JP2002011618A - ネジ加工用工具及びこれを用いたネジ加工方法 - Google Patents

ネジ加工用工具及びこれを用いたネジ加工方法

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JP2002011618A
JP2002011618A JP2000303505A JP2000303505A JP2002011618A JP 2002011618 A JP2002011618 A JP 2002011618A JP 2000303505 A JP2000303505 A JP 2000303505A JP 2000303505 A JP2000303505 A JP 2000303505A JP 2002011618 A JP2002011618 A JP 2002011618A
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annular
groove
screw
convex portion
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Fumio Matsunaga
文夫 松永
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ネジ加工用工具が高温となって短期間に変形が
発生し、これによってネジ溝にクラック等の傷がついて
しまう。 【解決手段】柱状体2の外周面に、外周が円形をなす複
数の環状凸部3を所定のピッチPで形成するとともに、
該環状凸部3の表面にヌープ硬度が40GPa以上の硬
質膜4を被着させてなるネジ加工用工具1であって、前
記各環状凸部3に柱状体2の軸方向に沿って溝部5を刻
設するとともに、該環状凸部3を平面視したとき各環状
凸部3の溝部5に接する先端角部が鈍角であることを特
徴とするネジ加工用工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミナ質焼結
体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体、ガラス、サ
ファイア等のセラミックス、或いは超硬合金等の難削材
にネジ加工を施すための工具、及びそれを用いたネジ加
工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばセラミックスから成る被削
材にネジ溝を形成する場合、セラミックスは非常に硬
く、焼成後のセラミックスの焼結体にネジ溝を形成する
のが困難であることから、通常は焼成前の成形体に予め
切削加工によってネジ溝を形成しておき、その後、成形
体を焼成するという方法が取られている。
【0003】ところが、焼成前の成形体にネジ溝を形成
したものは、焼成収縮のバラツキにより形状が変形した
り、寸法誤差が生じ、高精度なネジ溝を得られないとい
う欠点を有していた。そこで、上記欠点を解消するため
に、図6に示すように、特殊なネジ加工用工具を準備し
セラミックスの焼結体にネジ溝を形成することが提案さ
れている(特開平5−245719公報参照)。
【0004】かかる焼結体へのネジ溝の形成は、図6に
示すような柱状体11の先端にネジ形成用の複数の環状
研削部12をネジピッチの整数倍で同軸上に連接したネ
ジ加工用工具を用いて行われ、焼結体に予め円柱状の孔
を穿設しておくとともに、該孔内に前記ネジ加工用工具
を挿入させ、しかる後、環状研削部12を孔の内壁面に
回転させつつ押圧させ、同時にネジピッチに合わせたら
せん状の相対的な移動を行わせることによって、孔の内
壁面に所定ピッチのネジ溝が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ネジ加工用工具を用いて焼結体にネジ溝を形成する場
合、環状研削部12の一部を焼結体に穿設された孔の内
壁面に密着させたままネジ溝を形成するため、環状研削
部12の温度が焼結体との摩擦によって非常に高温とな
るとともに環状研削部12の硬度が低くなってしまい、
その結果、環状研削部12に短期間に変形が発生し、該
環状研削部12の変形によって、焼結体のネジ溝にクラ
