JP2002017364A - L−グルタミン酸生産菌及びl−グルタミン酸の製造法 - Google Patents
L−グルタミン酸生産菌及びl−グルタミン酸の製造法Info
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Abstract
タミン酸の製造において、トレハロースの副生を抑制
し、L−グルタミン酸の生産効率を向上させること。 【解決手段】 トレハロース合成能を、例えば、トレハ
ロース−6−リン酸シンターゼをコードする遺伝子、又
はマルトオリゴシルトレハロースシンターゼをコードす
る遺伝子又はこれらの両方の遺伝子を破壊することによ
り低下又は欠失し、かつ、L−グルタミン酸生産能を有
するコリネ型細菌を培地に培養し、同培地中にL−グル
タミン酸を生成、蓄積させ、同培地からL−グルタミン
酸を採取することにより、L−グルタミン酸を製造す
る。
Description
ミン酸生産菌及びそれを用いた発酵法によるL−グルタ
ミン酸の製造法に関する。L−グルタミン酸は、食品、
医薬品等として重要なアミノ酸である。
レビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバ
クテリウム属に属するいわゆるコリネ型L−グルタミン
酸生産菌またはそれらの変異株を用いた発酵法により製
造されている(アミノ酸発酵、学会出版センター、19
5〜215頁、1986年)。
いては、トレハロースが副生することが知られている。
そこで、生成したトレハロースを分解又は代謝させる技
術が開発されている。そのような技術として、トレハロ
ース上での増殖能が誘発されたコリネ型細菌を用いてア
ミノ酸を発酵生産する方法(特開平5-276935)、及び、
トレハロース分解酵素遺伝子が増幅されたコリネ型細菌
を用いてアミノ酸を発酵生産する方法(大韓民国特許公
報(B1)特165836)が知られている。しかし、L−グル
タミン酸生産菌において、トレハロースの生成自体を抑
制することは知られていない。
ースの合成は、トレハロース−6−リン酸シンターゼに
よって触媒される。これらの酵素は、otsA遺伝子によっ
てコードされていることが知られている。また、エシェ
リヒア・コリのotsA遺伝子破壊株は、高浸透圧培地にて
ほとんど生育できなくなることが報告されている(H.M.
Glaever, et al., J. Bacteriol., 170(6), 2841-2849
(1998))が、otsA遺伝子の破壊と物質生産との関係は知
られていない。
レビバクテリウム・ヘルボルムにおいてtreY遺伝子は知
られているが、otsA遺伝子は知られていない。尚、マイ
コバクテリウム属細菌では、トレハロース生合成系酵素
遺伝子として、otsA遺伝子及びtreY遺伝子とは別のtreS
遺伝子によってコードされる産物(トレハロースシンタ
ーゼ(TreS))による反応を経由する経路が知られてい
る(De Smet K. A., et al., Microbiology, 146(1), 1
99-208 (2000))。しかし、この経路はマルトースを基
質としており、グルコース、フルクトース又はシューク
ロースを原料とする通常のL−グルタミン酸発酵には関
連性がない。
は、コリネ型細菌を用いた発酵法によるL−グルタミン
酸の製造において、トレハロースの副生を抑制し、L−
グルタミン酸の生産効率を向上させることにある。
解決するために鋭意検討を行った結果、ブレビバクテリ
ウム属細菌はマイコバクテリウム・ツベルクロシスと同
様にotsA遺伝子及びtreY遺伝子を保持していること、及
び、少なくともこれらの遺伝子の一方を破壊することに
よって、L−グルタミン酸の生産効率が向上することを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、以下のとおりである。
つ、トレハロース合成能が低下又は欠失したコリネ型細
菌。 (2)染色体上のトレハロース合成系酵素遺伝子に変異
が導入又は破壊されたことによりトレハロース合成能が
低下又は欠失した(1)のコリネ型細菌。 (3)トレハロース合成系酵素遺伝子が、トレハロース
−6−リン酸シンターゼをコードする遺伝子、マルトオ
リゴシルトレハロースシンターゼをコードする遺伝子又
はこれらの両方の遺伝子である(2)のコリネ型細菌。 (4)トレハロース−6−リン酸シンターゼをコードす
る遺伝子が配列番号30に記載のアミノ酸配列をコード
し、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼをコード
する遺伝子が配列番号32に記載のアミノ酸配列をコー
ドする(3)のコリネ型細菌。 (5)(1)〜(4)のいずれかのコリネ型細菌を培地
に培養し、同培地中にL−グルタミン酸を生成、蓄積さ
せ、同培地からL−グルタミン酸を採取することを特徴
とするL−グルタミン酸の製造法。
をコードするDNA。 (A)配列番号30に記載のアミノ酸配列を有する蛋白
質。 (B)配列番号30に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加
を含むアミノ酸配列からなり、かつ、トレハロース−6
−リン酸シンターゼ活性を有する蛋白質。 (7)下記(a)又は(b)に示すDNAである(6)
のDNA。 (a)配列番号29に記載の塩基配列のうち、少なくと
も塩基番号484〜1938からなる塩基配列を含むD
NA。 (b)配列番号29に記載の塩基配列のうち、少なくと
も塩基番号484〜1938からなる塩基配列とストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、同塩基配列と
55%以上の相同性を有し、かつ、トレハロース−6−
リン酸シンターゼ活性を有する蛋白質をコードするDN
A。 (8)下記(A)又は(B)に示す蛋白質をコードする
DNA。 (A)配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する蛋白
質。 (B)配列番号32に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加
を含むアミノ酸配列からなり、かつ、マルトオリゴシル
トレハロースシンターゼ活性を有する蛋白質。 (9)下記(a)又は(b)に示すDNAである(8)
のDNA。 (a)配列番号31に記載の塩基配列のうち、塩基番号
82〜2514からなる塩基配列を含むDNA。 (b)配列番号31に記載の塩基配列のうち、塩基番号
82〜2514からなる塩基配列又は同塩基配列から調
