JPH10502252A - Dp−1及びその他のdpタンパク質の阻害剤のアッセイ - Google Patents

Dp−1及びその他のdpタンパク質の阻害剤のアッセイ

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JPH10502252A JP8503745A JP50374596A JPH10502252A JP H10502252 A JPH10502252 A JP H10502252A JP 8503745 A JP8503745 A JP 8503745A JP 50374596 A JP50374596 A JP 50374596A JP H10502252 A JPH10502252 A JP H10502252A
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Abstract

(57)【要約】 DP-1/E2F-1転写因子複合体の部分であるDP-1、並びにDP-2及びDP-3は、細胞分裂周期進行の間に制御されるそのリン酸化レベルを有する。この知見により、特にDPのリン酸化状態に影響し得る物質についての、DPタンパク質のリン酸化状態の変化に基づいたアッセイが可能となる。DP-1は、低リン酸化状態のときDNAに対してより高いアフィニティを有することが見出された。DP-1上でリン酸化部位を認識する抗体も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 DP-1及びその他のDPタンパク質の阻害剤のアッセイ 本発明は、転写因子DP-1及び細胞分裂周期の制御におけるその役割に基づく。 また本発明は、細胞増殖を阻害するDP-1、DP-2及びDP-3阻害剤についての、並び にDPタンパク質のリン酸化状態の調節剤についてのアッセイに関する。 細胞の転写因子DRTF1/E2F は、細胞の増殖の重要なレギュレーターによる循環 的な相互作用を介して転写装置で細胞分裂周期の事象を統合する。2つの配列特 異的DNA結合タンパク質DP-1及びE2F-1は、DP-1/E2F-1ヘテロダイマーにおい て相乗的に相互作用するDRTF1/E2Fの成分である。この出願においては、DP-1が 細胞分裂周期の進行の間に存在するDNA結合活性のすべての形態において存在 することから、DP-1が3T3 細胞におけるDRTF1/E2Fの、非常に頻繁にみられ、お そらくは普遍的な成分であることを示す。さらに、リン酸化されているDP-1ポリ ペプチドは細胞分裂周期の間にリン酸化に依存して移動が変化し、細胞分裂周期 の進行の間にリン酸化のレベルが制御されることが示唆されている。この所見は 、DP-1のリン酸化状態の変化を検出するためのアッセイにおいて使用することが できる。DP-1のC-末端領域はpRbと相互に作用することができ、これはDP-1/E2F- 1ヘテロダイマーとの関連においてpRb 結合の効率に寄付する。DP-1/E2F-1ヘテ ロダイマーは、アデノウイルスタイプ5 E4 orf 6/7タンパク質と特異的に相互作 用し、アデノウイルス感染の間のE4 orf 6/7によるDRTF1/E2Fの制御に似た形態 で、2つの適切に配置されたE2F部位に共働的に結合し、それらを介して転写を 活性化させるDNA結合活性を生成する。また、DP-1はよく見られるDRTF1/E2F の細胞分裂周期被制御成分であり、DP-1/E2F-1ヘテロダイマーにおいてはそれが pRb及びE4 orf 6/7タンパク質による認識に機能上重要であるとも結論すること ができる。 遺伝子発現が細胞分裂周期の進行と同調し得るようにするためには、その細胞 分裂周期の間に起こる分子事象を転写装置で統合する必要がある。 細胞分裂周期の制御は、哺乳動物及び両生類を含む真核生物の成長及び維持の 基本となるものである。典型的な細胞が分裂できる(有糸分裂を起こす)ために は、それはその前に質量において2倍になり、その内容物の全てが複製されなけ ればならない。分裂の準備において起こる作業の大部分は、細胞分裂周期の増殖 期の間に認識されずに続き、間期と称される。間期は、3つの期間に分けられる 。G1は、前の分裂の完了とDNA合成の開始の間の合間を示すのに使用される。 G1の長さは変化し得、細胞は数時間、数日あるいはそれより長い期間静止した状 態に保持され得る。そのような静止した状態にある細胞は、G0相にあると言われ ることもある。 G1に続いて、細胞はDNA合成が起こるS期に入る。この後に、2番目の合間 、即ちG2があり、その後にM期、即ち有糸分裂が続く。一般に、細胞がS期に入 ると、有糸分裂に集中される。 従って、制御されたあるいは制御されない細胞の増殖についての理解の重要な 点は、細胞がG1からS期への遷移を経るメカニズムを理解することである。 最近、DRTF1あるいはE2Fと呼ばれる転写因子が同定され、網膜芽細胞腫感受性 遺伝子、抗オンコジーンあるいは腫瘍サプレッサー遺伝子のタンパク質生成物、 pRbに結合することが示された(例えばWagner and Green,Nature 352,189-190 , 1991を参照)。細胞転写因子DRTF1/E2Fは、網膜芽細胞腫遺伝子生成物(pRb)、 P107、サイクリン及びサイクリン依存性キナーゼのような重要な細胞分裂周期制 御タンパク質と関連し、さらにその転写活性は、アデノウイルスEla、SV40巨大 T抗原及びヒト乳頭腫ウイルスE7タンパク質のようなある種のウイルスの腫瘍タ ンパク質によって調節されるので、それは細胞分裂周期制御において鍵となる成 分として機能すると広く考えられている。 そして細胞の転写因子DRTF1/E2Fは、網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子生 成物(pRb)、pRb関連タンパク質p107、サイクリンとp33cdk2のような細胞増殖の 重要なレギュレーターとの相互作用を介して、細胞分裂周期の進行をコーディネ ートすることにおいて中枢的な役割を果たすと広く考えられている(Bandara and La Thangue,1991; Bandaraら.,1991,1992; Chellappan ら,1991; Mudryjら .,1991; Devoto ら,1992)。さらに、DRTF1/E2F DNA結合活性は細胞分裂 周期の進行の間(Mudryj ら,1991; Shirodkar ら,1992; Schwartzら.,1993)及 び分化の間(La Thangue and Rigby,1987)に制御され、これらはその制御配列中 に E2F部位を含む遺伝子、例えばデヒドロ葉酸レダクターゼ、DNAポリメラーゼ α及びcdc2の転写活性と相関するプロセスである(Meansら,1992; Blake and Az izkhan,1989; Dalton,1992)。またその活性は、DRTF1/E2FからpRb 及び他の関 連タンパク質を隔離する、アデノウイルスElaタンパク質、SV40巨大T抗原及び ヒト乳頭腫ウイルスE7タンパク質のようなある種のウイルスの腫瘍タンパク質に よって制御され、転写作用に不活性な形態から活性な形態に変える(Hiebertら, 1992; Zamanian and La Thangue,1992,1993)。DRTF1/E2Fの脱制御がこれらの 腫瘍タンパク質の形質転換及び不死化機能にとって重要である可能性が高い(Bag chi ら,1991; Bandara and La Thangue,1991; Zamanian and La Thangne,19 92)。 DRTF1/E2Fのもう一つの重要な特徴は、その活性がウイルスタンパク質との直 接の相互作用を介して調節されるアデノウイルス感染細胞におけるその制御に関 する(Huang and Hearing,1989; Martonら.,1990)。即ち、アデノウイルス感染 細胞においては、E2aプロモーターにおける2つのE2F部位の協働的認識のために 、アデノウイルスE2aプロモーターへのDRTF1/E2Fの結合は、非感染細胞における ものより非常に安定している(Hardy and Shenk,1989; Raychaudhuriら,1990) 。