JP2002003624A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

Info

Publication number
JP2002003624A
JP2002003624A JP2000190684A JP2000190684A JP2002003624A JP 2002003624 A JP2002003624 A JP 2002003624A JP 2000190684 A JP2000190684 A JP 2000190684A JP 2000190684 A JP2000190684 A JP 2000190684A JP 2002003624 A JP2002003624 A JP 2002003624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester film
film
polyester
resin
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000190684A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsumasa Ono
光正 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2000190684A priority Critical patent/JP2002003624A/ja
Publication of JP2002003624A publication Critical patent/JP2002003624A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な成形性と耐候性を兼備し、樹脂部材、
金属部材の表面保護用フィルム、窓用保護フィルム、農
業用フィルム等の長期間屋外で使用される用途に有用な
成形性ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 面配向係数が0.10〜0.16であ
り、かつMD方向とTD方向における100℃での10
0%伸長時の応力が、それぞれ10〜150MPaの範
囲にあるフィルムであって、フィルム中に紫外線吸収性
化合物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋外使用に適した
成形性ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは
良好な成形性と耐候性を兼備し、樹脂、金属部材の表面
保護用フィルム、ガラス部材の表面保護・飛散防止用フ
ィルム、農業用フィルム等の長期間屋外で使用される用
途に有用な成形性ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】屋外表示材、建材、自動車部品、などの
屋外で使用される樹脂または金属部材の表面保護用に
は、各種のプラスチックフィルムが用いられている。こ
れら樹脂または金属部材は、様々な形状を有しており、
表面保護用フィルムもこれらの形状に追随させる必要が
ある。また、建築物、自動車などの窓などのガラス部材
の表面保護、飛散防止用にも、各種のプラスチックフィ
ルムが用いられている。近年では、これらのガラス部材
も曲面を有するものが多く、表面保護用フィルムもこれ
らの形状に追随させる必要がある。さらにまた、農業用
フィルムの中にはドーム状、またはアーチ状の支柱に対
する形状追随性を要求されるものも多い。
【0003】これらの用途に使用されるプラスチックフ
ィルムの原材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、な
どが従来より採用されている。そして屋外使用に必要な
耐候性を付与させるために、これらの樹脂には紫外線吸
収剤を含有させていることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリオ
レフィン系の樹脂は一般的に紫外線吸収剤との相溶性に
劣り、長期使用において紫外線吸収剤がブリードアウト
して失われてしまう課題があった。またポリ塩化ビニル
樹脂は、可塑化により、ポリオレフィン系樹脂同様の柔
軟性を付与させることができ、紫外線吸収剤を含有させ
た屋外使用に適したものも従来より多く使用されてい
る。しかし近年、ハロゲン元素を有する樹脂を用いたフ
ィルムは、廃棄物処理の観点から避けられるようになっ
てきている。あるいはアクリル樹脂は、紫外線吸収剤を
含有せずとも比較的耐候性に優れた樹脂であり、多く屋
外使用される素材であるが、その脆さのため高度な成形
性が必要とされる用途には不十分な場合も多かった。そ
してまたポリエステル樹脂を用いたフィルム、なかでも
二軸配向ポリエステルフィルムは、強度、寸法安定性な
どに優れたものであり、紫外線吸収剤を含有させた屋外
使用に適したものも従来より多く使用されている。しか
し高強度であるゆえやはり成形性が不十分な場合が多か
った。
【0005】本発明の目的は、かかる課題を解消し、良
好な成形性と耐候性を兼備し、樹脂部材、金属部材の表
面保護用フィルム、窓用保護フィルム、農業用フィルム
等の長期間屋外で使用される用途に有用な成形性ポリエ
ステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルフ
ィルムは、面配向係数が0.10〜0.16、MD方向
とTD方向における100℃での100%伸長時の応力
が、それぞれ10〜150MPa、かつ紫外線吸収性化
合物を含有することを特徴とする。これにより本発明の
ポリエステルフィルムは、良好な成形性を有する。
【0007】ここで「MD方向」とはフィルムの面に平
行で且つフィルム製膜方向に沿った方向を、「TD方
向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に垂直な方
向を、また、面配向係数とは、アッベ法にて測定された
フィルムの各方向成分の屈折率のから、計算式(1)に
よって計算されたものを意味する。計算式(1)中のP
は面配向係数、nMDはフィルムのMD方向の屈折率、n
TDはフィルムのTD方向の屈折率、nZはフィルム面に
垂直な厚み方向の屈折率を示す。 P=(nMD+nTD)/2−nZ …(1)
【0008】そして面配向係数については、フィルム内
における分子鎖の配向状態を表すものであり、これが
0.16を越えると、分子鎖が過度に配向しているた
め、加工の際にフィルムが変形しにくく、基材となる各
種部材の形状に対する追随性が劣る。他方、面配向係数
が0.10未満になると、分子鎖がほとんど配向してい
ない非晶に近い状態のため、経時や熱履歴後に脆化が起
こりやすい。面配向係数の好ましい範囲は、0.10〜
0.14である。
【0009】次に、100℃での伸長については、代表
的な加工時の温度における変形モードを示す成形性の尺
度となり、MD方向またはTD方向における100%伸
長時の応力が150MPaを越えると剛直すぎて成形性
が劣り、他方、10MPa未満だと、変形時に過度に応
力が掛からないため均等に変形することが困難となる。
該応力の好ましい範囲は、MD方向およびTD方向とも
に、20〜110MPaである。
【0010】上記のような面配向係数と100%伸長時
の応力を具備するポリエステルフィルムは、従来公知の
フィルムの製造方法を適宜調整することで製造でき、そ
の中でも、フィルムのMD方向およびTD方向のそれぞ
