JP2002003933A - 焼入装置及び焼入方法 - Google Patents

焼入装置及び焼入方法

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JP2002003933A
JP2002003933A JP2000184511A JP2000184511A JP2002003933A JP 2002003933 A JP2002003933 A JP 2002003933A JP 2000184511 A JP2000184511 A JP 2000184511A JP 2000184511 A JP2000184511 A JP 2000184511A JP 2002003933 A JP2002003933 A JP 2002003933A
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gas
gas injection
oxidizing gas
quenching
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JP2000184511A
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English (en)
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Hajime Nitta
一 新田
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Neturen Co Ltd
Original Assignee
Neturen Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼入コストを低減でき、しかも、長尺材の表面
を酸化させずに焼入れできる焼入装置を提供する。 【解決手段】誘導加熱コイル20の液路22には、非酸
化性ガスを噴射する第1ガス噴射管30が複数本通って
いる。各第1ガス噴射管30のガス噴射口32はそれぞ
れ、誘導加熱コイル20のうち長尺材12の表面に向き
合う部分に形成されている。また、長尺材12の移動方
向(矢印A方向)上流側には、下流側に向けて非酸化性
ガスを噴射する第2ガス噴射管46を配置し、一方、こ
の下流側には、上流側に向けて非酸化性ガスを噴射する
第4ガス噴射管70を配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺材をその長手
方向に順次に焼入れする焼入方法及び焼入装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】長尺材の表面(表面層)を焼入れする技
術として、長尺材をその長手方向に移動させながらその
表面を順次に焼入れする技術(移動焼入)が知られてい
る。この移動焼入れでは、一般に、誘導加熱コイルを長
尺材の表面に接近させておき、この長尺材を所定の移動
速度で下降させながらその表面を誘導加熱コイルで順次
に焼入温度に加熱し、表面のうち焼入温度に加熱され終
った面(被冷却面)に冷却液を噴射してこの被冷却面を
硬化する。移動焼入では、このようにして長尺材の表面
をその長手方向に順次に硬化させる。
【0003】ところが、上記した移動焼入れでは、大気
中(空気中)で長尺材の表面を焼入温度に加熱するの
で、加熱時間が短くてもこの表面が酸化するおそれがあ
る。
【0004】そこで、被加熱面に不活性ガスや還元性ガ
スを噴射すると共にこの噴射したガスを噴射位置の上方
に充満させることにより、被加熱面の酸化を防止する技
術が提案されている(特開平11−21619号公報参
照)。この技術では、誘導加熱コイルの上方にハウジン
グを設けておき、噴射されたガスをハウジングの内部に
充満させて長尺材の表面に接触させている。
【0005】また、上記の技術では、不活性ガスや還元
性ガスが噴射されるガス噴射孔が多数形成されたガス噴
射環が使用されている。このガス噴射環の内部は空洞に
なっており、外部からこの内部に不活性ガス等が導入さ
れる。ガス噴射環の内部に導入された不活性ガス等は、
多数のガス噴射孔から長尺材に向かって噴射される。こ
のようにして噴射された不活性ガス等が長尺材の表面を
