JP2002014479A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2002014479A
JP2002014479A JP2000195517A JP2000195517A JP2002014479A JP 2002014479 A JP2002014479 A JP 2002014479A JP 2000195517 A JP2000195517 A JP 2000195517A JP 2000195517 A JP2000195517 A JP 2000195517A JP 2002014479 A JP2002014479 A JP 2002014479A
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polyarylate resin
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JP2000195517A
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Satoshi Kato
聡 加藤
Yuuta Kumano
勇太 熊野
Mitsusachi Mimori
光幸 三森
Akiteru Fujii
章照 藤井
Mamoru Rin
護 臨
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気特性が良好で且つ機械的強度及び滑り性
に優れた電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 導電性基体上に少なくとも感光層を有す
る電子写真感光体において、該感光層の結着樹脂が、少
なくとも1つのアルキル基で置換されたジヒドロキシ構
造単位(1)及び(1)以外ジヒドロキシ構造単位を含
むポリアリレートを含み、該ポリアリレート樹脂が、全
結着樹脂中30重量%を超えることを特徴とする電子写
真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体用樹
脂に関するものである。さらに詳しくは特定の化学構造
を有し、耐摩耗性、表面滑り性、塗布液の寿命等に優
れ、且つ、電気的応答性の良好な電子写真感光体用樹脂
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、電子写真プロセスす
なわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等
のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なスト
レスを受け劣化する。この様な劣化としては例えば帯電
器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸
化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与
えたり、像露光で生成したキャリア−(電流)が感光層
内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層
組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化があ
る。またこれとは別の劣化としてクリ−ニングブレ−
ド、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等によ
る感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機
械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷
はコピ−画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため
感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すな
わち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的
耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須
条件である。
【0003】一般に積層型感光体の場合このような負荷
を受けるのは電荷移動層である。電荷移動層は通常バイ
ンダー樹脂と電荷移動物質からなっており、実質的に強
度を決めるのはバインダー樹脂であるが、電荷移動物質
のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるに
は至っていない。また、高速印刷の要求の高まりから、
より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められてい
る。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの
他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなる
ために応答性がよいことも必要となる。感光体の応答性
は電荷移動層、なかでも電荷移動物質により支配される
がバインダー樹脂によっても大きく変わることが知られ
ている。
【0004】従来、電荷移動層のバインダー樹脂として
は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキ
シ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々
の熱硬化性樹脂が用いられていた。数あるバインダー樹
脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能
を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が
開発され実用に供されている。
【0005】例えば特開昭50−98332号公報には
ビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特開昭
59−71057号公報にはビスフェノールZタイプの
ポリカーボネートが、特開昭59−184251号公報
にはビスフェノールPおよびビスフェノールAの共重合
タイプのポリカーボネートが、特開平5−21478に
はビス(4ーヒドロキシフェニル)ケトンタイプの構造
を含むポリカーボネート共重合体がバインダー樹脂とし
てそれぞれ開示されている。しかし従来の有機感光体は
トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブ
レード)による摩擦など実用上の負荷によって表面が摩
耗してしまったり表面に傷が生じてしまうなどの欠点を
有しているため実用上は限られた印刷性能にとどまって
いるのが現状である。
【0006】一方、特開昭56−135844号公報に
は、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリ
アリレート(芳香族ポリエステル)樹脂をバインダーと
して用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中
でポリカーボネートに比して特に感度が優れていること
が示されている。また、特開平3−6567号公報では
ビスフェノール成分にテトラメチルビスフェノールF及
びビスフェノールAを使用した構造のポリアリレート
(芳香族ポリエステル)共重合体を含有することを特徴
とする電子写真感光体が開示されている。
【0007】また、特開平7−128884号公報で
は、特定構造のビスアゾ顔料を電荷発生材料とし特定構
造のジアミン系化合物を電荷輸送材料とし結着樹脂とし
てポリカーボネートとポリアリレートの混合物を含有す
ることを特徴とした電子写真感光体が示されている。し
かしながら、現状用いられているポリカーボネート樹脂
を電子写真プロセスに使用した場合、耐磨耗性、耐擦傷
性、応答性、基盤との接着性等で未だ不十分な場合が多
い。
【0008】また、市販のポリアリレート樹脂「U−ポ
リマー」では耐摩耗性、感度では若干の向上が見られる
ものの、その塗布液の安定性が悪く、塗布製造が不能で
あったり、滑り性が不良であった。また特開平3−65
67号公報で開示されているビスフェノール成分にテト
ラメチルビスフェノールF及びビスフェノールAを使用
した構造のポリアリレート(芳香族ポリエステル)共重
合体を使用した場合、耐摩耗性の面では従来のポリカー
ボネートに比べて向上が見られるが、滑り性の面ではポ
リカーボネートに比べ優位性が認められず、電気特性特
に感度、応答性の面でポリカーボネートより大幅に性能
が劣る。
【0009】また特開平7−128884号公報で開示
されている様にポリアリレートとポリカーボネートを混
合して結着樹脂として用いた場合、ポリアリレートの含
有率が30重量%以下と低いため、滑り性等機械物性の
面で従来のバインダー樹脂を用いた場合と比較して十分
な改良効果が得られなかった。そのため、応答性等の電
気特性を良好に保持したまま、耐摩耗性、滑り性に優れ
たバインダー樹脂が望まれているのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決し、耐摩耗性、滑り性に優れた電子写真感光
体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、感光層に
使用するバインダー樹脂について詳細に検討した結果、
特定構造のポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として
用いることにより十分な機械的特性を有し、非ハロゲン
系溶媒にも高い溶解性/塗布液の安定性が向上し、且つ
電気特性、特に応答性に優れることを見いだし本発明に
至った。
【0012】従来のポリアリレート樹脂は電気特性の点
でポリカーボネート樹脂に劣っていたため例えば特開平
7−128884号公報に例示されているようにポリカ
ーボネート樹脂にポリアリレート樹脂を少量ブレンドし
て使用する以外は実用的な性能が得られなかった。しか
し、本発明のポリアリレート樹脂は電気特性を大幅に改
良し、機械的強度に優れているため、本発明のポリアリ
レート樹脂を高い割合で混合するか又は単独で使用する
ことにより滑り性の優れた実用的な電子写真感光体を得
ることができた。
【0013】すなわち本発明の要旨は、導電性基体上に
少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該
感光層の結着樹脂が、下記一般式(1)及び一般式
(2)で表される構造単位を有するポリアリレート樹脂
を含み、n/(n+m)>0.5であり、該ポリアリレ
ート樹脂が、全結着樹脂中30重量%を超えることを特
徴とする電子写真感光体に存する。
【0014】
【化3】
【0015】(一般式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独
立に水素原子、置換されていても良いアルキル基を示
し、Zは2価の結合基を示す。 但しR1〜R8のうち少
なくとも1つは置換されていても良いアルキル基であ
る。一般式(2)中、Y、Zは2価の結合基を示し、一
般式(2)は一般式(1)とは異なる構造を表す。)
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも
感光層が設けられており、該感光層に以下に説明する特
定のアリレート樹脂を用いることを特徴としている。
【0017】導電性支持体としては、例えばアルミニウ
ム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等
の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体