れで、面配向係数などのフィルム特性を容易に変更し得
る二軸延伸法が好ましい。具体的には、本発明で使用す
る共重合ポリエステルのペレットを乾燥後溶融し、ダイ
から冷却ドラム上に押出して冷却し、未延伸フィルムを
得る。そして、該未延伸フィルムをMD方向に2.0〜
4.5倍およびTD方向に2.0〜5.0倍、逐次また
は同時延伸し、150〜230℃で1〜180秒間熱固
定すればよい。MD方向またはTD方向の延伸倍率が
2.0未満では、分子の配向が不十分で、本発明に規定
する面配向係数を得ることが極めて困難となり、結果、
耐経時脆化性に劣るものとなり易い。他方、MD方向の
延伸倍率が4.5倍またはTD方向の延伸倍率が5.0
倍を越えると、フィルム内の分子が過度に配向し、本発
明における面配向係数の範囲を得難くなり、その結果、
基材への形状追随性に劣るものとなり易い。また、フィ
ルムの熱固定温度が150℃未満では、熱収縮が大き
く、後加工における位置ずれが生じ易く、他方、230
℃を越えると、フィルムの配向が緩んでしまい、自重に
よるたるみなどの原因となる。なお、熱収縮の低減のた
めに、熱固定の際適宜弛緩処理を行うことも好ましい。
フィルムの厚みは、特に制限がないが、0.5〜250
μmが好ましい。
【0011】本発明のポリエステルフィルムに、上記の
ような面配向係数と100%伸長時の応力を具備させる
ための特に好ましい要件として、該フィルムが融点が2
10〜245℃の共重合ポリエステルを主成分とする組
成物を原材料とするフィルムであることを挙げることが
できる。融点が245℃を越えるものは、原材料ポリエ
ステルの共重合比が少ない場合が多く、分子鎖が動きに
くいため剛直すぎて成形性に劣る。他方、融点が210
℃未満のものは、成形時、成形後の工程、また製品とし
て使用される際の耐熱性に劣る場合が多く好ましくな
い。共重合ポリエステルの好ましい融点の範囲は、21
2〜235℃である。
【0012】本発明で使用する共重合ポリエステルの主
たる繰り返し単位を構成するものとしては、エチレンテ
レフタレート、テトラメチレンテレフタレート、エチレ
ンー2,6−ナフタレート、テトラメチレンー2,6−
ナフタレートなどが挙げられ、その中でも、エチレンテ
レフタレート単位を主たる構成成分とする共重合ポリエ
チレンテレフタレートが、形状追随性、成形時、成形後
の工程、また製品として使用される際の耐熱性などを良
好に保持できることから好ましい。ここで「エチレンテ
レフタレート単位を主たる構成成分とするもの」とは、
テレフタル酸成分を少なくとも全ジカルボン酸成分の7
5モル%、エチレングリコール成分を少なくとも全ジオ
ール成分の75モル%含有するものである。
【0013】共重合ポリエチレンテレフタレートの共重
合成分としては、得られたフィルムの特性が本発明の範
囲を超えなければ、特に限定されない。好ましいジカル
ボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジ
カルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ビフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボ
ン酸成分、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸など
の脂環族ジカルボン酸成分、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分など、好ましい
ジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂
肪族ジオール成分、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ
ールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなど
の芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど
のエーテル縮合型ジオール成分など、また、好ましいジ
カルボン酸およびジオール成分以外の成分として、p−
ヒドロキシ安息香酸、ω−ヒドロキシ酪酸、ω−ヒドロ
キシ吉草酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸成分、ポ
リカーボネートに見られるような炭酸成分、さらに、ト
リメリット酸、ピロメリット酸やグリセリンなどの3官
能以上の成分が挙げられる。これらの中でも、諸特性の
発揮のしやすさ、原料の入手のしやすさ、共重合ポリエ
ステルの製造のしやすさなどから、イソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸またはジエチレングリコー
ルが特に好ましい。これらの共重合成分の割合は、共重
合ポリエステルの融点が210〜245℃の範囲になる
ように調整すれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタ
レートにイソフタル酸を共重合する場合は、全ジカルボ
ン酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を、おおよそ
5.5〜18モル%の範囲にするのが好ましい。
【0014】また、得られたフィルムの特性が本発明の
範囲を超えない限り、異なる種類のポリエステル樹脂の
混合物を原材料としてもよく、ポリエステル樹脂がフィ
ルムの主成分であり、得られたフィルムの特性が本発明
の範囲を超えない限り、ポリエステル以外の樹脂との混
合物を原材料としてもよい。ここで、「ポリエステル樹
脂がフィルムの主成分である」とは、例えばブレンド物
が海島構造をとった場合には、連続した「海」領域を構
成する樹脂がポリエステル樹脂である場合をいう。
【0015】本発明におけるポリエステルフィルムは、
その目的上、耐候性を有することが必要であり、上述し
たポリエステルの性質から紫外線吸収性化合物を含有す
るものであることが好ましい。さらに紫外線吸収性化合
物としては、構造式(1)あるいは構造式(2)で表わ
される環状イミノエステルの少なくとも1種類を未反応
の形態で用いるか、または、構造式(3)あるいは構造
式(4)で表わされるベンゾフェノン誘導体の少なくと
も1種類を用いることが好ましい。
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】構造式(1)中、X1は2価の芳香族残基
であり、かつX1に結合する構造式(1)中のイミノ窒
素およびカルボニル炭素はX1内に隣接して位置する元
素と結合する。nは1,2または3である。R1はn価
の炭化水素残基で、これはさらにヘテロ原子を含有して
いてもよい。またはR1はn=2のとき直接結合である
ことができる。
【0020】構造式(2)中、Aは構造式(2−a)で
表される基であるか、または構造式(2−b)で表され
る基である。R2およびR3は同一もしくは異なる1価の
炭化水素基である。X2は4価の芳香族残基で、これは
さらにヘテロ原子を含有していてもよい。
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】構造式(3)および構造式(4)中、
1、R2は、それぞれ水素原子または炭素数1〜18の
アルキル基、アルコキシ基、または水酸基を表わす。た
だし、R 1、R2は互いに同一あるいは異なっていてもよ
い。R3〜R10は、それぞれ水素原子または炭化水素基
