JP2002003423A - 置換脂環式化合物の異性化方法 - Google Patents

置換脂環式化合物の異性化方法

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JP2002003423A JP2001123354A JP2001123354A JP2002003423A JP 2002003423 A JP2002003423 A JP 2002003423A JP 2001123354 A JP2001123354 A JP 2001123354A JP 2001123354 A JP2001123354 A JP 2001123354A JP 2002003423 A JP2002003423 A JP 2002003423A
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Yuichi Sato
裕一 佐藤
Yukiko Ariyoshi
夕貴子 有吉
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒の分離が容易であり、各種合成樹脂の原
料や、溶剤等の各種化学薬品、或いは、これら化学薬品
の原料等として用いられる置換脂環式化合物のシス体か
らトランス体を効率的にかつ安価に得ることができる置
換脂環式化合物の異性化方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) Z−(R1 n ……(1) で示され、式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合
物基を表し、R1 は炭素数1〜3のアルキル基、−OR
2 基、−N(R2)2 基、−CH2 OR2 基、−CH2
COR2 基、−COOR3 基、または−CH2 N(R2)
2 基を表し、R2 、R3 はそれぞれ独立して水素原子ま
たは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2以上の整
数を表す置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化物を含
む異性化触媒を用いてトランス体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、置換脂環式化合物
のシス体からトランス体を得る、置換脂環式化合物の異
性化方法に関するものである。より詳しくは、例えば、
cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールから、ポリ
エステル系の塗料や合成繊維、合成樹脂等の原料として
工業的に非常に有用な、 trans−1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールを得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1,4−シクロヘキサンジメタノール
は、ポリエステル系の塗料や合成繊維、合成樹脂等の原
料として非常に有用な化合物である。1,4−シクロヘ
キサンジメタノールには、通常、シス体とトランス体と
が存在するが、シス体から製造したポリエステル樹脂よ
りも、トランス体から製造したポリエステル樹脂の方が
ガラス点や軟化点が高く、物性に優れることが知られて
いる。しかしながら、通常、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールは、シス体とトランス体との混合物として得
られる。このため、 trans−1,4−シクロヘキサンジ
メタノールをより高収率で得ることが嘱望されている。
【0003】そこで、 trans−1,4−シクロヘキサン
ジメタノールをより高収率で得る方法として、 cis−
1,4−シクロヘキサンジメタノールを異性化して tra
ns−1,4−シクロヘキサンジメタノールを得る方法が
研究されている。
【0004】このように、 cis−1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの異性化により trans−1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールを得る方法として、例えば特許第
2537401号公報では、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールのシス体およびトランス体混合物を、触媒と
してのアルカリの存在下で蒸留する方法が提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
許第2537401号公報に記載の方法は、異性化に用
いるアルカリとして、アルカリ金属またはアルカリ土類
金属の水酸化物やアルコラート、アミン類を使用してい
るため、反応後、反応液が均一状態にあり、用いた触媒
と、1,4−シクロヘキサンジメタノールとの分離が困
難であるという問題点を有している。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、その目的は、触媒の分離が容易であり、各種合成
樹脂の原料や、溶剤等の各種化学薬品、或いは、これら
化学薬品の原料等として用いられる、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール等の置換脂環式化合物のシス体から
トランス体を効率的にかつ安価に得ることができる置換
脂環式化合物の異性化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく、鋭意検討した結果、無機酸化物を含む
触媒が、置換脂環式化合物、特に、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール等のシクロヘキサン環含有化合物の異
