JP2002006545A - 静電荷像現像用トナーの製造方法及び静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法及び静電荷像現像用トナー

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JP2002006545A
JP2002006545A JP2000182605A JP2000182605A JP2002006545A JP 2002006545 A JP2002006545 A JP 2002006545A JP 2000182605 A JP2000182605 A JP 2000182605A JP 2000182605 A JP2000182605 A JP 2000182605A JP 2002006545 A JP2002006545 A JP 2002006545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定着性が良好で高解像度化に対応可能な、小
粒径で均一な粒子よりなるトナーを製造することができ
る静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくともワックス微粒子分散液、樹脂
微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、及び乳化剤とを混
合して混合分散液を得る第一工程、該混合分散液中の微
粒子を凝集させて凝集粒子とする第二工程を有する静電
荷像現像用トナーの製造方法であって、第一工程におい
て、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分散液とを混合
するに先立って、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分
散液の少なくとも一方と乳化剤とを混合することを特徴
とする静電荷像現像用トナーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電荷像現像用ト
ナー及びその製造方法及び静電荷像現像用トナーに関す
る。更に詳しくは、少なくともワックス微粒子分散液、
樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、及び乳化剤と
を混合して混合分散液を得る第一工程、該混合分散液中
の微粒子を凝集させて凝集粒子とする第二工程を有す
る、即ち乳化重合凝集法による静電荷像現像用トナーの
製造方法及び静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法において従来一般に広く用い
られてきた静電荷現像用トナーは、スチレン/アクリレ
ート系共重合体やポリエステル等のバインダー樹脂、カ
ーボンブラックや顔料のような着色剤、帯電制御剤及び
/または磁性体を含む混合物を押出機により溶融混練
し、ついで粉砕・分級することによって製造されてき
た。しかし、上記のような溶融混練/粉砕法で得られる
従来のトナーは、トナーの粒径制御に限界があり、実質
的に10μm以下、特に8μm以下の平均粒径のトナー
を歩留まり良く製造することが困難であり、今後電子写
真に要求される高解像度化への対応としては十分なもの
とは言えなかった。
【0003】また、使用エネルギー低減の観点から低温
定着性がトナーに求められており、これを達成するため
に、混練時に低軟化点のワックスをトナー中に配合する
方法が提案されている。しかしながら、混練/粉砕法に
おいては樹脂100部に対して4〜5部程度の配合が限
界であり、十分な低温定着性能のトナーを得ることが困
難であった。
【0004】これらの欠点を解決すべく、特開昭60−
220358号公報、特開昭60−225170号公
報、では着色剤の存在下で乳化重合を行い、得られた乳
化重合液を特定の条件で塩析してトナー粒子を得る方法
を提案している。また、特開平2−61650号公報で
は、乳化重合液に着色剤分散液を混合した後、塩析で粒
子を凝固する方法が提案されている。これらの方法によ
ると、凝集工程で得られた粒子の粒径が25μm以下と
なるため、粉砕工程を省略してトナー粒子がえられるも
のの、粒径分布の制御に関しては未だ不十分であるため
分級工程が不可欠であり、また、所望の粒径のトナー収
率が悪いという問題があった。
【0005】特開昭63−186253号公報において
は、粒径及び粒径分布制御の問題を克服し、高解像度を
達成するために、乳化重合/二段凝集法によるトナーの
製造方法が提案されている。しかしながら、この方法に
於いても凝集工程で粗粉が発生しやすいため、導入でき
るワックスの量に限界があり、低温定着性に関しては十
分な改良効果は得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ワックスを
添加する乳化重合凝集法において、粗粉の発生しやすい
欠点を克服し、高解像度、低温定着性、耐オフセット性
を満足させる新規のトナーを安価に製造する方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、乳化重合凝集法によるトナ
ーの製造方法において、微粒子分散液と乳化剤との混合
順序を特定することによって、小粒径で粒径分布のシャ
ープなトナーを製造することが可能であり、上記課題が
解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】即ち本発明の要旨は、少なくともワックス
微粒子分散液、樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散
液、及び乳化剤とを混合して混合分散液を得る第一工
程、該混合分散液中の微粒子を凝集させて凝集粒子とす
る第二工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法で
あって、第一工程において、ワックス微粒子分散液と乳
化剤とをあらかじめ混合しておき、その後樹脂微粒子分