を表わす。ただし、R3〜R10は互いに同一あるいは異
なっていてもよい。
【0023】上記の紫外線吸収性化合物のポリエステル
中の含有量は、0.1〜5重量%、さらに0.2〜3重
量%であることが、紫外線吸収性化合物の不足によるポ
リエステルフィルムの耐候性低下、紫外線吸収性化合物
過剰によるポリエステル重合度低下に起因する機械的特
性の劣化を防止するため好ましい。
【0024】上記の紫外線吸収性化合物のポリエステル
中への添加方法は特に限定されないが、ポリエステル重
合工程、フィルム製膜前の溶融工程での樹脂中への練込
み、二軸延伸フィルムへの含浸、などを挙げることがで
き、特にポリエステル重合度低下を防止する意味でもフ
ィルム製膜前の溶融工程での樹脂中への練込みが好まし
い。その際の紫外線吸収性化合物の練込みは、該化合物
粉体の直接添加法、マスターバッチ法などにより行うこ
とができる。
【0025】本発明におけるポリエステルフィルムは、
樹脂、金属部材の表面保護用フィルムとして使用される
場合には、フィルムの内側の各種部材の意匠、色彩や、
フィルムの裏側、すなわち基材側に施される印刷、蒸着
など、を活かす必要性から、フィルムの良好な透明性が
要求される場合が多い。また、ガラス部材の表面保護・
飛散防止用フィルム、農業用フィルムとして使用される
場合には、当然透明性の良好なフィルムが要求される。
したがって、本発明におけるポリエステルフィルムをこ
れらの用途に用いる場合は、そのフィルムヘーズが5%
未満であることが好ましい。
【0026】本発明におけるポリエステルフィルムが上
記フィルムヘーズを有するものであるためには、フィル
ム内部に粒子などの他成分や不純物を含有しないことが
最も好ましいが、フィルムどうしのブロッキングを防止
し、ハンドリング性を優れたものとするためにフィルム
中に滑材粒子を含有させる場合には、滑材粒子の粒径を
2.5μm未満、添加量を1重量%未満とすることが好
ましい。フィルム内部に滑材粒子を含有させない場合に
は、下記に述べるように、アンチブロッキング効果を奏
する物質を内部に含有するプライマー層をフィルム表面
に塗設することが好ましい。
【0027】本発明のポリエステルフィルムは、プライ
マー層を少なくとも片面に設け、かつプライマー層の主
成分は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、アクリル樹脂変性ポリエステル樹脂、およびビ
ニル系樹脂変性ポリエステル樹脂の中から選ばれた少な
くとも1種類の樹脂、あるいはシランカップリング剤で
あることが好ましい。
【0028】このプライマー層により、その後の加工に
より得られた塗膜、蒸着膜、印刷などのポリエステルフ
ィルムへの接着性を向上させることができる。また、上
記に述べたようなアンチブロッキング効果を奏する物質
や、帯電防止効果を奏する物質、紫外線カット効果を補
強する物質、その他種々の機能を付与させるための物質
をフィルム表面に存在させやすくすることもできる。
【0029】さらにこのプライマー層は、上記プライマ
ー層主成分を含有するプライマー層形成用塗布液を、配
向結晶化完了前のポリエステルフィルムの少なくとも片
面に塗布した後、乾燥・延伸・熱固定を施して形成した
ものであることが好ましい。これにより、プライマー層
表面の均一性かつプライマー層のポリエステルフィルム
への密着性を高めることができる。またこれは製造効
率、品質管理の観点からも好ましく、特にプライマー層
形成用塗布液が上記主成分を含有する水溶液または水分
散体であることが、作業環境や外部環境保全の観点から
好ましい。
【0030】プライマー層として用いるポリウレタン樹
脂としては、それを構成する成分として以下のような多
価ヒドロキシ化合物、多価イソシアネート化合物、鎖長
延長剤、架橋剤などを例示できる。すなわち、多価ヒド
ロキシ化合物としては、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテト
ラメチレングリコールのようなポリエーテル類、ポリエ
チレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペー
ト、ポリカプロラクトンのようなポリエステル類、ポリ
カーボネート類、アクリル系ポリオール、ひまし油、な
どを用いることができる。多価イソシアネート化合物と
しては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、などを
用いることができる。鎖長延長剤あるいは架橋剤の例と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒド
ラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エ
チレンジアミン−ナトリウムアクリレート付加物、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタン、水などを用いることができ
る。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選
択して、常法の重縮合−架橋反応によりポリウレタン系
樹脂を合成する。
【0031】プライマー層として用いるポリエステル樹
脂としては、それを構成する成分として以下のような多
価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示でき
る。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、4,4’−ジフェ
ニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタ
ル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水
トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香
酸、トリメリット酸モノカリウム塩、およびそれらのエ
ステル形成性誘導体、などを用いることができ、多価ヒ
ドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、2−メチルー1,5−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エ
チレングリコール付加物、ビスフェノールA−1,2−
プロピレングリコール付加物、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロ
ールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチ
ロールプロピオン酸カリウム、などを用いることができ
る。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選
択して、常法の重縮合反応によりポリエステル系樹脂を
合成する。なお、上記のほか、後述するアクリルおよび
ビニル系樹脂変性ポリエステル樹脂や、ポリエステルポ
リオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポ
リウレタンなどのポリエステル成分を有する複合高分子
も本発明でいうポリエステル系樹脂に含まれる。
【0032】プライマー層として用いるアクリル樹脂と
しては、アルキルアクリレートあるいはアルキルメタク
リレートを主要な成分とするものが好ましく、当該成分
が30〜90モル%であり、共重合可能でかつ官能基を
