JP2001523456A - 転写的に調節されたgタンパク質−共役受容体 - Google Patents

転写的に調節されたgタンパク質−共役受容体

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JP2001523456A JP2000521195A JP2000521195A JP2001523456A JP 2001523456 A JP2001523456 A JP 2001523456A JP 2000521195 A JP2000521195 A JP 2000521195A JP 2000521195 A JP2000521195 A JP 2000521195A JP 2001523456 A JP2001523456 A JP 2001523456A
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Abstract

(57)【要約】 G2Aと呼ばれる、Gタンパク質−共役受容体(GPCR)であり、その発現はG2Mチェックポイントで調節され且つ機能して、造血細胞の適切に調節された複製を確実にする。該受容体は、造血細胞および組織中に主に見受けられ、腫瘍サプレッサー因子として機能し、細胞周期の停止を誘導する。この受容体は造血細胞の増殖および分化に重要な役割を果たしているものと思われる。受容体活性の調節は、幾つかの治療的適用を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 〔発明の分野〕 本発明は、その発現が造血細胞中で調節され且つG2Mチェックポイントで機
能して造血細胞の適切に調節された複製を確実にするようなGタンパク質−共役 受容体に関する。
【0002】 〔発明の背景〕 Gタンパク質−共役受容体(GPCR類)のファミリーは少なくとも250個 のメンバーを有する(Strader et al. FASEB J., 9:745-754, 1995; Strader et
al. Annu. Rev. Biochem., 63:101-32, 1994)。ヒト遺伝子の1%がGPCR 類をコードするかもしれないことが推定されている。GPCR類は、光子、小さ
い生物学的に生ずるアミン類(すなわち、スピネフィリンおよびヒスタミン)、
ペプチド類(すなわち、IL−B)から大きい糖タンパク質ホルモン類(すなわち
、パラチロイドホルモン類)にわたる範囲の多種のリガンドと結合する。リガン
ド結合すると、GPCR類はグアニンヌクレオチド−結合タンパク質(Gタンパ ク質)を活性化することにより細胞内信号化経路を調節する。GPCR類は、細
胞増殖および分化、炎症に応答した白血球泳動、並びに光、臭気、神経伝達物質
およびホルモン類に対する細胞応答を包含する多様な細胞プロセスにおいて重要
な役割を果たす(Strader et al., 上記参照)。
【0003】 興味深いことに、GPCR類はヒトサイトメガロウイルスおよびヘルペスウイ
ルスにおいて機能的類似性を有しており、GPCR類がウイルス疾病発症中に獲
得されているかもしれないことを示唆する(Strader et al., FASEB J., 9:745-
754, 1995; Arvanitakis et al., Nature, 385:347-350, 1997; Murphy, Annu.
Rev. Immunol., 12:593-633, 1994)。
【0004】 Gタンパク質−共役受容体の重要性はそのファミリー構成員であるケモカイン レセプターCXCR4/フシンおよびCCR5がそれぞれT細胞−属性およびマ クロファージ−属性HIVウイルス菌株用の共受容体であるという最近の発見に
より、さらに注目を浴びている(Alkhatib et al., Science, 272:1995, 1996;
Choe et al., Cell. 85:1135, 1996; Deng et al., Nature, 381:661, 1996; Do
ranz et al., Cell, 85:1149, 1996; Dragic et al., Natrure, 381:667 (1996
); Fang et al., Science 272:872, 1996)。これらの受容体の阻止がヒト免疫
不全(HIV)ウイルスによる感染症を防止できると考えられる。
【0005】 細胞周期チェックポイントである細胞の損傷またはそのゲノムとの一体性の損
失を検出しそして修復を行うために成長を分裂停止させる細胞周期における休止
期間がDNAの高度に忠実な複製を確実にする(Paulovich et al., Cell 88:31
5-321, 1997; Hartwell, cell 71:543-548, 1992)。真核細胞周期では、チェッ
クポイントとして同定された3つの別個に規定された時期:G1/Sトランジシ ョン、S−期遅延およびG2Mトランジションがある(Nurss, Cell 91:865-867,
1997)。修復に利用できる時間を増加させることによりG1/Sチェックポイン
トが活性化されて突然変異したDNAの複製が避けられる。DNA複製速度を遅
くすることにより細胞はS期内でDNA損傷チェックポイントも利用できる。G 2/Mチェックポイントは二本鎖DNA分裂の検出で活性化される。さらに、染
色体が分裂紡錘体に結合されていない時に後期進行を抑制する紡錘体チェックポ
イントにより分裂開始がモニターされる(Nicklas, Science 275:632-637, 1997
)。細胞周期チェックポイントは図1にまとめられている。
【0006】 最近の発見は、GZ/Mトランジションにおける分子関与体を明らかにした。C
dc2およびサイクリンB1が分裂開始を促進しそしてそれらは突然変異促進因 子(MPF)の一部である。Cdc25によるThr14およびTyr15上の
Cdc2の脱リン酸化およびサイクリンB1との核会合と同時に起きるThr1 61上のリン酸化が急速な突然変異開始をもたらす。サイクリンB1分解または 細胞質への移行およびWee1による負の調節部位であるThr14およびTy
r15上のCdc2のリン酸化が分裂開始を阻止する。カフェインはCdc2の
脱リン酸化を刺激することによりDNA損傷−活性化G2/M分裂停止を軽減す
ることができる。これらのデータは、MPFがG2から分裂へのトランジション の中心的なレギュレーターであることと強い関係がある。
【0007】 最近の研究はMPFのG2/M分裂停止上流に含まれる信号化経路の理解に広
げられている。DNA損傷に対する応答は酵母radフェミリーの遺伝子のヒト
相同体である突然変異したアラキス・テランギエクタリア(ATM)により検出
される(Mayn, 1995)。ATMタンパク質はChk1の活性化に関係しており、そ れはCdc25をリン酸化して、14−3−3によるCdc25の結合および引
きこもり(sequestering)をもたらす(Sanchez et al., Science 277:1497-150
1, 1997; Peng et al., Science 277:1501-1505, 1997; Furnari, Science 277:
1495-1497, 1997)。これがCdc2およびG2M分裂停止のリン酸化された( 不活性)形態の集積をもたらす。Cds1はWee1およびCdc25の両者を
リン酸化することによりChk−1へ過剰作用して両者の遺伝子生成物を不活性
化させることが示された(Boddy et al., Science 280:909-912, 1998; Furnari
et al., 上記参照; Sanchez et al., 上記参照)。ATMはMPFに直接作用 するタンパク質を活性化しそして細胞周期分裂停止をもたらすように働く。
【0008】 ATMはまた、チェックポイント調節に含まれる二次的分子の転写を刺激する
タンパク質と会合し且つ活性化する。ATMのこれらの下流アクチベーターの1
つは腫瘍インヒビターp53である。p53の活性化がp21Cipおよび14
−3−3を包含する複数の遺伝子の誘発をもたらす(Levins, Cell 88:323-331,
1997)。14−3−3遺伝子生成物はCdc25に結合してそれを細胞質の中に 捕獲することによりG2/M分裂停止に介在する。チロシンキナーゼAblはA
TM遺伝子生成物と物理的に相互作用する(Shafman, Nature 387:520-523, 199
7; Baskaran, Nature 387:516-519, 1997)。DNA損傷によるAblキナーゼ の活性化はATMに依存しており、DNA損傷チェックポイント調節におけるA
blおよびATMの機能的関連性を示唆している。G2Mチェックポイントの全
体的な調節は、適切な細胞成長を保証する転写後修飾および転写活性化の両者を
含む複雑な機構である。それ故、既知のG2Mチェックポイントタンパク質は最
終的にはCdc2リン酸化およびサイクリンB1の核加入により機能する。
【0009】 一般的な真核細胞周期調節機構は広範囲の細胞タイプの中で高度に保存される
が、組織−特異的細胞周期レギュレーターに関してはほとんど知られていない。
TGF−βおよびGATA−5は発現において制限される抗−増殖性信号化分子
を代表する。これらのレギュレーターの両者は細胞周期をG1で制限する。リン
パ球は、それらの成長がそれらの内部成長段階並びに周囲環境に依存して細胞周
期の導入、興奮および再連結の独特な性質により特徴づけられているため、組織
−特異的細胞周期レギュレーターを研究するための興味深いモデルシステムを提
供する。例えば、抗原との相互作用で、休止成熟未使用B細胞がリンパ球発生中 心に集積し、そこでそれらは激しく増殖しそして過剰のB細胞は包含されること により発生中心から死滅する。
【0010】 腫瘍遺伝子形質転換による細胞成長調節の減少は腫瘍遺伝子から下流の信号化
相手に発する信号に依存しており、そしてしばしば悪性成長に寄与する二次的遺
伝子の転写誘発をもたらす。BCR−ABLは、慢性骨髄性白血病(CML)お
よび急性リンパ性白血病(ALL)の発症に関係する相互染色体転座(9:22
)(q34;q11)により発生するキメラチロシンキナーゼ腫瘍遺伝子である
(Kurzrock, N. Engl. J. Med. 319:990-998, 1988)。このキメラ腫瘍形成はP
h1−陽性幹細胞中で見出された。構造および機能分析がその腫瘍形成活性の原
因となるBCR−ABL内の臨界領域を規定した。特に、Src相同体2(SH
2)領域の高度に保存されたモチーフ内のR551L置換はBCR−ABLのキ
ナーゼ活性に影響を与えずにSH2領域をホスホチロシン−含有タンパク質と脱
共役させる。興味深いことに、この突然変異はBCR−ABLが軟質寒天中でマ
ウスの繊維芽細胞の足場−非依存性成長を刺激する能力を大きく減少させる(Go
ga, Cell B2:981-988, 1995)。SH2突然変異体はインビトロで一次骨髄細胞 を形質転換させる能力を依然として保有するが、それはマウスでは減じられた悪
性および白血病発症能力を示す(Goga, 上記参照)。SH2領域の不活性化がB
CR−ABLを下流信号化分子と脱共役させるかもしれず、それが白血病発症に
含まれるical遺伝子の発現を変えるかもしれない。
【0011】 〔発明の要旨〕 本発明の一態様は、配列番号(SEQ ID NO)1または配列番号3に示
された塩基配列を有するGタンパク質−共役受容体G2Aをコードする単離され たポリヌクレオチドである。 本発明の他の態様は、ポリヌクレオチドが65℃において2×SSC、0.1 %SDSの中で配列番号1に示された配列を有するポリヌクレオチドの相補体と
ハイブリダイズすることができるGタンパク質−共役受容体G2Aをコードする 単離されたポリヌクレオチドである。 本発明はまた、配列番号2または配列番号4に示されたアミノ酸配列を有する
単離された組換えGタンパク質−共役受容体G2Aも提供する。好ましくは、タ
ンパク質は配列番号1に示された配列を有するポリヌクレオチドの発現により得
られる。有利には、タンパク質は配列番号3に示された塩基配列を有するポリヌ
クレオチドの発現により得られる。
【0012】 本発明の他の態様は、65℃において2×SSC、0.1%SDSの中で配列 番号1に示された配列を有するポリヌクレオチドを相補体とハイブリダイズする
ことができるポリヌクレオチドによりコードされた単離されたGタンパク質−共 役受容体G2Aである。 本発明はまた、Gタンパク質共役受容体G2Aを試験化合物と接触させ、化合
物が該G2Aと結合しているかどうかを決定し、そして受容体活性の刺激が化合
物がG2Aのアクチベーターであることを示すような受容体活性検定法において
G2Aと結合している化合物を試験する段階を含むGタンパク質共役受容体G2
Aを活性化する化合物を同定する方法も提供する。好ましくは、G2Aは細胞表
面上で発現される。有利には、受容体活性検定法は繊維芽細胞形質転換、骨髄形
質転換、細胞周期分析、インビボ腫瘍形成またはインビボ白血病発症である。
【0013】 本発明はまた、G2Aを試験化合物と接触させ、化合物がG2Aと結合してい
るかどうかを決定し、そして受容体活性の抑制が化合物がG2Aのインヒビター
であることを示すような受容体活性検定法においてG2Aと結合している化合物
を試験する段階を含むG2Aを抑制する化合物を同定する方法も提供する。好ま
しくは、G2Aは細胞表面上で発現される。有利には、受容体活性検定法は繊維
芽細胞形質転換、骨髄形質転換、細胞周期分析、インビボ腫瘍形成またはインビ
ボ白血病発症である。
【0014】 本発明の他の態様は、細胞をG2A受容体を活性化させる化合物と接触させる
ことを含む該細胞中で細胞周期分裂停止を誘発する方法である。好ましい態様の
一面では、細胞周期分裂停止は該細胞周期のG2/Mトランジションで起きる。
好ましくは、細胞は白血病細胞またはリンパ腫細胞である。 本発明はまた、対照細胞と比較して増加した水準の転写体の存在が細胞が癌細
胞であることを示すような癌細胞がG2A転写を発現するかどうかを決定する段
階を含む癌細胞の存在を決定する方法も提供する。好ましくは、決定段階はノー
ザンハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応を含む。
【0015】 本発明のさらに他の態様は、対照細胞に比較して増加した水準のタンパク質の
存在が細胞が癌細胞であることを示すような癌細胞がG2A転写を発現するかど
うかを決定する段階を含む癌細胞の存在を検出する方法である。好ましくは、決
定段階は細胞をG2Aタンパク質に特異的な抗体と接触させそして抗体の存在を
検出することを含む。有利には、検出段階が蛍光活性化細胞選別(FACS)を
含む。 本発明はまた、細胞を20Sプロテオゾームのインヒビターと接触させること
を含む細胞中でG2A受容体の分解を抑制する方法も提供する。好ましくは、イ
ンヒビターはN−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ノルロイシ
ナル(ALLN)またはN−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−
メチオナル(ALLM)である。
【0016】 本発明の他の態様は、骨髄を白血病の抑制を必要とする個体から単離し、該骨
髄をG2Aタンパク質をコードする発現構造体とトランスフェクションまたは感
染させ、そして該骨髄を該個体に戻すことを含む白血病発症の抑制を必要とする
個体において白血病発症を抑制する方法である。好ましくは、発現構造体はレト
ロウイルスベクターである。 本発明はまた、白血病発症抑制用のG2Aタンパク質をコードする発現構造体
も提供する。
【0017】 〔発明の詳細な記載〕 本発明は、チロシンキナーゼ類、DNA損傷剤および化学療法薬を包含する種
々の細胞内および細胞外刺激により転写的に調節されるG2分裂停止用のG2A
と称する新規なGタンパク質−共役受容体(GPCR)の同定およびシークエン
シングを記載する。G2AはDNA損傷および細胞増殖の組織特異的センサーと
して作用するようであり、そしてG2/MチェックポイントでDNA損傷後の突
然変異を遅らせるかまたは過剰の成長刺激により引き起こされる脱調節成長を防
止するように機能する。従って、G2Aは増殖性信号化および細胞周期チェック
ポイント経路を関連させて、造血細胞の信頼性があり且つ適切に調節される複製
を確実にする。
【0018】 G2Aは腫瘍サプレッサー因子として機能し、有糸分裂中に細胞周期分裂停止
を誘発しそしてヒトの癌において変化したことがしばしば見出されている領域で
あるヒト染色体14q32.3で見られる。G2Aは、BCR−ABLにより調 節できる細胞遺伝子を研究する間に同定された。再現的示差分析(RDA)であ
るPCRをベースにした示差クリーニング技術(Lisitsyn et al., Science 259
:946-951, 1993; Hubank et al., Nucl. Acids Res. 22:5840-5848, 1994; Fig.