覆ってこの表面の酸化を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したガス噴射環
は、上記の公報によれば、誘導加熱コイルとは別体であ
っても一体であってもよい。いずれの場合でも、ガス噴
射環の内部には不活性ガス等が流れており、この内部の
不活性ガス等が多数のガス噴射孔から噴射される。とこ
ろで、ガス噴射環のうち多数のガス噴射孔が形成された
部分は、誘導加熱コイルに加熱されている長尺材の表面
に向き合っている。従って、ガス噴射環の一部は、常
に、長尺材の表面からの輻射熱を受けていることとな
る。このため、ガス噴射環は、常に、高温に加熱され続
けており、熱によって変形などの損傷を受け易い。
【0007】ガス噴射環の損傷を抑えるためには、この
ガス噴射環を長尺材の表面から遠ざけて配置すればよ
い。しかし、このように遠ざけた場合、多数のガス噴射
孔から非常に強い勢いで不活性ガス等を噴射しなけれ
ば、噴射された不活性ガスは長尺材に到達しない。この
場合、長尺材の表面が不活性ガス等で覆われないことと
なる。一方、多数のガス噴射孔から強い勢いで不活性ガ
ス等を噴射した場合、噴射されたガスが長尺材の表面で
跳ね返されて(反射して)この表面から離れ易い(遠ざ
かり易い)こともある。
【0008】従って、上記の公報に記載された技術で
は、ガス噴射環の寿命が短く、焼入れの際のランニング
コストが高くなり、その分、焼入コストが高くなること
がある。また、焼入の際に長尺材の表面が不活性ガス等
で完全には覆われないことがあり、この場合、長尺材の
表面が酸化するおそれがある。
【0009】本発明は、上記事情に鑑み、焼入コストを
低減でき、しかも長尺材の表面を酸化させずに焼入れで
きる焼入装置及び焼入方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の焼入装置は、長尺材をその長手方向に順次に
焼入れする焼入装置において、(1)長尺材に沿ってそ
の長手方向に相対的に移動しながらこの長尺材の表面を
順次に焼入温度に加熱する、内部に冷却液が流れる誘導
加熱コイルと、(2)この誘導加熱コイルのうち上記表
面に向き合う部分にガス噴射口が形成されると共にこの
誘導加熱コイルの内部を通る、上記ガス噴射口から非酸
化性ガスが噴射する第1ガス噴射管と、(3)長尺材の
表面のうち上記誘導加熱コイルによって焼入温度に加熱
され終った被冷却面に冷却液を噴射する、この冷却液が
内部に流れる冷却液噴射部材とを備えたことを特徴とす
るものである。
【0011】ここで、上記の焼入装置は、(4)上記誘
導加熱コイルよりも上記移動方向の上流側に配置され
た、上記移動方向の上流側から下流側に向けて非酸化性
ガスを噴射する第2ガス噴射管を備えてもよい。
【0012】また、上記の焼入装置は、(5)上記冷却
液噴射部材のうち上記表面に向き合う部分にガス噴射口
が形成されると共にこの冷却液噴射部材の内部を通る、
上記表面に非酸化性ガスを噴射する第3ガス噴射管を備
えてもよい。
【0013】さらに、上記第3ガス噴射管は、(6)上
記第2ガス噴射管よりも強い勢いで非酸化性ガスを噴射
するものであってもよい。
【0014】さらにまた、上記第3ガス噴射管は、
(7)上記冷却液噴射部材から冷却液が噴射される方向
に非酸化性ガスを噴射するものであってもよい。
【0015】さらにまた、上記の焼入装置は、(8)上
記誘導加熱コイルよりも上記移動方向の下流側に配置さ
れた、上記移動方向の下流側から上流側に向けて非酸化
性ガスを噴射する第4ガス噴射管を備えてもよい。
【0016】また、上記目的を達成する本発明の焼入方
法は、長尺材をその長手方向に順次に焼入れする焼入方
法において、(9)長尺材の表面に誘導加熱コイルを接
近させてこの誘導加熱コイルと長尺材とをこの長尺材の
長手方向に相対的に移動させることにより上記表面を順
次に焼入温度に加熱しながら、この表面のうち上記誘導
加熱コイルで加熱されている被加熱面を非酸化性ガスで
覆うと共に、この被加熱面よりも上記移動方向の上流側
から下流側に向けて非酸化性ガスを噴射し、さらに、上
記表面のうち上記被加熱面よりも上記移動方向の下流側
の下流面にも非酸化性ガスを噴射し、(10)上記表面
のうち上記下流面よりも上記移動方向の下流側の被冷却
面に冷却液を噴射してこの被冷却面を硬化することを特
徴とするものである。
【0017】ここで、(11)上記被加熱面よりも上記
