JP6758755B2 - 改良された画像化ガスを用いる荷電粒子ビームシステムおよびその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は荷電粒子ビーム画像化に関し、詳細には、改良された画像化ガスを使用した画像化に関する。
走査電子顕微鏡(「SEM」)では、調査対象の試料の領域を1次電子ビームで走査する。電子が試料に衝突した際に解放されるエネルギーによって、X線および2次電子が放出される。これらのX線および2次電子の量およびエネルギーは、試料の性質、構造および組成に関する情報を提供する。用語「試料」は伝統的に、荷電粒子ビーム・システム内で処理または観察されている任意の加工物を指すために使用されており、本明細書で使用されるとき、この用語は一切の加工物を含み、より大きな母集団を代表するものとして使用されている試料だけに限定されない。本明細書で使用されるとき、用語「2次電子」は、後方散乱した1次電子ならびに試料から生じた低エネルギーの電子を含む。2次電子を検出するため、SEMはしばしば、1つまたは複数の電子検出器を備える。
試料がガス環境中に維持される電子顕微鏡の一型が、高圧走査電子顕微鏡(High−Pressure Scanning Electron Microscope)(HPSEM)または環境制御型(Environmental)走査電子顕微鏡である。このようなシステムは例えば、Mancuso他の「Secondary Electron Detector for Use in a Gaseous Atmosphere」という名称の米国特許第4,785,182号明細書に記載されている。一例が、FEI CompanyのQuanta 600 ESEM(登録商標)高圧SEMである。
HPSEMでは、試料が、典型的には0.01トル(0.013ミリバール)から50トル(65ミリバール)の間、より典型的には1トル(1.3ミリバール)から10トル(13ミリバール)の間の圧力を有するガス雰囲気中に維持される。この高ガス圧の領域は、集束カラム内を高真空に維持する1つまたは複数の圧力制限絞り(pressure−limiting aperture)によって試料領域だけに限定される。対照的に、従来のSEMでは、試料が、これよりもかなり低い圧力、典型的には10−5トル(1.3×10−5ミリバール)未満の圧力の真空中に置かれる。
HPSEMでは、2次電子が通常、「ガス・イオン化カスケード増幅(gas ionization cascade amplification)」または「ガス・カスケード増幅」として知られるプロセスを使用して検出される。このプロセスでは、電場によって2次荷電粒子を加速させ、加速した2次荷電粒子が、画像化ガス中のガス分子と衝突して追加の荷電粒子を生成し、それらの追加の荷電粒子が、別のガス分子と衝突して更なる追加の荷電粒子を生み出す。このカスケードが継続すると、ついには、大幅に増加した荷電粒子が、検出器電極で電流として検出される。いくつかの実施形態では、試料表面からのそれぞれの2次電子が、ガス圧および電極構成に応じて、例えば20個超、100個超または1,000個超の追加の電子を発生させる。いくつかの実施形態では、ガス・カスケード中に発生した正のガス・イオンまたは光子を電子の代わりに検出し、それらのイオンまたは光子を使用して画像を生成する。本明細書で使用されるとき、用語「ガス・カスケード増幅画像化」は、これらの3種類の画像化信号の任意の組合せを使用して生成された画像を指す。本明細書で使用されるとき、用語「ガス・カスケード検出器」は、これらの3種類の画像化信号の任意の組合せを検出する目的に使用することができる検出器を指す。
従来のSEMと比べたときのHPSEMの1つの利点は、HPSEMが、生体試料などの湿った試料および従来のSEMの高真空条件下では画像化するのが難しいと思われる他の試料の電子−光学画像を形成する可能性を提供する点である。HPSEMは、試料をその自然な状態に維持する可能性を提供する。従来のSEMを使用する研究では通常は必要な不利な乾燥、凍結または真空コーティングに試料をさらす必要がない。HPSEMの他の利点は、イオン化された画像化ガスが、プラスチック、セラミック、ガラスなどの絶縁性試料上に蓄積する傾向がある電荷の中和を容易にする点である。
HPSEMでは湿った生体試料を観察することができるが、このような観察にまつわる問題が依然として存在する。例えば、水和した材料を室温または体温で観察するときには、水が凝縮して試料室内の全表面に付着する傾向がある。このような凝縮は、HPSEMの動作を妨害したり、ならびに腐食および汚染を引き起こしたりすることがある。
電子ビーム、イオン・ビームなどの荷電粒子ビームを使用して化学反応を誘起し、それによって試料をエッチングしまたは試料上に材料を付着させることもできる。このようなプロセスは例えば、Mucil他の「Electron Beam Processing」という名称の米国特許第6,753,538号明細書に記載されている。基板の存在下で荷電粒子ビームが処理ガスと相互作用して化学反応を生み出すこのプロセスは、「ビーム・ケミストリ(beam chemistry)」と呼ばれる。本明細書で使用されるとき、用語「処理」は、エッチングおよび付着などの試料表面を改変する処理ならびに画像化の両方を含む。用語「処理ガス」は、画像化に使用されるガス、または荷電粒子ビームとともに使用されて試料を改変するガスを含むために使用される。用語「画像化ガス」は、ガス・カスケード増幅画像化に使用されるガスを含むために使用される。ガスのこれらの種類は相互排除ではなく、一部のガスは、試料を改変する目的と画像を形成する目的の両方で使用される。例えば、水蒸気は、炭素を含む試料をエッチングする目的に使用することができ、また、他の材料を含む試料の画像を形成する目的にも使用することができる。
ガス画像化に対する既存のHPSEMおよびVPSEMツールの適用可能性は一般に、以下のようないくつかの因子によって部分的に制限される。第1に、高真空SEMに比べて2次電子(SE)画像品質が低いことである。この問題は、(高真空SE検出器によって使用されている増幅器に比べて)ガス・カスケードが、SE画像化信号の劣った増幅器であることの結果である。第2に、非水性環境中の液体および動的プロセスの高品質画像化に対して使用することができる画像化ガスがないことである。第3は、HOおよびNHなどの低揮発性(「粘着性(sticky)」)の画像化ガスを頻繁に使用する真空システム内に存在する残留汚染物質によって引き起こされる問題である。
米国特許第4,785,182号明細書 米国特許第6,753,538号明細書 米国特許第8,921,811号明細書 米国特許第6,972,412号明細書 米国特許第7,541,580号明細書 米国特許第7,791,020号明細書 米国特許第6,452,315号明細書 米国特許第5,851,413号明細書 米国特許第5,435,850号明細書
Proc.SPIE、4344巻(2001年)、835ページ
本発明の目的は、ガス・カスケード増幅ともに使用する画像化ガスを提供することにある。
改良された画像化ガスを用いたガス増幅を使用する荷電粒子ビーム画像化および測定システムが提供される。このシステムは、荷電粒子ビームを加工物に導く荷電粒子ビーム源と、荷電粒子を加工物上で集束させる集束レンズと、荷電粒子ビームによる加工物照射または他のガス・カスケード検出方式によって生成された2次電子を加速させる電極とを含む。このガス画像化は、CHCHOH(エタノール)蒸気を含む改良された画像化ガスを封入する高圧走査電子顕微鏡(HPSEM)室内で実行されることが好ましい。環境制御型の室を使用することもできる。
この電極は、CHCHOH中を通過している2次電子を加速させ、それによって、検出用の2次電子を増幅するイオン化カスケードを生じさせる。改良された画像化ガスを使用する最適な構成が提供され、有機液体および有機溶媒ならびに他の非水性環境またはプロセス、特にCHCHOHを含む非水性環境またはプロセスの画像化研究を実施する技法が提供される。有機液体または有機溶媒、化学蒸着プロセスおよび触媒反応プロセスを含む、非水性環境の高分解能画像化研究を実施する方法も提供される。非水性環境中での濡れ挙動(wetting behavior)を研究する方法が提供される。
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなりおおまかに概説した。以下では、本発明の追加の特徴および追加の利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造体を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造体は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、以下の説明および添付図面を参照する。
