JP2007175016A - L−グルタミン酸生産菌及びl−グルタミン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】L-グルタミン酸を効率よく生産する。
【解決手段】L−グルタミン酸の生産能を有するコリネ型細菌であって、アシル-CoA合成酵素の活性が低下するように改変されたコリネ型細菌を培地で培養することによってL-グルタミン酸を生産する。
【選択図】図3

Description

本発明は、発酵工業に関し、コリネ型細菌を利用した発酵法によりL−グルタミン酸を効率よく製造する方法に関する。
従来、L−グルタミン酸は、L−グルタミン酸生産能を有するブレビバクテリウム属やコリネバクテリウム属に属するコリネ型細菌を用いて発酵法により工業生産されている。これらのコリネ型細菌は、生産性を向上させるために、自然界から分離した菌株または該菌株の人工変異株が用いられている。
コリネ型細菌の野生株は、ビオチンが生育に必要であるにもかかわらず、一般的にビオチンが過剰量存在している条件ではL−グルタミン酸を生成しない。従って、従来のL−グルタミン酸の製造法においては、ビオチン濃度を制限した培地で培養するか、あるいはビオチンを充分量含有する培地を用いる場合には、培養の初発または途上でビオチン作用抑制物質として界面活性剤またはラクタム系抗生物質を培地に含有させて培養するかのいずれかの方法が採用されている。しかしながら、特に培地の炭素源として廃糖蜜等の安価ではあるが過剰量のビオチンを含有する原料を使用する場合、培地に添加することが必要なビオチン作用抑制物質が製造コスト高の原因となっていた。(非特許文献1)。
これに対し、コリネバクテリウム属細菌に由来し、該細菌に界面活性剤に対する耐性を付与するタンパク質(DTSR蛋白)をコードする遺伝子(dtsR遺伝子)の存在が突き止められ、この遺伝子が破壊されたコリネ型L−グルタミン酸生産菌は、野生株がほとんどL−グルタミン酸を生成しない量のビオチンが存在する条件においても著量のL−グルタミン酸を生成すること、及び、L−リジン生産能を有するコリネ型L−グルタミン酸生産菌は、dtsR遺伝子を増幅するとL−リジンを生産する能力が増強されることが明らかになっている(特許文献1)。
また、コリネ型L−グルタミン酸生産菌に、ビオチン作用抑制物質に対する温度感受性を付与することにより、ビオチン存在下でも安定してL−グルタミン酸を発酵生産することができること、及び、このようなビオチン作用抑制物質に対する温度感受性株にL−リジン生産性を付与することにより、ビオチン存在下でも、安定してL−リジンとL−グルタミン酸を同時に発酵生産することができることを見出した。(特許文献2)そして、コリネ型細菌にビオチン作用抑制物質に対する温度感受性を付与する手段の一つとして、温度感受性変異型DTSR蛋白をコードする変異型dtsR遺伝子を用いた遺伝子置換を開示している(特許文献3)。
一方、コリネ型細菌でアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子として、fadDが知られていた。(非特許文献1及び2)しかし、fadD破壊によるL−グルタミン酸生産への効果は知られていなかった。
国際公開第95/23224号パンフレット 特開平08-806180号公報 国際公開第96/06180号パンフレット Appl. Microbiol. Biotechnol. 62 (2−3), 99−109 (2003) Appl. Microbiol. Biotechnol. 58:89-96 (2002)
本発明は、L−グルタミン酸を生産する能力が向上したコリネ型細菌を提供すること、及び該細菌を用いて上記L−グルタミン酸を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、アシル-CoA合成酵素の活性を低下させたコリネ型細菌がL-グルタミン酸を高生産することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)L−グルタミン酸の生産能を有するコリネ型細菌であって、アシル-CoA合成酵素の活性が低下するように改変されたコリネ型細菌。
(2)染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子のコード領域内またはその発現制御領域に変異が導入されたことによりアシル-CoA合成酵素の活性が低下した(1)のコリネ型細菌。
(3)染色体上の染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子が破壊された(1)のコリネ型細菌。
(4)上記アシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子が、(a)又は(b)に示すDNAである(2)のコリネ型細菌:
(a)配列番号7、9、19、21、23、25、28から選択される塩基配列を含むDNA、
(b)配列番号7、9、19、21、23、25、28から選択される塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシル-CoA合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(5)(1)〜(4)のいずれかのコリネ型細菌を培地中で培養し、L−グルタミン酸を生成・蓄積させ、該L−グルタミン酸を採取することを特徴とする、L−グルタミン酸の製造法。
本発明によれば、コリネ型細菌を用いた発酵法によるL−グルタミン酸の生産法において、L−グルタミン酸の発酵収率を向上させることが出来る。また、本発明は、上記L−グルタミン酸の生産菌の育種に利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する
<1>本発明のコリネ型細菌
本発明において、「コリネ型細菌」とは、従来ブレビバクテリウム属に分類されていたが、現在コリネバクテリウム属に分類されている細菌も含み(Int. J. Syst. Bacteriol., 41, 255(1991))、またコリネバクテリウム属と非常に近縁なブレビバクテリウム属細菌を含む。このようなコリネ型細菌の例として以下のものが挙げられる。
コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム
コリネバクテリウム・アルカノリティカム
コリネバクテリウム・カルナエ
コリネバクテリウム・グルタミカム
コリネバクテリウム・リリウム
コリネバクテリウム・メラセコーラ
コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(コリネバクテリウム・エフィシェンス)
コリネバクテリウム・ハーキュリス
