JPH0623624A - ネジ加工用砥石 - Google Patents

ネジ加工用砥石

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Publication number
JPH0623624A
JPH0623624A JP4178695A JP17869592A JPH0623624A JP H0623624 A JPH0623624 A JP H0623624A JP 4178695 A JP4178695 A JP 4178695A JP 17869592 A JP17869592 A JP 17869592A JP H0623624 A JPH0623624 A JP H0623624A
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JP
Japan
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grindstone
screw
axis
prepared hole
axial line
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Application number
JP4178695A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Takenaka
敏弘 竹中
Riyouka Tsuchimoto
涼夏 土本
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 砥石軸2の先端側に、略算盤珠状の外周面5
を有するネジ加工部4…を、砥石軸線O方向に沿ってネ
ジピッチに等しいピッチPで設ける。この外周面5に
は、ダイヤモンド砥粒を電着した砥粒層9が形成されて
いる。砥石軸2にはその両端に開口する貫通孔10が砥
石軸線Oに沿って形成されている。このネジ加工用砥石
1を、砥石軸線Oを下穴軸線Xに対して平行となるよう
に支持して下穴Hに挿入し、工作機械側から貫通孔10
を通して研削液を噴出させつつ砥石軸線O周りに回転さ
せ、下穴軸線Xを中心に螺旋を描くように周回させてネ
ジ加工を施す。 【効果】 NC工作機械等によって超硬合金等の硬質材
料にも面精度の高いネジを形成できる。また、貫通孔1
0を通って研削部位に供給される研削液により、切粉等
を速やかに除去し得るとともに研削部位を冷却すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に超硬合金等の硬質
材料にネジを形成するのに最適なネジ加工用砥石に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、鋼材等から成る被加工物にネジ
穴を形成する場合には、通常まずこの被加工物に下穴を
形成し、これにタップを回転させながら挿入して、その
切刃により上記下穴の内周面を削り取ってネジ山を形成
する方法が用いられている。ところが、ネジ穴を形成す
べき被加工物が超硬合金のような硬度のきわめて高い材
質より成る場合には、このようなタップによってネジ山
を形成することが殆ど不可能であるため、従来は放電加
工のような電気的加工法によってネジ穴の形成を行なっ
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな放電加工を行なうためには、まず相応の電気的設備
を備えなければならず、このため多大な設備投資を要す
ることは避けられなかった。また、これに加えて上述の
ような放電加工によるネジ加工では、面精度の高いネジ
穴を形成することはきわめて困難であり、さらにクラッ
ク等がネジ穴に生じ易いという問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するためになされたもので、軸線回りに回転さ
れる砥石軸に、上記軸線に対する径方向外側に膨らむネ
ジ加工部を該軸線方向に沿って複数等間隔に設け、この
ネジ加工部の外周面を、該ネジ加工部の上記軸線方向中
央に交差稜線部を有し、この交差稜線部から離間して該
軸線方向を両端側に向かうに従い漸次縮径する一対の円