散液、及び着色剤微粒子分散液を追加混合することを特
徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法に存する。
【0009】本発明の別の要旨は、少なくともワックス
微粒子分散液、樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散
液、及び乳化剤とを混合して混合分散液を得る第一工
程、該混合分散液中の微粒子を凝集させて凝集粒子とす
る第二工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法で
あって、第一工程において、少なくとも樹脂微粒子分散
液または着色剤微粒子分散液のいずれか一方と乳化剤と
を混合しておき、その後ワックス微粒子分散液を追加混
合することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方
法に存する。また、本発明の別の要旨は、上記製造方法
によって得られた静電荷像現像用トナーに存する。
【0010】
【発明の実施形態】以下、本発明を詳細に説明する。乳
化重合凝集法によりトナーを製造する場合、典型的に
は、少なくとも、ワックス微粒子分散液、樹脂微粒子分
散液、着色剤微粒子分散液、乳化剤、それに加え必要に
応じ、荷電制御剤微粒子分散液、磁性トナーを製造する
場合であれば磁性微粒子分散液等、あるいはその他の添
加剤を混合して、混合分散液を得、混合分散液中の微粒
子を、電解質及び/または熱を加えることによって凝集
粒子を製造する工程を有する。こうして得た凝集粒子
は、洗浄・乾燥の後、必要に応じ外添剤等の加えて現像
用トナーとする。
【0011】本発明に用いられるワックス微粒子分散液
に含有されるワックスは、低軟化点物質として公知のワ
ックス類の中から任意のものをを使用することができ
る。このようなワックスの具体例としては、低分子量ポ
リエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチ
レン、グラフト化ポリエチレン、グラフト化ポリプロピ
レン、等のオレフィン系ワックス、ベヘン酸ベヘニル、
モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル、等の長
鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし
油、カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリ
ルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル
基、フェニル基を有するシリコーン系ワックス、ステア
リン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アミド、ステアリン
酸アミド、等の高級脂肪酸アミド、長鎖脂肪酸アルコー
ル、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコー
ル、及びその部分エステル体、パラフィン系ワックス、
フィッシャートロピッシュワックス、等が例示される。
【0012】これらの内、エステル系ワックスが好まし
く、中でも脂肪族カルボン酸部の炭素数が8〜30であ
り、アルコール部の炭素数が8〜30である脂肪族カル
ボン酸アルキルエステルが更に好ましい。また、上記ワ
ックス微粒子分散液は、単独で使用するに限らず2種以
上併用することもできる。また、これらのワックスの中
で定着性を改善するためには、融点が100℃以下のワ
ックスであり、更に好ましいワックスの融点は40〜9
0℃の範囲、特に好ましいのは50〜80℃の範囲であ
る。融点が100℃を越えると定着温度低減の効果が乏
しくなる傾向にある。ワックスの使用量は、通常、バイ
ンダー樹脂100重量部に対して1〜30重量部であ
る。本発明の製造方法では、20〜30重量部といった
多量の添加でも粗粉を発生させることなく粒度分布の良
いトナーを製造できる。
【0013】これらワックスは、あらかじめ乳化剤と共
に混合して、ワックス微粒子の体積平均粒径が、好まし
くは3μm以下、更に好ましくは0.05〜1μm、特
に好ましくは0.1〜0.6μmのワックス微粒子分散
液として調整され、凝集工程に使用される。ワックス微
粒子の体積平均粒径が3μm以上であると凝集工程で粒
径分布の揃った小粒径トナーを製造することが困難とな
る傾向にある。また、3μm以上の粒径のワックス微粒
子は、好ましくは全ワックス微粒子中の30重量%以下
であり、10%以下が更に好ましく、5%以下が特に好
ましい。なお、粒径分布、平均粒径は、各種の微粒子測
定装置(例えばマイクロトラック社製UPA)を用いて
測定することができる。
【0014】本発明に用いられる樹脂微粒子分散液に含
有されるラテックス樹脂は、従来より重合トナーに用い
られる公知のものがいずれも使用できるが、好ましいも
のとしては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、
スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれら
樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽
和もしくは不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系
ポリマーを挙げることができる。また、上記ラテックス
樹脂は単独で使用するに限らず2種以上併用することも
できる。ラテックス樹脂は乳化重合によって、樹脂微粒
子分散液とし、凝集工程で用いられるが、ワックス微粒
子をシードとしてシード重合したものも用いることも可
能である。ワックス微粒子をシードとしてシード重合す
る場合のワックスとしては、上述のワックスが用いられ
る。
【0015】調整された樹脂微粒子の体積平均粒径は、
通常0.05μm〜3μmの範囲であり、好ましくは
0.1μm〜1μm、更に好ましくは0.1μm〜0.