性化に好適であり、また、分離が容易であることを見い
出して、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明にかかる置換脂環式化合物の
異性化方法は、上記の課題を解決するために、一般式
(1) Z−(R1 n ……(1) (式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合物基を表
し、R1 は炭素数1〜3のアルキル基、−OR2 基、−
N(R2)2 基、−CH2 OR2 基、−CH2 OCOR2
基、−COOR3 基、または−CH2 N(R2)2 基を表
し、R2 、R3 はそれぞれ独立して水素原子または炭素
数1〜4のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表
す)で示される置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化
物を含む触媒と接触させてトランス体に異性化させるこ
とを特徴としている。
【0009】また、本発明にかかる置換脂環式化合物の
異性化方法は、上記の課題を解決するために、一般式
(1) Z−(R1 n ……(1) (式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合物基を表
し、nは2、R1 はそれぞれ独立して炭素数1〜3のア
ルキル基、−OR2 基、−N(R2)2 基、−CH2 OR
2 基、−CH2 OCOR2 基、−COOR3 基、または
−CH2 N(R2)2 基を表し、R2 、R3 はそれぞれ独
立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表
す)で示される置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化
物を含む触媒と接触させてトランス体に異性化させるこ
とを特徴としている。
【0010】本発明にかかる置換脂環式化合物の異性化
方法に用いられる上記無機酸化物は、アルカリ金属の酸
化物およびアルカリ土類金属の酸化物のうち少なくとも
一方を含むことが好適である。また、本発明にかかる置
換脂環式化合物の異性化方法に用いられる上記置換脂環
式化合物は、シクロヘキサン環含有化合物であることが
好適である。本発明にかかる置換脂環式化合物の異性化
方法は、上記置換脂環式化合物が、シクロヘキサン環含
有化合物、特に、1,4−シクロヘキサンジメタノール
である場合、特に有効である。
【0011】本発明にかかる置換脂環式化合物の異性化
方法は、上記置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化物
を含む触媒と接触させた後、さらに蒸留することで精製
することが望ましい。
【0012】また、本発明にかかる異性化触媒は、本発
明にかかる上記置換脂環式化合物の異性化方法に用いる
異性化触媒であって、無機酸化物を含むことを特徴とし
ている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明にかかる置換脂環式化合物
の異性化方法は、一般式(1) Z−(R1 n ……(1) (式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合物基を表
し、R1 は炭素数1〜3のアルキル基、−OR2 基、−
N(R2)2 基、−CH2 OR2 基、−CH2 OCOR2
基、−COOR3 基、または−CH2 N(R2)2 基を表
し、R2 、R3 はそれぞれ独立して水素原子または炭素
数1〜4のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表
す)で示される置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化
物を含む触媒を異性化触媒として用いて異性化すること
により、上記置換脂環式化合物のトランス体を得る方法
であり、より具体的には、上記置換脂環式化合物のシス
体を、無機酸化物を含む触媒に接触、好ましくは、無機
酸化物を含む触媒の存在下で加熱することにより、加熱
下、つまり、所定温度条件下で上記置換脂環式化合物の
シス体を、無機酸化物を含む触媒に接触させることで、
シス体からトランス体への転換を行う方法である。上記
各R1 は、それぞれ同種類の置換基でもよいし、それぞ
れ異なった種類の置換基でもよい。
【0014】本発明において、上記一般式(1)中のZ
で示される飽和炭素環式化合物基とは、炭素数6以上の
飽和炭素環式化合物中の異なる炭素原子から1個ずつ、
計2個以上の水素原子が除かれてなる二価以上の飽和炭
素環式化合物基を示し、より具体的には、炭素数6以上
の飽和脂環式炭化水素中の異なる炭素原子から1個ず
つ、計2個以上の水素原子が除かれてなる二価以上の飽
和炭化水素基あるいは該飽和炭化水素基の水素原子が1
つ以上、反応に関与しない置換基に置換されてなる基を
示す。すなわち、上記一般式(1)で示される置換脂環
式化合物は、本発明にかかる異性化反応に対して不活性
な官能基を有していてもよい。上記一般式(1)におい
てZで示される飽和炭素環式化合物基が有する炭素数
は、6以上、12以下であることが好ましく、上記nで
示される置換基の数は、上記Zで示される飽和炭素環式
化合物基が有する炭素数にもよるが、2以上、12以下
であることが好ましい。上記置換脂環式化合物がシクロ
ヘキサン環を有する化合物である場合、上記nは2であ
ることが特に好ましい。
【0015】上記一般式(1)で示される置換脂環式化
合物としては、具体的には、例えば、ジメチルシクロヘ
キサン、メチルエチルシクロヘキサン等の、1,2−、
1,3−、1,4−ジアルキル置換シクロヘキサン;
1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジオー
ル;1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジア
ミン;1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸およびそのエステル;ジメトキシシクロヘキ
サン等の、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサ
ンジアルキルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等
の、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジア
ルコール;シクロヘキサンジ(メチルアミン)等の、
1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジ(アル
キルアミン);2−、3−、4−アセトキシメチルシク
ロヘキサンカルボン酸およびそのエステル等の、アシロ
キシアルキルシクロヘキサンカルボン酸およびそのエス
テル;2−、3−、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸およびそのエステル等の、ヒドロキシアル
キルシクロヘキサンカルボン酸およびそのエステル;等
が挙げられる。
【0016】上記例示の置換脂環式化合物のうち、炭素
数6以上の飽和脂環式炭化水素中の異なる炭素原子から
1個ずつ、計2個以上の水素原子が除かれてなる二価以
上の飽和炭化水素基を有する化合物が好ましく、そのな
かでも、シクロヘキサン環を有する化合物、すなわち、
上記一般式(1)中、Zが、シクロヘキサンから、環を
構成する炭素原子のうち、異なる炭素原子に結合する水
素原子が1個ずつ、計2個以上除かれてなる二価以上の
基である化合物がより好ましい。さらに、そのなかで
も、上記Zが、シクロヘキシレン基である化合物がさら
に好ましく、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキ
サンジアルコール、アシロキシアルキルシクロヘキサン
カルボン酸およびそのエステル、ヒドロキシメチルシク
ロヘキサンカルボン酸およびそのエステルがより一層好
ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−ア
セトキシメチルシクロヘキサンカルボン酸メチル、4−
ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルが特
に好ましい。
【0017】本発明にかかる上記置換脂環式化合物の異
性化において用いられる触媒は、無機酸化物を含む触媒
であり、反応溶液に不溶性の無機酸化物からなる触媒で
あることが望ましく、さらに反応溶質および/または水
等の反応溶媒に不溶性の無機酸化物からなる触媒である
ことがより望ましい。上記無機酸化物のなかでも、周期
表IA族、IIA族、 IIIA族に属する元素から選ばれる
少なくとも一種の元素を含むものであることが好まし
く、アルカリ金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸
化物のうち少なくとも一方を含むことがより好ましい。
【0018】触媒として用いられる上記無機酸化物とし
ては、特に限定されるものではないが、具体的には、例
えば、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、ランタン、セリウム等、周期表IA族、
IIA族、または IIIA族に属する元素の酸化物;ナトリ
ウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、ランタン、セリウム等、周期表IA族、
IIA族、または IIIA族に属する元素を含む酸化物が担
体に担持された担持型触媒(担持体);等が挙げられ
る。
【0019】上記触媒が担持型触媒である場合に用いら
れる上記の担体としては、上記無機酸化物を固定化でき
るものであれば特に限定されるものではないが、具体的
には、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウ
ム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコ
ニウム(ジルコニア)、等の、等結晶性や非結晶性の金
属酸化物、或いはシリカ−アルミナ等の複合酸化物;活
性炭;等が挙げられる。これら担体は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0020】上記触媒を調製する方法は、特に限定され
るものではないが、上記触媒が例えば上記担持型触媒か
らなる場合について、その調製方法を以下に説明する。
【0021】上記担持型触媒は、上記元素が最終的に酸
化物の形態で担体に担持されていればよく、上記元素を
含む酸化物を直接担体に担持することもできるが、該触
媒の調製には、一般的には、上記元素を担体に担持した
後、あるいは、担持する過程で酸化させる方法が用いら
れる。上記元素またはその酸化物の担持方法としては、
特に限定されるものではなく、例えば、含浸法、沈澱
法、蒸着法等の、公知の種々の担持方法を採用すること
ができる。
【0022】例えば含浸法を採用して、上記元素を結果
的に酸化物の形態で担体に担持することにより、上記担
持型触媒を調製する場合の具体的な方法の一例を示す。
先ず、上記の元素を含む化合物を水またはアルコール等
の溶媒に溶解させて均一溶液を調製する。このとき、必
要に応じて加温してもよい。次に、上記の溶液に担体を
添加した後、溶媒を蒸発、乾固させる。また、必要に応
じて、乾燥後、さらに該担持体を所定温度で焼成する。
これにより、溶媒の蒸発、乾固工程、あるいは焼成工程
で上記元素が酸化されて上記元素の酸化物が担体に担持
された担持型触媒が調製される。尚、二種類以上の元素
を担体に担持する場合、これら元素を担体に担持する順