製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズし、同塩基配列と60%以上の相同性を有
し、かつ、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼ活
性を有する蛋白質をコードするDNA。
活性とは、UDP−グルコースとグルコース6−リン酸
からα,α−トレハロース6−リン酸とUDPへの反応
を触媒する活性を、マルトオリゴシルトレハロースシン
ターゼ活性とは、マルトペンタオースからマルトトリオ
シルトレハロースの反応を触媒する活性をいう。
本発明のコリネ型細菌は、L−グルタミン酸生産能を有
し、かつ、トレハロース合成能が低下又は欠失したコリ
ネ型細菌である。
ジーズ・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・バク
テリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bac
teriology)第8版599頁(1974)に定義されている一群
の微生物であり、好気性,グラム陽性,非抗酸性,胞子
形成能を有しない桿菌であり、従来ブレビバクテリウム
属に分類されていたが現在コリネバクテリウム属細菌と
して統合された細菌を含み(Int. J. Syst. Bacterio
l., 41, 255 (1981))、またコリネバクテリウム属と非
常に近縁なブレビバクテリウム属細菌及びミクロバテリ
ウム属細菌を含む。L−グルタミン酸の製造に好適に用
いられるコリネ型細菌の菌株としては、例えば以下に示
すものが挙げられる。
ム コリネバクテリウム・アセトグルタミカム コリネバクテリウム・アルカノリティカム コリネバクテリウム・カルナエ コリネバクテリウム・グルタミカム コリネバクテリウム・リリウム(コリネバクテリウム・
グルタミカム) コリネバクテリウム・メラセコーラ コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス コリネバクテリウム・ハーキュリス ブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリ
ウム・グルタミカム) ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・
グルタミカム) ブレビバクテリウム・インマリオフィラム ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバ
クテリウム・グルタミカム) ブレビバクテリウム・ロゼウム ブレビバクテリウム・サッカロリティカム ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(コリネバクテ
リウム・アンモニアゲネス) ブレビバクテリウム・アルバム ブレビバクテリウム・セリヌム ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム
ことができる。 コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム ATCC
13870 コリネバクテリウム・アセトグルタミカム ATCC1
5806 コリネバクテリウム・アルカノリティカム ATCC2
1511 コリネバクテリウム・カルナエ ATCC15991 コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC1302
0、13032、13060 コリネバクテリウム・リリウム(コリネバクテリウム・
グルタミカム) ATCC15990 コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC1796
5 コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス AJ123
40(FERM BP−1539) コリネバクテリウム・ハーキュリス ATCC1386
8 ブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリ
ウム・グルタミカム)ATCC14020 ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・
グルタミカム) ATCC13826、ATCC140
67 ブレビバクテリウム・インマリオフィラム ATCC1
4068 ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(コリネバ
クテリウム・グルタミカム) ATCC13665、A
TCC13869、 ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC13825 ブレビバクテリウム・サッカロリティカム ATCC1
4066 ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC192
40 ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(コリネバクテ
リウム・アンモニアゲネス) ATCC6871 ブレビバクテリウム・アルバム ATCC15111 ブレビバクテリウム・セリヌム ATCC15112 ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム ATCC1
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合成能を低下又は欠失させることは、突然変異処理又は
遺伝子組換え技術を利用して、トレハロース合成系酵素
をコードする遺伝子を変異又は破壊することによって行
うことができる。前記変異は、トレハロース合成系酵素
をコードする遺伝子の転写又は翻訳を妨げる変異であっ
てもよいし、活性の消失又は低下したトレハロース合成
系酵素を産生するような変異であってもよい。トレハロ
ース合成系酵素としては、トレハロース−6−リン酸シ
ンターゼ、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼ、
又はこれらの両方が挙げられる。
子の破壊は、相同組換えを利用した遺伝子置換によって
行うことができる。トレハロース合成系酵素をコードす
る遺伝子の一部を欠失し、トレハロース合成系酵素が正
常に機能しないように改変した遺伝子(欠失型遺伝子)
を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型遺伝
