JP2007098423A - ピアシング用丸パンチ - Google Patents

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Abstract

【課題】超砥粒やセラミックで形成された先端面に欠けが発生する虞が非常に低く、安定したロングライフサイクルを得られるものとする。
【解決手段】加工対象物と接する先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されたパンチ1であり、上記先端面がテーパ面13として形成されている。剪断加工時にパンチ1の先端面の周縁の刃先に応力が集中してしまうが、先端面がテーパ面となっていることによって応力集中が緩和される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ピアシング用丸パンチに関するものである。
ピアシング用の金型(パンチ及びダイ)としては、合金工具鋼や高速工具鋼、超硬合金などを使用したものが主流であるが、近年、ダイヤモンドやcBN(立方晶窒化硼素)といったミクロンサイズの砥粒を金属、セラミックス、サーメット等のバインダと混合し、高温・高圧で焼結した超砥粒と称されるものや、セラミックを使用したものも提供されている。これらは重負荷の剪断加工には不向きであるが、たとえば厚さ1mm前後の金属板に直径3mm以下の孔を明けるといった軽負荷の加工については、超硬合金を使用したものよりもライフサイクルが長く、また加工品の品質の安定化につながるものとなっている。
しかし、超砥粒やセラミック、殊にダイヤモンドの超砥粒はその耐衝撃性の点から、剪断加工時に時として欠けが発生することがあり、欠けが発生しない時には数千万回の使用に供することができるのに対して、欠けが発生したために超硬合金における耐用回数である200万回の使用回数にも劣ることもあり、この点が問題となっている。
また、パンチとして構成する場合、先端面が超砥粒層となっている長さ20mmほどのチップ部を例えば超硬材からなるシャンク部の先端面にロウ付けすることで形成しているが、加工を繰り返す内にシャンク部からチップ部が外れてしまうことも問題となっている。
特開平10−156448号公報 特開平4−127925号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、超砥粒やセラミックで形成された先端面に欠けが発生する虞が非常に低く、安定したロングライフサイクルを得ることができる剪断加工用のパンチを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明に係るピアシング用丸パンチは、加工対象物と接する先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているとともに、上記先端面がテーパ面として形成されていることに特徴を有している。剪断加工時にパンチの先端面の周縁の刃先に応力が集中してしまうが、先端面がテーパ面となっていることによって応力集中が緩和されるものである。
上記テーパ面はそのテーパ角が約1〜4°であることが好ましい。
先端面と周面の境界である刃先に上記両面を滑らかにつなぐ微小曲面を形成しておくことも好ましい。
また、先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているチップ部と、該チップ部が先端に取り付けられたシャンク部とからなり、チップ部の後端面とシャンク部の先端面のいずれか一方に形成した凹孔に嵌合する軸部を他方が備えて、該嵌合部でチップ部とシャンク部とが真空ロウ付けされていたり、チップ部の後端面とシャンク部の先端面のいずれか一方に形成したねじ孔に螺合結合されるねじ軸部を他方が備えていたり、上記嵌合部(螺合結合部)を貫通する圧入ピンでチップ部とシャンク部とが結合されていると、チップ部の脱落防止に有利となる。
超砥粒層がダイヤモンドからなる場合、真空ロウ付けは約750℃の温度下でなされているが好ましい。
