JP2002001729A - タイヤ成形装置及びタイヤ成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、加硫成形前に、グリーンタイ
ヤの内周面に圧接されるブラダの外周に容易にかつ均一
に、離型剤を塗布することのできるタイヤ成形装置を提
供すること。 【解決手段】 回転可能とされているブラダ２１の径方
向の外側に、塗布装置３０を配設させる。塗布装置３０
は、その下端部が離型剤が収容された貯蔵部３４に浸さ
れたローラ３６を有している。ブラダ２１を回転させな
がら、ローラ３６の表面をブラダ２１に圧接させ、ブラ
ダ２１の表面に離型剤を塗布させた後、ブラダ２１の外
周面にグリーンタイヤ１０の内周面１０ａを圧接させ
て、離型剤をグリーンタイヤ１０の内周面１０ａに塗布
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、グリーンタイヤの
成形装置に係り、詳しくはタイヤの加硫成形前に、グリ
ーンタイヤとこの内側にあるブラダとの接触面に離型剤
を塗布する塗布装置を備えたタイヤ成形装置及びタイヤ
成形方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】内部をブラダに押圧され、外部を金型に
押し付けた状態で、グリーンタイヤが加硫されて、タイ
ヤが成形される。このとき、ブラダとグリーンタイヤと
の接触面には、離型剤が塗られている。これは、ブラダ
をグリーンタイヤに挿入するときにブラダの滑りを良く
するためやグリーンタイヤからブラダを容易に外すため
である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来、この離型剤は、
タイヤの内側に手作業で塗布されていた。そのため、均
一に塗るのが難しいとともに、作業時間も大幅に必要で
あり、効率よく行うことができなかった。

【０００４】そこで、ブラダとグリーンタイヤとの接触
面に離型剤を自動的に塗布する方法として、特開平６−
３４４３５２号公報に、ブラダの外周面に離型剤を塗布
する塗布装置が開示されている。

【０００５】ところが、この塗布装置では、ブラダの外
周面に沿うようなアームに設けられたノズルから離型剤
を噴出させて、ブラダの外周面に離型剤を塗布してい
る。そのため、塗布装置の構造が複雑になり、ひいては
タイヤ成形装置の構造が複雑になるという問題があっ
た。また、この塗布装置では、離型剤を噴出させている
ため、ブラダの周囲にまで離型剤が飛散し、周囲を汚す
という問題もあった。

【０００６】本発明は、簡単な構造で、効率よく離型剤
をブラダに塗布することのできるタイヤ成形装置及びタ
イヤ成形方法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１に記載の発明は、グリーンタイヤを外周に
配置可能とするブラダと、ブラダをその軸線方向を中心
にブラダを回転させる回転機構と、前記ブラダの径方向
の外側に所定の空間をおいて配設され、該径方向に移動
可能とした塗布装置とを備え、グリーンタイヤの加硫成
形前に、前記ブラダを回転させながら、前記塗布装置に
より離型剤が保持された表面をブラダに接触させて、離
型剤をブラダの外周面に塗り、離型剤が塗られたブラダ
の外周面をグリーンタイヤの内周面に圧接させて、グリ
ーンタイヤの加硫成形を行うようにしたタイヤ成形装置
である。

【０００８】従って、ブラダを回転させて、離型剤をブ
ラダの外周面に塗布しているので、ブラダの外周面に離
型剤を均一に、短時間で効率よく塗布することができ
る。また、離型剤が保持された表面をブラダに接触させ
て、離型剤をブラダの表面に塗布したので、タイヤ成形
装置の構造を簡単にすることができる。

【０００９】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
のタイヤ成形装置において、前記ブラダの膨張に応じ
て、前記塗布装置が径方向の外側に移動可能となってい
るものである。

【００１０】従って、グリーンタイヤの内周面に圧接さ
せる状態により近い状態でブラダに離型剤を塗布するの
で、膨張したブラダの外周面に塗布された離型剤が分散
し過ぎないようにすることができる。従って、ブラダが
膨張したとしても、グリーンタイヤとブラダとの接触面
に、十分な離型剤を付着させることができる。

【００１１】請求項３に記載の発明は、請求項１又は請
求項２に記載のタイヤ成形装置において、前記塗布装置
は、離型剤が貯蔵された貯蔵部と、該貯蔵部に一部が浸
るように回転可能に支持されたローラとを有しているも
のである。従って、塗布装置の構成が簡単となるので、
タイヤ成形装置自体の構成をより簡単にすることができ
る。また、ブラダの回転によりローラが回転されるた
め、容易にブラダの外周面に離型剤を均一に塗ることが
できる。

【００１２】請求項４に記載の発明は、離型剤が塗られ
ている塗布装置の表面をブラダに接しながらブラダを回
転させて、ブラダの外周面に離型剤を塗布した後、該ブ
ラダの外周面をグリーンタイヤ内周面に圧接させて、グ
リーンタイヤの加硫成形を行うようにしたものである。
従って、ブラダに離型剤を均一に、かつ短時間で効率よ
く塗ることができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化したタイヤ
成形装置の一実施形態を図１〜図３に従って説明する。