を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、
ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導
電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、
紙などが主として使用される。形態としては、ドラム
状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属
材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御
のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材
料を塗布したものでも良い。
【0018】導電性支持体としてアルミニウム合金等の
金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等
を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場
合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。支
持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を
用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化
されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当
な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたも
のでも良い。
【0019】導電性支持体と感光層との間には、接着性
・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても
良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の
粒子を分散したものなどが用いられる。
【0020】下引き層に用いる金属酸化物粒子の例とし
ては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化
ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を
含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ス
トロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を
含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを
用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良
い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび
酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好まし
い。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アル
ミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪
素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコ
ーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化
チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブ
ルックカイト、アモルファスのいずれも用いることがで
きる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
【0021】また、金属酸化物粒子の粒径としては、種
々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性
の面から、平均一時粒径として10nm以上100nm
以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上25
nm以下である。下引き層は、金属酸化物粒子をバイン
ダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き
層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、
エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチ
ン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド
等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用でき
るが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、
変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好まし
い。
【0022】下引き層において、バインダー樹脂に対す
る無機粒子の添加比は任意に選べるが、10〜500重
量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性
の面で好ましい。下引き層の膜厚は、任意に選ぶことが
できるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから
20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防
止剤等を添加しても良い。
【0023】本発明に用いられる感光層の具体的な構成
としては、例えば、以下のものが挙げられる。 1)導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷
発生層、電荷輸送物質及びバインダ−樹脂を主成分とし
た電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層。 2)導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダ−樹
脂を主成分とした電荷輸送層、電荷発生物質を主成分と
する電荷発生層をこの順に積層した逆二層型感光層。 3)導電性支持体上に電荷輸送物質及びバインダ−樹脂
を含有する層中に電荷発生物質を分散させた分散型感光
層(単層感光層)。
【0024】これらの内、積層型感光層が好ましい。積
層型感光層の場合には以下に示すアリレート樹脂は電荷
移動層のバインダー樹脂として用いられる。積層型感光
体の場合、その電荷発生層に使用される電荷発生材料と
しては例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウ
ム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、ア
ゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔
料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイ
ミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用
でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔
料が好ましい。これらの微粒子をたとえばポリエステル
樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニル
プロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステ
ル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結
着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダ
ー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範
囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μ
m、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適であ
る。
【0025】電荷発生物質としてフタロシアニン化合物
を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、
銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジ
ウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸
化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使
用される。3価以上の金属原子への配位子の例として
は、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アル
コキシ基などがあげられる。 特に感度の高いX型、τ
型無金属フタロシアニン、α型、β型、Y型等のオキシ
チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ク
ロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロ
シアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適
である。
【0026】なお、オキシチタニウムフタロシアニンの
結晶型のうち、β型、α型についてはW.Heller
らによってそれぞれI相、II相として示されており
(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、β型は安定型とし
て知られているものである。また、Y型は、CuKα線
を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜
が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結
晶型であり、27.3°の他、通常7.4°、9.7
°、及び24.2°に回折ピークを示す。電荷発生物質
としては、α型、β型、Y型、あるいはこれらを混合し
たオキシチタニウムフタロシアニンを用いることが感度
の点で好ましい。
【0027】フタロシアニン化合物は単一の化合物のも
ののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良
い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に
置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混
合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタ
ロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を
生じせしめたものでも良い。このような処理としては、
酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られてい
る。
【0028】電荷輸送層に含まれる電荷輸送材料として
は、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族
ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化
合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子受容性物
質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾ
ール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、
オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジア
ゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒ
ドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導
体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合
物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物から
なる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子授
与性物質が挙げられる。
【0029】これらの中でもカルバゾール誘導体、ヒド
ラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導
体、ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合
されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベ
ン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されたものが更
に好ましい。また、下記一般式(3)で表される芳香族
アミン化合物を用いることが特に好ましい。
【0030】
【化4】
【0031】(一般式(3)中、Ar1〜Ar4は各々独
立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置
換基を有していても良い2価の複素環基を表す。A
5、Ar6は、m1=0、m2=0の時はそれぞれ、置換
基を有していても良いアルキル基、置換基を有していて
も良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複
素環基を表し、m1=1、m2=1の時はそれぞれ、置換
基を有していても良いアルキレン基、置換基を有してい
ても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2
価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を
表す。R9〜R16は各々独立して水素原子、置換基を有
していても良いアルキル基、置換基を有していても良い
アリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、
置換基を有していても良い複素環基を表す。n1〜n4は
各々独立して0乃至4の整数を表す。また、m1、m2は
各々独立して0又は1を表す。また、Ar1〜Ar6は互
いに結合して環状構造を形成しても良い。)
【0032】一般式(3)中、R9〜R16は各々独立し
て水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置
換基を有していても良いアリール基、置換基を有してい
ても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素
環基を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内炭
素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0033】また、アリール基としては、フェニル基、
トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙
げられ、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。ま
た、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基
等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基が好まし
い。また、複素環基は、芳香族性を有する複素環が好ま
しく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等のが
挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。また、
9〜R16において、最も好ましいものは、メチル基及
びフェニル基である。
【0034】また、一般式(3)中、Ar1〜Ar4は各
々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又
は置換基を有していても良い2価の複素環基を表し、A
5、Ar6は、m1=0、m2=0の時はそれぞれ、置換
基を有していても良いアルキル基、置換基を有していて
も良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複
素環基を表し、m1=1、m2=1の時はそれぞれ、置換
基を有していても良いアルキレン基、置換基を有してい
ても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2
価の複素環基を表すが、アリール基としては、フェニル
基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等
が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基が好ましく;
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等
が挙げられ、フェニレン基が好ましく;1価の複素環基
としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えば
フリル基、チエニル基、ピリジル基等のが挙げられ、単
環の芳香族複素環が更に好ましく;2価の複素環基とし
ては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばピリ
ジレン基、チエニレン基等が挙げられ、単環の芳香族複
素環が更に好ましい。これらの内、最も好ましいもの
は、Ar1及びAr2はフェニレン基であり、Ar3はフ
ェニル基である。
【0035】これらR9〜R16、Ar1〜Ar6で表され
る基の内、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複
素環基はさらに置換基を有していても良いが、その置換
基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基等のアルキル基;メトキシ基,エトキシ基,プ
ロピルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチ
ルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等の
アルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネ
チル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基
等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基,フェネチル
オキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基,ナフ
チル基等のアリール基;スチリル基,ナフチルビニル基
等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等の
アシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジ
アルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルア
ミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、
ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピ
リジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミ
ノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基
を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等が挙
げられる。
【0036】また、これらの置換基は互いに結合して、
単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニ
リデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や
複素環基を形成してもよい。
【0037】これらの内好ましい置換基としては、ハロ
ゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアル
キルチオ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素
数6〜12のアリールチオ基、炭素数2〜8のジアルキ
ルアミノ基が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜6の
アルキル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フ
ェニル基が特に好ましい。
【0038】一般式(3)中、n1〜n4は各々独立して
0乃至4の整数を表すが、0乃至2が好ましく、1が最
も好ましい。m1、m2は0又は1を表すが、0が好まし
い。一般式(3)中、Qは、直接結合又は2価の残基を
表すが、2価の残基として好ましいものは、16族原
子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有して
も良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアル
キリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば
[−O−A−O−]、[−A−O−A−]、[−S−A−S
−]、[−A−A−]等が挙げられる(但し、Aは置換基
を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良
いアルキレン基を表す)。
【0039】Qを構成するアルキレン基としては、炭素
数1〜6のものが好ましく、中でもメチレン基及びエチ
レン基が更に好ましい。また、シクロアルキリデン基と
しては、炭素数5〜8のものが好ましく、中でもシクロ
ペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が更に好まし
い。アリーレン基としては、炭素数6〜14のものがこ
のましく、中でもフェニレン基及びナフチレン基が更に
好ましい。
【0040】また、これらアルキレン基、アリーレン
基、シクロアルキリデン基は置換基を有してもよいが、
好ましい置換基としては、水酸基、ニトロ基、シアノ
基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数