環境セル(environmental cell)を有する、本発明のいくつかの実施形態を実施する目的に使用することができるシステムの略図である。 ガス注入およびガス排出を調整することによって試料室内のガス圧を平衡させる方法を示す流れ図である。 ガス注入およびガス排出を調整することによって試料室内のガス圧を平衡させる方法を示す流れ図である。 本発明のいくつかの実施形態に従って使用されるデュアル・ビーム・システムの略図である。 改良されたガス画像化とCVDとを使用するプロセスの流れ図である。 改良されたガス画像化と触媒反応とを使用するプロセスの流れ図である。 改良されたガス画像化を使用して、有機液体または有機溶媒およびそれらの濡れ挙動を研究するプロセスの流れ図である。 本明細書に記載されたとおりに構成されたCHCHOHのガス増幅と先行技術の画像化ガスのそれとを比較した、環境型光収率分光法(environmental photoyield spectroscopy)(EPYS)データを示す一連のグラフである。 本明細書に記載されたとおりに構成されたCHCHOHのガス増幅と先行技術の画像化ガスのそれとを比較した、環境型光収率分光法(EPYS)データを示す一連のグラフである。 本明細書に記載されたとおりに構成されたCHCHOHのガス増幅と先行技術の画像化ガスのそれとを比較した、環境型光収率分光法(EPYS)データを示す一連のグラフである。 CHCHOHを使用した本発明のシステムによる意図されていない炭素付着をHOおよびNHとの比較で調べるために撮影された拡大された一連の画像を示す図である。
高圧または可変圧力SEMを使用して実施される画像化または測定システムおよび画像化または測定方法が提供される。これらのシステムおよび方法は、改良された画像化ガスを使用し、ガス・カスケード増幅向けに構成されている。加工物の表面から2次電子を発生させ、それらの2次電子を増幅および検出する装置も提供される。非水性環境中の液体および動的プロセスの高品質画像化に対して使用することができる画像化ガスが提供される。好ましい装置は、圧力制限絞りを有する真空エンベロープ(vacuum envelope)を備え、真空エンベロープ内には荷電粒子ビーム源が位置し、この荷電粒子ビーム源は荷電粒子ビームを放出することができる。集束レンズが、この荷電粒子ビームを、圧力制限絞りを通して可変圧力室内へ導き、次いで、真空エンベロープの外側に配置された試料プラットホームに向かって導く。この可変圧力室には、CHCHOHまたはその混合物が画像化ガスとして供給される。この室は、ガス中に置かれた試料を、試料の表面を荷電粒子ビームにさらすことができるような態様で、少なくとも0.01トルの圧力に維持することができることが好ましい。本発明は、CHCHOHをHPSEM/VPSEM画像化ガスとして使用することによって、および、典型的な画像化ガスよりも低い圧力で使用することができ、かつ画像化のための十分なガス・カスケード増幅を提供するシステムを提供することによって、先行技術のシステムに存在するある種の問題を軽減する。
他の実施形態はさらに、高分解能画像を生成する走査電子顕微鏡を提供する。この走査電子顕微鏡は、圧力制限絞りを有する真空エンベロープと、真空エンベロープ内に位置し、電子ビームを放出することができる電子ビーム源とを含む。真空エンベロープ内に位置する集束レンズは、電子ビーム源によって放出された電子ビームを、圧力制限絞りを通り抜けるように導くことができる。電子ビーム走査装置が、圧力制限絞りを横切ってビームを走査する。真空エンベロープの外側には試料セルまたは試料室が配置され、この試料セルまたは試料室は、CHCHOH画像化ガス中に置かれた試料を、試料の表面を電子ビームにさらすことができるような態様で、少なくとも0.01トルの圧力に維持することができる。
真空エンベロープの外側には電極が配置され、この電極は通常、試料プラットホーム上に位置する試料の表面から電子ビームにさらされて放出された2次電子がこの電極と接触することができるような態様で、試料プラットホームから約1から200mmの間の範囲内に配置される。この電極とアースとの間に電圧源が接続され、この電圧原は、電極と試料プラットホームの間の電位差を、約50ボルト超かつ約1000ボルト未満に維持することができる。試料の表面から放出された2次電子を電場によって加速させるため、電極電位は試料プラットホーム電位に対して正であり、この電場は、放出された2次電子をガス分子に衝突させ、負の電荷キャリアを生成させるのに十分な強さを有し、それらの負電荷キャリアは続いて、別のガス分子との複数回の衝突によって追加の負電荷キャリアを生成することができ、その結果、負電荷キャリアの数が元の2次電子の数よりも多くなり、かつ負電荷キャリアの数が元の2次電子の数に比例し、電場の強さは、致命的な放電またはアーク発生を回避するのに十分な弱いものであり、電流増幅器が電極に接続され、電流増幅器とアースの間に電流検出器が接続される。
加工物の表面から2次電子を発生させ、それらの2次電子を増幅および検出する方法も提供される。好ましい方法は、画像化ガスとしてCHCHOHが供給された適当なガス圧下で、試料の表面を走査することを含む。この走査は、試料の表面から2次電子を放出させる十分なエネルギーを有する荷電粒子ビームを用いて実行される。それらの2次電子を、それらの2次電子をガス分子と衝突させ、負電荷キャリアを生成するのに十分な強さの電場によって加速させる。それらの負電荷キャリアは続いて、別のCHCHOHガス分子との複数回の衝突によって追加の負電荷キャリアを生成することができ、その結果、負電荷キャリアの数が元の2次電子の数よりも多くなり、かつ負電荷キャリアの数が元の2次電子の数に比例し、電場の強さは、致命的な放電またはアーク発生を回避するのに十分な弱いものである。電子およびイオン化されたCHCHOHガス分子から生じた電流を検出し、それによって、試料の表面から放出された2次電子の数に比例した信号を検出する。
図1は、画像化ガスを満たすことができる環境セルまたは試料セル104を使用するシステムであって、ピンホール磁気対物集束レンズ102と試料室103とを有する粒子−光学装置100を備え、試料室103が、試料ステージ108上の試料106を比較的に高い圧力に維持するための試料セル104をその内部に有するシステムを示す。真空エンベロープ101内に粒子源(図示せず)が位置する。この粒子源は、1次電子ビーム110を供給し、1次電子ビーム110は、上圧力制限絞り(PLA)112および錐体116の底の下PLA114を通過する。PLAはそれぞれ、真空エンベロープ101に近い方の低圧側、およびエンベロープ101から遠い方の高圧側を有する。排気用のダクト150を有する多段PLAが示されているが、いくつかの実施形態は、PLAを1つだけ含み、ダクト150を持たないことに留意されたい。錐体116は、セル104内のガス中を通過する電子ビーム110の経路を短くする。試料から放出された2次電子120は、セル104内に構築され、環境セル104内での検出を可能にするように配置された2次電子検出器122によって検出される。
このシステムは、試料ステージから離れて配置された検出器122を使用する。この実施形態では検出器122が示されているが、他の実施形態では、複数の現象を検出するガス・カスケード検出器を含む、適当な任意のガス・カスケード検出器を使用することができる。検出器122と試料の間の距離は、試料を出た電子とガスとが衝突して電子電流を大幅に増幅する十分な電子経路を提供する。例えば、試料を出たそれぞれの電子について、典型的には300個超、500個超または1000個超の電子が検出器122に到達する。この荷電粒子源は、500eVから50keVの間で操作され1pAから100nAの間の電流を有する電子ビームであることが好ましい。いくつかの実施形態では、この電子ビームが、20keVのエネルギーおよび約2nAのビーム電流を有する。言うまでもなく、これらのパラメータは用途に応じて変更することができる。検出器122は、約50Vから約400Vの範囲内でバイアスされることが好ましいが、例えば425V、450Vなど400Vよりもわずかに高くすることができ、それによって、検出器122は、ガス・カスケード内の電荷の流れによって誘起された電流を検出して画像を形成する。他の実施形態では、光子検出器を使用して、カスケードから放出された光子を検出し、ガス・カスケード増幅画像化システムを使用して画像を形成することができる。光子は、ガス中の、またはシステムの内部表面と接触した、励起したイオン、フラグメント(fragments)または中性粒子(neutrals)によって放出される。
ガス注入口124およびガス排出口126が、試料セル104内の処理ガスまたは画像化ガスの流量および圧力を調節する。ガス注入口124を通して、前駆体ガスまたは画像化ガスの源を供給することができる。この実施形態では、画像化ガスが、CHCHOH(エタノール蒸気)またはその混合物である。ガス排出口126は、リーク弁128を介してポンプ(図示せず)に接続される。弁128による制御されたリーク、および試料室103の容積に比べて相対的に小さなセル104の容積は、例えばHPSEMビーム・ケミストリ・モードとHPSEM画像化モードとを切り換える、異なる処理ガス間の高速切換えを提供する。粒子−光学装置100は、比較的に高い圧力、すなわち20トル(26ミリバール)よりも高い圧力で機能することができる。粒子−光学装置100は、50トル(65ミリバール)以上の圧力でも機能することができる。いくつかの実施形態では、セル104内の圧力が50ミリトルよりも高く、試料室103内の圧力が10ミリトルよりも低い。
針の形態で示されているが、リングまたはプレートなどさまざまな形状寸法を有することもできる2次電子検出器122は、2次電子を引きつけるため、通常は50V、好ましくは100V、より好ましくは300V超、最も好ましくは約500ボルトに電気的にバイアスされる。2次電子は、試料106と2次電子検出器122の間のガス分子と衝突して、2次電子信号を増幅するイオン化カスケードを生じさせる。針として示されているが、検出器122は他の形態をとることもできる。