2)を使用して、野生型(WT)BCR−ABLにより形質転換されたマウス骨 髄(プレ−B)細胞で発現された遺伝子を、BCR−ABLのSH2領域で突然
変異を有する形質転換−欠失突然変異種をこれらの細胞に感染させるために使用
した時に発現されたものと比較した。12個以上の遺伝子がBCR−ABLによ
り上方調節されたことが見出された。これらの異なって発現されたマウスの遺伝
子の1つ(G2A)は例えば脾臓および胸腺の如き造血組織の中で主として発現
され、そしてWTBCR−ABLにより誘発されたがSH2突然変異体によって
は誘発されなかった。
【0019】 マウスG2AのcDNAおよび推定アミノ酸配列はそれぞれ配列番号1および
配列番号2に示されている。マウスタンパク質のヒト相同体を次にマウスcDN
Aをプローブとして使用して単離した。対応するヒトcDNAおよび推定アミノ
酸配列はそれぞれ配列番号3および配列番号4に示されている。本発明のG2A
タンパク質配列は配列番号2および4に示されている配列、または実質的にこれ
らの遺伝子がタンパク質チロシンキナーゼ類により調節される能力を弱体化しな
いようなその配列変種もしくはこれらのタンパク質の機能活性を実質的に弱体化
しないようなその配列変種を有する。配列番号2および4に示されている配列の
種々の位置に1つもしくはそれ以上のアミノ酸置換を含有するG2Aタンパク質
も本発明の範囲内であることは認識されるであろう。
【0020】 多くのアミノ酸置換を本来の配列に対してその機能活性を弱体化させずに行う
ことができる。本発明における使用を意図するこれらのタンパク質配列の変更は
、少量挿入、欠失および置換を包含する。例えば、保存性アミノ酸置換が考えら
れる。そのような置換は、例えば、それらの側鎖の化学的性質と関連するアミノ
酸類のファミリー内で起きるものである。アミノ酸類のファミリーは塩基性アミ
ノ酸類(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸類(アスパラギン酸
、グルタミン酸)、非極性アミノ酸類(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および未
変化極性アミノ酸類(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリ
ン、スレオニン、チロシン)および芳香族アミノ酸類(フェニルアラニン、トリ
プトファン、チロシン)を包含する。特に、ポリペプチドの活性部位外の部分に
おける、イソロイシンもしくはバリンによるロイシンの、グルタミン酸によるア
スパラギン酸の、またはセリンによるスレオニンの、または構造的に関連するア
ミノ酸によるアミノ酸の、単離された置換を含む保存性置換はポリペプチドの性
質に大きな影響を有さないであろうことが一般的に認められている。
【0021】 マウスタンパク質は、配列整理プログラムを用いて、マウスTDAG8タンパ
ク質およびP2Yプリノセプターを包含する他のGPCR類とのその相同性によ
りGPCRスーパーファミリーの一員であることが決定された。7つの予測され
たトランスメンブラン領域を示すマウスG2Aのスキーム図が図3に示されてい
る。GPCR系統樹が図4に示されている。ヒトG2A相同体はヒト脾臓cDN
Aライブラリーを非常に厳しい条件下で(2×SSC、0.1%SDS、65℃ )スクリーニングすることにより単離された。マウスおよびヒトG2A類はアミ
ノ酸水準で約70%の同一性を共有し、そして約42kDaの計算分子量を有す
る。これらのタンパク質は7つのトランスメンブラン領域並びに細胞外および細
胞内ループ中で最高度の同一性(76%)を共有するが、それらはN−末端細胞
外領域(25%同一性)およびC−末端細胞質テイル(55%同一性)ではそれ
より分散性である。マウスおよびヒトG2Aの両者はGPCR類に特徴的なN−
末端細胞外領域で推定上のN−結合されたグリコシル化部位を含有する。これら
の条件またはそれより厳しくない条件下で配列番号1に示されたDNA配列をハ
イブリッド形成しうるいずれかのDNA、並びにそのようなDNA分子によりコ
ードされるタンパク質は本発明の範囲内である。
【0022】 複数組織ノーザンブロットを用いる種々のマウス組織サンプルのノーザン分析
は、例えば脾臓、胸腺、肺および心臓の如き造血組織中で約3kbおよび5kb
の2つのG2A転写体を検出したが、正常な骨髄、脳、肝臓、骨格筋または腎臓
では検出しなかった。胸腺細胞が単離されそしてそれらの成長状態に無関係にG
2Aを発現することが半定量的RT−PCRにより示された。ヒト組織のノーザ
ン分析は、ヒトG2Aは脾臓および末梢白血球中でのみ発現されるが心臓、脳、
胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、胸腺、前立腺、睾丸、卵巣、小腸および
腸粘膜ライニングでは発現されないことを示した。このことは、この遺伝子の造
血作用における役割も示唆する。ヒトG2Aはホルボール12−ミリステート1
3−アセテート(PMA)およびイオノマイシンまたは抗−IgM抗体のいずれ
かによる活性化でB細胞中で転写的に活性化される。G2A転写の活性化はX線
照射またはCD40リガンドによる活性化でもB細胞中で観察された。ヒトG2
A転写体はALL−1およびK−582白血病細胞系統中にも存在する。
【0023】 G2Aは、BCR−ABLおよびアベルソンマウス白血病ウイルス中で見出さ
れたタンパク質チロシンキナーゼ腫瘍遺伝子であるv−Ablにより転写的に活
性化される。我々の知る限り、これはGPCRがタンパク質キナーゼにより転写
的に調節されうることの最初の発表である。興味深いことに、腫瘍遺伝子能力を
欠く突然変異体形態のBCR−ABL(SH2領域に突然変異体を有する)はG
2Aを転写的に活性化できなかった。さらに、形質転換用のBCR−ABL突然
変異を相補することができる重要な細胞周期レギュレーターであるサイクリンD
1(Afar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92:9540-9544, 1995)はG 2Aの発現を復元した。これらのデータは、このGPCRがBCR−ABLおよ
び他のチロシンキナーゼ信号化経路による形質転換用のマーカーでもあることを
示唆する。
【0024】 図6は、BCR−ABL、TEL−ABL(白血病に関与する腫瘍遺伝子融合
タンパク質)およびv−ABLの領域を示す。TEL−ABL、Grb−2(B
CR−ABLをRasに共役させるアダプタータンパク質)突然変異体および自
己リン酸化突然変異体はG2Aを活性化しなかった。G2A受容体はMAPキナ
ーゼを活性化するセリンキナーゼ腫瘍遺伝子であるv−Mosによっても転写的
に活性化された(Davis, Mol. Reprod. Osv. 42:459-67, 1995)。v−Mos、
BCR−ABLおよびv−ABLは全てMAPキナーゼを活性化させるため(Da
vis,上記参照)、G2AはMAPキナーゼ信号化経路により直接調節されるかも
しれない。従って、G2Aも多種のタンパク質キナーゼ類並びにそれらのレギュ
レーターおよびエフェクター類、例えばRas、Myc、Fas、Junおよび
BTK、により細胞成長および分化中に活性化されるかもしれないことが考えら
れる。
【0025】 G2Aは脾臓および胸腺中で発現されるが、正常な骨髄細胞中では発現されず
、それがTおよびB細胞成長の中期および後期において重要な役割を演ずるかも
しれないことを示唆する。成長中に、自己−反応性の未熟胸腺細胞が胸腺中でク
ローン欠失され、これはT細胞耐性(負の選択)を制定する現象である。胸腺中
の自己−反応性未熟T細胞の欠失はT細胞受容体関与時に細胞消滅により仲介さ
れる。GPCRファミリー構成員であるTDAG8はT細胞受容体活性化時の細
胞消滅中にT細胞の中で誘発される(Choi et al., Cell. Immunol., 168:78-84
, 1996)。これは、TDAG8がT細胞の負の選択において役割を演ずるかもし
れないことを示唆する。我々が単離したG2A類はTDAG8と約30%の相同
性を共有するため、G2A類がT細胞の負の選択において役割を演ずるかもしれ
ないことが確信される。そのファミリー構成員を有するG2Aの配列分析は、そ
れらもP2V受容体であるATP用のGPCRと意義ある相同性を共有すること
を示す。P2V受容体がT細胞活性化中に転写的に上方調節されることが最近示
された(Koshiba et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 94:831-838, 1997 )。
【0026】 G2Aは成熟のための脾臓および胸腺の特異的解剖学的区分中へのリンパ球の
泳動を方向指定する際の役割を演ずるかもしれない。造血−特異的GPCRであ
るBLR1に関する以前の研究は、抗原−特異的な免疫応答の開発のためのプレ
条件である脾臓小嚢中へのリンパ球の泳動並びに脾臓のB細胞小嚢中への活性化
B細胞の泳動を方向指定するための重要な役割を演ずることを示唆する(Forste
r et al., Cell, 87:1037-1047, 1996)。造血−特異的組織中でのG2Aの発現
は、それがそれらの成熟のためのリンパ器官中へのリンパ球の泳動を方向指定す
る際に同様な役割を演ずることも示唆する。
【0027】 ヒトおよびマウスのG2Aはそれらの相補cDNA配列の翻訳に基づくとアミ
ノ酸水準において約70%の同一性を共有する(図5)。マウスおよびヒトのG
2AcDNAクローン類の両者をインシトゥ分析用に使用して、受容体の発現が
脾臓および胸腺のある種の解剖学的領域に制限されるかどうかを試験することが
できる。全長G2A類をコードするマウスおよびヒトのゲノムクローン類も単離
された。マウスゲノムクローンは相同性組換えによりマウスにおいてG2Aを壊
滅させる標的ベクターを構成するために使用されていた。G2A−/−マウスは
この受容体の生理学的機能のさらなる評価を可能にするであろう。G2A−/−
マウスはインビボ白血病発症がG2Aに依存するかどうかの決定を可能にするで
あろう。マウスおよびヒトのゲノムクローン類は造血−特異的遺伝子の転写調節
の分析を可能にするであろうG2A類の遠位および近位プロモーターを含有する
かもしれない。マウスおよびヒトのゲノムクローン類の両者はG2A類が既知の
遺伝子疾病と関係するかどうかを試験するための細胞遺伝子マップ作成用に使用
することもできる。
【0028】 イライザ(ELISA)により確認された受容体のN−末端部分またはC−末端部 分のいずれかと反応性であるウサギ抗血清が製造された。2匹のウサギに受容体
の細胞質テイルに相当する13アミノ酸ペプチドを注射した。別の2匹のウサギ
にG2AのN−末端細胞外領域を含有するグルタチオン−S−トランスフェラー
ゼ融合タンパク質であるGST−G2A−Nを注射した。両方のウサギから採血
した第二、第三、および第四生成物からの血清はイライザ検定法でわかるように
ペプチドに対する強い免疫応答を示した。抗体はペプチド親和カラムを用いて親
和精製されそしてそれらはTおよびB細胞成長におけるこのG2Aの発現の分析
用に役立つ。これらの抗体を使用してG2Aタンパク質の構造および局在化の決
定を助けた。抗−N−末端抗体は非透過および透過条件下でG2Aタンパク質を
検出したが、抗−C−末端抗体は透過条件下でのみG2Aタンパク質を検出した
。これらの結果は、N−末端タンパク質は細胞外領域でありそしてC−末端タン
パク質は既知のGPCR類と一致する細胞内領域であることを示唆する。
【0029】 受容体に対するモノクローン抗体は当業者に既知である従来のハイブリッド形
成技術を用いて生成することもできる。簡単に述べると、3匹のマウスを実施例
9に記載された通りにして製造された25μgの組換え受容体で免疫化した。マ
ウスに3週間の間隔で1匹のマウス当たり20μgのG2Aを(1/2は皮下にそ して1/2は腹腔内に)接種する。免疫沈澱により測定すると最初の接種後に各動 物から集められた血清はG2Aと反応する。最後の接種から3日後に、マウスを