錐面より構成して、この外周面にはダイヤモンド砥粒を
電着して成る砥粒層を形成するとともに、砥石軸にその
両端に開口する貫通孔を上記軸線に沿って形成したこと
を特徴とするものである。
【0005】
【作用】このような構成のネジ加工用砥石は、その砥石
軸をNC工作機械やマシニングセンタ等の主軸端に装着
されて該砥石軸の軸線(以下、砥石軸線と称する。)回
りに回転可能に支持され、被加工物に形成された下穴に
対し該下穴の軸線(以下、下穴軸線と称する。)に砥石
軸線が平行となるように当該下穴に挿入されて使用に供
される。そして、砥石軸を回転させ、これとともに回転
するネジ加工部の外周面を下穴の内周面に密着させて切
込みを与えつつ、当該ネジ加工用砥石を上記の平行状態
を維持したまま、螺旋を描くように下穴軸線回りに周回
させながら該下穴軸線方向に移動させることにより、下
穴の内周面は上記ネジ加工部の一対の円錐面より成る外
周面上に形成された砥粒層によって削り取られて、断面
V字型の螺旋溝が形成されることとなる。
【0006】そこで、上記ネジ加工部の砥石軸線方向の
間隔を、当該ネジ加工用砥石によって形成されるべきネ
ジのピッチに準じて設定するとともに、このネジの描く
螺旋に合わせて該ネジ加工用砥石を下穴軸線回りに周回
させることにより、複数のネジ加工部によって形成され
る上記螺旋溝は一つに連続することとなる。そしてこれ
に伴い、下穴軸線方向に隣合うこととなるV字螺旋溝同
士の間には、逆に当該下穴の径方向内側に向かって逆V
字型に突出する一条のネジ山が形成されることとなるた
め、このようなネジ山を適宜に延長することによって所
望の長さのネジ穴を被加工材に形成された下穴に形成す
ることが可能となる。
【0007】このように、上記構成のネジ加工用砥石で
は、砥石軸を砥石軸線回りに回転させるとともに下穴軸
線回りには螺旋周回運動させることによって下穴にネジ
山を形成することができ、すなわちNC工作機械やマシ
ニングセンタ等の工作機械によってネジ加工を行なうこ
とが可能である。しかも、ネジ加工部の外周面に形成さ
れる砥粒層はダイヤモンド砥粒を電着して成るものであ
るので、超硬合金のような硬質材料から成る被加工材に
もネジ加工を行なうことができ、かつこのような被加工
材にネジ加工を施す場合でも面精度の高いネジ穴を形成
することが可能であるとともに、クラック等の発生を防
ぐことができる。
【0008】さらに、上記構成のネジ加工用砥石では砥
石軸に貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して上
記工作機械の主軸端側から研削液を効率的に研削部位に
供給することができる。このため、有底の下穴(止まり
穴)にネジを形成する場合など、研削に伴う切粉や砥石
の破砕屑がたまり易く、また研削による熱がこもり易い
場合などでも、これらの切屑や破砕屑を流し去るととも
に研削部位を冷却して円滑なネジ加工を可能とすること
ができる。特に上記構成のネジ加工用砥石では、この貫
通孔は砥石軸の先端に開口することとなり、従って研削
液は上記下穴内に挿入されるネジ加工部のうち最も下穴
の底部側に位置するネジ加工部の近傍から吐出して研削
部位に供給されることとなる。すなわち、下穴の開口部
から離間していて最も熱のこもり易い研削部位にまず最
初に研削液が供給されるため、より効率的な冷却を行な
うことが可能となるとともに、上記切粉や破砕屑は、下
穴の底部側から供給されて上昇し、該下穴の開口部から
溢流する研削液と一緒に排出されるので、これら切粉や
破砕屑の下穴内での滞留を防ぐことができる。
【0009】
【実施例】図1および図2は、本発明の一実施例を示す
ものである。ただし本実施例では、ネジ山の角度が60
°であるメートルネジを形成するためのネジ加工用砥石
について説明する。これらの図に示すネジ加工用砥石1
では、超硬合金より形成される略円柱軸状の砥石軸2の
基端側に、当該ネジ加工用砥石1をNC工作機械等の主
軸端に装着するためのシャンク部3が形成されている。
一方、この砥石軸2の先端側には、砥石軸2の外周面か
ら該砥石軸線Oに対して径方向外側に膨らむ互いに同形
同大の5つのネジ加工部4が、上記砥石軸線O方向に沿
ってそれぞれ等間隔に形成されている。
【0010】これらのネジ加工部4…は、それぞれその