子と染色体上の正常遺伝子との間で組換えを起こさせる
ことにより、染色体上の遺伝子を破壊することができ
る。このような相同組換えによる遺伝子破壊は既に確立
しており、直鎖状もしくはコリネ型細菌中で複製しない
環状のDNAを用いる方法や温度感受性複製開始点を含
むプラスミドを用いる方法などがあるが、コリネ型細菌
中で複製しない環状DNA、もしくは温度感受性複製開
始点を含むプラスミドを用いる方法が好ましい。
子としては、例えば、otsA遺伝子、treY遺伝子又はこれ
らの両方の遺伝が挙げられる。ブレビバクテリウム・ラ
クトファーメンタムのotsA遺伝子及びtreY遺伝子は、本
発明によりそれらの遺伝子及びそれらの隣接領域の塩基
配列が明らかにされたので、同配列に基づいてプライマ
ーを作製し、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
ム染色体DNAを鋳型とするPCR(ポリメラーゼチェ
インリアクション:polymerase chain reaction; Whit
e,T.J. et al., Trends Genet., 5,185 (1989)参照)を
行うことによって、容易に取得することができる。
ム・ラクトファーメンタムのotsA遺伝子を含む塩基配列
及びtreY遺伝子を含む塩基配列を、それぞれ配列番号2
9及び配列番号31に示す。また、これらの塩基配列が
コードし得るアミノ酸配列を、それぞれ配列番号30及
び配列番号32に示す。
るトレハロース−6−リン酸シンターゼ又はマルトオリ
ゴシルトレハロースシンターゼの活性が損なわれない限
り、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ
酸の置換、欠失、挿入又は付加を含む蛋白質をコードす
るものであってもよい。ここで、「数個」とは、アミノ
酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によ
っても異なるが、好ましくは1〜40個、より好ましく
は1〜20個、さらに好ましくは1〜10個である。
ンターゼ又はマルトオリゴシルトレハロースシンターゼ
と実質的に同一の蛋白質をコードするDNAは、例えば
部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基
が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように塩基
配列を改変することによって得られる。また、上記のよ
うな改変されたDNAは、従来知られている変異処理に
よっても取得され得る。変異処理としては、トレハロー
ス−6−リン酸シンターゼ又はマルトオリゴシルトレハ
ロースシンターゼをコードするDNAをヒドロキシルア
ミン等でインビトロ処理する方法、及びトレハロース−
6−リン酸シンターゼ又はマルトオリゴシルトレハロー
スシンターゼをコードするDNAを保持する微生物、例
えばエシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチ
ル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしく
は亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によ
って処理する方法が挙げられる。
入、付加、又は逆位等には、トレハロース−6−リン酸
シンターゼ又はマルトオリゴシルトレハロースシンター
ゼを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場
合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)も含
まれる。
な細胞で発現させ、発現産物のトレハロース−6−リン
酸シンターゼ活性又はマルトオリゴシルトレハロースシ
ンターゼ活性を調べることにより、トレハロース−6−
リン酸シンターゼ又はマルトオリゴシルトレハロースシ
ンターゼと実質的に同一のタンパク質をコードするDN
Aが得られる。
ン酸シンターゼをコードするDNAまたはこれを保持す
る細胞から、例えば配列番号29に記載の塩基配列のう
ち、塩基番号484〜1938からなる塩基配列を有す
るDNA、またはこの塩基配列から調製され得るプロー
ブと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
同塩基配列と55%以上、好ましくは65%以上、より
好ましくは75%以上の相同性を有し、かつ、トレハロ
ース−6−リン酸シンターゼ活性を有するタンパク質を
コードするDNAを単離することによっても、トレハロ
ース−6−リン酸シンターゼと実質的に同一のタンパク
質をコードするDNAが得られる。同様に、変異を有す
るマルトオリゴシルトレハロースシンターゼをコードす
るDNAまたはこれを保持する細胞から、例えば配列番
号31に記載の塩基配列のうち、塩基番号82〜251
4からなる塩基配列、またはこの塩基配列から調製され
得るプローブと、ストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、同塩基配列と60%以上、好ましくは70%
以上、より好ましくは80%以上の相同性を有し、か
つ、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼ活性を有
するタンパク質をコードするDNAを単離することによ
っても、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼと実
質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得られ
る。
は、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異
的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件
を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せ
ば、相同性が高いDNA同士、例えば55%以上、好ま
しくは60%の相同性を有するDNA同士がハイブリダ
イズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダ
イズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼ
ーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.
