JP2002003807A - 接着剤組成物 - Google Patents

接着剤組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トイレットペ−パ−等のロ−ル状家庭紙の巻
き終わり端部を確実に接着し、かつ紙を破ることなく容
易に剥離できるような接着剤を得る。 【解決手段】 非粘着性のアクリル系水溶性ポリマ−の
1種または数種と、無機酸塩の1種または数種を混合し
て接着剤組成物を得る。上記非粘着性のアクリル系水溶
性ポリマ−100重量部に対して無機酸塩1〜20重量
部を混合する。この接着剤組成物は低粘度で、軽い接着
力を有しており、臭気や変色も無く、ロ−ル紙の端部を
確実に接着し、剥離も容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な接着剤組成
物に関するもので、特に軟質紙同志の擬似接着に好適に
使用されるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トイレットペーパー、タオルペー
パーのような家庭紙、レシート、チャート紙のような各
種記録紙等のロール製品を製造する場合には、ロ−ルの
巻き終わり時に通常テールシールもしくはエンドグルー
と呼ばれる接着剤を使用して端部をシ−ルしている。
【0003】この接着剤の塗布には種々の方法が用いら
れており、例えば、スプレーノズルから線状もしくは帯
状に吐出させる方法、プレートに付着させてから転写す
る方法、糸に付着させて転写する方法等があるが、何れ
の方法においても接着剤の粘度と初期接着力が安定して
いることが重要である。上記粘度が安定しなければ塗布
量が大きく変動するし、初期接着力が低下すればコンベ
アーやコアアキームレーター上で発生する衝撃やログカ
ッターで切断される際にシール部が剥離してしまう。
【0004】こうした接着剤を使用する場合の生産性に
関する問題と共に、この接着剤に要求される重要な性能
は、トイレットペーパー等を使い始める時にシール部が
破けることなく簡単に剥離することができ、また外観
上、長期間の保存によっても変色したり、風合いが変化
したりしないことである。もし、シール部の接着力が強
過ぎて剥がしにくかったり、黄変や褐変等によって変色
すれば、品質等に関して消費者の信頼性を損なうことに
なる。
【0005】従来、こうした用途に使用する接着剤の原
料としては、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、でん粉、各種ワックス類等を、単独で若
しくは混合したものを0.5〜5%程度の水溶液として使
用している。しかしながら、上記ポリエチレンオキサイ
ドを主成分とする接着剤は、保存安定性が悪く、僅か数
週間の間に粘度も接着力も低下し、劣化、腐敗してしま
う。その上、温度による粘度の変化も極めて大きいので
安定した作業条件が得られない。また、溶解し難く、攪
拌やポンプ移送時に生ずる剪断力によって粘度が大きく
変化してしまうので安定した製造が困難である。
【0006】また、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、でん
粉等を主成分とする接着剤は、1%未満の濃度でも充分
な接着力が得られて経済的ではあるが、こうした濃度で
は好適な粘性と初期接着力を得ることが難しく、また、
水分蒸発等の僅かな濃度変化で接着力が大きく変化する
ために、一定の剥離力を有する製品の生産が極めて難か
しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、家庭紙等の
ロール製品の端末を軽く、かつ確実に接着することがで
き、ロール製品の使用時には容易に剥離して使用するこ
とができると共に、保存中の変色や風合を損なう心配が
ない接着剤を得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、現在使用さ
れている上記の如き接着剤が有する問題の解決について
鋭意研究の結果、粘着性を有しない1種または数種のア
クリル系水溶性ポリマーの水溶液に、1種または数種の
無機酸塩を混合したものは、良好な初期接着力と接着
力、並びに剥離性を有しており、また保存安定性と粘度
安定性に優れていることを見出し、こうした知見に基づ
いて本発明を完成するに至ったものである。
【0009】上記したアクリル系の水溶性ポリマーは接
着剤としての歴史が古く、様々な用途の接着や粘度調整
剤として使用されている。しかしながら、上記軟質紙の
内でも特にトイレットペ−パ−やタオルペ−パ−等の家
庭紙の分野では全く使用されることがなかった。それは
先ず本用途で一番嫌われる臭気の問題があり、一般にア
クリル臭とよばれる残存モノマーや樹脂自体に起因する
不快臭を有しており、次に、経時的に接着力が変化して
しまい、更に白い紙に使用された場合、塗布部が黄変又
は褐変してしまうことによる。そして、一般にアクリル
系の水溶性ポリマーには粘着力を向上させる効果があっ
て、適当な接着力を付与できるような濃度にすると非常
に高粘度になり、粘着力も高くなって、塗布することが
困難になっていた。
【0010】また、近年、アクリル系の微粘着性で再剥
離性の粘着剤がインデックスなどの文房具等の用途に用
いられているが、これを上記の如き用途に用いると使用
時のノズル詰まり、ガムアップ、泡沫凝固、コンベアー
類等への付着、ベタツキ等を誘発し、物理的な支障が多
く発生して実際上使用することが不可能である。
【0011】このような重大な欠点を有するアクリル系
ポリマーの水溶液であるが、これに従来考えられもしな
かった無機塩類を混合するという極めて簡単な方法によ
って、この樹脂が有する上記の如き欠点を解決すること
ができ、低粘度で良好な軽い接着性と剥離性を有するも
のを得ることができることを発見した。すなわち、非粘
着性である1種または数種のアクリル系水溶性ポリマー
に、1種または数種の無機酸塩を成分として混合して接
着剤を調製することにより、無臭化し、経時的接着力変
化を抑制し、塗布部の変色を防止し、更には粘度を低い
状態に自由に調整することができるようにしたものであ
る。
【0012】上記したアクリル系水溶性ポリマーは前述
のように非粘着性のものであって、その具体例としては
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ソ
