JP2002001427A - 拡管加工性に優れた鋼管およびその製造方法 - Google Patents

拡管加工性に優れた鋼管およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 熱延または冷延鋼板素材を用いた電縫溶接
法で連続造管できる拡管加工性に優れた鋼管およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 金型内に装着され、管内に内圧をかけ管
周方向にひずみを与えて所定の形状に加工される鋼管で
あって、シームを有し、周方向肉厚・硬度分布指数Z=
(αmax −αmin )/αavが0.1 以下、あるいはさらに
シーム部肉厚・硬度指数Y=βav/αavが1.0 以上、で
あること特徴とする拡管加工性に優れた鋼管。
(αmax :母材部肉厚・硬度積の測定データの最大値、
αmin :同最小値、αav:同平均値、βav:シーム部肉
厚・硬度積の測定データの平均値)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拡管加工性に優れ
た鋼管およびその製造方法に関し、とくに鋼管を金型内
に装着し、管内に内圧をかけ管周方向にひずみを与えて
所定の形状に加工する拡管加工用素材として好適な鋼管
およびその製造方法に関する。本発明において、シーム
とは溶接された継目を指し、シーム近傍とはシームから
の距離が管周長の5%以下の範囲を指す。
【0002】
【従来の技術】サスペンションアーム等の自動車足回り
部品、フレーム等の自動車構造部品等々において、鋼管
を拡管加工の一種であるハイドロフォーム加工により成
形した製品が採用されはじめている。ハイドロフォーム
加工法は、金属管を金型に入れ、金属管内に液を導入し
て内圧をかけて所定の形状に加工する方法である。内圧
による拡管変形時に管軸方向に軸押ししながら加工する
ことが多い。得られた成形品は軽量で、しかも複雑な形
状のものまで成形可能である。
【0003】このようなハイドロフォーム加工において
は、素管の特性として、延性(伸び)、n値(加工硬化
指数)の高い材料、r値の高い材料を選択すべきことが
知られている。例えば、特開平10−175027号公報には、
管軸方向のr値が管周方向のr値よりも大であることを
特徴とするハイドロフォーム加工用金属管が開示されて
いる。また、特開平10−176220号公報には、特定組織の
電縫鋼管を冷間加工により薄肉管とし特定条件の熱処理
を施すことを特徴とするハイドロフォーム加工性に優れ
た高強度鋼管の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、管軸方向のr
値が管周方向のr値よりも大なる鋼管は、冷延鋼板素材
を用いた電縫溶接法での連続造管が困難であり、量産で
きない問題がある。というのは、かかる鋼管を電縫溶接
法で連続造管するには、造管軸方向に対応させるべき圧
延長さ方向(L方向)のr値が圧延幅方向(C方向)の
r値よりも大きくなければならないが、一般に冷延鋼板
ではその逆すなわちL方向のr値がC方向のr値よりも
小さいものが多いからである。
【0005】また、冷間加工した薄肉管に熱処理を施し
て優れた拡管加工性を付与する方法は、熱処理工程付加
を必要とするのでコストアップの問題がある。一方、延
性、n値、r値の著しく大きな材料として、極低炭素I
F鋼(C:0.005 mass%以下)を素材とした電縫鋼管が
考えられ、これを試作造管してその拡管特性を調査した
結果、鋼管の機械的性質(伸び、n値、r値)の良さが
反映されず、低炭素鋼(C:0.01〜0.1 mass%)や中炭
素鋼(C:0.1 〜0.2 mass%)に比し大差のない拡管特
性しか得られないことがしばしばある。とくに管軸方向
に圧縮を付加せず純粋にバルジ成形するときにその傾向
が強い。また、低炭素鋼、中炭素鋼においても、鋼管の
引張試験から得られる機械的性質との対応がつかず、ハ
イドロフォーム加工性が著しく変動することがあった。
【0006】本発明は、これら従来技術の問題を解決