ブレビバクテリウム・ディバリカタム
ブレビバクテリウム・フラバム
ブレビバクテリウム・インマリオフィラム
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)
ブレビバクテリウム・ロゼウム
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス
ブレビバクテリウム・アルバム
ブレビバクテリウム・セリヌム
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム
本発明において、「L−グルタミン酸生産能」とは、本発明のコリネ型細菌を培養したときに、培地中に上記L−グルタミン酸を蓄積する能力をいう。このL−グルタミン酸生産能は、コリネ型細菌の野生株の性質として有するものであってもよく、育種によって付与される性質であってもよい。さらに、後述するようにしてアシル-CoA合成酵素活性が低下するように改変することによって、L−グルタミン酸生産能が付与されたものであってもよい。
育種によってL−グルタミン酸生産能を付与するには、代謝制御変異株の取得、目的物質の生合成系酵素が増強された組換え株の創製等、従来、コリネ型細菌の育種に採用されてきた方法を適用することが出来る(アミノ酸発酵、(株)学会出版センター、1986年5月30日初版発行、第77〜100頁参照)。これらの方法において、付与される代謝制御変異や目的物質生合成系酵素の増強等の性質は、単独でもよく、2種又は3種以上であってもよい。代謝制御変異等の性質の付与と、生合成系酵素の増強が組み合わされてもよい。
以下、L−グルタミン酸の生産能を付与する方法について述べる。育種によってL−グルタミン酸生産能を付与するための方法としては、例えば、L−グルタミン酸生合成に関与する酵素をコードする遺伝子の活性が増強するように改変する方法を挙げることができる。L−グルタミン酸生合成に関与する酵素としては、例えば、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、グルタミンシンテターゼ、グルタミン酸シンターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、クエン酸シンターゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ、エノラーゼ、ホスホグリセルムターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、フルクトースビスリン酸アルドラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼなどが挙げられる。
これらの遺伝子の活性を増強するための方法としては、これらの遺伝子を含むDNA断片を、適当なプラスミド、例えばコリネ型細菌内でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むプラスミドベクターに導入した増幅プラスミドを導入すること、または、これらの遺伝子を染色体上で接合、転移等により多コピー化すること、またこれらの遺伝子のプロモーター領域に変異を導入することやプロモーターをより強力なプロモーターに置換することにより達成することもできる。(国際公開パンフレットWO00/18935号参照)
上記増幅プラスミドまたは染色体上で遺伝子を多コピー化させる場合、これらの遺伝子を発現させるためのプロモーターはコリネ型細菌において機能するものであればいかなる
プロモーターであっても良く、用いる遺伝子自身のプロモーターであってもよい。またプロモーターを適宜選択することによっても、遺伝子の発現量の調節が可能である。以上のような方法により、クエン酸シンターゼ遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ遺伝子、及び/又はグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、イソクエン酸デヒドロゲナーゼの発現が増強するように改変されたコリネ型細菌としては、国際公開第WO00/18935号パンフレット、欧州特許出願公開1010755号明細書に記載された微生物が例示できる。
また、L−グルタミン酸生産能を付与するための改変は、L−グルタミン酸の生合成経路から分岐して他の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性を低下または欠損させることにより行ってもよい。L−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素としては、イソクエン酸リアーゼ、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、リン酸アセチルトランスフェラーゼ、酢酸キナーゼ、アセトヒドロキシ酸シンターゼ、アセト乳酸シンターゼ、ギ酸アセチルトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、1−ピロリンデヒドロゲナーゼなどが挙げられる。
また、L-グルタミン酸生産能を付与する為の改変は、yggBの遺伝子の発現量を上昇させること、またyggB遺伝子のコード内に変異を導入することにより、L-グルタミン酸生産能を付与したものでもよい。(yggBの遺伝子配列NCgl 1221;NP_600492. Reports small-conductance...[gi:19552490])
上記のような酵素の活性を低下または欠損させるには、通常の変異処理法によって、染色体上の上記酵素の遺伝子に、細胞中の当該酵素の活性が低下または欠損するような変異を導入すればよい。例えば、遺伝子組換えによって、染色体上の酵素をコードする遺伝子を欠損させたり、プロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列、オペレーター、ターミネーター、アテニュエーター等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。また、染色体上の酵素をコードする領域にアミノ酸置換(ミスセンス変異)を導入すること、また終始コドンを導入すること(ナンセンス変異)、一〜二塩基付加・欠失するフレームシフト変異を導入すること、遺伝子の一部分あるいは全部分を欠失させることによっても達成出来る。(Journal of biological Chemistry 272:8611−8617(1997))また、コード領域が欠失したような変異酵素をコードする遺伝子を構築し、相同組換えなどによって、該遺伝子で染色体上の正常遺伝子を置換することによっても酵素活性を低下または欠損させることができる。