殺しそして脾臓を回収しそして細胞融合用に準備する。脾臓細胞をポリエチレン
グリコール(PEG)を用いてSp2/0AG14骨髄腫細胞(ATCC CR
L 1581)と融合させる。PEG融合後に、細胞調合物を96ウエル板の中
で1ウエル当たり105個の細胞の密度で分布させそして10%胎牛血清および
100U/mlのインターロイキン−8を含有するハイポキサンチン/アミノプ
テリン/チミジン(HAT)培地の中で選択する。培地を板培養から10日後に
新しいHAT培地と交換する。G2Aを認識するハイブリドーマ生成MAb類を
同定するために、ハイブリドーマ上澄み液を精製した組換え体G2Aを免疫沈澱
させるかまたはG2Aを免疫ブロッティングにより検出する能力に関して試験す
る。
【0030】 G2AのN−末端細胞外領域のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS
T)融合タンパク質を作成した。マウスおよびヒトのG2A類を当業者に既知で
ある方法によりインビトロおよびインビボでトランスフェクションされた細胞の
中で組換えマウスおよびヒトのG2A類の過剰発現を可能にするであろう種々の
真核細胞発現ベクターの中にクローニングした。好ましくは、G2Aを含有する
構造体は真核細胞に、より好ましくは哺乳動物細胞に、トランスフェクションさ
れる。或いは、構造体を使用して細菌細胞を形質転換してもよい。
【0031】 G2Aにより誘発される成長分裂停止は、リンパ球の脱調節増殖の場合におけ
る治療用介在の可能性を示す。G2Aは細胞増殖に抵抗し、その作用薬は白血病
、リンパ腫および自己免疫疾病を包含する疾病の進行を遅らせるのに有用である
。G2AはBCR−ABLにより上方調節されそしてリンパ球および繊維芽細胞
の自然発生成長を抑制できるため(表4A−B)、G2Aを活性化できる抗体、
薬品または天然リガンドをインビトロスクリーニングすることができる。リンパ
球の成長を抑制する抗体、薬品または天然リガンドは上記の疾病の処置に有用で
ある。
【0032】 逆に、モノクローン抗体をインビボでG2A類を阻止しそして正常なリンパ球
の成長を刺激するG2A類の特定領域に対して生ずることができる。さらに、イ
ンビトロスクリーニング検定法を使用してG2Aに結合し且つ活性化させるかま
たは活性化させる薬品または天然リガンドを見出すことができる。これらの抗体
、薬品または天然リガンドはリンパ球の成長を刺激することができ、このリンパ
球は先天的免疫不全疾病または後天的免疫不全症候群(AIDS)に罹っている
患者の症状を治療または軽減できる。例えば、重い合併免疫不全症(SCID)
、ディジョージ症候群、またはT細胞欠失ベアリンパ球症候群の患者、およびB
細胞欠失X−結合された無ガンマグロブリン血症の患者である。抗体、薬品、天
然リガンドをこれらの患者に投与してG2Aを抑制して免疫系におけるTおよび
B細胞の成長を刺激することができる。
【0033】 好ましい態様では、G2AをコードするcDNAを哺乳動物細胞系統のトラン
スフェクションまたは感染のために真核細胞発現ベクターの中に入れる。NIH
3T3、Rat−1、293T、COS−1およびCOS−7およびチャイニー
ズハムスター卵巣(CHD)細胞を包含する多くのそのような細胞は当該技術で
既知であり、それらのほとんどはミドランド州、ロックヴィルのアメリカン・タ
イプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手できる。多くのそのよう
な発現ベクターは既知でありそして市販されている。好ましい発現ベクターはレ
トロウイルスベクター類、アデノウイルスベクター類およびSV40をベースと
したベクター類を包含する。ベクターは例えば抗生物質耐性の如き選択可能なマ
ーカーを含有して、受容体を発現する細胞を選択してもよい。或いは、G2Aの
発現を調節プロモーターの調節下で行うこともできる。安定なトランスフェクタ
ントを使用して合成または天然化合物の大ライブラリーをスクリーニングしてG
2Aに結合する化合物を同定する。G2Aに結合する化合物を次に実施例7、1
0、11および12に記載された検定法で試験して、それらがBCR−ABL−
介在G2A活性化の作用薬または拮抗薬であるかを決定する。
【0034】 本発明の一つの態様では、試験しようとする化合物を当該技術で既知の方法を
用いて放射線で、比色計でまたは蛍光計で標識をつけそして受容体と共にインキ
ュベーションする。インキュベーション後に、試験化合物が受容体に結合したか
どうかを決定する。そうである場合には、化合物は有効な作用薬または拮抗薬で
ある。機能検定法を行って、受容体活性が活性化されたかまたは抑制されたかを
決定する。これらの検定法は繊維芽細胞および骨髄形質転換検定法、細胞周期分
析およびインビボ腫瘍形成検定法を包含する。タンパク質リン酸化、アデニレー
トサイクラーゼ活性、ホスホイノシチド加水分解、グアニレートサイクラーゼ活
性、イオンフラックス(すなわち、カルシウム)およびpH変化を包含するがそ
れらに限定されない信号形質導入システムを用いて受容体を発現する細胞の中で
応答を測定することもできる。これらのタイプの応答は宿主細胞中に存在するか
または宿主細胞中に受容体と共に導入することもできる。
【0035】 上記の通りにして単離されたG2A受容体を使用して、インビトロおよびイン
ビボの両者において、悪性細胞、特に白血病細胞およびリンパ腫細胞の如き造血
細胞中のG2/Mトランジションで細胞周期分裂停止を促進させることができる
。G2Aはタンパク質チロシンキナーゼ腫瘍遺伝子により誘発されるため、それ
を白血病を包含する多くのタイプの癌用の診断マーカーとして使用することがで
きる。DNA配列を、腫瘍形成において同様な役割を演ずるかもしれない別の非
常に関連したフェミリー構成員を探索するためのプローブとして使用することも
できる。
【0036】 G2Aは正常骨髄細胞の中では発現されないが、脾臓では発現される。それ故
、G2Aが血液細胞成長を調節することが可能である。(抗体、抑制もしくは刺
激薬、または天然リガンドによる)G2Aの活性の調節は例えば器官移植用の免
疫抑制を得るための処置後にまたは細胞毒性癌療法後に起きるもののような抑制
された造血作用を伴う血液細胞集団の正常な数および機能を保つ際に臨床的に有
用である。
【0037】 心臓内でのG2Aの発現は、この遺伝子が心臓内で生理学的役割を演ずるかも
しれないことを示唆する。抗受容体自己抗体を包含する種々の自己抗体が心筋症
患者に存在することが示された(Fu, Mol. Cell. Biochem. 163:343-7 (1996)
)。心筋症患者は心筋症発症に寄与するG2Aに対する自己抗体を有しているか
もしれない。従って、抗体、薬品、または天然リガンドを中和することによるG
2A機能の調節がそのような心筋症患者において症状を軽減するかもしれない。
G2A類は心血管、高血圧症−関連、心臓機能障害に含まれているかもしれない
。抗体、薬品、または天然リガンドを中和することによるG2A機能の調節がそ
のような障害のある患者において症状を軽減するかもしれない。
【0038】 マウスおよびヒトのG2AcDNA類を使用して他の種からG2A相同体を単
離することができる。他の種における相同体の同定が動物の上記疾病の治療法を
もたらすかもしれず、従って動物用薬品における広い用途を有するであろう。マ
ウスおよびヒトのG2Aの高度に保存された領域のアミノ酸配列情報を使用して
、ヒトおよび動物の両者において疾病を処置するために使用できる抗体または薬
品を開発することができる。 下記の実施例はマウスおよびヒトのWTBCR−ABL−誘発G2Aのクロー
ニングを記載する。
【0039】 〔実施例1〕 プラスミド構造体、細胞系統、ウイルスストックの製造、抗体の生成 WTp185BCR−ABLおよびSH2突然変異体をpSRαMSVベクタ
ー(Muller et al., Mol. Cell. Biol. 11:1785-1792, 1991)の中にこれまでに
記載されたLTRプロモーター(Afar et al., Science 264:424-426, 1994; Pe
ndergast et al., Cell 75:175-185, 1993)の調節下でクローニングした。pS
RαMSVベクターを使用して、Ψパッケージングベクター(Pear et al., Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:8392-8396, 1993; Afar et al., Science 264
:424-428, 1994)と共に293T細胞のトランジェントトランスフェクションに
よりヘルパーを含まないレトロウイルスストックを製造した。マウスG2AのC
−末端細胞内部分に対応する13−アミノ酸ペプチド(KDSEETHLPTE
LS;配列番号5)を合成しそして抗体生成(カリフォルニア州、バークレー、
Babco)のためにウサギに注射した。5つの生成ブリードが得られた。マウスG 2AのN−末端細胞外部分に対して抗体を生成するために、GST−Mu−N2
A−N5´およびGST−Mu−N2A−N3´プライマーを用いてPCRによ
りGST−Mu−G2A−N融合構造体を製造した(表2参照)。
【0040】 簡単に述べると、20ngの鋳型、30μlの3.3XXL緩衝液(コネチカ ット州、ノルウォーク、Perkin Elmer)、6μlの25mM酢酸マグネシウム、
2μlのdNTP類(10mMの各ヌクレオチド)、20pmolのGST−M
u−N2A−N5´およびGST−Mu−N2A−N3´プライマー類、並びに
1μlのrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)を含有する合計100μlの反
応混合物の中でPCRを行った。サイクリング条件は、5分間95℃、30周期
の0.5分間94℃による変性、1分間58℃によるアニーリングおよび1分間 72℃による延伸であった。72℃10分間にわたるインキュベーション後に、
増幅したPCR断片を緩衝液B(10mMのトリス(Tris)、5mMのMgCl 2 、100mMのNaCl、1mMのβ−メルカプトエタノール、pH8.0、Bo
ehringer Mannheim)中のBamHl(インディアナ州、インディアナポリス、B
oehringer Mannheim)で消化し、そしてアガロースゲル上で分別した。DNA断
片を切除し、Geneclean(商標)(カリフォルニア州、ラジョラ、Bio1
01)を用いて精製し、そしてBamHI/EcoRl部位でpGEX−2Tベク
ター(Pharmacia Biotech)の中にクローニングした。約50ngのpGEX− 2T BamHI/EcoRl断片をPCR生成物に1:3モル比で1×T4D
NAリガーゼ緩衝液(50mMのトリス−HCl(pH7.8)、10mMのM gCl2、10mMのDTT、1mMのATP、50μg/mlのBSA)およ び1μlのT4DNAリガーゼ(マサチュセッツ州、ビバリー、New England Bi
olabs)の中で10μlの反応量で16℃においてオーバーナイトで連結反応さ せた。連結反応物の10%を10μlのDH5αコンピテントE.coli細胞
と氷上で20分間混合することにより形質転換を行った。42℃における2分間
にわたる熱ショックおよび氷上での2分間にわたるインキュベーション後に、1
mlのTYEを加えそして形質転換細胞を37℃において1時間にわたりさらに
インキュベーションした。形質転換混合物をアンピシリン(50μg/ml)を
含有するTYE板上で板培養した。インサートを含有する1つの陽性クローンを
同定した。プラスミドをシークエンスしてマウスG2AのN−末端細胞外部分の
GSTに対する適切な融合を確認した。
【0041】 〔実施例2〕 骨髄細胞からのcDNAの単離 WTp185BCR−ABLまたはSH2突然変異種(Goga et al., Cell 82
:981-988, 1995)のいずれかをコードするレトリーバーによりトランスフォーム
