JP2002003417A - クメンヒドロペルオキシドの酸接触分解からの分解生成物の熱的後処理のための方法及び反応器 - Google Patents
クメンヒドロペルオキシドの酸接触分解からの分解生成物の熱的後処理のための方法及び反応器Info
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Abstract
に付着物の減少による高い使用性の点で優れている、ク
メンヒドロペルオキシド分解からの分解生成物の熱的後
処理法を提供すること 【解決手段】 クメンヒドロペルオキシドからのフェノ
ール及びアセトンへの酸接触分解からの分解生成物を熱
的後処理するにあたり、熱的に処理すべき分解生成物を
反応器中で加熱する方法において、反応器中で熱的に処
理すべき分解生成物の加熱のために少なくとも反応器中
で進行する発熱反応の反応熱を利用することを特徴とす
るクメンヒドロペルオキシドの酸接触分解からの分解生
成物の熱的後処理方法
Description
オキシド(CHP)からのフェノール及びアセトンへの
酸接触分解からの分解生成物のエネルギーを節約する選
択的な熱的後処理のための改善方法に関する。
ル及びアセトンへの酸接触分解法は、以前から特に工業
的に重要である。クメンからホック法によるフェノール
を製造する場合、いわゆる酸化の第1の反応段階で、ク
メンをクメンヒドロペルオキシド(CHP)に酸化さ
せ、このCHPを引き続き、いわゆる濃縮の真空蒸発器
中で65〜90質量%に濃縮する。いわゆる分解の第2
の反応段階では、CHPを酸、たいていは硫酸の作用下
でフェノール及びアセトンへ分解する。その際既に酸化
において生じたジメチルフェニルカルビノール(DMP
C)が定常反応で部分的にα−メチルスチレン(AM
S)及び水へ分解され、DMPCの他方の部分はCHP
と反応してジクミルペルオキシド(DCP)になり、残
りはいわゆる分解生成物の形で残留する。分解生成物の
中和後に、この生成物混合物を蒸留により後処理する。
ー、クミルフェノール)を形成し、これらは蒸留におい
て残留物として排出される。中和後になお存在するAM
Sは蒸留において水素化されてクメンになり、酸化のた
めに返送される。分解において反応しないDMPCは高
沸点物として残留物中に達し、部分的に熱いフェノール
塔中でさらに反応しAMSになり、これから再び高沸点
性の副成分が生じる。DCPは通常の分解温度(50〜
70℃)で安定である。これは熱いフェノール塔中で熱
的に分解され、その際に、経験によると特にo−クレゾ
ールが生成される。酸の影響のもとでDCPは80℃を
上回る温度でそれに対してフェノール、アセトン及びP
MSに分解する。従って、分解直後に残留するDMPC
及び分解中で生成されるDCPは、特に温度を意図的に
上昇させることにより分解において触媒として使用した
酸の影響のもとで完全に反応されることが理解される。
それによりDMPCはほぼ完全にAMSにDCPは完全
にフェノール、アセトン及び同様にAMSに変換され
る。
米国特許第2757209号明細書に記載されており、
その際、100℃を上回る温度、特に110℃〜120
℃の温度が使用される。この熱的後処理の目的はDMP
CのAMSへの完全な脱水であった。米国特許第435
8618号明細書にはそれに対して、分解において生成
したDCPを完全にフェノール、アセトン及びAMSに
変換する目的の熱的後処理が記載されており、この場合
120〜150℃の温度が使用される。米国特許第52
54751号明細書では、米国特許第4358618号
明細書に記載されたと同様の課題設定の熱的後処理を記
載しており、この場合80〜110℃の温度が使用され
ている。ドイツ国特許出願公開(DE−A1)第197
55026号明細書では、最後に150℃を上回る温度
で後処理を実施している。従って、今までの記載では、
フェノール製造からの分解生成物の熱的後処理のための
最適温度に関して著しい差異が存在する。
生成物は熱的後処理のために熱伝達装置中で蒸気を用い
てまず加熱され、十分な反応時間の後に熱伝達装置中で
水を用いて再度冷却される。熱的後処理のために選択さ
れた温度に応じて、それにより、フェノール1トンあた