1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%S
DSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げ
られる。
用いることもできる。そのようなプローブは、各遺伝子
の塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプ
ライマーとし、各遺伝子を含むDNA断片を鋳型とする
PCR反応によって作製することができる。プローブと
して、300bp程度の長さのDNA断片を用いる場合
には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件は、50
℃、2×SSC、0.1% SDSが挙げられる。
子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活
性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、そ
れらについては、市販の活性発現ベクターにつなぎ、ト
レハロース−6−リン酸シンターゼ活性又はマルトオリ
ゴシルトレハロースシンターゼ活性を測定することによ
って容易に取り除くことができる。
型細菌の染色体上のこれらの遺伝子の破壊に用いる場合
は、コードされるトレハロース−6−リン酸シンターゼ
又はマルトオリゴシルトレハロースシンターゼが活性を
有する必要はない。また、遺伝子破壊に用いるotsA遺伝
子又はtreY遺伝子は、コリネ型細菌のこれらの遺伝子と
の相同組換えが可能である限り、他の微生物に由来する
遺伝子であってもよい。例えば、エシェリヒア属細菌又
はマイコバクテリウム属細菌のotsA遺伝子、アースロバ
クター属細菌、ブレビバクテリウム・ヘルボルム、又は
リゾビウム属細菌のtreY遺伝子が挙げられる。
の一部を含むDNA断片から、一定の領域を制限酵素に
より切り出し、コード領域又はプロモーター等の発現調
節配列の少なくとも一部を欠失させることによって、欠
失型遺伝子を作製することができる。
したプライマーを用いてPCRを行うことによっても、
欠失型遺伝子を取得することができる。さらに、欠失型
遺伝子は、一塩基変異、例えばフレームシフト変異によ
るものであってもよい。
説明するが、treY遺伝子の遺伝子破壊も同様にして行う
ことができる。欠失型otsA遺伝子を、宿主染色体上のot
sA遺伝子と置換するには以下のようにすればよい。すな
わち、コリネ型細菌中で自律複製できないプラスミド
に、欠失型otsA遺伝子と、カナマイシン、クロラムフェ
ニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン等の
薬剤に耐性を示すマーカー遺伝子とを挿入して、組換え
DNAを調製し、この組換えDNAでコリネ型細菌を形
質転換し、形質転換株を薬剤を含む培地で培養すること
により、組換えDNAが染色体DNAに組み込まれた形
質転換株が得られる。また、プラスミドとして、温度感
受性プラスミドを用い、形質転換株を温度感受性プラス
ミドが複製できない温度で培養してもよい。
組み込まれた株は、染色体上にもともと存在するotsA遺
伝子配列との組換えを起こし、染色体otsA遺伝子と欠失
型otsA遺伝子との融合遺伝子2個が組換えDNAの他の
部分(ベクター部分及び薬剤耐性マーカー)を挟んだ状
態で染色体に挿入されている。
のみを残すために、2個のotsA遺伝子の組換えにより1
コピーのotsA遺伝子を、ベクター部分(薬剤耐性マーカ
ーを含む)とともに染色体DNAから脱落させる。その
際、正常なotsA遺伝子が染色体DNA上に残され、欠失
型otsA遺伝子が切り出される場合と、反対に欠失型otsA
遺伝子が染色体DNA上に残され、正常なotsA遺伝子が
切り出される場合がある。いずれの遺伝子が染色体DN
A上に残されたかは、染色体上のotsA遺伝子の構造をPC
R又はハイブリダイゼーション等で調べることによっ
て、確認することができる。
ース合成能が低下又は欠失したことに加えて、L−グル
タミン酸生合成を触媒する酵素の活性が増強されていて
もよい。このようなL−グルタミン酸生合成を触媒する
酵素としては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、グルタ
ミンシンテターゼ、グルタミン酸シンターゼ、イソクエ
ン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、ク
エン酸シンターゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、ホス
ホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、ホスホエノー
ルピルビン酸シンターゼ、エノラーゼ、ホスホグリセロ
ムターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、グリセルアル
デヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン
酸イソメラーゼ、フルトースビスリン酸アルドラーゼ、
ホスホフルクトキナーゼ、グルコースリン酸イソメラー
ゼ等がある。