外周面5が、砥石軸線O上に中心軸を有し、かつ該ネジ
加工部4の砥石軸線O方向中央に位置して該砥石軸線O
に直交する面について面対称であって、さらにこの面か
ら離間して砥石軸線O方向先端側または基端側に向かう
に従い漸次縮径する一対の円錐面6,7から構成されて
いる。従って、各ネジ加工部4の外観は図1に示すよう
に略算盤珠状を呈することとなり、またこれら一対の円
錐面6,7の交差稜線部8は、上記砥石軸線Oに直交す
る面上に、砥石軸線Oを中心とする円を描くように形成
されることとなる。
【0011】なお、このネジ加工部4の外周面5は、砥
石軸線Oを含む断面視において図2に示すように、上記
径方向外側に向けて突出する逆V字状の山型を呈するこ
ととなるが、この山の頂点、すなわち上記交差稜線部8
は、本実施例では該交差稜線部8を挟む上記一対の円錐
面6,7の双方に滑らかに連なる凸円弧状に形成されて
おり、この円弧の半径Rは0.05mmに設定されてい
る。また、これら一対の円錐面6,7の交差角θTは、
本実施例では50°に設定されている。さらに、このネ
ジ加工部4の外周面5には、粒度が#325のダイヤモ
ンド砥粒が電着によって均一厚さに付着されていて、砥
粒層9が形成されている。
【0012】本実施例ではこのような構成のネジ加工部
4が、上述のように砥石軸線O方向に沿って5つ形成さ
れているのであるが、この砥石軸線O方向に互いに隣合
うネジ加工部4,4同士の該砥石軸線O方向の間隔P
(例えば、図2に示すように両ネジ加工部4,4の稜線
部8,8同士の砥石軸線O方向の距離)は、本実施例に
おいては当該ネジ加工用砥石1によって形成されるべき
ネジ穴のネジピッチPに等しく設定されている。
【0013】そして、このネジ加工用砥石1の砥石軸2
には、当該ネジ加工用砥石1の全長に亙って該砥石軸2
の両端に開口する断面円形の貫通孔10が、砥石軸線O
に沿って形成されている。従って、この貫通孔10は、
その基端側の開口部10Aがシャンク部3の基端面3A
の中央に開口せしめられるとともに、先端側の開口部1
0Bは、当該ネジ加工用砥石1の最も先端に位置するネ
ジ加工部4の先端面4Aの中央に開口せしめられること
となる。
【0014】次に、本実施例のネジ加工用砥石1によっ
て、超硬合金より成る被加工物Wに形成された下穴Hに
ネジを形成する場合について、図3ないし図6を用いて
説明する。ただし、ここでは下穴Hは被加工物Wに上向
きに開口する止まり穴として形成されているものとし、
このような下穴Hの開口部側から底部に向けてネジを形
成するものとする。
【0015】まず、このネジ加工を行なうに際して、N
C工作機械やマシニングセンタ等の数値制御が可能な工
作機械の主軸端にシャンク部3を取り付けることによ
り、砥石軸線Oが下穴軸線Xに平行になるようにネジ加
工用砥石1を支持するとともに、この工作機械に備えら
れた研削液の供給経路を、上記主軸端を介して当該ネジ
加工用砥石1の貫通孔10に、その基端側の開口部10
A側から連結する。そして、上記工作機械内にて高圧を
かけられた研削液を上記供給経路を開くことによって貫
通孔10に供給し、その先端側の開口部10Bから噴出
させるとともに、上記工作機械によって砥石軸2を砥石
軸線O回りに回転させながら、当該ネジ加工砥石1をそ
の先端側から下穴軸線Xに沿って下穴H内に挿入する。
【0016】次いで、このネジ加工用砥石1を下穴Hの
内周面11の一側に向けて平行移動させて、砥石軸2と
ともに回転するネジ加工部4…を図3に示すようにこの
下穴Hの内周面11に密着させ、各ネジ加工部4…の外
周面5に形成された砥粒層9によって該内周面11に切
込みを与える。ここで、この切込みの切込み量Dは、当
該ネジ加工砥石1によって形成されるべきネジのネジ山
の高さに相当する大きさに設定される。なお、この切込
みを与えた状態では、下穴Hに挿入されるネジ加工砥石
1の5つのネジ加工部4…のうち、最も基端側に位置す
るネジ加工部4は未だ下穴H内には挿入されずに、その
稜線部8が、下穴Hの開口する被加工物Wの上面12よ
りも上記ネジのピッチPの1/2分だけ上方に位置する
ように配置される。
【0017】このように、当該ネジ加工砥石1が位置決
めされて下穴Hの内周面11に所定の切込み量Dの切込