1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基が
挙げられる。
【0041】これら電荷輸送材料は単独で用いても良い
し、いくつかを混合してもちいてもよい。これらの電荷
輸送材料がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が
形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても
良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重
ねたものでも良い。
【0042】電荷輸送層において、バインダー樹脂と電
荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量
部に対して30〜200重量部、好ましくは40〜15
0重量部の範囲で使用される。また膜厚は一般に5〜5
0μm、好ましくは10〜45μmがよい。なお電荷輸
送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス
性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、電子受容性化合物、レベリング
剤などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例と
しては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミ
ン化合物などが挙げられる。
【0043】分散型感光層の場合には、上記のような配
合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物質が分散さ
れる。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいこ
とが必要であり、好ましくは1μm以下より好ましくは
0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電
荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、
多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があ
り、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、よ
り好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
【0044】分散型感光層の場合の感光層の膜厚は通常
5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用さ
れる。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度
等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制する
ための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗
布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例え
ばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が
添加されていても良い。感光層の上に、感光層の損耗を
防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による
感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても
良い。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する
目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等
を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子
や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
【0045】これらの感光体を構成する各層は、支持体
上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコー
ト、ロールコート、ブレード塗布等により塗布して形成
される。各層の形成方法としては、層に含有させる物質
を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布
するなどの公知の方法が適用できる。
【0046】本発明の電子写真感光体を使用する複写機
・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露
光、現像、転写の各プロセスを含むが、どのプロセスも
通常用いられる方法のいずれを用いても良い。帯電方法
(帯電器)としては、例えばコロナ放電を利用したコロ
トロンあるいはスコロトロン帯電、導電性ローラーある
いはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを
用いても良い。このうち、コロナ放電を利用した帯電方
法では暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電が
用いられることが多い。
【0047】現像方法としては、磁性あるいは非磁性の
一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触
させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法と
しては、コロナ放電によるもの、転写ローラーあるいは
転写ベルトを用いた方法等いずれでもよい。転写は、紙
やOHP用フィルム等に対して直接行っても良いし、一
旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写した
のちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
【0048】通常、転写の後、現像剤を紙などに定着さ
せる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的
に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができ
る。これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリー
ニング、除電等のプロセスを有しても良い。
【0049】次に本発明に用いられるポリアリレート樹
脂について説明する。本発明に用いられるアリレート樹
脂は、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される構
造単位を含み、n/(m+n)>0.5であり、該ポリ
アリレート樹脂が、全結着樹脂中30重量%を超えるこ
とを特徴とする。
【0050】
【化5】
【0051】(一般式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独
立に水素原子、置換されていても良いアルキル基を示
し、Zは2価の結合基を示す。 但しR1〜R8のうち少
なくとも1つは置換されていても良いアルキル基であ
る。一般式(2)中、Y、Zは2価の結合基を示し、一
般式(2)は一般式(1)とは異なる構造を表す。) 一般式(1)中のnと一般式(2)のmについては、
0.5<n/(m+n)≦1の範囲、好ましくは0.7
5<n/(m+n)≦1の範囲、特に好ましくは0.9
<n/(m+n)≦1の範囲である。n/(m+n)の
値が0.5以下であると、感光体としたときの電気特
性、特に応答性が低下し、さらに表面滑り性が悪化して
好ましくない。
【0052】一般式(1)中、R1〜R8は、各々独立に
水素原子、置換されていても良いアルキル基を表すが、
アルキル基としては、アルキル基は例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、シクロブチル基の炭素数1〜4のアルキル基が
好ましく、これらの置換基としては、フッ素原子、塩素
原子等のハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアル
コキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基が挙げられる
が、無置換のアルキル基が好ましい。中でも、メチル基
およびエチル基が更に好ましく、メチル基が最も好まし
い。
【0053】R1〜R8の内少なくとも1つは置換されて
いても良いアルキル基であるが、置換されていても良い
アルキル基は、R1〜R8のうち2〜4個が好ましく、中
でも4個が更に好ましい。
【0054】Zは2価の結合基を表すが、結合基として
は例えば、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、
炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基が挙げられ、
好ましくはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン
基、−(CH2)n−(n=1〜10)、−CH=CH
−であり、特に好ましくはフェニレン基、−CH=CH
−が用いられる。また、Zがフェニレン基の場合は、ポ
リアリレート樹脂を構成するジカルボン酸構造単位がフ
タル酸及びその異性体であることを意味するが、この場
合、2種類以上のカルボン酸構造単位からなることが溶
解性の点から好ましい。更に具体的には、テレフタル酸
とイソフタル酸の両方をカルボン酸構造単位として有す
ることが好ましい。
【0055】一般式(2)中のYは2価の結合基を表
し、これにより、ポリアリレート樹脂に用いられるジヒ
ドロキシ構造単位を示すが、これらは、一般式(1)中
のジヒドロキシ構造単位とは異なる構造を有するもので
ある。
【0056】本発明に用いられるポリアリレート樹脂の
製造方法として、公知の重合方法を用いることができ、
界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられ
る。例えば、界面重合法による製造の場合は、1種類以
上の二官能性フェノール成分、ビスフェノール成分、ジ
オール成分(一般式(1)または一般式(2)のジヒド
ロキシ構造単位を誘導する化合物)をアルカリ水溶液に
溶解した溶液と、1種類以上の芳香族ジカルボン酸クロ
ライド成分(一般式(1)及び(2)のジカルボン酸構
造単位を誘導する化合物)を溶解したハロゲン化炭化水
素の溶液とを混合する。
【0057】この際、触媒として、四級アンモニウム塩
もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能で
ある。重合温度は0〜40℃の範囲、重合時間は2〜1
2時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終
了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解している
ポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、
目的とする樹脂を得られる。
【0058】ここで用いられるアルカリ成分としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量と
しては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.