他の高圧荷電粒子システムでは、検出器が、Toth他の「High Pressure Charged Particle Beam System」という名称の米国特許第8,921,811号明細書、Scholtz他の「Particle−Optical Device and Detection Means」という名称の米国特許第6,972,412号明細書、またはKnowles他の「Detector for Charged Particle Beam Instrument」という名称の米国特許第7,541,580号明細書に記載されている検出器などの1つまたは複数の円形プレートを備えることができる。これらの特許は全て、本発明の譲受人に譲渡されており、参照によって本明細書に組み込まれる。このような検出器は高圧での効率が低いため、それらの検出器は、図1に示された実施形態の圧力よりも低い圧力で改良された特性を示し、したがって、公知の他の画像化ガスの圧力よりも低い圧力での性能に優れる本明細書に記載されたCHCHOH画像化方式とともに使用すると、これらの検出器は、強化された利点を引き出す可能性がある。このような代替検出器は、電場と磁場の組合せを使用して、2次電子経路長を増大させることができ、それによって、試料106と検出器の間の短い距離でガス信号増幅を増大させることができる。錐体116と錐体の外側に配置された2次電子検出器122のこの構成との組合せは、十分な2次電子信号増幅を提供する十分な2次電子経路がガスの中を通り、同時に、ガスの中を通る1次電子経路が短く維持されることを可能にする。試料から検出器までの2次電子経路は通常、1から200mmの間であり、2mmよりも長いことが好ましい。好ましい一変形実施形態ではこの経路が約10mmであり、好ましい他の変形実施形態ではこの経路が約13.5mmである。光学的に透明な窓134によって、ユーザは、窓134と試料106の間に配置されたレンズ136を使用した光学顕微鏡(図示せず)を通して試料を観察することができる。光学窓134は、システム100が広い視野を提供し、同時に、短いガス経路長およびカラム内への低いガス漏れ率を依然として提供することを可能にし、このことは、分解能および画像信号対雑音比を向上させ、腐食性ガスからカラムを保護する。
ガス注入口124は、試料セル104内へ加圧下でガスを送る。ガス注入口124は、1つまたは複数の処理ガス・フィード144、CHCHOHを含む画像化ガス・フィード146などの複数のガス・フィード間の高速切換えを可能にする弁装置140を含む。ダクト150は、PLA114を通過したガスの排出を可能にし、それによって下カラムの圧力を上PLA112よりも高い圧力に維持するのを助ける。従来のHPSEM/VPSEMのステージまたはセル104がその中に置かれた低圧SEMのステージとすることができるステージ148は、試料セルを支持し、PLA114が電子ビーム110の軸と整列するようにセル104の位置を調整することを可能にする。一方、試料ステージ108は、セル104内での試料106の移動を可能にして、試料106上の関心の領域を電子ビーム110の下に配置することができるようにする。Viton OリングまたはTeflonシールなどのシール152が、セル104のガスが試料室103に入ることを防ぐレンズ102とセル104の間の気密シールを提供することが好ましい。シール152を、副室と試料室103の間のガス流絞りの働きをするより小さな隙間によって提供される非気密シールとすることもできる。
本発明は、セルの内部でガス・カスケード検出器を使用することだけに限定されない。PLAの周囲に配置されたガス・ルミネセンス検出器またはスルー・ザ・レンズ方式の検出器など、他のタイプの検出器を使用することもできる。スルー・ザ・レンズ方式の検出器では、電圧を印加して、2次粒子を最終レンズを通して引き入れる。引き入れられた2次粒子は、マルチチャンネル・プレートまたはシンチレータ光電子増倍管などの光軸上の(on−axis)または光軸から外れた(off−axis)収集システムによって検出することができる。図1は、1次ビーム軸から離れる方向へ2次電子を偏向させて検出器156内へ導き、同時に1次ビーム110を偏差なしで通過させるウィーンフィルタ(Wien filter)などの任意選択の2次電子偏向器154を示す。さらに、この検出器を、例えばMancuso他の「Secondary Electron Detector for Use in a Gaseous Atmosphere」という名称の米国特許第4,785,182号明細書、Scholtz他の「Particle−Optical Device and Detection Means」という名称の米国特許第6,972,412号明細書、Uncovsky他の「Multistage Gas Cascade Amplifier」という名称の米国特許第7,791,020号明細書に記載されている、ガス・カスケード増幅を使用する他の適当なシステムの検出器とすることもできる。これらの特許は、本発明の譲受人に譲渡されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態は、CHCHOHを使用して画像化することに加えて、記載された試料セルと同様の試料セルを使用して、前駆体ガスを使用した荷電粒子ビーム処理を実行する。このセルは通常、荷電粒子ビーム・システムの試料室内に配置されるが、試料室自体をセルとして構築することもできる。圧力制限絞りが、セルの外側をより低い圧力に維持する。従来の高真空SEM室の内側にセルを配置してHPSEM処理能力を提供すること、または、HPSEM試料室の内側にセルを配置して、より高い圧力能力および腐食性ガスを使用する能力を提供することができる。ビーム・ケミストリに対してHPSEMを使用することにはいくつかの利点がある。比較的に低い前駆体分子束が基板に到着する速度(rate)によって処理速度(processing rate)が制限される高真空SEMビーム・ケミストリ処理とは違い、高電子束のHSPEM内での処理はそのようには制限されない。その上、HPSEMは、処理中に電荷中和を提供する。いくつかの処理ガスを用いると、1次ビーム電流密度を変化させることによって、試料に対する効果をエッチングから付着に変化させることができる。その上、セルのバックグラウンド圧力を測定することによって、試料にかかる圧力を明確に測定することができる。
複数のガスを同時に使用すると有利な用途は数多くある。例えば、1種類のガスを使用してビーム・ケミストリ付着またはビーム・ケミストリ・エッチングを実施し、その間に、第2のガスを追加して、画像化を改良し、帯電アーチファクトを抑制することができる。例えば、XeFを前駆体ガスとして使用して、SiO試料を電子ビーム誘起エッチングすることができ、このエッチング・ガスにCHCHOHを追加して、ガス・カスケード増幅画像化を改良し、試料の帯電を低減させることができる。他の例では、W(CO)蒸気を前駆体ガスとして使用してWを電子ビーム誘起付着させることができ、この付着ガスにCHCHOHを追加して、ガス・カスケード増幅画像化を改良することができる。いくつかの用途では、1種類のガスを供給してエッチングを実施し、それと同時に別のガスを供給して、付着を実施することができる。第3のガス、このケースではCHCHOHをエッチングおよび付着ガスに追加して、画像化を改良することができる。
本明細書の技法の大部分は、CHCHOH、すなわちエタノール蒸気を画像化ガスとして、時に処理ガスとして使用することに留意されたい。先行技術のシステムでは、NHが、最も効率的なHPSEM画像化ガスであり、わずかの差でHOがこれに続くと考えられていたが、本明細書において構成されたCHCHOHのガス増幅効率が、NHのそれを1桁以上上回ることを本発明の発明者は発見した。画像化ガスとして使用されたCHCHOHは、少なくとも2つの点で、より優れた増幅器である。第1に、ある条件下では、ガス利得(gas gain)が、NH(およびHO)のそれよりも大きい。第2に、ある条件下では、このガスが分解する前に到達しうる最終的な利得も、NH(およびHO)のそれよりも大きい。HPSEM内で、環境型光収率分光法(EPYS)をさらに使用して、エタノールの優れた増幅挙動が測定された。EPYSでは、HPSEM内において2次電子が増幅されるのとちょうど同じにように、ガス・カスケード中で光電子が増幅される。しかしながら、EPYSは、後方散乱電子および1次電子を含まず、そのため、1次電子および後方散乱成分を含まない、低エネルギー電子のガス増幅効率の直接測定を可能にする。
CHCHOH分子はHOおよびNHよりも大きく、したがって、HOおよびNHよりも程度の大きなビーム散乱を引き起こすことにも留意されたい。しかしながら、ビーム散乱は、ガス中の電子ビーム経路長を最小化することによって抑制することができ、VPSEM/HPSEM画像品質は通常、ビーム散乱ではなくむしろガス・カスケード増幅によって制限されることが分かっている。
上で論じたとおり、HPSEM/VPSEMは、電子によって開始されたガス・カスケード電流を使用して画像を生成する。下式に示されているように、1次電子(PE)および後方散乱電子(BSE)は全体のカスケード電流に寄与するが、2次電子からの寄与(Iδ)だけが、位相幾何学的(topological)なコントラスト情報を供給する。
Σ=I+Iη+Iδ (1)