ック等の傷が付いて焼結体の機械的強度が大きく劣化し
てしまうという欠点を有していた。
【0006】そこで、焼結体に設けた孔の内壁面への環
状研削部12の押圧力を弱めたり、環状研削部12のら
せん状の移動を小さくし、該環状研削部12に加わる負
荷を小さくして高温となるのを防止することができる。
【0007】しかしながら、環状研削部12に加わる負
荷を小さくすると、ネジ溝の形成効率が低下するという
欠点が誘発されてしまう。
【0008】また、焼結体に設けられた孔の内壁面に環
状研削部12によりネジ溝を形成する際、研削液を兼ね
る冷却除去用水を供給し、環状研削部12と焼結体との
摩擦による熱の発生を抑制することが考えられる。
【0009】しかしこれも、ネジ溝の加工部において環
状研削部12は孔の内壁面に密着しているため、研削液
を兼ねる冷却除去用水を供給しても、該研削液は加工部
に充分入り込まず、その結果、摩擦による熱の発生は思
っているほど抑制されない。
【0010】本発明は上述の欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的はセラミックスの焼結体等の硬くて加工が
難しい難削材に高精度なネジ溝を長期間にわたって形成
することが可能なネジ加工用工具及びこれを用いたネジ
加工方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、柱状体の外周
面に、外周が円形をなす複数の環状凸部を所定のピッチ
で形成するとともに、該環状凸部の表面にヌープ硬度が
40GPa以上の硬質膜を被着させてなるネジ加工用工
具であって、前記各環状凸部に柱状体の軸方向に沿って
溝部を刻設するとともに、該環状凸部を平面視したとき
各環状凸部の溝部に接する先端角部が鈍角であることを
特徴とするものである。
【0012】また、本発明は前記溝部が刻設された各環
状凸部を平面視したとき各環状凸部の全面積と溝部の全
面積の比率が50:1〜7:3であることを特徴とする
ものである。
【0013】更に、また前記柱状体の中心に貫通する貫
通孔を設けたことを特徴とするものである。
【0014】また更に、前記柱状体の前記環状凸部を平
面視したときの溝部に対応する位置に供給孔を設けたこ
とを特徴とするものである。
【0015】また、前記各環状凸部の溝部に、貫通孔に
連通するとともに柱状体の中心に対して垂直な連通孔を
設け、且つ該連通孔は少なくとも前記環状凸部の数の2
分の1個以上等配されていることを特徴とするものであ
る。
【0016】更にまた、本発明は被削材に円柱状の孔を
穿設し、該孔内に前記ネジ加工用工具を挿入させ、前記
貫通孔又は供給孔から1MPa以上の圧力で研削液を供
給するとともにネジ加工用工具を回転させながら、且つ
孔の内壁面に沿ってネジ加工用工具の環状凸部のピッチ
分だけ、らせん状に相対的に押圧移動させることによっ
て前記孔の内壁面にネジ溝を形成することを特徴とする
ものである。
【0017】本発明によれば、柱状体の外周面に、表面
がヌープ硬度40GPa以上の硬質膜で被覆されている
環状凸部を形成したこと、該環状凸部に柱状体の軸方向
に沿って溝部を刻設したこと、また前記柱状体の中心に
貫通する貫通孔を設けたこと、前記柱状体の前記環状凸
部を平面視したときの溝部に対応する位置に供給孔を設
けたこと、前記各環状凸部の溝部に、前記貫通孔に連通
するとともに柱状体の中心に対して垂直な連通孔を設け
たこと等から、難削材に設けた孔の内壁面に研削液を供
給しつつネジ溝の加工を行なえば、研削液が溝部に取り
込まれて環状凸部と難削材との間に充分に入り込み、そ
の結果、環状凸部と難削材との摩擦による熱の発生が有
効に抑制されて難削材に高精度なネジ溝を効率よく形成
することができる。特に、環状凸部を平面視したとき環
状凸部の全面積と溝部の全面積の比率が50:1〜7:
3となるようにしておくと、研削液の入り込みが極めて
良好となるとともに環状凸部の機械的強度が強いものと
なって難削材に高精度なネジ溝をより一層効率よく形成
することが可能となる。
【0018】また、本発明によれば、環状凸部を平面視
したとき各環状凸部の溝部に接する先端角部を鈍角にし