みが与えられたなら、次いで砥石軸線Oと下穴軸線Xと
の平行状態を維持したまま、当該ネジ加工用砥石1によ
って形成されるべきネジの捩れに合わせて螺旋を描くよ
うに、砥石軸2を下穴軸線Xを中心として下穴Hの内周
面11に沿って周回させながら該下穴軸線X方向の下方
(砥石軸線O方向の先端側)に向けて降下させる。これ
により、下穴Hの内周面11は、各ネジ加工部4の一対
の円錐面6,7を有する外周面5に形成された砥粒層9
によって削り取られ、該内周面11にその開口部から底
部に向けて、断面V字型の螺旋溝13が形成されてゆ
く。
【0018】ここで、図4および図5は、図3に示した
位置から砥石軸2を下穴軸線Xを中心に180°ずつ順
次周回させた状態をそれぞれ示す図であるが、これらの
図に示すように、砥石軸2を1周(360°)周回させ
ることによって下穴Hの内周面11には、各ネジ加工部
4…によって削り取られる5条の螺旋溝13…が下穴軸
線X方向に形成されることとなる。そして、図3に示す
状態から砥石軸2を1周周回させた時点で当該ネジ加工
用砥石1は、図5に示すように当該ネジ加工用砥石1の
互いに隣合うネジ加工部4,4間のピッチP分、すなわ
ち上記ネジピッチP分のだけ、下穴軸線X方向下方に移
動することとなる。しかして、この時点で互いに隣合う
ネジ加工部4,4によって削り取られる螺旋溝13,1
3は互いに連続することになり、すなわち各螺旋溝13
…がそれぞれ隣合う螺旋溝13…と順次連続して1条の
螺旋溝13となり、これとは相対的に下穴Hの内周面1
1にはこの螺旋溝13の間に、下穴軸線Xに対する径方
向内側に向かって逆V字型に突出する1条のネジ山15
が形成されることとなる。
【0019】こうして、ネジ加工砥石1を1周周回させ
ることによって形成されるネジ山15の下穴軸線X方向
の長さLは、図5に示すように当該ネジ加工砥石1の砥
石軸線O方向最先端に位置するネジ加工部4と最基端に
位置するネジ加工部4との間の距離に、該ネジ加工用砥
石1の下穴軸線X方向の移動量を加えた長さ、すなわち
上記互いに隣合うネジ加工部4,4同士のピッチ(上記
ネジピッチ)Pの5倍となる。ただし、図3ないし図5
に示したのは下穴Hの開口部からネジを形成する場合で
あるので該開口部にネジの掛かりを形成する必要があ
り、このため図5において実際に形成されるネジ山の長
さは、上記長さLよりも上記ピッチPの1/2分だけ短
くなる。
【0020】そこで、図5の状態からさらにネジ山15
を延長するには、まずネジ加工砥石1を下穴軸線Xの径
方向内側に移動させてそのネジ加工部4…を一旦下穴H
の内周面11から離間させ、次いで砥石軸2を上記ピッ
チPの4倍の距離だけ下穴軸線X方向下方に移動させ、
しかる後再びネジ加工部4…を内周面11に密着させ
て、図6に示すように各ネジ各部4…の砥粒層9によっ
て内周面11に切込み量Dの切込みを与える。従って、
上記砥石軸線O方向最基端に位置するネジ加工部4は、
図5において砥石軸線O方向最先端に位置するネジ加工
部4が配置されていた位置に配置されることとなる。
【0021】そして、これ以降は図3ないし図5に示し
た場合と同様に当該ネジ加工用砥石1を下穴軸線X回り
に1周周回させることにより、先に形成されたネジ山1
5の下穴軸線X方向下方に該ネジ山15に連続する新た
なネジ山が形成されて、ネジ山15が延長されることと
なる。よって本実施例では、当該ネジ加工用砥石1を段
階的に下穴軸線X方向下方に移動させて順次下穴軸線X
回りに螺旋状に周回させることにより、ネジ山15を延
長して被加工材Wに形成された下穴Hに所望の深さのネ
ジ穴を形成することが可能となる。
【0022】このように上記構成のネジ加工用砥石1に
よれば、放電加工によらずとも、NC工作機械やマシニ
ングセンタ等の工作機械によってネジ加工を行なうこと
が可能である。このため、かかる放電加工を行なうため
の電気的設備を新たに設ける必要もなく、過大な設備へ
の投資を避けることができる。しかも、ネジ加工部4の
外周面5に形成される砥粒層9が、ダイヤモンド砥粒を
電着して成るものであり、このため上述のように超硬合
金等の硬質材料からなる被加工材Wに形成された下穴H
にも容易に、かつ面精度の高いネジ穴を形成することが