上式で、IΣは、ESEMの試料−検出器ギャップにわたって測定された全体のガス・カスケード電流であり、IおよびIηはそれぞれ、PEおよびBSEによって生じた寄与分である。トポグラフィック(topograhic)な画像コントラストはIδの値によって決定される。より高エネルギーのPEおよびBSEが存在するため、ESEMを用いてIδを直接に測定することは難しい。しかしながら、Iδ+Iηの値(本明細書ではIδ+ηで示す)を決定することは可能であり、この値を、ガス増幅効率を研究する指標として使用することができる。この値Iδ+ηを、EPYSで生成された増幅された光電流(I)と比較することができる。Iは、高エネルギーの電子からの寄与を含まず、試料ステージを流れる正イオン(PI)電流として直接に測定されたものである。これらの2つの値Iδ+ηとIの差を、電子エネルギーの関数であるそれぞれのガスの非弾性散乱断面(inelastic scattering cross−section)の変動によるものと考えることができる。
EPYSでは、EPYSガス・カスケードをトリガする初期電子エネルギー分布が、ESEMにおける低エネルギー2次電子のエネルギー分布に似ているため、全整色照射時に生成されたI電流が、本発明の発明者によって実施されたESEM測定に対する相補的データを与える。両方の場合に、ガス・カスケード増幅電流を、検出器バイアスおよびガス圧の関数としてプロットすることができる。0.5、1および5トルにおけるパンクロマチックEPYSデータからの値の対数プロットがそれぞれ、図5(a)、(b)および(c)に示されている。それぞれのケースでビームおよび試料のパラメータは全く同じである(ビーム・エネルギー20keV、ビーム電流2.06nA、試料−検出器ギャップ13.47mm)。達成された最大Iは、CHCHOH蒸気1トル、440Vでの60nA超であった。これは、それぞれHOおよびNH中で生成された最適化された30nAおよび28nAを上回っている。しかしながら、圧力が増大するにつれてエタノールの効率は急速に低下し、約5トルを超えると一般にHOの方が優れた増幅媒体となる。とはいえ、酸化を受けやすい材料の処理、有機液体の画像化などHOに対して敏感な用途では、よりいっそう高い圧力でもCHCHOHの方が優れていると考えられることがある。
図2Aおよび2Bは、本発明の例示的な実施形態に基づくシステムを動作させる方法を示す。図2Aのステップ400は、セルの内壁表面を加熱して、試料セルの表面温度を試料の表面温度よりも高く維持すること、および任意選択で試料ステージを通して試料を加熱することを含む。ステップ402で、第1の処理ガスまたは第1の画像化ガスを、第1のガス注入流量で、ガス注入口を通して試料セル内へ送達する。このステップでは、CHCHOHを画像化ガスとして使用することができる。ステップ404で、このガスを、第1のガス除去流量で試料室から除去する。このガスは、セルに接続されたガス排出口を通して除去する。このガス排出口は、圧力制限絞り以外の出口であることが好ましい。このガスは例えば、リーク弁を介してガス排出口に接続された粗引きポンプ(roughing pump)によって除去することができる。ガス注入流量、ガス除去流量、および圧力制限絞りを通したセルからカラム内への流量によって、セル内の平衡圧力を決定する。高蒸気圧ガス源に対しては、ステップ404を、ステップ402と同時に開始することができ、低蒸気圧源に対しては、出口弁が開かれる前のある時間の間、ガスがセルに流入することを許し、それによってセル内の圧力がより急速に増大することを可能にすることができる。
ステップ406で、第1のガス注入流量および第1のガス除去流量を変化させて、荷電粒子ビーム集束カラム内の圧力よりも高い、試料セル内の所望の平衡圧力を達成する。システムが特徴づけられた後に、特定の平衡圧力を達成するのに必要な弁の位置が分かることがあり、初期設定後の調整を省略することが可能であることがある。あるいは、入口弁および出口弁をコンピュータ制御して、所望の平衡圧力を生み出すこともできる。ステップ408で、荷電粒子のビーム、好ましくは電子のビームを、荷電粒子ビーム集束カラムおよび圧力制限絞りを通して導いて、セル内の試料を処理する。
任意の処理ステージにおいて、ガスは、複数のガスまたは複数のガス分子種を含むことができる。例えば、電子ビーム誘起付着は、3.5Paのスチレン分圧、22.5Paの窒素分圧を使用することができる。これらのガスは同時に試料室に送達することができる。流量はニードル弁を使用して制御することができる。最初に、N流量制御弁を調整して、使用された基板の帯電を安定させるのに必要な圧力であるおよそ22.5Paの定常状態試料室圧力を達成する。次いで、スチレン流量制御弁を開いて、およそ26Paまで全体の圧力を高める。
1つの処理段階が完了した後、別の処理ステップのためにガスを入れ換えることができる。ステップ410で、セル内へのガスの送達を終了させる。その際、PLAおよび/またはガス出口を通したセルからのガスの除去は継続する。ステップ412で、任意選択で、ガスが除去されているときに、セルの内部表面からのガス分子の脱離を助けるために、セルの内壁、試料またはその両方の温度を高めることができる。図2Bの任意選択のステップ416で、以前のガスの残部をセルから浄化するのをさらに助けるため、洗浄ガス(scrubber gas)、例えばNをガス入口を通して供給する。任意選択で、ステップ418で、セル内のプラズマによってセルの内部表面を洗浄する。プラズマは、セルを迅速に洗浄することができ、ガスを切り換えるのに必要な時間を短縮することができる。プラズマ洗浄は当技術分野において知られており、例えば米国特許第6,452,315号明細書およびProc.SPIE、4344巻(2001年)、835ページに記載されている。
ステップ420で、ガス入口弁に第2のガスを導入する。ステップ422で、試料セルからガスを、第1のガスの除去流量で除去し続ける。ステップ420で第1のガスから第2のガスに切り換えた後、ステップ424は、第2のガス注入流量および第2のガス除去流量を変化させて、荷電粒子ビーム集束カラム内の圧力よりも高い、試料セル内の第2のガスの平衡圧力を達成することを含む。ステップ426で、荷電粒子ビームを試料に向かって導く。ステップ420は、本明細書に記載されたCHCHOH画像化ガスまたはその混合物を送達することを伴うことが好ましく、ステップ426は、荷電粒子ビームを使用して試料の画像を形成することを伴うことができる。
上に記載したさまざまなステップの順序およびそれらのうちの使用されるステップは、使用されるガスによって異なる。例えば、より高い吸着エネルギーを有する分子は、より長い除去時間、ならびにセル壁の加熱、洗浄ガス操作またはプラズマ洗浄操作を必要とすることがある。いくつかの変形例では、CHCHOHなどの比較的に不活性なガスが、セル加熱もまたは浄化ガスも必要としない。
本発明を、非限局的な処理、すなわち、荷電粒子ビームによって誘起されたものではない、ビーム衝突点に隣接するエリアに限定されないエッチングまたは付着、に対して使用することもできる。前駆体の熱分解に必要な温度よりも高い試料温度を設定すると、試料の付着またはエッチングが起こる。この処理は、例えば多ステップ・プロセスの1つのステップとして有用であることがあり、それによって単一の真空室内でのより完全な処理を可能にする。単一の真空室内での処理は、複数のガス抜きおよび排気ステップにおいて固有の非効率性、ならびに試料が真空室を出るときに導入される汚染を排除する。
図3は、垂直に装着されたSEMカラムと垂直から約52度の角度に装着された集束イオン・ビーム(FIB)カラムとを備える、本発明の他の実施形態を実施するのに適した典型的なデュアル・ビーム・システム510を示す。適当なデュアル・ビーム・システムは例えば、本出願の譲受人である、米オレゴン州HillsboroのFEI Companyから市販されている。適当なハードウェアの一例を以下に示すが、本発明は、特定のタイプのハードウェアで実現されることに限定されない。
デュアル・ビーム・システム510は、走査電子顕微鏡541と、電源および制御ユニット545を備える。真空エンベロープ553の内側から電子ビーム543が導かれる。電子ビーム543は、陰極552と陽極554の間に電圧を印加することによって陰極552から放出される。電子ビーム543は、集光レンズ556および対物レンズ558によって微細なスポットに集束する。電子ビーム543は、少なくとも1つの圧力制限絞り555を通過し、電子ビーム543は、偏向コイル560によって試料を2次元的に走査する。集光レンズ556、対物レンズ558および偏向コイル560の動作は電源および制御ユニット545によって制御される。
電子ビーム543は、可変圧力室526内の可動式X−Yステージ525上にある基板522の表面に焦束させることができる。この変形例では、可変圧力室526が顕微鏡の試料室526であり、試料室526は、上で説明した試料セル104などの試料セルとともに、またはそのような試料セルなしで使用することができる。ステージ525は、熱導管528によってステージ525に接続された液体窒素源またはペルチエ冷却器などの冷却器527に接続されていることが好ましい。使用時、電子ビーム中の電子が基板522に衝突すると、2次電子が放出される。それらの2次電子は、後に論じる2次電子検出器540によって検出される。TEM試料ホルダ524およびステージ525の下に位置するSTEM検出器562は、TEM試料ホルダ上に装着された試料を透過した電子を集めることができる。
デュアル・ビーム・システム510は集束イオン・ビーム(FIB)システム511をさらに含み、FIBシステム511は、上部ネック部分512を有する排気された室を含み、上部ネック部分512内にはイオン源514および集束カラム516が位置し、集束カラム516は、引出し電極および静電光学系を含む。集束カラム516の軸は、電子カラムの軸から52度傾いていることが好ましい。イオン・カラム512は、イオン源514、引出し電極515、集束要素517、偏向要素520および集束イオン・ビーム518を含む。イオン源514を出たイオン・ビーム518は、カラム516を通過し、520に概略的に示された静電偏向手段間を通り抜けて、可変圧力室526内の可動X−Yステージ525上の基板522、例えば半導体デバイスまたは他の加工物もしくは試料を含む基板522に向かって進む。