序は、特に限定されるものではなく、両者を同時に担持
してもよく、何れか一方を先に担持した後、他方を担持
してもよい。
【0023】本発明にかかる触媒が担持型触媒である場
合における、上記元素を含む酸化物の含有量、すなわ
ち、担体への上記元素を含む酸化物の担持量は、所望す
る触媒の組成(酸化物の種類)等に応じて適宜設定すれ
ばよく、特に限定されるものではないが、0.01重量
%〜80重量%の範囲内が好ましく、0.1重量%〜5
0重量%の範囲内がより好ましい。上記元素を含む酸化
物の含有量が上記範囲内にあることが、触媒活性が高
く、前記置換脂環式化合物の異性化を効率よく行えるこ
と、つまり、前記置換脂環式化合物のトランス体を、工
業的に、効率的にかつ安価に得ることができる点で好ま
しい。
【0024】また、上記触媒としては、ハイドロタルサ
イト等の塩基性を示す物質を用いることもできる。
【0025】本発明において触媒として用いられるこれ
ら無機酸化物は、一種類のみを用いてもよく、また、二
種類以上を適宜併用してもよい。これら無機酸化物のな
かでも、反応溶液に不溶性の無機酸化物からなる触媒で
あることが望ましく、さらに反応溶質および/または水
等の反応溶媒に不溶性の無機酸化物からなる触媒がより
好ましく、例えば周期表IIA族に属するアルカリ土類金
属の酸化物が好適であり、酸化バリウム、過酸化バリウ
ムがより好適であり、そのなかでも、酸化バリウムがよ
り一層好適である。特に、上記異性化反応において用い
られる反応基質が1,4−シクロヘキサンジアルコー
ル、特に1,4−シクロヘキサンジメタノールである場
合、これら触媒(無機酸化物)のなかでも、酸化バリウ
ム、過酸化バリウムが特に好適に用いられ、そのなかで
も、酸化バリウムがより一層好適である。
【0026】尚、本発明にかかる触媒は、例えば触媒活
性をより一層向上させる目的や、反応時における反応液
中への上記元素の溶出を防止するために、上記無機酸化
物を主成分とし、該無機酸化物による作用効果を阻害し
ない範囲内で、必要に応じて、他の成分を含んでいても
よい。本発明にかかる触媒中における無機酸化物の含有
量は、触媒活性が良好な点で、0.01重量%〜100
重量%の範囲内であることが好ましく、0.1重量%〜
100重量%の範囲内であることがより好ましい。ま
た、上記無機酸化物は、触媒活性が良好な点で、アルカ
リ金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物のうち
少なくとも一方を0.01重量%〜100重量%の範囲
内で含むことが好ましく、0.1重量%〜100重量%
の範囲内で含むことがより好ましい。
【0027】本発明によれば、反応基質である前記置換
脂環式化合物を、上記触媒と接触、好ましくは、上記触
媒の存在下で加熱させることにより、前記置換脂環式化
合物のシス体をトランス体に転換させることができる。
本発明の方法は、前記置換脂環式化合物が1,4−シク
ロヘキサンジアルコール、特に1,4−シクロヘキサン
ジメタノールである場合、特に有効である。
【0028】反応基質である前記置換脂環式化合物とし
ては、シス体のみを用いてもよく、シス体とトランス体
との混合物を用いてもよい。前記置換脂環式化合物が
1,4−シクロヘキサンジメタノールである場合、1,
4−シクロヘキサンジメタノールは、通常、つまり、公
知の製造方法によれば、シス体とトランス体との混合物
の状態で得られる。そして、該1,4−シクロヘキサン
ジメタノールのシス体とトランス体とは、完全に分離を
行うことが困難である。このため、前記置換脂環式化合
物として1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用す
る場合には、 cis−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルと trans−1,4−シクロヘキサンジメタノールとの
混合物が用いられる。尚、本発明において用いられる前
記置換脂環式化合物の製造方法は、特に限定されるもの
ではなく、公知の種々の製造方法により得られた置換脂
環式化合物を用いることができる。
【0029】上記異性化反応は、無溶媒で行われること
が、後の溶媒の除去操作を省くことができるので望まし
い。反応時において前記置換脂環式化合物が液体状であ
る場合には、特に溶媒を用いる必要がないが、触媒と十
分均一に接触することができない場合や、反応が激しい
場合等には、該反応に対して不活性な溶媒を用いて反応
液を希釈することができる。
【0030】上記溶媒としては、上記異性化反応に不活
性な溶媒であれば、特に限定されるものではなく、ま
た、その使用量も特に限定されない。該溶媒としては,
例えば、水、アルコール、炭化水素等の溶媒を使用する
ことができる。
【0031】上記異性化反応は、連続式、回分式、半回
分式の何れの形態を用いてもよく、特に限定されるもの
ではない。触媒は、反応形態として例えば回分式を採用
する場合には、反応装置に原料と共に一括して仕込めば
よく、また、反応形態として例えば連続式を採用する場
合には、反応装置に予め充填しておけばよい。触媒は、
固定床の形態で使用してもよく、懸濁床の形態で使用し
てもよい。
【0032】これら置換脂環式化合物に対する触媒の使
用量は、置換脂環式化合物の種類や触媒の組成、反応条
件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものでは
ないが、触媒を固定床の形態で使用する場合、単位時間
当たりの上記触媒中の固定酸化物の単位体積当たりの原
料液(すなわち、前記置換脂環式化合物、あるいは、前
記置換脂環式化合物を含む溶媒)の供給速度が0.01
〜100h-1となるように設定することが好ましい。
【0033】一方、上記触媒を懸濁床の形態で使用する
場合、前記置換脂環式化合物に対する触媒の使用量は、
置換脂環式化合物の種類や触媒の組成、反応条件等に応
じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、
