JP2002025497A - 真空分析装置、質量分析装置および電子顕微鏡装置 - Google Patents

真空分析装置、質量分析装置および電子顕微鏡装置

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JP2002025497A
JP2002025497A JP2000207134A JP2000207134A JP2002025497A JP 2002025497 A JP2002025497 A JP 2002025497A JP 2000207134 A JP2000207134 A JP 2000207134A JP 2000207134 A JP2000207134 A JP 2000207134A JP 2002025497 A JP2002025497 A JP 2002025497A
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light
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mass spectrometer
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Toyoko Kobayashi
登代子 小林
Tatsu Kobayashi
辰 小林
Takao Kusaka
貴生 日下
Kazuhiro Takada
一広 高田
Toshiaki Aeba
利明 饗場
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空分析系の一部である試料室内で、エネルギ
ーを試料に与えることにより発生する荷電粒子またはエ
ネルギーを分析する装置において、分析系内の物品表面
上の付着物により主に発生する不都合を、高効率で、操
作性良好に、物品による制限を受けること無く、抑制す
る。 【解決手段】分析系内の1つ以上の物品の表面に光触媒
層を形成し、光触媒層上の付着物を光分解するための光
線を照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空特性が向上さ
れた、質量分析装置および電子顕微鏡装置等の真空分析
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空環境を必要とする分析装置におい
て、真空分析系の一部である試料室内でエネルギーを試
料に与えることにより荷電粒子またはエネルギーが発生
する。これらの荷電粒子やエネルギーは、試料の特性の
情報を含でいるため、それらを検出、分析することによ
り、試料の特性に関する知見を得ることができる。
【0003】これらの真空分析装置においては、分析系
を真空とする必要があるが、これは主に次の2つの方法
により達成される。即ち、第1は、分析系内を排気しな
がら加熱する方法(ベーキング法)である。ベーキング
法の場合、分析系内に残存および付着している有機物お
よび水分子等が加熱により気化されるため、排気による
除去が促進される。第2は、分析系内を排気した後、有
機物や水分子が予め除去された乾燥ガスを分析系内に供
給し、有機物および水分子等の残存物および付着物等を
パージ後、再び分析系内を排気して、これらの操作を繰
返す方法(乾燥ガス法)である。
【0004】以下に、幾つかの真空分析装置を取上げ、
分析系を真空とする具体例を説明する。
【0005】質量分析装置は、イオン源において試料分
子をイオン化し、得られたイオンを質量数(質量/電荷
比)に応じて分離し検出する。一般的に質量分析装置に
有用なイオン源には、電子衝撃、化学イオン化、イオン
又は原子の高速衝撃、電気脱離、レーザー脱離、プラズ
マ脱離、サーモスプレー、エレクトロスプレー等を含む
多くの方式がある。これらの中で、有機化合物のガス分
析の分野では、電子衝撃源(EI)および化学イオン化
源(CI)が最も広く用いられている。
【0006】これらイオン源は、通常、真空に維持され
るが、分析に伴って残留ガス成分がイオン源内の電極、
フォーカスレンズ等の部材、イオン化室の内壁等に付着
することにより、汚染が発生する場合がある。また、化
学イオン化源を利用したイオン化装置では、イオン化の
ためにイオン化室内に反応ガスを導入するため、この反
応ガス成分によっても、汚染が進む場合がある。
【0007】以上の様にして、イオン源内が汚染される
と、イオンの生成条件が変化してイオン生成量が減少
し、その結果分析感度が低下する場合がある。また、汚
染成分が背景ノイズとして現れたりして、分析精度が劣
化したりする場合がある。このため、安定した分析を行
なうには、イオン源の汚染があまりひどくならないうち
に、汚れを取り除くことが必要となる場合がある。
【0008】このため、先ず、イオン源内を排気しなが
ら当該イオン源をヒーターで加熱して、当該イオン源内
に存在したり、電源やフォーカスレンズ等の部材又はイ
オン化室等の内壁に吸着している有機分子や水分子を除
去するベーキング法や、真空容器内を排気した後、有機
分子や水分子を予め除去した乾燥ガスを当該真空容器内
に供給し、再び真空容器内を排気することを繰り返すこ
とにより、真空容器内に吸着している有機分子や水分子
を除去する乾燥ガス法等が適用されている。
【0009】高周波誘導結合プラズマ質量分析装置にお
いては、トーチで形成された原子イオンを四重極質量分
析部に導入、分離して、質量スペクトルを得る。四重極
質量分析部には、図9に示す様に、四重極電極213及
びイオン検出部214が配設されており、容易に原子イ
オンが検出器に到達できるよう、常時真空状態に保たれ
ている。一方、質量分析装置への原子イオン導入部は非
常に小さな孔が穿たれ、開放状態になっている。このた
め、試料導入部から検出器までの闇にある空間、イオン
レンズチャンバ、質量分析装置チャンバは差動排気式の
ポンプ群で排気され、検出器付近では真空状態にまで減
圧されている。
【0010】しかしながら、イオン導入部が開放系であ
ることに加え、高感度化を目的として試料中に含まれる
イオンの殆どを質量分析装置内に導入しようとする改良
のため、質量分析装置内には種々のコンタミ成分が侵入
しやすい場合があり、質量分析装置内を清浄な状態に保
つことが困難な場合がある。
【0011】誘導結合型プラズマ質量分析装置の主要部
分は、試料を気化噴霧するネプライザ部分、霧化された
試料をプラズマ中に導入するトーチ部分、トーチ部分で
生成したプラズマを質量分析装置に導入するイオンレン
ズ部分、質量分析装置内に導入されたイオンを質量数に
応じて分離する質量分析装置部分、及び分離されたイオ
ンを検知する検出器部分等である。
【0012】これらの内、ネプライザからイオンレンズ
部分までは機械的な研磨、洗浄などにより清浄化が可能
であるが、質量分析装置部分は常時、真空状態に保たれ
ており、内部を清浄化することは困難である。
【0013】走査型電子顕微鏡装置(Scanning
Electron Microscopy:SEM)
は、特別な前処理を必要とするものでなければ、短時間
で試料の表面形態を観察することが可能である。また電
子源として電界放出型を用いたSEM(FE−SEM)
では、数nm以下の分解能で表面形態の観察が可能であ
り、加えて半導体検出器(Solid State D
itector:SSD)と併用し、1次電子線を照射
した時に試料から放出される特性X線のエネルギーを検
出すれば、元素分析も可能となるため、広く普及して使
用されている。
【0014】SEMで観察される試料は、試料室に導入
され観察されるが、フィールドエミッション型の電子銃
の普及に伴い分解能が向上していることに加え、近年の
半導体デバイスの微細化に伴って電子顕微鏡での観察は
高分解能を目的とすることが多くなっているため、真空
度を極力高くしておくことが望まれている。
【0015】試料室の真空度が悪いと、試料付近の真空
雰囲気中に浮遊している残留有機ガス分子あるいは電子
線照射によって試料から放出されたガス分子が試料に付
着する場合がある。それが電子線照射を受けて分解、重
合し、試料表面に付着することによって試料表面の微細
構造を覆う、いわゆるコンタミネーションが生じる場合
がある。コンタミネーションが生じると試料の微細構造
のコントラストが低下する場合があり、高分解能観察が
困難となる場合がある。
【0016】走査型電子顕微鏡の倍率が高くなるほど、
試料の単位面積当たりの電子線照射量が増大してコンタ
ミネーションの量が多くなる場合があるため、高分解能
観察時においてはコンタミネーションの影響が甚大とな
る場合があり、電子顕微鏡の高分解能化における試料の
コンタミネーションの防止は重要な課題である。
【0017】また、電子ビーム照射により試料からガス
分子が発生した場合、鏡筒内の真空度劣化を誘因した
り、発生したガス分子が鏡筒内の対物レンズなどのレン
ズ系やアパーチャに付着してしまう場合がある。そうし
た部位にコンタミネーションが付着すると、帯電による
不整電界による像質低下、あるいは微小な放電による像
の移動などが発生してしまう場合がある。
【0018】更に、走査型電子顕微鏡では、1次電子線
の発生源としての電子源があるが、電子源が設置されて
いる領域は、安定して電子ビームを取り出すために、試
料室や鏡筒といった場所よりもさらに高真空が必要とさ
れる。通常電子源を格納してある電子銃室は、試料室側
とコンダクタンスの値に従って真空度の勾配が形成され
ており、試料室と比較して高真空(10-7Pa程度)に
維持されている。
【0019】観察を行っている像の像質が低下している
兆候が見られる様な場合、あるいは極端に像質が低下し
なくても、電子銃室の真空度が低下してきた場合には、
電子銃室、鏡筒といった真空容器をヒーターで加熱して
当該真空容器内に存在したり内壁に吸着している有機分
子や水分子を除去するベーキング法を行うことが一般的
である。
【0020】透過型電子顕微鏡装置(TEM)について
は、その性能を安定に実現するために、従来から鏡体内
の高真空化が望まれている。そのため、試料汚染(コン
タミ)の発生を抑制する、電子銃からの電子放出を安定
させる等が行われている。
【0021】ここで、高真空とは単に真空度が高いこと
のみならず、真空の質を向上させる、すなわちコンタミ
の発生原因となる残留ガス成分を減らすことも望まれて
いる。
【0022】また、この高真空を達成するために要する
時間を短縮する、すなわち分析系内を高速に排気するこ
とも、TEMの効率的な使用を実現する上で望まれてい
る。
【0023】コンタミの発生原因としては、TEMの鏡
体内の真空中の残留ガス成分のうちの炭化水素分子(ハ
イドロカーボン、Cmn)が挙げられる。
【0024】これらのハイドロカーボンは、最初から試
料に吸着していたものも含めて、試料表面での吸着、脱
離、または拡散を繰り返しているが、これらは電子線照
射下では、重合、堆積することにより、試料上に固体の
カーボンのコンタミを形成する場合がある。
【0025】こうしたコンタミは、試料の上下両面に形
成されて、その箇所のTEM観察像や回折図形を不明瞭
にさせる場合がある。また、エネルギー分散X線分光
(EDX)あるいは電子線エネルギー損失分光(EEL
S)分析時に、特性X線や非弾性散乱電子の信号強度を
減少させる場合があり、コンタミ自体からの特性X線や
非弾性散乱電子が出現する等の不都合が発生する場合が
ある。
【0026】これらのハイドロカーボンの出所として
は、鏡体内のレンズ、偏光コイルあるいは撮影用フィル
ムなどからの放出ガス、油回転ポンプ、油拡散ポンプか
らの鏡体への流入、Oリングに使用する真空グリースか
らの蒸発、試料及び試料ホルダーの汚染等を挙げること
ができる。