加工物または試料から試料を抜き取り、TEM試料ホルダへ移動させることができるように、ステージ525はさらに、1つまたは複数のTEM試料ホルダ524を支持することができる。ステージ525は、水平面(XおよびY軸)内で移動することができ、かつ垂直に(Z軸)移動することができることが好ましい。ステージ525はさらに約60度傾くことができ、Z軸を軸に回転することができる。いくつかの実施形態では、別個のTEM試料ステージ(図示せず)を使用することができる。このようなTEM試料ステージもX、YおよびZ軸に沿って可動であることが好ましい。X−Yステージ525上に基板522を挿入するため、および内部ガス供給リザーバが使用される場合には内部ガス供給リザーバの整備作業のために、扉561が開かれる。システムが真空状態にある場合に開かないように、この扉はインタロックされる。
ネック部分512を排気するためにイオン・ポンプ568が使用される。可変圧力室526は、真空コントローラ532の制御の下、ターボ分子および機械ポンピング・システム530によって排気される。この真空システムは、付着ステップの後にガス画像化ステップを実施するなどの特定のシナリオで実施されるプロセスおよびステップに応じて、低圧と高圧の間の真空を可変圧力室526内に提供する。真空圧力動作に対しては、可変圧力室526内の圧力を、約10−7トルおよび10−4トルなどの真空圧力から変化させることができることが好ましいが、典型的なSEMに対しては、エッチング支援ガス、エッチング遅延ガスまたは付着前駆体ガスを使用する場合、10−5トル未満であることが好ましい。HPSEM/VPSEM動作に対しては、本明細書に記載されたHPSEMガス画像化プロセスで使用される0.01トルから50トルなどの圧力まで、室526をさらに調整することができ、ガス画像化プロセスに対してはこの圧力が1トルから10トルの間であることが好ましく、CHCHOHの使用は5トルまでに制限されることが好ましいが、これよりも高い圧力をCHCHOHとともに使用することもできる。このより高い圧力は、本明細書に記載された改良されたガス増幅に先立つことができるが、特に酸化を受けやすい有機液体または材料を試料が含む場合に、より少ない腐食およびより少ない試料相互作用の利点を依然として達成する。
イオン・ビーム518にエネルギーを与え集束させるため、高電圧電源は、イオン・ビーム集束カラム516内の電極に適当な加速電圧を印加する。イオン・ビームが基板522に当たると、材料がスパッタリングされる。すなわち試料から材料が物理的に追い出される。あるいは、イオン・ビーム518が前駆体ガスを分解して、材料を付着させることもできる。
液体金属イオン源514ならびに約1keVから60keVのイオン・ビーム518を形成しそれを試料に向かって導くイオン・ビーム集束カラム516内の適当な電極に高圧電源534が接続されている。パターン発生器538によって提供される所定のパターンに従って動作する偏向コントローラおよび増幅器536が偏向板520に結合されており、それによって、対応するパターンを基板522の上面に描くようにイオン・ビーム518を手動または自動で制御することができる。いくつかのシステムでは、当技術分野ではよく知られているように、偏向板が、最後のレンズの前に置かれる。イオン・ビーム集束カラム516内のビーム・ブランキング(blanking)電極(図示せず)は、ブランキング・コントローラ(図示せず)がブランキング電極にブランキング電圧を印加したときに、イオン・ビーム518を、基板522ではなくブランキング絞り(図示せず)に衝突させる。
液体金属イオン源514は通常、ガリウムの金属イオン・ビームを提供する。イオン・ミリング、強化されたエッチング、材料付着によって基板522を改変するため、または基板522を画像化するために、源を通常、基板522の位置における幅が1/10マイクロメートル未満のビームに集束させることができる。
適当にバイアスされたエバーハート・ソーンリー(Everhart Thornley)検出器またはマルチチャンネル・プレートなどの荷電粒子検出器540が、2次イオンまたは2次電子の放出を検出す目的に使用される。ガス・カスケード検出器が含まれ、このガス・カスケード検出器は、同じ検出器540または別個の構造体とすることができ、本明細書に記載された任意のガス・カスケード検出器とすることができる。検出器540はビデオ回路542に接続され、ビデオ回路542は、ビデオ・モニタ544に駆動信号を供給し、ビデオ・モニタ544はコントローラ519から偏向信号を受け取り、これによってガス・カスケード増幅画像化システムを形成する。このようなシステムはさらに、その結果生じたデータを処理するディジタル信号処理プロセッサと、観察および分析するために受け取った画像データを操作するビデオ回路に結合された局所データ記憶装置とを含むことができる。可変圧力室526内における荷電粒子検出器540の位置は実施形態によって変更することができる。例えば、荷電粒子検出器540はイオン・ビームと同軸とすることができ、イオン・ビームが通り抜けることを可能にする穴を含むことができる。他の実施形態では、最終レンズを通過させ、次いで集めるために軸から逸らした2次粒子を集めることができる。
米テキサス州DallasのOmniprobe,Inc.のAutoProbe 200(商標)、またはドイツReutlingenのKleindiek NanotechnikのModel MM3Aなどのマイクロマニピュレータ(micromanipulator)547は、真空室内の物体を正確に移動させることができる。真空室内に配置された部分549のX、Y、Zおよびθ制御を提供するため、マイクロマニピュレータ547は、真空室の外側に配置された精密電動機548を備えることができる。小さな物体を操作するため、マイクロマニピュレータ547に、細いプローブ550などの別のエンド・エフェクタを取り付けることができる。
ガス注入口124およびガス排出口126は、可変圧力室526内の処理ガスまたは画像化ガスの流量および圧力を調整する。ガス注入口124を通して前駆体ガスまたは画像化ガスの源が供給される。この実施形態では、供給される画像化ガスが、CHCHOHまたはその混合物である。いくつかの実施形態はさらに、1種または数種の処理ガスを使用する進行中のプロセスに対して、画像化ガスとしてCHCHOHが含まれる複数のガスを同時に使用することを可能にする。このような状況では、CHCHOHが、画像化ガスと処理ガスの2重の役割を有することもある。ガス排出口126は、リーク弁128を介して粗引きポンプ(図示せず)に接続される。ガス注入口124は、1つまたは複数の処理ガス・フィード144、画像化ガス・フィード146などの複数のガス・フィード間の高速切換えを可能にする弁装置140を含む。ガス注入口124は、可変圧力室526内へ延びて、ガス蒸気を導入し基板522に向かって導くことができる。本発明の譲受人に譲渡されたCasella他の「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」という名称の米国特許第5,851,413号明細書は適当なガス送達システム546を記載している。別のガス送達システムが、やはり本発明の譲受人に譲渡されたRasmussenの「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書に記載されている。例えば、エッチングを強化するためにヨウ素を送達することができ、または金属を付着させるために金属有機化合物を送達することができる。
システム・コントローラ519は、デュアル・ビーム・システム510のさまざまな部分の動作を制御する。従来のユーザ・インタフェース(図示せず)にコマンドを入力することにより、ユーザは、システム・コントローラ519を介して、イオン・ビーム518または電子ビーム543で所望のとおりに走査することができる。あるいは、システム・コントローラ519は、プログラムされた命令に従って、デュアル・ビーム・システム510を制御することができる。いくつかの実施形態では、このガス・カスケード増幅画像化システムが、関心の領域を自動的に識別する、米マサチューセッツ州NatickのCognex Corporationから市販されているソフトウェアなどの画像認識ソフトウェアを含み、このシステムは、本発明に従って試料を手動でまたは自動的に抜き取ることができる。
本発明の実施形態は、ガス−試料反応を比較的に受動的に観察する目的にビームが使用される用途にも適している。本明細書に開示された画像化ガス技法は、他の画像化ガスならプロセスを妨害し腐食を生じさせる非水性環境中の液体および動的プロセスの画像化において特に有用である。その例には、化学蒸着(CVD)および金属有機化学蒸着(metalorganic chemical vapor deposition)(MOCVD)の場合のような付着前駆体の熱分解、および反応が熱によって開始される触媒反応プロセスが含まれる。