5μmである。なお、平均粒径は、微粒子測定装置(例
えばマイクロトラック社製UPA)を用いて測定するこ
とができる。体積平均粒径が3μmより大きいと凝集し
て得られるトナー粒径が大きくなりすぎる傾向にあり、
トナーとして高解像度を要求される場合には不適当であ
る。
【0016】本発明に用いられる着色剤微粒子分散液に
含有される着色剤は、従来より重合トナーに用いられる
公知のものがいずれも使用できるが、これらの具体的な
例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイ
エロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナク
リドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリア
リルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ
系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合
して用いることができる。フルカラートナーの場合には
イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合
アゾ系染顔料、マゼンタとしてキナクリドン、モノアゾ
系染顔料、シアンとしてフタロシアニンブルーをそれぞ
れ用いるのが好ましい。
【0017】着色剤は、通常、ラテックス樹脂100重
量部に対して3〜20重量部となるように用いられる。
これらの着色剤は、乳化剤の存在下で水中に乳化させ着
色剤微粒子分散液として調整され凝集工程に用いられ
る。着色剤微粒子の体積平均粒径としては、3μm以下
が好ましい。体積平均粒径が3μm以上になると、凝集
粒子の粒径分布が悪くなる傾向にある。
【0018】次に、必要に応じ荷電制御剤分散液を用い
る場合の荷電制御剤としては、従来より重合トナーに用
いられる公知のものがいずれも使用できるが。カラート
ナーに用いる場合は、適応性(帯電制御剤自体が無色な
いしは淡色でトナーへの色調障害がないこと)を勘案す
ると、正荷電性としては4級アンモニウム塩化合物が、
負荷電性としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル
酸のクロム、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属
錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合
物、フェノール化合物、ナフトール化合物、あるいは、
4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェ
ニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒド
ロキシナフタレン化合物が好ましく用いられる。
【0019】その使用量はトナーに所望の帯電量により
決定すれば良いが、通常はバインダー樹脂100重量部
に対し0.01〜10重量部用い、更に好ましくは0.
1〜10重量部用いる。これらの荷電制御剤は、乳化剤
の存在下で水中に乳化させ着色剤微粒子分散液として調
整され凝集工程に用いられる。荷電制御剤微粒子の体積
平均粒径としては、4μm以下が好ましく、0.01〜
3μmが更に好ましい。体積平均粒径が4μm以上にな
ると、凝集粒子の粒径分布が悪くなる傾向にある。
【0020】次に、磁性一成分トナーを製造する場合に
は、磁性粒子分散液を用いるが、これに使用する磁性分
は、従来より用いられている公知のものが使用できる。
具体的には例えば、マグネタイト、フェライトなどの磁
性粉等が挙げられる。その使用量としては、通常バイン
ダー樹脂100重量部に対して5〜400重量部であ
り、好ましくは20〜100重量部である。これら磁性
粉も乳化剤の存在下で水中に乳化させ磁性粉分散液とし
て調整され凝集工程に用いられる。磁性粉の体積平均粒
径としては、4μm以下が好ましく、0.01〜3μm
が更に好ましい。体積平均粒径が4μm以上になると、
凝集粒子の粒径分布が悪くなる傾向にある。
【0021】上記各成分の粒子は、乳化剤を用いて水中
に分散し、混合分散液とする。乳化剤としては、公知の
カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界
面活性剤の中から選ばれる少なくともひとつの乳化剤を
用いることができる。これらの界面活性剤は2種以上を
併用してもよい。
【0022】カチオン系界面活性剤の具体例としては、
ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウ
ムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマ
イド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリ
ジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニ
ウムブロマイド、等があげられる。また、アニオン系界
面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、
ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシ
ルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、等があげられる。さらに、ノニオン系界面活性剤の
具体例としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテ
ル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノニル
フェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオ
キシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリ
オキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシ
エチレンエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげら
れる。これらの中でアニオン界面活性剤及び/又はノニ
オン界面活性剤が好ましい。
【0023】この他、分散安定剤として、保護コロイド
を使用することもできる。保護コロイドの具体例として
は、ポリビニルアルコール類、セルロース誘導体、天然
多糖類、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン
酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム等があげられる。
【0024】本発明の製造方法の第一工程においては、
上記の各種微粒子分散液を混合する際に、更に乳化液と
混合するが、本発明の特徴は、混合の順序を制御し、ワ
ックス微粒子分散液と樹脂微粒子分散液を混合する前
に、必ず乳化液(各種微粒子分散液に含まれる乳化液以
外の追加の乳化液)を混合することに特徴がある。各種
微粒子分散液には、該微粒子分散液を作成するために乳
化剤を含んでいるが、その含有量は各微粒子の体積平均
粒径を制御するための適切な量である。しかし、これら
各種微粒子分散液を混合した場合、均一な混合分散液と
して保持しようとすると、元々存在している乳化剤の量
では足らず、追加して乳化剤を混合することが通常必要
となる。
【0025】第一工程において用いられる乳化剤(追加
の乳化剤)としては、上記のカチオン系界面活性剤、ア
ニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の中から選
ばれる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよ
い。追加混合する乳化剤は、少なくとも樹脂微粒子分散
液及びワックス微粒子分散液の作成に用いられた界面活
性剤と同系の界面活性剤であることが好ましい。
【0026】本発明は、乳化重合凝集法による重合トナ
ーの製造する場合であって、各種微粒子分散液を混合し
て混合分散液を得る工程(第一工程)において、上述の
ような混合順序とすることにより、粗粉が発生せず、粒
度分布のシャープな凝集粒子(トナー粒子)を得ること
が出来るものである。本発明の製造方法が上述の優れた
効果を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、以下の
ように推定している。
【0027】乳化状態の異なる樹脂微粒子分散液とワッ
クス微粒子分散液とが混合される際、特にワックス微粒
子分散液の急激な乳化状態の変化によって急速な凝集が
起こり、その結果、第二工程(凝集工程)に移る前に、
3μm以上の過大微粒子が発生しやすくなる。このよう
な過大微粒子は25μm以上の粗粉トナーが発生する原
因となる。
【0028】一方、本発明の第一工程の如く、樹脂微粒
子分散液とワックス微粒子分散液を混合する前に、乳化
剤を追加すると、ワックス微粒子と樹脂微粒子にとって
は一時的に乳化剤が過剰の状態となって分散液の安定性
が増し、これによって、樹脂微粒子とワックス微粒子と
の会合による過大微粒子の発生が抑えられ、これにより
粗粉トナーが生成しにくいものと考えられる。
【0029】本発明の製造方法(第一工程)の一実施態
様は、反応槽にワックス微粒子分散液を入れておき、こ
れに乳化液をまず混合してから、次に残りの微粒子分散
液(着色剤微粒子分散液、樹脂微粒子分散液等)を混合
する。本発明の製造方法(第一工程)の別の実施態様
は、反応槽に着色剤微粒子分散液を入れておき、これに
乳化液をまず混合してから、次に残りの微粒子分散液
(ワックス微粒子分散液、樹脂微粒子分散液等)を混合
する。
【0030】本発明の製造方法(第一工程)の別の実施
態様は、反応槽に樹脂微粒子分散液を入れておき、これ
に乳化液をまず混合してから、次に残りの微粒子分散液
(ワックス微粒子分散液、着色剤微粒子分散液等)を混
合する。また、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分散
液を混合する前に、必ず乳化液を混合することから、本
発明の製造方法(第一工程)の別の実施態様として、反
応槽に樹脂微粒子分散液と着色剤微粒子分散液をいれて
おき、これに乳化液を混合した後にワックス微粒子分散
液を混合することも可能である。
【0031】また、樹脂微粒子分散液が2種またはそれ
以上ある場合には、ワックス微粒子分散液と最初に混合
される樹脂微粒子分散液とを混合する前に乳化剤を混合
すれば良く、例えば、第1の樹脂微粒子分散液を反応槽
に入れておき、これに乳化剤、ワックス微粒子分散液、
第2の樹脂微粒子分散液の順序で混合しても良く、第2
の樹脂微粒子分散液、乳化剤、ワックス微粒子分散液の
順序で混合しても良い。また、さらに上記以外の混合順
序であっても、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分散
液を混合する前に、必ず乳化液を混合する実施態様であ
ればよい。
【0032】また、ワックス微粒子分散液を所望の粒径
にて作成終了後これに追加の乳化剤を混合しておき、反
応槽に樹脂微粒子分散液を入れておいて、これにワック
ス微粒子分散液に乳化剤を混合したものを投入して混合
する場合や、樹脂微粒子分散液を所望の粒径にて作成終
了後これに追加の乳化剤を混合しておき、反応槽にワッ
クス微粒子分散液を入れておいて、これに樹脂微粒子分
散液に乳化剤を混合したものを投入して混合する場合
も、本発明の範囲に含まれる。
【0033】樹脂微粒子分散液に乳化剤を増量(追加混
合)し、これをワックス微粒子分散液と混合する場合で
は、樹脂微粒子分散液の乳化剤を増量する操作は、樹脂
微粒子分散液をその他の分散液と混合する直前に、樹脂
微粒子分散液を攪拌しながら一定量の乳化剤を添加する
ことによって行うか、乳化重合によって樹脂微粒子分散
液を製造する工程において、所望の粒径に達した後の熟
成工程で乳化剤を添加することによって行うこともでき
る。
【0034】そして、乳化剤量を増量した樹脂微粒子分
散液を攪拌しながら、ワックス微粒子分散液をゆっくり
添加することによって二つの分散液を混合すると、3μ
m以上の粗粉の発生が押さえられ好ましい。乳化剤を増
量した樹脂微粒子分散液と混合するワックス微粒子分散
液は、ワックス微粒子分散液として調整したままのもの
を用いても良いが、分散液の調整後に乳化剤を増量した
ワックス微粒子分散液を用いても良い。
【0035】ワックス微粒子分散液に乳化剤を増量(追
加混合)し、これを樹脂微粒子分散液と混合する場合で