り0.2トンの蒸気の比蒸気消費量が生じる。一般に1
00℃を上回る温度で、特に120℃を上回る温度で、
熱伝達の劇的な減少と関連して、熱的後処理の熱伝達装
置中で高沸点副生成物(付着物)の著しい堆積が生じ
る。特に蒸気を用いて生成物を加熱する装置中では、生
成物側の熱い熱伝達面上に有機沈着物が堆積するため、
この装置は数週間の比較的短い間隔で清浄化しなければ
ならない。温度上昇と共にこの付着物も増加する。
は、高い選択性の他に低いエネルギーコスト並びに付着
物の減少による高い使用性の点で優れている、クメンヒ
ドロペルオキシド分解からの分解生成物の熱的後処理法
を提供することであった。
ロペルオキシドからフェノール及びアセトンへの酸接触
分解からの分解生成物を熱的後処理するにあたり、熱処
理すべき分解生成物を反応器中で加熱する熱的後処理法
において、反応器中で熱的に処理すべき分解生成物を加
熱するために、少なくともこの反応器中で進行する発熱
反応の反応熱を利用し、エネルギーコストの低下並びに
付着物の回避による熱伝達装置の高い耐用時間と同時
に、後処理の高い選択性を達成することを特徴とする熱
的後処理法により解決される。
ルオキシドからフェノール及びアセトンへの酸接触分解
からの分解生成物を熱的後処理するにあたり、熱的に処
理すべき分解生成物を反応器中で加熱する請求項1記載
の方法において、反応器中で熱的に処理すべき分解生成
物の加熱のために少なくともこの反応器中で進行する発
熱反応の反応熱を利用することを特徴とする熱的後処理
法である。
オキシドの酸接触分解によるフェノール及びアセトンの
製造のための請求項14記載の反応器において、前記反
応器が少なくとも2つの領域を有し、その内の少なくと
も1つの領域は熱を搬出するための装置を備えており、
少なくとももう一方の領域は栓流特性(Stroemungsrohr
charakteristik; pulg flow characteristics)を有す
ることを特徴とする反応器である。
び熱的後処理を1つの反応器中で組み合わせて実施する
ことができるという利点を有する。
て熱的後処理すべき分解生成物の加熱のために本質的に
わずかな蒸気を必要とするという利点を有する。分解生
成物の熱的後処理の際に放出される反応熱が十分に大き
い場合に、分解生成物の加熱のための蒸気の使用は全く
行わないことができる。分解生成物の加熱のために継続
して蒸気又は他の適当な伝熱媒体を使用する方法並びに
装置とは反対に、分解生成物の処理のために本発明によ
る方法を使用する場合、沈着物の作用は著しくわずかな
程度で生じるかもしくは全く生じない。
セトンに分解する際に生じる分解生成物の後処理に関す
る本発明による方法を記載するが、本発明による方法は
この実施態様に限定されるものではない。
及びアセトンへの酸接触分解において生じる分解生成物
の熱的後処理のための本発明による方法は、分解生成物
中のジメチルフェニルカルビノール(DMPC)及びジ
クミルペルオキシド(DCP)の割合を減少させること
が目的である、それというのもこれらの化合物は引き続
きいくつかの蒸留工程を実施して物質を分離する分解生
成物の後処理の際に、他の化合物と又はそれ自体高沸点
性のタール状の化合物とさらに反応してしまうためであ
る。この高沸点性化合物は、分解生成物の後処理のため
の更なるプロセス工程において障害となることがある。
さらに、この高沸点物の生成によりホック法によるフェ
ノール合成の全体のプロセスの収率は明らかに低下す
る。
は後処理することにより、この分解生成物中に含まれる
DMPCをα−メチルスチレン(AMS)及び水に、同
様に存在するDCPをフェノール、AMS及びアセトン
に分解する。この反応の際に生じるAMSは分解生成物
の更なる後処理の際に分解生成物から分離され、水素化
してクメンにし、このクメンはフェノール製造の全体の
プロセス中へ出発物質として返送することができる。こ
のように副生成物の生成による収率の損失は低減され
る。
定の温度に加熱しなければならない。110℃を上回る
温度でDCPに関して反応がまだ不完全の場合でも、D
MPCからAMS及び水への変換は既に完全であること