たことから、環状凸部の機械的強度が強くなり、難削材
にネジ溝を形成する際、環状凸部に応力が加わったとし
ても破損するのが有効に防止され、難削材にネジ溝を長
期間にわたって形成することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付図
面によって説明する。
【0020】図1(a)(b)は、本発明のネジ加工用
工具の一実施形態を示し、ネジ加工用工具1は、柱状体
2と、該柱状体2の先端部外周面に設けられた複数の環
状凸部3とから形成されている。
【0021】前記柱状体2は環状凸部3を支持する支持
部材として作用するとともに環状凸部3に一定の回転、
一定のらせん状の移動を伝達する作用をなす。
【0022】前記柱状体2は、例えば超硬合金、SK材
等の硬度の高い金属材料で形成されている。
【0023】また、前記柱状体2は、その先端外周面
に、外周径が9.60mm、7.80mm、6.10m
m、4.40mm等の円形をなすそろばん玉の形をした
複数の環状凸部3が所定のピッチPで形成配置されてお
り、該環状凸部3は、柱状体2に対し旋盤による研削を
施すことによって形成される。
【0024】また、前記複数の環状凸部3の配置はセラ
ミックスや超硬合金等の難削材からなる被削材に形成す
るネジ溝のピッチに対応した所定ピッチとなっている。
【0025】さらに、前記各環状凸部3はその表面にヌ
ープ硬度40GPa以上の硬質膜4が被着されており、
該硬質膜4は各環状凸部3を保護するとともに被削材に
対しネジ溝を形成する作用をなす。
【0026】前記硬質膜4はダイヤモンド粉末やCBN
等のヌープ硬度が40GPa以上の高硬度の粉末からな
り、電着槽内で導電性を持つホイール本体の表面に、ダ
イヤモンドあるいはCBN砥粒を散布してニッケル電気
メッキにより砥粒を保持固定する電着法の他、レジンボ
ンド、メタルボンド、ピドリファイドボンド等によって
各環状凸部3の表面に所定厚みに被着される。
【0027】なお、前記硬質膜4はそのヌープ硬度が4
0GPa未満となると、被削材にネジ溝を形成する際、
硬質膜4が短時間に摩耗してしまい、その結果、被削材
に対し、高精度なネジ溝を長期間にわたって形成するこ
とができなくなる。従って、前記硬質膜4のヌープ硬度
は40GPa以上のものに特定される。
【0028】また、前記硬質膜4に用いられるダイアモ
ンドの粒径は、#70〜#300のダイヤモンド砥粒を
用いることが好ましいまた、前記各環状凸部3は、その
各々に柱状体2の軸方向に沿って断面V字状、或いは断
面U字状の溝部5が複数形成されている。
【0029】前記溝部5は、被削材に設けた孔の内壁面
に研削液を供給しつつ環状凸部3を回転押圧させてネジ
溝を形成する際、研削液を被削材に設けた孔の内壁面と
環状凸部3との間に充分に入り込ませ、被削材と環状凸
部3との摩擦による熱の発生を有効に抑制する作用をな
し、該溝部5による被削材と環状凸部3間への研削液の
入り込みによって被削材に高精度なネジ溝の形成を効率
よく行うことができる。
【0030】前記溝部5は、各環状凸部3に対し、例え
ば、放電加工を施すことによって断面V字状、或いは断
面U字状で柱状体2の軸方向に沿って形成される。
【0031】前記放電加工によって溝部5を形成する
と、加工電極と加工物との間に放電を起こさせ、放電付
近を非常な高温にさらして加工物を加熱溶融し、同時に
生じる高い放電圧力によって気化部を飛散させる動作を
繰り返して加工するため、溝部5を形成する際にその周
囲に発生するバリの高さを50μm未満と小さくするこ
とが可能となり、被削材に形成したネジ溝の寸法精度が
±0.04%以上の高精度なネジ溝を得ることができ
る。
【0032】また、前記溝部5が形成された環状凸部3
は図1(b)に示すようにそれを平面視した時、環状凸
部3の溝部5に接する先端角部の角度βが鈍角(90≦
β≦180)となっている。そのため、この環状凸部3
を被削材に回転させながら押圧してネジ溝を形成する
際、環状凸部3の機械的強度が強くなって、被削材にネ
ジ溝を長期間にわたって形成することが可能となる。
【0033】なお、前記環状凸部3の溝部5に接する先
端角部の角度βが90°未満の鋭角なものとなると、被