以上のような方法により、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性が低下したコリネ型細菌としては、特開平07−834672, 特開平06−237779、特開平01−296994号公報等に記載された下記のような菌株が挙げられる。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムΔS株(国際公開95/34672号パンフレット)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12821(FERMBP−4172;フランス特許公報9401748号明細書参照)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ12822 (FERMBP−4173;フランス特許公報9401748号明細書参照)
コリネバクテリウム・グルタミカムAJ12823(FERMBP−4174;フランス特許公報9401748号明細書参照)
L−グルタミン酸生産能を付与または増強する別の方法として、有機酸アナログや呼吸阻害剤などへの耐性を付与する方法や細胞壁合成阻害剤に対する感受性を付与する方法も挙げられる。例えば、モノフルオロ酢酸に耐性を付与する方法(特開昭50-113209)、アデニン耐性またはチミン耐性を付与する方法(特開昭57-065198)、ウレアーゼを弱化させる方法(特開昭52-038088)、マロン酸に耐性を付与する方法(特開昭52-038088)ベン
ゾピロンまたはナフトキノン類に耐性を付与する方法(特開昭56−1889)、HOQNO耐性を付与する方法(特開昭56−140895)、α−ケトマロン酸耐性を付与する方法(特開昭57−2689)、グアニジン耐性を付与する方法(特開昭56−35981)、ペニシリンに対する感受性を付与する方法(特開平4−88994)などが挙げられる。
このような耐性菌の具体例としては、下記のような菌株が挙げられる。
ブレビバクテリウム・フラバムAJ3949 (BP-2632:特開昭50-113209参照)
コリネバクテリウム・グルタミカムAJ11628 (P-5736;特開昭57-065198参照)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11355(FERM P−5007;特開昭56−1889号公報参照)コリネバクテリウム・グルタミカムAJ11368(FERM P−5020;特開昭56−1889号公報参照)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11217(FERM P−4318;特開昭57−2689号公報参照)
コリネバクテリウム・グルタミカムAJ11218(FERM−P4319;特開昭57−2689号公報参照)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11564(FERM P−5472;特開昭56−140895公報参照)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11439(FERM P−5136;特開昭56−35981号公報参照)
コリネバクテリウム・グルタミカムH7684(FERM BP−3004;特開平04−88994号公報参照)
尚、本発明のコリネ型細菌を取得するために用いられる親株は、ビオチン制限、界面活性剤添加、ペニシリン添加等のL−グルタミン酸生産を誘導する条件(以下便宜的にL−グルタミン酸生産条件という)で、L−グルタミン酸を生産するコリネ型細菌でもよい。L−グルタミン酸生産条件とは、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する培地に、L−グルタミン酸生産を誘導する物質を添加したり、あるいはL−グルタミン酸生産を阻害する物質の培地中の量を制限した条件を意味し、L−グルタミン酸生産を誘導するために添加する物質には、ペニシリンGやTween40、60等の飽和脂肪酸を含む界面活性剤が挙げられ、L−グルタミン生産を阻害するために制限する物質とはビオチンが挙げられる。(アミノ酸発酵 学会出版センター
1986年)
ここで、L−グルタミン酸生産条件でのこれらの物質の培地中の含有濃度は、ビオチンは、30μg/L以下、好ましくは、20μg/L以下、さらに好ましくは、10μg/L以下であり、培地中にビオチンを全く含まなくてもよい。ペニシリンの培地中の添加濃度は、0.1U/ml以上、好ましくは、0.2U/ml以上、さらに好ましくは、0.4U/ml以上であり、界面活性剤の添加濃度は、0.5g/L以上、好ましくは、1g/L以上、さらに好ましくは、2g/L以上であるが、L−グルタミン酸生成が誘導される限り、いかなる添加濃度であってもよい。
例えば、本発明のコリネ型細菌を得るために用いられる親株に適しているものとしては、上述のコリネ型細菌の野生株、あるいは、以下のような菌株が挙げられる。
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11217(FERM P−4318;特開昭57−2689号公報参照)
コリネバクテリウム・グルタミカムAJ11218(FERM−P4319;特開昭57−2689号公報参照)
ブレビバクテリウム・ラクトフアーメンタムAJ11426(FERM−P5123 特開昭56−048890参照)
コリネバクテリウム・グルタミクムAJ11440(FERM−P5137特開昭56−048890参照)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ11796 (FERM−P6402 特開昭58−158192参照)
本発明のコリネ型細菌は、上記のようなL−グルタミン酸生産能を有するコリネ型細菌であって、かつアシルCoA合成酵素の活性が低下するように改変されたコリネ型細菌である。本発明のコリネ型細菌は、L−グルタミン酸生産能を有するコリネ型細菌を、アシルCoA合成酵素の活性が低下するように改変することにより得ることができる。なお、本発明のコリネ型細菌の育種において、L−グルタミン酸生産能の付与とアシルCoA合成酵素の活性が低下する改変は、どちらを先に行ってもよい。