【0027】電子銃からの電子放出の安定化について
は、電解放射(FE)型電子銃において、特に重要とな
る。
【0028】FE型電子銃ではチップ先端に高い電界
(〜1010V/m)を印加し、量子力学的効果により電
子が障壁を通過する効果を利用しており、その特徴とし
ては電流密度が高いことが挙げられ、微小部の分析に適
しており現在急速に普及しつつある。そして、FE型電
子銃ではチップが異物質の吸着や、残留ガスによる衝撃
を受けると機能を維持できなくなるので、特に高真空が
必要となる。
【0029】具体的には、FE型電子銃のうち、コール
ド型では10-8Pa程度の、ショットキー型では10-7
Pa程度の真空度が必要であると言われている。
【0030】またFE型電子銃を一旦大気に晒すと、蒸
気の真空度に到達した後でも、TEM稼動前に電子銃の
ガス出しが必要となる。
【0031】これは、チップに最初に電子ビームを出す
際には、チップからガスが放出し、また、引出し電極へ
の電子の衝突により引き出し電極からガスが放出するこ
とにより、電子銃室で放電が発生しチップを破損させて
しまう恐れがあるためである。
【0032】この現象を予防するために電子銃のガス出
しとして、電子銃室の真空度に注意しながら引出し電圧
あるいはチップ電流を徐々に増加させていき、真空度が
悪化した場合は増加を止める真空度の回復を待つという
過程を、所望の電子放出電流が得られるまで繰り返す必
要がある。
【0033】上記のように高真空環境を必要とするTE
Mにおいては、鏡体等の分析系を排気して高真空環境を
得ようとする場合には、分析系内を排気しながら当該分
析系をヒーターで加熱して、当該分析系内に存在したり
内壁に吸着している有機分子や水分子を除去するベーキ
ング法が主に適用されている。
【0034】具体的には、対物レンズ近傍のベーキング
を行なう場合には、対物レンズ電流を流すことによって
鏡体を加熱することにより鏡体内壁からの脱ガスを行な
う方法が一般的に適用されている。
【0035】一方電子銃近傍のベーキングを行なう場合
には、鏡体外部に設置したヒーターで鏡体を外側から過
熱する、あるいは鏡体に内蔵したヒーターにより鏡体の
内側から過熱することにより鏡体内部からの脱ガスを行
なう方法が一般的に適用されている。
【0036】エミッション顕微鏡法は、平坦な表面から
の電子放出象を観察できる方法であり、その例として、
光電子顕微鏡装置(PEEM:Photo−Emiss
ion Electron Microscopy)
が、ウルトラマイクロスコープ誌(W.Engel、
M.E.Kordesch、H.H.Rotermun
d、S.Kubala及びA.von Oertzen
著、Ultramicroscopy、第36巻、第1
48〜153頁、1991年刊)や、米国特許第526
6809号公報等に開示されている。
【0037】エミッション顕微鏡法は、平面状の試料表
面から放出される電子(熱電子、光電子等)を加速し、
電子レンズで結像して表面を観察する方法であり、その
空間分解能は走査型電子顕微鏡にはおよばないものの、
リアルタイムで像を観察できるので、放出強度の空間分
布のみならず、時間変化も高い時間分解能で観察できる
ことが大きな特徴であることが、サーフェスサイエンス
誌(M.Mundschau、M.E.Kordesc
h、W.Engel、B.Rausenberger、
A.M.Bradshaw及びE.Zeitler著、
SurfaceScience、第227巻、第246
〜260頁、1990年刊)に記載されている。
【0038】特に、光電子顕微鏡では表面の仕事関数の
場所的変化によって光電子放出量が変わるため、表面状
態の差をコントラストとした拡大像をリアルタイムで得
ることが出来る。これらの特徴を活かして光電子顕微鏡
は結晶成長過程や吸着、拡散、相転移など表面現象の解
析に利用されている。
【0039】以上の様な光電子顕微鏡は表面の状態に敏
感であり、観察対象が試料の表面現像であること等の理
由により、鏡筒および試料が格納される分析室等の高真
空(10-7〜10-9Pa程度)が要求される。ここで、
高真空とは真空度だけではなく真空の質をも意味する。
特に、吸着/拡散や結晶成長などガス導入を伴う実験を
行うことが多いため、分析室内の構成部品に付着した残
留有機物や水分を排除することが必要となる。
【0040】分析室内を排気して高真空環境を得ようと
する場合には、分析室内を排気した後、有機分子や水分
子を予め除去した乾燥ガスを当該分析室内に供給し、再
び分析室内を排気することを繰り返すことにより、分析
室内構成部品や内壁に吸着している有機分子や水分子を
除去する乾燥ガス法や、分析室内を排気しながら分析室
をヒーターで加熱して分析室内に存在したり構成部品に
吸着している有機分子や水分子を除去するベーキング法
が適用されている。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
様な方法で真空分析装置の分析系を高真空とした場合、
以下の様な不具合が発生する場合があった。
【0042】質量分析装置の場合、前述したようなベー
キング法では、有機分子を過熱分解して気化させたり、
水分を加熱して気化させることによりイオン源内から離
脱させるため、熱負荷を加えることができない精密計器
を備えていたり、熱歪を嫌うような分析系には適用する
ことが困難であった。また、全ての有機物や水分の除去
するには長時間を必要とする場合があったり、イオン源
内を高真空とするのに数日から一週間程度の時間を必要
とする場合があり、効率が悪い場合があった。
【0043】一方、前述したような乾燥ガス法では、供
給するガスの精製にコストがかかる場合があった。ま
た、乾燥ガスの供給と排気を何度も繰り返すため、作業
が煩雑な場合があった。
【0044】なお、分解掃除はイオン源を大気にリーク
後各パーツを分解して行なうため、時間がかかりさらに
煩雑な作業となる場合があった。
【0045】以上より、イオン源の汚れがひどくなる前
に、分解作業を行なわずに簡単にイオン源内を清浄な環
境にできるようにして、真空の質を向上させることが望
まれていた。
【0046】高周波誘導結合プラズマ質量分析装置の場
合、前述したようなベーキング法では、有機分子を加熱
分解して気化させたり、水分を加熱して気化させること
により分析系内から離脱させるため、全ての有機物や水
分の除去に長時間を要する場合があった。また、分析系
内を真空にするのに数時間から一日程度の時間がかかる
場合があり、効率が低い場合があった。また、質量分析
部は熱負荷を加えると壁面湾曲、電極変形といった現象
を引き起こす場合があり、質量分析部自身の性能劣化に
つながる恐れがあった。更に、質量分析部内に熱負荷を
加えることができない精密計器を備えてたり、熱歪を嫌
うような電極には、適用することが困難であった。
【0047】一方、前述したような乾燥ガス法では、供
給するガスの精製にコストがかかる場合があり、乾燥ガ
スの供給と排気を何度も繰り返すため、作業が煩雑とな
る場合があった。
【0048】以上の様な、ベーキング法および乾燥ガス
法の問題を解決する方法として、内部を真空環境に保持
する真空容器を備えてなる真空装置において、真空容器
の内面に光触媒層を形成することが、登録特許第293
4601号公報で開示されている。しかしながら、装置
内面に形成された光触媒層ではなく、むしろ付着物が付
着しやすい四重極電極および検出器部等の物品の表面に
光触媒層を形成すること等は、詳細には記載されていな
い。従って、荷電粒子分析装置の分析系の真空特性が、
分析系の内表面上の付着物よりも、分析系内に配設され
る物品の表面上の付着物に依存する場合は、真空特性を
十分改良できない場合があった。
【0049】走査型電子顕微鏡装置の場合、代表的なコ
ンタミネーション対策の1つとして、以前よりアンチコ
ンタミネーションとラップを用いた防止策が施されてき
た。また、それに加えて、試料近傍を効率的に冷却する
ことで、観察時の試料へのコンタミネーション防止する
ことが、特開平8−250058号公報や特開平8−2
73573号公報等に開示されている。
【0050】しかしながら、これらの従来技術において
は、観察時に試料上に発生する付着物の抑制が主眼とさ
れており、対物レンズ、アパーチャ、電子源といった、
分析系内の物品へのコンタミネーションの影響は、あま
り考慮されていない。
【0051】特に、鏡筒内に有機ガス分子等が付着した
ために、鏡筒、電子源室も含めてベーキング等を行うこ
とを避けるためには、可能な限り、試料台および試料導
入手段等に、真空度低下の原因となる付着物を発生させ
ないことが必要である。
【0052】なお、水分子を迅速かつ容易に外部へ排出
させる方法として、特開平9−313919号公報に
は、測定装置などの分析系内壁に光触媒からなるコーテ
ィング膜を被膜する方法が開示されている。しかしなが
ら、走査型電子顕微鏡においては、分析系の内表面より
もむしろ試料台および試料導入手段等の物品上の付着物
が問題となる場合が多く、分析系の内表面に光触媒層を
形成したのでは、走査型電子顕微鏡の真空特性を十分向
上できな場合があった。
【0053】また、走査型電子顕微鏡においては、試料
台および試料導入手段等の大気中から分析系内に導入さ
れる物品が配設されており、これらの物品には、大気中
からのコンタミネーションに起因する付着物が発生する
確率が高い。一方、鏡体等の分析系内部を大気圧に開放
することは少なく、付着物が発生する確率は低い。従っ
て、分析系の内壁だけに光触媒層を形成した場合には、
十分な真空特性の改良効果が得られない場合があった。
【0054】以上から、特に試料や試料台および試料導
入手段といった、大気中から分析系内に導入される物品
に発生する付着物を除去し、分析系内を高真空環境に維
持して、常に最適な環境で観察を行うことが望まれてい
た。
【0055】透過型電子顕微鏡装置(TEM)の場合に
ついても、前述したようなベーキング法では、有機分子
を加熱分解して気化させたり、水分を加熱して気化させ
ることにより鏡体等の分析系内から離脱させるため、全
ての有機物や水分の除去に時間を要する場合があり、鏡
体内を高真空にするのに時間がかかり効率が低い場合が
あった。また、熱負荷を加えることができない精密計器
を備えてたり、熱歪を嫌うような部分には適用すること
が困難であった。
【0056】具体的には、対物レンズに付設されるヒー
ターに電流を流すことによって、対物レンズ近傍の鏡体
を加熱する方法では、100℃以下の温度でしかベーキ
ングを行なうことができず、鏡体内部からの脱ガスが不
十分の場合があった。
【0057】一方、ヒーターで電子銃近傍の鏡体を加熱
する方法では、電子放出用チップや引出し電極等はセラ
ミック製の碍子によりガンチャンバに対して電気的に絶
縁されており、この碍子により、電子放出用チップや引
出し電極等はガンチャンバと熱的にも絶縁されてしまう
ので、電子放出用チップや引出し電極等のガス出しが不
十分な場合があった。
【0058】特に、鏡体外部に設置したヒーターで鏡体
を外側から加熱することにより鏡体内部からの脱ガスを
行なう方法では、このことが問題となる場合がある。
【0059】また鏡体に内蔵したヒーターにより鏡体内
部の加熱することにより鏡体内部からの脱ガスを行なう
方法は、上記の問題はやや改善されるが、完全に解決で
きない場合があった。
【0060】これらの問題が十分改良されない場合、T
EM観察時のコンタミの発生や電子銃からの電子放出が
不安定となることもあった。
【0061】従って、透過型電子顕微鏡装置について
も、短時間で簡単に真空容器内を高真空環境にできるよ
うにすることや、真空の質を向上させることが強く望ま
れていた。
【0062】なお、既に述べた、特許第2934601