この協働現象は、E2F結合部位が、E2aプロモーターに存在する配置のように正 確な間隔をあけ、配向されていることを必要とする(Hardy and Shenk,1989)。 この効果を発揮するウイルスタンパク質は、E4領域の産物であるorf 6/7タンパ ク質であり、これは感染細胞においてはDRTF1/E2Fと直接相互に作用する(Huang and Hearing,1989; Martonら,1990)。この相互作用が共働的な認識をもたらす ので、orf 6/7のタンパク質の一つの機能はDRTF1/E2Fの2つのDNA結合ユニッ トを複合体へ隔離する可能性が高く、これは細胞プロモーターに代えてウイルス プロモーターを認識するのに好適である。しかし、orf 6/7によって認識されるD RTF1/E2F DNA結合活性の組成、及びorf 6/7により誘発される転写活性につい ての共働事象の有意性は、まだ正式には確立されていない。 DRTF1/E2Fを含むタンパク質の同定において進歩があった。E2F-1と呼ばれる、 最初に特性化されたものは、直接pRbに結合するその能力により単離された(Heli nら,1992; Kaelinら,1992; Shanら,1992)。これに対してDP-1は、DRTF1のF9 胎児癌(EC)細胞からの生化学的精製によりDRTF1/E2Fの成分として定義された(Gi rlingら,1993)。 DP-1はまた、HeLa細胞DRTF1/E2F(Bandaraら,1993)の成分であって、pRb及びp 107- 関連DRTF1/E2Fの両方に存在する(Girlingら,1993)。E2F-1及びDP-1タンパ ク質はいずれも類似の小領域を含み(Girlingら,1993)、これによりそれらは互 いに相互作用することができ、相乗的な形態でE2F結合部位を介して転写を効率 的に認識して活性化するヘテロダイマーDNA 結合活性を生成する(Bandaraら,19 93; Helinら,1993)。DP-1/E2F-1ヘテロダイマーはHela細胞に存在するが(Banda raら,1993)、DP-1タンパク質の分布及び制御は知られていない。 本発明においては、DP-1のいくつかの重要な性質の特性化を報告する。3T3細 胞においては、DP-1は一般的ではないとしてもよく見られるDRTF1/E2FのDNA 結合成分である。さらにリン酸化されているDP-1は、細胞分裂周期進行の間、リ ン酸化依存性の移動の変化を示す。DP-1/E2F-1ヘテロダイマーはpRbと効率的に 相互に作用し、DP-1のドメインはpRbに結合することができるものとして定義さ れ、おそらくは直接の結合を介してpRb のヘテロダイマーとの相互作用に影響を 及ぼす。アデノウイルスorf 6/7 タンパク質は、DP-1/E2F-1ヘテロダイマーに結 合し、DRTF1/E2F のアデノウイルス感染細胞形態の生化学的及び機能的特性を有 するDNA結合活性を生成する。このように、DP-1はDRTF1/E2Fのよく見られる 成分であり、そのリン酸化レベルは細胞分裂周期の間の調節され、pRb 及びorf 6/7 タンパク質による認識に機能的に重要である。 DP-1をコードしているcDNAの配列は、本明細書中では配列番号1として示 す。DP-1は、国際特許出願公開WO-A-94/10307においてさらに記載されており、 この内容は引用により本明細書の一部とする。 本発明は特に、DP-1が細胞分裂周期の間にリン酸化され、DP-1は低リン酸化状 態においてはDNAに結合するという知見に基づく。言い換えると、DP-1がリン 酸化されているときは、リン酸化されていないか低リン酸化状態にある場合のよ うなDNAに対する高いアフィニティを持たないということである。これはまた 、活性がリン酸化によって調節されていると考えられる他のDPタンパク質(例え ばDP-2及びDP-3)にもあてはまる。 本発明はこの所見を、例えばDP-1の低リン酸化を阻害するか抑制する物質、あ るいは、DP-1のようなDPタンパク質のリン酸化を増強する物質のアッセイに使用 するものである。そのような物質は、G1からS期へ細胞分裂周期が入るのを防ぎ 、あるいは遅らせるために使用することができる。また、細胞分裂周期の間にリ ン酸化の変化を受けるDP-1の領域に対する抗体をそのようなアッセイに使用し、 増殖する細胞を同定することもできる。 従って本発明は、第一の形態として、増殖を防止、抑制あるいは増強する可能 性がある物質のアッセイを提供するものであり、該アッセイは、 (i)物質を細胞(例えばDP-1あるいは別のDPタンパク質を含んでいる)と接触さ せ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む。 本発明はまた、そのようなアッセイから得られる物質を包含する。そのような 物質は、自由な細胞増殖を制御する方法で使用することができる。そのような方 法は、自由な細胞増殖をしている細胞を有する個体に前記物質の有効な量を与え ることを含むものとすることができる。 より単純な形態においては、第二の形態の本発明のアッセイは、 (i)低リン酸化状態のDPタンパク質を含む媒体(例えば細胞からの抽出物)を用 意し、 (ii)その媒体を物質と接触させ、 (iii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む。 このアッセイは、DP-1をリン酸化するキナーゼを活性化し、それによりそのD NAに対するアフィニティを低下させる能力を持つ物質をスクリーニングするた めに使用することができるる。 第三の形態においては本発明のアッセイは、 (i)リン酸化状態のDPタンパク質を含む媒体(例えば細胞からの抽出物)を用意 し、 (ii)その媒体を物質と接触させ、 (iii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む。 本発明の第四の形態は、可能性があるDPタンパク質リン酸化調節物質のアッセ イに関し、該アッセイは、 (i)低リン酸化またはリン酸化状態のDPタンパク質を含む細胞あるいは細胞から の抽出物であってよい媒体及びリン酸化及び/または脱リン酸化酵素(例えばキ ナーゼあるいはホスファターゼ)を接触させ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む。 このアッセイは、リン酸化された状態にDP-1を維持するか、あるいはDP-1の低 リン酸化を防ぐ能力を持つ物質をスクリーニングするために使用することができ る。 リン酸化を抑制し得る物質は、キナーゼ(リン酸化剤)アンタゴニストあるい はホスファターゼ(脱リン酸化剤)アゴニストであり得、リン酸化を活性化する か、刺激するか、増強する物質はキナーゼアゴニストあるいはホスファターゼア ンタゴニストであり得る。ここで意図される物質は、キナーゼまたはホスファタ ーゼの断片、変異体あるいは相同体を含み得る。 キナーゼ及びホスファターゼのソースは、組換えタンパク質、精製タンパク質 あるいは細胞抽出物からの生化学的フラクションである。 本明細書で使用される「DPタンパク質」は、DP-1が好ましいが、それだけでは なく、DP-2及びDP-3及び同じ活性を持っている同じファミリーの他の関連タンパ ク質も示す。DP-1をタンパク質として選択したが、本発明はDP-1に限定されるも のではない(その文脈が別の内容を意味しない限り)。 アッセイについての記載において、用語「DP-1」は、配列番号2のアミノ酸配 列、その相同体、その断片及びその相同体であって、哺乳類の転写因子として機 能することができるものを含み得る。特に、用語「DP1」は、 (a)配列番号2のタンパク質、 (b)その対立遺伝子変異体あるいは相同種、 (c)(a)に少くとも70% 相同なタンパク質、 (d)E2F-1、E2F-2、E2F-3、E2F-4あるいはE2F-5と複合体を形成することができる (a)〜(c)のいずれかの断片、あるいは、 (e)少くとも15アミノ酸の(a)〜(c)のいずれかの断片、 を含み得る。 これらのタンパク質は、低リン酸化形態にあってもよく、部分的あるいは完全 にリン酸化された形態にあってもよい。またそのようなポリペプチドの標識され た形態も含まれる(8ページを参照)。 その文脈において特に別のものを意味するものではないかぎり、以下この定義 の範囲内のすべてのポリペプチドはDP-1と称する。