「アシルCoA合成酵素の活性が低下するように改変された」とは、親株、あるいは野生株に対して細胞あたりのアシルCoA合成酵素の分子の数が減少した場合や、アシルCoA合成酵素タンパク質の分子当たりの活性が低下した場合、またアシルCoA合成酵素が全く生成されなくなった場合等が該当する。アシルCoA合成酵素活性は野生株又は非改変株と比較して、菌体当たり50%以下、好ましくは30%以下、さらに望ましくは菌体当たり10%以下に低下されていることが好ましい。ここで、対照となる野生株のコリネ型細菌としては、例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム(ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム)ATCC13869株やATCC13032株が挙げられる。アシルCoA合成酵素の酵素活性は、精製acyl-AMPを用い、radio-TLC,あるいは、HPLCを行うことによって測定できる(Nature (2004) 427 441-445)。なお、「低下」には活性が完全に消失した場合も含まれる。
本発明においては、アシル-CoA合成酵素活性が低下するように改変されることにより、界面活性剤に対する感受性が増大したコリネ型細菌がより好ましく用いられる。界面活性剤に対する感受性が増大した細菌は、高濃度のビオチンを含み、ペニシリン、界面活性剤などのビオチン作用抑制物質が制限された条件下でL-グルタミン酸を効率よく生産することが可能である。ここで「高濃度のビオチンを含み、ペニシリン、界面活性剤などのビオチン作用抑制物質が制限された条件」とは、50μg/L以上、好ましくは100μg/L以上、さらに好ましくは200μg/L以上の濃度のビオチンを含んでおり、ペニシリン、界面活性剤などのビオチン作用抑制物質は含まないか、低減された培養条件をいう。ここでビオチン作用抑制物質としては、界面活性剤が0.1g/L以下、好ましくは0.05g/L以下、さらに好ましくは0.01g/L以下の濃度で添加されていることが望ましく、全く添加されていなくてもよい。
一方、親株が高濃度のビオチンを含有する培地にてビオチン作用抑制物質の非存在下でL-グルタミン酸を蓄積する能力を有している場合(WO96/06180、特開平6−237779公報などに記載のコリネ型細菌)は、アシル-CoA合成酵素活性を低下させることによって、L-グルタミン酸の生産能が向上する。ここで、非改変株よりも、アシルCoA合成酵素活性が低下するように改変した株のL−グルタミン酸の培地中の蓄積量が多いか、又はL−グルタミン酸の生産速度が高ければ、アシル-CoA合成酵素活性を低下した菌株は、L−グルタミン酸生産能が向上しているといえる。例えば、親株あるいは非改変株と比べて、アシル-CoA合成酵素活性を低下した菌株が向上することにより、対糖収率で2%以上上昇していること、望ましくは対糖収率で4%以上上昇していること、さらに望ましくは対糖収率で6%以上向上しているとL−グルタミン酸生産能が向上しているといえる。
アシルCoA合成酵素はfadD遺伝子がコードしており、例えば、下記に示すアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。
GenBank Accession No. NCgl0104(NP_599357)(配列番号20)
GenBank Accession No. NCgl0279(NP_599536)(配列番号22)
GenBank Accession No. NCgl0388(NP_599647)(配列番号24)
GenBank Accession No. NCgl1151(NP_600424)(配列番号26)
GenBank Accession No. NCgl2216(NP_601496)(配列番号10)
GenBank Accession No. NCgl2774(NP_602064)(配列番号8)
さらに、配列番号29のアミノ酸配列を有するコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869株由来のアシルCoA合成酵素でもよい。
また、アシル-CoA合成酵素活性を有する限りにおいて、配列番号8,10,20,22,24,26、又は29に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有するものであってもよい。ここで、数個とは、例えば、2〜20個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個を意味する。上記置換は保存的置換が好ましく、保存的置換としては、alaからser又はthrへの置
換、argからgln、his又はlysへの置換、asnからglu、gln、lys、his又はaspへの置換、aspからasn、glu又はglnへの置換、cysからser又はalaへの置換、glnからasn、glu、lys、his、asp又はargへの置換、gluからgly、asn、gln、lys又はaspへの置換、glyからproへの置換、hisからasn、lys、gln、arg又はtyrへの置換、ileからleu、met、val又はpheへの置換、leuからile、met、val又はpheへの置換、lysからasn、glu、gln、his又はargへの置換、metからile、leu、val又はpheへの置換、pheからtrp、tyr、met、ile又はleuへの置換、serからthr又はalaへの置換、thrからser又はalaへの置換、trpからphe又はtyrへの置換、tyrからhis、phe又はtrpへの置換、及び、valからmet、ile又はleuへの置換が挙げられる。
アシル-CoA合成酵素活性を低下させるための改変は、例えば、染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子を欠損させたり、プロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。染色体上のアシル-CoA合成酵素遺伝子としては、例えば、fadD遺伝子、またはfadD遺伝子ホモログがコードする配列番号7,9,19,21,23,25、又は28の塩基配列を含むDNAを挙げることができる。また、アシル-CoA合成酵素活性を有するタンパク質をコードする限り、これらの塩基配列と相補的な塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであってもよい。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度で、1回より好ましくは2〜3回洗浄する条件が挙げられる。
アシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子(以下fadD遺伝子と呼ぶ)の取得は、GenBankに登録のコリネバクテリウム・グルタミカムの配列(配列番号7、GenBank Accession No.NC_003450のNCgl2774)に基づき、合成オリゴヌクレオチドを合成し、コリネバクテリウム・グルタミカムの染色体を鋳型としてPCR反応を行うことによってクローニングできる。また、近年ゲノムプロジェクトにより、塩基配列が決定されているブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム等のコリネ型細菌の配列も利用できる。染色体DNAは、DNA供与体である細菌から、例えば、斎藤、三浦の方法(H. Saito and K.Miura, Biochem.B iophys. Acta, 72, 619 (1963)、生物工学実験書、日本生物工学会編、97〜98頁、培風館、1992年参照)等により調製することができる。