可能であって、放電加工の場合のようにネジ穴にクラッ
ク等が生じることはない。
【0023】そして、上記構成のネジ加工用砥石1では
砥石軸2にその砥石軸線Oに沿って貫通孔10が形成さ
れており、この貫通孔10を通って工作機械側から給送
された高圧の研削液が吐出されて研削部位に供給され
る。このため、ネジ加工時に生成される被加工材Wの切
粉や脱落した砥粒等の破砕屑を速やかに研削部位から除
去して排出することができ、砥粒層9に目詰まりが生じ
たり、ネジ加工部4と螺旋溝13との間にこれら切粉や
破砕屑が噛み込まれて面精度が劣化したりするのを防ぐ
ことが可能である。また、この研削液はネジ加工時に該
研削部位に生じる熱をも奪い去ってしまうため、局部的
に高温になりがちな研削部位にあって、被加工材W側に
おいてはこのような熱による表面の変質などを防ぐこと
ができるとともに、ネジ加工用砥石1側においても高温
に晒されることによる砥粒層9の劣化を防止して砥石寿
命の延長を図ることが可能となる。
【0024】特に、ネジ加工を施すべき下穴Hが図3な
いし図6に示すような止まり穴の場合には、上記切粉や
破砕屑が下穴Hの底部に溜ってしまって排出され難く、
同時に研削によって生じる熱もこもりがちであって切削
部位がきわめて高温となり易いが、このような場合にお
いても上記構成のネジ加工用砥石1によれば、切粉や破
砕屑を速やかに除去し得るとともに、研削部位を効率的
に冷却することが可能である。すなわち上記構成のネジ
加工用砥石1では、工作機械の供給経路から給送された
研削液は該供給経路に連通する貫通孔10を通り、当該
ネジ加工用砥石1の先端に形成される開口部10Bから
下穴Hの底部に向けて噴出される。そして、この下穴H
内に噴出した研削液は下穴Hの底部側から該下穴H内を
上昇して下穴Hの開口部から溢流・排出され、これに伴
い上記切粉や破砕屑も下穴H内を上昇する研削液によっ
て洗い流されて該研削液とともに上昇・排出されるの
で、該下穴H内にこれらの切粉や破砕屑が滞留するのを
防いで速やかに除去することができるのである。
【0025】また、この下穴Hにおいては、下穴軸線X
に沿って該下穴Hの底部側に向かうに従い、外部に連通
する開口部から離間するために熱がこもり易くなるの
で、上記5つのネジ加工部4…のうち、砥石軸線O方向
先端側に位置するネジ加工部4ほどその研削部位におい
て高温に晒される傾向がある。ところが、上記構成のネ
ジ加工用砥石1では、研削液は上述のようにこの先端側
のネジ加工部4近傍から噴出して下穴H内を上昇してゆ
くため、工作機械側から給送された研削液はまず最初に
砥石軸線O方向先端側のネジ加工部4による研削部位に
供給されることとなる。すなわち、最も温度の低い状態
の研削液を最も高温となる研削部位に供給することがで
きるため、上記ネジ加工用砥石1によれば効率的な冷却
を行なうことが可能となるのであり、これによって一層
効果的に上記被加工材Wの熱による変質を防ぐとともに
砥石寿命の延長をなすことが可能となる。
【0026】一方、本実施例のネジ加工用砥石1では、
各ネジ加工部4…の外周面5の一対の円錐面6,7の交
差稜線部8を両円錐面6,7に滑らかに連なる凸曲面と
し、かつその曲率半径Rを0.05mmに設定しており、
これにより当該ネジ加工部4によって形成される螺旋溝
13をその底部近傍まで先鋭なV字型断面としてネジ山
15の形状の精度向上を図っている。ここで、このよう
な構成を採った場合には、上記曲率半径Rが0.03mm
を下回って小さくなると交差稜線部8に欠け等が生じ易
くなってしまい、逆に上記曲率半径Rが0.07mmを上
回ると、これに準じて断面V字型の上記螺旋溝13の底
部の曲率も大きくなってしまってネジ山15の形状精度
が劣化してしまうおそれがある。このため、上記曲率半
径Rは0.03〜0.07mmの範囲内において適宜に設定
されることが望ましい。
【0027】また本実施例では、このネジ加工部4の外
周面5に形成される砥粒層9を、#325と比較的小さ
な粒度のダイヤモンド砥粒から形成して、当該ネジ加工
用砥石1によって形成されるネジ穴の面精度の向上を図
っている。従って、このような効果を得るだけのために
は砥粒層9を形成するダイヤモンド砥粒の粒度はできる
だけ小さい方が望ましいが、この粒度が余りにも小さく