された初期マウス骨髄細胞からウルトラスペックRNA単離システム(テキサス
州、ヒューストンのBiotech Laboratories, Inc.)を用いて全RNAを単離した
。ポリアデニル化RNAを全RNAからオリゴ(dT)セルロースカラム(Coll
aborative Research)を用いて製造業者の指示に従い精製した。cDNAをスー
パースクリプト選択システム(メリーランド州、ガイルヘルスブルグ、GibcoBRL
Life Technologies)を用いて製造業者の処方に従い合成した。
【0042】 〔実施例3〕 再現的示差分析(RDA)およびDNAシークエンシング WTp185BCR−ABLにより異なって調節されるがSH2突然変異種に
よっては調節されない遺伝子を単離するために、PCRをベースとした消去式ハ
イブリッド形成技術の改変法および再現的示差分析(RDA)を使用した。RD
Aは、最初は2つの複合ゲノムの間の差を検出するために開発された(Ligitsyn
et al., Science, 269:946-951, 1993)。それをその後にcDNAと共に使用 することに適合させ、そして種々の系で異なって発現された遺伝子を単離するた
めに使用して成功した(Hubank et al., Nucl. Acids Res. 22:5640-5648, 1994
; Braun et al., Mol. Cell. Biol. 15:4623-4630 (1995))。当該遺伝子を含
有するcDNAサンプルをテスターと称し、そして消去用に使用されるサンプル
をドライバーと称する。テスターおよびドライバーcDNA類の両者を制限酵素
であるDpnllで消化し、次にPCR増幅用にRBglアダプター(RBgl
12およびRBgl24プライマー類、表2参照)に連結反応させた。RBgl
アダプターを次に除去した。異なって発現された遺伝子を単離するために、増幅
したテスターDNAを新しいアダプターであるJBglアダプター(JBgl1
2およびJBgl24プライマー、表1参照)と連結反応させ、そして消去式ハ
イブリッド形成でドライバーDNAと混合する。異なって発現された遺伝子はテ
スター−テスターホモ複製体を形成し、そしてJBgl24プライマーを用いて
PCRにより優先的に増幅させる。このプロセスを、消去式ハイブリッド形成中
にドライバー対テスターの比を1:100から1:800、1:8000に増加
させながら、3回繰り返す(Lisitsyn et al., 上記参照; Hubank et al., 上記
参照)。この研究では、WTp185により形質転換されたHDBM細胞からの
cDNAをテスターとして、そしてSH2突然変異体によるものをドライバーと
して使用して、WTp185BCR−ABLにより上方調節された遺伝子を単離
した。平行してSH2をテスターとして、そしてWTをドライバーとして使用し
てRDAも行い、WTp185により下方調節された遺伝子を単離した。異なっ
て増幅された遺伝子断片を次にDpnllで消化し、そしてpBluescri
ptクローニングベクター(カリフォルニア州、ラジョラ、Stratagene)のBa
mHl部位にクローニングした。次にDNAシークエンシングをABIプリズム
・ダイ・ターミネーター・サイクル・シークエンシング・レディ・リサーチ・キ
ット(ABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Research Kit)(Pe
rkin Elmer)またはシークエナーゼ・バージョン2.0DNAシークエンシング ・キット(Sequenase version 2.0 DNA sequencing kit)(オハイオ州、クリー
ブランド、United States Biochemical)を用いて行った。クローンを二方向か らシークエンシングした後に、配列情報を使用してブラスト(BLAST)プログラ ムを用いるデータベースを検索した。タンパク質データベース(非重複の現在ま
でのタンパク質データベース(PDB+SwissProt+PIR)およびヌ
クレオチドデータベース(PDB+GenBank+EMBL)の両者を検索し
た。部分的なマウスG2Aクローン(N2A)の377塩基対DNA断片の配列
分析は、それがデータベースで複数のGPCRファミリー構成員と相同性のある
新規なG2Aであることを示した。
【0043】
【表1】
【0044】 〔実施例4〕 マウスG2AcDNAの単離およびゲノミッククローン 377bpN2A断片をプローブとして使用してマウス脾臓cDNAライブラ
リー(カリフォルニア州、パロアルト、Clontech)を製造業者の指示に従いスク
リーニングした。簡単に述べると、E.coli1090rをTYEブロスの中
で10mMのMgSO4および0.2%のマルトースの存在下で一夜にわたり成長
させた。ライブラリーを大腸菌一夜培養物と共にインキュベーションしそして次
にTYE板の上でTYE+20mMのMgSO4中の0.7%アガロースを用いて
板培養した。プラークが直径約1mmとなるまでの37℃におけるインキュベー
ション後に、板を4℃に1時間冷却し、その後にフィルターを板の上に置いた。
フィルターを次に持ち上げそして100℃において1分間オートクレーブにかけ
てDNAを変性させた。フィルターを1%のSDS、2×SSC(20×SSC
=3MのNaCl、0.3MのNaCitrate2H2O、7.0までのpH) 、10%の硫酸デキストラン、50%のホルムアミド、1×デンハード溶液(5
0×デンハード溶液=1%のフィコール、1%のポリビニルピロリドンおよび1
%のBSA、ペンタックスフラクションV)および0.25mg/mlの鮭精子 DNAを含有するハイブリッド形成緩衝液の中で4時間にわたりプレハイブリッ
ド形成した。N2A断片をプライマー−ltllランダム・プライマー・ラベリ
ング・キット(Primer-lt ll Random Primer Labelling Kit)(Stratagene)を
用いて標識付けした。フィルターを42℃においてハイブリッド形成緩衝液の中
でN2Aプローブを用いてオーバーナイトでハイブリッド形成した。フィルター
を2×SSCおよび0.1%SDSで2回合計1.5時間にわたり洗浄した。1×
106個のプラークのスクリーニング後に1個の陽性クローンを同定した。配列 分析は、クローンがG2AのC−末端部分を含有することを示した。5´−RA
GEを次に使用して5´RAGEシステム(GibcoBRL)を用いて製造業者の指示
に従い遺伝子のN−末端部分を得た。簡単に述べると、N2AGSP1プライマ
ー(表2参照)を使用して一本鎖cDNA合成をプライミングした。一本鎖cD
NAの精製および3´端部におけるcDNAに対する末端デオキシヌクレオチジ
ルトランスフェラーゼ(TdT)によるdCTPのホモポリマー付加後に、ネス
ト状プライマーであるN2AGSP1の3´に置かれた配列および5´RACE
アンカープライマー(表2参照)にアニーリングするN2AGSP2(表2参照
)をマウスのG2AのN−末端断片のPCR増殖用に使用した。20mMのトリ
ス−HCl(pH8.4)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2、200 μMの各dNTP、100nMのN2AGSP2プライマーおよび100nMの
アンカープライマーを含有する50μlの反応混合物の中でPCRが行われた。
dC−テイルcDNAを最初に94℃5分間で変性した。2ユニットのTaqD
NAポリメラーゼの添加後に、35周期の94℃0.5分間の変性、62℃1分 間のアニーリングおよび72℃3分間の延伸によりPCRを行った。
【0045】 遺伝子のN−末端部分の配列情報を得た後に、RT−PCR(3´RACEシ
ステム、GibcoBRL)によりWTBCR−ABLにより形質転換された骨髄細胞か
ら単離された全RNAを使用して全長クローンを得た。全長マウスG2A生成用
のプライマーはN2A3´RACE−1(5´プライマー)およびMuN2A3
´−2(3´プライマー)であった(表2参照)。簡単に述べると、1×XL緩
衝液、1.5mMの酢酸マグネシウム、10pmolの各プライマー、2μlの 一本鎖cDNA合成生成物、0.2mMのdNTPおよび0.5μlのrTthポ
リメラーゼ(Perkin Elmer)を含有するrTthDNAポリメラーゼシステム(
Perkin Elmer)を使用して50μlの反応混合物の中でPCRを行った。サイク
リング条件は、3分間94℃、35周期の94℃0.5分間の変性、62℃1分 間のアニーリング、および3分間72℃の延伸であった。増殖したPCR断片を
アガロースゲル上で分別した。全長マウスG2AcDNA(配列番号1)を含有
する約1.3kbの断片を切除し、Geneclean(商標)を用いて精製し、そしてp
CRllベクター(カリフォルニア州、サンディエゴ、Invitrogen)の中にサブ
クローニングした。複数のクローンをN2AGSP2,N2Arandom、N
2A5、T7、およびM13リバースプライマー(M13 Reverse primer)(表2
参照)を用いてシークエンシングした。マウスG2Aのヘマグルチニン(HA) ラグ変種を作成するために、PCRをMuN2A−HA−NおよびMuN2A−
HA−Cプライマー(表2参照)を用いて行った。増幅したPCR断片をpCR
llベクター(Invitrogen)の中にサブクローニングした。挿入部を次にXho
lおよびNotlで切除しそしてXholおよびNotl部位でpGDレトロウ
イルス発現ベクターの中にサブクローニングした。複数のPCRクローンを二方
向からシークエンシングして、pGD発現ベクターのNotl部位で操作された
HA−tagのフレーム融合を確かめた。
【0046】 マウスG2Aゲノムクローンを得るために、マウスG2AcDNAをプローブ
として使用してマウスゲノムライブラリーをスクリーニングした。ライブラリー
をマウス株129からのゲノムDNAを用いて製造した。ゲノムDNAをMbo
lで部分的に消化し、サイズ分別し(17−21kb)、そしてDashllア
ーム(Stratagene)のBamHl部位に連結反応させた。少なくとも1つの陽性
クローンが単離され、そしてクローンの信頼性をゲノムDNAの直接シークエン
シングおよび遺伝子に特異的なプライマー類を使用するPCR分析により証明し
た。
【0047】
【表2】
【0048】 〔実施例5〕 ヒトG2AcDNAおよびゲノミッククローンの単離 マウスG2Aをプローブとして使用してヒト脾臓cDNAライブラリー(カリ
フォルニア州、パロアルト、ClonTech)をスクリーニングして、ヒト相同体を単
離した。プローブは上記の通りに標識付けされた。ハイブリッド形成はRapi
d−hyb緩衝液(イリノイ州、アーリントンハイツ、Amersham Life Science )の中で2時間にわたり65℃において行われた。フィルターを2×SSCおよ
び0.1%SDSで65℃において合計40分間で2回洗浄した。1.5×106 個のプラークをスクリーニングした後、少なくとも4つの陽性クローン類を単離
した。配列分析は、これらが42kDの計算分子量を有する380個のアミノ酸
のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含有する複製クロー
ンであることを示した。複数のクローンを二方向からシークエンシングして配列
の精度を確実にした。PCRを次に使用してヒト脾臓cDNAからの全長ヒトG
2Aを遺伝子特異的プライマー類であるHuN2A+N1HA(5´プライマー
)およびHuN2AHA−C(3´プライマー)(表3参照)を使用して増幅さ
せた。ヒトG2AのHA−タグ変種を生成するために、5´プライマーHuN2
A+N1HAおよび3´プライマーHuN2A+HA−Cを使用した。全長ヒト
G2AcDNA(配列番号3)を含有する増幅したPCR断片をGeneclean(商 標)を用いて精製し、そしてpCRllベクターの中にクローニングした。複数
のクローンを17.8PB、N2AGSP2,Mu+HuN2A+8、HuN2 AE+2A、HuN2AC−8、およびHuN2A+6プライマー(表2)を用