例えば反応基質が1,4−シクロヘキサンジアルコール
である場合、該1,4−シクロヘキサンジアルコール1
00重量部に対する触媒中の固定酸化物の使用量が、
0.01重量部〜50重量部となるように設定すること
が好ましい。
【0034】反応温度や反応圧力、反応時間等の反応条
件は、置換脂環式化合物の種類や触媒の組成等に応じて
設定すればよく、特に限定されるものではないが、例え
ば、反応温度は、置換脂環式化合物の種類にもよるが、
前記無機酸化物を含む触媒、好適には、無機酸化物の存
在下、加熱することが望ましい。該反応温度は、反応基
質や反応方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定さ
れるものではないが、例えば反応基質が1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールの場合、通常、50℃〜250℃
の範囲内であり、130℃〜200℃の範囲内が好適で
あり、140℃〜190℃の範囲内がより好適である。
反応温度が50℃〜250℃の範囲内である場合は、反
応速度が早く、副反応が起こり難く、前記置換脂環式化
合物の異性化を効率的に行うことができるので好まし
い。
【0035】反応圧力は、常圧(大気圧)、加圧の何方
であってもよく、また、反応雰囲気は特に限定されな
い。
【0036】上記反応を行うことにより、前記置換脂環
式化合物の異性化を行うことができる。これにより、前
記置換脂環式化合物のトランス体を含む反応液が得られ
る。得られた反応液中に生成物として前記置換脂環式化
合物のトランス体が含まれることは、例えば、ガスクロ
マトグラフィーにより確認することができる。反応基質
として、前記置換脂環式化合物のシス体とトランス体と
の混合物を用いた場合には、前記置換脂環式化合物のト
ランス体を、反応前よりも多い割合で含む反応液が得ら
れる。
【0037】得られた反応液には、目的物である置換脂
環式化合物のトランス体の他に、未反応物である置換脂
環式化合物のシス体、触媒、あるいは溶媒(使用した場
合)等が含まれている。
【0038】触媒は、例えば、反応液を濾過することに
より、容易に分離することができる。本発明では、特に
溶媒を必要とせず、また、触媒として無機酸化物を使用
していることから、溶媒を使用していない場合、濾過の
みで触媒の分離が可能となり、蒸留等の精製設備を必要
とせず、触媒と生成物とを容易に分離することができ
る。
【0039】また、得られた置換脂環式化合物のトラン
ス体は、得られた反応液を蒸留することにより、必要に
応じて精製すればよい。この場合、用いた触媒は、蒸留
を行う前に、必要であれば除去する。置換脂環式化合物
のトランス体は、例えば、得られた反応液を蒸留するこ
とにより、単離することができる。
【0040】蒸留温度や蒸留圧力の蒸留条件は、蒸留塔
の塔底からの缶出液(蒸留ボトム液)の組成によって特
に限定されるものではないが、通常、蒸留温度が50〜
300℃、蒸留圧力が13.33Pa〜常圧の範囲が好
適である。また、蒸留ボトム液が1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの場合は、蒸留温度が130〜200℃
の範囲内、蒸留圧力が1.33hPa〜66.66hP
aの範囲内が好適である。蒸留圧力が1.33hPa未
満である場合には、工業的設備や動力に要する費用が高
くなることから、前記置換脂環式化合物のトランス体を
安価に得る上で不利である。一方、蒸留圧力が66.6
6hPaを越える場合には、蒸留温度が高くなり過ぎ、
分解反応やエーテル化反応等の副反応が生じるおそれが
あるので好ましくない。
【0041】蒸留は、回分式でも連続式でも可能である
が、例えば前記置換脂環式化合物として1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールを使用した場合、トランス体とシ
ス体との微妙な差を区別してトランス体を多く含有した
留分を得るためには、理論段数が大きい方が好ましく、
少なくとも理論段数が10段〜20段となるような蒸留
条件が好ましい。
【0042】上記蒸留を行うことにより、置換脂環式化
合物のトランス体を単離、あるいは、反応液中の置換脂
環式化合物のトランス体の割合を向上させることができ
る。
【0043】上記蒸留によって得られた未反応物である
置換脂環式化合物のシス体、および溶媒(使用した場
合)は、例えば、置換脂環式化合物のトランス体を単離
する際に、併せて分離・回収することができる。回収さ
れた置換脂環式化合物のシス体、および溶媒(使用した
場合)は、再度、異性化反応に用いることもできる。
【0044】蒸留残渣等の、高沸分を含む缶出液は、必
要であれば高沸分を除去した後、再度、異性化反応器に
リサイクルするか蒸留器にリサイクルすることができ
る。また、シス体と共にトランス体が流出した場合、再
度、異性化反応器にリサイクルするか蒸留器にリサイク
ルすることができる。
【0045】以上のように、本発明にかかる異性化方法
は、前記置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化物を含
む触媒を用いてトランス体に転換する方法である。本発
明において用いられる前記置換脂環式化合物は、各種合
成樹脂の原料や、溶剤等の各種化学薬品、或いは、これ
ら化学薬品の原料等として非常に有用な化合物であり、
そのトランス体は、シス体と比較して、より物性に優れ
た合成樹脂等を得ることができる。特に、 trans−1,
4−シクロヘキサンジメタノールは、cis−1,4−シ
クロヘキサンジメタノールと比較してポリエステル系の
塗料や合成繊維、合成樹脂等の原料として工業的に非常
に有用である。
【0046】本発明によれば、触媒の分離が容易であ
り、各種合成樹脂の原料や、溶剤等の各種化学薬品、或
いは、これら化学薬品の原料等として用いられる、1,