0〜3倍当量の範囲が好ましい。また、ここで用いられ
る、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げ
ることができる。
【0059】触媒として用いられる四級アンモニウム塩
もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミ
ンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩
酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアン
モニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウム
クロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライ
ド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチ
ルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム
ブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライ
ド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチル
オクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピ
リジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライ
ドなどが挙げられる。
【0060】ビスフェノール成分のうち、一般式(1)
のジヒドロキシ構造単位を誘導する化合物の好ましい具
体例としては、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)メタン(Tmf)、ビス−(4−ヒドロ
キシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン(Xf)、ビ
ス−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)メタン、
ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン
が挙げられる。
【0061】一般式(2)におけるジヒドロキシ構造単
位を誘導する、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ハ
イドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシ
ナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3
−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフ
タレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジ
ヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BP
F)、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2
−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン(BPE)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(BPA)、2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン(BPZ)、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−
4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3
−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(BPQ)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)エタン(Ce)、2,2−ビス
−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
(BPC)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−
ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチルフェニル)エタン(Xe)、2,2−ビス
−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン(Tma)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−
3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BP
P)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジベンジルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル(BPO)、4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、フェノールフタルレイン、4,4'−[1,4
−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェ
ノール、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチ
ルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙
げられる。
【0062】これらの中で好ましい化合物は、ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BPF)、1,1
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BP
E)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(BPA)、2,2−ビス−(3−フェニル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(BPQ)、1,1−ビ
ス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BP
Z)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)エタン(Ce)、2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン(BPC)、1,
1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)エタン(Xe)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(Tma)、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルエタン(BPP)が挙げられる。
【0063】また、一般式(2)におけるジヒドロキシ
構造単位を誘導する、脂肪族ジヒドロキシ化合物として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ペン
タメチレンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,
5−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、
1,5−ヘプタンジオール、ヘプタメチレンジオール、
オクタメチレンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカメチレングリコール、1,6−シクロヘ
キサンジオール等が挙げられるが、好ましくはエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オールが挙げられる。
【0064】上記の、一般式(1)及び一般式(2)に
おけるジヒドロキシ構造単位を誘導するジヒドロキシ化
合物は、ポリアリレート樹脂においてn/m+n>0.
5となるように、使用量を調節して用いられる。
【0065】また、この重合の際に分子量調節剤として
フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エ
チルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、
o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノ
ール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニ
ルフェノール、等のアルキルフェノール類、o,m,p
−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸
クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベ
ンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンス
ルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼン
ホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性の酸
ハロゲン化物を存在させても良い。
【0066】重合後の樹脂の精製方法は樹脂の溶液を水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液、
塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液、水等で洗浄した後、
静置分離、遠心分離等により分液しても良い。また生成
した樹脂の溶液を樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法
或いは、樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する
方法或いは樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等
により精製しても良い。
【0067】精製後の樹脂は、樹脂が不溶の水、アルコ
ールその他有機溶媒中に析出させるか、樹脂の溶液を温
水または樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加
熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出して
もよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離基、
濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。
【0068】得られた樹脂は、通常樹脂の分解温度以下
の温度で乾燥するが好ましくは20℃以上樹脂の溶融温
度以下で減圧下で乾燥する。乾燥時間は残存溶媒等不純
物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うが、通常
は残存溶媒が1000ppm以下、好ましくは300p
pm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時
間以上乾燥する。
【0069】本発明に用いられるポリアリレート樹脂
は、粘度平均分子量が10,000以上300,000
以下であるが、好ましくは15,000以上100,0
00以下さらに好ましくは20,000以上50,00
0以下である。粘度平均分子量が10,000未満であ
ると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,
000以上であると、適当な膜厚に塗布する事が困難で
ある。
【0070】また、本発明に用いられるポリアリレート
樹脂は、他の樹脂と混合して、電子写真感光体に用いる
ことも可能である。ここで混合される他の樹脂として
は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキ
シ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々
の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかで
もポリカーボネート樹脂が好ましいものとして挙げられ
る。
【0071】本発明において、ポリアリレート樹脂を他
の樹脂と混合して結着樹脂として用いる場合、本発明の
ポリアリレート樹脂の含有量は全結着樹脂中30重量%
以上、好ましくは50重量%以上さらに好ましくは70
重量%以上である。本発明のポリアリレート樹脂が30
重量%以下であると十分な表面滑り性、耐摩耗性、良好
な電気特性を示さず好ましくない。
【0072】また、本発明のポリアリレート樹脂は一般
式(1)、一般式(2)の構造と他の樹脂との共重合体
でも良い。共重合形式はブロック、グラフト、マルチブ
ロック共重合体でも良い。ここで共重合される他の樹脂
構造としてはポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ
スルホン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、ポ
リシロキサン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリオレフ
ィン等の種々の樹脂が挙げられる。特に好ましくはポリ
カーボネート樹脂である。
【0073】
【実施例】以下、本発明を製造例、実施例及び比較例に
よりさらに詳細に説明する。なお、本発明はここに示し
た製造例による製造法に限定されるものではない。
【0074】[ポリアリレート樹脂の製造] 製造例1(実施例1のポリアリレート樹脂Aの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(8.06g)と水
(282ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.3372g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.0989g)およびビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチ
ルビスフェノールF] (19.84g)の順に添加、攪
拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0075】別途、イソフタル酸クロライド(4.82
g)、テレフタル酸クロライド(11.24g)をジク
ロロメタン(141ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.7ml)、ジクロロメタン(140m
l)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機
層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム
水溶液(210ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1
N塩酸(210ml)にて洗浄を2回行い、さらに水
(210ml)にて洗浄を2回行った。
【0076】洗浄後の有機層をメタノール(2000m
l)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥
して目的のポリアリレート樹脂Aを得た。得られたポリ
アリレート樹脂Aの粘度平均分子量は26,900であ
った。構造式を以下に示す。
【0077】
【化6】
【0078】製造例2(実施例2のポリアリレート樹脂
Bの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)と水
(600ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.3035g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.0890g)およびビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチ
ルビスフェノールF] (17.86g)の順に添加、攪
拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0079】別途、イソフタル酸クロライド(7.22
g)、テレフタル酸クロライド(7.22g)をジクロ
ロメタン(300ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.4ml)、ジクロロメタン(100m
l)及び水(100ml)を加え30分攪拌した。その
後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.