削材にネジ溝を形成する際、環状凸部3の先端角部に応
力が集中して破損が容易に発生し、長期間の使用に供す
ることができなくなる。従って、前記環状凸部3の溝部
5に接する先端角部の角度βは鈍角なものに限定され
る。
【0034】また、前記溝部5が形成された環状凸部3
は、それを平面視したとき環状凸部3の全面積と溝部5
の全面積の比率を50:1〜7:3としておくと、被削
材に設けた孔の内壁面に研削液を供給しつつ環状凸部3
を回転押圧させてネジ溝を形成する際、被削材と環状凸
部3との間への研削液の入り込みを極めて良好となすと
ともに環状凸部3の機械的強度を強いものとして被削材
に高精度なネジ溝をより一層効率よく長期間にわたって
形成することが可能となる。
【0035】前記環状凸部3の全面積に対し溝部5の全
面積が1/50未満となると、溝部5が小さくなって、
研削液を被削材と環状凸部3との間に充分入り込ませる
ことができず、環状凸部3が不要に高温となってしまう
危険性があり、また3/7を超えると、環状凸部3の面
積が狭くなるとともに、機械的強度が弱くなり、ネジ溝
を形成する際に破損等が発生し易くなる危険性がある。
従って、前記溝部5が形成された環状凸部3の全面積と
溝部5の全面積の比率は50:1〜7:3としておくこ
とが好ましい。
【0036】次に、本発明の他の実施形態を図面に基づ
いて説明する。
【0037】図2(a)、(b)は、本発明のネジ加工
用工具の他の実施形態を示す図であり、図中において前
述の実施形態と同一箇所には同一の符号が付してある。
【0038】このネジ加工用工具1は、柱状体2と、該
柱状体2の外周面に所定のピッチPで設けられた複数の
環状凸部3とから形成されており、且つ前記各環状凸部
3には、その各々に柱状体2の軸方向に沿って断面V字
状、或いは断面U字状の溝部5が複数形成されるととも
に、柱状体2の中心に貫通する貫通孔6が穿設されてい
る。
【0039】前記貫通孔6は、冷却除去を行う水や潤滑
油等の研削液を供給する作用をなし、例えば、マシニン
グセンタを用いて所定の径を有するドリルによって穿設
される。
【0040】また、前記貫通孔6は、被削材に設けた孔
の内壁面に研削液を供給しつつ環状凸部3を回転押圧さ
せてネジ溝を形成する際、前記貫通孔6より研削液を1
MPa以上の高圧で供給して孔内に充満させ、被削材と
環状凸部3との摩擦による熱の発生を有効に抑制する作
用をなし、各環状凸部3に設けられた溝部5による被削
材と環状凸部3間への研削液の入り込みをより一層増加
させ、被削材に高精度なネジ溝の形成を効率よく行うと
ともに工具寿命も大きく延ばすことが可能となる。
【0041】更に、前記貫通孔6と同様に、図3
(a)、(b)に示すような、柱状体2の前記環状凸部
3の溝部5に対応する位置に供給孔7を穿設することが
好ましい。
【0042】前記供給孔7から噴射された研削液は、高
圧で溝部5内に流入し、上述の貫通孔6と同様、ネジ溝
を形成する際、被削材と環状凸部3との摩擦による熱の
発生を有効に抑制する作用をなし、各環状凸部3に設け
られた溝部5による被削材と環状凸部3との間への研削
液の入り込みを一層増加させ、被削材に高精度なネジ溝
の形成を効率よく行うとともに、工具の寿命を延ばすこ
とができる。
【0043】また、前記貫通孔6及び供給孔7は、その
孔径を前記環状凸部3の外周径の5〜30%としておく
と、ネジ溝を形成する際被削材と環状凸部3との間への
研削液の入り込みを極めて良好となすとともに環状凸部
3の機械的強度を強いものとして被削材に高精度なネジ
溝をより一層効率良く長期間にわたって形成することが
可能となる。
【0044】前記貫通孔6及び供給孔7の径を環状凸部
の外周径の5%未満とすると、貫通孔6及び供給孔7へ
の研削液の入り込みが不充分となり、熱の発生を抑制す
る効果が低下する。一方、30%を超えると、ネジ加工
用工具1自体の機械的強度が低下し、ネジ溝を形成する
際に破損等が発生し易くなる危険性がある。従って、前
記貫通孔6及び供給孔7は、その径を環状凸部3の外周
径の5%〜30%としておくことが好ましい。
【0045】更に、図4(a)、(b)に示すように、