上記のようにして調製したfadD遺伝子又はその一部を遺伝子破壊に使用することができる。ただし、遺伝子破壊に用いる遺伝子は破壊対象のコリネ型細菌の染色体DNA上のfadD遺伝子(例えば、配列番号7の塩基配列を有する遺伝子)と相同組換えを起こす程度の相同性を有していればよいため、このような相同遺伝子も使用することができる。ここで、相同組換えを起こす程度の相同性とは、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。また、上記遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNA同士であれば、相同組換えは起こり得る。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度で、1回より好ましくは2〜3回洗浄する条件が挙げられる。
上記のような遺伝子を使用し、例えば、fadD遺伝子の部分配列を欠失し、正常に機能するアシル-CoA合成酵素を産生しないように改変した欠失型fadD遺伝子を作製し、該遺伝子を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型遺伝子と染色体上の遺伝子で組換えを起こさせることにより、染色体上のfadD遺伝子を破壊することが出来る。このような相同
組換えを利用した遺伝子置換による遺伝子破壊は既に確立しており、直鎖上DNAを用いる方法や温度感受性複製起点を含むプラスミドを用いる方法などがある(米国特許第6303383号明細書、又は特開平05-007491号公報)。また、上述のような相同組換えを利用した遺伝子置換により遺伝子破壊は、宿主上で複製能力を持たないプラスミドを用いても行うことが出来る。
欠失型のfadD遺伝子を宿主染色体上のfadD遺伝子と置換するには、例えば以下のようにすればよい。まず、温度感受性複製起点、欠失型fadD遺伝子、レバンシュークラーゼをコードするsacB遺伝子及びクロラムフェニコール等の薬剤耐性を示すマーカー遺伝子を挿入して組換え用プラスミドを調製する。(国際公開第2005/113744号パンフレット、国際公開第2005/113745号パンフレット)
ここで、レバンシュークラーゼをコードするSacB遺伝子は、染色体上からベクター部分が脱落した菌株を効率よく選択する為に使用される遺伝子である(Schafer,A.et al.Gene
145 (1994)69-73)。すなわち、コリネ型細菌では、レバンシュークラーゼを発現させると、シュークロースを資化することによって生成したレバンが致死的に働き、生育することが出来ない。従って、レバンシュークラーゼを搭載したベクターが染色体上に残ったままの菌株をシュークロース含有プレートで培養すると生育できず、ベクターが脱落した菌株のみシュークロース含有プレートで選択することが出来る。
sacB遺伝子又はその相同遺伝子は、以下のような配列の遺伝子を用いることが出来る。バチルス・ズブチルス:sacB GenBank Accession Number X02730 (配列番号11)
バチルス・アミロリキュファシエンス:sacB GenBank Accession Number X52988
ザイモモナス・モビリス:sacB GenBank Accession Number L33402
バチルス・ステアロサーモフィラス:surB GenBank Accession Number U34874
ラクトバチルス・サンフランシセンシス:frfA GenBank Accession Number AJ508391
アセトバクター・キシリナス:lsxA GenBank Accession Number AB034152
グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィカス:lsdA GenBank Accession Number L41732
次に、上記組換えプラスミドでコリネ型細菌を形質転換する。形質転換は、これまでに報告されている形質転換法に従って行えばよい。例えば、エシェリヒア・コリK−12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増加させる方法(Mandel,M.and Higa,A., J.Mol.Biol.,53 ,159 (1970) )があり、バチルス・ズブチルスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調整しDNAを導入する方法(Dancan,C.H., Wilson,G.A and Young,F.E , Gene ,1,153(1977) )がある。あるいは、バチルス・ズブチルス、放線菌類及び酵母について知られているようなDNA受容菌の細胞を組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang.S. and Choen,S.N., Molec. Gen. Genet., 168, 111 (1979); Bibb,M.J., Ward,J.M. and Hopwood,O.A., Nature, 274, 398 (1978); Hinnen,A., Hicks,J.B. and Fink,G.R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 1929 (1978))も応用できる。また、コリネ型細菌の形質転換は、電気パルス法(杉本ら、特開平2-207791号公報)によっても行うことができる。
コリネ型細菌の温度感受性プラスミドとしては、p48K及びpSFKT2(以上、特開2000-262288号公報)、pHSC4(フランス特許公開1992年2667875号公報、特開平5-7491号公報)等が挙げられる。これらのプラスミドは、コリネ型細菌中で少なくとも25℃では自律複製することができるが、37℃では自律複製できない。pHSC4を保持するエシェリヒア・コリAJ12571は、1990年10月11日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許微生物寄託センター)(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-11763として寄託され、1991年8月26日に
ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-3524の受託番号で寄託されている。
上記のようにして得られる形質転換体を温度感受性複製起点が機能しない温度(25℃)で培養し、プラスミドを導入した株を取得する。プラスミド導入株を高温で培養し、温度感受性プラスミドを脱落させ、抗生物質を含有するプレートに本菌株を塗布する。温度感受性プラスミドは高温で複製できないので、プラスミドが脱落した菌株は、抗生物質を含有したプレートでは生育出来ないが、ごくわずかの頻度であるが、プラスミド上の酢酸生合成系遺伝子と染色体上のfadD遺伝子と組換えを起こした菌株が出現する。
こうして染色体に組換えDNAが組み込まれた株は、染色体上にもともと存在するfadD遺伝子配列との組換えを起こし、染色体のfadD遺伝子と欠失型のfadD遺伝子との融合遺伝子2個が組換えDNAの他の部分(ベクター部分、温度感受性複製起点及び薬剤耐性マーカー)を挟んだ状態で染色体に挿入されている。
次に、染色体DNA上に欠失型のfadD遺伝子のみを残すために、ベクター部分(温度感受性複製起点及び薬剤耐性マーカーを含む)とともに染色体DNAから脱落させる。その際、正常なfadD遺伝子が染色体DNA上に残され、欠失型fadD遺伝子が切り出される場合と、反対に欠失型fadD遺伝子が染色体DNA上に残され、正常なfadD遺伝子が切り出される場合がある。いずれの場合も、温度感受性複製起点が機能する温度で培養すれば、切り出されたDNAはプラスミド状で細胞内に保持される。次に、温度感受性複製起点が機能しない温度で培養すると、プラスミド上のfadD遺伝子は、プラスミドとともに細胞から脱落する。そして、PCRまたはサザンハイブリダイゼーション等により、染色体上に欠失型fadD遺伝子が残った株を選択することによって、fadD遺伝子が破壊された株を取得することができる。
なお、上記温度感受性プラスミドに換えて、コリネ型細菌内で複製能を持たないプラスミドを用いても、同様の遺伝子破壊を行うことが出来る。コリネ型細菌内で複製能を持たないプラスミドは、エシェリヒア・コリで複製能力を持つプラスミドが好ましく、例えば、pHSG299(宝バイオ社製)、pHSG399( 宝バイオ社製)等が挙げられる。
アシル-CoA合成酵素活性を低下させることは、上述の染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子を欠損させる以外に、プロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列、オペレーター、ターミネーター、アテニュエーター等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。染色体上の発現調節配列の確認は、Genetix等の遺伝子解析ソフトや、プロモーター検索ベクター等の発現解析用ベクター、またGenbank等の公知の情報により確認出来る。例えば、アシル-CoA合成酵素活性を低下させる変異とは、例えば、アシル-CoA合成酵素のプロモーター領域をより発現量の弱いプロモーターに置換する変異や、コンセンサス配列から遠ざけるような変異が該当する。これらの変異導入は、上記同様、温度感受性プラスミドや、宿主で複製能を持たないスイサイドベクターを使用することによって導入できる。
また、染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする領域にアミノ酸置換(ミスセンス変異)を導入すること、また終始コドンを導入すること(ナンセンス変異)、1〜2塩基付加・欠失するフレームシフト変異を導入すること、遺伝子の一部分を欠失させること、トランスポゾン等をコード領域に挿入することにより遺伝子を破壊することによっても達成出来る。(Journal of biological Chemistry 272:8611-8617(1997))
また、アシル-CoA合成酵素の活性を低下させる方法としては、上述の遺伝子操作法以外に、例えば、コリネ型細菌を紫外線照射または、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロ
ソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、アシル-CoA合成酵素の活性が低下した菌株を選択する方法が挙げられる。
<3>本発明のコリネ型細菌を用いたL−グルタミン酸の生産
上記のようにして得られるコリネ型細菌を培地で培養し、該培地中にL−グルタミン酸を生成蓄積させ、該培地から該L−グルタミン酸を採取することにより、L−グルタミン酸を効率よく製造することができる。
本発明のコリネ型細菌を用いてL−グルタミン酸を生産するには、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いて常法により行うことができる。合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用される炭素源および窒素源は培養する菌株の利用可能であるものならばいずれの種類を用いてもよい。
炭素源としては、グルコース、グリセロール、フラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、ガラクトース、澱粉加水分解物、糖蜜等の糖類が使用され、その他、酢酸、クエン酸等の有機酸、エタノール等のアルコール類も単独あるいは他の炭素源と併用して用いられる。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、りん酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩または硝酸塩等が使用される。
有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆タンパク分解物等が使用され、生育にアミノ酸などを要求する栄養要求性変異株を使用する場合には要求される栄養素を補添することが好ましい。
無機塩類としては、りん酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が使用される。培養は、発酵温度20〜45℃、pHを5〜9に制御し、通気培養を行う。培養中にpHが下がる場合には、炭酸カルシウムを加えるか、アンモニアガス等のアルカリで中和する。かくして10時間〜120時間程度培養することにより、培養液中に著量のピルビン酸を中間体とする生合成経路を経て生成するL−グルタミン酸が蓄積される。