いてシークエンシングして、配列の精度を確実にした。マウスおよびヒトG2A
の整列で、それらが互いにアミノ酸レベルで約70%の同一性であることを示し
た。
【0049】
【表3】
【0050】 〔実施例6〕 ノーザン分析 RNAをUltraspec RNA単離システム(テキサス州、ヒューストン、Biotech l
aboratories, Inc.)を用いて精製した。当該遺伝子の発現レベルを試験するた めに、遺伝子のDNA断片をプライマー−ltllランダム・プライマー・ラベ
リング・キット(Stratagene)を用いてラベリングした。ノーザンブロッティン
グを上記の通りにして行った(Schneider et al., Cell 54:787-793, 1993)。 簡単に述べると、RNAサンプルをアガロースゲル(1%のアガロース、20m
Mのホスフェート、pH7.0、7%のホルムアルデヒド)の中で分別し、ニト ロピュアニトロセルローストランスファーメンブラン(マサチュセッツ州、ウエ
ストボラフ、Micron Separations, Inc.)に20×SSCを用いて移した。ブロ
ットを80℃において2時間にわたりベーキングし、そしてプレハイブリッド形
成緩衝液(50%ホルムアミド、5×SSC、1×デンハルト、50mMのフォ
スフェートストック緩衝液および0.25mg/mlの鮭精子DNA)の中で4 時間にわたりプレハイブリッド形成した。ブロットを次に42℃においてプロー
ブと共に8mlのプレハイブリッド形成緩衝液および2mlの50%硫酸デキス
トランの中でオーバーナイトでプレハイブリッド形成した。ブロットを2×SS
C、0.1%SDSで室温において30分間にわたり1回洗浄し、2×SSC、 0.1%SDSで60℃において30分間にわたり1回洗浄した。ブロットをX 線フィルムに−70℃において露光した。
【0051】 G2AがBCR−ABLによる造血細胞形質転換に影響するかどうかを評価す
るために、骨髄形質転換検定法を適用してG2Aの存在下または非存在下でのB
CR−ABL介在形質転換の動力学(kinetics)を定量的に測定した。初期マウ
ス骨髄細胞中のBCR−ABLのレトロウイルス介在発現は、異常な細胞依存性
プレ−B培養物の過剰成長をもたらす(McLaughlin et al., 1987)。感染した 骨髄からのプレ−B細胞の成長速度はチロシンキナーゼ活性の強度に直接依存す
る。異所的に発現されたG2Aのタンパク質水準をモニターするために、その水
準がFACSにより定量的に測定できるようなキメラG2A−GFP融合タンパ
ク質を生成した。検定は以下の実施例に記載されているようにして行われた。
【0052】 〔実施例7〕 マウス骨髄形質転換検定法および照射マウスの再構成 3〜4週齢のBALB/cマウスの脛骨および大腿骨からの新鮮な骨髄細胞を 単離し、そしてWTBCR−ABLp185をG2AGFP融合タンパク質(p
MSCV G2A−GFP IRES p185WT)と共にまたはコントロール としてのGFPのいずれかをコードするレトロウイルスを感染させた。IRES
は、発現クローンの収率を改良する内部リボゾーム導入結合部位である。G2A
−GFPおよびGFPのアンチ−センス変種もコントロールとして使用された。
細胞を6cm皿当たり5×106個の細胞の密度で10%の胎牛血清およびβ− メルカプトエタノール(5×10-5M)を含有する以前に記載されたRPMI(
McLaughlin et al., Mol. Cell. Biol. 9:1866-1874, 1989)の中でプレーティ ングした。ウイルスストックを記載されている通りにして製造した(Goga et al
., Cell 82:981-988, 1995)。液体培養物を3回プレートし、そしてプレ−B細
胞成長に関してモニターした。形質転換されたプレ−B細胞を感染から種々の日
数後に計数した。G2A−GFPおよびGFPの発現がFACS分析により確認
された。
【0053】 最初の2週間の検定中に、BCR−ABLでのG2A発現は、BCR−ABL
プラスGFPまたはG2A−GFPアンチ−センスコントロールと比べてプレB
細胞の過剰成長の誘発を遅らせた。G2Aの非存在下でのBCR−ABLにより
形質転換された骨髄培養物は11/2週間内に集密(3mlの培養物当たり>1×1
7個の細胞)に達したが、G2Aの存在下では飽和に達するのに約3週間かか った(図7参照)。3回の独立した実験で同様な結果が得られた。これは、G2
Aがリンパ球中でBCR−ABLの形質転換プロセスを遅らせることを示す。G
2AはGFPと結合されるため、タンパク質レベルはこれらの培養物の中で、F
ACSにより3週間の間に測定することができ、GFPは単独ではその発現レベ
ルを意義あるほど変化させなかったが、G2A−GFPタンパク質レベルは徐々
に減少しそして3週間後にはほぼ検出不能となった(図8)。高レベルのG2A
を発現するB細胞に対するこの逆選択(counter-selection)は、繊維芽細胞で 見られるようなG2Aの抗−腫瘍形成効果を強く示唆する。
【0054】 G2Aは自然には発現されないが、プレ−B細胞中でBCR−ABLにより誘
発されるため、G2Aの発現がB細胞成長の異なる状態において調節されたかど
うかが測定された。Bリンパ球が造血幹細胞から連続的な分化段階により製造さ
れ、その間に抗原受容体の多様なレパートリーが免疫グロブリン遺伝子トランジ
ションにより製造される。D−Jリアレンジメントの開始は早期プロ−B細胞中
およびプレ−B細胞段階で起き、無傷の重鎖が製造される。軽鎖遺伝子は次にリ
アレンジメントを受けて未熟B細胞の表面で完全なlgMタンパク質の発現をも
たらし、それが次にlgMおよび抗原に応答可能なlgD−発現成熟B細胞に分
化する。
【0055】 〔実施例7A〕 B細胞中のG2Aの転写調節 G2Aの発現を試験するために、マウス骨髄B細胞をプロ−B、プレ−B、未
熟Bおよび成熟B細胞に分別して、リンパ腫細胞中の異なる成長区域におけるG
2Aの発現を試験した。半定量的RT−PCR方法を使用してG2AのRNAレ
ベルを測定した。G2A転写はほとんど、同時的に最高の増殖能力を有し且つ組
換えを受けているプレB細胞の中だけに存在する。延伸されたPCR周期はプレ
−Bおよび未熟B細胞の中で低レベルのG2A転写を示した。
【0056】 ウサギのポリクローナル抗−G2A抗体を使用して、同じプロ−B、プレ−B
、未熟Bおよび成熟B細胞部分におけるG2Aのタンパク質レベルを試験した。
FACSを用いると、高いレベルのG2Aタンパク質がプロ−B細胞中で検出さ
れたが、B細胞の他の3部分では非常に弱い染色が存在した(図9)。これらの
結果は、G2AのmRNAレベルがG2Aタンパク質レベルに対応していること
、並びにG2Aの影響がプロ−B細胞中で優先的に制限されているかもしれない
ことを示す。
【0057】 自然刺激がより成熟したB細胞の中でG2Aを活性化できたかどうかを決定す
るために、我々はG2A発現が基本レベルであるヒトB細胞系統(Ramos)
をモデルシステムとして使用した。Ramos細胞(およびJurkat細胞、
ヒトT細胞系統)を抗−lgM抗体により活性化してB細胞受容体(BCR)の
活性化がG2A転写を誘発したかどうかを試験した。
【0058】 〔実施例8〕 BおよびT細胞活性化中のG2A転写の調節 ヒトB細胞(Ramos)およびT細胞(Jurka)を10%の胎牛血清を
含有するRPMl1840の中で2×106個の細胞/mlの密度まで成長させ た。細胞を刺激直前に血清を含まないRPMlの中で2×108個の細胞/ml の密度で再懸濁させた。抗−lgMを用いるRamos細胞の活性化用に、ヤギ
の抗−lgMを細胞懸濁液(0.5ml)に10μg/mlの最終濃度で加えた 。37℃における0分、5分、7時間および24時間後に、RNAを単離した。
【0059】 イオノマイシンおよびPMAによるRamosおよびJurka細胞の活性化
のために、イオノマイシンおよびPMAを細胞にそれぞれ2μg/mlおよび2
0ng/mlの最終濃度となるまで加え、そしてRNAを0、3、6、24およ
び48時間後に単離した。それぞれ抗−CD3およびCD28抗体によるJur
ka細胞の活性化用に、各々10cmプレートに抗−CD3(6.25μg)お よび抗−CD28(12.5μg)抗体(ミズーリ州、セントルイスのSigma)で
コーティングした。Jurka細胞を引き続き抗体でコーティングされた板の上
に接種した。細胞を活性化から0、3、6、24および48時間後に回収しそし
てRNAを単離した。
【0060】 RT−PCR用に、5μgの各サンプルからの全RNAを使用してSuperscrip
t(商標)プレ増殖システム(GIBCO BRL)を用いて一本鎖cDNAを 合成した。一本鎖cDNA合成生成物の10%を次にPCR用に使用した。Hu
N2A−C1(配列番号28)およびHuN2A+6(配列番号33)プライマ
ーをヒトG2A断片の増幅用に使用した。プライマーのコントロールセットであ
るヒトおよびマウス用のG3PDHコントロールアンプリマー類(5´−ACC
ACAGTCCATGCCATCAC−3´;配列番号38および5´−TCC
ACCACCCTGTTGCTGTA;配列番号40)を使用して、等量の鋳型
が使用されたことを確実にした。1×PCR緩衝液(20mMのトリス−HCl
、pH8.4、50mMのKCl:GIBCO)、1.5mMのMgCl2、0.4
mMの各dNTP、10pmolの各プライマー、0.5μlのTaqDNAポ リメラーゼ(GIBCO)および2μlの一本鎖cDNA合成生成物を含有する
50μlの反応混合物の中でPCRが行われた。cDNAを94℃3分間で変性
させた。35周期の93℃0.5分間の変性、58℃1分間のアニーリング、お よび72℃2分間の延伸によりPCRが行われた。
【0061】 G2A転写は刺激されなかったRamos細胞ではほとんど検出不能であった
。ヒトG2AはB細胞中では4時間の活性化の間に抗−lgM抗体により転写的
に上方調節され、強い細胞受容体架橋結合がG2Aの発現を調節することを示唆
する。G2A転写の上方調節は細胞内信号化経路の受容体−非依存性活性化に対
する応答でも観察された。それぞれ細胞内カルシウムレベルを高めそしてタンパ
ク質キナーゼCを活性化させるためのイオノマイシンおよびPMAのB細胞への
同時添加は、増加したレベルのG2AmRNAを生じる結果となった。G2A転
写の時間工程分析は、誘発にはこれらのアクチベーターで2〜4時間が必要であ
ることを示した。CD40リガンドによるRamos細胞の活性化もG2A転写
を上方調節した。さらに、DNA損傷および細胞周期分裂停止を誘発する方法で
あるRamos細胞のX線照射も、G2Aの転写を誘発した。しかしながら、J
urkat細胞ではPMAプラスイオノマイシンまたは抗−CD3プラスCD2
8抗体による活性化でG2A転写レベルにおける劇的な変化は観察されなかった
。これらのデータは、ヒトG2AがB細胞活性化中に役割を果たすかもしれない
ことを示唆する。コントロールとして、グリセルアルデヒド3−ホスフェートデ
ヒドロゲナーゼ(G3POH)コントロールアンプリマーセットを使用して、等
量の鋳型がRT−PCR用に使用されたことを確実にした。まとめると、これら
の結果はG2AがB細胞活性化で役割を果たすかもしれないことを示唆する。G
2Aの転写活性化は、B細胞の細胞消滅またはB細胞の増殖および/もしくは分
化のいずれかに関与しているかもしれない。
【0062】 腫瘍サプレッサー因子p53の転写は電離放射線(ionizing radiation)によ
り誘発できることが示されていた。G2Aは腫瘍サプレッサー因子と同様に機能
しそしてその発現は種々の刺激により転写的に調節されるため、多くの腫瘍サプ
レッサー因子を活性化するDNA損傷剤(damading agent)がG2Aの発現も誘
発するかどうかが決定された。
【0063】 〔実施例8A〕 DNA−損傷剤によるG2A発現の誘発 様々な量のX線を使用してRamos細胞を照射し、そして全RNAサンプル
をオーバーナイトのインキュベーション後に抽出した。G2A転写は投与量依存