前記各環状凸部3の溝部5に、前記貫通孔6に連通する
とともに柱状体2の中心に対して垂直な連通孔8を設け
ることが好ましい。
【0046】前記連通孔8は、所定のピッチPで設けら
れた各環状凸部3上に設けられた溝部5に交互に環状凸
部3の数の2分の1以上の割合で等配されており、前記
貫通孔6から供給された研削液が連通孔8を経て高圧で
溝部5内に流入し、上述の貫通孔6及び供給孔7と同
様、被削材と環状凸部3との摩擦による熱の発生を有効
に抑制する作用をなし、各環状凸部3に設けられた溝部
5による被削材と環状凸部3間への研削液の入り込みを
より一層増加させ、被削材に高精度なネジ溝の形成を効
率よく行うことができる。
【0047】また、前記連通孔8は、その孔径を環状凸
部3のピッチPの25〜100%としておくと、ネジ溝
を形成する際、被削材と環状凸部3との間への研削液の
入り込みを極めて良好となすとともに環状凸部3の機械
的強度を強いものとして被削材に高精度なネジ溝をより
一層効率良く長期間にわたって形成することが可能とな
る。
【0048】前記連通孔8の径がピッチPの25%未満
となると、研削液の供給が不充分となり、一方、100
%を越えると、ネジ加工用工具1自体の強度が低下し、
工具寿命を低下させることとなる。従って、前記連通孔
8は、その径を環状凸部3のピッチPの25〜100%
とすることが好ましい。
【0049】なお、前記連通孔8の径は、貫通孔6の径
より小さくしておくことで該貫通孔6と連通して研削液
の入り込みを有効に行うことができる。
【0050】次に、図5(a)、(b)、(c)により
上述のネジ加工用工具1を用いてセラミックスの焼結体
から成る被削材にネジ溝を形成する方法について説明す
る。
【0051】先ず、図5(a)に示す如く、上面に孔を
有するセラミックスからなる被削材を準備するとともに
該被削材7の孔内にネジ加工用工具1を挿入する。
【0052】次に、図5(b)に示す如く、柱状体2を
外部の回転力付与手段により2500〜3500回転/
分の回転速度で回転させ、同時に柱状体2の外周面に形
成されている環状凸部3も同じ回転速度で回転させる。
【0053】そして、図5(c)に示す如く、貫通孔6
又は供給孔7等より研削液をプランジャーポンプ、ダイ
ヤフラムポンプ等の高圧ポンプを用い、圧送して高圧で
供給しつつ、この回転する環状凸部3を孔の内壁面に所
定の力で押圧させるとともに環状凸部3のピッチP分だ
けらせん状に相対的に移動させ、孔の内壁面の一部を環
状凸部3の硬質膜4により削りとることによって所定ピ
ッチのネジ溝が形成される。
【0054】なお、ネジ加工用工具1の環状凸部3に設
けた溝部5、更には貫通孔6、供給孔7及び連通孔8に
より供給する研削液は、1MPa以上の高圧で供給する
ことが好ましい。研削液の圧力が1MPa未満となる
と、ネジ溝を形成する際に発生するスラッジ(粉)の除去
や環状凸部3と被削材との間で発生する熱を除去するこ
とが不充分となり工具寿命の低下につながる。従って、
前記研削液は、1MPa以上で供給することによって、
被削材に予め穿設した孔の内壁面と環状凸部3との間に
研削液が充分に入り込み、被削材と環状凸部3との摩擦
が小さく、熱の発生が有効に抑制されるため、高精度な
ネジ加工が可能となる。
【0055】なお、本発明のネジ加工用工具は、上述の
実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲で種々の変更は可能であり、例えば、各種加工
機等に組み込むことは何ら差し支えない。
【0056】
【実施例】(実施例1)次に、本発明の作用効果を以下
の実施例に基づき説明する。
【0057】先ず、図1に示す形状で環状凸部を平面視
したとき環状凸部の全面積と溝部の全面積の比率が表1
に示す値となるネジ加工用工具試料を準備する。
【0058】なお、このネジ加工用工具の試料はピッチ
Pが0.8mm、環状凸部の外周径が3.5mm、環状
凸部の数が11個であり、且つ溝部として中心角が40
〜140°のV字状のものを2個設けて形成した。
【0059】また、環状凸部3の表面には#200〜#
300のダイヤモンド粉末からなる硬質膜が電着により
被着させてある。