用語「DP-2」及び「DP-3」も 同様に解されるべきもので、もちろん(a)の部分がそれぞれアミノ酸配列DP-2及 びDP-3を示すように訂正されたものである。 対立遺伝子変異体は、マウス動物において天然に存在する変異体であり、例え ばDP-1についての配列番号2のように、天然タンパク質のタンパク質と実質的に 同様の形態で遺伝子発現を調節するように機能する。同様に、相同種は、ヒトを 含む別の種に存在する等価のタンパク質であり、その種においてマウスにおける DPタンパク質(DP-1、配列番号2の配列)と等価の機能を果たす。任意の一つの種 内で相同体はいくつかの対立遺伝子変異体として存在し得、これらはすべてタン パク質(例えばDP-1についての配列番号2)の相同体であると考えられる。対立遺 伝子変異体及び種相同体は、例えばDP-1についての配列番号2のようなポリペプ チドの製造のために本明細書中に記載された手順に従い、適当な細胞ソース、例 えば対立遺伝子変異体を有する齧歯動物あるいは別の種からのソースについてそ のような手順を実行することによって得られる。そのポリペプチドは発生の過程 で保存されているようであることから、例えばDP-1ヌクレオチド配列を使用して 齧歯動物細胞あるいは他の細胞から製造されたライブラリーをプロービングし、 対立遺伝子あるいは種変異体をコードしているクローンを得ることも可能である 。そのクローンを従来の技術によって操作して本発明のポリペプチドを同定し、 そしてそれをそれ自体公知の組換えまたは合成法により生成することができる。 好ましい種相同体は、哺乳動物または両生類の種相同体を含む。 配列(例えば配列番号2)に少くとも70 %相同なタンパク質は、少くとも20、好 ましくは少くとも30、たとえば少くとも40、60または100 以上の連続するアミノ 酸の領域にわたって、タンパク質(例えば配列番号2)に好ましくは少なくとも80 あるいは90 %、より好ましくは少くとも95 %相同である。タンパク質の相同性を 測定する方法は当分野で公知であり、本明細書において相同性はアミノ酸の同一 性に基づいて計算される(「確実な相同性」と呼ばれることもある)ことは当業 者に理解されるであろう。 一般に、E2Fタンパク質E2F-1〜E2F-5 の一つと複合体を形成することができる DPタンパク質(例えばDP-1についての配列番号2)またはその対立遺伝子変異体ま たは種相同体の断片は、少くとも10、好ましくは少くとも15、例えば少くとも20 、25、30、40、50または60アミノ酸長である。 E2Fタンパク質とDPタンパク質が交差活性化転写因子(適用できるならば)を 通常形成する条件下にE2Fタンパク質及び断片を置き、複合体が形成されるかど うかを判定することにより、断片がE2Fタンパク質と複合体を形成するかどうか を判定できる。その判定は、例えばその複合体のE2F結合部位に結合する能力をi n vitroで測定することによって行うことができ、あるいはSDS-PAGEのような方 法により推定の複合体の分子量を測定することにより行うことがきる。 好ましい断片は、E2F-1またはその関連するファミリーのメンバーと交差活性 化複合体を形成することができるものを含む。例えば、その断片を、DPタンパク 質/E2F-1複合体によって活性化されるように適応させられたリポーター遺伝子構 築物の存在下でE2F-1に加えることができる。そのような実験により、その断片 が必要な活性を持つかどうかが判定される。 DPタンパク質は、検出用標識で標識することができる。検出用標識はそのポリ ペプチドを検出するのを可能とする任意の標識とすることができる。適当な標識 としてはラジオアイソトープ、例えば125I、酵素、抗体、ビオチンのようなリン カー等がある。 また、DPタンパク質(任意に標識された)は、例えば免疫アッセイディッシュ の壁のような固相に固定されていてもよい。次に、低リン酸化あるいはリン酸化 が抑制されるか増強されるかどうかを判定する物質の存在下で、細胞抽出物をそ のディッシュかその他の固相環境に加えることができる。 本発明の最初の形態においては、その物質を接触させる細胞は、DPタンパク質 が発現された任意の細胞とすることができる。これは、哺乳動物(ヒト、霊長類 及び齧歯動物を含む)細胞及び両生類細胞(アフリカツメガエル細胞を含む)を 含む。 その細胞は、in vitro培養中で維持される細胞であってもよい。アッセイの実 施においては、細胞は静止状態(例えばG0)に維持することができる。これは無 血清培地中で増殖している細胞により得られる。これを行うための方法は当分野 で周知であり、適当な培地が市販品として入手可能である。これは、同調培養に おいて維持される細胞の集団についてアッセイを実施し、細胞分裂周期の任意の 特定の時点でDPタンパク質のリン酸化状態に影響を及ぼすことについての物質の 効果が測定することができるので望ましい。その細胞は、一次細胞、形質転換細 胞あるいは腫瘍細胞とすることができる。 DPタンパク質は、その細胞の天然タンパク質であってもよく、組換えDNA構 築物によってその細胞内で発現されてもよい。その発現は、細胞質因子からの一 時的なものでもよく、あるいはその細胞においては安定に一体化された組換えD NAからのものでもよい。構築物は、宿主細胞に適合するプロモーターに作用可 能なように結合したDPタンパク質をコードするDNAを含み得る。そのような構 築物は、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual,1989)において 開示されたような従来の組換えDNA技術を使用して製造することができる。 本発明のすべての形態において、DPタンパク質のリン酸化状態は、当業者に利 用できる任意の適当な技術によって測定することができる。 例えば、SDS/ポリアクリルアミドゲルの上のDPタンパク質の移動は、そのリン 酸化状態に依存している。DP-1はそのようなゲル上で約55,000のみかけ分子量を 有する。しかしそれは「p55U」(上)と「p55L」(下)と呼ばれる2つの形態で 現れる。それらの形態は、そのリン酸化の程度において異なっており、p55Uはp5 5Lよりも高いレベルを有する。他の細胞タイプにおいては、55kdタンパク質が、 やはりリン酸化の相違による他の形態で現れることがありえる。このように、本 発明のアッセイを受けた細胞からの抽出物の電気泳動とその後の免疫ブロッティ ングを使用して、試料中のp55L及びp55Uの相対量、従ってDP-1のリン酸化状態を 測定することができる。 また、DPタンパク質(例えばDP-1)は、その細胞内において自然のプロセスに よりDP-1に結合し得る標識されたリン酸基を含む媒体中で、アッセイの前に増殖 する細胞によりアッセイすることができる。次いで物質の存在下あるいは不存在 下において標識されたDP-1の量を測定でき、例えば、抗DP-1抗体を使用してDP-1 を免疫沈降させ、次に沈澱させられた標識の量を測定して測定することができる 。DP-1抗体は、WO-A-94/10307を参照して得ることができる。 DPタンパク質を分析する別の方法は、E2F-1(あるいは、E2Fファミリーの別の メンバー)と複合体を形成するその能力を測定し、任意に転写を活性化する複合 体の能力を測定することである。これはWO-A-94/10307に記載された技術によっ て行うことができる。 本発明の一つの態様においては、候補となる物質を、リン酸化されたDPタンパ ク質の断片(そのような断片に対応する合成あるいは組換えペプチドを含む断片 をいう)を使用して分析することができる。この態様においては、リン酸化され た断片の存在下で細胞またはその抽出物を物質と接触させ、生成した断片の脱リ ン酸化の量を測定することができる。 例えばDP-1の断片は、好ましくはDP-1のC-末端領域に由来する。例えば、それ は配列番号2の最後の100 アミノ酸(例えば90、80、60、50、40あるいは30)の範 囲内の連続する配列に由来する20〜50のアミノ酸(例えば25、30あるいは40アミ ノ酸)の断片を含み得る。好ましい断片はこの配列のアミノ酸385〜400まで、及 びこの領域を含む(あるいは囲む)ペプチド、例えば375〜410 、375〜405、375 〜400、380〜410、380〜405、380〜400も望ましい。 