し、熱延または冷延鋼板素材を用いた電縫溶接法で連続
造管できる拡管加工用鋼管およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するために鋭意考究を重ねた結果、鋼管周方向の
肉厚分布および硬さ分布の均一性が、鋼管の機械的性質
(伸び、n値、r値)の差よりも、拡管加工性に大きく
影響することを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、金型内に装着され、
管内に内圧をかけ管周方向にひずみを与えて所定の形状
に加工される鋼管であって、シームを有し、下記式(1)
で与えられる周方向肉厚・硬度分布指数Zが0.1 以下で
あること特徴とする拡管加工性に優れた鋼管である。 Z=(αmax −αmin )/αav (1) αmax :母材部肉厚・硬度積の測定データの最大値 αmin :母材部肉厚・硬度積の測定データの最小値 αav:母材部肉厚・硬度積の測定データの平均値 母材部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点を除く管円
周方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定さ
れた肉厚と硬さの積また、本発明ではさらに、下記式
(2) で与えられるシーム部肉厚・硬度指数Yが1.0 以上
である鋼管がより好ましい。
【0009】 Y=βav/αav (2) βav:シーム部肉厚・硬度積の測定データの平均値 αav:母材部肉厚・硬度積の測定データの平均値 シーム部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点の管円周
方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定され
た肉厚と硬さの積 母材部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点を除く管円
周方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定さ
れた肉厚と硬さの積 本発明では、鋼管が拡管加工用鋼管、就中、ハイドロフ
ォーム加工用鋼管であることが好ましい。
【0010】また、本発明は、金属管を金型に装着し、
管内に内圧をかけ管周方向にひずみを与えて所定の形状
に加工する拡管加工方法において、金属管として、シー
ムを有し、前記式(1) で与えられる周方向肉厚・硬度分
布指数Zが0.1 以下であり、あるいはさらに前記式(2)
で与えられるシーム部肉厚・硬度指数Yが1.0 以上であ
る鋼管を用いることを特徴とする拡管加工方法でもあ
る。
【0011】本発明では、前記鋼管が、C:0.001 〜0.
3 mass%、Si:0.01〜1.0 mass%、Mn:0.1 〜1.5 mass
%、P:0.1 mass%以下、S:0.01mass%以下、あるい
はさらにTi:0.01〜0.1 mass%を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる組成を有する電縫鋼管である
ことが好ましい。また、本発明は、鋼材を、加熱、粗圧
延、仕上圧延、圧延後冷却、巻取をこの順に行う熱間圧
延、あるいはさらにその後の冷間圧延により帯板材料と
なし、該帯板材料の幅を連続的に弧状に曲げるロール成
形によりオープン管となし、その突合せ部を電縫溶接し
て電縫管となし、そのシーム周辺の突起部をビード切削
し、あるいはさらにシームアニールし、あるいはさらに
定径圧延する鋼管の製造方法において、以下の制御a〜
fの1種または2種以上を行うことを特徴とする拡管加
工性に優れた鋼管の製造方法である。 a)仕上圧延前の材料幅全部を加熱してFDTを目標に
合わせる制御 b)仕上圧延前の材料幅端部を加熱してFDTを目標に
合わせる制御 c)圧延後冷却中の材料幅端部をマスキングしてCTを
目標に合わせる制御 d)走査型厚み計によりロール成形前の材料幅端部の厚