【0060】次に、前記各ネジ加工用工具試料を用いて
酸化アルミニウム質焼結体に設けた直径5.30mmの
孔の内壁面に研削液を供給しつつネジ溝を形成するとと
もに形成されたネジ溝を観察し、精度の高いネジ溝が何
個の孔に形成できたかを調べた。
【0061】この時、ネジ溝の寸法精度は±0.04%
以下を良品とし、またネジ溝にクラック等の傷や破損等
が発生している場合は不良とした。
【0062】前記ネジ溝の形成にあたっては環状凸部の
回転速度を若干過酷な5000回転/分とし、孔の内壁
面に沿って、送り速度を8m/分として、らせん状に押
圧移動させた。
【0063】なお、試料番号1のネジ加工用工具試料は
本発明の比較試料であり、従来より使用されている溝部
の形成が全くないものである。
【0064】上述の結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1からわかるように、従来の溝部が形成
されているネジ加工用工具試料(試料番号1)は被削材
と環状凸部との摩擦による熱によって高温となり、短期
間に変形が発生して11個目の孔に設けたネジ溝に多数
のクラック等の傷が付いてしまう。
【0067】これに対し、本発明品は溝部によって研削
液が被削材と環状凸部との間に充分入り込み、23個以
上の孔に精度が高く、クラック等の傷のないネジ溝を形
成することができ、1個のネジ加工用工具で従来品に比
し2倍以上のネジ加工ができることがわかる。
【0068】(実施例2)次に、上述の実施例1で用い
たネジ加工用工具試料のうち平面視した際の環状凸部の
全面積と溝部の全断面積の比率が5:2で、ピッチPが
0.8mm、外周径が3.5mmの環状凸部を11個備
えるとともに溝部として中心角が40〜140°のV字
状のものを2個設けた試料を準備した。
【0069】また、環状凸部3の表面には#200〜#
300のダイヤモンド粉末からなる硬質膜が電着により
被着させてあり、各試料にそれぞれ図2〜4に示す如
く、貫通孔、供給孔、連通孔をそれぞれ穿設した。
【0070】なお、貫通孔及び供給孔の径は、環状凸部
の外周径の25%(0.9mm)とし、連通孔は環状凸部
間に交互にピッチの62%(0.5mm)の径を有す
る。
【0071】次に、前記各ネジ加工用工具試料を用いて
酸化アルミニウム質焼結体に設けた直径5.30mmの
孔の内壁面に1MPaで研削液を供給しつつネジ溝を形
成するとともに形成されたネジ溝を観察し、精度の高い
ネジ溝が何個の孔に形成できたかを調べた。
【0072】この時、ネジ溝の寸法精度は±0.04%
以下を良品とし、またネジ溝にクラック等の傷や破損等
が発生している場合は不良とした。
【0073】前記ネジ溝の形成にあたっては実施例1と
同様に環状凸部の回転速度を若干過酷な5000回転/
分とし、孔の内壁面に沿って、送り速度を8m/分とし
て、らせん状に押圧移動させた。
【0074】上述の結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2からわかるように、溝部が形成されて
いるネジ加工用工具試料(試料番号5)は、工具寿命が
40本であるのに対し、貫通孔、供給孔及び連通孔を穿
設したもの(試料番号8〜10)は、被削材と環状凸部
との間に研削液が充分に入り込み、環状凸部と被削材と
の間の熱をより一層抑制して工具寿命を51個以上と大
きく延びていることが分かる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、柱状体の外周面に、表
面がヌープ硬度40GPa以上の硬質膜で被覆されてい
る環状凸部を形成したこと、該環状凸部に柱状体の軸方
向に沿って溝部を刻設したこと、また前記柱状体の中心
に貫通する貫通孔を設けたこと、前記柱状体の前記環状
凸部を平面視したときの溝部に対応する位置に供給孔を
設けたこと、前記各環状凸部の溝部に、前記貫通孔に連
通するとともに柱状体の中心に対して垂直な連通孔を設
けこと等から、難削材に設けた孔の内壁面に研削液を供
給しつつネジ溝の加工を行なえば、研削液が溝部に取り
込まれて環状凸部と難削材との間に充分に入り込み、そ
の結果、環状凸部と難削材との摩擦による熱の発生が有