図4aは、CHCHOHベースのCVDとともに使用することができる改良されたガス画像化を使用するプロセスの流れ図である。CHCHOHベースのCVDとは、ガス反応物がCHCHOHを含むことを意味する。CHCHOHと混合することができる第2のガス反応物の例はHである。CHCHOHと混合することができる第3のガスはArである。示されたプロセス600はボックス602から始まり、ボックス602で、可変圧力室内に加工物を装填する。この可変圧力室は、本明細書に記載された環境セルのうちの1つの環境セル、または試料室、例えば図3に示された実施形態の試料室とすることができる。プラットホーム、加工物、室および壁の温度および圧力は独立して制御されることが好ましく、関係するそれぞれのガスの分圧も独立して制御されることが好ましい。次に、ボックス604で、このCVDプロセスを、好ましくは反応物ガスの定常流を維持しながら実施する。このステップにおけるCVDは、当技術分野で知られているCVDプロセスに従って実施され、所望の圧力のガスの定常流が、室内を通過してリーク弁から外に出るまで維持される。CVDの間、ガス圧は通常、0.01ミリバールから900ミリバールの間にあり、温度は、300℃から1000℃の間にある。また、CHCHOHベースのCVDについて論じたが、画像化ガスとしてのCHCHOHの使用は、この文脈において、大部分の有機または非水性CVD合成プロセスに対して有用であり、ここで記載したCVDの代わりにそれらのプロセスを使用することもできる。
次に、ボックス606で、画像化の準備のために温度および圧力を調整する。それぞれのガスの濃度を調整することもできる。いくつかの変形実施形態では、CHCHOH蒸気の濃度が既に画像化に対して十分であり、CVDと同じ濃度で画像化が実施される。通常は、温度が下げられ、圧力が、より高くまたはより低く調整されるが、これは限定を意味するものではなく、いくつかのプロセスでは、CVDと同じ条件で画像化が実行される。最適な画像化は通常、700℃未満の温度、0.1ミリバールから10ミリバールの範囲のガス圧で実行される。ある種のCVDプロセスは、進捗状況を判断するためにCVD中にCHCHOHベースの画像化を実施しながら実行することもできる。この画像化は、断続的または連続的な画像化とすることができ、この画像化を使用して、成長している材料の動画を生成することができる。画像化の準備はさらに、可変圧力室内で加工物を移動させることを含むことができるが、室から加工物を取り出すことは含まないことが好ましい。いくつかのプロセスでは、室を排気し、排気後にCHCHOH画像化ガスを追加することができるが、これは必要な場合にのみ実行され、好ましいプロセスは単に、(室の排気は実施せず、)例えば反応物混合物中の他のガスの供給を止め、供給されるCHCHOHの圧力を高めることによって、CHCHOHの濃度を調整するだけである。ボックス608で、本明細書に記載されたとおりに構成された粒子ビーム検出装置およびガス・カスケード検出装置のうちの1つの検出装置を使用して、画像化を、本明細書に記載されたとおりに実施する。この画像化の結果に基づいて、このプロセスを反復的に繰り返して、所望のCVD結果を得ることができる。
図4bは、改良されたガス画像化を使用して、触媒反応またはその結果を研究するプロセスの流れ図である。プロセス620はボックス622から始まり、ボックス622で、可変圧力室内に加工物を装填する。この可変圧力室は、本明細書に記載された環境セルまたは試料室とすることができる。プラットホーム、加工物、室および壁の温度および圧力は独立して制御されることが好ましく、関係するそれぞれのガスの分圧または少なくともガス・フィード体積も独立して制御されることが好ましい。次に、ボックス624で、触媒反応プロセスを、好ましくは反応物ガスの定常流を維持しながら実施する。このステップにおける触媒反応は、当技術分野で知られている触媒反応プロセスに従って実施され、所望の圧力のガスの定常流が、室内を通過してリーク弁から外に出るまで維持される。触媒反応の間、ガス圧は通常、0.01ミリバールから900ミリバールの間にあり、温度は、100℃から1000℃の間にある。触媒反応の研究で使用されるガスは、CO、H、O、CHCHOH、Ar、NH、NおよびHOを含む。触媒反応の研究で使用される試料は、Pt、Au、Ni、Moおよび広範囲の酸化物を含む。試料はしばしば、複合材料、ナノ粒子、またはナノ構造化された(nanostructured)表面である。次に、ボックス626で、画像化の準備のために温度および圧力を調整する。濃度を調整することもできる。いくつかの変形実施形態では、CHCHOH蒸気の濃度が既に画像化に対して十分であり、触媒反応と同じ濃度で画像化が実施される。画像化は、反応物ガスのガス流速または空間速度を遅くして実施することが好ましい。ある種の触媒反応プロセスは、進捗状況を判断するために、触媒反応中にCHCHOHベースの画像化を断続的に実施しながら実行することもできる。画像化の準備はさらに、可変圧力室内で加工物を移動させることを含むことができるが、室から加工物を取り出すことは含まないことが好ましい。いくつかのプロセスでは、室を排気し、排気後にCHCHOH画像化ガスを追加することができるが、これは必要な場合にのみ実行され、好ましいプロセスは単に、(室の排気は実施せず、)例えば反応物混合物中の他のガスの供給を止め、供給されるCHCHOHの圧力を高めることによって、CHCHOHの濃度を調整するだけである。ボックス628で、本明細書に記載されたとおりに構成された粒子ビーム検出装置およびガス・カスケード検出装置のうちの1つの検出装置を使用して、画像化を、本明細書に記載されたとおりに実施する。
図4cは、改良されたガス画像化を使用して、有機液体または有機溶媒およびそれらの濡れ挙動を研究するプロセスの流れ図である。プロセス640はボックス642から始まり、ボックス642で、試料と相互作用する有機液体または有機溶媒の挙動の研究を実施するために、可変圧力室内に試料を装填する。任意選択で、この有機溶媒または有機液体はステップ642で供給することができ、または続くステップ646で供給することもできる。この可変圧力室は、本明細書に記載された環境セルまたは試料室とすることができる。次に、ボックス644で、所望の研究のために温度および圧力を調整する。所望の濃度の一種または数種のガスを供給することもできる。溶媒または液体の画像化は通常、−100℃から10℃の間の試料温度および1ミリバールから20ミリバールの範囲の有機蒸気圧を必要とする。次に、ボックス646で、任意選択で、所望の研究を実施するのに必要な有機液体または有機溶媒を供給する。このステップは、注入器を使用して液体もしくはガスを追加すること、または、試料の温度を、研究で使用する有機蒸気の凝縮温度まで下げ、研究で使用する有機蒸気の分圧を下げることを含むことができる。さらに、いくつかの変形実施形態では、研究したい有機成分が原試料中に存在し、研究したい相互作用を反応物ガスが提供する。このステップは、反応が起こるのを所望の時間、待つことを含むことができ、または、CHCHOHベースの画像化のための調整が実施されたらすぐにステップ648に移ることもできる。一部のプロセスは、画像化を実施するのに、温度、圧力またはさまざまなガス濃度の調整を必要としないが、別のプロセスは、ボックス648で、これらの条件のうちの任意の条件を調整する。CHCHOH以外の有機液体または有機溶媒の研究中に、CHCHOH蒸気を可変圧力室内に注入して、画像化を改良することができる。あるいは、液相のCHCHOHをこの有機溶媒または液体として使用し、同時に、そのCHCHOH蒸気を画像化に対して使用することもできる。ボックス650で、本明細書に記載されたとおりに構成された粒子ビーム検出装置およびガス・カスケード検出装置のうちの1つの検出装置を使用して、画像化を、本明細書に記載されたとおりに実施する。この画像化を、ボックス644で生成された条件での有機液体または有機溶媒の挙動の進行中観察とすることもできる。本明細書に記載された技法は、以前のガス画像化システムでは観察できないプロセスに対する、濡れ挙動を含むこのような挙動の高分解能研究を提供する目的に有益に使用される。
図5a〜cは、本明細書に記載されたとおりに構成されたCHCHOHのガス増幅と先行技術の画像化ガスのそれとを比較した、環境型光収率分光法(EPYS)データを示す一連のプロットである。示されたプロットは、増幅が起こるレートの変化を、検出器バイアスの全範囲にわたって示している。低圧力および低電圧(図の(i)と記された領域)では、イオンは効率的に分離されるが、長い平均自由行程および達成される低い運動エネルギーのため、増幅はほとんど起こらない。電圧を増大させると(ii)、電流は、指数関数的な増大を示し、これは、タウンゼンド・ガス・コンデンサ・モデル(Townsend gas capacitor model)で典型的である。低圧力および高電圧では(iii)、増幅率(amplification factor)が比較的に小さく、表面の正イオンによって生成された電子の数の逆数にゆっくりと近づくため、フィードバックの効果が観測可能である。増幅が大きく(かつ急速に増大し)、フィードバックが小さいとき、フィードバックからのIΣに対する寄与は、分解に近い小さな電圧範囲にわたって非常に急速に高まり、そのため、1〜10トルの高電圧では、それは容易には観察されない。その代わりに、高圧力では、図5cの(iv)と記された領域に示されているように、ガス分子による電子掃気および弾性散乱が0Vにおいて観察され、それに続いて、検出器バイアスの増大につれて、イオンの分離および捕集、次いで標準タウンゼンド・カスケード増幅が観察される。