が見出された。従って、最適条件の調節のために110
℃を上回る運転法で熱的後処理の後のDCP残留量だけ
を調査しなければならない。本発明による熱的に後処理
した分解生成物中のDCP残留量は0.01〜0.05
質量%、有利に0.01〜0.02質量%であるのが有
利である。比較的高い値はちょうどこのDSP損失に関
する全体のプロセスの選択性を悪化させ、このDCP損
失はさらに純粋フェノール中のo−クレゾールの高い含
有量を生じさせ、0.01質量%の低い値は、熱的後処
理においてAMSから高沸点物の高い副生成物形成を引
き起こす。通常DCP残留量は分析的に測定される。
生成物は100℃を上回る温度、有利に115℃を上回
る温度に加熱される。この熱的後処理はテンパリングと
もいわれる。
反応器、有利に管状反応器中へ運ばれ、加熱される。本
発明により分解生成物混合物の加熱は、少なくとも分解
生成物中の発熱反応の進行の際に生じる反応熱を利用す
ることにより行われる。本発明によりこの発熱反応の一
つはCHPの酸接触分解である。分解生成物の加熱を発
熱反応からの反応熱を利用することにより直接行うた
め、分解生成物の加熱のために熱伝達装置を用いる間接
的な熱伝達は場合により全く不要である。
ても、特にDCPからフェノール、アセトン及びAMS
への分解によっても、同様にこれらは発熱反応であるた
め、同様に分解生成物中の温度の限定的上昇に相当する
反応熱は放出される。この温度差は、DMPC及びDC
Pの出発含有量に応じて通常10〜20℃である。DM
PCの一般的濃度は0.5〜2質量%の濃度である。D
CPの一般的濃度は2〜6質量%の範囲内にある。しか
しながら、本発明による方法はDCP又はDMPCにつ
いて記載された濃度に制限されるものではない。
分解生成物を所望の温度に加熱するために必要な熱的後
処理前の分解生成物中のCHPの必要な出発濃度の算定
の際に考慮しなければならない。
として、1質量%のCHP溶液の分解は、溶液の6.8
〜7.0℃の温度上昇のために必要な程度の熱を放出す
るという経験則を用いることができる。6質量%のCH
P溶液は全体のCHPの分解のために40.8〜42℃
だけ加熱されるはずである。この経験則はCHP分解の
場合に通常使用される溶液にも通用する。しかしながら
この溶液は通常少なくともクメン、フェノール及びアセ
トン、さらに少量の水(0〜15質量%)を有する。水
の比較的高い熱容量に基づき、水99質量%及びCHP
1質量%を有する溶液もしくは分散液の形でのCHPの
分解はこの溶液を3.5℃だけ上昇させるだけである。
通常よりも水の割合が高い分解混合物に対しては、従っ
て加熱ファクタを新たに決定しなければならない。この
決定は当業者に公知のように簡単な予備試験で行うこと
ができる。
CHPが十分存在していない場合、熱の発生のために必
要な付加的CHPは後から分解生成物中に添加される。
用するのが有利である。この分解混合物は50〜100
0wppmの硫酸濃度を有するのが有利である。酸の活
性度、つまり分解生成物の酸強度は熱的処理の前に変え
るのが有利である。この酸強度は酸濃度及び分解混合物
中の水の濃度に依存する。分解混合物中の含水量が高け
ればそれだけ、同じ酸活性度にするためにより多くの酸
を分解混合物に供給しなければならず、その際、水濃度
は酸強度の算定の際に2乗される。例えば、硫酸200
wppm及び水2質量%を有する分解混合物溶液の酸強
度は、硫酸200wppm及び水0.5質量%を有する
分解混合物溶液の酸強度の1/16にすぎない。
の理想的な酸強度、ひいては理想的な組成は、簡単な予
備試験により測定することができる。6質量%までの水
濃度を有する分解混合物の場合、分解混合物中で100
〜500wppmの硫酸濃度が特に有利であることが判
明している。酸強度を高めるために、通常硫酸を後供給
する。酸強度を低下させるためには分解生成物に塩基、
例えばフェノレート液、アンモニア又は苛性ソーダ液、
又は水を添加することができる。分解生成物に水を添加
するのが有利である。
おいて、熱的に処理すべき分解生成物は、発熱反応する
他の化合物の濃度と組み合わせて、分解反応において、
分解生成物混合物が熱的後処理のために望ましい温度に