号公報には、具体的に透過電子顕微鏡に関する記載はな
く、試料ホルダー、対物レンズ部、電子銃部等の分析系
内物品に光触媒層を設けることも記載されていない。
【0063】光電子顕微鏡装置の場合についても、前述
したようなベーキング法では、有機分子や水分を加熱分
解して気化することにより分析室内から離脱させるた
め、高温かつ長時間の加熱工程が必要となる場合があっ
た。このため、高い熱負荷を加えることができないレン
ズ鏡筒のような精密計器、熱歪を嫌うような分析系等に
適用することが困難な場合があった。
【0064】一方、乾燥ガス法では、供給するガスの精
製にコストがかかる場合があった。また、乾燥ガスの供
給と排気を何度も繰り返すため、作業が煩雑となる場合
もあった。
【0065】従って、光電子顕微鏡の場合も、分析室の
真空を、短時間で簡単に向上することが強く望まれてい
た。
【0066】以上に説明した様に、従来のベーキング法
および乾燥ガス法では、効率が低い、操作が煩雑であ
る、適用できる分析系が限られる等の不都合が生じる場
合があった。また、光触媒層を分析室の内表面に形成し
た場合、分析室内に配設される物品表面上のコンタミネ
ーション(付着物)により主に発生する不都合を、十分
に抑制できない場合があった。
【0067】以上の状況に鑑み本発明においては、分析
室内に配設される物品表面上のコンタミネーション(付
着物)により主に発生する不都合を抑制することを始め
とし、高効率で、操作性良好に、物品による制限を受け
ること無く、真空分析装置の分析室の真空特性を向上す
ることを目的とする。
【0068】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明によれば、真空分析系の一部である試料室内
で、エネルギーを試料に与えることにより発生する荷電
粒子またはエネルギーを分析する装置において、該分析
系内の1つ以上の物品の表面に、光触媒層が形成されて
おり、該光触媒層上の付着物を光分解するための光線を
照射する手段を含むことを特徴とする真空分析装置が提
供される。
【0069】また、試料をイオン化し荷電粒子とするた
めの試料室(イオン化室)と、イオンをイオン化室の外
部へ取り出すための電極と、生成したイオンが方向収束
されるフォーカスレンズとを含んでなるイオン源を、真
空分析系の一部として含む質量分析装置において、該イ
オン源の内部を真空環境に保持するため、有機物および
水分子(付着物)を光分解する光触媒層が、該電極およ
びフォーカスレンズの少なくとも一方の物品の表面に形
成されており、該触媒層上で有機物および水分子(付着
物)を光分解するための光線を照射する光線照射手段を
含むことを特徴とする質量分析装置が提供される。
【0070】また、高周波誘導結合プラズマにより試料
をイオン化し荷電粒子とする試料室と、イオン化したプ
ラズマを四重極電極へ導入するためのインターフェイス
部及びイオンレンズ郡と、四重極質量分析部と、四重極
質量分析部により分離されたイオンを検出する検出器と
を、真空分析系の一部として含む高周波誘導結合プラズ
マ質量分析装置において、有機物および水分子(付着
物)を光分解する光触媒層が、該四重極電極およびイオ
ン検出器の少なくとも一方の物品の表面に形成されてお
り、該触媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分
解するための光線を照射する光線照射手段を含むことを
特徴とする高周波誘導結合プラズマ質量分析装置が提供
される。
【0071】また、電子源と、電子源から発生した1次
電子(プローブ粒子)ビームを集光制御するためのレン
ズ系を含む鏡筒と、該鏡筒内を通過した電子ビームが照
射される試料が保持される試料台を含む試料室と、該試
料台を試料室に設置するための試料導入手段と、該1次
電子ビームの照射により試料から放出される2次電子を
検出する検出器とを、高真空分析系の一部として含み、
試料の2次元走査像を得る走査型電子顕微鏡装置におい
て、有機物および水分子(付着物)を光分解する光触媒
層が、該試料台および該試料導入手段の少なくとも一方
の物品の表面に形成されており、該触媒層上で有機物お
よび水分子(付着物)を光分解するための光線を照射す
る光線照射手段を含むことを特徴とする走査型電子顕微
鏡装置が提供される。
【0072】また、試料ホルダーを含む試料室と、対物
レンズ系を含む鏡筒と、電子銃を含む電子銃室とを、高
真空分析系の一部として含む透過型電子顕微鏡装置にお
いて、有機物および水分子(付着物)を光分解する光触
媒層が、該試料ホルダー、該対物レンズ系および電子銃
の少なくとも何れかの物品の表面に形成されており、該
触媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分解する
ための光線を照射する光線照射手段を含むことを特徴と
する透過型電子顕微鏡装置が提供される。
【0073】また、試料ステージ及びマニピュレータを
含む分析室と、レンズ系を含むレンズ鏡筒とを、高真空
分析系の一部として含む光電子顕微鏡装置であって、有
機物および水分子(付着物)を光分解する光触媒層が、
該試料ステージ、該マニピュレータおよび該レンズ鏡筒
の少なくとも何れかの物品の表面に形成されており、該
触媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分解する
ための光線を照射する光線照射手段を含むことを特徴と
する光電子顕微鏡装置が提供される。
【0074】
【発明の実施の形態】本発明の真空分析装置において
は、分析系内の1つ以上の物品の表面に光触媒層が形成
されている。このため、分析系の内表面に光触媒層を形
成した場合と異なり、物品表面上のコンタミネーション
(付着物)により主に発生する不都合を始めとし、分析
系の真空特性に起因する各種の不都合を、高効率で、操
作性良好に、物品による制限を受けること無く、抑制で
きる。
【0075】また、分析系の内表面の表面積と、分析系
内に配置される物品の表面積とを比較した場合、一般
に、物品の表面積の方が大きい。従って、光触媒層を物
品の表面に形成した場合、効果的に分析系の真空特性を
改良できる。
【0076】なお、物品表面上における、光触媒層の形
成位置は、物品の機能を低下しない範囲で、成膜性等を
考慮して決定される。この結果、光触媒層は、物品表面
の全体に形成される場合もあり、一部に形成される場合
もある。
【0077】また、物品の表面に加え、分析系の内表面
の少なくとも一部にも、光触媒層を形成することによ
り、分析系の真空特性を更に改良できる。
【0078】特に、質量分析装置について、付着物の発
生しやすい部位を検討した結果、イオンと頻繁に接触す
る電極およびフォーカスレンズであることを見出し、こ
れらの物品表面に光触媒層を形成することにより、分析
系の真空特性を向上できる。
【0079】なお、イオン化室の内壁にも、光触媒層を
設けることが好ましい。
【0080】また、高周波誘導結合プラズマ質量分析装
置について、付着物の発生しやすい部位を検討した結
果、イオンと頻繁に接触する四重極電極およびイオン検
出器であることを見出し、これらの物品表面に光触媒層
を形成することにより、分析系の真空特性を向上でき
る。
【0081】更に、走査型電子顕微鏡装置について、付
着物の発生しやすい部位を検討した結果、試料を配置す
る際に大気に曝される試料台および試料導入手段である
ことを見出し、これらの物品表面に光触媒層を形成する
ことにより、分析系の真空特性を向上できる。
【0082】また、試料に残留有機成分等から放出され
るガス成分等によって、従来の試料台を用いた観察で
は、試料にコンタミネーションが発生する場合があった
が、試料に起因するコンタミネーションは、試料台に光
触媒層を形成することにより、効果的に抑制できる。
【0083】なお、鏡筒および試料室の少なくとも一方
の内面にも、光触媒層を設けることが好ましい。
【0084】加えて、透過型電子顕微鏡装置について、
付着物の発生しやすい部位を検討した結果、試料を配置
する際に大気に曝される試料ホルダーと、試料に近接し
ている対物レンズ系と、付着物の焦付きが発生しやすい
電子銃とであることを見出し、これらの物品表面に光触
媒層を形成することにより、分析系の真空特性を向上で
きる。
【0085】なお、試料室、鏡筒および電子銃室の少な
くとも何れかの内壁にも、光触媒層を設けることが好ま
しい。
【0086】更には、光電子顕微鏡装置について、付着
物の発生しやすい部位を検討した結果、試料を配置する
際に大気に曝される試料ステージと、試料に近接してい
るマニピュレータ及びレンズ鏡筒とであることを見出
し、これらの物品表面に光触媒層を形成することによ
り、分析室の真空特性を向上できる。
【0087】光電子顕微鏡においては、レンズ鏡筒、試
料ステージ、マニピュレータなど高い熱負荷を加えるこ
とができない構成部品が、特に多く使用されている。ま
た、真空容器内の表面積としては、真空容器内面よりも
各構成部品のほうが大きい。
【0088】従って、特許第2934601号公報に記
載されている様に、分析室内面に光触媒を塗布する方法
では効果が間接的であり、各構成部品表面に光触媒を塗
布し、光分解を進行させるための光線を照射した方が、
効果が直接的であると同時に、装置の構成上も優れる。
【0089】また、鏡筒、試料ステージ、マニピュレー
タなどの構成部品は、光電子顕微鏡に既存の紫外線照射
装置で照射することが可能な位置にあり、新たに紫外線
照射装置を設置する必要がない。
【0090】即ち、光分解のための光線を照射する光線
照射手段は、光電子顕微鏡観察を行う際の光電子励起光
源を兼ねることが好ましい。
【0091】なお、分析室および鏡筒の少なくとも一方
の内壁にも、光触媒層を設けることが好ましい。
【0092】本発明における光触媒層上で、有機物や水
分子等の付着物が、光分解および光解離する推定機構
を、光触媒物質が二酸化チタンの場合について、以下に
説明する。
【0093】即ち、二酸化チタンはn型半導体であるた
め、そのバンドギャップ(禁制体の幅)以上のエネルギ
ーを有する波長の光線が照射されると、励起され電子
(e-)−正孔(h+)対が内部に生成される; TiO2 → e-+h+ (1.1)、 そして、光触媒層に吸着している水分子に対して酸化還
元反応を進行させ、正孔の作用により酸素と; H2O → O2 (2.1)、 電子の作用により水素とに、水分子は光分解する; H2O → H2 (2.2)。
【0094】このようにして生成した水素と酸素はその
吸着滞留時間が10-11sec程度であるため、水分子
の吸着滞留時間10-4secよりも大幅に短く、吸着表
面から短時間で離脱する。
【0095】また、同様に光励起されたに酸化チタンの
表面は+3.0Vという非常に強い酸化力を持ち、有機
物も容易に光分解することができる。有機物の光分解に
は、二酸化チタンの表面に吸着水が存在する場合と存在
しない場合で2つの反応経路が考えられる。
【0096】まず、二酸化チタンの表面に吸着水が存在
する場合には、二酸化チタンの表面で水から生成した非
常に酸化力の高い水酸化ラジカルOH・が炭素鎖と反応
し、炭素鎖の末端がアルコール、アルデヒド、カルボン
酸と逐次酸化され、最後に二酸化炭素として脱離してゆ
く; H2O+h+ → OH・+H+ (3.1)、 H++e- → 1/2H2 (3.2)、 RCH2CH3+2OH・→RCH2CH2OH+H2O (4.1)、 RCH2CH2OH → RCH2CHO+H2 (4.2)、 RCH2CHO+H2O → RCH2COOH+H2 (4.3)、 RCH2COOH → RCH3+CO2 (4.4)。
【0097】次に、二酸化チタンの表面に吸着水が存在