配列番号2の残基385-400に対応する合成ペプチド(D)に対して生成されたモノ クローナル抗体(抗DP-1(D))は、DP-1をその低リン酸化状態で認識する(この 合成ペプチドがリン酸化されていないことによる)が、リン酸化された場合はDP -1にそれほどうまく結合しないことが見出された。これは、DP-1の低リン酸化が そのタンパク質のこの領域の少なくとも部分において起こることを示している。 従ってDP-1断片を使用するアッセイにおいては、その断片は適当なリン酸化部 位、例えば388Thrまたは391Serでリン酸化され得る。リン酸化は、適当なキナー ゼ酵素を使用して酵素的に行うか、化学的に行い得る。リン酸化のための方法は 当分野において知られている。 DPタンパク質またはその断片は、例えば放射標識により標識されたリン酸基に よりリン酸化することができる。その後物質の存在下で起こる脱リン酸化の量を 適当な技術によって測定することができる。例えば、DPタンパク質は、アフィニ ティークロマトグラフィー、ゲルあるいはHPLCカラムのような適当なマトリック ス上でのサイズ分離で細胞または抽出物の混合物から回収することができ、標識 されたDPタンパク質の量を測定する。依然として標識されているDP-1の量を、物 質を使用していない対照と比較することができる。媒体中の遊離の標識リン酸の 量を測定することもできる。DPタンパク質の低リン酸化を防止する活性を有する 物質は、DP-1タンパク質から放出される遊離のリン酸の量を減らす。 前記の標識は、DPタンパク質に融合したタンパク質(例えばGST)の形態とし( 融合タンパク質を形成する)、DPの精製及び/または検出において役立つように することができる。 また、DP-1、DP-2あるいはDP-3のリン酸化状態は、リン酸化されたものではな く、リン酸化されていない形態を認識する抗体を使用して測定してもよい。先に 記載したように、低リン酸化状態のDP-1を認識する、配列番号2の残基385-400 に対応する合成ペプチド(以下ペプチドD と称する)に対する抗体を生成した。 そのような抗体は、ハイブリドーマの製造のための標準的な技術を使用して製造 でき、まず最初に標識されたDP-1と候補の物質を細胞またはその抽出物に加え、 得られた混合物をインキュベートし(いずれにおいても典型的には0.5〜60分、 例えば1〜30または5〜15分、10〜40℃の間、例えば約20、25、30あるいは37℃で )、抗体を混合物に加えて生成したDP-1の脱リン酸化の量を測定することにより 、本発明のアッセイに使用することができる。抗体は、DP-1の当初量に対してモ ル過剰で加え、生成されたすべての標識されていないDP-1を結合するようにしな ければならない。 あるいは、DPタンパク質をDPタンパク質をリン酸化するキナーゼが存在する活 性を含んでいる抽出物の存在下で分析する場合、その抗体を同様な方法で使用し てリン酸化の量を測定することができる。 可能性がある活性、毒性あるいは溶解性のレベルのような因子に依存して、ア ッセイにおいて使用できる物質の量は広範囲に変化し得る。細胞またはその抽出 物に接触させる場合、物質の典型的な濃度は約1 nM〜100 mM、例えば10 nM から 10 mMである。 アッセイをDPタンパク質の断片を使用して行う場合、断片の量は、約1 nM〜10 0 mM、例えば10 nM〜10 mMの範囲である。 適当な候補の物質は、C-末端断片を含むDP-1(合成あるいは組換え手段によっ て生成されるかどうかに関係なく)のペプチド断片を含む。そのような断片は、 上記したC-末端断片を含む。アッセイにおいて活性を持つ物質については、分子 モデルリングあるいはペプチドスキャンニングのような方法によって高い活性の 物質を生成するように洗練し開発することができる。 その他の物質としては、DPタンパク質のリン酸化状態を変えることができる酵 素の活性に作用することができるか、影響を及ぼすことができるものを含む。意 図される酵素としてはキナーゼ(リン酸化する)及びホスファターゼ(脱リン酸 化する)がある。従って、候補となる物質はキナーゼ及び/またはホスファター ゼのアゴニストかアンタゴニストであり得、DPタンパク質リン酸化を調節するこ とができるものとし得る。 本発明において使用するための細胞の抽出物は、上記の細胞のタイプからの抽 出物であることが適当であり、好ましくは同調培養中の細胞から得たもので、従 って例えばG1あるいはS のような細胞サイクルの明確な段階のものである。これ には、DPタンパク質をコードしている組換えDNAで形質転換されたかトランス フェクトされた細胞が含まれる。抽出物は、放射性リン酸で標識された細胞から 得ることができ、DP-1のリン酸化状態は本発明の最初の形態に記載した方法によ り測定することができる。細胞タンパク質の適当な抽出物を製造する方法は当分 野において周知である。 本発明の第五の形態によれば、配列番号2のC-末端領域に対応するペプチドを 免疫原として使用して得られるモノクローナル抗体が提供され、この抗体はその 低リン酸化状態においてDPタンパク質を認識するが、リン酸化されている場合に はそのようにうまくDPタンパク質に結合しない。これは、DP-1の低リン酸化がそ のタンパク質のこの領域の少なくとも部分において起こることを示している。こ のように企図される抗体は、低リン酸化DP(即ちリン酸基を持たない)に結合す るが、リン酸化された形態にはしないものである。 DP-1のC-末端領域は、好ましくは配列番号2の最後の100 アミノ酸(例えば90 、 80、60、50、40あるいは30アミノ酸)の範囲内の連続する配列に由来する20〜50 のアミノ酸(例えば25、30あるいは40アミノ酸)の断片である。好ましい断片は この配列のアミノ酸385〜400、及びこの領域を含むあるいは囲むペプチド、例え ば375〜410 、375〜405、375〜400、380〜410、380〜405、380 〜400も好ましい 。配列385〜400を免疫原(ペプチドD)として使用すると、モノクローナル抗体、 抗DP-1(D)が得られる。この製造は後に記載する。 第五の形態は、リン酸化部位を含む免疫原に対して特異的な、即ちそれを使用 して生成された抗体も包含し、そのような抗体はリン酸化部位を含むDPタンパク 質の部分に結合し得る。特に、DP-1の配列385-400を、これがリン酸化部位Thr38 8 及びSer391を含むことから(図9を参照)、本明細書で取り上げる。 このモノクローナル抗体は、適当な哺乳動物ソース、例えばマウスあるいはラ ットに由来するものとし得る。本発明においては、用語「抗体」は、そうではな いものと記載しない限り、腫瘍ターゲット抗原に対する結合活性を保持する全抗 体の断片を含む。そのような断片は、Fv、F(ab')及びF(ab')2断片並びに単鎖抗 体を含む。さらに、そのような抗体及びその断片は、例えばEP-A-0239400に記載 されるようなヒト化抗体であってもよい。 この抗体は慣用のハイブリドーマ技術によって製造でき、あるいは修飾された 抗体または断片の場合は、組換えDNA技術、例えばプロモーターに機能しうる よう連結した、改変された抗体またはその断片をコードしているDNA構築物の適 当な宿主ベクターにおける発現によって生成することができる。適当な宿主細胞 には、細菌(例えばE.coli)、酵母、昆虫及び哺乳動物細胞が含まれる。 本発明のアッセイがDPタンパク質をコードしている細胞に導入されたベクター を使用する場合、DPをコードしているヌクレオチド配列は、例えば配列番号1あ るいは配列番号1の相補物に選択的にハイブリダイズすることができるヌクレオ チドの連続配列を含んでもよい。ヌクレオチド配列は、DNAまたはRNAを含 むものとすることができる。 配列番号1のDNAに選択的にハイブリダイズすることができるヌクレオチド 配列は、少くとも20、好ましくは少くとも30、例えば40、60、100あるいはそれ 以上の連続するヌクレオチドの領域にわたって上記配列番号1のDNAと一般に 少くとも70 %、好ましくは少なくとも80あるいは90% 、より好ましくは少くとも 95% 相同である。 ヌクレオチド配列はまた、配列番号2のタンパク質またはその断片をコードす る配列を含むことができる。 