【００１４】ガイド１１に案内される送り機構１２の上
方には、ターレット回動装置１３が配設されている。タ
ーレット回動装置１３は、複数又は１つの保持ドラム１
４が設けられた多頭構造をしており、モータ１５により
ベルト１６を介して垂直軸Ｚを中心として回転可能とな
っている。なお、本実施の形態では、モータ１５及びベ
ルト１６が回転機構に相当する。

【００１５】保持ドラム１４は、ターレット回動装置１
３から水平軸Ｙ方向に延びる軸２０に支持されていると
ともに、モータ１７によりベルト１８を介して水平軸Ｙ
を中心として回転可能となっている。保持ドラム１４の
中央には、リング状のゴムで成るブラダ２１が張設され
ている。このブラダ２１の内部２２は、密閉状態とされ
ており、図示しない圧力流体供給装置に接続されてい
る。

【００１６】ターレット回動装置１３の近傍には、図示
しない加硫室が配置されているとともに、ターレット回
動装置１３の図１の右方には、水平移動可能な搬送装置
２５が配置されている。搬送装置２５は、全体として円
状を呈するほぼ四半円弧状の４個の搬送体２６を備えて
いる。搬送体２６の径方向外側には、ブロック２８に取
り付けられた拡縮シリンダ２７が取り付けられており、
この拡縮シリンダ２７のストロークを調節することによ
って、搬送体２６の拡縮幅の調節が行われる。搬送体２
６には、図示しない真空装置に接続された孔２６ａが形
成されている。なお、ブロック２８は保持板２９ａを介
して支柱２９に固定されている。

【００１７】ブラダ２１の径方向の外側には、載置台３
１に載置された塗布装置３０が配置されている。載置台
３１の下方には、昇降シリンダ３２が設けられており、
この昇降シリンダ３２の周囲には、複数のガイドシャフ
ト３３が配設されている。載置台３１の上方には、離型
剤が収容された貯蔵部３４が固設され、その左右に支持
棒３５が立設されている。貯蔵部３４にその下端部が浸
るような高さで、ローラ３６が回転可能に支持棒３５に
軸支されている。

【００１８】本実施の形態におけるタイヤ成形装置は、
以上のように構成されるが、次にその作用について述べ
る。図２に示すように、ターレット回動装置１３のブラ
ダ２１と塗布装置３０の昇降シリンダ３２とが対向する
位置にターレット回動装置１３を移動させる。次に、塗
布装置３０の昇降シリンダ３２を昇降させて、ローラ３
６の表面をブラダ２１の外周面に圧接させる。この状態
で、モータ１７を駆動させて、ベルト１８及び軸２０を
介して保持ドラム１４を回転させる。この保持ドラム１
４の回転によりローラ３６が回転され、貯蔵部３４で離
型剤が付着したローラ３６の表面がブラダ２１に圧接し
ながら回転される。このとき同時に、ブラダ２１の内部
２２に例えば圧縮空気などの圧力流体が供給され、ブラ
ダ２１が徐々に膨まされる。そして、図３に示すように
ローラ３６が所定の圧力でブラダ２１に押し付けられる
ように、昇降シリンダ３２が駆動される。この間中、ロ
ーラ３６が回転し続けることにより、ブラダ２１の外周
面全体に均一に離型剤が塗布される。

【００１９】ブラダ２１の外周面に離型剤が塗布された
後に、ブラダ２１の内部２２から圧縮空気を排気させ
て、ブラダ２１を図１に示すような状態に戻す。そし
て、所定の形に成形されたグリーンタイヤ１０が、その
外周面を搬送装置２５の搬送体２６に吸着保持されて、
図１に示す位置に搬送されてくる。次に、ターレット回
動装置１３が送り機構１２により右方に移動し、ブラダ
２１がグリーンタイヤ１０の内側に入り込む。ここで、
搬送体２６の吸着を停止し拡径して、グリーンタイヤ１
０をターレット回動装置１３の保持ドラム１４に移し換
える。グリーンタイヤ１０がブラダ２１の外周に位置し
たら、保持ドラム１４を拡径してビード部を把持し、ブ
ラダ２１の内部２２に圧力流体が供給され、外周面全体
に離型剤が塗布されたブラダ２１が膨張し、グリーンタ
イヤ１０の内周面１０ａに圧接されて離型剤がブラダ２
１外周面からグリーンタイヤ１０の内周面１０ａに移し
換えられる。ターレット回動装置１３の方向を９０度反
転させてグリーンタイヤ１０を二点鎖線で示した位置に
移動させる。図示しない搬送装置によりグリーンタイヤ
１０の外形をクランプして、加硫装置に移送させ、加硫
室で、グリーンタイヤ１０を所定の金型に挿入させ、加
熱させて、グリーンタイヤ１０に加硫成形が施される。