図6(a)〜(f)は、CHCHOHを使用した本発明のシステムによる意図されていない炭素付着をHOおよびNHとの比較で調べるために撮影された拡大された一連の画像を示す。試料上でのCHCHOHの電子ビーム誘起解離に起因する意図されていない炭素付着の可能性を調べるため、本発明の発明者は、記載されたHPSEM装置内でこれらの3種類の全てのガスを使用した実験を実施した。ある種の条件下では、CHCHOHが、炭素電子ビーム誘起付着(EBID)前駆体の働きをしうることに留意されたい。しかしながら、室温では、本明細書に記載された条件でのC付着速度は無視できることが分かった。さらに、この前駆体は揮発性が非常に高く、したがって、真空システムから(HOに比べて)迅速に排出される。HO、NHおよびCHCHOH中での画像化に従って撮影された拡大された画像がそれぞれ、図6(a)〜(b)、6(c)〜(d)および6(e)〜(f)に示されている。CHCHOH中での高倍率の照射によってもコントラストの変化は起こらなかった。このことは、本明細書に記載された技法に従って使用されたときに炭素付着がほとんどまたは全く起こらないことを示している。
以下は、本開示に基づく非限定的な特定の実施形態である。
第1の実施形態は、加工物の荷電粒子ビーム画像を形成する方法であって、
加工物表面を荷電粒子ビームで走査することであり、荷電粒子ビームが、2次電子の放出を引き起こして、走査に沿った点において2次電子信号を生成することと、
CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることによって2次電子信号を増幅することであり、2次電子が、CHCHOHのイオン化カスケードを開始させることと、
増幅された画像化信号を検出することと、
増幅された画像化信号から加工物の画像を形成することと
を含む方法である。
第2の実施形態は、CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることが、少なくとも0.01トル(0.013ミリバール)の圧力を有するCHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることを含む、第1の実施形態の方法である。
第3の実施形態は、CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることが、1.0トル(1.5ミリバール)から50トル(67ミリバール)の間の圧力を有するCHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることを含む、第1または第2の実施形態の方法である。
第4の実施形態は、CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることが、2次電子信号を少なくとも500倍に増幅するのには十分だが、CHCHOHの分解を引き起こすのには不十分な大きさの電位によって2次電子を加速させることを含む、第1から第3の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第5の実施形態は、CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることが、50Vから1000Vの間の電位によって2次電子を加速させることを含む、第1から第4の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第6の実施形態は、CHCHOHを含む領域を通過している2次電子を加速させることが、約1mmから約200mmの間の距離にわたって2次電子を加速させることを含む、第1から第5の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第7の実施形態は、加工物を画像化する荷電粒子ビーム・システムであって、
加工物に照射する荷電粒子の1次ビームを生成する荷電粒子源と、
荷電粒子を加工物上で集束させる集束レンズと、
荷電粒子ビームによる加工物照射によって生成された2次電子を加速させる電極と、
CHCHOHを封入する容器であり、電極が、CHCHOH中を通過している2次電子を加速させて、CHCHOHをイオン化カスケードによってイオン化し、それによって検出用の2次電子の数を増幅する容器と、
容器と荷電粒子源との間に配置された圧力制限絞りであり、荷電粒子ビーム源を容器内よりも低い圧力に維持するように構成された圧力制限絞りと
を備える荷電粒子ビーム・システムである。
第8の実施形態は、CHCHOHを封入する容器が試料室を含む、第7の実施形態のシステムである。
第9の実施形態は、CHCHOHを封入する容器が、試料室の内側に配置された環境セルを含む、第7または第8の実施形態のシステムである。
第10の実施形態は、電極と加工物の間に50Vから1000Vの間の電位差を与える電源をさらに備える、第7から第9の実施形態のうちのいずれかの実施形態のシステムである。
第11の実施形態は、CHCHOHを封入する容器が、0.01トル(0.013ミリバール)から50トル(67ミリバール)の間の圧力のCHCHOHを含む、第7から第10の実施形態のうちのいずれかの実施形態のシステムである。
第12の実施形態は、
電極に接続された電流増幅器と、
電流増幅器とアースの間に接続された電流検出器と
をさらに備える、第7から第11の実施形態のうちのいずれかの実施形態のシステムである。
第13の実施形態は、加工物の表面から2次電子を発生させ、2次電子を増幅および検出する方法であって、
(a)CHCHOHを含む画像化ガスを室内に供給することと、
(b)画像化ガスが存在する適当なガス圧下で、加工物の表面を、加工物の表面から2次電子を放出させるのに十分なエネルギーを有する荷電粒子ビームで走査することと、
(c)2次電子をCHCHOHガス分子に衝突させ、負電荷キャリアを生成させるのに十分な強さを有する電場によって、2次電子を加速させることであり、負電荷キャリアが、続いて、別のCHCHOHガス分子との複数回の衝突によって追加の負電荷キャリアを生成することができ、その結果、負電荷キャリアの数が元の2次電子の数よりも多くなり、かつ負電荷キャリアの数が元の2次電子の数に比例し、電場の強さが、CHCHOH中での致命的な放電またはアーク発生を回避するのに十分な弱いものであることと、
(d)電子およびイオン化されたガス分子に由来する電流を検出し、それによって加工物の表面から放出された2次電子の数に比例した信号を検出することと
を含む方法である。
第14の実施形態は、加工物が、有機液体または有機溶媒を含み、この方法が、検出された電流に基づいて画像を生成することをさらに含む、第13の実施形態の方法である。
第15の実施形態は、画像が、加工物に沿った有機液体または有機溶媒の濡れ挙動を示す、第14または第15の実施形態の方法である。
第16の実施形態は、加工物の表面を走査する前に、室内の加工物上でCHCHOHベースの化学蒸着ステップを実施することをさらに含む、第13から第15の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第17の実施形態は、加工物の表面を走査中に、室内の加工物上でCHCHOHベースの化学蒸着ステップを実施することをさらに含む、第13から第16の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第18の実施形態は、加工物の表面を走査する前に、室内の加工物上でCHCHOHベースの触媒反応ステップを実施することをさらに含む、第13から第17の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第19の実施形態は、加工物の表面を走査中に、室内の加工物上でCHCHOHベースの触媒反応ステップを実施することをさらに含む、第13から第18の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第20の実施形態は、荷電粒子ビームが、約1キロ電子ボルトから約50キロ電子ボルトまでの範囲内のエネルギーを有する電子ビームである、第13から第19の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第21の実施形態は、ガス圧が、約0.01トルから約10トルまでの範囲内にある、第13から第20の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第22の実施形態は、電場が、50Vから1000Vの間の電位差を含む、第13から第21の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
第23の実施形態は、CHCHOHを含む画像化ガスを供給することが、CHCHOHとNHとの混合物を供給することを含む、第13から第22の実施形態のうちのいずれかの実施形態の方法である。