−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミ
ン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性
が低下あるいは欠損されていてもよい。このような酵素
としては、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、イソ
クエン酸リアーゼ、リン酸アセチルトランスフェラー
ゼ、酢酸キナーゼ、アセトヒドロキシ酸シンターゼ、ア
セト乳酸シンターゼ、ギ酸アセチルトランスフェラー
ゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、L−グルタミン酸デカルボ
キシラーゼ、1−ピロリン酸デヒドロゲナーゼ等が挙げ
られる。
コリネ型細菌に、界面活性剤等のビオチン作用抑制物質
に対する温度感受性変異を付与することにより、過剰量
のビオチンを含有する培地中にてビオチン作用抑制物質
の非存在下でL−グルタミン酸を生産させることができ
る(WO96/06180号参照)。このようなコリネ型細菌とし
ては、WO96/06180号に記載されているブレビバクテリウ
ム・ラクトファーメンタムAJ13029が挙げられる。AJ130
29株は、1994年9月2日付けで工業技術院生命工学工業技
術研究所に、受託番号FERM P-14501として寄託され、19
95年8月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管さ
れ、受託番号FERM BP-5189が付与されている。
レハロース合成能が低下又は欠失したコリネ型細菌を好
適な培地で培養すれば、L−グルタミン酸が培地に蓄積
する。L−グルタミン酸を製造するのに用いる培地は、
炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有
機微量栄養素を含有する通常の培地である。炭素源とし
ては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラク
トース、シュクロース、マルトース、廃糖蜜、澱粉加水
分解物などの炭水化物、エタノールやイノシトールなど
のアルコール類、酢酸、フマール酸、クエン酸、コハク
酸等の有機酸類を用いることができる。
アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、アンモ
ニア、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、酵母エキス、
コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物などの有
機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いること
ができる。
酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添
加される。有機微量栄養素としては、ビタミンB1など
の要求物質または酵母エキス等を必要に応じ適量含有さ
せることが望ましい。
る好気的条件下で16〜72時間実施するのがよく、培
養温度は30℃〜45℃に、培養中pHは5〜9に制御
する。尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるい
はアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用するこ
とができる。
例えばイオン交換樹脂法、晶析法等によることができ
る。具体的には、L−グルタミン酸を陰イオン交換樹脂
により吸着、分離させるか、または中和晶析させればよ
い。
説明する。
タムのotsA遺伝子破壊株の構築 <1>otsA遺伝子のクローニング ブレビバクテリウムラクトファーメンタムのotsA遺伝子
は知られていないため、他の微生物のotsA遺伝子の塩基
配列を利用して、その取得を行った。これまでに、エシ
ェリヒア属、マイコバクテリウム属のotsA遺伝子は全塩
基配列が明らかにされている(Kaasen, I., et al., Ge
ne, 145(1), 9-15 (1994); De Smet K.A., et al., Mic
robiology, 146(1), 199-208 (2000))。そこでまず、
これらの塩基配列から推定されるアミノ酸配列を参考に
して、PCR法のためのDNAプライマーP1(配列番号1)、
P2(配列番号2)を合成した。DNAプライマーP1、P2
は、それぞれエシェリヒア・コリのotsA遺伝子の塩基配
列(GenBank accession X69160)における塩基番号1894
から1913番目、2531から2549番目の位置に相当する。一
方、マイコバクテリウム・ツベルクロシスのotsA遺伝子
(GenBank accessionZ95390)においては、塩基番号404
99〜40518、41166〜41184の位置に相当する。
バクテリウム・ラクトファーメンタム ATCC13869の染色
体DNAを鋳型として、94℃ 0.5分、50℃ 0.5分、72℃ 4
分の反応30サイクルのPCRを行った。その結果、およそ
0.6Kbpのほぼ単一の増幅断片を取得した。この増幅断片