1N水酸化ナトリウム水溶液(600ml)にて洗浄を
2回行い、次に0.1N塩酸(600ml)にて洗浄を
2回行い、さらに水(600ml)にて洗浄を2回行っ
た。
【0080】洗浄後の有機層をメタノール(2000m
l)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥
して目的のポリアリレート樹脂Bを得た。得られたポリ
アリレート樹脂Bの粘度平均分子量は37,900であ
った。構造式を以下に示す。
【0081】
【化7】
【0082】製造例3(実施例3のポリアリレート樹脂
Cの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(4.96g)と水
(400ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.2053g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.0602g)および2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン [ビスフェノールA]
(2.30g)、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)メタン [テトラメチルビスフェノール
F] (9.67g)の順に添加、攪拌した後、このアル
カリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0083】別途、イソフタル酸クロライド(4.89
g)、テレフタル酸クロライド(4.89g)をジクロ
ロメタン(200ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(1.61ml)、ジクロロメタン(100
ml)及び水(50ml)を加え30分攪拌した。その
後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.
1N水酸化ナトリウム水溶液(450ml)にて洗浄を
2回行い、次に0.1N塩酸(450ml)にて洗浄を
2回行い、さらに水(450ml)にて洗浄を2回行っ
た。
【0084】洗浄後の有機層に塩化メチレン200ml
を加え、メタノール(2000ml)に注いで得られた
沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリアリレ
ート樹脂Cを得た。得られたポリアリレート樹脂Cの粘
度平均分子量は38,100であった。構造式を以下に
示す。
【0085】
【化8】
【0086】製造例4(実施例4のポリアリレート樹脂
Dの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.55g)と水
(600ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.1089g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.0926g)およびビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチ
ルビスフェノールF] (18.58g)の順に添加、攪
拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0087】別途、フマル酸クロライド(3.40
g)、テレフタル酸クロライド(10.52g)をジク
ロロメタン(300ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.5ml)、ジクロロメタン(150m
l)及び水(75ml)を加え30分攪拌した。その
後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.
1N水酸化ナトリウム水溶液(675ml)にて洗浄を
2回行い、次に0.1N塩酸(675ml)にて洗浄を
2回行い、さらに水(675ml)にて洗浄を2回行っ
た。
【0088】洗浄後の有機層をメタノール(2000m
l)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥
して目的のポリアリレート樹脂Dを得た。得られたポリ
アリレート樹脂Dの粘度平均分子量は26,800であ
った。構造式Cを以下に示す。
【0089】
【化9】
【0090】製造例5(比較例1のポリアリレート樹脂
Eの製造法) 製造例3において2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン [ビスフェノールA] を6.18g、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン
[テトラメチルビスフェノールF] を5.50gに変え
た以外は製造例3と同様に行い目的のポリアリレート樹
脂Eを得た。得られたポリアリレート樹脂Eの粘度平均
分子量は57,700であった。構造式を以下に示す。
【0091】
【化10】
【0092】製造例6(比較例2のポリアリレート樹脂
Fの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(6.77g)と水
(600ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.2830g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.0830g)および2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン
[テトラメチルビスフェノールA] (18.48g)の
順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応
槽に移した。
【0093】別途、イソフタル酸クロライド(4.04
g)、テレフタル酸クロライド(9.43g)をジクロ
ロメタン(300ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.23ml)、ジクロロメタン(150
ml)及び水(75ml)を加え30分攪拌した。
【0094】その後、攪拌を停止し有機層を分離した。
この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(810
ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(810
ml)にて洗浄を2回行い、さらに水(810ml)に
て洗浄を2回行った。洗浄後の有機層をメタノール(1
500ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出
し、乾燥して目的のポリアリレート樹脂Fを得た。得ら
れたポリアリレート樹脂Fの粘度平均分子量は12,4
00であった。構造式を以下に示す。
【0095】
【化11】
【0096】製造例7(比較例3のポリアリレート樹脂
Gの製造法) 1Lビーカーに水酸化ナトリウム(8.48g)と水
(600ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌
し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール
(0.3548g)、ベンジルトリエチルアンモニウム
クロライド(0.1040g)およびビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン [ビスフェノールF] (16.3
1g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を
2L反応槽に移した。
【0097】別途、イソフタル酸クロライド(5.10
g)、テレフタル酸クロライド(11.81g)をジク
ロロメタン(300ml)に溶解し滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.8ml)、ジクロロメタン(150m
l)及び水(75ml)を加え30分攪拌した。その
後、攪拌を停止し有機層を分離した。
【0098】この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水
溶液(810ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N
塩酸(810ml)にて洗浄を2回行い、さらに水(8
10ml)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層をメ
タノール(1500ml)に注いで得られた沈殿物を濾
過にて取り出し、乾燥して目的のポリアリレート樹脂G
を得た。得られたポリアリレート樹脂Gは有機溶媒に不
溶であった。得られた樹脂の推定構造を以下に示す。
【0099】
【化12】
【0100】[粘度平均分子量]ポリアリレート樹脂を
ジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液
を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が