は、ワックス微粒子分散液の乳化剤を増量する操作は、
ワックス微粒子分散液をその他の分散液と混合する直前
に、ワックス微粒子分散液を攪拌しながら一定量の乳化
剤を添加することによって行うか、ワックス微粒子分散
液を所望の粒径に調整した後、引き続いて乳化剤を追加
混合することよって行うこともできる。
【0036】そして、乳化剤量を増量したワックス微粒
子分散液を攪拌しながら、樹脂微粒子分散液をゆっくり
添加することによって二つの分散液を混合すると、3μ
m以上の粗粉の発生が押さえられ好ましい。乳化剤を増
量したワックス微粒子分散液と混合する樹脂微粒子分散
液は、乳化重合により所望の粒径に調整した樹脂微粒子
分散液自体を用いても良いが、分散液の調整後に乳化剤
を増量した樹脂微粒子分散液を用いても良い。
【0037】本発明の第1工程において、2種類以上の
樹脂微粒子分散液と1種類以上のワックス分散液を用い
た場合でも、3μm以上の粗粉を発生することなく混合
することができる。混合方法としては、樹脂微粒子分散
液同士、ワックス分散液同士それぞれ混合してから乳化
剤増量を経て混合しても良いし、一つの分散液に乳化剤
増量後一つづつ混合するあるいは同時に添加することに
よって行ってもよい。
【0038】これらの内、ワックス微粒子に対してより
過剰な乳化剤が存在する状態で混合できることを考慮す
ると、ワックス微粒子分散液と乳化剤の混合液に対し
て、樹脂微粒子分散液を添加混合することが好ましい。
また、この場合、樹脂微粒子分散液は、一度に混合する
のではなく、少量ずつ複数回に分けて投入するか、連続
的に滴下するのが、乳化状態の急激な変化が起こりにく
く好ましい。
【0039】本発明においては、上記の各種微粒子分散
液と乳化剤を混合して混合分散液とし(第一工程)、各
種微粒子を凝集して実質的に所望のトナー粒径の大きさ
の凝集粒子を製造する(第二工程)が、ここで、第二工
程(凝集工程)においては、1)加温して凝集を行う方
法と、2)電解質を加えて凝集を行う方法とがある。加
温して凝集を行う場合に、凝集温度としては具体的に
は、Tg−20℃〜Tgの温度範囲(但し、Tgはラテ
ックス樹脂のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜
Tg−5℃の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、
電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させ
ることができる。
【0040】粒度分布の良好な凝集粒子を製造するに
は、凝集温度は所定の温度で通常少なくとも30分保持
することにより所望の粒径のトナー粒子とする。所定の
温度までは一定速度で昇温しても良いし、ステップワイ
ズに昇温しても良い。保持時間は、Tg−20℃〜Tg
の範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上
4時間以下がさらに好ましい。
【0041】次に、電解質を添加して凝集粒子を製造す
る場合に用いられる電解質としては、有機の塩、無機塩
のいずれでも用いることができ、具体例には例えば、N
aCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、L
2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaS
4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43
CH3COONa、CH3SO3Na等があげられる。
【0042】電解質の添加量は、電解質の種類によって
も変わるが、通常は重合体固形分100重量部に対し
て、0.01〜100重量部、好ましくは、0.1〜5
0重量部、より好ましくは、0.1〜25重量部で用い
られる。電解質添加量が0.01部より少ないときに
は、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下
の微粉が残ったり、得られた凝集粒子の体積平均粒径が
3μm以下となる傾向にあり、電解質添加量が100重
量部より多いときには、急速で制御の効かない凝集とな
りやすく、得られた凝集粒子の中に25μm以上の粗粉
がまじったり、凝集体の形状がいびつで不定形のものに
なるなどの傾向にある。
【0043】電解質を添加する場合の温度は、通常5〜
60℃の範囲で行う。30℃以上に加熱して凝集反応の
速度を上げても良いが、あまり加熱すると急速な凝集が
起こり、粒径制御が困難となったり、得られた粒子のか
さ密度が低くなることがあるので、混合分散液の温度は
40℃以下に保つことが好ましく、より好ましくは5〜
30℃の温度範囲、更に好ましくは10〜25℃の温度
範囲に保って電解質添加を行うと良い。
【0044】また、電解質添加終了後の反応温度は、ラ
テックス樹脂のガラス転移点(Tg)に対して、通常、
Tg+20℃以下が好ましい。なお、ガラス転移点は示
差走査熱量計(DSC)によって測定される。より好ま
しい温度範囲は、Tg〜Tg+10℃である。反応温度
がTg+20℃よりも高い場合には、所望の粒径に制御
することが難しく、粗粉ができやすいという問題があ
る。反応は、所定の温度で少なくとも10分以上保持
し、より好ましくは20分以上保持することにより所望
の粒径のトナー粒子とする。所定の温度までは一定速度
で昇温してもよいし、ステップワイズに昇温しても良
い。
【0045】第二工程におけるpHの値は使用する乳化
剤の種類、量、目標とするトナーの粒径によって適宜選
択すれば良いが、アニオン系界面活性剤をメインに用い
る場合には、pH2〜6、カチオン系界面活性剤を用い
るときには、pH8〜12とするのが好ましい。
【0046】更に、前述の第二工程で得られた凝集粒子
(トナー粒子)の安定性を増すためにTg〜Tg+80
℃であり、かつラテックス樹脂の軟化点以下の温度範囲
で、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えるこ
とが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒
子の形状も球状に近いものすることができ、形状制御も
可能になる。この熟成工程は、通常1時間から24時間
であり、好ましくは2時間から10時間である。