みを計測しその結果に応じて同部の曲げ圧下量を設定す
る制御 e)走査型厚み計によりロール成形中の材料弧央部の厚
みを計測しその結果が目標に合うように同部の曲げ圧下
量を変更する制御 f)走査型厚み計によりビード切削後またはシームアニ
ール後のシーム近傍の厚みを計測し、同時に電縫溶接あ
るいはさらにシームアニールのヒートパターンからシー
ム近傍の硬さを推定し、該推定した硬さと前記計測した
厚みの積が目標に合うようにビード切削量を変更する制
御 ここに、FDT:仕上圧延終了温度、CT:巻取温度 前記鋼材は、C:0.001 〜0.3 mass%、Si:0.01〜1.0
mass%、Mn:0.1 〜1.5 mass%、P:0.1 mass%以下、
S:0.01mass%以下、あるいはさらにTi:0.01〜0.1 ma
ss%、Nb:0.005 〜0.040 mass%、Cr:0.02〜1.0 mass
%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組
成になる鋼材であることが好ましく、その場合、前記F
DTの目標をAr3 〜(Ar3 +30℃)とし、および/また
は、前記CTの目標を幅方向偏差25℃以下とすることが
好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、C:0.002 〜0.12
%を含有し組成と熱延条件が種々異なる冷延鋼板を電縫
溶接した電縫鋼管について、周方向肉厚・硬度分布指数
Z(母材部肉厚・硬度積は5mmピッチで測定)、および
シーム部肉厚・硬度指数Y(シーム部肉厚・硬度積は5
mmピッチで測定)を求め、一方、ハイドロフォーミング
による拡管加工試験を行って拡管加工性を評価し、Z,
Yと拡管加工性の関係を調査した。
【0013】ハイドロフォーミングによる拡管加工試験
は、図4に示すように、試験材としての管1を金型2
(a,bは上,下)に入れて一方のシールヘッド3の通
水路をバルブ閉6とし他方の通水路4からの高圧送水4
により管1内に高圧水5を圧入し、拡管加工を行うもの
である。拡管加工性は、内圧負荷途上で管に亀裂が発生
した時点での管径D1を測定し、これと試験前の管径D0と
から、100(D1/D0-1)(%)で定義される限界拡管率を求め
て評価した。
【0014】図1は、前記調査結果の第1例として、外
径63.5mm×肉厚2.0mm のJIS STKM11A 相当の電縫鋼管の
周方向肉厚・硬度分布指数Zと限界拡管率の関係を示す
グラフである。限界拡管率はZが0.1 を超えると極端に
小さくなる。すなわち、拡管加工用には、Zが0.1 以下
の鋼管が好適である。また、図2は、前記調査結果の第
2例として、Z≦0.1 の電縫鋼管のシーム部肉厚・硬度
指数Yと限界拡管率の関係を示すグラフである。限界拡
管率はYが1.0 以上で一段と高くなる。すなわち、拡管
加工用には、Z≦0.1 でかつY≧1.0の鋼管がさらに好
適である。
【0015】本発明の鋼管は、量産性の面から、電縫鋼
管が好ましい。その鋼組成の好適成分範囲を前記のよう
に定めた理由はつぎの通りである。Cは、鋼の組織に強
く影響して機械的性質を左右する元素であり、0.001 ma
ss%未満では電縫鋼管の要求強度に達しにくく、また、
0.3 mass%超では溶接ビードが硬化しすぎてビード切削
性が低下する。そのため、0.001 〜0.3 mass%とした。
【0016】Siは、固溶強化元素であり、強度調整のた
めには0.01mass%以上が望ましいが、1.0 mass%超では
強度が高くなりすぎ成形性が劣化するため、0.01〜1.0
mass%とした。Mnは、固溶強化元素であり、強度調整に
有効である。また、オーステナイト安定化元素であり、
マルテンサイトの生成を容易にすることや、強度向上に
寄与することから0.1 mass%以上が望ましいが、1.5 ma
ss%超では強度が高くなりすぎ成形性が劣化するため、
0.1 〜1.5 mass%とした。
【0017】Pは、マルテンサイト生成にあまり大きな
影響を与えずに強度調整をするために含有させるが、0.