移動方向の上流側から下流側に向けて非酸化性ガスを噴
射する勢いよりも強い勢いで上記下流面に非酸化性ガス
を噴射してもよい。
【0018】また、(12)上記下流面に非酸化性ガス
を噴射する際に、上記被冷却面に冷却液が噴射される方
向に非酸化性ガスを噴射してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】図1と図2を参照して本発明の実
施形態を説明する。
【0020】図1は、本発明の一実施形態の焼入装置を
長手方向に切断して模式的に示す断面図であり、焼入装
置の半分(紙面では右半分)のみを示している。図2
は、図1のB−B断面図であり、焼入装置の全体を平面
的に示す。
【0021】焼入装置10は、矢印A方向(本発明にい
う移動方向の一例である)に移動している長尺材12の
表面をその長手方向に順次に硬化させる装置である。焼
入装置10の全体形状はリング状のものであり、その中
心孔11を長尺材12が通過しながら焼入れされる。な
お、焼入装置10は長尺材12に関してほぼ対称である
が、上述したように図1では、焼入装置10の半分だけ
が示されている。
【0022】焼入装置10は、長尺材12の表面(表面
層)を所定の焼入温度に加熱する誘導加熱コイル20を
備えている。この誘導加熱コイル20は矩形の横断面を
有する環状のものであり、その中心部を長尺材12が通
過する。また、誘導加熱コイル20の内部には、この誘
導加熱コイル20を冷却する冷却液が流れる液路(空
洞)22が形成されている。液路22は外部の冷却液管
(図示せず)に接続されており、液路22には冷却液が
供給されると共に、液路22からは冷却液が排出され
る。なお、誘導加熱コイル20は高周波電源(図示せ
ず)に接続されている。
【0023】誘導加熱コイル20の液路22には、非酸
化性ガス34を噴射する第1ガス噴射管30が複数本
(図2では16本)通っている。従って、複数本の第1
ガス噴射管30は、液路22を流れる冷却液で常に冷却
されている。また、図2に示すように、複数本の第1ガ
ス噴射管30は、長尺材12を中心として放射状に配置
されている。各第1ガス噴射管30のガス噴射口32は
それぞれ、誘導加熱コイル20のうち長尺材12の表面
に向き合う部分に形成されている。第1ガス噴射管30
のうちガス噴射口32の周囲の部分は、長尺材12から
の輻射熱で加熱され易い。しかし、上述のように液路2
2を流れる冷却液で第1ガス噴射管30が常に冷却され
ているので、ガス噴射口32の周囲の部分が高温になる
ことはない。この結果、第1ガス噴射管30が熱で損傷
することはなく、その寿命は長い。上記のようにガス噴
射口32の周囲の部分は高温にならないので、ガス噴射
口32を長尺材12の表面に接近させられる。この場
合、ガス噴射口32から比較的弱い勢いで非酸化性ガス
34を噴射しても、噴射された非酸化性ガス34は長尺
材12の表面に到達する。非酸化性ガス34の勢いが弱
いので、非酸化性ガス34が長尺材12の表面に跳ね返
されることもない。従って、長尺材12の表面が非酸化
性ガス34で完全に覆われるので、長尺材12の表面が
酸化しない。
【0024】また、各ガス噴射管30のうちガス噴射口
32とは反対の側の端部はガス管(図示せず)に接続さ
れており、このガス管から所定の圧力の非酸化性ガスが
各ガス噴射管30に供給される。各ガス噴射管30に供
給された非酸化性ガス34はガス噴射口32から噴射さ
れて長尺材12の表面を覆う。なお、非酸化性ガスと
は、還元性ガス、不活性ガスなどを含むガスをいい、酸
化性ガスを除くガスをいう。
【0025】誘導加熱コイル20の上面には、誘導加熱
コイル20の上方を覆うカバー40が固定されている。
カバー40の全体形状はほぼ環状である。カバー40
は、誘導加熱コイル20の上面から上方に(矢印A方向
とは反対の方向に)延びた環状の縦板42と、この縦板
42の上端から長尺材12に向かって延びた環状の横板
44とを有する。横板44の先端は長尺材12に接近し
ているが、接触していない。
【0026】横板44の中央部には、非酸化性ガス48
を噴射する第2ガス噴射管46が固定されている。第2
ガス噴射管46のガス噴射口47は誘導加熱コイル20
よりも矢印A方向の上流側に配置されており、この上流
側から下流側に向けて(矢印A方向に)非酸化性ガス4
8を噴射する。
【0027】第2ガス噴射管46のガス噴射口47から