136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、
20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間
tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを
算出した。
【0101】
【数1】 a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1 b=100×ηsp/C C=6.00(g/L) η=b/a Mv=3207×η1.205
【0102】[実施例1] 感光体の製造 (電荷発生層の製造)β型オキシチタニウムフタロシア
ニン10重量部を、4−メトキシ−4−メチルペンタノ
ン−2 150重量部に加え、サンドグラインドミルに
て粉砕分散処理を行った。
【0103】また、ポリビニルブチラール(電気化学工
業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の
5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部及びフェ
ノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKH
H)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部を
混合してバインダー溶液を作製した。先に作製した顔料
分散液160重量部に、バインダー溶液100重量部、
適量の1,2−ジメトキシエタンを加え最終的に固形分
濃度4.0%の分散液を調製した。
【0104】この様にして得られた分散液を表面にアル
ミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に膜
厚が0.4μmになるように塗布して電荷発生層を設け
た。 (電荷輸送層の製造)次にこのフィルム上に、次に下記
に示す電荷輸送材料[1]60部、および製造例1で製
造した粘度平均分子量26,900のポリアリレート樹
脂A100部、およびレベリング剤としてシリコーンオ
イル0.03部をトルエン、テトラヒドロフランの混合
溶媒に溶解させた液を塗布し、125℃で20分間乾燥
し、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を
設けた。このときポリアリレート樹脂の溶解性は良好で
あった。 こうして得られた感光体で以下の評価を行っ
た。
【0105】
【化13】
【0106】[摩擦試験]トナーを上記で作成した感光
体の上に0.1mg/cm2となるよう均一に乗せ接触
させる面にクリーニングブレードと同じ材質のウレタン
ゴムを1cm幅に切断したものを用い45度の角度で用
い、荷重200g、速度5mm/sec、ストローク2
0mmでウレタンゴムを100回移動させたときの10
0回目の動摩擦係数を協和界面化学(株)社製全自動摩
擦摩耗試験機DFPM−SSで測定した。結果を第1表
に示す。
【0107】[摩耗試験]感光体フィルムを直径10c
mの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)
により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50
%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重
なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試
験前後の重量を比較することにより測定した。結果を第
1表に示す。
【0108】[電気特性]電子写真学会測定標準に従っ
て作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の
基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−40
5頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラ
ムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感
光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラム
を一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電
のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、
初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除
電は660nmの単色光を用い、780nmの光を2.
4μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定
した。VL測定に際しては、露光−電位測定に要する時
間を139msとした。測定環境は、温度5℃、相対湿
度10%下(L/L)及び温度25℃、相対湿度50%
下(N/N)で行った。結果を第1表に示す。この表面
電位(VL)の値の絶対値が小さいほど、応答性が良い
ことを示す。
【0109】[実施例2]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例2で製造した粘度平均分子量37,9
00のポリアリレート樹脂Bを用いた以外は、実施例1
と同様の操作を行い、感光体を製造した。このときポリ
アリレート樹脂Bの溶解性は良好であった。得られた感
光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例
1と同様の方法により同条件で行った。結果を第1表に
示す。
【0110】[実施例3]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例3で製造した粘度平均分子量38,1
00のポリアリレート樹脂Cを用いた以外は、実施例1
と同様の操作を行い、感光体を製造した。このときポリ
アリレート樹脂Cの溶解性は良好であった。得られた感
光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例
1と同様の方法により同条件で行った。結果を第1表に
示す。
【0111】[実施例4]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例4で製造した粘度平均分子量26,8
00のポリアリレート樹脂Dを用いた以外は、実施例1
と同様の操作を行い、感光体を製造した。このときポリ
アリレート樹脂Dの溶解性は良好であった。得られた感
光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例
1と同様の方法により同条件で行った。結果を第1表に
示す。
【0112】[実施例5]実施例1の感光体の製造にお
いて電荷輸送材料[1]60部を以下の電荷輸送材料
[2]40部に変えた以外は実施例1と同様に感光体を
製造した 得られた感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評
価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果
を第2表に示す。
【0113】
【化14】
【0114】[比較例1]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例5で製造した粘度平均分子量57,7
00のポリアリレート樹脂Eを用いた以外は、実施例1
と同様の操作を行った。このときポリアリレート樹脂E
の溶解性は良好であった。得られた感光体の摩擦試験、
摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法に
より同条件で行った。結果を第1表に示す。
【0115】[比較例2]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例6で製造した粘度平均分子量12,4
00のポリアリレート樹脂Fを用いた以外は、実施例1
と同様の操作を行った。このときポリアリレート樹脂F
の溶解性は良好であった。得られた感光体の摩擦試験、
摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法に
より同条件で行った。結果を第1表に示す。
【0116】[比較例3]実施例1中のポリアリレート
樹脂Aを、製造例6で製造したポリアリレート樹脂Gを
用いた以外は、実施例1と同様に感光体の作成を試みた
が、ポリアリレート樹脂Gは塗布溶液に不溶であったた
め感光体を得ることができなかった。
【0117】[比較例4]実施例5において実施例5の
ポリアリレート樹脂A100部を、実施例5のポリアリ
レート樹脂A25部と以下に示すポリカーボネート樹脂
A75部の混合物に変え、トルエン、テトラヒドロフラ
ン混合溶媒をジオキサン、テトラヒドロフラン混合溶媒
に変えた以外は実施例5と同様に感光体を作成した。得
られた感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価