4−シクロヘキサンジメタノール等の前記置換脂環式化
合物のシス体からトランス体を効率的にかつ安価に得る
ことができる置換脂環式化合物の異性化方法を提供する
ことができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0048】〔実施例1〕トランス体とシス体とを、ト
ランス体67.9モル%、シス体32.1モル%の割合
で含む1,4−シクロヘキサンジメタノール(和光純薬
株式会社製)を原料として使用し、該1,4−シクロヘ
キサンジメタノール10gと、触媒としての酸化バリウ
ム(和光純薬株式会社製)1.0gとを、還流管付き3
0mlフラスコに仕込み、180℃で3時間攪拌して、
cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールの異性化反
応を行った。
【0049】反応終了後、得られた反応液を100℃ま
で冷却した。その後、この反応液を熱時濾過して触媒を
分離し、濾液を室温まで冷却してその組成をガスクロマ
トグラフィーで分析した。この結果、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールの回収率は100モル%であり、
1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス−シス
異性体比(トランス体/シス体)は、0.760/0.
240であった。
【0050】〔実施例2〕p−キシリレングリコール
(東京化成製)を、触媒としてルテニウム炭素(川研フ
ァイン製)を用いて溶媒としてのメタノール中で、50
℃、9.8MPaにて接触水素化反応させ、ベンゼン環
を水素化することにより、トランス体とシス体とを、ト
ランス体30.2モル%、シス体69.8モル%の割合
で含む4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンジメタノー
ルを原料として得た。
【0051】次いで、実施例1において、反応温度を1
80℃から160℃に変更すると共に、原料として、ト
ランス体とシス体とを、トランス体30.2モル%、シ
ス体69.8モル%の割合で含む1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールを使用し、反応時間を3時間から24時
間に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行
った。
【0052】反応終了後、得られた反応液を100℃ま
で冷却し、熱時濾過を行って触媒を分離した後、濾液を
室温まで冷却してその組成をガスクロマトグラフィーで
分析した。この結果、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールの回収率は100モル%であり、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールのトランス−シス異性体比(トラン
ス体/シス体)は、0.753/0.247であった。
【0053】〔実施例3〕反応温度を180℃から16
0℃に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を
行った。反応終了後、得られた反応液を100℃まで冷
却し、熱時濾過を行って触媒を分離した後、濾液を室温
まで冷却してその組成をガスクロマトグラフィーで分析
した結果、1,4−シクロヘキサンジメタノールの回収
率は100モル%であり、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールのトランス−シス異性体比(トランス体/シス
体)は、0.693/0.307であった。
【0054】〔比較例1〕触媒を使用しない以外は実施
例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、反応液
を室温まで冷却してその組成をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、1,4−シクロヘキサンジメタノール
の回収率は100モル%であり、該反応液には、1,4
−シクロヘキサンジメタノールのトランス体とシス体と
が、トランス体67.9モル%、シス体32.1モル%
の割合で含まれていた。すなわち、トランス−シス異性
体比に変化はなかった。
【0055】〔比較例2〕触媒として、酸化バリウムに
代えて50重量%水酸化ナトリウム水溶液1.0gを使
用した以外は、実施例1と同様の反応を行った。反応
後、触媒は反応液と混合されており、濾過による触媒分
離は不可能であった。該反応液には、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールのトランス体とシス体とが、トラン
ス体0.755モル%、シス体0.245モル%の割合
で含まれていた。
【0056】〔実施例4〕トランス体とシス体とを、ト
ランス体30.2モル%、シス体69.8モル%の割合
で含む1,4−シクロヘキサンジメタノール(和光純薬
株式会社製)100gを原料として使用し、酸化バリウ
ム(和光純薬株式会社製)10gを触媒として使用して
反応温度180℃にて、 cis−1,4−シクロヘキサン
ジメタノールの異性化反応を、実施例1と同様な方法で
6時間行った。
【0057】反応終了後、得られた反応液を100℃ま
で冷却した。その後、この反応液を熱時濾過して触媒を
分離し、濾液92.5gを、蒸留圧力133.32P
a、蒸留塔の塔底温度185℃、理論段数10段で精製
し、91.1gの留分を得た。得られた留分の組成をガ
スクロマトグラフィーで分析した。この結果、1,4−
シクロヘキサンジメタノールの純度は100%であり、
1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス−シス
異性体比(トランス体/シス体)は、0.832/0.