1 mass%を超えると成形性が劣化するため、0.1 mass%
以下とした。Sは、0.01mass%を超えて含有すると成形
性が劣化するため、0.01mass%以下とした。
【0018】Tiは、炭化物を形成して組織の微細化に寄
与する元素であり、組織微細化のためには0.01mass%以
上の添加が望ましいが、0.1 mass%を超えると成形性が
劣化するため、0.01〜0.1 mass%とした。本発明の鋼管
は、例えば図3に示すような電縫管製造設備を用いて好
ましく製造される。この設備は、粗成形ロール群10、ク
ラスターロール群11、フィンパスロール群12、溶接機1
3、スクイズロール14、ビード切削装置15、シームアニ
ール装置16、サイザーロール群17をこの順に配列して構
成される。18、19は粗成形ロール群10入側、出側にそれ
ぞれ設置された走査型厚み計、20は、シームアニール装
置出側に設置された走査型厚み計である。
【0019】粗成形ロール群はエッジベンドロールとブ
レークダウンロールを組み合わせて構成されたものが好
適である。溶接機は直接通電加熱式、誘導加熱式のいず
れも好適である。走査型厚み計はX線走査型、γ線走査
型のいずれも好適である。鋼帯板材料は粗成形ロール群
10入側から連続的に供給され、粗成形ロール群10、クラ
スターロール群11、フィンパスロール群12により幅を連
続的に弧状に曲げるロール成形を施されてオープン管と
なり、このオープン管はその突合せ部を溶接機13および
スクイズロール14により電縫溶接されて電縫管となり、
この電縫管はそのシーム周辺に生成した突起部(溶接ビ
ード)をビード切削装置15により内外両側からビード切
削され、必要に応じてそのシーム近傍をシームアニール
装置16により焼なまし(アニール)され、さらに、サイ
ザーロール群17により定径圧延されて、所定の外径寸法
の金属管に仕上がる。
【0020】前記造管工程において、ロール成形前の材
料幅端部の厚みを走査型厚み計18にて計測しその結果に
応じて同部の曲げ圧下量を設定(エッジベンドロールの
圧下位置を設定)する制御、および/または、ロール成
形中の材料弧央部の厚みを走査型厚み計19にて計測しそ
の結果が目標に合うように同部の曲げ圧下量を変更(ブ
レークダウンロールの圧下位置を変更)する制御を行う
ことにより、圧下のかけすぎによる偏肉を抑制できて周
方向肉厚分布を均一化することができ、母材部の周方向
硬さ分布が極端に不均一でない限り、鋼管の周方向肉厚
・硬度分布指数Zを安定して0.1 以下にすることができ
るようになる。
【0021】さらに、ビード切削後またはシームアニー
ル後のシーム近傍の厚みを走査型厚み計20で計測し、同
時に電縫溶接あるいはさらにシームアニールのヒートパ
ターンからシーム近傍の硬さを推定し、該推定した硬さ
と前記計測した厚みの積が目標(母材部の厚みと硬さの
積以上の値がよい)に合うようにビード切削量を変更す
る制御を行うことにより、シーム部肉厚・硬度指数Yを
安定して1.0 以上にすることができるようになる。
【0022】また、前記造管工程で使用する鋼帯板材料
は、供給安定性の面から量産に適した製造法、すなわ
ち、加熱、粗圧延、仕上圧延、圧延後冷却、巻取をこの
順に行う熱間圧延、あるいはさらにその後の冷間圧延に
より製造することが好ましく、このとき、熱間圧延で
は、 a)仕上圧延前の材料幅全部を加熱してFDTを目標に
合わせる制御 b)仕上圧延前の材料幅端部を加熱してFDTを目標に
合わせる制御 c)圧延後冷却中の材料幅端部をマスキングしてCTを
目標に合わせる制御 の1種または2種以上を行うことが、造管前の材料幅方
向硬さ分布を効果的に均一化することができて好まし
い。
【0023】粗圧延後仕上圧延前の材料を加熱するに
は、幅全部加熱の場合、例えば高周波誘導式のシートバ
ーヒータ、幅端部加熱の場合、例えば高周波誘導式のシ
ートバーエッジヒータがそれぞれ好ましく用いうる。各
ヒータの出力はFDTを目標に一致させるように適宜変
更される。圧延後冷却中の材料幅端部をマスキングする
には、冷媒噴射手段(例えばスプレーノズル)と材料幅
端部の間に、噴射された冷媒(例えば冷却水)を遮断す
る可動式遮蔽板を設置するのが好ましい。遮蔽板の位置
はCTを目標に一致させるように、好ましくは200mm 程
度以下のストロークで変更される。
【0024】前記鋼帯板材料をなす鋼は、前述の理由か
ら、前記好適成分範囲の組成を有する鋼が好ましい。な
お、必要に応じて前記組成にさらに、Nb:0.005 〜0.04
0 mass%、Cr:0.02〜1.0 mass%が付加された組成の鋼
としてもよい。Nbは、未再結晶オーステナイト域での圧
延歪蓄積を助長して組織の微細化に寄与する元素であ
り、組織微細化のためには0.005 mass%以上の添加が望
ましいが、0.040 mass%を超えると成形性が劣化するた
め、0.005 〜0.040 mass%とした。
【0025】Crは、鋼管の延性を損なうことなく強度を
向上させるのに有効な元素であり、このためには0.02ma
ss%以上の添加が望ましいが、1.0 mass%を超えると強
度が飽和するほか鋼の熱間加工性および冷間加工性が劣
化するため0.02〜1.0 mass%とした。その場合、FDT
の目標は、Ar3 〜(Ar3 +30℃)とするのが好ましい。
FDTがAr3 未満ではフェライトとオーステナイトの混
合組織を熱間加工することになって硬さのばらつきが大
きくなり、一方、FDTが(Ar3 +30℃)を超えると、
結晶粒成長により組織が粗大化し、延性が低下して成形
性が劣化するためである。また、CTの目標は、幅方向
偏差(幅方向ばらつき範囲)25℃以下とするのが好まし
い。CTの幅方向偏差が25℃を超えると硬さの幅方向ば
らつきが大きくなり、周方向肉厚・硬度分布指数Zを0.