しない場合には、二酸化チタンの表面で1個O2-イオン
から2個の電子が放出され、この電子は二酸化チタン結
晶中のTi4+イオンをTi3+イオンに還元する。一方、
2個の電子が飛び出したO2-イオンはO原子となり、こ
の原子状酸素が強い酸化作用を発揮し、有機物を二酸化
炭素に光分解してゆく; O2-+hν → O+2e- (5.1)、 2Ti4++2e- → 2Ti3+ (5.2)、 RCH2CH3+3O → RCH3+CO2+H2O (6.1)。
【0098】なお、二酸化チタンはそのバンドギャップ
が3.2eVであるので、380nm以下の波長の光線
で上述した反応が進行するが、本発明で使用される光触
媒材料は、上述した反応を進行させるものであれば特に
制限されない。
【0099】しかしながら、反応効率の観点から、光触
媒層は、TiO2、SrTiO3、ZrO2、Ta25
4Nb617、Na2Ti613、K2Ti613及びBa
Ti49からなる群より選ばれる1種以上の光触媒材料
より主になることが好ましい。
【0100】特に、TiO2にはアナターゼ型およびル
チル型が存在するが、触媒活性の高さの観点から、光触
媒層は、アナターゼ型のTiO2より主になることが好
ましい。
【0101】また、上述した光解離反応は、TiO2
の光触媒材料だけでも十分に起こり得るが、白金や二酸
化ルテニウム、金、パラジウム、銀、銅、亜鉛等のよう
な光解離反応を促進させる活性材料の微粒子を上記光触
媒材料に分散させるように担持させれば、水分子や有機
分子の光解離および光分解反応をさらに促進させること
ができる。
【0102】即ち、光触媒層において、付着物の光分解
を促進する活性材料が、光触媒材料に担持されているこ
とが好ましい。
【0103】なお、光触媒層の触媒活性と機械的強度の
観点から、活性材料の含有量は、光触媒層の1質量%以
上10質量%以下が好ましい。 特に、活性が高く入手
が容易である等の理由により、活性材料は、Pt及びR
uO2の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0104】本発明において、光触媒層の成膜法として
は、化学的気相析出法やスプレー法、ゾル溶液の吹き付
け法、超音波によるミストを熱分解させるパイロゾル
法、ディップ法、スピンコート法、印刷法などの化学的
成膜方法だけでなく、物理的成膜法としてのスパッター
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、微粉末やゾ
ルを用いた溶射法など様々な成膜法が採用可能である。
中でも、真空容器内壁などへの成膜を考えると、スプレ
ー法やパイロゾル法、ディップコート法等が好ましい。
【0105】以上の様な方法により容易に成膜できる等
の理由により、光触媒層は、アルコキシチタンを主に含
む溶液(チタニアゾル)を所定の個所に塗布し、得られ
たチタニアゾルの塗布膜を加水分解および脱水縮合する
ことにより形成されることが好ましい。
【0106】具体的には、Ti(OC254、Ti
(i−OC374、Ti(OC49 4、Ti(OC4
92Cl2等のチタンアルコキシド、チタンアルコキ
シドにエチレングリコールなどのグリコール類、酢酸や
乳酸などのカルボン酸類、トリエタノールアミン等のア
ルカノールアミン類、アセチルアセトンなどのβ−ジケ
トン類との付加反応物や錯体、およびTiCl4などの
塩化物をエタノールなどの汎用アルコール、酢酸エステ
ルやβ−ジケトンなどの溶剤に溶解したもの、又は、そ
れらの混合物等といったチタニアゾルを使用することが
できる。
【0107】アルコキシチタンは、加熱焼成等により加
水分解して水酸化物となり、これが脱水縮合することに
より、二酸化チタンとなる。
【0108】二酸化チタンの光触媒活性は評価する対象
物質によって異なるものの、通常膜厚が3〜5μm程度
で頭打ちになるケースが多い。また、800℃以上で処
理すると酸化チタンの結晶系が活性の高いアナターゼ型
から活性の低いルチル型に転移してしまう。以上のこと
から、成膜時には膜厚や焼成温度のコントロールが必要
となる。
【0109】具体的には光触媒層の膜厚は、0.5μm
以上5μm以下が好ましい。
【0110】また、焼成温度は、結晶特性に優れるアナ
ターゼ型のTiO2が得られる等の理由により、400
℃以上800℃以下が好ましい。 二酸化チタンはその
バンドギャップが3.2eVであるので、380nm以
下の大きさの波長の光線で上述した光触媒反応が起き
る。光触媒材料により必要な波長領域が異なるが、総じ
て波長400nm以下の紫外線を多量に含むものである
ことが好ましい。
【0111】従って、本発明で使用される光線照射手段
は、波長400nm以下の紫外線を主に発生するものが
好ましい。
【0112】具体的には、水銀ランプ、重水素ランプ、
DeepUVランプ、キセノンランプ、メタルハライド
ランプ及びブラックライトからなる群より選ばれる1種
以上の光源を有するものが好ましい。
【0113】本発明においては、例えば、光線照射手段
から分析系へ光線を導入するための光照射窓を、分析系
の所定の位置に設けることにより、光線照射手段からの
光線を光触媒層へ間歇的または連続的に照射しながら、
前記分析系を排気することにより真空を達成することが
できる。なお、光線照射直後に、吸着物質の解離等に起
因して、一時的に分析系の内圧が上昇する場合がある。
この様な場合は、排気系の排気能力に応じて、光線照射
を間歇的に行うことが好ましい。
【0114】また、安定した光線照射を行う等の理由か
ら、光照射窓の汚染が抑制されていることが好ましい。
このため、光線照射手段から分析系へ光線を導入するた
めの光照射窓の内表面に、光触媒層を形成する場合もあ
る。
【0115】更に、波長400nm以下の光の透過率が
高い等の理由により、光線照射手段の光照射窓は、Mg
2より主になることが好ましい。
【0116】また、光線照射手段の先端部の形状は、任
意の方位に光線を照射可能な屈曲性ファイバー形状とす
ることができる。
【0117】以下に、各種の真空分析装置について、本
発明を説明する。
【0118】(質量分析装置)図4には、本発明におけ
る質量分析装置の模式図を示した。101はガスクロマ
トグラフ等の、分析される試料(分析物)の導入部、1
02は分析物からイオンを生成するイオン化室108を
含むイオン源、103は質量−電荷比に応じてイオンを
分離する少なくとも1つのフィルターであり、104は
イオンの存在度(abundance)を測定する検出
器、105は分析物のマススペクトルを作り出すデータ
処理システムである。光線照射手段109は、質量分析
装置内に設置することは困難かつ危険であるため、図に
示すように分析装置外に設け、光源から取り出された光
は光ファイバー115等を用いて質量分析装置内に導入
される。光ファイバー115は自在に屈曲させることが
できるため、イオン源部が観察可能な窓116を設ける
ことにより、イオン源の周囲を光照射させることが可能
である。
【0119】図1〜3には、図4の102に示したイオ
ン源の拡大図を示した。図1及び2はEI(電子衝撃
源)を示し、図3はCI(化学イオン化源)を示す。
【0120】図1に示す様に、EI源は、一般に電子を
放出する高温フィラメント106を包含し、その電子は
陽極107の方へ加速され、イオン化室108に導入さ
れた気体状態の分析物分子に衝突する。イオン化室10
8の内壁と、電極110と、フォーカスレンズ111及
び112との表面(図中の黒い部分)には、二酸化チタ
ン(TiO2)に代表される光触媒材料からなるコーテ
ィング膜が被覆され、光触媒層が形成されている。この
ような構成により、イオン化室を分解することなく、光
線を照射して汚れを清浄できる。
【0121】また、図2においては、電極110と、フ
ォーカスレンズ111及び112との表面のみに、光触
媒層が形成されている。
【0122】EI源においては、典型的には電子は約7
0eVのエネルギーを有しており、数パーセント未満の
効率でイオンが生成される。イオン化源内部の全体圧力
は、通常約1×10-3Pa程度に保持される。生成され
たイオンは、イオン押出し電極110により押し出され
る。イオン化室より出たイオンはフォーカスレンズ11
1及び112により水平および垂直方向に収束され、ス
リット113に向かう。
【0123】図3に示した様なCI源は、EI源とは対
照的に、分析物の分子とイオン化室に存在する一次イオ
ンとの衝突を通して、又はイオン化室に存在する低エネ
ルギー電子の付着によって、実際にイオンを生成する。
CI源は、EI源が動作するものより、やや低い圧力、
典型的には5×10-3Pa程度で動作する。この圧力
は、CI源を含むイオン化室108中へポンプによって
供給される、メタン、イソプタン、アンモニア等の反応
ガス114の流れに起因する。典型的な構成では、反応
ガス114と分析物は両方とも機密シールを通してCI
源を含むイオン化室108中へ導入される。
【0124】図3に例示した構造の場合、図1に示した
場合と同様に、イオン化室108の内壁と、電極110
と、フォーカスレンズ111及び112との表面(図中
の黒い部分)には、二酸化チタン(TiO2)に代表さ
れる光触媒材料からなるコーティング膜が被覆され、光
触媒層が形成されている。
【0125】CI源での反応ガス114及び分析物に
は、一般的には直径1mm未満の小さいオリフィスを通
してフィラメント106から、50〜300eVのエネ
ルギーを有する電子が噴霧される。この電子により、反
応ガス114及び分析物から生じたイオンは、一般的に
は直径1mm未満の、小オリフィスを通して抽出され、
フィルターに導入される。CI源の内部に電界を印加し
てもよいが、CI源の動作には通常その必要はなく、イ
オンは結局、反応ガス114の流れにおける拡散と移
動、噴流の組み合わせによってCI源を離れる。
【0126】以上に説明した電極およびフォーカスレン
ズは頻繁に試料と接触する。このため、これらの物品表
面に光触媒層を形成することにより、付着物の堆積を特
に効果的に抑制することができ、分析系の真空特性を向
上することができる。
【0127】図4に例示した様な質量分析装置において
は、イオン化室108の内面へ光線照射手段109に設
置されている紫外光源ランプから紫外線を照射しなが
ら、質量分析装置内のイオン源内部を、ポンプにより排
気する。通常、質量分析装置自体は高真空に維持されて
いるため、この操作は、装置を使用していない間に、適
宜行なう。紫外線を照射した直後は吸着物質の解離など
により、一時的に真空度が上昇することがあるため、排
気系の能力に対応して任意の間隔で断続的に光を照射す
る方法も効果的である。
【0128】(高周波誘導結合プラズマ質量分析装置)
高周波誘導結合プラズマ質量分析装置のネプライザ部
分、トーチ部分およびイオンレンズ部分は開放系にある
ことに加え、試料自体を分解してしまい、試料導入を困
難にする等の理由により、これらの部分に光触媒層を形
成することのより、高周波誘導結合プラズマ質量分析装
置の性能を向上することは困難である。
【0129】一方、四重極電極およびイオン検出器は、
差動排気によって高真空となる部分に配置されており、
これらの物品は頻繁に試料と接触する。このため、これ
らの物品表面に光触媒層を形成することにより、付着物
の堆積を特に効果的に抑制することができ、分析系の真
空特性を向上することができる。
【0130】更に、四重極電極およびイオン検出器に加
え、コリジョンセルと呼ばれる障害ピーク除去用セル等
の他の物品や、四重極電極およびイオン検出器の周辺の
分析系内表面に、光触媒層を形成することもできる。
【0131】また、光触媒に光を照射する手段として、
前述の光線照射手段を用いるが、この際、質量分析装置