168であった。
【0058】〔実施例5〕まず、乳鉢に酸化ケイ素(商
品名「サイリシア350」、富士シリシア社製)の粉体
5gを入れ、その中に、10重量%水酸化ナトリウム水
溶液6.7gを加えて80℃に加温し、十分混練しなが
らゆっくりと水を蒸発させて固化させた。得られた固形
物を120℃で一晩乾燥した後、空気中にて600℃で
4時間焼成し、酸化ナトリウムが酸化ケイ素に担持され
た担持型触媒である酸化ケイ素担持酸化ナトリウム触媒
を調製した。
【0059】次いで、実施例1において、酸化バリウム
に代えて上記酸化ケイ素担持酸化ナトリウム触媒0.1
gを使用し、反応時間を6時間、反応温度を160℃と
した他は、実施例1と同様の方法で反応を行なった。反
応終了後、反応液を熱時濾過し、室温まで冷却してその
組成をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1,4
−シクロヘキサンジメタノールの回収率は97モル%で
あり、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス
−シス異性体比(トランス体/シス体)は0.700/
0.300であった。
【0060】〔実施例6〕まず、乳鉢に酸化ジルコニウ
ム(ノートン社製)の粉体5gを入れ、その中に、硝酸
バリウム水溶液21.2gを加えて80℃に加温し、十
分混練しながらゆっくりと水を蒸発させて固化させた。
得られた固形物を120℃で一晩乾燥した後、空気中に
て600℃で4時間焼成し、酸化バリウムが酸化ジルコ
ニウムに担持された担持型触媒である酸化ジルコニウム
担持酸化バリウム触媒を調製した。
【0061】次いで、実施例1において、酸化バリウム
に代えて上記酸化ジルコニウム担持酸化バリウム触媒
0.1gを使用し、反応時間を6時間、反応温度を16
0℃とした他は、実施例1と同様の方法で反応を行なっ
た。反応終了後、反応液を熱時濾過し、室温まで冷却し
てその組成をガスクロマトグラフィーで分析した結果、
1,4−シクロヘキサンジメタノールの回収率は90モ
ル%であり、1,4−シクロヘキサンジメタノールのト
ランス−シス異性体比(トランス体/シス体)は0.7
12/0.288であった。
【0062】〔実施例7〕p−ヒドロキシメチル安息香
酸(東京化成製)を、触媒としてルテニウム炭素(川研
ファイン製)を用いて溶媒としてのメタノール中で、1
00℃、9.8MPaにて接触水素化反応させ、ベンゼ
ン環を水素化することにより、4−ヒドロキシメチルシ
クロヘキサンカルボン酸を得た。その後、この4−ヒド
ロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸を、メタノール
中でエステル化することにより、トランス体19.1モ
ル%、シス体80.9モル%の割合で含む4−ヒドロキ
シメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルを原料として
得た。
【0063】次いで、実施例1において、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール10gに代えて、トランス体と
シス体とを、トランス体19.1モル%、シス体80.
9モル%の割合で含む4−ヒドロキシメチルシクロヘキ
サンカルボン酸メチル10gを原料(基質)として用い
た以外は、実施例1と同様の条件にて反応を行なった。
反応終了後、反応液を熱時濾過し、室温まで冷却してそ
の組成をガスクロマトグラフィーで分析した結果、4−
ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルの回
収率は92モル%であり、4−ヒドロキシメチルシクロ
ヘキサンカルボン酸メチルのトランス−シス異性体比
(トランス体/シス体)は0.54/0.46であっ
た。
【0064】〔実施例8〕先ず、p−ヒドロキシメチル
安息香酸(東京化成製)を、無水酢酸中で100℃に加
熱して4−アセトキシメチル安息香酸を得た。次いで、
得られた4−アセトキシメチル安息香酸を、触媒として
ルテニウム炭素(川研ファイン製)を用いて溶媒として
のメタノール中で、100℃、9.8MPaにて接触水
素化反応させ、ベンゼン環を水素化することにより、4
−アセトキシメチルシクロヘキサンカルボン酸を得た。
その後、この4−アセトキシメチルシクロヘキサンカル
ボン酸を、メタノール中でエステル化することにより、
トランス体とシス体とを、トランス体21.0モル%、
シス体79.0モル%の割合で含む4−アセトキシメチ
ルシクロヘキサンカルボン酸メチルを原料として得た。
【0065】実施例1において、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール10gに代えて、トランス体とシス体と
を、トランス体21.0モル%、シス体79.0モル%
の割合で含む4−アセトキシメチルシクロヘキサンカル
ボン酸メチル10gを原料(基質)として用いた以外
は、実施例1と同様の条件にて反応を行なった。反応終
了後、反応液を熱時濾過し、室温まで冷却してその組成
をガスクロマトグラフィーで分析した結果、4−アセト
キシメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルの回収率は
93モル%であり、4−アセトキシメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸メチルのトランス−シス異性体比(トラン
ス体/シス体)は0.51/0.49であった。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、無機酸
化物を含む触媒を用いることで上記置換脂環式化合物の
シス体をトランス体に効率的かつ容易に転換することが
できる。また、無機酸化物は、例えば、得られた反応液
を濾過することにより、蒸留等の精製設備を必要とする
ことなく、容易に分離することができる。従って、上記
の構成によれば、触媒の分離が容易であり、各種合成樹
脂の原料や、溶剤等の各種化学薬品、或いは、これら化