有するビニル単量体成分70〜10モル%を含有する水
溶性あるいは水分散性樹脂である。アルキルアクリレー
トあるいはアルキルメタクリレートと共重合可能でかつ
官能基を有するビニル単量体は、官能基としてカルボキ
シル基またはその塩、酸無水物基、スルホン酸基または
その塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド
基、アミノ基(置換アミノ基を含む)またはアルキロー
ル化されたアミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、エポ
キシ基などを有するビニル単量体である。これらの中で
も特に好ましいものはカルボキシル基またはその塩、酸
無水物基、エポキシ基などである。これらの基は樹脂中
に2種類以上含有されていてもよい。アルキルアクリレ
ートおよびアルキルメタクリレートのアルキル基の例と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル
基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル
基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アルキルアク
リレートあるいはアルキルメタクリレートと共重合する
官能基を有するビニル系単量体は、反応性官能基、自己
架橋性官能基、親水性基などの官能基を有する下記の化
合物類が使用できる。カルボキシル基またはその塩、酸
無水物基を有する化合物としては、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、これらのカルボン酸
のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩あるいは
無水マレイン酸などが挙げられる。スルホン酸基または
その塩を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、ス
チレンスルホン酸、これらのスルホン酸のナトリウムな
どとの金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。アミ
ド基あるいはアルキロール化されたアミド基を有する化
合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N
−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミ
ド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエ
ーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレ
イドエチルアクリレートなどが挙げられる。アミノ基あ
るいはアルキロール化されたアミノ基あるいはそれらの
塩を有する化合物としては、ジエチルアミノエチルビニ
ルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−ア
ミノプロピルビニルエーテル、2ーアミノブチルビニル
エーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメ
チルアミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基を
メチロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル
硫酸、サルトンなどにより4級化したものなどが挙げら
れる。水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシ
エチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシエチル
ビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタク
リレートなどが挙げられる、エポキシ基を有する化合物
としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレートなどが挙げられる。その他官能基を有する化合
物として、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。さらに、エチレン、プロピレン、
メチルペンテン、ブタジエン、スチレン、α−メチルス
チレンなどのオレフィン類や、ビニルメチルエーテル、
ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデ
ン、塩化ビニル、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレ
ン、酢酸ビニルなどもビニル系単量体化合物として挙げ
られる。
【0033】プライマー層として用いるアクリル樹脂変
性ポリエステル樹脂および/またはビニル系樹脂変性ポ
リエステル樹脂の水溶性または水分散性樹脂は、ポリエ
ステルの水溶性または水分散性樹脂中においてアクリル
および/またはビニル系樹脂を重合することによって合
成できる。このポリエステルを構成する成分としては、
上述したものと同様の多価カルボン酸および多価ヒドロ
キシ化合物およびこれらの化合物のエステル形成性誘導
体を例示でき、これらの化合物の中から、それぞれ適宜
1つ以上選択して、常法の重縮合反応によりポリエステ
ル樹脂を合成したのち水溶性または水分散性樹脂とす
る。アクリルおよび/またはビニル系樹脂を構成する成
分としては、やはり上述したものと同様のアルキルアク
リレートあるいはアルキルメタクリレート、またこれら
と共重合する上述したものと同様のビニル系単量体化合
物の1種あるいは2種以上を適宜用いることができる。
本発明のアクリルおよび/またはビニル系樹脂変性ポリ
エステル樹脂の水溶性または水分散性樹脂として、特開
平1−165633号公報に記載されている、いわゆる
アクリルグラフトポリエステルのような分子構造を持つ
ものも含まれる。
【0034】プライマー層として用いるシランカップリ
ング剤は、一般式YRSiX3で表わされる化合物であ
る。ここで、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メ
ルカプト基等の如き有機官能基、Rはメチレン、エチレ
ン、プロピレン等の如きアルキレン基、Xはメトキシ
基、エトキシ基等の如き加水分解基及びアルキル基であ
る。具体的化合物としては、例えばビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、γグリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、Nβ(アミノエチル)γアミノ
プロピルトリメトキシシラン、Nβ(アミノエチル)γ
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γメルカプト
プロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
好ましいシランカップリング剤としては、水溶性又は水
分散性を有するシランカップリング剤である。これらの
化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選択して使用す
るが、特に、エポキシ基含有シランカップリング剤とア
ミノ基含有シランカップリング剤のように互いの官能基