加熱される熱量とちょうど同じ程度の熱量を放出するよ
うなCHP濃度を有する。
て、分解の前に分解混合物に、CHPの濃度が分解生成
物混合物の加熱のためもしくは熱的後処理のために必要
な濃度よりも高くなる程度のCHPを供給する。この分
解混合物は通常の方法で分解され、その際、分解混合物
は冷却により40〜85℃、有利には45〜75℃の温
度範囲に維持される。分解生成物が所望のCHP濃度を
示し、それにより分解生成物混合物が少なくとも1つの
進行する発熱反応により所望の温度に加熱できるように
なったときにはじめて、不連続運転の際に冷却を停止す
るかもしくはこの分解生成物混合物を連続運転で、冷却
を行わない1つの反応器又は反応領域中へ熱的後処理の
ために運ばれる。必要な滞留時間及びそれによるCHP
濃度は簡単な予備試験で測定することができる。
の方法にとって特に適当な反応器(中で実施するのが有
利である。CHPの分解及び分解生成物の熱的後処理を
一つの反応器中で実施するのが特に有利である。しかし
ながら、同様に本発明による方法は先行技術において分
解及び熱的後処理の実施のために記載されたような装置
中で実施することも可能である。
実施態様において、熱的後処理のために分解生成物を十
分に加熱するのに不足するCHP濃度を有する分解生成
物に付加的にCHPが供給される。
る濃縮物として供給するのが有利である。この供給は、
分解生成物と供給されたCHPとの十分な混合が達成さ
れるように行われる。この供給は当業者に公知の方法
で、つまり完全な混合を可能にする組み込み部材によ
り、例えばスタティックミキサにより保障することがで
きる。CHPの供給は、処理すべき反応生成物を管状反
応器中へポンプ輸送するポンプの吸引側で行うのが有利
である。この方法でも分解生成物と供給されたCHPと
の完全な混合の達成は保障される。CHPと熱処理すべ
き分解生成物との十分な混合は、テンパリングの際の分
解生成物の局所的過熱を避けるために必要である。
に必要な、分解生成物中のCHPの濃度は、分解生成物
の出発温度及びDCP出発濃度に依存して、5〜10重
量%である。必要なCHPの濃度の算定のために、上記
の経験則を引用することができる。例えば40℃の分解
生成物の出発温度及び4質量%のDCP含有量の場合に
は、115℃の最終温度に達するために、熱的後処理を
行う前のCHP濃度は約8.5質量%である。100℃
までの加熱時間は通常30秒よりも短い。引き続く本来
のテンパリングで混合物の温度は滞留時間反応器中で約
115℃の温度に上昇する。滞留時間反応器中での分解
生成物混合物の滞留時間は酸強度に依存する。酸強度に
応じて、滞留時間は通常30〜300秒である。
理された分解生成物は冷却器中で通常40〜70℃の最
終温度にすることができる。この本発明により処理され
た分解生成物は継続処理又は後処理に提供される。通
常、熱処理された分解生成物は、アセトン及びフェノー
ルが相互に蒸留により分離されかつさらに熱処理された
分解生成物中に存在する化合物から分離されるように後
処理される。この分解生成物流の後処理は当業者に公知
である。
て、熱処理の前に分解生成物に水を添加するのが有利で
ある。熱処理の前に分解生成物に、分解生成物中の水の
濃度が0.5〜3.0質量%、有利に1.5〜2質量
%、特に有利に1.8質量%になる程度の水を添加する
のが特に有利である。
0.01〜0.05、有利に0.01〜0.02質量%
のDCP濃度及び0.05〜0.2質量%のDMPC濃
度を有する。CHPは熱処理生成物中にもはや検出でき
ない。
ロペルオキシドを分解する全ての方法において使用する
ことができる。アルキルアリールヒドロペルオキシド
は、例えばクメンヒドロペルオキシド、s−ブチルベン
ゼンヒドロペルオキシド、さらに置換されたアルキルベ
ンゼンヒドロペルオキシド又は他の芳香族化合物、例え
ばナフタレンのアルキルヒドロペルオキシドであること
ができる。本発明による方法は、分解が発熱反応である
アルキルアリールヒドロペルオキシドの分解からの分解
生成物の後処理の際に使用するのが有利である。しかし
ながら、本発明による方法は1種以上のアルキルアリー
ルヒドロペルオキシドの分解により得られる分解生成物