学薬品の原料等として用いられる、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールや4−アセトキシメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸エステル類や4−ヒドロキシメチルシクロ
ヘキサンカルボン酸エステル類等の上記置換脂環式化合
物のシス体からトランス体を効率的にかつ安価に得るこ
とができる置換脂環式化合物の異性化方法を提供するこ
とができるという効果を奏する。尚、無機酸化物を異性
化触媒に使用することで上記置換脂環式化合物のシス体
をトランス体に転換することができることは未だ知られ
ていない。
【0067】さらに、本発明によれば、各種合成樹脂の
原料や、溶剤等の各種化学薬品、或いは、これら化学薬
品の原料等として用いられる、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールや4−アセトキシメチルシクロヘキサンカ
ルボン酸エステル類や4−ヒドロキシメチルシクロヘキ
サンカルボン酸エステル類等の前記置換脂環式化合物の
シス体からトランス体を効率的にかつ安価に得ることが
できる触媒を提供することができる。上記無機酸化物
は、例えば、得られた反応液を濾過することにより、蒸
留等の精製設備を必要とすることなく、容易に分離する
ことができる。従って、本発明によれば、上記異性化方
法に好適に用いることができる触媒を提供することがで
きるという効果を併せて奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/757 C07C 69/757 C // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA02 AA03 BA01A BA02A BA02B BA03A BA04A BA05A BA05B BB04A BB04B BC01A BC02A BC02B BC06A BC08A BC09A BC10A BC13A BC13B BC38A BC42A BC43A CB41 4H006 AA02 AC14 AC41 AC48 BA02 BA06 BA30 BA55 BJ20 BN10 FC22 FE11 FG29 4H039 CA60 CA66 CJ10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) Z−(R1 n ……(1) (式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合物基を表
    し、R1 は炭素数1〜3のアルキル基、−OR2 基、−
    N(R2)2 基、−CH2 OR2 基、−CH2 OCOR2
    基、−COOR3 基、または−CH2 N(R2)2 基を表
    し、R2 、R3 はそれぞれ独立して水素原子または炭素
    数1〜4のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表
    す)で示される置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化
    物を含む触媒と接触させてトランス体に異性化させるこ
    とを特徴とする置換脂環式化合物の異性化方法。
  2. 【請求項2】一般式(1) Z−(R1 n ……(1) (式中、Zは炭素数6以上の飽和炭素環式化合物基を表
    し、nは2、R1 はそれぞれ独立して炭素数1〜3のア
    ルキル基、−OR2 基、−N(R2)2 基、−CH2 OR
    2 基、−CH2 OCOR2 基、−COOR3 基、または
    −CH2 N(R2)2 基を表し、R2 、R3 はそれぞれ独
    立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表
    す)で示される置換脂環式化合物のシス体を、無機酸化
    物を含む触媒と接触させてトランス体に異性化させるこ
    とを特徴とする置換脂環式化合物の異性化方法。
  3. 【請求項3】上記無機酸化物が、アルカリ金属の酸化物
    およびアルカリ土類金属の酸化物のうち少なくとも一方
    を含むことを特徴とする請求項1または2記載の置換脂
    環式化合物の異性化方法。
  4. 【請求項4】上記置換脂環式化合物が、シクロヘキサン
    環含有化合物であることを特徴とする請求項1〜3の何
    れか1項に記載の置換脂環式化合物の異性化方法。
  5. 【請求項5】上記置換脂環式化合物のシス体を、無機酸
    化物を含む触媒と接触させた後、さらに蒸留することを
    特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の置換脂環
    式化合物の異性化方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の何れか1項に記載の置換脂
    環式化合物の異性化方法に用いる異性化触媒であって、 無機酸化物を含むことを特徴とする異性化触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009525382A (ja) * 2006-02-03 2009-07-09 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 1,3/1,4−シクロヘキサンジメタノール系モノマーおよびポリマー

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JP2009525382A (ja) * 2006-02-03 2009-07-09 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 1,3/1,4−シクロヘキサンジメタノール系モノマーおよびポリマー

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