噴射された非酸化性ガス48は、長尺材12のうち第1
ガス噴射管30よりも矢印A方向の上流側の表面(上流
面)16を覆う。このため、長尺材12の表面のうち誘
導加熱コイル20で加熱されている面(被加熱面)14
の熱が上流面16に伝導してこの上流面16が加熱され
ても、上流面16は酸化しない。
【0028】誘導加熱コイル20の下面には、長尺材1
2に冷却液56を噴射する冷却液噴射部材50が固定さ
れている。この冷却液噴射部材50は矩形の横断面を有
する環状のものであり、その中心部を長尺材12が通過
する。冷却液噴射部材50の内部には、長尺材12を冷
却する冷却液が流れる液路(空洞)52が形成されてい
る。液路52は外部の冷却液管(図示せず)に接続され
ており、液路52には冷却液が供給される。
【0029】冷却液噴射部材50の下面には、液路52
を流れている冷却液を噴射する多数の冷却液噴射孔54
が形成されている。冷却液噴射孔54は長尺材12に向
かう方向に傾斜している。このため、冷却液噴射孔54
からは矢印A方向に対して斜め方向に冷却液56が噴射
され、噴射された冷却液56は長尺材12に衝突する。
【0030】冷却液噴射部材50の液路52には、非酸
化性ガス64を噴射する第3ガス噴射管60が複数本
(図1では1本)通っている。図1に示すように、第3
ガス噴射管60は、矢印A方向に対して斜め下方向に配
置されている。この斜め下方向は、冷却液56が冷却液
噴射孔54から噴射される方向と一致する。第3ガス噴
射管60のガス噴射口62は、冷却液噴射部材50のう
ち長尺材12の表面に向き合う部分に形成されている。
ガス噴射口62は長尺材12の熱で加熱されることもあ
るが、液路52を流れる冷却液で第3ガス噴射管60が
常に冷却されているので、ガス噴射口62の周囲の部分
が高温になることはない。この結果、第3ガス噴射管6
0が熱で損傷することはなく、その寿命は長い。
【0031】上述したように、ガス噴射口62からは、
冷却液56が冷却液噴射孔54から噴射される方向に非
酸化性ガス64が噴射する。また、ガス噴射口62から
噴射された非酸化性ガス64は、冷却液噴射孔54から
噴射された冷却液56よりも矢印A方向の上流側を通
る。さらに、ガス噴射口62からは、例えば第2ガス噴
射管46よりも勢い良く非酸化性ガス64が噴射され
る。この結果、冷却液56やその蒸気が矢印A方向の上
流側に侵入しようとしても、この侵入は非酸化性ガス6
4によって防止される。また、長尺材12の表面に酸化
膜が形成されたとしても、ガス噴射口62から非酸化性
ガス64を非常に勢い良く噴射することによりこの酸化
膜を除去できる。
【0032】上記した冷却液噴射部材50の液路52に
は、非酸化性ガス74を噴射する第4ガス噴射管70も
複数本(図1では1本)通っている。図1に示すよう
に、第4ガス噴射管70は、矢印A方向に対して斜め上
方向に配置されている。このため、第4ガス噴射管70
は第3ガス噴射管60にほぼ直交している。第4ガス噴
射管70のガス噴射口72は、冷却液噴射部材50のう
ち長尺材12の表面に向き合う部分に形成されている。
ガス噴射口72は長尺材12の熱で加熱されることもあ
るが、液路52を流れる冷却液で第4ガス噴射管70が
常に冷却されているので、ガス噴射口72の周囲の部分
が高温になることはない。この結果、第4ガス噴射管7
0が熱で損傷することはなく、その寿命は長い。
【0033】上記した第4ガス噴射管70のガス噴射口
72からは、矢印A方向の上流側に非酸化性ガス74が
噴射される。噴射された非酸化性ガス74は長尺材12
に衝突してこの表面を覆う。なお、長尺材12の表面に
酸化膜が形成されていたとしても、ガス噴射口72から
非酸化性ガス74を非常に勢い良く噴射することにより
この酸化膜を除去できる。
【0034】ところで、上記した第2ガス噴射管46の
ガス噴射口47からは矢印A方向に非酸化性ガス48が
噴射される。一方、上述したように、第4ガス噴射管7
0のガス噴射口72からは、矢印A方向の上流側に非酸
化性ガス74が噴射される。ガス噴射口47とガス噴射
口72との間の空間には、第1ガス噴射管30のガス噴
射口32が配置されている。このため、ガス噴射口32
から噴射された非酸化性ガス34は、ガス噴射口47と
ガス噴射口72それぞれから噴射された非酸化性ガス7
4,48に挟まれて閉じ込められる。この結果、誘導加