DNAヌクレオチド配列のようなヌクレオチド配列は、組換え法により、合成 により、あるいは当業者に利用可能な任意の手段により製造することができる。 WO-A-94/10307において開示された技術によりクローン化してもよい。 DPタンパク質のリン酸化を刺激するか低リン酸化の進行を抑制すると確認され た物質は、医薬組成物として提供できる。そのような組成物は、薬学的に許容さ れる担体あるいは希釈剤と共にその物質を含む。 薬学的に許容される担体または希釈剤としては、経口、経直腸、経鼻、局所( 口内及び舌下を含む)、経膣あるいは非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、ク モ膜下、硬膜外を含む)投与に適当な組成物において使用されるものを含む。組 成物は投与単位形態にするのが好適であり、調剤の分野において周知の方法の任 意のものにより製造することができる。そのような方法は、一以上の修飾成分を 含む担体を活性成分と合わせる段階を含む。一般に、液体の担体あるいは細かく 粉砕された固体担体、またはその両方を活性成分と均一に緊密に混合し、必要に より生成物を成形することにより組成物を製造する。 例えば、非経口投与に適当な組成物としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤 及びその組成物を意図された受容個体の血液と等張にする溶質を含み得る、水性 及び非水性の殺菌注射溶液、懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性殺菌懸 濁液、及び前記ポリペプチドを血液成分あるいは一以上の器官に向かわせるよう に設計されたリポソーム及びその他のマイクロカプセル系等がある。 本発明により同定された物質、及び上記のようなその組成物は、ヒトを含む哺 乳類において、増殖性疾患を含む症状の治療、制御あるいは診断のために使用す ることができる。そのような症状としては、E2F 因子(Helinらによりクローン化 された)のような一以上の転写因子、あるいは配列番号2のタンパク質、E2F-1タ ンパク質、あるいは関連するファミリーのメンバーの非正常(例えば異常に高い か低いレベル)及び/または異常(例えば遺伝子配列における突然変異によ る)な発現に関連するものを含む。また、遺伝子産物が配列番号2のタンパク質 によって調節される遺伝子の異常な発現によって引き起こされるものもそのよう な症状に含まれる。上記の物質及び組成物による症状の治療あるいは制御には、 通常、そのような治療の必要性がある受容個体に、ポリペプチド、抗体、その断 片あるいは組成物の有効な量を投与することを含む。 一つのグループの好ましい物質は、配列番号2のアミノ酸160-220の領域に基 づくポリペプチドである。前記タンパク質のこの領域は、Helin ら(上出)によ って記載されたE2F-1タンパク質の同様な領域に約40 %の相同性を有し、いずれ の領域もα-ヘリックス領域と推定される。特定の理論により拘束されることを 望むものではないが、DP-1及びE2Fのヘテロダイマー化はこれらの相同領域によ り媒介されていると思われる。 本発明の第六の形態は、リン酸化部位(これは所望によりリン酸化されていて もよく、あるいはリン酸化されていなくてもよい)を含むDPタンパク質の断片に 関する。好ましい部位はDP-1に見られるThr388及びSer391を含む。好ましい断片 は上記に既に挙げた(12及び13頁を参照)。 以下の実施例及び添付の図面により、例示としてさらに本発明を説明する。こ れらは本発明を説明するためのものであり、限定的なものと解してはならない。 図面は以下の通りである。 図1は、DP-1の特性化を示す。 抗DP-1(A)を、相同ペプチドA(トラック1)あるいは対照ペプチド1の存在下 で免疫ブロットによってF9 EC細胞抽出物に対する反応性について分析した(ト ラック1及び2)。p55が示されるが、p55Lは認識可能である程度であり、p55U が優勢なポリペプチドである。*は、P65 を示す(本文参照)。精製されたDRTF 1/E2F DNA結合活性を含む種々のフラクションにおけるp55の存在をトラック 4、5及び6に示す(比較のためにF9 EC細胞抽出物中のp55及びp65をトラック 3に示す)。DRTF1/E2F DNA結合活性は以前に記載されたようにして精製した (Girlingら,1993)。p55の存在がDRTF1/E2F DNA結合活性とと相関する点に注 目されたい。 図2は、3T3細胞におけるDP-1の細胞分裂周期制御を示す。 a)DP-1は、細胞分裂周期進行の間に頻繁に見られるDRTF1/E2FのDNA結合成分 である。 3T3細胞を血清飢餓状態とした後に刺激し、その細胞分裂周期を進行させた。 培養は4時間毎に回収し、抽出し、DRTF1/E2F DNA結合活性についてアッセイ した(約8μg)(トラック2〜17)。平行した培養において、S期への進行は BrdUの取込みを使用して分析し、サイクル中の細胞の大多数が8〜12時間の間に S期に入ることが示された。DRTF1/E2F DNA結合複合体におけるDP-1のの存在 を、対照(ペプチド1;トラック10〜17)あるいは相同(ペプチドA;トラック 2〜9)ペプチドの存在下において、抗DP-1(A)(トラック2〜17)の効果を調 べることにより試験した。抗DP-1は、検出可能なDRTF1/E2F DNA結合複合体の 大部分と反応した。 b)3T3細胞分裂周期の間のDRTF1/E2F 中のサイクリンA a)においてアッセイした同調3T3細胞抽出物を、ウサギポリクローナル抗サイ クリンA を使用してDRTF1/E2F中のサイクリンA の存在を試験し(下の区画)、 予備免疫化対照血清(上の区画)と比較した。この抗サイクリンAの効果は、DRT Fla(最も遅い移動)複合体のより速い移動を起こすことである。例えば、0〜 下では見られなかった(上及び下の区画のトラック1、2及び3の比較による) 。 c)3T3 細胞分裂周期の間のDRTF1/E2F 中のp107 DRTF1/E2F におけるp107の存在について、p107モノクローナル抗体上清(下の 区画)を使用して同調3T3細胞抽出物を調べ、無関係の対照モノクローナル抗体 d)DP-1は、DRTF1/E2Fの細胞分裂周期被制御DNA結合成分である。 同調3T3細胞抽出物を、抗DP-1(A)で免疫ブロットした。各微量抽出物の約40μ g を分析した。p55U(上)とp55L(下)と称するDP-1 p55の2つの形態が分離さ れたことに注目されたい。p55Lは血清刺激の8〜12時間後に顕著になり、従って DRTF1/E2F の転写活性形態、DRTF1b/cの誘導と相関していた((a)におけるトラッ ク4及び5)。交差反応p65ポリペプチドを* によって示す。 e)F9 EC細胞の分化の間のDP-1の制御 抗DP-1(A)を、F9 EC(トラック1)または分化F9 PE(分化誘導の7日後、トラッ ク2)細胞から調製した抽出物に対する反応性について免疫ブロットにより分析し た。p55の2つの形態(UとL)が検出可能であり、いずれも分化プロセスの間に下 方制御されたことに注目されたい。交差反応ポリペプチド(*)は変化しないまま である。 図3は、DP-1がリン酸化されたタンパク質であることを示す。 a)抗DP-1(D)の特性化:抗DP-1(D)を、相同ペプチド、D(トラック2)あるいは無 関係なペプチド、1(トラック3)の存在下において、DRTF1/E2F DNA結合活性に 対する効果について調べた(トラック2及び3)。抗DP-1(D)がDRTF1/E2Fと反応した 点に注目されたい(トラック3)。抗DP-1(D)のGST-DP-1融合タンパク質との反応性 を、無関係なペプチド、1(トラック4)または相同ペプチド、D(トラック5)の 存在下において調べた。 b)抗DP-1による免疫沈降:32P オルトリン酸代謝放射標識細胞溶解物からの免疫 沈降を、相同ペプチド、A(トラック1)または無関係なペプチド、1(トラック2)の 存在下に、抗DP-1(A)(トラック1及び2)で行った。ペプチド1(トラック2)の存在 下において行った免疫沈降物からポリペプチドが放出され、抗DP-1(D)により(ト ラック3及び4)、相同ペプチド、D(トラック3)または無関係なペプチド、1( トラック4)のいずれかの存在下で再免疫沈降させた。