効に抑制されて難削材に高精度なネジ溝を効率よく形成
することができる。特に、環状凸部を平面視したとき環
状凸部の全面積と溝部の全面積の比率が50:1〜7:
3となるようにしておくと、研削液の入り込みが極めて
良好となるとともに環状凸部の機械的強度が強いものと
なって難削材に高精度なネジ溝をより一層効率よく形成
することが可能となる。
【0078】また、本発明によれば、環状凸部を平面視
したとき各環状凸部の溝部に接する先端角部を鈍角にし
たことから、環状凸部の機械的強度が強くなり、難削材
にネジ溝を形成する際、環状凸部に応力が加わったとし
ても破損するのが有効に防止され、難削材にネジ溝を長
期間にわたって形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のネジ加工用工具の一実施形態
を示す正面図であり、(b)は同図(a)のX−X線断
面図である。
【図2】(a)は本発明のネジ加工用工具の第1の他の
実施形態を示す正面図であり、(b)は同図(a)のX
−X線断面図である。
【図3】(a)は本発明のネジ加工用工具の第2の他の
実施形態を示す正面図であり、(b)は同図(a)のX
−X線断面図である。
【図4】(a)は本発明のネジ加工用工具の第3の他の
実施形態を示す正面図であり、(b)は同図(a)のX
−X線断面図である。
【図5】(a),(b),(c)は本発明のネジ加工用
工具のネジ溝の加工方法を示す概略図である。
【図6】従来のネジ加工用工具を示す正面図である。
【符号の説明】
1:ネジ加工用工具 2:柱状体 3:環状凸部 4:硬質膜 5:溝部 6:貫通孔 7:供給孔 8:連通孔

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】柱状体の外周面に、外周が円形をなす複数
    の環状凸部を所定のピッチで形成するとともに、該環状
    凸部の表面にヌープ硬度が40GPa以上の硬質膜を被
    着させてなるネジ加工用工具であって、前記各環状凸部
    に柱状体の軸方向に沿って溝部を刻設するとともに、該
    環状凸部を平面視したとき各環状凸部の溝部に接する先
    端角部が鈍角であることを特徴とするネジ加工用工具。
  2. 【請求項2】前記溝部が刻設された各環状凸部を平面視
    したとき各環状凸部の全面積と溝部の全面積の比率が5
    0:1〜7:3であることを特徴とする請求項1に記載
    のネジ加工用工具。
  3. 【請求項3】前記柱状体の中心に貫通する貫通孔を設け
    たことを特徴とする請求項1又は2に記載のネジ加工用
    工具。
  4. 【請求項4】前記柱状体の前記環状凸部を平面視したと
    きの溝部に対応する位置に供給孔を設けたことを特徴と
    する請求項1乃至3に記載のネジ加工用工具。
  5. 【請求項5】前記各環状凸部の溝部に、貫通孔に連通す
    るとともに柱状体の中心に対して垂直な連通孔を設け、
    且つ該連通孔は少なくとも前記環状凸部の数の2分の1
    個以上等配されていることを特徴とする請求項1乃至4
    に記載のネジ加工用工具。
  6. 【請求項6】被削材に円柱状の孔を穿設し、該孔内に前
    記請求項1または2に記載のネジ加工用工具を挿入さ
    せ、ネジ加工用工具を回転させながら、且つ孔の内壁面
    に沿ってネジ加工用工具の環状凸部のピッチ分だけらせ
    ん状に相対的に押圧移動させることによって前記孔の内
    壁面にネジ溝を形成することを特徴とするネジ加工方
    法。
  7. 【請求項7】被削材に円柱状の孔を穿設し、該孔内に前
    記請求項3乃至5に記載のネジ加工用工具を挿入させ、
    前記貫通孔又は供給孔から1MPa以上の圧力で研削液
    を供給するとともにネジ加工用工具を回転させながら、
    且つ孔の内壁面に沿ってネジ加工用工具の環状凸部のピ
    ッチ分だけ、らせん状に相対的に押圧移動させることに
    よって前記孔の内壁面にネジ溝を形成することを特徴と
    するネジ加工方法。
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