を、Invitrogen社製の「Original TA cloning Kit」を
用いて、プラスミドベクターpCR2.1にクローニングし、
pCotsAを得た。続いて、クローニング断片の塩基配列を
決定した。
分断片の塩基配列をもとに、新たにDNAプライマーP10
(配列番号8)、P12(配列番号10)を合成し、「inv
erse PCR」(Triglia, T. et al., Nucleic Acids Res.,
16, 81-86 (1988), Ochman, H., et al., Genetics, 1
20, 621-623 (1988))により、前記部分断片に隣接する
未知領域を増幅した。ブレビバクテリウム・ラクトファ
ーメンタム ATCC13869の染色体DNAを制限酵素BamHI, Bg
lII, ClaI, HindIII, KpnI, MluI, MunL, SalI,XhoIに
より切断後、T4 DNAリガーゼ(宝酒造(株)製)を用い
て分子内結合させたものを鋳型として、DNAプライマーP
10、P12を用いて、94℃ 0.5分、55℃ 1分、72℃ 4分の
反応30サイクルのPCRを行った。その結果、制限酵素と
してClaIおよびBglIIを使用した場合に、それぞれ4Kb
p、4Kbpの増幅断片を得た。この増幅断片を、DNAプライ
マーP5〜9(配列番号3〜7)、P11〜15(配列番号9〜
13)を用いて直接塩基配列を決定し、配列番号29に
示すようなブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム
ATCC13869のotsA遺伝子の全塩基配列を決定した。同塩
基配列によってコードされるアミノ酸配列を、配列番号
29及び30に示す。
ア・コリのotsA遺伝子(GenBank accession X69160)、
及びマイコバクテリウム・ツベルクロシスのotsA遺伝子
(GenBank accession Z95390)の配列との相同性を調べ
たところ、塩基配列では各々46.3%、55.9%であり、アミ
ノ酸配列では各々30.9%、51.7%であった。尚、相同性の
算出は、プログラムとしてLipman-Person法(Science,
227, 1435-1441 (1985)を用い、ソフトウェア「GENETIX
-WIN」(ソフトウェア開発(株))を用いて行った。
よる、L−グルタミン酸生産性向上効果の有無を検討す
るために、otsA遺伝子破壊プラスミドの作製を行った。
otsA遺伝子破壊用プラスミドの作製は、以下のようにし
て行った。先のotsA遺伝子のクローニングの際に構築し
たプラスミドpCotsAを鋳型として、ClaIサイトを挿入し
たプライマーP29(配列番号33)とP30(配列番号3
4)を用いて、94℃ 0.5分、55℃ 0.5分、72℃ 8分の反
応30サイクルのPCRを行った。増幅断片をClaIで処理
し、T4 DNAポリメラーゼ(宝酒造(株)製)を用いて平
滑末端処理を行った後、T4 DNAリガーゼ(宝酒造(株)
製)を用いて分子内結合させ、otsA遺伝子のほぼ中央部
にフレームシフト変異(配列番号29において1258〜13
00番目の塩基が欠失)が導入されたプラスミドpCotsAC
を構築した。
ミン酸生産菌ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
ム ATCC13869を電気パルス法により形質転換し、カナマ
イシンを20mg/L含有したCM2B培地にて生育できることを
指標に、形質転換体を取得した。このotsA遺伝子破壊用
プラスミドpCotsACは、ブレビバクテリウム・ラクトフ
ァーメンタム中で機能する複製起点を有さないため、同
プラスミドによって得られる形質転換体はブレビバクテ
リウム・ラクトファーメンタム染色体上のotsA遺伝子
と、遺伝子破壊用プラスミドpCotsACとが相同組換えを
起こしたものである。こうして得られた相同組換え株よ
り、再度相同組換えを起こしたことによって、遺伝子破
壊用プラスミドpCotsACのベクター部分が除去された株
を、カナマイシンに対して感受性となったことを指標に
取得した。
的のフレームシフト変異が導入された株を選択した。こ
のような菌株の選択は、カナマイシン感受性となった菌
株より抽出した染色体DNAを鋳型として、DNAプライマー
P8(配列番号14)とP13(配列番号11)を用いて、9
4℃ 0.5分、55℃ 0.5分、72℃ 1分の反応30サイクルのP
CRを行い、得られた増幅断片をDNAプライマーP8を用い
て塩基配列の決定を行い、フレームシフト変異が導入さ
れ、otsA遺伝子が機能しなくなっていることを確認する
ことによって行った。以上のようにして得られた菌株
を、ΔOA株と命名した。
子は知られていないために、他の微生物のtreY遺伝子の
塩基配列を利用して、その取得を行った。これまでに、
アースロバクター属、ブレビバクテリウム属、リゾビウ
ム属のtreY遺伝子は塩基配列が明らかにされている(Ma
ruta, K., et al., Biochim. Biophys.Acta, 1289(1),
10-13 (1996); Genbank accession AF039919; Maruta,
K., etal., Biosci. Biotechnol. Biochem., 60(4), 71