方法で誘発され、そして約9Gyで最大に達した。電離放射線は一本鎖および二
本鎖DNAを破壊するため、他のDNA損傷剤がG2A転写も活性化するかどう
かが決定された。異なるタイプのDNA病変を引き起こす広範囲の試薬:チミジ
ン二量体の生成を誘発する紫外線照射;デノボDNA前駆体合成を抑制する化学
試薬(ヒドロキシウレア、5−フルオロウラシル);DNA合成を直接阻止する
化学試薬(サイトシンアラビナシド、タキソール、エトポシド);またはDNA
二重螺旋とインターカレートする試薬(ドキソルビシン)が選択された。G2A
転写は、試験した全てのDNA損傷剤に応答して上方調節されることが見出され
、G2Aの誘発はDNA損傷の一般的センサーの活性化によるかもしれないこと
を示唆する。
【0064】 〔実施例9〕 発現ベクター中へのマウスおよびヒトG2Aの挿入 G2AcDNAを数種の真核細胞発現ベクターの中に挿入した。これらの構造
体のいずれかを使用して当該技術で既知の方法を用いる組換えG2Aの製造のた
めに真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞、をトランスフェクションすることがで
きる。そのような方法は、例えば、Sambrock et al. (Molecular Biology: a L
aboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988; Ausubal, Current
Protocols in Molecular Biology, 1988)に記載されている。そのような真核細
胞はRat−1、NIH3T3、293T、CHO、COS−7およびBHK細
胞を包含する。G2Aは、当該技術で既知の方法を用いてSf9昆虫細胞を感染
させるために使用されるバクロウイルス発現ベクターの中に挿入することもでき
る。
【0065】 pCRllベクター(Invitorogen)中のN−末端フラッグ−タグマウスG2 AをマウスG2Aのインビトロ転写および翻訳用並びにノーザンS1またはイン
シトゥ分析用のプローブを製造するために使用した。一本鎖cDNA中へのRN
Aの逆転写はWTBCR−ABLで形質転換された骨髄細胞から単離されたRN
Aを用いて行われた。1×pfu緩衝液(20mMのトリス−HCl、pH8. 75、10mMのKCl、10mMの(NH42SO4、2mMのMgSO4、0. 1%のTritonX−100、100μg/mlのBSA)(Sigma)を含有する5 0μlの反応混合物の中で10pmolのMuN2Aflag5およびMuN2
A3´−1プライマー(表2)を用いてPCRが行われた。cDNAを最初に9
4℃3分間で変性した。35周期の0.5分間94℃の変性、1分間62℃のア ニーリング、および3分間75℃の延伸によりPCRが行われた。増幅したPC
R生成物を製造業者の指示に従いpCRllベクター(Invitrogen)の中にクロ
ーニングした。
【0066】 pSRα-Flag-G2A tk Neo発現ベクターは哺乳動物細胞中でのマ
ウスおよびヒトのG2Aの発現用レトロウイルス発現ベクターである。この構造
体では、Neo遺伝子はG41Bによる感染細胞選択用の単純ヘルペスウイルス
チミジンキナーゼ(tk)プロモーターの調節下にある。pCRll−Flag
−Mu−G2AからのEcoRl挿入部を切除し、そしてpSRα−Flag−
G2AtkNeoの中にTKプロモーター上流のEcoRlクローニング部位で
クローニングした。
【0067】 pCR−Flag−MuG2Aのタグなし版であるpCRll−Mu−G2A
をインビトロ転写および翻訳用に並びにノーザン、S1またはインシトゥ分析用
のプローブを製造するために使用した。このベクターの作成のためには、RT−
PCRをMuN2A5´EcoおよびMuN2A3´−1(表2)を使用してp
CRll−Mu−G2Aに関して記載された処方を用いて行った。増幅したPC
R生成物をpCRllベクターの中にクローニングした。インビトロ転写および
翻訳はTNT−共役網状赤血球溶解物システム(ウィスコンシン州、マジソン、
Promega)を用いて製造業者の指示に従い行われた。Mu−G2Aのインビトロ 転写および翻訳は、マウスG2Aの計算分子量と同様な約42kDaの分子量を
有するタンパク質生成物を出現させた。
【0068】 マウスG2AのC−末端HA−タグ付き版であるpCRll−Mu−G2A−
HAをインビトロ転写/翻訳用に並びにノーザン、S1またはインシトゥ分析用
のプローブを製造するために使用した。このベクターの作成のためには、RT−
PCRをプライマーMuN2A5´EcoおよびMuN2A3´HAを使用して
マウスG2AのHA−タグ付き版を含有するプラスミドベクターpCD−Mu−
G2A−HAを用いて行った。PCR生成物をpCRllベクター(インビトロ
ゲン)の中にクローニングした。
【0069】 pMu−G2A−GFPの作成のためには、マウスG2AをpEGFP−N1
ベクター(Clontech)の中でN−末端緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合させ
た。マウスG2AをマウスG2Aに特異的なプライマーを用いて増幅させ、そし
てpEGFP−N1ベクターの中でGFPとフレームに合うように融合させた。
Mu−G2A−GFP融合タンパク質の発現はFACS分析により確認された。
この融合タンパク質は後の哺乳動物細胞中でのマウスG2Aの発現およびG2A
の機能分析に使用できるであろう。同様に、pEGF−Hu−G2A−GFPに
関しては、ヒトG2AをpEGFPベクター中でN−末端緑色蛍光タンパク質(
GFP)に融合させた。ヒトG2AをヒトG2Aに特異的なプライマーを用いて
増幅させ、そしてpEGFPベクターの中でGFPとフレームに合うように融合
させた。この融合タンパク質は後の哺乳動物細胞中でのヒトG2Aの発現および
G2Aの機能分析において使用できるであろう。
【0070】 〔実施例10〕 BCR−ABLによるインビボ白血病発症の促進 再構成の1日前に、重い合併免疫不全称(SCID)マウスに275rads
の致死量以下で照射した。骨髄全部を単離し、そして上記のレトロウイルスを感
染させた。感染から3時間後に、骨髄をレシピエントSCIDマウスの尾の静脈
中に静脈内注射した。動物を12週間の期間にわたり、病気の症状に関してモニ
ターする。病気のマウスを殺し、そして組織をウエスターンブロッティングによ
りBCR−ABL発現に関して分析する。血液および脾臓サンプルを蛍光活性化
細胞選別(FACS)により分析する。血液塗抹標本をライト/ギエムサ染色に
より分析する。WTBCR−ABLを注射したマウスは、SH2突然変異体を注
射したマウスより有意に多い白血病発症を示す。
【0071】 BCR−Ablの腫瘍形成能力に対するBCR−ABL調節された遺伝子の影
響を評価するために、軟質寒天繊維芽細胞コロニー形成検定法を使用した。BC
R−ABLは、げっ歯動物の繊維芽細胞(Rat−1)の軟質寒天中でのアンコ
ラージ(anchorage)−非依存性成長を与え、そしてコロニー数はその形質転換 能力を定量的に反映する(Lugo et al., Mol. Cell. Biol. 9:1263-1270, 1989 )。この検定法を以下に記載する。
【0072】 〔実施例11〕 腫瘍サプレッサー因子としてのG2A機能 G2A、G2A−GFP、またはG2Aインディケーター細胞系統をヘルパー
を含まないレトロウイルスによるRat−1繊維芽細胞の感染により生成し、そ
の後に約1−2週間にわたりG418(0.4mg/ml)の中で選択した。G 2A−GFPおよびGFPは、FACS分析によりFACScan(Becton Dic
kinson)を使用して確認した。種々の腫瘍遺伝子による形質転換を上記の軟質寒
天検定法を用いて測定した(Lugo et al., 上記参照)。簡単に述べると、イン ディケーター細胞系統を6×104個の細胞/6cm皿の密度でオーバーナイト で板培養した。感染は37℃において3時間にわたり8μg/mlのポリブレン
を含む1mlのウイルスを用いて行った。感染から2日後に、細胞を回収しそし
て寒天の中で1×104個の細胞/6cm皿の密度で2回板培養した。皿を1週 間にわたり再供給しそしてコロニーを3週間後に計数した。直径が0.5mmよ り大きいコロニーを陽性と評価した。
【0073】 G2AまたはNeo−発現Rat−1細胞系統もレトロウイルス感染およびG
418選択により生成し、その後にBCR−ABLを発現するレトロウイルスス
トックを過剰感染させた。FACS分析およびウエスターンブロッティングによ
り示されるように、BCR−ABLを発現するレトロウイルスにより同様なパー
センテージの細胞が感染した。
【0074】 RDAスクリーンにより単離された遺伝子のほとんどは、BCR−ABLの腫
瘍形成能力に認められる影響を有していなかった。しかしながら、G2AはBC
R−ABLが軟質寒天中でコロニーを形成する能力を強く拮抗した。表4のA−
Bに挙げられているように、G2Aの過剰発現はBCR−ABLp185により
誘発される寒天コロニー数を約5倍ほど抑制した。GFPを含むG2Aエピトー
プ−タグ付きはRat−1細胞の中でBCR−ABL介在形質転換を阻止する一
部の能力を保有していた。G2Aはブルトンチロシンキナーゼの活性化変種であ
るGag−BTK´および転写因子MyCにより誘発される寒天コロニーも阻止
した。興味深いことに、G2Aはv−ABLまたはセリンキナーゼ腫瘍遺伝子v
−Mosにより介在される形質転換を阻止できなかった。v−ABLおよびv−
Mosは、細胞をCR−ABL、MyCおよびGag−BTK´とは異なる機構
により形質転換させるかもしれない。BTKはB細胞成長において重要な役割を
果たすことが示されているため(Tsukada et al., Cell 72:279-290, 1993; Raw
lings et al., Immunological. Rev. 138, 1994)、G2AがGag−BTK´ 形質転換を阻止する能力はG2AがB細胞成長中にBTKのレギュレーターであ
るかもしれないことを示唆する。同様に、G2A遺伝子の過剰発現は骨髄細胞の
形質転換を抑制した。さらに、インビボ腫瘍形成および白血病発症検定法を使用
して種々の有機体により誘発される悪性表現型に対するG2Aの影響を分析する
ことができる。インビトロ、エクスビボおよびインビボでの、G2Aをコードす
る発現構造体、好ましくはレトロウイルスまたはアデノウイルスベクター構造体
、による細胞のトランスフェクションまたは感染が細胞増殖の抑制をもたらす。
本発明の好ましい態様では、骨髄は白血病患者から標準的方法により単離され、
そしてここに記載されているようなG2Aをコードするレトロウイルス構造体を
骨髄細胞に感染させる。骨髄を次に患者に戻す。骨髄細胞中のG2Aの過剰発現
はさらに白血病発症を抑制し、そして有意な臨床的改良をもたらす。
【0075】
【表4】
【0076】 Rat−1/Neo細胞は、BCR−ABLによる形質転換に典型的な顕著な
延長表現型を示した。G2Aは、BCR−ABLによるこの全体的な形態学的変
化を阻止した。これらの同じ細胞集団を寒天の中で板培養した時には、野生型B
CR−ABLだけが3週間後に1,000個以上のコロニーを生じた。対照的に 、G2Aで同時発現されたBCR−ABLは5倍も少ないコロニーを生じ、それ
はG2AがBCR−ABL介在形質転換を拮抗することを示す。回収されそして
液体培養物中で拡大された寒天コロニーのFACS分析による評価は、寒天中で
成長した細胞はG2Aの発現を損うがBCR−ABLは損なわなかったことを示
した。それ故、G2Aは形質転換に対して抗−増殖効果を有する。
【0077】 G2Aが細胞周期進行の抑制に含まれているかどうかを決定するために、Ra
t−1繊維芽細胞に以下の実施例に記載されている通りにしてG2A遺伝子を発
現するレトロウイルスを感染させた。