内に内圧の高い光源を設置することは困難であり危険で
ある。このため、光線照射手段は分析装置外に設けら
れ、光源から取り出された光は、ミラー、光ファイバー
などの光学伝達手段を用いて質量分析装置内に導入され
る。例えばミラーで光源からの光を反射し、光照射窓を
介して光触媒層に光照射を行なう。この際に使用される
光線照射手段の光学素子としては、通常のミラー光学ガ
ラス類の他に、MgF2を主体とした光学素子、水素を
重水素置換したプラスティック製光ファイバなどが用い
られる。特に光ファイバは周囲が高真空状態でも破損す
る危険が少なく、自在に屈曲させることで質量分析装置
内に均一に光を照射できる。また照射する光を可視光に
変更するまたは紫外光を検出する手段を別途設け、外部
に設置されたディスプレイに質量分析装置内の汚染具合
を表示することで、直後観察により、特に汚染の激しい
場所を探し出し、集中して紫外光を照射し、汚染を除去
することも可能である。
【0132】以上に説明した光線照射手段から紫外線を
照射しながら、分析系内部を排気する。紫外線を照射し
た直後は吸着物質の解離などにより、一時的に真空度が
低下することがあるため、排気系の能力に対応して任意
の間隔で断続的に光を照射する方法も効果的である。
【0133】(走査型電子顕微鏡装置)図10には、本
発明の走査型電子顕微鏡装置の模式図を示した。301
は電子放出陰極であり、電子放出陰極301と引出電極
302に印加される電圧により電子放出陰極301から
放出された1次電子線304が、陽極303に印加され
る電圧により加速されて後段のレンズ系に進行する。
【0134】1次電子線304は、電子ビームを集光制
御する集束レンズ305で収束され、対物レンズ絞りで
ビームの照射角を制限され、対物レンズ308で試料台
314上の試料313上に細く絞られ、偏向レンズ30
6及び307で試料313上を2次元的に走査される。
試料313の1次電子線照射点から発生した2次電子信
号は2次電子検出器312によって検出される。
【0135】鏡筒309内は複数個のイオンポンプ31
8(図中には1個のみ表示)によって約10-5Pa程度
に真空引きされており、試料室316内はターボモレキ
ュラポンプ等からなる真空ポンプ319によって約10
-4Pa程度に真空引きされている。
【0136】試料313を保持している試料台314の
表面には、二酸化チタン(TiO2)に代表される光触
媒材料からなるコーティング膜が被覆されており、光触
媒層が形成されている。試料交換室317の周囲には、
光照射窓を介して紫外光源ランプ310を設置した光線
照射手段311が設置されている。図10では、光線照
射手段311は、試料交換室の直下に配してあるが、こ
の場所に限定されるものではなく、試料台全体を均一に
照射できるように1個以上適宜配置することが可能であ
る。また試料自体を回転させて全体に照射するようにし
てもよい。
【0137】光線照射手段311は真空度の低下を避け
るために試料交換室317に設置してあるが、観察を行
う試料室316内にも設置することができる。
【0138】また、上記二酸化チタン等材料の被膜は試
料台のみに限らず、鏡筒内、試料室内壁、あるいは試料
交換室内壁、ビューポート等に適宜被膜し、光触媒層を
形成することができる。
【0139】それに対応して光線照射手段311も、被
膜部位に均一に照射が可能なように、適宜配置すること
ができる。
【0140】作業の手順としては、試料313を設置し
た試料台314を大気中から導入し、試料交換室内31
7で予備排気を行う。その間、試料交換室317の周囲
に設置されている光線照射手段311内の紫外光源ラン
プ310から試料台314へ紫外線の照射を行い、光触
媒層上の付着物を光分解する。
【0141】(透過型電子顕微鏡装置)図15には、透
過電子顕微鏡装置(TEM)の構造例を示した。ここで
401は電子銃室、402は照射系室、403は試料
室、404は結像系室、405は観察室、406はカメ
ラ室であり、真空排気系(不図示)により排気されてい
る。また、407は試料ホルダー、408は試料、41
5は電子銃、416は加速管部、417は対物レンズ系
である。
【0142】図15に示す様に、TEMでは、電子線の
発生、加速、試料への照射、結像、観察、記録などを行
なうに必要な、上記の種々の機能を有する複数の真空容
器(鏡体)を含む分析系から形成されている。
【0143】本発明の透過型電子顕微鏡装置において
は、試料ホルダー、対物レンズ系および電子銃の少なく
とも何れかの物品の表面に、光触媒層が形成されている
が、必要に応じて、例えば、鏡体、電子銃室、試料室、
観察室、カメラ室等の分析系の内壁の1個所以上; チ
ップ構成部材、ウエネルト、絞り、蛍光板、光照射窓の
内表面等の1つ以上物品の表面等に形成することもでき
る。
【0144】以上の様に、光触媒層の形成部位は、透過
電子顕微鏡の性能に不都合がなければ、特に限定される
ものではない。
【0145】ただし、これらの光触媒層には、光触媒材
料で有機物や水分子の付着物を光分解または光解離させ
るための光線が照射される必要がある。従って、光触媒
層は、適当な光線照射手段により、光線が照射できる位
置に形成される必要がある。
【0146】光線照射手段としては、前述したようなラ
ンプを用いる方法を挙げられるが、TEMで使用する電
子線を利用することもできる。
【0147】即ち、分析系(鏡体)内に備えた蛍光物質
に電子線を照射することにより、発生する光を光線照射
手段として用いることができる。
【0148】また、光線照射手段は、分析系の内部に配
置することもでき、分析系の外部に配置し光照射窓から
光を照射することもでき、透過電子顕微鏡の性能に不都
合がなければ、何れでも構わない。
【0149】真空容器の内部へ光線照射手段から紫外線
を照射しながら、分析系を排気する。紫外線を照射した
直後は吸着物質の解離などにより、一時的に真空度が上
昇することがあるため、排気系の能力に対応して任意の
間隔で断続的に光を照射する方法も効果的である。
【0150】また、本発明における方法と、ベーキング
法および乾燥ガス法等の従来方法とを組合わせで使用す
ることもできる。
【0151】(光電子顕微鏡装置)光電子顕微鏡装置の
概略を図18に示した。図において、試料508に対向
して設置されたレンズ鏡筒502は、静電型もしくは磁
場型の対物レンズ503、中間レンズ504、投影レン
ズ505と、対物絞り(不図示)、マルチチャンネルプ
レート506、蛍光板507から構成されている。ここ
で、吸着および拡散、結晶成長等のガス導入を伴う実験
を行う場合には、レンズ鏡筒502内部を差動排気でき
る構造とする。また、試料508表面に紫外線を照射す
るための紫外線照射装置511が試料508を臨む位置
に設置されている。
【0152】試料508表面を観察する際には、単色化
されておらずエネルギーの低い水銀ランプや重水素ラン
プの紫外線を使用する。HeやNeの共鳴線などの単色
化した紫外線を使用すると、エネルギーが高いため、拡
大像の空間分解能が低下してしまう。単色化されていな
い紫外線の照射では、表面の仕事関数の場所的変化によ
って、光電子放出が変わるため、表面状態の差をコント
ラストとした拡大像を得ることが出来る。また水銀ラン
プを使用する場合には、分析室外に紫外線照射装置51
1を設置出来るため、シャッターなどの機構をつければ
簡単に紫外線照射のオンオフが可能になる。
【0153】紫外線照射により試料508表面より放出
された光電子は、試料508とレンズ鏡筒502の間に
印加される加速電圧により数keVから数十keVに加
速され、対物レンズ503の後焦点面に配置された対物
絞りを通過した電子が中間レンズ504、投影レンズ5
05によって拡大され、マルチチャンネルプレート50
6に結像する。
【0154】この時、対物レンズ503は主としてフォ
ーカス調整用として、中間レンズ504は主として倍率
設定用として機能する。マルチチャンネルプレート50
6で増幅された電子は蛍光板507に像を表示し、この
像はビューポート513を介してCCDカメラ514で
投影される。撮影された光電子像はビデオデッキ515
で記録されるとともに表示装置516に表示され、同時
にコンピュータ517で輝度の時間変化やプロファイル
を解析できる。
【0155】分析室501内には、レンズ鏡筒502、
試料508、試料ステージ509、マニュピレータ51
0等が設置されているが、これらの物品のうち、大気お
よび試料からの発生ガス等に曝されるため、レンズ鏡筒
502、試料ステージ509及びマニュピレータ510
等の表面に付着物が堆積しやすい。そこで、図16に示
す様に、レンズ鏡筒502、試料ステージ509及びマ
ニュピレータ510の表面、更には、分析室の内面等に
光触媒層を形成する。そして、光触媒薄層上で有機分子
や水分子を光分解または光解離させるための光線を照射
する光線照射手段522を配設する。
【0156】光線照射手段522は図に示す様に、分析
室501内に設置するタイプとすることもできるし、石
英ビューポート(光照射窓)を通して、分析系501外
から照射することもできる。
【0157】また、光線照射手段522としては、光電
子顕微鏡の励起光源として備えられている紫外線照射装
置511を併用してもかまわない。ただし、光触媒反応
を起こさせる場合には、広い面積を照射する必要がある
のに対し、光電子顕微鏡の励起光源として使用する場合
には試料表面のみ(観察したい領域のみ)に絞って照射
するため、光源の照射領域を任意に切替え可能な構成と
なっている必要がある。また、観察中は試料508とレ
ンズ鏡筒502の間に数kVから数十kVの電圧を印加
する為、急激な真空度の低下は放電を誘引して試料を破
壊する可能性がある。従って観察中は試料表面以外の部
分、つまり光触媒層の成膜された部位には、紫外線を照
射できないような構成が望ましい。
【0158】減圧操作としては、分析室501内を排気
して真空度がある程度良くなってから、分析室内部へ光
線照射手段から紫外線を照射する。紫外線を照射した直
後は吸着物質の解離などにより、一時的に真空度が上昇
することがあるため、排気系の能力に対応して任意の間
隔で断続的に光を照射する方法も効果的である。
【0159】
【実施例】以下に実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではな
い。
【0160】(質量分析装置) (実施例1−1)質量分析装置1 イオン源として図1に示すEIを用い、図4に示す様な
基本構成を有する質量分析装置1を作製した。図1中の
電極110の表面と、フォーカスレンズ111及び11
2の表面と、イオン化室108の内表面とに、5質量%
のPt微粒子を含有するTiO2を1μm形成した(図
中の黒い部分)。この被膜形成は、ステンレス製のイオ
ン化室内壁にスプレー法により行い、焼成は600℃で
60分行った。光線照射手段109は質量分析装置外に
設け、光源は水銀ランプを用い、光ファイバー115に
導入する構造とした。外部に配設された電源にこの光源
を接続し、電源を作動して水銀ランプから光線を発射
し、観察窓116から内部を覗きながらイオン源に照射
が行なえる構成とした。
【0161】以上で得られた質量分析装置1を3ヶ月使
用した後、光照射および排気を繰り返し行ない、イオン
源の汚れを清浄にした。その後に、イオン化電圧70
V、イオン化電流300μAの条件で、キャリブレーシ
ョン用試料のPFK(パーフルオロケラセン)を測定し
た。そのM/z=69やM/z=119のピークを用い
てオシロスコープ上で感度調整を行った結果、従来行な
っていたイオン源の分解掃除を行なうことなく、感度良
くピークを検出することができた。