7-720 (1996))。そこでまず、これらの塩基配列から推
定されるアミノ酸配列を参考にしてPCR法のためのDNAプ
ライマーP3(配列番号14)、P4(配列番号15)を合
成した。DNAプライマーP3、P4はそれぞれアースロバク
ター・スピーシーズのtreY遺伝子(GenBank accession
D63343)の塩基配列における塩基番号975〜992、2565〜
2584の位置に相当する。また、ブレビバクテリウム・ヘ
ルボルムのtreY遺伝子(GenBank accession AF039919)
の塩基配列においては、塩基番号893〜910、2486〜2505
の位置に相当する。一方、リゾビウム・スピーシーズの
treY遺伝子(GenBank accession D78001)の塩基配列に
おいては、塩基番号862〜879、2452〜2471の位置に相当
する。
バクテリウム・ラクトファーメンタム ATCC13869の染色
体DNAを鋳型として、94℃ 0.5分、55℃ 0.5分、72℃ 2
分の反応30サイクルのPCRを行った。その結果、およそ
1.6Kbpのほぼ単一の増幅断片を取得した。この増幅断片
をInvitrogen社製の「Oriinal TA cloning Kit」を用い
てプラスミドベクターpCR2.1にクローニングし、続いて
約0.6Kbの塩基配列を決定した。
分断片の塩基配列をもとに、新たにDNAプライマーP16
(配列番号16)、P26(配列番号26)を合成し、「i
nversePCR」(Triglia, T., et al. Nucleic Acids Re
s.,16,81-86(1988)、Ochman,H.,et al., Genetics,120,
621-623(1988))により、前記部分断片に隣接する未知領
域を増幅した。ブレビバクテリウム・ラクトファーメン
タム ATCC13869の染色体を制限酵素BamHI, HindIII, S
alI, XhoIにより切断後、T4 DNAリガーゼ(宝酒造
(株)製)を用いて分子内結合させたものを鋳型とし
て、DNAプライマーP16、P26を用いて、94℃ 0.5分、55
℃ 1分、72℃ 4分の反応30サイクルのPCRを行った。そ
の結果、制限酵素としてHindIIIおよびSalIを使用した
場合に、それぞれ0.6Kbp、1.5Kbpの増幅断片を得た。こ
の増幅断片をDNAプライマーP16〜28(配列番号16〜2
8)を用いて直接塩基配列を決定し、配列番号31に示
すようなブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム A
TCC13869のtreY遺伝子の全塩基配列を決定した。同塩基
配列によってコードされるアミノ酸配列を、配列番号3
1及び32に示す。
クター・スピーシーズのtreY遺伝子(GenBank accessio
n D63343)、ブレビバクテリウム・ヘルボルムのtreY遺
伝子(GenBank accession AF039919)、及びリゾビウム
・スピーシーズのtreY遺伝子(GenBank accession D780
01)の配列との相同性を調べたところ、塩基配列では各
々52.0%、52.3%、51.9%であり、アミノ酸配列では各々4
0.9%、38.5%、39.8%であった。尚、相同性の算出は、プ
ログラムとしてLipman-Person法(Science, 227, 1435-
1441 (1985)を用い、ソフトウェア「GENETIX-WIN」(ソ
フトウェア開発(株))を用いて行った。
よる、L−グルタミン酸生産性向上効果の有無を検討す
るために、treY遺伝子破壊プラスミドの作製を行った。
まず、DNAプライマーP17(配列番号17)とP25(配列
番号25)を用いて、ATCC13869の染色体DNAを鋳型にし
て、94℃ 0.5分、60℃ 0.5分、72℃ 2分の反応30サイク
ルのPCRを行った。増幅断片をEcoRIで消化し、EcoRIで
処理したpHSG299(宝酒造(株)製)とT4 DNAリガーゼ
(宝酒造(株)製)を用いて結合させ、プラスミドpHtr
eYを取得した。さらに、このpHtreYをAflII(宝酒造
(株)製)で処理し、T4 DNAポリメラーゼ(宝酒造(株)
製)を用いて平滑末端処理を行った後、T4 DNAリガーゼ
(宝酒造(株)製)を用いて分子内結合させ、treY遺伝
子のほぼ中央部にフレームシフト変異(配列番号31に
おいて1145番目の後ろに4塩基挿入)が導入されたプラ
スミドpHtreYAを構築した。
ミン酸生産菌ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
ム ATCC13869を電気パルス法により形質転換し、カナ
マイシンを20mg/L含有したCM2B培地にて生育できること
を指標に、形質転換体を取得した。このtreY遺伝子破壊
用プラスミドpCtreYAは、ブレビバクテリウム・ラクト
ファーメンタム中で機能する複製起点を有さないため、
同プラスミドによって得られる形質転換体はブレビバク
テリウム・ラクトファーメンタム染色体上のtreY遺伝子
と、遺伝子破壊用プラスミドpCtreYAとが相同組換えを
起こしたものである。こうして得られた相同組換え株よ
り、再度相同組換えを起こしたことによって、遺伝子破