なり過ぎると逆に当該砥粒層9に目詰まりや砥粒の脱落
が生じ易くなってしまうという弊害を招く。このため、
砥粒層9を形成するダイヤモンド砥粒の粒度は、#30
0〜#350の範囲内において設定されるのが望まし
い。
【0028】ところで、上記構成のネジ加工用砥石1で
は、各ネジ加工部4の外周面5を構成する一対の円錐面
6,7の交差角θTが50°に設定されている。このた
め一見すると、該ネジ加工部4によって形成される螺旋
溝13のV字型断面の狭角も50°となってしまい、従
って下穴軸線X方向に隣合う螺旋溝13,13の間に形
成されるネジ山15の頂角θSも50°となるようにも
思われる。しかしながら、ここで当該ネジ加工用砥石1
は砥石軸線O回りに回転しつつ、下穴軸線X回りに螺旋
を描きながら降下することによりネジ加工を行なうもの
であり、これに伴い各ネジ加工部4も下穴軸線Xに垂直
な方向には該下穴軸線Xを中心とした円運動を行なうと
同時に、下穴軸線X方向には該下穴Hの底部側に向けて
当該ネジの捩れ(リード)に準じて降下してゆくことと
なる。ところが、ネジ加工部4は砥石軸線O方向に厚み
を有するとともに該砥石軸線Oに対する径方向には広が
りを有しており、このためネジ加工部4が上記リードに
準じて降下するのに伴い、螺旋溝13の互いに対向する
面と上記一対の円錐面6,7上に形成された砥粒層9と
の間に干渉が生じることがある。そして、この干渉はネ
ジ径に対する砥石径(稜線部8が描く円の径)が大きい
ほど顕著となり、これによって実際に形成される螺旋溝
13の狭角は上記一対の円錐面6,7の交差角θTより
も大きくなってしまい、この結果上記ネジ山15の頂角
θSも上記交差角θTよりも大きくなるしまうことがあ
る。
【0029】このため、本実施例では上記交差角θT
50°として、当該ネジ加工用砥石1によって形成され
るべきネジのネジ山の頂角60°よりも小さく設定する
ことにより、実際に形成されるネジ山15の頂角θS
略60°となるようにしているのである。ここで、本実
施例のように、上記ネジ山15の頂角θSが60°であ
るメートルネジを形成するのに用いられるネジ加工用砥
石1においては、上記交差角θTは45°〜60°の範
囲内に設定されるのが望ましい。また、例えば管用ネジ
のようにネジ山の頂角θSが55°となるネジを形成す
る場合には、ネジ加工部4の一対の円錐面6,7の交差
角θTは40°〜55°の範囲内で設定されるのが望ま
しい。すなわち、形成されるべきネジのネジ山の頂角θ
Sに対して上記交差角θTを(θS−15)°〜θSの範囲
内において設定するのが望ましく、この範囲を越えた場
合には所望の頂角のネジ山を形成することができなくな
るおそれが生じる。
【0030】なお、本実施例では砥石軸2にその砥石軸
線O方向に沿って5つのネジ加工部4…を形成したが、
このネジ加工部4の数は加工条件や形成されるべきネジ
の長さ(ネジ穴の深さ)等によって適宜に設定される。
一方、上述した本実施例のネジ加工用砥石1を用いたネ
ジ加工方法では、当該ネジ加工用砥石1を1周周回させ
て下穴軸線X方向への長さLの1条のネジ山15を形成
した後、ネジ加工用砥石1を一旦下穴Hの内周面11か
ら離間させてから下穴軸線X方向に沿って上記ピッチP
の4倍分だけ降下させ、しかる後上記ネジ山15に連な
る次のネジ山を形成するようにしている。すなわち、1
度のネジ加工によって形成されたネジ山15に連なるよ
うに、ネジ加工用砥石1を段階的に下穴軸線X方向に移
動させて順次同様のネジ加工を行なうことにより、所望
の長さのネジ穴を形成しているのであるが、本発明によ
るネジの加工方法がこのような方法のみに限定されるこ
ともなく、例えば下穴Hの開口部から所望の深さまで、
内周面11から離間させることなく当該ネジ加工用砥石
1を螺旋状に周回・降下させて、連続的に螺旋溝13お
よびネジ山15を形成するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
砥石軸線を下穴軸線に対して平行となるように砥石軸を
支持し、この砥石軸線回りに砥石軸を回転させつつ、下
穴軸線回りに螺旋を描くように当該ネジ加工用砥石を周
回させることによって、砥石軸に砥石軸線方向に沿って
設けられた複数のネジ加工部が下穴の内周面に螺旋溝を