【0162】(実施例1−2)質量分析装置2 図2に示す様に、電極110の表面と、フォーカスレン
ズ111及び112の表面とのみ(図中の黒い部分)
に、Pt微粒子を含有するTiO2を1μm程度形成し
た以外は、質量分析装置1の場合と同様にして質量分析
装置2を作製した。外部に配設された電源に、この光源
を接続し、電源を作動して水銀ランプから光線を発射
し、観察窓116から内部を覗きながらイオン源に照射
が行なえる構造とした。
【0163】以上で得られた質量分析装置2を3ヶ月使
用した後、光照射および排気を繰り返し行ない、イオン
源の汚れを清浄にした。その後に、イオン化電圧70
V、イオン化電流300μAの条件で、キャリブレーシ
ョン用試料のPFK(パーフルオロケラセン)を測定し
た。そのM/z=69やM/z=119のピークを用い
てオシロスコープ上で感度調整を行った結果、従来行な
っていたイオン源の分解掃除を行なうことなく、感度良
くピークを検出することができた。
【0164】(実施例1−3)質量分析装置3 イオン源として図3に示す様なCIを用い、図4に示す
様な基本構成を有する質量分析装置3を作製した。図3
中のイオン化室108の内壁と、電極110の表面と、
フォーカスレンズ111及び112の表面とに、質量分
析装置1の場合と同様に、Pt微粒子を含有するTiO
2を1.5μm程度形成した(図中の黒い部分)。光線
照射手段109は質量分析装置外に設け、光源は水銀ラ
ンプを用い、光ファイバー115に導入する構造とし
た。外部に配設された電源にこの光源を接続し、電源を
作動して水銀ランプから光線を発射し、観察窓116か
ら内部を覗きながらイオン源に照射が行なえる構成とし
た。
【0165】以上の様にして得られた質量分析装置3を
3ヶ月使用した後、光照射および後排気を繰り返し行な
い、イオン源の汚れを清浄にした。その後に、イオン化
電圧250V、イオン化電流300μA、反応ガスにイ
ソブタンを用いた条件で、ステアリン酸メチルを測定し
た。そのM/z=289(M+H)+のピークを、従来
行なっていたイオン源の分解掃除を行なうことなく、感
度良くピークを検出することができた。
【0166】(比較例1−1)質量分析装置4 基本的な構造は質量分析装置1と同様であるが、イオン
化室108の内壁のみに、Pt微粒子を含有するTiO
2が1μm形成された質量分析装置4を作製した。
【0167】以上で得られた質量分析装置4を3ヶ月使
用した後、光照射および後排気を繰り返し行ない、イオ
ン源の汚れを清浄にした。その後、イオン化電圧70
V、イオン化電流300μmAの条件で、キャリブレー
ション用試料のPFK(パーフルオロケラセン)を測定
した。そのM/z=69やM/z=119のピークを用
いてオシロスコープ上で感度調整を行った結果、質量分
析装置1及び2と比較して、ピーク強度が低下してお
り、イオン源の汚れに起因して感度が低下する傾向が確
認された。
【0168】(比較例1−2)質量分析装置5 基本的な構造は質量分析装置1と同様であるが、TiO
2を形成することなく質量分析装置5を作製した。
【0169】以上で得られた質量分析装置5を3ヶ月使
用した後、イオン化電圧70V、イオン化電流300μ
mAの条件で、キャリブレーション用試料のPFK(パ
ーフルオロケラセン)を測定した。そのM/z=69や
M/z=119のピークを用いてオシロスコープ上で感
度調整を行った結果、装置使用開始時の1/10程度の
ピーク強度しか得られず、イオン源の汚れに起因する感
度低下が見られた。
【0170】(高周波誘導結合プラズマ質量分析装置)
(実施例2−1)高周波誘導結合プラズマ質量分析装置
1 図5に示す様に、四重極質量分析部に配設される四重極
電極213およびイオン検出部214の表面に、チタニ
アゾル及びPt微粒子を分散させた材料をスプレー法に
よって噴霧し、これを700℃で60分間焼成して、P
t微粒子を7質量%含有する厚さ3μmの光触媒層21
9を形成した。その後、四重極質量分析部のカバー21
1の側壁に、10mmφの孔を多数穿ち、この孔に光学
ガラスをはめ込み、光照射窓218を形成した。そし
て、UVランプ216が配設される光線照射手段217
を固定した。以上の様にして得られた四重極質量分析部
を、イオン導入部212及び排気口215に接続し、高
周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)1
を作製した。
【0171】以上で得られたICP−MS1について、
試料導入部をロータリーポンプにより排気し、イオンレ
ンズ部分および四重極質量分析部をターボ分子ポンプに
より排気しつつ、UVランプ216を点灯し、光触媒層
219を活性化し、光分解反応を進行させた。その結
果、分析系内の真空度を2時間で容易に達成することが
できた。
【0172】(実施例2−2)高周波誘導結合プラズマ
質量分析装置2 図6に示す様に、四重極質量分析部のカバー211の側
壁に、0.5mmφのハメ込部228を形成し、光ファ
イバー227先端をそれぞれはめ込み、シール固定し
た。そして、重水素ランプ226を設置し、ミラーで集
光して、光ファイバー227の束の他端に導入した。
【0173】光線照射手段を上記の通りとした以外は、
高周波誘導結合プラズマ質量分析装置1の場合と同様に
して、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−
MS)2を作製した。
【0174】以上で得られたICP−MS2について、
試料導入部をロータリーポンプにより排気し、イオンレ
ンズ部分および四重極質量分析部をターボ分子ポンプに
より排気しつつ、重水素ランプ226を点灯し、光触媒
層219を活性化し、光分解反応を進行させた。その結
果、分析系内の真空度を容易に達成することができた。
【0175】(実施例2−3)高周波誘導結合プラズマ
質量分析装置3 UVランプが配設された光線照射手段に代えて、図7に
示す様に、重水素ランプ226を設置し、光照射窓21
8に光を照射できるようミラー237で反射させ、光線
照射手段とした。
【0176】光線照射手段を上記の通りとした以外は、
高周波誘導結合プラズマ質量分析装置1の場合と同様に
して、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−
MS)3を作製した。
【0177】以上で得られたICP−MS3について、
試料導入部をロータリーポンプにより排気し、イオンレ
ンズ部分および四重極質量分析部をターボ分子ポンプに
より排気しつつ、重水素ランプ226を点灯し、光触媒
層219を活性化し、光分解反応を進行させた。その結
果、分析系内の真空度を容易に達成することができた。
【0178】(比較例2−1)高周波誘導結合プラズマ
質量分析装置4 図8に示す様に、四重極質量分析部の内表面のみに光触
媒層219を形成し、四重極電極213およびイオン検
出部214の表面には光触媒層を形成しないこと以外
は、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置1の場合と同
様にして、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(IC
P−MS)4を作製した。
【0179】以上で得られたICP−MS4について、
ICP−MS1の場合と同様にして分析系内の高真空化
を行ったが、ICP−MS1と同程度の清浄な真空度を
達成するには4時間かかった。
【0180】(走査型電子顕微鏡装置) (実施例3−1)走査型電子顕微鏡装置1 石英基板上に酢酸パラジウムモノエタノールアミン水溶
液をスピンナーにより回転塗布した。その後、10分間
の加熱焼成処理をし、酸化パラジウム微粒子からなる薄
膜試料313を作製した。得られた薄膜試料313の2
次電子像観察を、図10に示す基本構造を有する走査型
電子顕微鏡装置1を用いて行った。
【0181】試料台314としては、Taで形成された
試料台の表面に、500℃60分の焼成条件により、二
酸化チタンを1μm形成したものを用いた。試料交換室
317の上部および下部(図では、下部にのみ示した)
には、水銀ランプ310を紫外光光源とする光線照射手
段311を、一部に光透過窓を形成することで設置し
た。水銀ランプの電源は外部に配設された電源に接続し
た。外部の電源を作動して水銀ランプから光線を発射
し、試料台314を上下から照射が行える構造とした。
【0182】まず、上記被観察試料313を、試料台3
14に設置可能の大きさに切断し、試料台314に接着
した。次に、試料313が設置された試料台314を、
試料交換室317内に導入し、試料交換室317内を排
気し、その間、水銀ランプ310を2分間点灯させて、
紫外線照射を行った。その後、試料室316内へ試料台
314を導入し、加速電圧25kVで2次電子像の観察
を行った。
【0183】試料313は、有機金属錯体溶液を焼成す
ることで作成した膜であるので、残留有機成分等から放
出されるガス成分等によって、従来の試料台を用いた観
察では、試料にコンタミネーションが発生しやすい傾向
が見られた。しかしながら、本発明の試料台を用いて観
察を行った限りでは、そのような兆候は見られずに、高
倍率まで容易に観察を行うことができた。
【0184】また、大気中からのコンタミネーションに
よる不都合も発生しなかった。
【0185】(実施例3−2)走査型電子顕微鏡装置2 走査型電子顕微鏡装置2として、試料室近傍の構造が図
11に示す様なインレンズタイプ型走査型電子顕微鏡を
使用した。ここでは、電子銃室、鏡筒の部分の図示は省
略してある。光線照射手段311は、図10で設置した
試料交換室317に加えて、試料室316の下部にも光
線照射手段を設置した。また、走査型電子顕微鏡装置1
で使用した試料台313と同一の試料台を用い、更に試
料を設置される試料導入手段としての試料棒320の周
囲にも、スプレー法を用い、600℃50分の焼成条件
により、5質量%のPt微粒子を含有する、厚み2μm
の酸化チタンの膜を成膜した。
【0186】観察は次の手順で行った。まず、試料台3
14及び試料棒320を、試料交換室317内に導入
し、試料交換室317内を排気した。その間、水銀ラン
プ310を2分間点灯させて、紫外線照射を行った。そ
の後、試料台314及び試料棒320を、試料室316
に導入して、再度紫外光を試料棒320全体および試料
台314に照射し、観察を行った。
【0187】従来の走査型電子顕微鏡では、大気より飛
来し、試料導入手段(試料棒)の周り等に付着している
成分が、試料交換室および試料室内等でガス成分を発生
し、以降の観察で試料にコンタミネーションが発生しや
すい傾向が見られた。これに対し、走査型電子顕微鏡装
置2では、そのような兆候は見られずに、高倍率まで容
易に観察を行うことができた。
【0188】(実施例3−3)走査型電子顕微鏡装置3 試料台および試料導入手段(試料棒)に加えて、鏡筒内
壁、試料室内壁および試料交換室内壁に、Pt微粒子を
含有する二酸化チタン膜を成膜し、それぞれの場所に対
応して、光線照射手段を設置した以外は、走査型電子顕
微鏡装置2の場合と同様にして、走査型電子顕微鏡装置
3を作製した。
【0189】走査型電子顕微鏡装置3の使用が終了した
時点で、光線照射手段の水銀ランプの電源が入る状態と
し、1時間おきに、1分程度二酸化チタン膜に紫外光を
照射する構造とした。この様な構造とすることで、装置
を使用していない状態で、表面等に吸着している付着物
が除去することができ、鏡筒内、試料室内を常に高真空
に維持することができた。
【0190】(透過型電子顕微鏡装置) (実施例4−1)透過型電子顕微鏡装置1 図12に示す構造の試料室が配設された透過型電子顕微
鏡装置1を作製した。即ち、光触媒層411及び光線照