1 以下に抑えるのが難しくなるからである。
【0026】
【実施例】表1に示す組成になる鋼を、加熱、粗圧延、
仕上圧延、圧延後冷却、巻取を順次行う熱間圧延工程に
供し、うち一部はさらに通常の冷間圧延工程に供して、
帯板(熱延板または冷延板)となし、これらの帯板を、
図3に示した電縫管製造設備を用いて、ロール成形、電
縫溶接(溶接機は高周波誘導式)、ビード切削、シーム
アニール(シームアニール装置は中周波誘導加熱式)、
定径圧延を順次行う造管工程に供して、目標寸法:外径
63.5mm×肉厚2.0mm の電縫鋼管となした。このとき、熱
間圧延工程および造管工程に以下に記す制御要件を表2
に示すように割り振ることで、製造条件を種々変えた。
【0027】a)仕上圧延前に高周波誘導式シートバー
ヒータにより板幅全部を加熱してFDTをAr3 +(0〜
30)℃に制御 b)仕上圧延前に高周波誘導式シートバーエッジヒータ
により板幅端部を加熱してFDTをAr3 +(0〜30)℃
に制御 c)圧延後冷却中に可動式遮蔽板により板幅端部をマス
キングしてCT幅方向偏差を25℃以下に制御 d)X線走査型厚み計にてロール成形前の板幅端部の厚
みを計測しその結果に応じて曲げ圧下量を、予め実験に
より決定した板幅端部の厚みと最適曲げ圧下量(エッジ
ベンドロール最適圧下位置)との関係式の厚みに前記計
測した結果を代入して得られる最適曲げ圧下量に制御 e)X線走査型厚み計にてロール成形中の材料弧央部の
厚みを計測しその結果が目標(計測データのばらつき範
囲が許容値以下という目標)に合うように同部の曲げ圧
下量(ブレークダウンロール圧下位置)を制御 f)X線走査型厚み計にてシームアニール後のシーム近
傍の厚みを計測し、同時に電縫溶接およびシームアニー
ルのヒートパターンからシーム近傍の硬さを推定し、該
推定した硬さと前記計測した厚みの積が目標(別途推定
した母材部の厚みと硬さの積以上という目標)に合うよ
うにビード切削量を制御 これらの電縫鋼管について、管軸直交断面の肉厚と肉厚
中心部のヴィッカース硬さを周方向5mmピッチで計測し
て母材部肉厚・硬度積αとシーム部肉厚・硬度積βを算
出することにより周方向肉厚・硬度分布指数Zおよびシ
ーム部肉厚・硬度指数Yを測定するとともに、図4に示
した方法により限界拡管率を測定して拡管加工性を評価
した。
【0028】結果を表2に示す。表2より、本発明の実
施例は、比較例に比べて限界拡管率が格段に高く、優れ
た拡管加工性を顕現した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明の鋼管は、肉厚と硬さの積を用い
て周方向特性の均一性を規定することにより、安定して
優れた拡管加工性を有することから拡管加工時の不良率
が低く、また、熱間圧延工程や冷間圧延工程で製板した
帯板を電縫溶接法で造管する生産性の高い製造プロセス
で製造できることから拡管加工用素管の安定供給を可能
にするという、産業上寄与するところ大なる効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電縫鋼管の周方向肉厚・硬度分布指数Zと限界
拡管率の関係を示すグラフである。
【図2】Z≦0.1 の電縫鋼管のシーム部肉厚・硬度指数
Yと限界拡管率の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の鋼管の製造に用いて好適な電縫管製造
設備の一例を示す配置図である。
【図4】ハイドロフォーミングによる拡管加工試験方法
を示す説明図である。
【符号の説明】