の後処理のためにも使用することができる。この場合に
は、少なくとも一方の分解反応が発熱反応でなければな
らない。本発明による方法はCHPをフェノール及びア
セトンに酸接触分解する際に得られる分解生成物の後処
理もしくは分解生成物の熱的後処理と組み合わせたCH
Pの分解のために使用するのが特に有利である。
に実施することができる。有利に、本発明による方法は
連続的に実施される。
の際に生じる分解生成物の後処理のためでも、均一相中
での分解の際に生じる分解生成物の後処理のためにも使
用することができる。
適当な反応器中で実施するのが有利である。この場合、
CHPの酸接触分解及び分解生成物の熱的後処理は1つ
の反応器中で実施される。本発明による方法を、少なく
とも1つの分解反応器及び分解生成物の熱的後処理のた
めの少なくとも1つの他の反応器を有する、CHPの分
解のための現存の装置(例えば図1及び図2に示された
ような装置)中で使用することもできる。
なくとも1つの領域が熱を搬出するための装置を備え、
かつ少なくとも1つの他の領域が栓流特性を有すること
を特徴とする本発明による反応器を、クメンヒドロペル
オキシドの酸接触分解によるフェノール及びアセトンの
製造のために使用するのが有利である。
器及び熱的後処理に必要な反応器が組み合わせられてい
る。これは、温度プロフィールを調節することができる
反応器を使用することにより達成される。このような本
発明による反応器は、分解が行われる組み合わせられた
反応器の領域内でCHPの分解のために有利に使用され
る温度、例えば40〜85℃の温度を調節できるような
形の温度プロフィールを有するのが有利である。これは
例えば、反応器の少なくとも1つの領域内に熱伝達装
置、例えば熱伝達器が存在し、この熱伝達器により分解
すべき混合物を、有利に反応熱の搬出により所望の温度
に維持することができることにより達成される。可能な
実施態様は、例えば直列に配置された複数の熱伝達器で
ある。この範囲内でCHPの分解は有利に行われる。さ
らに、このような本発明による反応器中に、熱的後処理
を行う少なくとも1つの範囲が存在し、これは有利に流
動管状特性を有する。組み合わせられた反応器のこの領
域は、処理すべき分解生成物の加熱のための装置を有し
ていないのが有利である。反応器のこの領域が処理すべ
き分解生成物混合物の冷却のための装置を有している場
合が有利である。本発明による方法を十分に注意深く運
転する場合にはこのような冷却を省略することもでき
る。
HPの分解のため及び分解の際に生じた分解生成物の後
処理のための本発明による反応器が少なくとも1つの、
有利に少なくとも2つの供給装置を備えており、この供
給装置を用いて水及び/又はCHPもしくはCHP含有
混合物を本発明による反応器の領域中に供給でき、この
反応器中で分解生成物の後処理を行うことができるのが
有利である。このような本発明による反応器の可能な実
施態様は例えば図3に示してある。
域は、本発明による方法においてあげられたパラメー
タ、例えば温度、加熱時間及び滞留時間が維持されるよ
うに構成するのが有利である。
解された分解生成物の少なくとも一部及び/又は後処理
された分解生成物の少なくとも一部を反応器中へ返送す
る少なくとも1つの手段を備えている場合が有利であ
る。この返送は、後処理を行う反応器の領域中へ搬入さ
れる前に分解生成物の一部を分岐させ、反応器への供給
路内へ返送することにより実施できる。しかしながら、
この返送は熱的後処理された分解生成物混合物の一部を
反応器への供給路内へ又は反応器の範囲内へ返送し、そ
の反応機内で分解生成物の熱的後処理を行うように実施
することもできる。同様に前記の返送を組み合わせるよ
うにすることが有利である。
置は、図1〜図3に例示的に記載されているが、この方
法並びに装置は本発明の実施態様を制限するものではな
い。
示されている。導管aを介して、分解すべきCHPを有
する混合物が第1の反応器の分解反応器中へ供給され
る。この分解反応器R1は、返送手段を有する反応器と
して又はバックミキシング装置として実施できる反応器
である必要はなく、複数の直列接続された反応器が分解
反応器として示されていてもよい。分解反応器から搬出