射手段412が試料室403に配置されている。ここ
で、光触媒層411は、スプレー法により塗布され、6
00℃50分の焼成により形成された、5質量%のPt
微粒子を含有する、厚み2μmのTiO2膜で、試料ホ
ルダー407の表面を被覆している。
【0191】また光線照射手段412として、水銀ラン
プを用いており、これは試料室403の外部に配置され
ており、光照射窓409を介して、光触媒層411に紫
外線を照射することができるようになっている。
【0192】次に、透過型電子顕微鏡装置1を用いて検
鏡操作を行った。
【0193】まず、FIB法によって作製したSi系の
材料からなる試料408を試料ホルダー407を介し
て、試料室403に挿入した。
【0194】次に、光線照射手段412により紫外線を
光触媒層411に照射した。同時に、対物レンズ417
電流を流すことによって、対物レンズ部417近傍を加
熱するベーキングも行なった。その後、紫外線の照射を
やめ、また対物レンズ電流も通常の使用状態に戻した。
【0195】次に、電子線プローブを試料に照射するこ
とによりコンタミネーションの確認を行ったところ、プ
ローブ照射後にコンタミネーションの付着に起因する暗
いコントラストは、TEM象において観察されなかっ
た。
【0196】また、プローブ照射部のEDX測定をして
コンタミのチェックを行ったところ、プローブ照射によ
るCのピークの増加はみられなかった。
【0197】(実施例4−2)透過型電子顕微鏡装置2 図13に示す構造の試料室が配設された透過型電子顕微
鏡装置2を作製した。即ち、光触媒層411及び光線照
射手段412が試料室403に配置されている。ここ
で、透過型電子顕微鏡装置1の場合と同様の光触媒層4
11が、対物レンズ417の表面に形成されている。
【0198】また光線照射手段412として、水銀ラン
プを用いており、これは試料室403の外部に配置され
ており、光照射窓409を介して、光触媒層411に紫
外線を照射することができるようになっている。
【0199】次に、透過型電子顕微鏡装置2を用いて検
鏡操作を行った。
【0200】まず、FIB法によって作製したSi系の
材料からなる試料408を試料ホルダー407を介し
て、試料室403に挿入した。
【0201】次に、光線照射手段412により紫外線を
光触媒層411に照射した。同時に、対物レンズ417
電流を流すことによって、対物レンズ部417近傍を加
熱するベーキングも行なった。その後、紫外線の照射を
やめ、また対物レンズ電流も通常の使用状態に戻した。
【0202】次に、電子線プローブを試料に照射するこ
とによりコンタミネーションの確認を行ったところ、プ
ローブ照射後にコンタミネーションの付着に起因する暗
いコントラストは、TEM象において観察されなかっ
た。
【0203】また、プローブ照射部のEDX測定をして
コンタミのチェックを行ったところ、プローブ照射によ
るCのピークの増加はみられなかった。
【0204】(比較例4−1)透過型電子顕微鏡装置3 光触媒層及び光線照射手段が配設されていない試料室を
用いて、透過型電子顕微鏡装置3を作製し、検鏡操作を
行った。
【0205】まず、FIB法によって作製したSi系の
材料からなる試料を試料ホルダーを介して試料室に挿入
した。同時に、対物レンズ電流を流すことによって対物
レンズ部近傍を加熱するベーキングも行なった。その
後、紫外線の照射をやめ、また対物レンズ電流も通常の
使用状態に戻した。
【0206】次に、電子線プローブを試料に照射するこ
とによりコンタミのチェックを行ったところ、プローブ
照射後にコンタミの付着による暗いコントラストが、T
EM像で観察される場合があった。
【0207】また、プローブ照射部のEDX測定をして
コンタミのチェックを行ったところ、プローブ照射によ
るCのピークが増加する場合があった。
【0208】(実施例4−3)透過型電子顕微鏡装置4 図14に示す構造の電子銃室が配設された透過型電子顕
微鏡装置4を作製した。即ち、光触媒層411及び光線
照射手段412が電子銃室401に配置されている。こ
こで、光触媒層411は、スプレー法により塗布され、
600℃50分の焼成により形成された、5質量%のP
t微粒子を含有する、厚み2μmのTiO2膜で、電子
銃415の表面を被覆している。
【0209】光線照射手段412としては、水銀ランプ
を用いており、これは電子銃室401の内部に配置さ
れ、光触媒層411に紫外線を照射することができるよ
うになっている。
【0210】次に、透過型電子顕微鏡装置4を用いて真
空排気操作を行ない、本発明の効果を調べた。
【0211】まず、電子銃室401を大気解放後に真空
排気を行なった。粗引きが終了後、ターボポンプ及びイ
オンポンプによる本引きを行なった。
【0212】次に、光線照射手段412により紫外線を
光触媒層411に照射した。同時に、電子銃室401の
外部に設置したヒーター(不図示)で、電子銃室401
を外側から加熱し、加えて、電子銃室401に内蔵した
ヒーター(不図示)により電子銃室401の内側からも
加熱することにより、ベーキングを行なった。
【0213】その後、電子銃室401のベーキングを終
了させた後に、紫外線の照射を終了した。
【0214】次に、電子銃415のガス出しを行なった
が、真空度の悪化の発生頻度は少なく、引出し電圧また
はチップ電流の増加を止め、真空度の回復を待つという
過程に要する時間が少なくて済み、短時間で所望の電子
放出電流が安定に得られるようになった。
【0215】(比較例4−2)透過型電子顕微鏡装置5 光触媒層および光線照射手段が形成されていない電子銃
室を用いて、透過型電子顕微鏡装置5を作製し、電子銃
室を大気解放後に真空排気を行なった。
【0216】まず、粗引きが終了後、ターボポンプ及び
イオンポンプによる本引きを行なった。同時に、電子銃
室の外部に設置したヒーターで電子銃室を外側から加熱
することに加え、電子銃室に内蔵したヒーターにより電
子銃室の内側からも加熱することにより、ベーキングを
行なった。
【0217】その後、電子銃部のガス出しを行なった
が、真空度が悪化する場合があり、それに伴ない、引出
し電圧またはチップ電流の増加を止め真空度の回復を待
つという過程に要する時間が多くかかる場合があり、所
望の電子放出電流が安定に得られるようになるまでに長
時間かかる場合があった。
【0218】(光電子顕微鏡装置) (実施例5−1)光電子顕微鏡装置1 図16に示す構造を有する光電子顕微鏡装置1を作製し
た。レンズ鏡筒502、試料508、試料ステージ50
9、マニピュレータ510が収められた分析室501
と、試料導入室(予備排気室)519とは、ゲートバル
ブ520で接続した。分析室501は、排気管518に
接続された真空ポンプ(不図示)により排気される構造
とし、試料導入室519は、排気管521に接続された
真空ポンプ(不図示)により排気される構造とした。
【0219】レンズ鏡筒502の外壁、試料ステージ5
09の裏面、マニピュレータ510の表面に(図中、太
線で表示されている部分)、光触媒層として、厚み2μ
mで、5質量%のPtが担持されたアナターゼ型の酸化
チタン薄膜を形成した。この光触媒層は、チタニアゾル
をスプレー法により塗布し、600℃で60分焼成を行
い形成した。
【0220】さらに、光触媒層上で、有機分子や水分子
を光分解または光解離させるための光線照射手段522
として、紫外線源を、光触媒層が均一に照射される様
に、複数個所配置した。
【0221】高真空における光電子像観察を行うため、
観察前に光触媒層へ紫外線照射を行い、真空の質を改善
した。この際、四重極質量の分析器を作動させ光触媒反
応によって放出される分子(H2、O2、CO2)をモニ
ターし、排気によりモニター分子の分圧が十分低下した
ところで紫外線照射を終了した。この結果、高真空を容
易に達成することができた。
【0222】また、ガス導入を伴う実験を行い、実験後
の排気時に、光触媒層へ紫外線照射を行った。この結
果、レンズ鏡筒502、試料ステージ509及びマニュ
ピレータ510の表面に付着した、導入ガス等に由来す
る有機分子や水分子を除去できた。
【0223】なお、ガス導入を伴う実験を行う場合、排
気系としてターボポンプを使用するが、光触媒反応を急
激に起こすと急速な真空度の悪化がおこり、ターボポン
プが停止してしまう場合がある。そこで、真空度をモニ
ターしながら任意の間隔で断続的に紫外線を光触媒薄膜
に照射し、徐々に紫外線の照射時間を長くすることによ
り、ターボポンプの停止等の不都合を生じることなく、
付着物を除去した。
【0224】(実施例5−2)光電子顕微鏡装置2 図17に示す構造を有する光電子顕微鏡装置2を作製し
た。光電子顕微鏡装置1の場合においては、光触媒反応
を起こさせるための光線照射手段522として、専用の
紫外線源を設置したが、光電子顕微鏡装置2の場合は、
光電子顕微鏡装置の励起光源として備えられている紫外
線照射装置511を、光線照射手段として併用した。
【0225】ただし、観察中は、試料508とレンズ鏡
筒502との間に数kVから数十kVの電圧を印加する
為、急激な真空度の低下は放電を誘引して試料を破壊す
る可能性がある。この不具合を回避するために、照射領
域切替え装置523を石英ビューポート512の内側に
配置し、紫外線照射装置511が、観察中に光触媒層に
紫外線を照射しない構造とした。
【0226】以上の様な構造を有する光電子顕微鏡装置
2を用いて、真空操作および観察を行った。即ち、観察
時以外では、照射領域切替え装置523を拡散側に設定
し、光触媒層の広い面積を照射して、光触媒反応を進行
させることにより、容易に高真空を達成できた。観察時
には、照射領域切替え装置523を絞側に設定し、試料
表面のみを照射することにより、光触媒反応を進行させ
ることなく、良好に観察を行うことができた。
【0227】
【発明の効果】真空分析系の一部である試料室内で、エ
ネルギーを試料に与えることにより発生する荷電粒子ま
たはエネルギーを分析する装置において、分析系内の1
つ以上の物品の表面に光触媒層を形成し、光触媒層上の
付着物を光分解するための光線を照射することによっ
て、分析系の内表面に光触媒層を形成した場合と異な
り、物品表面上のコンタミネーション(付着物)により
主に発生する不都合を始めとし、分析系の真空特性に起
因する各種の不都合を、高効率で、操作性良好に、物品
による制限を受けること無く、抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の質量分析装置のイオン源を説明するた
めの模式図である。
【図2】本発明の質量分析装置のイオン源を説明するた
めの模式図である。
【図3】本発明の質量分析装置のイオン源を説明するた
めの模式図である。
【図4】本発明の質量分析装置を説明するための模式図
である。
【図5】本発明の高周波誘導結合プラズマ質量分析装置
の四重極質量分析部を説明するための模式図である。
【図6】本発明の高周波誘導結合プラズマ質量分析装置
の四重極質量分析部を説明するための模式図である。
【図7】本発明の高周波誘導結合プラズマ質量分析装置
の四重極質量分析部を説明するための模式図である。
【図8】内表面のみに光触媒層が形成された四重極質量
分析部を説明するための模式図である。
【図9】従来の四重極質量分析部を説明するための模式
図である。
【図10】本発明の走査型電子顕微鏡装置を説明するた
めの模式図である。
【図11】本発明の走査型電子顕微鏡装置を説明するた
めの模式図である。
【図12】本発明の透過型電子顕微鏡装置の試料室を説
明するための模式図である。
【図13】本発明の透過型電子顕微鏡装置の試料室を説
明するための模式図である。
【図14】本発明の透過型電子顕微鏡装置の電子銃室を
説明するための模式図である。