が反応しうる組合せのものを適量併用することは、プラ
イマー層の強度を向上させる意味で好ましい使用形態の
一つである。
【0035】前記シランカップリング剤と共にアルカリ
性無機微粒子を併用して架橋プライマー層を構成するこ
とも好ましい使用形態の一つである。使用されるアルカ
リ性無機微粒子としては、例えば酸化鉄ゾル、アルミナ
ゾル、酸化スズゾル、酸化ジルコニウムゾル、シリカゾ
ル等を挙げることができるが、特にアルミナゾル、シリ
カゾルが好ましい。就中シランカップリング剤の初期反
応性(ダイマー化、トリマー化等)を促進する点から、
シリカゾルが好ましい。
【0036】アルカリ性無機微粒子は表面積の大きい小
粒径のものが良く、平均粒径が1〜150nm、さらに
は2〜100nm、特に3〜50nmであるものが好ま
しい。平均粒径が150nmより大きくなると、表面積
が小さくなりすぎ、シランカップリング剤の反応促進作
用が低下し、かつ架橋プライマー層の表面が粗れるので
好ましくない。他方、平均粒径が1nmより小さくなる
と、表面積が大きすぎ、シランカップリング剤の反応制
御が困難となることがある。
【0037】アルカリ性無機微粒子の量は、シランカッ
プリング剤の量に対して、1〜50重量%、さらには2
〜20重量%であることが好ましい。この量が1重量%
未満であると、架橋反応が進まず、他方50重量%を超
えると塗布液の安定性に欠け、例えば無機微粒子の添加
後短時間で塗布液中に沈澱が発生することがある。
【0038】シランカップリング剤及びアルカリ性無機
微粒子を含有するプライマー塗布液、特に水性塗布液
は、そのpHを4.0〜7.0、好ましくは5.0〜
6.7に調整する。このpが4.0未満になると、無機
微粒子の触媒活性が失われ、他方7.0を超えると塗液
が不安定となり、沈澱が生じることがある。このpHを
調整する酸としては塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や蓚
酸、蟻酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が用いられるが、
特に有機酸が好ましい。
【0039】かかるプライマー塗布液、特に水性液に
は、アニオン界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニ
オン型界面活性等の界面活性剤を必要量添加して用いる
ことができる。かかる界面活性剤としては塗布液の表面
張力を50dyne/cm以下、好ましくは40dyn
e/cm以下に降下でき、ポリエステルフィルムへの濡
れを促進するものが好ましく、例えばポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルソル
ビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂
肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸
塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウムク
ロライド塩、アルキルアミン塩酸等を挙げることができ
る。更に本発明の効果を消失させない範囲において、例
えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機または無機
フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤
を混合することができる。
【0040】特に、上記に述べたように、本発明のポリ
エステルフィルムを良好な透明性を持つものとした場
合、プライマー層中にアンチブロッキング効果を奏する
物質を内部に含有させることが好ましい。アンチブロッ
キング効果を奏する物質としては、平均粒径が0.4μ
m以下の粒子、または、炭素数10以上のアルキル基を
有する物質、などを好ましいものとして挙げることがで
きる。
【0041】ここで平均粒径0.4μm以下の粒子とし
ては、粒径分布の標準偏差の3倍に当たる値が平均粒径
の80%以下、さらに好ましくは標準偏差が平均粒径の
50%以下のものであることが好ましい。さらにこうし
た粒子は、上記に述べたフィルムヘーズを確保できるも
のであればその種類を限定されるものではないが、中で
も、プライマー層のバインダー成分との屈折率差の比較
的少ない、シリカ粒子、シリコーン粒子、アクリル系、
ポリスチレン系等の有機系粒子などが特に好ましい。粒
子の平均粒径が0,4μmを越えると、可視光線の波長
域と重複してくるため、粒子の添加量によってはフィル
ムの良好な透明性が得られない場合がある。粒子のプラ
イマー層中への添加量は、透明性確保のため、30重量
%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量
%以下である。
【0042】また、炭素数10以上のアルキル基を有す
る物質としては、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アル
キルエーテル、アルコール類、該アルコール類のカルボ
ン酸エステル、その他の酸とのエステル、などのいずれ
を使用しても良い。アルキル基の炭素数は、10〜36
のものが入手もしやすく取扱いも比較的容易である。ま
た、アルキル基は、直鎖のものが好ましい。これらの物
質のプライマー層中への添加量は、表面へのブリードア
ウトによる後加工への悪影響を防止するため、30重量
%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量
%以下である。
【0043】かかるプライマー塗布液をポリエステルフ
ィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥、必要に
応じて熱架橋させることで、プライマー層を設けること
ができる。プライマー層の塗布は、クリーンな雰囲気で
あることを特徴とすることが公知であるポリエステルフ
ィルム製造工程で行われる。特に、この工程中で結晶配
向が完了する前のポリエステルフィルムの片面又は両面
に水性塗布液として塗布することが好ましい。該フィル
ムの製造工程と切離して塗布する工程で行った場合は、
工程を特別にクリーンな雰囲気のものとしない限り、
芥、塵埃などを巻込み易く、製品の性能を損なうおそれ
がある。
【0044】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、ポリエステルを熱溶融してそのまま
急冷固化させてフィルム状となした未延伸フィルム、未
延伸フィルムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方
向)の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、さ
らには縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せし
めたもの(最終的に縦方向または横方向に再延伸せしめ
て配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等
を含むものである。
【0045】上記塗布液の固形分濃度は、特に限定され
ないが、通常30重量%以下であり、10重量%以下が
更に好ましい。塗布量は走行しているフィルム1m2
り0.5〜20g、さらに1〜10gが好ましい。
【0046】塗布方法としては、公知の任意の塗工法が