DP-1(p55)とp70を示す。平 行して、最初の免疫沈降において抗DP-1(A)によりDRTF1/E2F DNA結合活性を 試験し(トラック5及び6)、再免疫沈降後に示した競合ペプチドの存在下にお いて抗DP-1(D)でDRTF1/E2F DNA結合活性を試験した(トラック7及び8)。 二番目の免疫沈降において無関係なペプチド1またはペプチドD(それぞれトラッ ク9及び10)の存在下に抗DP-1(D)で分離したポリペプチドを、F9 EC細胞抽出物 を使用して抗DP-1(A)で免疫ブロットすることにより定義されたもの(トラック1 1)と比較した。免疫沈降したp70のサイズは、抗DP-1(A)で定義された交差反応 ポリペプチドよりもかなり大きい(トラック10を11の比較による。交差反応ポリ ペプチドは●により示す)。標準の分子量をトラック12に示す。トラック1、2 、3及び4は、一つのポリアクリルアミドゲルを露出することによ り得られ(トラック1及び2はより短い露出である)、トラック9、10、11及び 12は同じポリアクリルアミドゲルに由来することに注意されたい。 c)3T3細胞抽出物のホスファターゼ処理:免疫ブロッティングを、ホスファター ゼで処理した(トラック2)あるいは処理していない(トラック1)3T3細胞抽 出物を使用して抗DP-1(A)で行った(33 頁参照)。対照処理(トラック2)におい ては、p55U及びp55Lはいずれも非特異的ポリペプチド(*)と共に分離される。ホ スファターゼによる処理の後(トラック1)、p55Lはより明確でなくなる。 図4は、DP-1のpRb との相互作用を示す。 a)野性型(WT)DP-1(約10ng;トラック3及び9)または種々の突然変異DP-1タ ンパク質(約10ng;トラック4〜7及び10〜13)を、E2F-1(約5 ng)とのヘテロ ダイマーとして、E2F部位DNA結合活性及び野性型GSTpRb379-928(約5 ng;ト ラック2〜7)またはGST-Δ22(約5 ng;トラック8〜13)と相互作用する能力 について分析した。Rb-DP1/E2F-1複合体を示す。E2F-1単独の活性は、トラック 2と8に、プローブ単独の場合はトラック1に示す。DP-1Δ211/E2F-1 ヘテロダ イマーとのGST-pRb の相互作用は、野生型のDP-1/E2F-1複合体よりも低かった点 に注意されたい。DP-1タンパク質の番号はC-末端残基の位置を示し、Δ73-340は 、N-及びC-末端領域からのタンパク質配列を欠いている。 b)示したタンパク質、DP-1(トラック1〜5及び12)、E2F-1(トラック6〜8 )、Ela(トラック9〜11及び13〜15)及びCREBP1(トラック16〜19)をin vitr oで転写し、GSTタンパク質(トラック2及び19)、GST-pRb(トラック3、6、9 、13及び18)、GST-C→F(706)(トラック4、7、10、14及び17)、GST-Δ22(ト ラック5、8、11、15及び16)、GST-E2F-1(トラック12)またはセファロースビー ズ単独(トラック1)に対する結合活性を調べた。in vitro翻訳されたCREBP1はト ラック20に示す。トラック13、14及び15はトラック10、11と12の照射を低下させ たものを示す。 c)示したDP-1タンパク質(WT、Δ341 、Δ327 、Δ73-340及びΔ211)をin vitro 転写及び翻訳して、GST-pRb(トラック1〜5)またはGST タンパク質単独(トラ ック6〜10)のいずれかに対する結合活性について試験した。この実験において 使用したin vitro翻訳されたΔ211 ポリペプチドはトラック11に示す。GST-pR b と相互作用するΔ211 の能力が低下していることに注意されたい。b)及びc)に おいては、約2μg のGSTまたはGST-融合タンパク質を翻訳されたポリペプチド を含む網状赤血球溶解物と混合した。すべてのポリペプチドは、ほぼ等しい効率 で翻訳された。(c)で示した区画は、同じ実験の、同じ時間露出されたオートラ ジオグラフに由来した。 図5は、アデノウイルスタイプ5 orf 6/7タンパク質がDP-1/E2F-1ヘテロダイ マーに結合することを示す。 in vitro翻訳されたDP-1またはE2F-1タンパク質のDNA結合活性を、単独で( DP-1についてトラック3及び7、E2F-1についてトラック4及び8)、または一緒に (トラック5及び9〜17)、精製したorf 6/7 融合タンパク質の存在下で試験 した(トラック6〜13)。その溶解物の活性はトラック2及び6において調べた 。抗DP-1(トラック11及び15)、抗E2F-1(トラック12及び16)、抗orf 6/7タンパ ク質(トラック13及び17)あるいは対照抗体(c;トラック10及び14)を結合反応 に含め、DP1/E2F-1ヘテロダイマーに各タンパク質を存在させた。DP-1及びE2F-1 をウサギ網状赤血球抽出物におけるin vitro翻訳後に与え、アデノウイルスE2a プロモーター(-96から+68)上でアッセイを行った。orf 6/7の二重部位複合体を 、トラック9において* によって示す。 図6は、orf 6/7タンパク質が、DP-1/E2F-1ヘテロダイマーによってプロモー ター依存形態で生起された転写を調節することを示す。 a)構築物の概要:pDP-1 、pE2F-1及びpE4 orf 6/7は完全長タンパク質を発現し 、p3xWTはタンデムに組み込まれた3つのE2F部位を含む(Zamanian and La Thangu e, 1992)。矢印は、E2F部位の配置を示す。 b)キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)SL2細胞を、p3xWT及び示 した発現ベクターでトランスフェクトした。以前に観察されたように、DP-1及び E2F-1はE2F部位依存性転写活性化において相乗的に相互作用し(トラック7)、 orf 6/7タンパク質の存在は転写活性に有意な影響を及ぼさなかった(トラック8 )。 図7は、orf 6/7タンパク質がアデノウイルスE2aプロモーターと関連してDP-1 /E2F-1ヘテロダイマーによって生起された転写を活性化することを示す。 a)構築物の概要:pDP-1、pE2F-1及びpE4 orf 6/7は完全長タンパク質を発現し、 pE2aはAd5 野性型 E2aプロモーター配列(-96〜+68)を含む。矢印は、E2F部位の 配置を示す。 b)及びc)キイロショウジョウバエSL2細胞をpE2a及び示した発現ベクターでトラ ンスフェクトした。DP-1/E2F-1ヘテロダイマーとともにorf 6/7タンパク質が存 在すると、pE2aの活性が増強された(レーン7と8の比較による)。すべての値 は、便宜的に1.0の値としたpE2a単独に対する相対値で表し、少くとも3つの別 々の実験を代表するものとした。 図8は、3T3細胞における細胞分裂周期進行の間のDRTF1/E2Fの組成と制御を表 すモデルを示す。 細胞分裂周期の進行の間、pRb及びp177(図表においてppで示す)のようなタ ンパク質が結合して、明確なDP-1/E2Fヘテロダイマーの活性を調節し(E2FはE2F -1またはDP-1とヘテロダイマー化することができる別のタンパク質であり得る。 異なる影により示す。)、ppの特性はE2F成分によって示される。この実験にお いて示された結果に基づくと、DP-1は細胞分裂周期進行の間に改変されることが あり得た。 図9は、モノクローナル抗体で低リン酸化ペプチドDを認識するELISAアッセイ の結果を示す棒グラフである。mAB はDP-1の、低リン酸化状態の形態に結合し、 リン酸化されたものにはしない。 実施例 DP−1の免疫化学的特徴付け DP−1は、F9 ECおよびHeLa細胞抽出物中に存在するDRTF1/E2FのDNA結合 成分である。これは、これら抽出物中に分解されたE2F部位特異的DNA結合複 合体が抗DP−1抗体と反応する(Bandaraら,1993; Girlingら,1993)という事 実に基づく結論である。