特許請求項の任意の要素に対する用語「任意選択で」の使用は、その主題要素が不可欠であること、あるいはその主題要素が不可欠ではないことを意味することが意図されている。これらの選択肢はともに、その特許請求項の範囲に含まれることが意図されている。本開示の実施形態の特徴を導入するための用語「〜ことができる(may)」の使用(例えば、「一実施形態では、その部品をはめ歯に接続することができる(In an embodiment,the widget may be connected to a cog)」)は、前記特徴を記載している実施形態は本発明の範囲に含まれるとみなされること、および本明細書は、このような実施形態を肯定的に記載していると解釈すべきであることを意味することが意図されている。しかしながら、実施形態の特徴を導入するための用語「〜ことができる(may)」の使用は、前記特徴を記載していない実施形態が本発明の範囲に含まれないとみなされることを示しているものではない。さらに、実施形態のさまざまな特徴が複数形で記載されるが(例えば、付着表面(attachement surfaces)、限局された引付け部位(localized attractive sites)など)、そうではないと明示されていない限り、前記特徴を単数で有する実施形態(例えば、1つの付着表面(one attachement surface)、限局された引付け部位(one localized attractive site)など)も、単独で、または他の単数もしくは複数の特徴と組み合わされて、本発明の範囲に含まれることが企図されている。「備える(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(having)」などのより幅広い(broader)用語の使用は、「〜からなる(consisting of)」、「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」、「実質的に〜からなる(comprised substantially of)」などのより幅の狭い(narrower)用語の支持を提供すると理解すべきである。
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
したがって、保護の範囲は、以上の説明によっては限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。保護の範囲は、特許請求項の主題の全ての等価物を含む。いずれの特許請求項も、本発明の一実施形態として本明細書に組み込まれている。したがって、特許請求項は追加の説明であり、本発明の実施形態への追加である。「発明を実施するための形態」の項での参照文献の議論は、特にそれが本出願の優先日後の公告日を有する参照文献である場合、その文献が、本発明の先行技術であることを認めるものではない。
100 粒子−光学装置
101 真空エンベロープ
102 ピンホール磁気対物レンズ
103 試料室
104 試料セル
106 試料
108 ステージ
122 2次電子検出器
128 リーク弁
140 弁装置

Claims (23)

  1. 加工物の荷電粒子ビーム画像を形成する方法であって、
    加工物表面を荷電粒子ビームで走査することであり、前記荷電粒子ビームが、2次電子の放出を引き起こして、前記走査に沿った点において2次電子信号を生成することと、
    CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることによって前記2次電子信号を増幅することであり、前記2次電子が、前記CHCHOHのイオン化カスケードを開始させることと、
    増幅された画像化信号を検出することと、
    前記増幅された画像化信号から前記加工物の画像を形成することと
    を含む方法。
  2. CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることが、少なくとも0.01トル(0.013ミリバール)の圧力を有するCHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることが、1.0トル(1.5ミリバール)から50トル(67ミリバール)の間の圧力を有するCHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることが、前記2次電子信号を少なくとも500倍に増幅するのには十分だが、前記CHCHOHの分解を引き起こすのには不十分な大きさの電位によって前記2次電子を加速させることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることが、50Vから1000Vの間の電位によって前記2次電子を加速させることを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. CHCHOHを含む領域を通過している前記2次電子を加速させることが、約1mmから約200mmの間の距離にわたって前記2次電子を加速させることを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 加工物を画像化する荷電粒子ビーム・システムであって、
    前記加工物に照射する荷電粒子の1次ビームを生成する荷電粒子源と、
    前記荷電粒子を前記加工物上で集束させる集束レンズと、
    前記荷電粒子ビームによる前記加工物照射によって生成された2次電子を加速させる電極と、
    CHCHOHを含む前駆体ガスの源と、
    CHCHOHを封入する容器であり、前記電極が、前記CHCHOH中を通過している前記2次電子を加速させて、前記CHCHOHをイオン化カスケードによってイオン化し、それによって検出用の2次電子の数を増幅する容器と、
    前記容器と前記荷電粒子源との間に配置された圧力制限絞りであり、前記荷電粒子ビーム源を前記容器内よりも低い圧力に維持するように構成された圧力制限絞りと
    を備える荷電粒子ビーム・システム。
  8. 前記CHCHOHを封入する前記容器が試料室を含む、請求項7に記載の荷電粒子ビーム・システム。
  9. 前記CHCHOHを封入する前記容器が、試料室の内側に配置された環境セルを含む、請求項7に記載の荷電粒子ビーム・システム。
  10. 前記電極と前記加工物の間に50Vから1000Vの間の電位差を与える電源をさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
  11. CHCHOHを封入する前記容器が、0.01トル(0.013ミリバール)から50トル(67ミリバール)の間の圧力のCHCHOHを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
  12. 前記電極に接続された電流増幅器と、
    前記電流増幅器とアースの間に接続された電流検出器と
    をさらに備える、請求項7から11のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
  13. 加工物の表面から2次電子を発生させ、前記2次電子を増幅および検出する方法であって、
    (a)CHCHOHを含む画像化ガスを室内に供給することと、
    (b)前記画像化ガスが存在する適当なガス圧下で、前記加工物の表面を、前記加工物の表面から2次電子を放出させるのに十分なエネルギーを有する荷電粒子ビームで走査することと、
    (c)前記2次電子をCHCHOHガス分子に衝突させ、負電荷キャリアを生成させるのに十分な強さを有する電場によって、前記2次電子を加速させることであり、前記負電荷キャリアが、続いて、別のCHCHOHガス分子との複数回の衝突によって追加の負電荷キャリアを生成することができ、その結果、負電荷キャリアの数が元の2次電子の数よりも多くなり、かつ負電荷キャリアの数が元の2次電子の数に比例し、前記電場の強さが、前記CHCHOH中での致命的な放電またはアーク発生を回避するのに十分な弱いものであることと、
    (d)電子およびイオン化されたガス分子に由来する電流を検出し、それによって前記加工物の表面から放出された2次電子の数に比例した信号を検出することと
    を含む方法。
  14. 前記加工物が、有機液体または有機溶媒を含み、前記方法が、検出された前記電流に基づいて画像を生成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記画像が、前記加工物に沿った前記有機液体または有機溶媒の濡れ挙動を示す、請求項14に記載の方法。
  16. 前記加工物の表面を走査する前に、前記室内の前記加工物上でCHCHOHベースの化学蒸着ステップを実施することをさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記加工物の表面を走査中に、前記室内の前記加工物上でCHCHOHベースの化学蒸着ステップを実施することをさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記加工物の表面を走査する前に、前記室内の前記加工物上でCHCHOHベースの触媒反応ステップを実施することをさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記加工物の表面を走査中に、前記室内の前記加工物上でCHCHOHベースの触媒反応ステップを実施することをさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記荷電粒子ビームが、約1キロ電子ボルトから約50キロ電子ボルトまでの範囲内のエネルギーを有する電子ビームである、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ガス圧が、約0.01トルから約10トルまでの範囲内にある、請求項13から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記電場が、50Vから1000Vの間の電位差を含む、請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. CHCHOHを含む画像化ガスを供給することが、CHCHOHとNHとの混合物を供給することを含む、請求項13から22のいずれか一項に記載の方法。
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