【００２０】上記実施形態のタイヤ成形装置によれば、
以下のような特徴を得ることができる。 （ａ）上記実施の形態では、ブラダ２１の径方向の外側
に塗布装置３０を配置し、離型剤を付着した塗布装置３
０のローラ３６を、回転中のブラダ２１に圧接させて、
ブラダ２１に離型剤を塗布した。従って、均一に、短時
間で効率よく離型剤を塗布することができる。また、タ
イヤ成形装置の構造も簡単にすることができる。

【００２１】（ｂ）上記実施の形態では、グリーンタイ
ヤ１０の内周面１０ａに圧接される状態により近い状態
でブラダ２１に離型剤を塗布するので、膨張したブラダ
２１の外周面に塗布された離型剤が分散され過ぎないよ
うにすることができる。従って、ブラダ２１が膨張した
としても、グリーンタイヤ１０とブラダ２１との接触面
に、十分な量の離型剤を付着させることができる。

【００２２】（ｃ）上記実施の形態では、塗布装置３０
を離型剤が貯蔵された貯蔵部３４と、貯蔵部３４に下端
部が浸るように配置されたローラ３６を回転可能な構造
とした。そのため、塗布装置３０の構成が簡単となるの
で、タイヤ成形装置自体の構成をより簡単にすることが
できる。また、ブラダ２１の回転によりローラ３６が容
易に回転され、ブラダ２１の外周面に離型剤を均一に容
易に塗布することができる。

【００２３】なお、上記実施形態は以下のように変更し
てもよい。 ・上記実施の形態では、離型剤を膨張させながら塗布す
るようにしたが、勿論、収縮時に離型剤を塗布するよう
にしてもよい。

【００２４】・上記実施の形態では、離型剤が収容され
た貯蔵部３４の一部に浸るようにローラ３６を設けた
が、ローラ３６の代わりにコンベヤを設け、この表面に
離型剤を付着させ、このコンベヤの表面をブラダ２１の
外周面に付着させるようにしてもよい。

【００２５】次に上記実施形態及び別例から把握できる
請求項に記載した以外の技術的思想について、それらの
効果とともに以下に記載する。 （１）ブラダの径方向の外側に所定の間隔をおいて配設
され、前記プラダに、離型剤が付着した表面を圧接でき
るように、該径方向に移動可能としたことを特徴とする
離型剤の塗布装置。

【００２６】従って、この（１）に記載の発明によれ
ば、加硫させるときの膨張状態に近い状態でブラダに離
型剤を塗布することができるので、ブラダとグリーンタ
イヤとの間の離型剤を分散し過ぎることなく、容易に離
型剤をブラダに塗布することができる。

【００２７】（２）離型剤が付着された塗布装置の表面
をブラダの外周面に圧接させた状態で、ブラダを回転さ
せることにより塗布装置の表面を回転させ、該ブラダの
外周面全体に離型剤を塗布するようにした離型剤の塗布
方法。

【００２８】従って、この（２）に記載の発明によれ
ば、ブラダを回転させるという簡単な構成で、ブラダの
周囲を汚すことなく、ブラダの外周面全体に離型剤を均
一に塗布することができる。

【００２９】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、簡単な構成で、ブラダの外周面全体に離型剤を均一
に塗布することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態のタイヤ成形装置を示す部分断面正
面図。

【図２】タイヤ成形装置における離型剤を塗布する前の
要部の部分断面正面図。

【図３】タイヤ成形装置における離型剤を塗布する際の
要部の部分断面正面図。

【符号の説明】

１０…グリーンタイヤ、１０ａ…内周面、２１…ブラ
ダ、３６…ローラ、３０…塗布装置、３４…貯蔵部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 グリーンタイヤを外周に配置可能とする
   ブラダと、 ブラダをその軸線方向を中心にブラダを回転させる回転
   機構と、 前記ブラダの径方向の外側に所定の空間をおいて配設さ
   れ、該径方向に移動可能とした塗布装置とを備え、 グリーンタイヤの加硫成形前に、 前記ブラダを回転させながら、前記塗布装置により離型
   剤が保持された表面をブラダに接触させて、離型剤をブ
   ラダの外周面に塗り、 離型剤が塗られたブラダの外周面をグリーンタイヤの内
   周面に圧接させて、グリーンタイヤの加硫成形を行うよ
   うにしたことを特徴とするタイヤ成形装置。
2. 【請求項２】 前記ブラダの膨張に応じて、前記塗布装
   置が径方向の外側に移動可能となっている請求項１に記
   載のタイヤ成形装置。
3. 【請求項３】 前記塗布装置は、離型剤が貯蔵された貯
   蔵部と、該貯蔵部に一部が浸るように回転可能に支持さ
   れたローラとを有している請求項１又は請求項２に記載
   のグリーンタイヤの成形装置。
4. 【請求項４】 離型剤が塗られている塗布装置の表面を
   ブラダに接しながらブラダを回転させて、ブラダの外周
   面に離型剤を塗布した後、 該ブラダの外周面をグリーンタイヤ内周面に圧接させ
   て、グリーンタイヤの加硫成形を行うようにしたことを
   特徴とするグリーンタイヤの成形方法。