【0047】第二工程においては、均一な凝集粒子を得
るために、攪拌翼によって反応槽を攪拌することが好ま
しい。用いる攪拌翼としては、従来公知であり、市販さ
れている各種の形状の攪拌翼を用いることが出来る。市
販の攪拌翼としては、例えば、アンカー翼(自社制
作)、フルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、サンメラ
ー翼(三菱重工社製)、マックスブレンド翼(住友重機
械工業社製)、Hi−Fミキサー翼(綜研化学社製)、
ダブルヘリカル翼(神鋼パンテック社、自社共同製
作)、バッフル付ダブルヘリカル翼等の攪拌翼を挙げる
ことができる。
【0048】通常はこれらの攪拌翼の中から、反応液の
粘度その他の物性、あるいは反応形態、反応槽の形状及
び大きさ等により好適なものを選択し使用されるが、好
ましい攪拌翼としては具体的には、ヘリカル翼またはア
ンカー翼が挙げられるヘリカル翼の場合は、中でも中心
軸を有さないヘリカルリボン翼が好ましい。また、ヘリ
カル翼の場合、螺旋構造を1つ有するシングルヘリカ
ル、螺旋構造を2つ有するダブルヘリカル、さらにトリ
プルあるいはそれ以上のものがあるが、攪拌効率とヘリ
カル翼の製造面とを合わせて考慮すると、ダブルヘリカ
ル翼が好ましい。ヘリカル翼の場合、ピッチ(1つの螺
旋構造における横幅と1周期を含む縦幅との比)は、横
幅:縦幅=1:1〜1:2が好ましい。また、アンカー
翼の場合は、攪拌の均一性を確保する目的で、反応槽に
じゃま板(バッフル)を設けることが好ましい。
【0049】本発明によりトナーを製造するにあたって
は、凝集粒子の粒径が実質的に最終的なトナーの粒径ま
で成長した後に、更に同種または異なった種類のバイン
ダー樹脂エマルジョンを添加し、粒子を表面に付着させ
ることにより、表面近傍のトナー性状を修飾することも
可能である。例えば、ガラス転移点の高い樹脂を表面に
付着させることにより、凝集粒子の保存安定性を増すこ
とができる。また、帯電制御剤、または帯電制御剤を含
有する樹脂微粒子を表面に付着させることにより、トナ
ーの帯電性を向上させることができる。
【0050】また、トナーは、必要により流動性向上剤
等の添加剤と共に用いることができ、そのような流動性
向上剤としては、具体的には、疎水性シリカ、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、等の微粉末
をあげることができ、通常、ラテックス樹脂100重量
部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜
3重量部用いられる。
【0051】更に、トナーは、マグネタイト、フェライ
ト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チ
タニア等の無機微粉末やスチレン樹脂、アクリル樹脂、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、等の抵抗調
節剤や滑剤などが内添剤又は外添剤として用いられる。
これらの添加剤の使用量は所望する性能により適宜選定
すれば良く、通常バインダー樹脂100重量部に対し
0.05〜10重量部程度が好適である。
【0052】本発明の製造方法により得られた静電荷現
像用トナーは2成分系現像剤または非磁性1成分系現像
剤のいずれの形態で用いても良い。2成分系現像剤とし
て用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト
粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹
脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のも
のを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの
被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹
脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、
シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ま
たはこれらの混合物等が利用できる。
【0053】また、こうして得られた、トナー粒子の体
積平均粒径(DV)は、通常3〜12μmであり、3〜
10μmが好ましく、4〜8μmが更に好ましい。ま
た、体積平均粒径(DV)と個数平均粒径(DN)との関
係は、DV/DN=1〜1.5であることが好ましく、
1.1〜1.45が更に好ましい。
【0054】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
る。以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味す
る。また、重合体粒子の平均粒径及び分子量は、それぞ
れ下記の方法により測定した。 平均粒径:マイクロトラック社製、UPA、またはコー
ルター社製、コールターカウンターマルチサイザーII
型(以下、コールターカウンターと略)によって測定し
た。 重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により測定した。(溶媒:THF、検量
線:標準ポリスチレン)
【0055】得られたトナーは定着試験を下記の方法に
より実施した。未定着のトナー像を担持した記録紙を用
意し、加熱ローラの表面温度を100℃から220℃ま
で変化させ、定着ニップ部に搬送し、排出されたときの
定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオ
フセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に
記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とした。
このオフセットが生じない定着温度の下限温度をTL、
上限温度をTUとしたとき、TU−TLをその定着温度
幅とした。定着機の加熱ローラは、離型層がPFA(テ
トラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体)でできており、シリコンオイルの塗布
なしに、ニップ幅は4mmで評価した。定着速度は12