また、本発明に用いるコリネ型細菌がビオチン制限、界面活性剤添加、ペニシリン添加等のL−グルタミン酸生産を誘導する条件で、L−グルタミン酸を生産するコリネ型細菌である場合は、培地をL-グルタミン酸生産条件になるように調整したほうがよい。これらの物質の培地中の含有濃度は、ビオチンは、30μg/L以下、好ましくは、20μg/L以下、さらに好ましくは、10μg/L以下であり、培地中にビオチンを全く含まなくてもよい。ペニシリンの培地中の添加濃度は、0.1U/ml 以上、好ましくは、0.2U/ml以上、さらに好ましくは、0.4U/ml以上であり、界面活性剤の添加濃度は、0.5g/L以上、好ましくは、1g/L以上、さらに好ましくは、2g/L以上であるが、L−グルタミン酸生成が誘導される限り、いかなる添加濃度であってもよい。界面活性剤、ペニシリンを添加する際には、培地中にビオチンは充分量含んでいたほうが望ましく、培地中に50μg/L以上、好ましくは100μg/L以上、さらに好ましくは200μg/L以上含んでいることが望ましい。
また、L−グルタミン酸が析出するような条件に調整された液体培地を用いて、培地中にL−グルタミン酸を析出させながら培養を行うことも出来る。L−グルタミン酸が析出する条件としては、例えば、pH5.0〜4.0、好ましくはpH4.5〜4.0、さら
に好ましくはpH4.3〜4.0、特に好ましくはpH4.0を挙げることができる(EP1233069, 又はEP1233070参照)。
培養終了後の培養液からL−グルタミン酸を採取する方法は、公知の回収方法に従って行えばよい。例えば、培養液から菌体を除去した後に濃縮晶析する方法あるいはイオン交換クロマトグラフィー等によって採取される。L−グルタミン酸が析出するような条件下で培養した場合、培養液中に析出したL−グルタミン酸は、遠心分離又は濾過等により採取することができる。この場合、培地中に溶解しているL−グルタミン酸を晶析した後に、併せて単離してもよい。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<sacB搭載遺伝子破壊用ベクターの構築>
(A)pBS3の構築
sacB遺伝子(配列番号11)をバチルス・ズブチリスの染色体DNAを鋳型として配列番号13と14をプライマーとして用いて、PCRにより取得した。PCR反応は、LA taq(TaKaRa)を用い、94 ℃で5分保温を1サイクル行った後、変性94℃ 30秒、会合49℃ 30秒、伸長72℃ 2分からなるサイクルを25回繰り返した。生成したPCR産物を常法により精製後BglIIとBamHIで消化し、平滑化した。この断片をpHSG299のAvaIIで消化後、平滑化した部位に挿入した。このDNAを用いて、エシェリヒア・コリJM109のコンピテントセル(宝バイオ社製)を用いて形質転換を行い、カナマイシン(以下、Kmと略す)25μg/mlを含むLB培地に塗布し、一晩培養した。その後、出現したコロニーを釣り上げ、単コロニーを分離し形質転換体を得た。得られた形質転換体よりプラスミドを抽出し、目的のPCR産物が挿入されていたものをpBS3と命名した。
(B)pBS4Sの構築
pBS3上に存在するカナマイシン耐性遺伝子配列中のSmaI部位をアミノ基置換を伴わない塩基置換によりカナマイシン耐性遺伝子を破壊したプラスミドをクロスオーバーPCRで取得した。まず、pBS3を鋳型として配列表配列番号15,16 の合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、カナマイシン耐性遺伝子のN末端側の増幅産物を得る。一方Km耐性遺伝子のC末端側の増幅産物を得るためにpBS3を鋳型として配列表配列番号17,18の合成DNAを鋳型としてPCRを行った。PCR反応はPyrobest DNA Polymerase(宝バイオ社製)を用い、98 ℃で5分保温を1サイクル行った後、変性98℃ 10秒、会合57℃ 30秒、伸長72℃ 1分からなるサイクルを25回繰り返すことにより目的のPCR産物を得ることができる。配列表配列番号16と17は部分的に相補的であり、またこの配列内に存在するSmaI部位はアミノ酸置換を伴わない塩基置換を施すことにより破壊されている。次にSmaI部位が破壊された変異型カナマイシン耐性遺伝子断片を得るために、上記カナマイシン耐性遺伝子N末端側及びC末端側の遺伝子産物を、それぞれほぼ等モルとなるように混合し、これを鋳型として配列表配列番号15,18の合成DNAをプライマーとしてPCRを行い変異導入されたKm耐性遺伝子増幅産物を得た。PCR反応はPyrobest DNA Polymerase(宝バイオ社)を用い、98 ℃で5分保温を1サイクル行った後、変性98℃ 10秒、会合57℃ 30秒、伸長72℃ 1.5分からなるサイクルを25回繰り返すことにより目的のPCR産物を得ることができる。
PCR産物を常法により精製後BanIIで消化し、上記のpBS3のBanII部位に挿入した。このDNAを用いて、エシェリヒア・コリJM109のコンピテントセル(宝バイオ社製宝バイオ社製)を用いて形質転換を行い、カナマイシン25μg/mlを含むLB培地に塗布し、一晩培養した。その後、出現したコロニーを釣り上げ、単コロニー分離し、形質転換体を得た。得られた形質転換体よりプラスミドを抽出し、目的のPCR産物が挿入されていたものをpBS4Sと命
名した(図1)。
<C.glutamicum ATCC13869からのfadD欠損株の作成>
遺伝子fadDを欠損させるためのプラスミドを作製した。C.glutamicumATCC13869株のfadD遺伝子を配列番号28に示した。プラスミドに搭載する欠損断片は、特開2004-187684記載の方法に準じた。C.glutamicum ATCC13869からBacterial Genomic DNA Purif.Kit((株)エムエステクノシステムズ製)を用いて染色体を抽出し、この染色体を鋳型として配列番号1、2記載の組み合わせプライマー及び配列番号3、4記載の組み合わせプライマーを用いたPCRを行い(反応条件は、Ex Taq(タカラバイオ製)を用いて、変性94℃ 30秒、会合55℃ 10秒、伸長反応72℃ 1分の条件で25サイクル)、各々約850bpの断片を増幅した。なお、配列番号1、2のプライマーは、fadD遺伝子のN末端側フラグメントが、配列番号3、4のプライマーはfadD遺伝子のC末端側フラグメントがそれぞれ増幅されるように設計している。
次にこの2つの断片を混合した溶液を鋳型にし、配列番号5、6記載のプライマーを用いたPCR反応を行い(反応条件は、Ex Taq(タカラバイオ製)を用いて、変性94℃ 30秒、会合55℃ 10秒、伸長反応72℃ 2分の条件で25サイクル)、内部配列が欠損した約1.6kbの欠失型fadD遺伝子断片を増幅した。なお、配列番号5、6のプライマーは5'端にBamHI配列が付加されている。増幅した断片をBamHIによる完全分解を行い、同じくBamHIによって完全分解した上記pBS4Sベクターと連結反応を行い(Ligation kit Ver.2(タカラバイオ製)を使用)、pBSFADを構築した(構築図は図2に記載)。