DRTF1/E2F DNA結合活性における変化がDP−1タン パク質の特性に反映されるかどうかを確認し、したがってDRTF1/E2F DNA結合 活性が調節される2つの状況、すなわち F9 EC細胞の分化の間(La Thangueおよ びRigby,1987)および細胞周期の進行中(Mudryjら,1991; Shirodkarら,1992) におけるDP−1の特徴付けを選択することが決意された。 このため、N-末端ペプチド抗DP−1(A)に対して産生された抗DP−1血清 を使用した。この血清はペプチドアフィニティークロマトグラフィーにより精製 し、細胞抽出物を釣り上げるのに用いた。F9 EC細胞抽出物中に分子量が65,000 および55,000である2つの別個のポリペプチド(それぞれp65およびp55と して言及されている)が示され、これらは2つとも抗DP−1によって特異的に 認識された。なぜなら、相同的ではあるが非関連ではないペプチドが抗体反応に 含まれた場合、これらのポリペプチドは存在しなかったからである(図1、トラ ック1と2を比較されたい)。F9 EC細胞抽出物中で、p55は相接して泳動す るダブレット(図1、トラック2にのみ見える)として分解されており、これは 3T3細胞(後出)等の他のタイプの細胞から調製される抽出物において特に明 らかな特徴であった。これら2つの形態のp55は、以下p55Uおよびp55 Lと称する。F9 EC細胞抽出物中に、p55Uは通常p55Lよりもはるかに大 量に存在した。 p55はDP−1遺伝子の産物であると考えられる。なぜなら、p55はDP −1タンパク質の他の領域(例えば図3b参照)から誘導されたペプチドに対し て産生された幾つかの抗DP−1抗血清によって認識されるからである。他方、 p65は抗ペプチドAによってのみ明示され、p65が交差反応性ポリペプチド であることを示唆した。p55がDRTF1/E2F DNA結合活性と相互関連している ことを立証する、ここに提示する結論は、p55はDP−1遺伝子の産物である という考えと一致する。なぜなら、DP−1 mRNAをin vitroで翻訳して誘 導される主要なポリペプチドは分子量が約55,000であるという事実があるからで ある(図4b参照)。さらに、DRTF1/E2F DNA結合活性のアフィニティー精製 から誘導されるクロマトグラフィー画分を釣り上げるのに抗DP−1を用いた場 合、p65ではなくp55がE2F部位DNA結合活性と相互関連していた(図 1、トラック3、4、5および6参照)。したがって、p55はDP−1タンパ ク質であるように思われる。 DP−1は細胞周期および分化によって調節される。 細胞周期によるDP−1の調節を調べるために選択された系は、血清を枯渇さ せた3T3細胞の刺激後の細胞周期の進行であった。この細胞系では、DRTF1/E2 F DNA結合活性は細胞周期に依存する一連の変化を受ける。例えば、血清枯渇 (G0)細胞中では、DRTF1a(複合化DRTF1/E2F)がDNA結合活性の主要な種で あった(図2a、トラック2参照)。しかし、血清刺激後、そして一旦細胞周期 が進行すると、DRTF1b/c(DRTF1/E2Fの転写的に活性な形態)がG1の終りに増 加し、S期において最大レベルに達した(刺激後12時間;図2a、トラック5 参照)。DRTF1a複合体の移動度における変化もまた細胞周期の進行中に起こった 。例えば、刺激後0から4時間の間に、DRTF1aのよりゆっくり泳動する形態が見 えてきた(図2a、トラック2と3を比較されたい)。これは残りの周期を通じ て持続し、その出現はDRTF1aにおけるサイクリンAの存在に相互関連していた。 なぜなら、結合反応への抗サイクリンAの添加は、このゆっくり泳動する複合体 の出現を妨げたからである(図2b、DRTF1aの移動度をトラック1と2の間で、 上部パネルおよび下部パネルについて比較されたい;矢印で示されている)。他 方、Rb関連タンパク質p107を含有するDRTF1a複合体は、細胞周期の進行の間中 (G0抽出物を含めて)存在した。なぜなら、抗p107はすべての時点でよりゆっ くり泳動する複合体の出現を引き起こしたからである(図2c;上部および下部 パネルを比較されたい;変化した複合体は矢印によって示される)。細胞周期の 調節およびここに観察されるDRTF1/E2Fという組成物は、他者によって達成され た研究と全般に一致する(Mudryjら,1991; Shirodkarら,1992; Schwartzら,19 93)。 以前の研究はDP−1がDRTF1/E2Fによくある成分であると示唆したが、これ らの実験は、細胞の非同調培養物から調製した抽出物を用いて実施された(Girli ngら,1993; Bandara ら,1993)もので、そして、それにもかかわらずDRTF1/E2F におけるDP−1の存在が細胞周期によって調節されていた可能性を排除するこ とはできない。細胞周期のある1つの期の間にDP−1がDRTF1/E2F中に存在す るかどうかを確認するため、同調化した3T3細胞の抽出物における抗DP−1 の効果をアッセイした。抗DP−1は、3T3細胞周期の間に生じるDRTF1/E2F DNA結合複合体の殆どに影響を及ぼした(図2a、トラック10〜17)。これらの 効果は、相同的ペプチド(ペプチドA)によって競合されたが非関連ペプチドに よっては競合されなかったので(ペプチド1;図2a、トラック2〜9をトラッ ク19〜17と比較されたい)、特異的であった。したがって、DP−1はDRTF1/E2 Fによくある、そしてこれらの結果に基づくなら、恐らく3T3細胞DRTF1/E2Fに 必ずある成分である。 DP−1タンパク質が細胞周期の進行中に修飾される可能性はあるが、上記の 結果はDP−1がDRTF1/E2Fのよくある成分であることを示唆する。同調化3T 3細胞抽出物の同一のセットをイムノブロットすることにより、上記の可能性を しらべた。細胞周期が進行して細胞がS期に入る時、G1の終りにp55Lが現 れたが、血清枯渇3T3抽出物中ではp55Uが分解された(図2d、トラック 2、3および4を比較されたい)。このように、p55Lの出現は細胞周期のこ の段階において明らかな、増大したDRTF1/E2F DNA結合活性とよく相互関連し ていた(図2a、トラック5参照)。3T3細胞周期においてDP−1はDRTF1/ E2F のよくある成分であり、またこれは細胞周期が進行する間に修飾されるよう である、と結論された。次の文節において、提示されるデータはp55Lの出現 がリン酸化レベルの変化によってもたらされることを示唆する。 DRTF1/E2F DNA結合活性は、F9 EC細胞の分化プロセスの間にダウンレギュ レーションされる(La Thangue およびRigby,1987; PartridgeおよびLa Thangue ,1991)。これは増殖速度の低下に相互関連する調節的な側面である。DRTF1/E2F DNA結合活性がダウンレギュレーションされている分化中のF9細胞から調製 された抽出物をイムノブロッティングに用いた場合、分化した細胞(分化誘導の 7日後)における低下したDNA結合活性が、p55Uおよびp55Lの両方の 減少したレベル(図2e、トラック1と2を比較されたい)と相互関連すること が明白であった。これは、細胞周期の進行中のp55の調節と対照をなす側面で ある(図2d)。それゆえ、細胞周期の進行および分化は別個の様式でDP−1 に影響を及ぼすと結論された。 DP−1はリン酸化タンパク質である。 細胞周期進行中のDP−1 p55の調節について可能な説明は、それがp5 5の翻訳後修飾を反映するというものであり、一つの可能性は、そのリン酸化レ ベルであった。DP−1がリン酸化されているかどうかを試験した。この可能性 を調べるため、2つの異なる抗DP−1ペプチド抗血清を用いた。先に記述した ように、抗DP−1(A)はDP−1のN−末端領域のペプチド配列を認識し、他 方、抗DP−1(D)はDP−1の最も遠いC−末端領域のペプチド配列に対して 産生されていた(材料および方法の項を参照)。抗DP−1(D)は、ゲル遅延条 件下でDRTF1/E2F DNA結合活性(図3a、トラック2と3を比較されたい)、お よびGST-DP-1融合タンパク質(図3a、トラック4と5を比較されたい)と特異的 に反応した。 DP−1がリン酸化されているかどうかを試験するために適合させた戦略は、 第一に32P-オルトリン酸塩で代謝的に放射性標識した細胞から調製した抽出物か ら、抗DP−1(A)を用いて免疫沈降させることであった。