本発明は、先端面がテーパ面となっているために、剪断加工時に応力が集中してしまうことになるパンチの先端面の周縁への応力集中が緩和されるものであり、このために応力集中に起因する欠けの発生が少なくなり、安定したロングライフサイクルを得ることができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1及び図2は本発明に係るピアシング用のパンチ1の一例を示すもので、丸孔の穿孔用であるこのパンチ1は、シャンク部10とこのシャンク部10の先端に取り付けられたチップ部11とからなり、直径3mmほどのチップ部11の先端面はPCD(多結晶ダイヤモンド)からなる超砥粒層12で形成されている。また、チップ部11の先端面はその外周部がテーパ面13で形成されている。このテーパ面13はテーパ角αが約1〜4°という微小なもので、チップ部11の周面との境界となる刃先Eは半径0.01mm程度の微小な曲面が設けられており、テーパ面13と上記周面とは刃先Eの上記曲面で滑らかにつながっている。
図3は上記パンチ1の製作法の一例を示しており、シャンク部10は超硬材からなる母材を芯無し研削盤による外径研削で所要の外径にするとともに平面研削盤で端面を研削し、更に型彫り放電加工で先端面中央に凹孔15を設ける。なお、この凹孔15はラップ加工で座ぐりを行うとともに内部を磨いておくことが後述するロウ付け時の密着性の確保の点で好ましい。
一方、チップ部11は、超砥粒層12を一面に有する素材16からワイヤ放電加工で切り出したものに円筒研削加工で上記凹孔15に嵌め込むための軸部17を形成し、凹孔15の底部に厚さ0.05mmほどのロウ材(活性銀ロウが好ましい)20を入れるとともにリング状とした同素材のロウ材21を軸部17の外周に装着した状態で上記軸部17を凹孔15に嵌め込んで、真空炉内で真空ロウ付けを行うことで、シャンク部10にチップ部11を固定する。このロウ付けは超砥粒層12が炭化してしまうことがない温度(800℃以下、好ましくは750℃程度)で行う。ちなみにこの温度でのロウ付けを可能とするために、上記ロウ材(活性銀ロウ)にはインジウムを添加したものを用いている。
凹孔15と軸部17とを嵌合させた上で真空ロウ付けで固定するのは、シャンク部10からのチップ部11の外れが生じてしまうことがないようにするためであるが、ここではチップ部11の外れ防止を更に確実にするために、圧入ピン25による固定も行っている。
すなわち、上記ロウ付け後に円筒研削でチップ部11の振れ取りのための外径研削の後、型彫り放電加工によってチップ部11先端の外径削り及び先端面へのテーパ面13の形成並びに刃先Eに対する曲面の加工を行うとともに、凹孔15と軸部17との嵌合部を貫通する貫通孔24の形成と座ぐりを行い、円筒研削によって外径を貫通孔24に合わせた圧入ピン25を貫通孔24に圧入接着する。そして円筒研削によってチップ部11を仕上げるとともに、圧入ピン25のシャンク部10の外周面より突出している部分を削り落とし、平面研削で全長を決め、更にプロファイルでキー溝28を加工して、図1及び図2に示したものを得る。外周面の研削をすべて円筒研削で行っているのはパンチ1側に強度低下の原因となる加工用センター孔を設けなくてもすむようにしたためであるが、本発明はこの点に制約されるものではない。
厚さ0.5mm程度の超砥粒層12を先端面に備える上記パンチ1は、通常であれば、図4(a)に示すように平坦面に仕上げられており、このためにダイブロック3との間で加工対象材4に剪断力を加えることで加工対象材4に丸孔を明ける時、パンチ1における先端面と周面との境界である刃先Eに応力が集中することになり、この応力集中が刃先Eに欠けを生じさせる原因となっている。
これに対して、超砥粒層12の先端面を前記テーパ角αのテーパ面13とした場合(図4(b)参照)、上記刃先Eへの応力集中が大きく緩和されるために、超砥粒層12における上記刃先E付近に欠けが生じる虞が非常に小さくなる。刃先Eに前記曲面を形成している時には欠けが生じる虞が尚更低下する。
ちなみに、厚み0.7mmのばね鋼板に対する直径3mmの孔明けに用いた時、先端面を平坦面としたものにおいては、ショット数50万で刃先に欠けが生じることがあったが、先端面にテーパ角α=3°のテーパ面13を設けたのにおいては、ショット数7000万でも刃先にμmオーダーのダレが見受けられるだけで、欠けは発生しなかった。また、該パンチ1で打ち抜いた孔の外観は初期と同様に綺麗であり、問題となるようなことは生じていない。
また、ショット数が上記のような数値に達しても、チップ部11がシャンク部10より外れるようなことは生じておらず、前記真空ロウ付けや圧入ピン25による結合が有効であることがわかる。