0mm/sと30mm/sで実施した。
【0056】[実施例1] (シードワックス分散液の作製)シードワックス分散液
100部として、ベヘン酸ベヘニル30部をN−ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.67部の存在下に
高圧剪断をかけて乳化し、エステルワックスのエマルジ
ョン(ワックスエマルジョンAと呼ぶ)を得た。得られ
たエマルジョンの固形分濃度は30%であり、UPAで
測定した平均粒径は220nmであった。
【0057】(樹脂微粒子分散液の作製:シード乳化重
合によるワックス内包ラテックス)攪拌装置、加熱冷却
装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
ガラス製反応器に以下の量のワックスエマルジョンA
35部、脱塩水 400部を仕込み、窒素気流下で90
℃に昇温した。その後、下記のモノマー類、乳化剤水溶
液、開始剤を添加し、6.5時間乳化重合を行った。
【0058】
【表1】(モノマー類) スチレン 79部 アクリル酸ブチル 21部 アクリル酸 3部 トリクロロブロモメタン 0.5部 (乳化剤水溶液) 10%S−DBS溶液 1部 脱塩水 25部 (開始剤) 8%過酸化水素水溶液 10.6部 8%アスコルビン酸水溶液 10.6部
【0059】重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分
散液を得た。得られた重合体分散液の重量平均分子量は
131,000、UPAで測定した平均粒子径は250
nm、Tgは55℃であった。得られたエマルションの
断面をTEMで観察したところ、ワックスが樹脂で内包
化されているのが観察された(これを樹脂微粒子分散液
A)とする。
【0060】(着色剤微粒子分散液の作製)ピグメント
ブルー15:3 30部を、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル5部、水65部の存在下にサンドグ
ラインダーミルにて分散し、着色剤微粒子分散液(10
0部)を得た。得られた分散液の固形分濃度は35%で
あり、UPAで測定した平均粒径は150nmであっ
た。 (これを着色剤微粒子分散液Aとする)
【0061】(荷電制御剤微粒子分散液の作製)4,
4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニ
ル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕20部を、
アルキルナフタレンスルホン酸塩4部、水76部の存在
下にサンドグラインダーミルにて分散し、荷電制御剤微
粒子分散液(100部)を得た。得られた分散液の固形
分濃度は24%であり、UPAで測定した平均粒径は2
00nmであった。 (これを荷電制御剤微粒子分散液Aとする)
【0062】(ワックス微粒子分散液の作製)フェニル
変性アルキルシリコーン27部を、N−ドデシルベンゼ
ンスルホン酸塩2部、水71部の存在下に高圧剪断をか
けて乳化し、変性シリコンワックスのエマルジョン(1
00部)を得た。得られたエマルジョンの固形分濃度は
29%であり、UPAで測定した平均粒径は260nm
であった。(これをワックス微粒子分散液A)とする
【0063】
【表2】 <凝集粒子の形成(トナーの調製)> 樹脂微粒子分散液A 110部(固形分として) 着色剤微粒子分散液A 6.7部(固形分として) 荷電制御剤微粒子分散液A 2部(固形分として) ワックス微粒子分散液A 5部(固形分として) 乳化剤 0.3部(固形分として)
【0064】上記の各成分を以下のような順序で混合し
た。ワックス微粒子分散液Aに乳化剤を添加して、均一
に混合してから樹脂微粒子分散液Aを攪拌しながらゆっ
くり添加した。次に、着色剤微粒子分散液Aを添加し、
均一に混合した。
【0065】こうして得られた混合分散液をアンカー翼
で攪拌しながら20℃で硫酸アルミニウム水溶液を添加
した(固形分濃度として0.6部添加)。硫酸アルミニ
ウム水溶液添加後の混合分散液の平均粒径は、1.8μ
mであった。その後、攪拌しながら60℃に昇温して1
時間保持し、その後荷電制御剤微粒子分散液Aを添加
し、更に63℃で1時間保持した。最後、10%S−D
BSを3.5部添加してから95℃に昇温し、4時間保
持した。その後冷却し、桐山ロートで濾過、水洗し、凍
結乾燥することによりトナーを得た(これをトナーAと
する)。
【0066】得られたトナーAのコールターカウンター
による体積平均粒径は7.6μmであった。また、体積
粒径の5μm以下の割合は1.28%、15μm以上の
割合は0.3%であり粒径分布は非常に良好であった。
コールターカウンターによって測定したトナーAの体積
平均粒径の分布のグラフを図1に示す。このようにして
得られたトナーの定着性を評価したところ、定着速度1
20mm/sで150〜220℃以上の間で定着し、定
着速度30mm/sでは130〜220℃以上で定着し
た。また、同じ評価機で画質を評価したところ、ルーペ
による観察で濃度ムラが僅かに認められたが、肉眼では
問題のない範囲であった。
【0067】[実施例2]ワックス微粒子分散液Aを2部
に代えた以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た
(これをトナーBとする)。このトナーの体積平均粒径
は7.4μm、また、体積粒径の5μm以下の割合は
1.9%、15μm以上の割合は0.7%であり粒径分
布は非常に良好であった。このようにして得られたトナ
ーの定着性を評価したところ、定着速度120mm/s
で150〜220℃以上の間で定着し、定着速度30m
m/sでは130〜220℃以上で定着した。また、同
じ評価機で画質を評価したところ、トナーAと同じよう
に、濃度ムラが僅かに認められたが、肉眼では問題のな
い範囲であった。
【0068】[比較例1]微粒子分散液の混合順序は樹脂
微粒子分散液Aにワックス微粒子分散液Aを添加混合し
てから、乳化剤溶液を添加、更に着色剤微粒子分散液A
を添加し、均一に混合し、混合分散液を得た。それ以外
実施例1と同様にしてトナー粒子を得た(これをトナー
Cとする)。硫酸アルミニウム水溶液添加後の混合分散
液の平均粒径を測定したところ、10μm付近の粗粉発
生を観察した。最後得られたトナーCの体積平均粒径は
7.6μm、また、体積粒径の5μm以下の割合は2.
