) 射出成形用材料
CH714966A2 (fr) Liant pour composition de moulage par injection.
JPS6311562A (ja) 射出成形用材料
JPS59121150A (ja) 射出成形用材料
JP2000109904A (ja) 燒結成形体製造用組成物
JP2000129306A (ja) 射出成形用組成物
JP2843189B2 (ja) 金属粉末射出成形用バインダおよびコンパウンド
JPS61261250A (ja) セラミツクス製造用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050819

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090317