テーパ面13のテーパ角αは、1°よりも小さい時には欠けの発生抑止に対する効果が殆どなくなり、4°よりも大きくした時には、パンチ1で打ち抜いた孔に変形が生じたり寸法が変化したりするために、1〜4°の範囲内とするのが好ましく、特に3°前後が超砥粒層12からなる刃先の欠けの発生抑止と、打ち抜いた孔の精度や形状の安定性の点で最も好ましい結果を得ることができるが、加工対象物の板厚や硬度、パンチ1の外径の大小などによって最適値は変化するために、これらの条件に応じてテーパ角αを適宜設定することが、テーパ面13を設けたことによる作用効果を享受する点で好ましい。また、超砥粒層12の厚みが大きくないことから、チップ部11の先端面中央部はそのチップ部11の直径の1/3から1/4は平坦面として残し、外周部だけをテーパ面とするのが好ましい。
図5に他例を示す。これはシャンク部10に形成した凹孔15をねじ孔とし、チップ部11に形成した軸部17をねじ軸として、軸部17を凹孔15にねじ込み接着した上で、上記のものと同様に貫通孔24を形成して、圧入ピン25を貫通孔24に圧入接着したものを示している。
上記実施例では、超砥粒層12を備えたチップ部11を有するものを示したが、アルミナのようなセラミックからなるチップ部11を備えたものにおいても、微小テーパ角αのテーパ面13を設けることは有効である。また、穿孔用のパンチ1のほか、ダボを形成するためのパンチなどでも本発明は有効である。
本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は拡大斜視図である。 (a)は同上の分解斜視図、(b)は破断斜視図である。 同上の製作法の一例を示す説明図である。 (a)は従来例の剪断加工時の動作説明図、(b)は本発明における剪断加工時の動作説明図である。 他例を示すもので、(a)は分解斜視図、(b)は破断斜視図である。
符号の説明
1 パンチ
10 シャンク部
11 チップ部
12 超砥粒層
13 テーパ面

Claims (7)

  1. 加工対象物と接する先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているとともに、上記先端面がテーパ面として形成されていることを特徴とするピアシング用丸パンチ。
  2. テーパ面はそのテーパ角が約1〜4°であることを特徴とする請求項1記載のピアシング用丸パンチ。
  3. 先端面と周面の境界である刃先に上記両面を滑らかにつなぐ微小曲面が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のピアシング用丸パンチ。
  4. 先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているチップ部と、該チップ部が先端に取り付けられたシャンク部とからなり、チップ部の後端面とシャンク部の先端面のいずれか一方に形成した凹孔に嵌合する軸部を他方が備えて、該嵌合部でチップ部とシャンク部とが真空ロウ付けされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のピアシング用丸パンチ。
  5. 超砥粒層はダイヤモンドからなり、真空ロウ付けは約750℃の温度下でなされていることを特徴とする請求項4記載のピアシング用パンチ。
  6. 先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているチップ部と、該チップ部が先端に取り付けられたシャンク部とからなり、チップ部の後端面とシャンク部の先端面のいずれか一方に形成したねじ孔に螺合結合されるねじ軸部を他方が備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のピアシング用丸パンチ。
  7. 先端面が超砥粒層もしくはセラミックで形成されているチップ部と、該チップ部が先端に取り付けられたシャンク部とからなり、チップ部の後端面とシャンク部の先端面のいずれか一方に形成した凹孔に嵌合する軸部を他方が備えて、該嵌合部を貫通する圧入ピンでチップ部とシャンク部とが結合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のピアシング用丸パンチ。
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