【0078】 〔実施例12〕 G2Aが有糸分裂中のRat−1細胞内で細胞周期分裂停止を誘発する Rat−1細胞をG418(0.4mg/ml)で1週間にわたり選択しそし て亜集密(subconfluence)または集密(confluence)となるまで成長させた。 細胞をトリプシン処理により回収しそして遠心により粒状化した。細胞を次にビ
ンデロフステイン(5mMのトリス、pH7.4、5mMのNaCl、0.05%
のNP−40、0.04mg/mlのヨウ化プロピジウム、5μg/mlのRN ase)の中に再懸濁させそして氷上で15分間にわたり暗所でインキュベーシ
ョンした。フローサイトメトリー分析をFACScan(Lysis IIプログラム)
を用いて行った。表5に示されているように、G2Aの発現が細胞周期のG2/
M相中の細胞のパーセンテージを増加させる。顕微鏡下でのG2Aを発現するR
at−1細胞の試験は、二または多核を有する細胞の比較的高いパーセンテージ
を示し(約5−10%対平行Rat−1細胞中で観察された1%以下)、G2A
を発現する細胞は有糸分裂の後期において分裂停止されているようであった。ま
とめると、これらのデータはG2Aが腫瘍サプレッサー因子として機能するかも
しれずそして有糸分裂中の細胞周期分裂停止に含まれることを示唆する。G2A
の生物学的性質は腫瘍サプレッサー因子であるp53と類似性を共有する。G2
Aおよびp53の両者は細胞成長を負に調節しそして細胞周期分裂停止を誘発す
る。興味深いことに、それらの発現は例えばX線の如きDNA損傷誘発剤により
両者とも上方調節される。ある種の腫瘍遺伝子がG2Aの発現を誘発する能力お
よびG2Aがこれらの遺伝子の腫瘍形成能力を阻止する能力は、G2Aが細胞が
不運な形質転換表現型に対抗する自己防衛機構を含むかもしれないことを示唆す
る。
【0079】
【表5】
【0080】 〔実施例13〕 G2AがNIH3T3細胞中で有糸分裂の進行を阻止する 繊維芽細胞およびリンパ腫細胞中でのG2Aの抗−腫瘍形成効果、並びに細胞
周期分裂停止関連DNA損傷剤によるG2Aの誘発は、G2Aが細胞周期調節に
含まれるかもしれないことを示唆した。この可能性を検討するために、レトロウ
イルス発現G2A、G2A−GFP融合タンパク質またはGFP対照を使用して
容易に感染可能な(>90%の感染)NIH3T3細胞を感染させた。G2Aレ トロウイルスによる一時的感染は、通常の成長条件(10%FBS)下で約10
%ほどG2/Mで細胞の一部を再現可能式に増加させ、G2AがG2/Mで細胞
を分裂停止させることを強く示した。このパーセンテージの増加はp53の過剰
発現により引き起こされるものと匹敵する。G2Aが血清飢餓条件下でG2/M
阻止を与えるかどうかをさらに試験するために、レトロウイルス発現G2A、G
2A−GFP融合タンパク質またはGFP対照を0.1%FBSの存在下で48 時間にわたり培養した。細胞を回収しそしてDNA含有量をFACSにより分析
した。血清飢餓から2日後に、GFPだけを発現する対照細胞の95%は2N DNAを含有しており、これらの細胞がG1で成長因子欠失で分裂停止されたこ
とを示唆する。しかしながら、G2AまたはG2A−GFP融合タンパク質を発
現する細胞は依然として4N DNA含有量(それぞれ、39%および34%) を有する大きいパーセンテージの細胞を示し、G2Aが成長因子欠失中にG2/
Mから細胞が出るのを阻止することを示唆する(図10)。成長因子欠失中に効
果が強められる8N DNA含有量における増加、およびG2AまたはG2A− GFP融合タンパク質を発現する細胞中での複数核の5−10%の増加も観察さ
れた(図10)。これは、G2Aを発現する細胞中でのDNAの内部複製がある
ことを示唆するが、これらの細胞は細胞質分裂を受けず、分裂紡錘体チェックポ
イントの撹乱におけるG2Aの可能な追加の役割を示唆する。
【0081】 G2A初期配列の試験は、ユビキチンの共役に関する認識モチーフとして作用
するかもしれないサイクリン遺伝子生成物中で最初に見出された「破壊ボックス
」の存在を示す。細胞質ゾル性のユビキチン処理されたサイクリンはマルチサブ
ユニット26Sプロテオゾームにより変性する(Hochstrasser, 1996)。例えば
酵母Ste2の如きある種のGPCR類はユビキチン処理され、それはその後の
変性用のそれらのインターナリゼーションに必要であるという証拠がある。より
最近の報告は信号のインターナリゼーション用GPCRのユビキチン処理の役割
を示したが、それはプロテアゾームによる変性はしなかった(Terrell et al.,
Molecular Cell 1:193-202, 1998)。G2A中の「破壊ボックス」の存在がG2
Aをユビキチン処理しそして下方調節するかまたはユビキチン経路を介してイン
ターナリゼーションするかもしれない可能性を高めた。
【0082】 〔実施例14〕 ユビキチン経路を介するG2Aの変性 N−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ノルロイシナル(AL
LN)は、20Sプロテアゾームを介するユビキチン処理されたタンパク質の変
性を防止する20Sプロテアゾームの有効なインヒビターである。ALLNの添
加がG2Aのタンパク質水準を高め、そしてG2Aが介在するG2/M阻止を可
能にするかどうかを決定するために、マウス繊維芽細胞にG2A−GFPまたは
GFPを発現するレトロウイルスを感染させた。以前の報告で使用されたものよ
り4倍ほど低い投与量のインヒビター(50μM)を用いるオーバーナイトのイ
ンキュベーション後に、細胞を回収しそしてGFPに関してFACSにより分析
した。ALLNはG2A−GFPのタンパク質水準をlog蛍光強度により測定
して4−5倍ほど高めた(図11)。これらのデータは、20Sプロテアゾーム
活性の部分的抑制がG2Aの全体的なタンパク質水準を安定化させたか、または
高めたことを示唆する。ALLNによるG2Aの高められたタンパク質水準がG
2/M阻止を可能にした(44%から62%)(図12)。他の関連ペプチドア
ルデヒドであるN−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−マチオナ
ル(ALLM)でも同様な結果が得られた。
【0083】 推定上の「破壊ボックス」の損失がG2Aを安定化させて、タンパク質レベル
または過剰活性G2Aに対する細胞逆選択を増加させ、全体的なタンパク質レベ
ルにおける減少をもたらすかもしれない。この突然変異は折り損なった非官能性
受容体をもたらすかもしれず、それはそれがプラズマ膜に局在化する前でも変性
する。破壊ボックスおよびG2Aのユビキチン処理が膜の局在化、リガンド活性
化またはインターナリゼーションの如きその正常な機能にために必要である。さ
らに、ユビキチン突然変異体はより低いタンパク質濃度を生じた。
【0084】 p53およびAblを包含する多数の遺伝子がG2/M調節に考えられていた
。p53はCdc2/サイクリンB複合体の活性化に必要なCdc25の活性化
を防止することによりG2/Mのトランジションを遅らせることが示されている
。G2/MチェックポイントにおけるAblの正確な役割は未知であるが、Ab
lがATMと物理的に相互作用しそしてDNA損傷によるAblキナーゼ活性の
活性化がATMに依存することが示された。ノックアウトマウスがリンパ腫症候
群を示すためAblも興味深く、他の細胞タイプの中より大きいリンパ腫細胞中
での意義ある細胞周期調節役割を示唆する。
【0085】 〔実施例15〕 Ablおよびp53はG2AによるG2/M阻止に関して調節されない p53またはAblがG2A−介在G2/M分裂停止に含まれるかどうかを決
定するために、我々はG2Aの過剰発現がp53またはAblを欠いた繊維芽細
胞中でG2/M分裂停止を誘発するかどうかを試験した。Ablノックアウト細
胞系統では、G2A−GFPの過剰発現が細胞のパーセンテージをNIH3T3
細胞と比べた時に10%のFBSの存在下で約15%ほど高めた(図13)。G
2Aを発現する高いパーセンテージはGFPを発現する細胞と比べて血清飢餓(
0.1%FBS)後にG2/M(39%)で分裂停止されたままであり(図13 )、Abl発現がG2AによるG2/M分裂停止にとって機能的に必要ないこと
を示唆する。
【0086】 同様な実験をp53−/−繊維芽細胞系統に対しても行ってp53がG2Aに
よるG2/M分裂停止にとって必要かどうかを決定した。p53−/−繊維芽細
胞のFACS分析は細胞周期レギュレーターとしてのp53の意義ある役割と一
致する細胞周期を超えた異常な分布を生じた。p53の非存在下でのG2Aの過
剰発現は通常の成長条件(10%FBS)下ではG2/Mで細胞のパーセンテー
ジを意義あるほど高めなかった(図14)。48時間にわたる血清飢餓はGFP
発現細胞(18%)に比べてG2/M(33%)で分裂停止されたままの大きい
パーセンテージのG2A発現細胞を示し(図14)、p53はG2AによるG2
/Mに必要ないことを示唆する。
【0087】 p53はDNA損傷の共通センサーであり且つDNA損傷に応答する多くの遺
伝子(例えばp21、14−3−3)の発現を誘発する転写因子として作用する
ため、p53がリンパ球中の電離放射線に応答するG2Aの誘発に必要かどうか
が決定された。骨髄細胞をWTおよびp53ノックアウトマウスから単離しそし
てlL−7およびSLF(スチール因子)と共にインキュベーションしてプレ−
B細胞の自然発生成長を刺激した。これらのプレ−B細胞を次に変動する投与量
のX線で照射した。照射に続くオーバーナイトのインキュベーション後に、全R
NAを単離し、そして半定量的RT−PCRを上記の通りにして行った。G2A
転写体のレベルは活性的に成長する照射されなかったプレ−B細胞では低く、活
性増殖信号はG2A発現を誘発するのに充分ではないことも示唆する。WTおよ
びPp53−/−マウスの両者においてX線によりG2A転写体が誘発され、ガ
ッマ線によるG2Aの誘発はp53に依存しないことを示唆する。
【0088】 G2AがG2/Mでp53およびablの非存在下で細胞周期を分裂停止する
能力が独特な経路による信号化を示唆した。G2A介在G2/M阻止に応答する
分子機構を理解するために、我々はG2A信号が必須成熟促進因子(MPF)成
分Cdc2を通るかどうかを決定した。カフェインによる正確な作用方式は未知
であるが、カフェインはCdc25を活性化しそしてCdc2の中でThr14
/Tyr15の脱リン酸化をもたらし、Cdc2/サイクリンB複合体の活性化
をもたらしそして有糸分裂を完成させることを示唆した。
【0089】 G2A−GFP融合タンパク質またはGFPを発現するレトロウイルスを感染
させたマウス繊維芽細胞を5mMのカフェインの存在下でインキュベーションし
た。細胞をFACS分析用に一夜のインキュベーション後に回収した。G2A−
発現細胞はカフェインの非存在下ではGFP−発現細胞と比べてG2/Mで高い
パーセンテージを示した。5mMのカフェインを用いる一夜のインキュベーショ
ンはG2/Mの分裂停止を軽減し、G2A介在G2/M阻止がCdc2の上流で
あることを示唆する(図15)。
【0090】 〔実施例17〕 ヒトG2Aの染色体局在化 蛍光インシトゥハイブリッド形成(FISH)をフィトヘマグルチニン(PH
A)で刺激された末梢血液リンパ球から製造されたヒト中期細胞を使用して行っ
て遺伝子位置を決定した。G2Aプローブは、ラムダDASHベクター(Strata
gene)中にSAll部位でクローニングされたヒトゲノム断片であった。FIS
HはRowley et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:9368-9372, 1990)に
より記載されている通りにして行われた。ビオチンで標識が付けられたプローブ
はニック−翻訳によりBio−16−dUTP(Enzo diagnostics)を用いて製
造された。ハイブリッド形成は蛍光共役アビジン(カリフォルニア州、バーリン
ゲームのVector Laboratories)を用いて検出され、そして染色体は4,6−ジア
ミノ−2−フェニルインドール−ジヒドロクロリド(DAPl)による染色によ