される分解生成物は、管状反応器の場合に少なくとも部
分的に導管cを介して循環させて分解反応器中へ送られ
る。導管bを介して分解生成物混合物の一部が第2の反
応器R2中へ供給され、その中で熱的後処理が行われ
る。この反応器R2の前で、2つの導管を介して付加的
にクメンヒドロペルオキシド(CHP)及び/又は水
(H2O)を分解生成物混合物中へ供給することができ
る。導管dを介して後テンパリングされた分解生成物混
合物は反応器R2を離れ、後処理に供給することができ
る。
されている。導管a1を介して分解すべきCHPを含有
する混合物が第1の反応器、分解反応器RR中へ供給さ
れ、この分解反応器はバックミキシング反応器であるこ
とができる。導管e1を介して、酸接触分解のために必
要な触媒、例えば硫酸を分解反応器中へ供給することが
できる。分解反応器から生じる分解生成物は、導管bを
介して第2の反応器R2中へ輸送し、この第2の反応器
中で熱的後処理が行われる。反応器R2の前で2つの導
管を介して付加的にクメンヒドロペルオキシド(CH
P)及び/又は水(H2O)を分解生成物混合物中へ供
給することができる。後処理した分解生成物混合物を冷
却することができる熱伝達器Wを備えている導管dを介
して、後テンパリングした分解生成物混合物は反応器R
2を離れ、後処理工程に供給される。
CHPの分解が図示されている。導管aを介して、分解
すべきCHPを有する混合物は反応器R1+2、つまり
組み合わされた分解−及び後処理反応器中に供給され
る。この反応器R1+2は有利に管状反応器である。こ
の反応器R1+2の一部は冷却器を用いて所望の温度に
維持することができ、keを介して冷却剤、例えば水
が、例えば冷却ジャケット中へ供給される。この冷却剤
はkaを介して反応器を離れる。
器を備えていない反応器部分の始端で、水H2O用の供
給部及び/又はクメンヒドロペルオキシド濃縮物CHP
用の供給部が設けられている。冷却器を有していないこ
の反応器部分中で分解生成物の熱的後処理が行われ、こ
の反応器はCHPの分解の際に放出された熱により所望
の温度にもたらされる。反応器から生じる熱的後処理さ
れた分解生成物は熱伝達器中で冷却することができ、導
管dを介して後処理工程に供給することができる。
処理された分解生成物及び/又は少なくとも1部の分解
生成物の返送のために1以上の手段を備えている。この
手段は図3に点線で示されている。導管cを介して少な
くとも1部の分解生成物は反応器もしくは反応器へ通じ
る管a内へ返送することができる。導管fを介して後処
理されかつ熱伝達器W中で冷却された分解生成物は同様
に反応器もしくは反応器へ通じる導管a内へ返送され
る。
4.0質量%、CHP 7.8質量%及びDMPC
0.8質量%を有する分解生成物を50℃及び200w
ppmの硫酸濃度から出発しCHP及びDCPの分解に
より30秒内で105℃の温度に加熱した。反応器中で
の120秒の滞留時間で、105℃〜120℃の温度で
DCP及びDMPCの分解が生じる。こうして後処理さ
れた分解生成物混合物を熱交換器中で再度迅速に43℃
の温度に冷却した。熱処理された分解生成物のDCP残
留量は0.02質量%であった。
3.0質量%、DMPC 0.8質量%並びにCHP
2質量%を含有しかつ60℃の温度を有する分解生成物
混合物を、分解生成物混合物がCHP 5.8質量%及
び水1.8質量%のを有するような程度に67%のCH
P溶液及び水を供給した。酸濃度は500wppmであ
った。CHP溶液及び水の供給は、処理すべき分解生成
物を反応器を通して供給する供給ポンプの吸引側で行っ
た。CHPの添加によるCHPの発熱分解によって、分
解生成物混合物の温度は100℃の温度に上昇した。こ
の温度でDCP及びDMPCが導入され、その際、分解
生成物混合物中で230秒の滞留時間で112℃までの
温度が生じた。こうして後処理された分解生成物混合物
は熱交換器中で再び迅速に45℃の温度に冷却した。熱
処理された分解生成物のDCP残留量は0.01質量%
であった。
f 導管、 RR 分解反応器、 W 熱伝達器、 R
1+2 組み合わせられた分解及び後処理反応器
Claims (18)