【図15】透過型電子顕微鏡装置の構造を説明するため
の模式図である。
【図16】本発明の光電子顕微鏡装置を説明するための
模式図である。
【図17】本発明の光電子顕微鏡装置を説明するための
模式図である。
【図18】光電子顕微鏡装置の構造を説明するための模
式図である。
【符号の説明】
101 導入部 102 イオン源 103 フィルター 104 検出器 105 データ処理システム 106 フィラメント 107 陽極 108 イオン化室 109 光線照射手段 110 電極 111 フォーカスレンズ 112 フォーカスレンズ 113 スリット 114 反応ガス 115 光ファイバー 116 観察窓 211 カバー 212 イオン導入部 213 四重極電極 214 イオン検出部 215 排気口 216 UVランプ 217 光線照射手段 218 光照射窓 219 光触媒層 226 重水素ランプ 227 光ファイバー 228 ハメ込部 301 電子放出陰極 302 引出電極 303 陽極 304 電子線 305 集束レンズ 306 偏向レンズ 307 偏向レンズ 308 対物レンズ 309 鏡筒 310 紫外線ランプ 311 光線照射手段 312 2次電子検出器 313 試料 314 試料台 316 試料室 317 試料交換室 318 イオンポンプ 319 真空ポンプ 320 試料棒 401 電子銃室 402 照射系室 403 試料室 404 結像系室 405 観察室 406 カメラ室 407 試料ホルダー 408 試料 409 光照射窓 411 光触媒層 412 光線照射手段 415 電子銃 416 加速管部 417 対物レンズ系 501 分析室 502 レンズ鏡筒 503 対物レンズ 504 中間レンズ 505 投影レンズ 506 マルチチャンネルプレート 507 蛍光板 508 試料 509 試料ステージ 510 マニュピレータ 511 紫外線照射装置 512 ビューポート 513 ビューポート 514 CCDカメラ 515 ビデオデッキ 516 表示装置 517 コンピュータ 518 排気管 519 試料導入室 520 ゲートバルブ 521 排気管 522 光線照射手段 523 切替え装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/62 G01N 27/62 L H01J 37/16 H01J 37/16 37/20 37/20 G 37/26 37/26 (72)発明者 日下 貴生 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高田 一広 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 饗場 利明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2G001 AA03 AA07 AA09 BA07 BA08 CA03 EA04 GA01 GA06 GA10 GA12 GA13 JA02 JA12 JA14 RA05 RA20 5C001 AA01 AA07 BB07 CC01 CC04 CC05 DD01 5C033 KK01 KK02 SS01 SS02 UU03

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空分析系の一部である試料室内で、エ
    ネルギーを試料に与えることにより発生する荷電粒子ま
    たはエネルギーを分析する装置において、該分析系内の
    1つ以上の物品の表面に、光触媒層が形成されており、
    該光触媒層上の付着物を光分解するための光線を照射す
    る手段を含むことを特徴とする真空分析装置。
  2. 【請求項2】前記分析系の内表面の少なくとも一部に、
    光触媒層が形成されていることを特徴とする請求項1記
    載の真空分析装置。
  3. 【請求項3】 前記光触媒層は、TiO2、SrTi
    3、ZrO2、Ta2 5、K4Nb617、Na2Ti6
    13、K2Ti613及びBaTi49からなる群より選ば
    れる1種以上の光触媒材料より主になることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の真空分析装置。
  4. 【請求項4】 前記光触媒層は、アルコキシチタンを主
    に含む溶液(チタニアゾル)を所定の個所に塗布し、該
    チタニアゾルの塗布膜を加水分解および脱水縮合するこ
    とにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3い
    ずれかに記載の真空分析装置。
  5. 【請求項5】 前記光触媒層は、アナターゼ型のTiO
    2より主になることを特徴とする請求項1乃至4いずれ
    かに記載の真空分析装置。
  6. 【請求項6】 前記光触媒層において、付着物の光分解
    を促進する活性材料が、光触媒材料に担持されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の真空分
    析装置。
  7. 【請求項7】 前記活性材料は、Pt及びRuO2の少
    なくとも1種を含有することを特徴とする請求項6記載
    の真空分析装置。
  8. 【請求項8】 前記光線照射手段は、波長400nm以
    下の紫外線を主に発生することを特徴とする請求項1乃
    至7いずれかに記載の真空分析装置。
  9. 【請求項9】 前記光線照射手段は、水銀ランプ、重水
    素ランプ、DeepUVランプ、キセノンランプ、メタ
    ルハライドランプ及びブラックライトからなる群より選
    ばれる1種以上の光源を有することを特徴とする請求項
    1乃至8いずれかに記載の真空分析装置。
  10. 【請求項10】 前記光線照射手段からの光線を前記光
    触媒層へ間歇的または連続的に照射しながら、前記分析
    系を排気することにより真空とすることができる請求項
    1乃至9いずれかに記載の真空分析装置。
  11. 【請求項11】 前記光線照射手段から前記分析系へ光
    線を導入するための光照射窓が形成されていることを特
    徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の真空分析装
    置。
  12. 【請求項12】 前記光線照射手段の光照射窓が、Mg
    2より主になることを特徴とする請求項1乃至11い
    ずれかに記載の真空分析装置。
  13. 【請求項13】 前記光線照射手段の先端部の形状は、
    任意の方位に光線を照射可能な屈曲性ファイバー形状で
    あることを特徴とする請求項1乃至12いずれかに記載
    の真空分析装置。
  14. 【請求項14】 試料をイオン化し荷電粒子とするため
    の試料室(イオン化室)と、イオンをイオン化室の外部
    へ取り出すための電極と、生成したイオンが方向収束さ
    れるフォーカスレンズとを含んでなるイオン源を、真空
    分析系の一部として含む質量分析装置において、該イオ
    ン源の内部を真空環境に保持するため、有機物および水
    分子(付着物)を光分解する光触媒層が、該電極および
    フォーカスレンズの少なくとも一方の物品の表面に形成
    されており、該触媒層上で有機物および水分子(付着
    物)を光分解するための光線を照射する光線照射手段を
    含むことを特徴とする質量分析装置。
  15. 【請求項15】 前記光触媒層が、イオン化室の内壁に
    形成されていることを特徴とする請求項14記載の質量
    分析装置。
  16. 【請求項16】 高周波誘導結合プラズマにより試料を
    イオン化し荷電粒子とする試料室と、イオン化したプラ
    ズマを四重極電極へ導入するためのインターフェイス部
    及びイオンレンズ郡と、四重極質量分析部と、四重極質
    量分析部により分離されたイオンを検出する検出器と
    を、真空分析系の一部として含む高周波誘導結合プラズ
    マ質量分析装置において、有機物および水分子(付着
    物)を光分解する光触媒層が、該四重極電極およびイオ
    ン検出器の少なくとも一方の物品の表面に形成されてお
    り、該触媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分
    解するための光線を照射する光線照射手段を含むことを
    特徴とする高周波誘導結合プラズマ質量分析装置。
  17. 【請求項17】 電子源と、電子源から発生した1次電
    子(プローブ粒子)ビームを集光制御するためのレンズ
    系を含む鏡筒と、該鏡筒内を通過した電子ビームが照射
    される試料が保持される試料台を含む試料室と、該試料
    台を試料室に設置するための試料導入手段と、該1次電
    子ビームの照射により試料から放出される2次電子を検
    出する検出器とを、高真空分析系の一部として含み、試
    料の2次元走査像を得る走査型電子顕微鏡装置におい
    て、有機物および水分子(付着物)を光分解する光触媒
    層が、該試料台および該試料導入手段の少なくとも一方
    の物品の表面に形成されており、該触媒層上で有機物お
    よび水分子(付着物)を光分解するための光線を照射す
    る光線照射手段を含むことを特徴とする走査型電子顕微
    鏡装置。
  18. 【請求項18】 前記光触媒層が、前記鏡筒および前記
    試料室の少なくとも一方の内面に形成されていることを
    特徴とする請求項17記載の走査型電子顕微鏡装置。
  19. 【請求項19】 試料ホルダーを含む試料室と、対物レ
    ンズ系を含む鏡筒と、電子銃を含む電子銃室とを、高真
    空分析系の一部として含む透過型電子顕微鏡装置におい
    て、有機物および水分子(付着物)を光分解する光触媒
    層が、該試料ホルダー、該対物レンズ系および電子銃の
    少なくとも何れかの物品の表面に形成されており、該触
    媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分解するた
    めの光線を照射する光線照射手段を含むことを特徴とす
    る透過型電子顕微鏡装置。
  20. 【請求項20】 前記光触媒層が、試料室、鏡筒および
    電子銃室の少なくとも何れかの内壁に形成されているこ
    とを特徴とする請求項19記載の透過型電子顕微鏡装
    置。
  21. 【請求項21】 試料ステージ及びマニピュレータを含
    む分析室と、レンズ系を含むレンズ鏡筒とを、高真空分
    析系の一部として含む光電子顕微鏡装置であって、有機
    物および水分子(付着物)を光分解する光触媒層が、該
    試料ステージ、該マニピュレータおよび該レンズ鏡筒の
    少なくとも何れかの物品の表面に形成されており、該触
    媒層上で有機物および水分子(付着物)を光分解するた
    めの光線を照射する光線照射手段を含むことを特徴とす
    る光電子顕微鏡装置。
  22. 【請求項22】 前記光触媒層が、分析室および鏡筒の
    少なくとも一方の内壁に形成されていることを特徴とす
    る請求項21記載の光電子顕微鏡装置。
  23. 【請求項23】 前記光線照射手段は、光電子顕微鏡観
    察を行う際の光電子励起光源を兼ねることを特徴とする
    請求項21又は22記載の光電子顕微鏡装置。
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