熱コイル20で加熱されている被加熱面14は非酸化性
ガス34で常に覆われており、被加熱面14の酸化が確
実に防止される。
【0035】上記した冷却液噴射部材50の液路52に
は、非酸化性ガス84を噴射する第5ガス噴射管80も
複数本(図1では4本)通っている。図1に示すよう
に、第5ガス噴射管80は、矢印A方向にほぼ直交する
方向に配置されている。また、第5ガス噴射管80のガ
ス噴射口82は、冷却液噴射部材50のうち長尺材12
の表面に向き合う部分に形成されている。ガス噴射口8
2は長尺材12の熱で加熱されることもあるが、液路5
2を流れる冷却液で第5ガス噴射管80が常に冷却され
ているので、ガス噴射口82の周囲の部分が高温になる
ことはない。この結果、第5ガス噴射管80が熱で損傷
することはなく、その寿命は長い。
【0036】なお、図1に示すように、冷却液噴射部材
50の下方にカバー90を形成して、長尺材12の表面
のうち冷却液56が衝突する面(被冷却面)18を覆う
ように構成してもよい。この場合、非酸化性ガス94を
噴射する第6ガス噴射管92をカバー90の下部に固定
しておき、カバー90で覆われた(囲まれた)空間に非
酸化性ガス94を噴射してこの空間を非酸化性ガス94
で充満できる。これにより、非酸化性ガス94の雰囲気
中で被冷却面18が焼入れされる。
【0037】上記した焼入装置10を用いて鋼製の長尺
材12を焼入れする手順を説明する。
【0038】焼入装置10の中央孔11が鉛直方向に延
びるように焼入装置10を所定の位置に固定する。次
に、第1から第6までの各ガス噴射管30,46,6
0,70,80,92から不活性ガスなどの非酸化性ガ
スを噴射する。また、冷却液噴射部材50から冷却液5
6を噴射する。この状態で、焼入装置10の上方から中
央孔11の中を長尺材12を所定の速度で下降させなが
ら、長尺材12の下端部から順に誘導加熱コイル20で
焼入温度に加熱する。長尺材12の下降速度や加熱条件
は、その材質に応じて適宜に設定する。
【0039】上記のように非酸化性ガスを噴射すること
により、長尺材12の表面のうち誘導加熱コイル20で
加熱されている被加熱面14が非酸化性ガスで覆われ
る。また、被加熱面14よりも矢印A方向の上流側の上
流面16、及び矢印A方向の下流側の下流面17も非酸
化性ガスで覆われる。従って、被加熱面14、上流面1
6、下流面17は高温に加熱されても酸化しない。
【0040】長尺材12が所定速度で下降するので、誘
導加熱コイル20で焼入温度に加熱された被加熱面14
も所定速度で下降し、冷却液56が噴射される被冷却面
18になる。この被冷却面18が冷却液56で急冷され
て硬化する。この場合、被冷却面18に噴射されて衝突
した冷却液56の一部は蒸気になるが、ガス噴射管60
から噴射された非酸化性ガス64によって蒸気の上昇が
阻止される。従って、冷却液56が噴射される直前の被
加熱面14や下流面17に蒸気が接触することはなく、
これらの面が酸化しない。
【0041】上記のように長尺材12の表面を順次に加
熱しながら急冷することにより、この表面の全体が硬化
される。この場合、高温に加熱される表面を非酸化性ガ
スで覆っているので、表面の一部にでも酸化膜は形成さ
れない。また、各ガス噴射管30,46,60,70,
80も冷却されるので、これらが熱に起因して損傷する
こともない。従って、焼入装置10の寿命が長くなり、
焼入コストを低減できる。なお、上記の例では、焼入装
置10を固定して長尺材12を移動させたが、この逆
に、長尺材12を固定して焼入装置10を移動させても
よい。また、両者を同時に移動させる構成にしても良
い。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明の焼入装置
(請求項1に記載の焼入装置)では、第1ガス噴射管が
誘導加熱コイルの内部を通っているので、この内部を流
れている冷却液によって第1ガス噴射管が冷却される。
従って、第1ガス噴射管のガス噴射口を長尺材の表面に
近付けても、第1ガス噴射管がこの表面からの輻射熱で
損傷しない。このため、第1ガス噴射管の寿命が長くな
り、焼入コストを低減できることとなる。また、ガス噴
射口を長尺材の表面に接近させられるので、ガス噴射口
から比較的弱い勢いで非酸化性ガスを噴射しても長尺材
の表面に到達する。この場合、非酸化性ガスの勢いが弱