1 管 2 金型 3 シールヘッド 4 高圧送水 5 高圧水 6 バルブ閉 10 粗成形ロール群 11 クラスターロール群 12 フィンパスロール群 13 溶接機 14 スクイズロール 15 ビード切削装置 16 シームアニール装置 17 サイザーロール群 18、19、20 走査型厚み計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 301 C22C 38/00 301A 38/14 38/14 38/26 38/26 // B21D 26/02 B21D 26/02 C (72)発明者 依藤 章 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 Fターム(参考) 4E063 AA01 BB06 LA15 LA17 4K042 AA06 AA24 BA05 CA06 CA09 CA12 DA03 DF01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型内に装着され、管内に内圧をかけ管
    周方向にひずみを与えて所定の形状に加工される鋼管で
    あって、シームを有し、下記式(1) で与えられる周方向
    肉厚・硬度分布指数Zが0.1 以下であること特徴とする
    拡管加工性に優れた鋼管。 Z=(αmax −αmin )/αav (1) αmax :母材部肉厚・硬度積の測定データの最大値 αmin :母材部肉厚・硬度積の測定データの最小値 αav:母材部肉厚・硬度積の測定データの平均値 母材部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点を除く管円
    周方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定さ
    れた肉厚と硬さの積
  2. 【請求項2】 下記式(2) で与えられるシーム部肉厚・
    硬度指数Yが1.0 以上である請求項1記載の鋼管。 Y=βav/αav (2) βav:シーム部肉厚・硬度積の測定データの平均値 αav:母材部肉厚・硬度積の測定データの平均値 シーム部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点の管円周
    方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定され
    た肉厚と硬さの積 母材部肉厚・硬度積:シーム近傍材質特異点を除く管円
    周方向複数個所における各個所ごとに同じ位置で測定さ
    れた肉厚と硬さの積
  3. 【請求項3】 鋼材を、加熱、粗圧延、仕上圧延、圧延
    後冷却、巻取をこの順に行う熱間圧延、あるいはさらに
    その後の冷間圧延により帯板材料となし、該帯板材料の
    幅を連続的に弧状に曲げるロール成形によりオープン管
    となし、その突合せ部を電縫溶接して電縫管となし、そ
    のシーム周辺の突起部をビード切削し、あるいはさらに
    シームアニールし、あるいはさらに定径圧延する鋼管の
    製造方法において、以下の制御a〜fの1種または2種
    以上を行うことを特徴とする拡管加工性に優れた鋼管の
    製造方法。 a)仕上圧延前の材料幅全部を加熱してFDTを目標に
    合わせる制御 b)仕上圧延前の材料幅端部を加熱してFDTを目標に
    合わせる制御 c)圧延後冷却中の材料幅端部をマスキングしてCTを
    目標に合わせる制御 d)走査型厚み計によりロール成形前の材料幅端部の厚
    みを計測しその結果に応じて同部の曲げ圧下量を設定す
    る制御 e)走査型厚み計によりロール成形中の材料弧央部の厚
    みを計測しその結果が目標に合うように同部の曲げ圧下
    量を変更する制御 f)走査型厚み計によりビード切削後またはシームアニ
    ール後のシーム近傍の厚みを計測し、同時に電縫溶接あ
    るいはさらにシームアニールのヒートパターンからシー
    ム近傍の硬さを推定し、該推定した硬さと前記計測した
    厚みの積が目標に合うようにビード切削量を変更する制
    御 ここに、FDT:仕上圧延終了温度、CT:巻取温度
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