- 【請求項1】 クメンヒドロペルオキシドからフェノー
ル及びアセトンへの酸接触分解からの分解生成物を熱的
後処理するにあたり、熱的に処理すべき分解生成物を反
応器中で加熱する方法において、反応器中で熱的に処理
すべき分解生成物の加熱のために少なくとも反応器中で
進行する発熱反応の反応熱を利用することを特徴とする
クメンヒドロペルオキシドの酸接触分解からの分解生成
物の熱的後処理方法。 - 【請求項2】 反応器中で進行する発熱反応がクメンヒ
ドロペルオキシドの分解である、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 処理すべき分解生成物が熱的後処理の前
で5〜10質量%のクメンヒドロペルオキシド濃度を有
する、請求項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 処理すべき分解生成物にクメンヒドロペ
ルオキシドを供給する、請求項1から3までのいずれか
1項記載の方法。 - 【請求項5】 処理すべき分解生成物に水を供給する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。 - 【請求項6】 熱的に処理すべき分解生成物を100℃
を上回る温度に加熱する、請求項1から5までのいずれ
か1項記載の方法。 - 【請求項7】 熱的に処理すべき分解生成物を115℃
を上回る温度に加熱する、請求項6記載の方法。 - 【請求項8】 熱的に処理された分解生成物中のジクミ
ルペルオキシドの残留含有量が0.01〜0.05質量
%である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方
法。 - 【請求項9】 熱的に処理された分解生成物中のジクミ
ルペルオキシドの残留含有量が0.01〜0.02質量
%である、請求項8記載の方法。 - 【請求項10】 クメンヒドロペルオキシドの酸接触分
解及び分解生成物の熱的後処理を1つの反応器中で実施
する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。 - 【請求項11】 クメンヒドロペルオキシドの酸接触分
解及び分解生成物の熱的後処理を組み合わせて実施する
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。 - 【請求項12】 反応器として管状反応器を使用する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。 - 【請求項13】 フェノールの製造のための、請求項1
から12までのいずれか1項記載の方法。 - 【請求項14】 クメンヒドロペルオキシドの酸接触分
解によるフェノール及びアセトンを製造するための反応
器において、前記反応器は少なくとも2つの領域を有
し、その少なくとも一方の領域は熱を搬出するための装
置が設置されており、その少なくとも他方の領域は栓流
特性を有することを特徴とする、クメンヒドロペルオキ
シドの酸接触分解によるフェノール及びアセトンを製造
するための反応器。 - 【請求項15】 反応器の一方の領域内でクメンヒドロ
ペルオキシドの分解を実施し、反応器の他方の領域内で
分解生成物の後処理を実施する、請求項14記載の反応
器。 - 【請求項16】 反応器が生成物の少なくとも一部を、
熱エネルギーの搬出のための装置を有する一方の領域か
ら、反応器の供給部中へ返送することができる返送装置
を有する、請求項14又は15記載の反応器。 - 【請求項17】 反応器が、生成物の少なくとも一部
を、栓流特性を有する領域から、反応器の供給部及び/
又は栓流特性を有する領域中へ返送することができる少
なくとも1つの返送装置を有する、請求項14から16
までのいずれか1項記載の反応器。 - 【請求項18】 反応器が、熱エネルギーの搬出のため
の装置を有する反応器の領域と、栓流特性を有する反応
器の領域との間に少なくとも1つの供給装置を有する、
請求項14から17までのいずれか1項記載の反応器。
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