いので、非酸化性ガスが長尺材の表面に跳ね返されるこ
ともない。従って、長尺材の表面が不活性ガス等で完全
に覆われるので、この表面が酸化しない。
【0043】ここで、本発明の焼入装置が、上記誘導加
熱コイルよりも上記移動方向の上流側に配置された、上
記移動方向の上流側から下流側に向けて非酸化性ガスを
噴射する第2ガス噴射管を備えた場合は、第2ガス噴射
管から噴射された非酸化性ガスは、第1ガス噴射管より
も移動方向上流側の表面を覆う。このため、長尺材の表
面のうち誘導加熱コイルで加熱されている面(被加熱
面)の熱がこの表面よりも移動方向上流側の表面(上流
面)に伝導してこの上流面が加熱されても、この上流面
は酸化しない。
【0044】また、本発明の焼入装置が、上記冷却液噴
射部材のうち上記表面に向き合う部分にガス噴射口が形
成されると共にこの冷却液噴射部材の内部を通る、上記
表面に非酸化性ガスを噴射する第3ガス噴射管を備えた
場合は、第3ガス噴射管から噴射された非酸化性ガス
は、長尺材の表面のうち誘導加熱コイルで加熱されてい
る面(被加熱面)よりも移動方向下流側の面(下流面)
に噴射される。このため、この下流面も非酸化性ガスで
覆われて酸化しない。また、第3ガス噴射管は冷却液噴
射部材の内部を通るので、この内部を流れる冷却液によ
って第3ガス噴射管が冷却される。このため、第3ガス
噴射管が熱によって損傷しない。
【0045】さらに、上記第3ガス噴射管は、上記第2
ガス噴射管よりも強い勢いで非酸化性ガスを噴射するも
のである場合は、第3ガス噴射管から表面に勢いよく非
酸化性ガスが噴射されるので、冷却液噴射部材から噴射
された冷却液やその蒸気が、被加熱面に侵入することを
防止できる。また、第3ガス噴射管から非酸化性ガスを
非常に勢いよく(強く)噴射することにより、長尺材の
表面に形成されている酸化膜を除去できる。
【0046】さらにまた、上記第3ガス噴射管は、上記
冷却液噴射部材から冷却液が噴射される方向に非酸化性
ガスを噴射するものである場合は、冷却液噴射部材から
噴射された冷却液は非酸化性ガスに遮断されて下流面や
被加熱面に侵入できないこととなるので、下流面や被加
熱面に冷却液やその蒸気が侵入することをいっそう確実
に防止できる。
【0047】さらにまた、本発明の焼入装置が、上記誘
導加熱コイルよりも上記移動方向の下流側に配置され
た、上記移動方向の下流側から上流側に向けて非酸化性
ガスを噴射する第4ガス噴射管を備えた場合は、第2ガ
ス噴射管からは移動方向下流側に非酸化性ガスが噴射さ
れる。一方、第4ガス噴射管からは、移動方向上流側に
非酸化性ガスが噴射される。第2ガス噴射管のガス噴射
口と第4ガス噴射管のガス噴射口との間の空間には、第
1ガス噴射管のガス噴射口が配置されている。このた
め、第1ガス噴射管のガス噴射口から噴射された非酸化
性ガスは、第2及び第4ガス噴射管それぞれのガス噴射
口から噴射された非酸化性ガスに挟まれて閉じ込められ
ることとなる。この結果、誘導加熱コイルで加熱されて
いる被加熱面は非酸化性ガスで常に覆われており、被加
熱面の酸化が確実に防止される。
【0048】また、本発明の焼入方法(請求項7に記載
の焼入方法)によれば、被加熱面が非酸化性ガスで覆わ
れるだけでなく、この被加熱面よりも移動方向上流側か
ら下流側に向けて非酸化性ガスが噴射される。このた
め、被加熱面よりも移動方向上流側の表面(上流面)も
非酸化性ガスで覆われる。従って、被加熱面の熱がこの
被加熱面よりも移動方向上流側の表面に伝導してこの上
流面が加熱されても、この上流面は酸化しない。また、
被加熱面よりも移動方向下流側の下流面にも非酸化性ガ
スが噴射されるので、この下流面も非酸化性ガスで覆わ
れる。従って、この下流面も酸化しない。この結果、本
発明の焼入方法では、長尺材の表面を酸化させずに焼入
れできる。
【0049】ここで、上記被加熱面よりも上記移動方向
の上流側から下流側に向けて非酸化性ガスを噴射する勢
いよりも強い勢いで上記下流面に非酸化性ガスを噴射す
る場合は、下流面に向けて勢いよく非酸化性ガスが噴射
されるので、被加熱面に冷却液やその蒸気が侵入するこ
とを防止できる。また、非酸化性ガスを非常に勢いよく
(強く)噴射することにより、長尺材の表面に形成され
ている酸化膜を除去できる。
【0050】また、上記下流面に非酸化性ガスを噴射す
る際に、上記被冷却面に冷却液が噴射される方向に非酸