形成し、ネジ加工が施される。そして、このネジ加工部
が、その外周面にダイヤモンド砥粒を電着して成る砥粒
層を有しているため、相当の電気的設備を要する放電加
工によらずともNC工作機械やマシニングセンタ等によ
って、超硬合金等の硬質材料にも容易にネジ加工を行な
うことが可能であるとともに、クラック等の損傷のない
面精度の高いネジ加工を行なうことができる。
【0032】また、砥石軸に形成された貫通孔を通し
て、工作機械側から給送される研削液をネジ加工部によ
る研削部位に供給することができるので、研削によって
生成される切粉や破砕屑を速やかに研削部位から除去し
て排出し、目詰まりの発生や面精度の劣化を防止するこ
とができるとともに、高温となる研削部位を冷却して熱
による被加工材の表面変質を防ぎ、かつ砥石寿命の向上
を図ることができる。さらに、ネジ加工を施すべき下穴
が止まり穴である場合でも、下穴内での切粉や破砕屑の
滞留を防ぐことができるとともに、効率的な冷却を行な
うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すネジ加工用砥石1の一
部破断斜視図である。
【図2】図1に示すネジ加工用砥石1の隣合うネジ加工
部4…の、砥石軸線Oを含む断面図である。
【図3】図1に示すネジ加工用砥石1によって被加工物
Wに形成された下穴Hにネジ加工を施す場合の下穴軸線
Xを含む断面図である。
【図4】図1に示すネジ加工用砥石1によって被加工物
Wに形成された下穴Hにネジ加工を施す場合の下穴軸線
Xを含む断面図である。
【図5】図1に示すネジ加工用砥石1によって被加工物
Wに形成された下穴Hにネジ加工を施す場合の下穴軸線
Xを含む断面図である。
【図6】図1に示すネジ加工用砥石1によって被加工物
Wに形成された下穴Hにネジ加工を施す場合の下穴軸線
Xを含む断面図である。
【符号の説明】
1 ネジ加工用砥石 2 砥石軸 4 ネジ加工部 5 ネジ加工部4の外周面 6,7 外周面5を構成する一対の円錐面 8 一対の円錐面6,7の交差稜線部 9 砥粒層 10 貫通孔 11 下穴Hの内周面 13 螺旋溝 15 ネジ山 O 砥石軸線 X 下穴軸線 P ネジ加工部4…のピッチ(ネジ加工用砥石1によっ
て形成されるべきネジのピッチ) θT 一対の円錐面6,7の交差角 θS ネジ山15の頂角 R 交差稜線部8がなす凸曲面の曲率半径 W 被加工材 H 下穴

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転される砥石軸に、上記軸
    線に対する径方向外側に膨らむネジ加工部が、該軸線方
    向に沿って複数等間隔に設けられ、 このネジ加工部の外周面は、該ネジ加工部の上記軸線方
    向中央に交差稜線部を有し、この交差稜線部から離間し
    て該軸線方向を両端側に向かうに従い漸次縮径する一対
    の円錐面より構成されていて、この外周面にはダイヤモ
    ンド砥粒を電着して成る砥粒層が形成されるとともに、 上記砥石軸には、該砥石軸の両端に開口する貫通孔が上
    記軸線に沿って形成されていることを特徴とするネジ加
    工用砥石。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001157969A (ja) * 1999-09-20 2001-06-12 Kyocera Corp 研削工具及びこれを用いた研削加工方法
JP2002011618A (ja) * 2000-04-27 2002-01-15 Kyocera Corp ネジ加工用工具及びこれを用いたネジ加工方法
CN106584296A (zh) * 2016-10-31 2017-04-26 上海航天精密机械研究所 非api螺纹环规电镀超硬磨料成型砂轮基体结构设计方法

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CN106584296B (zh) * 2016-10-31 2018-07-20 上海航天精密机械研究所 非api螺纹环规电镀超硬磨料成型砂轮基体结构设计方法

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