ーダ、ポリアクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸共重
合体、ポリアクリル酸ソーダ共重合体、ポリアクリル酸
エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体等があり、
これらは単独で使用してもよく、2 種類以上の混合物の
状態で使用することもできる。こうした水溶液は、通
例、樹脂固形分の含有量を約0.1〜10重量%程度にし
て用いるが、特に好ましくは0.1 〜5重量%で用いると
よい。
【0013】本発明のアクリル系共重合体に使用される
主モノマ−は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリ
ル酸アルキルエステル等であり、アルキル基としてはメ
チル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ラウリル等があげ
られ、これらのエステルモノマ−は単独もしくは併用し
て使用される。また、共重合モノマ−としては、アクリ
ル酸,メタクリル酸,クロトン酸等のモノカルボン酸、
マレイン酸,フマ−ル酸、イタコン酸等の多価カルボン
酸等のカルボキシル基含有モノマ−及びこれらの無水物
やエステル類、また2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−
ト、ジエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト等
のヒドロキシル基含有モノマ−、酢酸ビニ−ル、アクリ
ルアマイド、スチレン等があげられるが、共重合体とし
ての前提条件は乾燥時に非粘着性である事が必要であ
る。
【0014】上記無機塩類としては、例えば、硝酸ソー
ダ、亜硝酸ソーダ、硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、重亜硫
酸ソーダ等があり、これらは単独で使用してもよく、2
種類以上の混合物の状態で使用することもできる。ま
た、接着剤の調製過程において、水やアクリル系水溶性
ポリマーの水溶液に酸とアルカリの形で添加して無機酸
塩を生成させることもできる。この無機酸塩は、上記ア
クリル系水溶性ポリマーの樹脂固形分100重量部に対
して、その混合量が約1重量部未満の場合や約50重量
部以上の場合は余り実用的ではなく、特に好ましくは約
1〜20重量部程度混合するとよい。
【0015】また必要に応じて、防腐剤、防黴剤、凍結
防止剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤等を適宜使用するこ
とができる。
【0016】
【実施例】(実施例1)水98重量部に、ポリアクリル
酸ソーダを1重量部と亜硫酸ソーダ0.2重量部を常温で
混合、溶解し、有機窒素系防腐剤0.1重量部を添加して
接着剤組成物を得た。
【0017】(実施例2)実施例1における亜硫酸ソー
ダを0.4重量部として接着剤組成物を得た。 (実施例3)実施例1におけるポリアクリル酸ソーダに
代えてポリアクリル酸を使用して接着剤組成物を得た。 (実施例4)実施例3における亜硫酸ソーダに代えて重
亜硫酸ソーダを使用して接着剤組成物を得た。
【0018】(比較例1)実施例1における亜硫酸ソー
ダを除いて接着剤組成物を得た。 (比較例2)実施例3における亜硫酸ソーダを除いて接
着剤組成物を得た。 (比較例3)ポリエチレンオキサイドを主成分とするテ
ールシール用接着剤。
【0019】(試験)上記実施例1〜実施例4及び比較
例1〜比較例3の各接着剤組成物について、下記(1)
〜(5)に示す事項について、試験、測定を行った。 (1)粘度:JIS K6838 に準じ、ビスコテスター(リオ
ン株式会社製)により測定した。 (2)pH:JIS K6837 により測定した。 (3)不揮発分:JIS K6839 により測定した。 (4)臭気:各接着剤組成物の臭いを確認した。 (5)シール部の変色:テールシーラーで各接着剤組成
物を塗布することにより生産されたトイレットペーパー
のテールシール部を目視により観察した。(6)接着
力:JIS K6839 に準じ、上記トイレットペーパーのテー
ルシール部の接着力を測定した。
【0020】(結果)上記各試験の結果を表1に示す。
尚、各実施例の接着剤組成物では90日保存経過後にお
いても品質の変化は見られなかった。
【0021】
【表1】
【0022】(考察)実施例の接着剤組成物には、不快
臭がなく、経時的に接着力が変化することもないし、塗
布部に変色も見られず、更には所望の粘度に調整できる
ことが判る。尚、無機酸類を配合しない比較例1、2の
接着剤組成物には、不快臭があり、経時的に接着力が変
化し、塗布部が黄変し、粘度が高くテールシーラーで塗
布する場合には口径を直径1.35mmから2mmへと大きなも
のに変更しなければ塗布することができなかった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種または数種の非粘着性のアクリル系
    水溶性ポリマーと1種または数種の無機酸塩を含むこと
    を特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 上記非粘着性のアクリル系水溶性ポリマ
    ーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリ
    ル酸ソーダ、ポリアクリル酸共重合体、ポリメタクリル
    酸共重合体、ポリアクリル酸ソーダ共重合体、ポリアク
    リル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体の何
    れかである請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 上記無機酸塩は、硝酸ソーダ、亜硝酸ソ
    ーダ、硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダの何
    れかである請求項1記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 上記非粘着性のアクリル系水溶性ポリマ
    ー100重量部に対して、無機酸塩を1〜20重量部配
    合した請求項1記載の接着剤組成物。
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