化性ガスを噴射する場合は、冷却面に噴射された冷却液
は非酸化性ガスによって被加熱面から遮断されることと
なるので、加熱されている表面に冷却液やその蒸気が侵
入することをいっそう確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の焼入装置を長手方向に切
断して模式的に示す断面図である。
【図2】図1のB−B断面図である。
【符号の説明】
10 焼入装置 12 長尺材 20 誘導加熱コイル 22,52 液路 30 第1ガス噴射管 32,47,62,72,82 ガス噴射口 34,48,64,74,84,94 非酸化性ガス 46 第2ガス噴射管 50 冷却液噴射部材 60 第3ガス噴射管 70 第4ガス噴射管 80 第5ガス噴射管

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺材をその長手方向に順次に焼入れす
    る焼入装置において、 長尺材に沿ってその長手方向に相対的に移動しながら該
    長尺材の表面を順次に焼入温度に加熱する、内部に冷却
    液が流れる誘導加熱コイルと、 該誘導加熱コイルのうち前記表面に向き合う部分にガス
    噴射口が形成されると共に該誘導加熱コイルの内部を通
    る、前記ガス噴射口から非酸化性ガスが噴射する第1ガ
    ス噴射管と、 長尺材の表面のうち前記誘導加熱コイルによって焼入温
    度に加熱され終った被冷却面に冷却液を噴射する、該冷
    却液が内部に流れる冷却液噴射部材とを備えたことを特
    徴とする焼入装置。
  2. 【請求項2】 前記誘導加熱コイルよりも前記移動方向
    の上流側に配置された、前記移動方向の上流側から下流
    側に向けて非酸化性ガスを噴射する第2ガス噴射管を備
    えたことを特徴とする請求項1に記載の焼入装置。
  3. 【請求項3】 前記冷却液噴射部材のうち前記表面に向
    き合う部分にガス噴射口が形成されると共に該冷却液噴
    射部材の内部を通る、前記表面に非酸化性ガスを噴射す
    る第3ガス噴射管を備えたことを特徴とする請求項1又
    は2に記載の焼入装置。
  4. 【請求項4】 前記第3ガス噴射管は、 前記第2ガス噴射管よりも強い勢いで非酸化性ガスを噴
    射するものであることを特徴とする請求項3に記載の焼
    入装置。
  5. 【請求項5】 前記第3ガス噴射管は、 前記冷却液噴射部材から冷却液が噴射される方向に非酸
    化性ガスを噴射するものであることを特徴とする請求項
    4に記載の焼入装置。
  6. 【請求項6】 前記誘導加熱コイルよりも前記移動方向
    の下流側に配置された、前記移動方向の下流側から上流
    側に向けて非酸化性ガスを噴射する第4ガス噴射管を備
    えたことを特徴とする請求項2から5までのうちのいず
    れか一項に記載の焼入装置。
  7. 【請求項7】 長尺材をその長手方向に順次に焼入れす
    る焼入方法において、 長尺材の表面に誘導加熱コイルを接近させて該誘導加熱
    コイルと長尺材とをこの長尺材の長手方向に相対的に移
    動させることにより前記表面を順次に焼入温度に加熱し
    ながら、該表面のうち前記誘導加熱コイルで加熱されて
    いる被加熱面を非酸化性ガスで覆うと共に、該被加熱面
    よりも前記移動方向の上流側から下流側に向けて非酸化
    性ガスを噴射し、さらに、前記表面のうち前記被加熱面
    よりも前記移動方向の下流側の下流面にも非酸化性ガス
    を噴射し、 前記表面のうち前記下流面よりも前記移動方向の下流側
    の被冷却面に冷却液を噴射して該被冷却面を硬化するこ
    とを特徴とする焼入方法。
  8. 【請求項8】 前記被加熱面よりも前記移動方向の上流
    側から下流側に向けて非酸化性ガスを噴射する勢いより
    も強い勢いで前記下流面に非酸化性ガスを噴射すること
    を特徴とする請求項7に記載の焼入方法。
  9. 【請求項9】 前記下流面に非酸化性ガスを噴射する際
    に、 前記被冷却面に冷却液が噴射される方向に非酸化性ガス
    を噴射することを特徴とする請求項7又は8に記載の焼
    入方法。
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