適用できる。例えば、キスコート法、バースコート法、
ダイコート法、リバースコート法、オフセットグラビア
コート法、マイヤバーコート法、グラビアコート法、ロ
ールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコ
ート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独又は組
み合わせて適用するとよい。
【0047】また、塗布液の結晶配向完了する前のポリ
エステルフィルムへの濡れ性を向上させる目的で、コロ
ナ放電処理などの公知の方法を用いて該ポリエステルフ
ィルム表面を活性化させてもよい。
【0048】塗液を塗布した、結晶配向完了する前のポ
リエステルフィルムは、乾燥され、延伸、熱固定等の工
程に導かれる。例えば水性液を塗布した縦一軸延伸ポリ
エステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸及び
熱固定される。この間、塗布液は乾燥され、必要に応じ
て熱架橋される。
【0049】
【実施例1】重合工程の終了時に構造式(6)に示す化
合物を樹脂99.5重量部に対して0.5重量部添加
し、乾燥状態の固有粘度0.65(35℃のo−クロロ
フェノール中で測定、以下同じ)のポリエチレン(テレ
フタレート−イソフタレート)共重合体(テレフタル酸
(TA)成分/イソフタル酸(IA)成分モル比=88
/12、滑材粒子を含有しない)を合成した。
【化13】
【0050】次いで、乾燥した該ポリマーのペレットを
押出機に供給し、20℃に維持した回転冷却ドラム上に
溶融押出して、厚み480μmの未延伸フィルムを得
た。次に、該未延伸フィルムを110℃にてMD方向に
3.0倍延伸し、一軸延伸フィルムの片面に、アクリル
系樹脂水分散体(メチルメタクリレート成分(65モル
%)、エチルアクリレート成分(28モル%)、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート成分(2モル%)、およ
びN−メチロールアクリルアミド成分(5モル%)の共
重合体、Tg=45℃)を固形分として40重量部、ポ
リエステル系樹脂水分散体(高松油脂(株)製、ペスレ
ジン2000、Tg=68℃)を固形分として50重量
部、ならびに、平均粒径0.03μmの架橋アクリル系
樹脂微粒子水分散体を固形分として10重量部、からな
る組成物をイオン交換水で希釈して固形分濃度2.7重
量%とした水性塗布液を、キスコート法にてフィルム1
2当たり塗布液重量として約3gの平均塗布量で塗布
した。引続き、該一軸延伸フィルムのMD方向に沿った
両端を把持して、塗布面を乾燥しながら120℃にてT
D方向に3.2倍延伸し、さらに該両端を把持したま
ま、TD方向に3%の弛緩を与えながら、190℃で熱
処理し、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム
を得た。
【0051】こうして得られたフィルムを以下の方法で
評価し、その結果特性を表1に示した。なお表中の表記
で、PET/IAはポリエチレン(テレフタレート−イ
ソフタレート)共重合体、PETはポリエチレンテレフ
タレート、(PET/IA)//PBTはPET/IA
とポリブチレンテレフタレートとの混合物を示す。
【0052】(1)面配向係数 得られたポリエステルフィルムの各方向の屈折率をアッ
ベ法にて測定し、前述の計算式(1)によって計算し
た。
【0053】(2)100%伸長時応力 測定装置として、チャック部を加熱チャンバーで覆った
引張試験機(東洋ボールドウィン社製、「テンシロン
(登録商標)」)を用い、得られたポリエステルフィル
ムを、MD方向とTD方向に対して、それぞれ伸長方向
150mm×幅方向10mmでサンプリングし、あらか
じめ100℃に加熱した前記装置のチャンバー内で間隔
を100mmにセットしたチャックに挟んで固定した
後、100mm/分の速度で引張り、試験機に装着され
たロードセルで荷重を測定した。そして、チャック間距
離が100mm伸長した時点の荷重を読取り、引張前の
サンプル断面積で割って応力(MPa)を計算した。な
お、測定結果のMD方向とTD方向の表示は、サンプリ
ングの伸長方向に相当する方向を表示する。
【0054】(3)融点 得られたポリエステルフィルムを20mgサンプリング
し、アルミニウムパンに充填したものをDSC装置(D
uPont Instrument 910DSC)に
セットし、20℃/分の速度で室温から昇温した。空の
アルミニウムパンを対照として熱量変化を記録し、もっ
とも高温部の吸熱のピークに相当する温度を融点(℃)
とした。
【0055】(4)屋外曝露促進試験 サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)性、
WEL−SUN−HCL型)を使用し、JIS−K−6
783bに準じて、得られたポリエステルフィルムに1
000時間(屋外曝露1年間に相当)照射することによ
り屋外曝露促進試験を行った。
【0056】(5)耐候性1(ヘーズ変化) 試験実施前および実施後のサンプルについて、ヘーズメ
ーター(POIC(株)性、SEP−HS−D1型)に
よりヘーズを測定し、試験前後のヘーズ変化をもって、
下記の基準により耐候性を評価した。 ○:ヘーズ変化が10%未満 ×:ヘーズ変化が10%以上
【0057】(6)耐候性2(伸度保持) 試験実施前および実施後のサンプルについて、引張試験
機(オリエンテック(株)性、UCT−100型)によ
り引張破断伸度を測定し、下記計算式により求められる
伸度保持率をもって、下記の基準により耐候性を評価し
た。 伸度保持率(%)=(S/S0)×100 上記式中、Sは試験実施後の引張破断伸度、S0は試験
実施前の引張破断伸度を示す。 ○:伸度保持率が70%以上 ×:伸度保持率が70%未満
【0058】(7)成形性 得られたポリエステルフィルムに150℃の予熱を施
し、引続いて80℃に加熱したオスメス金型を用いて、
底面直径20mm、深さ5mm、角部R=2.5mmの
円筒状に成型した。得られた成型後サンプルの外観か
ら、下記の基準により成型性を評価した。 ○:比較的均一に所望の形状が得られる △:成型は可能であるが、局所的に白化が生じる、また
はフィルム厚みの極端に薄い部分が生じる ×:フィルムが破れ、成型できない
【0059】
【実施例2】重合工程の終了時に添加する化合物を構造
式(7)に示すものとし、添加量を樹脂99重量部に対
して1重量部とした以外は実施例1と同様にして二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを実
施例1と同様に評価し、その結果特性を表1に示す。
【化14】
【0060】
【実施例3】重合工程の終了時に添加する化合物を構造
式(8)に示すものとした以外は実施例1と同様にして
二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィル
ムを実施例1と同様に評価し、その結果特性を表1に示
す。
【化15】
【0061】
【実施例4】フィルム素材として、重合工程の終了時に
実施例1と同様の上記構造式(6)に示す化合物を樹脂
99重量部に対して2重量部添加した固有粘度0.65
のポリエチレン(テレフタレート−イソフタレート)共
重合体(TA成分/IA成分モル比=88/12)[*
1]と、固有粘度0.9のポリブチレンテレフタレート
[*2]とを、[*1]/[*2]重量比=55/45
となるように混合した組成物を用いた以外は、実施例1