り同定された。ヒトG2Aは染色体14、バンドq32.3に局在化されている ことが見出された。14q32.3における染色体異常が広範囲のヒトの癌に関 連することは示されている。例えば、バンド14q32.3および19p13.3
のトランジションが複数の骨髄性および血漿細胞白血病の患者で見出された(Ta
niwaki et al., Leukemia and Lymphoma 21:25-30, 1996; Fujino et al., Canc
er Res. 55:3246-3249, 1995)。さらに、欠失地図作成分析は14q32におけ
る推定腫瘍サプレッサー因子の損失が卵巣、腹腔、直腸および膀胱癌の発症に含
まれるかもしれないことを強く示唆した(Bandera et al., Cancer Res. 57:513
-515)。14q32における染色体異常は例えば癒着性移植神経節腫および被膜
細胞リンパ腫の如き他のヒトの疾病でも報告されている(Bergsagel, Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A. 93:13931-13936, 1996; Vaandrager et al., Blood 88:1
177-1182, 1996)。G2Aが腫瘍遺伝子の形質転換表現型を抑制する能力に基づ
き、G2Aはその発現の損失がある種の癌の進行に少なくとも部分的に含まれる
かもしれないような腫瘍サプレッサー因子候補である。
【0091】 本発明は詳細な記述に記載された態様にのみ限定されないことに注意すべきで
ある。本発明の精神を保有するいずれの態様もその範囲内であると考えるべきで
ある。しかしながら、本発明は添付された請求項によってのみ限定される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、哺乳動物の細胞周期チェックポイントを示すスキーム図
である。
【図2】 図2は、再現的示差分析(RDA)による示差的に発現された遺伝 子の単離を描写するスキーム図である。mRNA単離およびcDNA合成後に、テ スターおよびドライバーcDNAを制限酵素(RE)で消化しそしてアダプター
と連結反応させる。PCR増幅後に、アダプターをRE分解により除去しそして
新しいアダプターをテスターDNA断片だけと連結反応させる。テスターDNA
を過剰のドライバーDNAとハイブリッド形成させる。示差的に発現された遺伝
子からのDNA断片は新しいアダプターと両端でホモダイマーを形成しそしてP
CRにより指数的に増幅させることができる。両方のドラーバー中に存在する断
片が効率的に増幅した。このプロセスを3−4回繰り返しそして示差的に増幅し
たDNA断片をさらなる分析用にサブクローニングする。
【図3】 図3は、7つの予想されたトランスメンブラン領域を示すマウス
G2Aのスキーム図である。
【図4】 図4は、G2Aと他のGPCRファミリーの構成員との関係を示
すGPCR類の系統樹である。
【図5】 図5は、マウスおよびヒトG2Aの配列の整列を示す。ヒトおよ
びマウスG2Aはアミノ酸水準で約70%の同一性を共有する。
【図6】 図6は、BCR−ABL、TEL−ABLおよびv−ABLの種
々の領域を示すスキーム図である。SH3=src相同性領域3;SH2=sr
c相同性領域2;pTyr=ホスホチロシン;自己−PO4=自己リン酸化部位;
Grb−2=BCR−ABLをRasに共役させるアダプタータンパク質;ML
H=タンパク質のオリゴマー化およびAblキナーゼ活性の活性化に含まれるヘ
リックス・ループ・ヘリックス領域。
【図7】 図7は、BCR−ABLおよびG2A−GFPまたはBCR−A
BLおよびGFP(コントロール)をコードするレトロウイルスベクターで翻訳
された骨髄細胞の成長に対するG2Aの影響を示す。
【図8】 図8は、G2A−GFPまたはGFPレトロウイルスベクターで
形質転換されたプレ−B細胞中のG2Aの対抗選択を示すフローサイトメトリー
プロファィルである。
【図9】 図9は、プロ−B、プレ−B、未熟Bおよび成熟B細胞における
G2Aの発現を示すフローサイトメトリープロフィルである。
【図10】 図10は、G2Aが血清除去でG2/M転写において細胞を分
裂停止させることを示す。
【図11】 図11は、ユビキチンプロテアゾームインヒビターがG2Aタ
ンパク質水準を増加させることを示す、フローサイトメトリープロフィルである
【図12】 図12は、ユビキチン経路インヒビターがG2AによるG2/
Mトランジション阻止を可能にすることを示す。
【図13】 図13は、G2AによるG2/M阻止がABLに非依存性であ
ることを示す。
【図14】 図14は、G2AによるG2/M阻止がp53に非依存性であ
ることを示す。
【図15】 図15は、カフェインがBSAによるG2/M阻止を軽減する
ことを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/705 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 33/566 33/566 C12P 21/02 C // C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ウィッテ,オーウェン,エヌ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 91403 シャーマン オークス サットン スト リート 1427 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA34 AA35 CB01 CB02 DA12 DA13 DA36 DA78 FB01 FB02 FB03 FB12 4B024 AA01 AA11 BA63 CA04 DA02 DA03 EA02 GA11 HA01 4B064 AG20 AG27 CA10 CA19 CC24 DA01 DA14 4C084 AA13 AA17 BA35 DC50 NA14 ZB262 4H045 AA10 AA30 BA10 CA40 DA50 EA22 EA28 EA50 FA74

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Gタンパク質−共役受容体G2Aをコードする単離されたポ リヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが配列番号1または配列番号3に
    示された塩基配列を有するポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 Gタンパク質−共役受容体G2Aをコードする単離されたポ リヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが65℃において2×SSC、0
    .1%SDS中で、配列番号1に示された配列を有するポリヌクレオチドの相補 体とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2または配列番号4に示されたアミノ酸配列を有す
    る、単離された組換えGタンパク質−共役受容体G2A。
  4. 【請求項4】 配列番号1に示された配列を有するポリヌクレオチドの発現
    により得られる、配列番号2に示されたアミノ酸配列を有する請求項3記載のタ
    ンパク質。
  5. 【請求項5】 配列番号3に示された配列を有するポリヌクレオチドの発現
    により得られる、配列番号4に示されたアミノ酸配列を有する請求項3記載のタ
    ンパク質。
  6. 【請求項6】 65℃において2×SSC、0.1%SDS中で、配列番号 1に示された配列を有するポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズすること
    ができるポリヌクレオチドによりコードされた、単離されたGタンパク質−共役 受容体G2A。
  7. 【請求項7】 Gタンパク質−共役受容体G2Aを試験化合物と接触させ、
    該化合物が該G2Aと結合しているかどうかを決定し、そして 受容体活性の刺激が該化合物がG2Aのアクチベーターであることを示すような
    受容体活性検定法において該G2Aと結合する化合物を試験する 段階を含む、Gタンパク質−共役受容体G2Aを活性化する化合物を同定する方
    法。
  8. 【請求項8】 前記G2Aが細胞表面上で発現される、請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 前記受容体活性検定法が高密度骨髄形質転換検定法である、
    請求項7の方法。
  10. 【請求項10】 G2Aを試験化合物と接触させ、 該化合物が該G2Aと結合しているかどうかを決定し、そして 受容体活性の抑制が該化合物がG2Aのインヒビターであることを示すような受
    容体活性検定法において、該G2Aと結合している化合物を試験する 段階を含む、G2Aを抑制する化合物を同定する方法。
  11. 【請求項11】 前記G2Aが細胞表面上で発現される、請求項10の方法
  12. 【請求項12】 前記受容体活性検定法が高密度骨髄形質転換検定法である
    、請求項10の方法。
  13. 【請求項13】 前記細胞をG2A受容体を活性化させる化合物と接触させ
    ることを含む、細胞中で細胞周期分裂停止を誘発する方法。
  14. 【請求項14】 前記細胞周期分裂停止が該細胞周期のG2/Mトランジシ
    ョンで起きる、請求項13の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞が白血病細胞またはリンパ腫細胞である、請求項
    13の方法。
  16. 【請求項16】 癌細胞がG2A転写体を発現するかどうかを決定する段階
    を含む癌細胞の存在を決定する方法であって、対照細胞と比較して増加した水準
    の該転写体の存在が該細胞が癌細胞であることを示す方法。
  17. 【請求項17】 前記の決定する段階は、ノーザンハイブリダイゼーション
    またはポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項16の方法。
  18. 【請求項18】 癌細胞がG2Aタンパク質を発現するかどうかを決定する
    段階を含む癌細胞の存在を検出する方法であって、対照細胞と比較して増加した
    水準の該タンパク質の存在が該細胞が癌細胞であることを示す方法。
  19. 【請求項19】 前記の決定する段階は、前記細胞を前記G2Aタンパク質
    に特異的な抗体と接触させ、そして該抗体の存在を検出することを含む、請求項
    18の方法。
  20. 【請求項20】 前記の決定する段階が蛍光活性化細胞選別(FACS)を
    含む、請求項12の方法。
  21. 【請求項21】 細胞を20Sプロテオゾームのインヒビターと接触させる
    ことを含む、細胞中でG2A受容体の分解を抑制する方法。
  22. 【請求項22】 前記インヒビターがN−アセチル−L−ロイシニル−L−
    ロイシニル−L−ノルロイシナル(ALLN)またはN−アセチル−L−ロイシ
    ニル−L−ロイシニル−L−メチオナル(ALLM)である、請求項21の方法
  23. 【請求項23】 骨髄を白血病発症の抑制を必要とする個体から単離し、 該骨髄をG2Aタンパク質をコードする発現構造体でトランスフェクションまた
    は感染させ、そして 該骨髄を該個体に戻す ことを含む、白血病発症を抑制する必要のある個体において白血病発症を抑制す
    る方法。
  24. 【請求項24】 前記発現構造体がレトロウイルスベクターまたはアデノウ
    イルスベクターである、請求項17の方法。
  25. 【請求項25】 白血病発症抑制用のG2Aタンパク質をコードする発現構
    造体。
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