を実施例5と同様の方法により同条件で行った。結果を
第2表に示す。
【0118】
【化15】
【0119】[比較例5]実施例5の感光体の製造にお
いて実施例5中のポリアリレート樹脂Aを、比較例4の
ポリカーボネート樹脂Aに変えた以外は、比較例4と同
様に感光体を作成した。得られた感光体の摩擦試験、摩
耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法によ
り同条件で行った。結果を第2表に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】第1表中、バインダー樹脂共重合組成における
略号は以下の化合物を表す。 TmBPF:ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)メタン BPA :2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン TmBPA:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチルフェニル)プロパン BPF :ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン IPA :イソフタル酸 TPA :テレフタル酸
【0122】
【表3】
【0123】以上の結果より、特定のポリアリレート樹
脂を用いることにより、電気的特性を良好に維持したま
ま、耐摩耗性及び滑り性等の機械物性に優れた電子写真
感光体が得られることがわかる。
【0124】
【発明の効果】本発明の特定構造のポリアリレート樹脂
は、非ハロゲン系溶媒にも高い溶解性/塗布液の安定性
を有し、また、この樹脂を用いることにより、電気特性
が良好で且つ機械的強度及び滑り性に優れた電子写真感
光体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/06 321 G03G 5/06 321 (72)発明者 三森 光幸 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 藤井 章照 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 臨 護 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 2H068 AA13 AA20 AA37 BA13 BA21 BB20 BB27 BB52 BB53 FA03 FA04 4J002 CF161 EB016 EB106 EE056 EN026 EN056 ES006 ET006 EU026 EU116 EU126 EU216 EU226 EV326 FD116 GF00 GH00 GP03 GQ00 HA05 4J029 AA03 AA04 AB05 AB07 AC02 AD01 AE18 BA02 BA03 BA05 BA07 BA08 BB05A BB05B BB12A BB12B BB12C BB13A BB13B BB13C BB16A BB16B BC05A BC06A BD06A BD09A BF14A BH02 CB05A CB06A DB13 FA07 FA16 HA01 HB01 JC091 JC231 JC631 KA01 KD01 KE05 KE09 KE11 KH05 KH08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に少なくとも感光層を有す
    る電子写真感光体において、該感光層の結着樹脂が、下
    記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を
    有するポリアリレート樹脂を含み、n/(n+m)>
    0.5であり、該ポリアリレート樹脂が、全結着樹脂中
    30重量%を超えることを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (一般式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原
    子、置換されていても良いアルキル基を示し、Zは2価
    の結合基を示す。 但しR1〜R8のうち少なくとも1つ
    は置換されていても良いアルキル基である。一般式
    (2)中、Y、Zは2価の結合基を示し、一般式(2)
    は一般式(1)とは異なる構造を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R2、R4
    5、R7が水素原子であり、R1、R3、R6、R8が置換
    されていても良いアルキル基である請求項1に記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R2、R4
    5、R7が水素原子であり、R1、R3、R6、R8がメチ
    ル基である請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 一般式(1)及び一般式(2)におい
    て、Zがフェニレン基である請求項1乃至3に記載の電
    子写真感光体。
  5. 【請求項5】 ポリアリレート樹脂が二種類以上のジカ
    ルボン酸構造単位含むことを特徴とする請求項1乃至4
    に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 n/(n+m)>0.75である請求項
    1乃至5に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 n/(n+m)>0.9である請求項1
    乃至5に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が
    15,000以上100,000以下であることを特徴
    とする請求項1乃至7に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 感光層に、電荷移動剤として、ヒドラゾ
    ン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブ
    タジエン誘導体、または前記誘導体が複数結合した化合
    物の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項
    1乃至8に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 感光層に、電荷移動剤として、下記一
    般式(3)で表される芳香族アミン化合物を含有する請
    求項9に記載の電子写真感光体。 【化2】 (一般式(3)中、Ar1〜Ar4は各々独立して、置換
    基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有して
    いても良い2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6は、m
    1=0、m2=0の時はそれぞれ、置換基を有していても
    良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール
    基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、
    m1=1、m2=1の時はそれぞれ、置換基を有していて
    も良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリー
    レン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を
    表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R9〜R
    16は各々独立して水素原子、置換基を有していても良い
    アルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置
    換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有して
    いても良い複素環基を表す。n1〜n4は各々独立して0
    乃至4の整数を表す。また、m1、m2は各々独立して0
    又は1を表す。また、Ar1〜Ar6は互いに結合して環
    状構造を形成しても良い。)
  11. 【請求項11】 感光層が、電荷発生層と電荷移動層が
    積層したものである請求項1乃至10に記載の電子写真
    感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004093810A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008033145A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

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