と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得
られたフィルムを実施例1と同様に評価し、その結果特
性を表1に示す。
【0062】
【比較例1】重合工程および溶融押出工程において紫外
線吸収性の化合物を一切添加しなかった以外は実施例1
と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得
られたフィルムを実施例1と同様に評価し、その結果特
性を表1に示す。
【0063】
【比較例2】フィルム素材として、重合工程の終了時に
上記構造式(6)に示す化合物を樹脂99重量部に対して
1重量部添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレ
フタレートを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィ
ルムを得た。得られたフィルムを実施例1と同様に評価
し、その結果特性を表1に示す。
【0064】
【比較例3】厚み836μmの未延伸フィルムを得、フ
ィルム製膜時の延伸倍率を、縦方向:3.8、横方向:
4.4とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを
得た。得られたフィルムを実施例1と同様に評価し、そ
の結果特性を表1に示す。
【0065】
【比較例4】厚み72μmの未延伸フィルムを得、フィ
ルム製膜時の延伸倍率を、縦方向、横方向:ともに1.
2とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得
た。得られたフィルムを実施例1と同様に評価し、その
結果特性を表1に示す。
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、良好な成形性と耐候性
を兼備し、樹脂部材、金属部材の表面保護用フィルム、
窓用保護フィルム、農業用フィルム等の長期間屋外で使
用される用途に有用な成形性ポリエステルフィルムを提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AA46 AA84 AC12 AE05 AF15 AF15Y AF29 AF29Y AH06 AH19 BA01 BB06 BB08 BC01 BC10 4F100 AH02A AH02H AH03A AH03H AH06B AK25B AK25H AK41A AK41B AK41J AK42 AK51B AL01A AL06B BA02 CA07A CA17B CA23 EH46 EJ38 EJ65B EJ86 GB01 GB07 GB32 GB90 JA04A JA20A JK07A JL01 JL09 JN02A YY00A 4J002 CF061 CF071 EE026 EU026 FD056 GJ02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面配向係数が0.10〜0.16、MD
    方向とTD方向における100℃での100%伸長時の
    応力が、それぞれ10〜150MPa、かつ紫外線吸収
    性化合物を含有することを特徴とするポリエステルフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 原材料は、融点が210〜245℃の共
    重合ポリエステルを主成分とする組成物であることを特
    徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収性化合物は、構造式(1)あ
    るいは構造式(2)で表される環状イミノエステルの少
    なくとも1種類を、未反応の形態で用いたものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜2にいずれかに記載のポリエ
    ステルフィルム。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (構造式(1)中、X1は2価の芳香族残基であり、か
    つX1に結合する構造式(1)中のイミノ窒素およびカ
    ルボニル炭素はX1内に隣接して位置する元素と結合、
    nは1〜3のいずれか整数、R1はn価の炭化水素残基
    でありかつヘテロ原子を含有しても良く、またはR1
    n=2のとき直接結合であることができる。構造式
    (2)中、Aは構造式(2−a)または構造式(2−
    b)で表される基、R2およびR3は同一もしくは異なる
    1価の炭化水素基、X2は4価の芳香族残基でありかつ
    ヘテロ原子を含有していてもよい。)
  4. 【請求項4】 紫外線吸収性化合物として、構造式
    (3)あるいは構造式(4)で表わされるベンゾフェノ
    ン誘導体の少なくとも1種類を用いることを特徴とする
    請求項1〜2にいずれかに記載のポリエステルフィル
    ム。 【化5】 【化6】 (構造式(3)および構造式(4)中のR1とR2は、そ
    れぞれ水素原子または炭素数1〜18のアルキル基、ア
    ルコキシ基、または水酸基を表わす。ただし、R 1とR2
    は互いに同一あるいは異なっていてもよい。R3〜R10
    は、それぞれ水素原子または炭化水素基を表わす。ただ
    し、R3〜R10は互いに同一あるいは異なっていてもよ
    い。)
  5. 【請求項5】 フィルムのヘーズが5%未満であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエス
    テルフィルム。
  6. 【請求項6】 プライマー層を少なくとも片面に設けた
    ポリエステルフィルムであり、かつプライマー層の主成
    分は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル
    樹脂、アクリル樹脂変性ポリエステル樹脂、およびビニ
    ル系樹脂変性ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なく
    とも1種類の樹脂、あるいはシランカップリング剤であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポ
    リエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 プライマー層は、請求項6記載のプライ
    マー層主成分を含有するプライマー層形成用塗布液を、
    配向結晶化完了前のポリエステルフィルムの少なくとも
    片面に塗布した後、乾燥・延伸・熱固定を施して形成し
    たものであることを特徴とする請求項6記載のポリエス
    テルフィルム。
  8. 【請求項8】 プライマー層中には、アンチブロッキン
    グ効果を奏する物質を含有することを特徴とする請求項
    6〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】 屋外において用いることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