電気パルス法(特開平2-207791)にてC.glutamicum ATCC13869へpBSFADを導入し、カナマイシン25μg/mlを含むCM-Dex寒天培地(グルコース5g/l、ポリペプトン10g/l、酵母エキス10g/l、KH2PO4 1g/l、MgSO4・7H2O 0.4g/l、FeSO4・7H2O 0.01g/l、MnSO4・4-5H2O 0.01g/l、尿素3g/l、大豆蛋白加水分解液1.2g/l、寒天20g/l、NaOHを用いてpH7.5に調整)上に塗布した。31.5℃にて培養後、生育してきた株を、PCRを用いて染色体上に相同組換えによってpBSFADが組み込まれた1回組換え株であることを確認した。なお1回組換え株であることの確認は、候補株の染色体を鋳型にし、pBS4S上の特異的配列(配列番号27)と染色体上の配列(配列番号1)をプライマーにしたPCRを行うことによって、容易に確認することが出来る。(非組換え株の染色体上にはpBS4Sの配列が存在していないため、PCRによって増幅される断片が出現しないことから判別可能となる)。取得した1回組換え株をカナマイシン25μg/mlを含むCM-Dex液体培地にて31.5℃、一昼夜培養し、この培養液を適宜希釈してS10プレート(上記記載のCM-Dex培地のグルコース5g/lをシュークロース100g/lに変更した組成)に塗布した。S10プレート上で生育し、且つカナマイシン感受性を示す株を数株選択後、これら株の染色体を鋳型にし配列番号5、6をプライマーにしたPCRを行うことにより、目的とする欠損株であることを確認した(欠損株は内部領域を欠失しているために増幅断片が非欠損株より短くなることから判別可能となる)。このようにして取得した欠損株をATCC13869ΔfadDと命名した。
<fadD破壊株のL-グルタミン酸生産の評価>
ATCC13869ΔfadD株のグルタミン酸生産能を、坂口フラスコを用いた培養を行うことに
より検証した。ATCC13869、ATCC13869ΔfadD株をCM-2B寒天培地(ポリペプトン10g/l
、酵母エキス10g/l、NaCl 5g/l、ビオチン10μg/l、寒天20g/l、KOHを用いてpH7.0に調整)で31.5℃で一昼夜培養を行い、シード培地(グルコース50g/l、硫安30g/l、KH2PO4 1g/l、MgSO4・7H2O 0.4g/l、FeSO4・7H2O 0.01g/l、MnSO4・4-5H2O 0.01g/l、ビタミンB1 200μg/l、大豆蛋白加水分解液0.48g/l、ビオチン300μg/l、KOHを用いてpH8.0に調整)20mlに接種し、予め乾熱滅菌しておいた炭酸カルシウム1gとTween80(Sigma製)1g
/lを添加した後、31.5℃、速度115rpmで振とう培養を行った。完全に糖を消費し尽くしたことを確認後、次にメイン培地(グルコース50g/l、硫安30g/l、KH2PO4 1g/l、MgSO4・7H2O 0.4g/l、FeSO4・7H2O 0.01g/l、MnSO4・4-5H2O 0.01g/l、ビタミンB1 200μg/l、大豆蛋白加水分解液0.48g/l、ビオチン300μg/l、KOHを用いてpH8.0に調整)20mlにシード培養液を1ml接種し予め乾熱滅菌しておいた炭酸カルシウム1gを添加した後、31.5℃、速度115rpmで振とう培養を行った。必要に応じて、培養開始2.5時間後にTween40(Sigma製)を終濃度0.01または0.1g/lとなるように添加し、培養開始21.5時間目の菌体量(620nmの吸収を測定)、グルタミン酸蓄積量、残糖量を測定した値を表3に示した。その結果、ATCC13869ΔfadD株はATCC13869株がグルタミン酸を蓄積しない界面活性剤無添加条件や微量の界面活性剤添加条件においてグルタミン酸を蓄積した。以上の結果から遺伝子fadDを欠損することが、グルタミン酸生成誘導に必要な界面活性剤量を低減させることに有効であることを確認した。
Figure 2007175016
ATCC13869ΔfadD株の界面活性剤感受性の変化
遺伝子fadD欠損株は低濃度の界面活性剤を添加するだけで、グルタミン酸生成が誘導されることから、界面活性剤に対する感受性が対照株(ATCC13869)と比較し増していることが推定される。CM-2B寒天培地上で31.5℃、一昼夜培養した菌体をCM-2B液体培地に接種し、Tween40を無添加もしくは0.01、0.05、0.1、1.0g/l添加した。OD620nmの吸収を経時的に測定し、比増殖速度を算出した結果を図3に示した。遺伝子fadD欠損株は0.01g/lの界面活性剤を添加すると著しい比増殖速度の低下が認められ、fadD遺伝子が界面活性剤感受性に変化を与える遺伝子であることが確認された。
なお、比増殖速度とは、培養時間に対し、菌濃度の自然対数をプロットすることによって得られる直線の勾配を意味する。
プラスミドpBS4Sの構築を示す図。 プラスミドpBSFADの構築を示す図。 野生株及びfadD欠損株の界面活性剤耐性を示す図。横軸が界面活性剤(Tween40の添加濃度g/L)、縦軸が比増殖速度を示す。

Claims (5)

  1. L−グルタミン酸の生産能を有するコリネ型細菌であって、アシル-CoA合成酵素の活性が低下するように改変されたコリネ型細菌。
  2. 染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子のコード領域内またはその発現制御領域に変異が導入されたことによりアシル-CoA合成酵素の活性が低下した請求項1に記載のコリネ型細菌。
  3. 染色体上のアシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子が破壊された請求項1に記載のコリネ型細菌。
  4. 上記アシル-CoA合成酵素をコードする遺伝子が、(a)又は(b)に示すDNAである請求項2に記載のコリネ型細菌:
    (a)配列番号7、9、19、21、23、25、28から選択される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号7、9、19、21、23、25、28から選択される塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシル-CoA合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のコリネ型細菌を培地中で培養し、L−グルタミン酸を生成、蓄積させ、該L−グルタミン酸を採取することを特徴とする、L−グルタミン酸の製造法。
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