壊用プラスミドpCtreYAのベクター部分が除去された株
を、カナマイシンに対して感受性となったことを指標に
取得した。
的のフレームシフト変異が導入された株を選択した。こ
のような菌株の選択は、DNAプライマーP19(配列番号1
9)とP25(配列番号25)を用いて、94℃ 0.5分、55
℃ 0.5分、72℃ 1.5分の反応30サイクルのPCRを行い、
得られた断片をDNAプライマーP21またはP23を用いて塩
基配列の決定を行い、フレームシフト変異が導入され、
treY遺伝子が機能しなくなっていることを確認すること
によって行った。以上のようにして得られた菌株を、Δ
TA株と命名した。
能の評価 ATCC13869株、ΔOA株及びΔTA株のL−グルタミン酸の
生産培養を、以下の様に行った。これらの菌株をCM2Bプ
レート培地にて培養してリフレッシュを行い、リフレッ
シュされた各菌株を、グルコース 80g、KH2PO4 1g、M
gSO4 0.4g、(NH4)2SO4 30g、FeSO4・7H2O 0.01g、MnS
O4・7H2O 0.01g、大豆加水分解液 15ml、サイアミン塩
酸塩 200μg、ビオチン 3μg、及びCaCO3 50gを純水
1L中に含む培地(KOHを用いてpHは8.0に調整されてい
る)において、31.5℃にて培養した。培養後に培地中の
L−グルタミン酸の蓄積量、及び51倍希釈した培養液の
620nmにおける吸光度を測定した結果を、表1に示す。
ビバクテリウム・ラクトファーメンタムは、親株と同程
度の生育を示す一方、L−グルタミン酸生産量は親株に
比べて増大した。
発酵法によるL−グルタミン酸の製造において、トレハ
ロースの副生を抑制し、L−グルタミン酸の生産効率を
向上させることができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 L−グルタミン酸生産能を有し、かつ、
トレハロース合成能が低下又は欠失したコリネ型細菌。 - 【請求項2】 染色体上のトレハロース合成系酵素遺伝
子に変異が導入又は破壊されたことによりトレハロース
合成能が低下又は欠失した請求項1記載のコリネ型細
菌。 - 【請求項3】 トレハロース合成系酵素遺伝子が、トレ
ハロース−6−リン酸シンターゼをコードする遺伝子、
マルトオリゴシルトレハロースシンターゼをコードする
遺伝子又はこれらの両方の遺伝子である請求項2記載の
コリネ型細菌。 - 【請求項4】 トレハロース−6−リン酸シンターゼを
コードする遺伝子が配列番号30に記載のアミノ酸配列
をコードし、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼ
をコードする遺伝子が配列番号32に記載のアミノ酸配
列をコードする請求項3記載のコリネ型細菌。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のコ
リネ型細菌を培地に培養し、同培地中にL−グルタミン
酸を生成、蓄積させ、同培地からL−グルタミン酸を採
取することを特徴とするL−グルタミン酸の製造法。 - 【請求項6】 下記(A)又は(B)に示す蛋白質をコ
ードするDNA。 (A)配列番号30に記載のアミノ酸配列を有する蛋白
質。 (B)配列番号30に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加
を含むアミノ酸配列からなり、かつ、トレハロース−6
−リン酸シンターゼ活性を有する蛋白質。 - 【請求項7】 下記(a)又は(b)に示すDNAであ
る請求項6記載のDNA。 (a)配列番号29に記載の塩基配列のうち、少なくと
も塩基番号484〜1938からなる塩基配列を含むD
NA。 (b)配列番号29に記載の塩基配列のうち、少なくと
も塩基番号484〜1938からなる塩基配列とストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、同塩基配列と
55%以上の相同性を有し、かつ、トレハロース−6−
リン酸シンターゼ活性を有する蛋白質をコードするDN
A。 - 【請求項8】 下記(A)又は(B)に示す蛋白質をコ
ードするDNA。 (A)配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する蛋白
質。 (B)配列番号32に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加
を含むアミノ酸配列からなり、かつ、マルトオリゴシル
トレハロースシンターゼ活性を有する蛋白質。 - 【請求項9】 下記(a)又は(b)に示すDNAであ
る請求項8記載のDNA。 (a)配列番号31に記載の塩基配列のうち、塩基番号
82〜2514からなる塩基配列を含むDNA。 (b)配列番号31に記載の塩基配列のうち、塩基番号
82〜2514からなる塩基配列又は同塩基配列から調
製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズし、同塩基配列と60%以上の相同性を有
し、かつ、マルトオリゴシルトレハロースシンターゼ活
性を有する蛋白質をコードするDNA。
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