JP2000190684A 2000-06-26 2000-06-26 ポリエステルフィルム Pending JP2002003624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000190684A JP2002003624A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 ポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000190684A JP2002003624A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002003624A true JP2002003624A (ja) 2002-01-09

Family

ID=18690111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000190684A Pending JP2002003624A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 ポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002003624A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004000920A1 (ja) * 2002-06-24 2003-12-31 Teijin Limited 積層フィルム
JP2005138492A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Toyobo Co Ltd 成型用ポリエステルフィルム及びそれから得られたダミー容器
JP2006233138A (ja) * 2005-02-28 2006-09-07 Toyobo Co Ltd 成型用ポリエステル系フィルム
WO2007123095A1 (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Toray Industries, Inc. 成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム
JP2011156822A (ja) * 2010-02-03 2011-08-18 Toyo-Morton Ltd 積層体及びそれを用いてなる蓋材
JP2014185245A (ja) * 2013-03-23 2014-10-02 Mitsubishi Plastics Inc 易延伸ポリエステルフィルム
KR101924563B1 (ko) * 2017-07-07 2018-12-03 에스케이씨 주식회사 표면 가교밀도가 향상된 폴리에스테르 필름

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004000920A1 (ja) * 2002-06-24 2003-12-31 Teijin Limited 積層フィルム
JP2005138492A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Toyobo Co Ltd 成型用ポリエステルフィルム及びそれから得られたダミー容器
JP2006233138A (ja) * 2005-02-28 2006-09-07 Toyobo Co Ltd 成型用ポリエステル系フィルム
WO2007123095A1 (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Toray Industries, Inc. 成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム
US8354171B2 (en) 2006-04-19 2013-01-15 Toray Industries, Inc. Biaxially oriented polyester film for molded part
JP5309564B2 (ja) * 2006-04-19 2013-10-09 東レ株式会社 成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム
JP2011156822A (ja) * 2010-02-03 2011-08-18 Toyo-Morton Ltd 積層体及びそれを用いてなる蓋材
JP2014185245A (ja) * 2013-03-23 2014-10-02 Mitsubishi Plastics Inc 易延伸ポリエステルフィルム
KR101924563B1 (ko) * 2017-07-07 2018-12-03 에스케이씨 주식회사 표면 가교밀도가 향상된 폴리에스테르 필름

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003211606A (ja) 成形部材表装用ポリエステルフィルム
JP5221880B2 (ja) 反射板用白色ポリエステルフィルム
JP5166740B2 (ja) 反射板用白色ポリエステルフィルム
JPH07256844A (ja) 積層フイルム及びその製造法
JP5388798B2 (ja) 低オリゴマーポリエステルフィルム
JP2001239579A (ja) インサート成形用二軸延伸ポリエステル系フィルム
JP2002003624A (ja) ポリエステルフィルム
JPH03180344A (ja) 安全ガラス板もしくは窓に使用可能な少なくとも1種のポリウレタン層の形成のための支持体としての非―接着複合材料ポリエステルフィルムの適用
JP5398494B2 (ja) ポリエステルフィルム
JP2008142916A (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
JP4055897B2 (ja) 部材表面を表装するための成形加工用ポリエステルフィルム
JP3205258B2 (ja) 易接着性ポリエステルフィルム
JP3829295B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP2010215496A (ja) 合わせガラス用ポリエステルフィルム
JP4804273B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
JP3502487B2 (ja) ポリエステル成形体
JP2001341241A (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP2015016677A (ja) 離型ポリエステルフィルム
JP4617669B2 (ja) 成型用積層ポリエステルフィルム及びそれを成型してなる成形部材
JPH0457834A (ja) ポリエステル系樹脂フィルム
JP2006015675A (ja) 建築材料用積層ポリエステルフィルム
JP2011173372A (ja) インモールド転写用積層フィルムおよびそれからなるインモールド転写工程部材
JP4401933B2 (ja) 電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP2010215495A (ja) 合わせガラス用ポリエステルフィルム
JP2010215494A (ja) 合わせガラス用ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040507

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060620