7%、15μm以上粗粉の割合は4.9%であった。コ
ールターカウンターによって測定したトナーCの体積平
均粒径の分布のグラフを図1に示す。このようにして得
られたトナーの定着性を評価したところ、定着速度12
0mm/sで170〜220℃以上の間で定着し、定着
速度30mm/sでは140〜190℃で定着した。ま
た、同じ評価機で画質を評価したところ、濃度ムラがか
なり認められ、許容範囲を超えていた。
【0069】[比較例2]ワックス微粒子分散液Aを2部
に代えた以外比較例1と同様にしてトナー粒子を得た
(これをトナーDとする)。比較例1と同様に硫酸アル
ミ溶液添加後10μm付近の粗粉発生が観察された。こ
のトナーの体積平均粒径は7.4μm、また、体積粒径
の5μm以下の割合は3.1%、15μm以上粗粉の割
合は8.4%であった。このようにして得られたトナー
の定着性を評価したところ、定着速度120mm/sで
150〜200℃の間で定着し、定着速度30mm/s
では130〜180℃で定着した。トナーCと同様、濃
度ムラがかなり観察された。
【0070】
【発明の効果】本発明により、定着性が良好で高解像度
化に対応可能な、小粒径で均一な粒子よりなるトナーが
製造できる。また得られたトナーの粒径分布が狭く、特
に画質に影響する粗粉の発生を押さえることができ、分
級工程を必要としないことから安価にトナーを製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たトナーAの体積平均粒径の分布
を示すグラフである。
【図2】比較例1で得たトナーCの体積平均粒径の分布
を示すグラフである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともワックス微粒子分散液、樹脂
    微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、及び乳化剤とを混
    合して混合分散液を得る第一工程、該混合分散液中の微
    粒子を凝集させて凝集粒子とする第二工程を有する静電
    荷像現像用トナーの製造方法であって、第一工程におい
    て、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分散液とを混合
    するに先立って、ワックス微粒子分散液と樹脂微粒子分
    散液の少なくとも一方と乳化剤とを混合することを特徴
    とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくともワックス微粒子分散液、樹脂
    微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、及び乳化剤とを混
    合して混合分散液を得る第一工程、該混合分散液中の微
    粒子を凝集させて凝集粒子とする第二工程を有する静電
    荷像現像用トナーの製造方法であって、第一工程におい
    て、少なくともワックス微粒子分散液と乳化剤とを混合
    し、これに樹脂微粒子分散液を追加混合することを特徴
    とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 第二工程において、混合分散液中の微粒
    子の固形分100重量部に対し、電解質を0.01〜1
    00重量部添加して混合分散液中の微粒子を凝集させて
    凝集粒子とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用
    トナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂微粒子の体積平均粒径が0.1〜2
    μmである請求項1乃至3に記載の静電荷像現像用トナ
    ーの製造方法。
  5. 【請求項5】 ワックス微粒子の体積平均粒径が0.1
    〜2μmである請求項1乃至4に記載の静電荷像現像用
    トナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 第一工程を0℃を超えTg以下(但し、
    Tgは樹脂粒子のガラス転移温度)の温度範囲で行い、
    第二工程を第一工程の温度以上、Tg+20℃以下の温
    度範囲で行う請求項1乃至5に記載の静電荷像現像用ト
    ナーの製造方法。
  7. 【請求項7】 樹脂微粒子の固形分100重量部に対
    し、ワックス微粒子の固形分を1〜40重量部混合する
    請求項1乃至6に記載の静電荷像現像用トナーの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法
    により製造された静電荷像現像用トナー。
  9. 【請求項9】 体積平均粒径が3〜10μmである請求
    項8に記載の静電荷像現像用トナー。
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