ペプチドA(すなわ ち抗血清を調製するのに用いたペプチド)と競合させることにより免疫沈降させ たタンパク質を抗DP−1(A)複合体から解放し、そして抗DP−1(D)を用いて 再度免疫沈降させた。第2回の免疫沈降後に分解したポリペプチドはDP−1ま たはDP−1結合タンパク質のはずである。 第1回の免疫沈降において、幾つかのポリペプチドが抗DP−1(A)によって 特異的に免疫沈降した(図3b、トラック1と2を比較されたい)。解放されたポ リペプチドの抗DP−1(D)を用いた再免疫沈降は、類似のパターンを示し、分 子量が55,000および70,000である2つのリン酸化ポリペプチドを優勢的に分解し た(図3b、トラック3と4を比較されたい)。免疫沈降させたポリペプチドと、 抗DP−1(A)を用いたイムノブロッティングにより明らかにされたポリペプチ ドとの比較は、分子量55,000のポリペプチドがDP−1 p55と同時泳動する ことを示した(図3b、トラック10と11を比較されたい)。したがって、このポ リペプチドはDP−1である可能性が非常に高い。このレベルの分析では、p5 5Uとp55Lを区別することは不可能であった。両方の抗DP−1血清を用い て実施した免疫沈降に分子量70,000のポリペプチド(図3b、トラック4にp7 0として示されている)が存在したので、これは恐らく物理的にDP−1に結合 している。p70の大きさが先に論じた交差反応性ポリペプチドp65(図3b 、トラック11に●として示されている)よりかなり大きいことに注意することが 重要である。抗DP−1(A)および抗DP−1(D)の両方はDRTF1/E2F DNA結合 活性を免疫沈降させ(図3b、トラック5から8)、この形態のDP−1(恐ら くp70と複合している)がE2F部位への結合に関与していることを示唆した 。 DP−1はリン酸化されており、またDP−1は少なくとも1個の他のリン酸 化ポリペプチドと物理的に結合している、と結論することが可能である。p70 に比較し、DP−1のリン酸化のレベルは低かった。この結果は、DP−1が低 リン酸化部位でDNAに結合するという考えと一致する。 p55Uとp55Lの間の移動度の相違はリン酸化によって影響されたかどう かを試験するため、3T3細胞の非同調培養物から調製した抽出物をホスファタ ーゼで処理することの効果を評価した。ホスファターゼの不在下では、p55U およびp55Lの両方が分解され得た(図3c、トラック2)。しかし、抽出物 をホスファターゼで処理した後は、p55Lを犠牲にしてp55Uがより明らか となり(図3c、トラック1と2を比較されたい;p55Uおよびp55Lが指 示されている)、p55Uとp55Lの相違はリン酸化によって影響されること を示唆した。 pRbのDP-1/E2F-1ヘテロ二量体への増強された結合 ここに提示する細胞周期試験と以前の研究を結びつけると、DP−1はDRTF1/ E2Fによくある成分であることが示唆される(Bandaraら,1993; Girlingら,1993 )。しかし、DRTF1/E2Fはヘテロ二量体的DNA結合活性である可能性が非常に 高い(Girlingら,1993; Bandaraら,1993; Helinら,1993)。可能性のある生理 学的パートナーは、E2F−1タンパク質である。なぜなら、DP-1/E2F-1ヘテロ 二量体がin vivo で検出され、また両タンパク質はin vitroで相乗的に相互作用 してヘテロ二量体的DNA結合複合体を形成するからである(Bandaraら,1993; Helinら,1993)。種々のタンパク質、例えばpRb、p107、サイクリンAおよび E、並びにp33cdk2がDRTF1/E2Fと相互作用できるので(Mudryjら,1991; Shir odkarら,1992; Leesら,1992; Schwartzら,1993)、DP−1がDP-1/E2F-1ヘテ ロ二量体という関係においてどのようにしてこれらの相互作用に影響を及ぼすか を理解するのは興味深かった。pRbのDP-1/E2F-1ヘテロ二量体への結合を調べ ることを決定した。野性型pRb(残基379から928までのpRb配列を含有する GST融合タンパク質としての)がDP-1/E2F-1ヘテロ二量体に結合する効率を評 価し、E2F−1を単独で用いた場合の結合活性と比較した。以前の報告(Banda ra ら,1993; Helinら,1993)と一致して、E2F-1は、単独でアッセイした場合、 低いDNA結合活性を有した(図4a、トラック8)。しかし、同量のE2F− 1をDP−1の存在下でアッセイした場合、この活性は有意に大きくなった(図 4a、トラック8と9を比較されたい)。DP-1/E2F-1ヘテロ二量体へのGST- pRbの添加は、よりゆっくり泳動するDNA結合複合体をもたらした(図4a 、トラック3を9と比較されたい)。pRb-E2F-1 複合体の強度はDP-1/E2F-1ヘテ ロ二量体を用いた場合より小さかったが(これは部分的にE2F−1単独の低い DNA結合活性の影響である)、GST-pRbもまたE2F−1複合体と結合 した(図4a、トラック2と3を比較されたい)。 pRbのDP-1/E2F-1ヘテロ二量体への増強された結合は、DP−1とpRbの 相互作用によって助けられることが考えられた。この相互作用は、以前に文献化 されたpRbによるE2F−1の認識(Helinら,1992; Kaelinら,1992; Shanら ,1992)に加え、pRbの上記ヘテロ二量体への結合を安定させるのを助ける。I n vitroで翻訳されたDP−1とGST-pRbとの相互作用を評価する結合アッ セイであって、DP−1とE2F−1との相互作用を試験するために以前に用い られた(Bandaraら,1993)アッセイを用いて、上記の考えを試験した。 このアッセイの特異性の対照として、E2F−1およびE1aのpRbとの相 互作用を評価した。E2F−1およびE1aは両方ともポケット(pocket)の組み 込みに依存する様式でpRbに結合することが知られている(Huら,1990; Helin ら,1992; Kaelinら,1992)。我々は、野性型pRb、および1つのアミノ酸置 換(残基706においてCからFへ)を有するか、またはエキソン22によってコー ドされるタンパク質領域を欠損する、天然に存在する突然変異対立遺伝子によっ てコードされる2つのpRbタンパク質へのそれらの結合を比較した。E2F− 1およびE1aは両方ともポケット依存性の様式でpRbに結合した。なぜなら 、それらの野性型pRbとの相互作用は突然変異タンパク質とのそれよりも大き かったからである(図4b、トラック6を7および8と、トラック9を10および 11、並びにトラック13、14および15の減少した暴露と比較されたい)。さらに、 そして以前の結果と一致して(Bandaraら,1993)、DP−1およびE2F−1は 特異的に相互作用することが可能であった(図4b、トラック1、2と12を比較さ れたい)。DP−1と野性型pRbとの相互作用を評価した時、有意なレベルの 結合活性が検出された(図4b、トラック2と3を比較されたい)。しかし、こ の活性はGSTタンパク質への結合もグルタチオンビーズへの結合も減少が見ら れたので(図4b、トラック1、2および3を比較されたい)pRbタンパク質 配列の存在には依存していたが、pRbのポケット領域の組み込みに依存してい なかった。なぜなら、DP−1は野性型pRbおよび突然変異pRbタンパク質 の両方に同等の効率で結合したからである(図4b、トラック3、4および5を 比較されたい)。それにもかかわらず、DP−1はポケット依存性の様式でpR bと特異的に相互作用することができると結論できる。 pRb-DP−1相互作用を制御するため、2つのアプローチが採用された。 第1に、非関連タンパク質のpRbとの相互作用を評価した。このため、我々は このアッセイの条件下ではGSTタンパク質と効率的に相互作用しないと同様、 野性型pRbとも突然変異Rbタンパク質とも効率的に相互作用しない(図4b 、トラック16、17、18を19と比較されたい)CREBP1(cAMP応答エレメント結合タ ンパク質;Maekawaら,1989)を選択した。第2に、野性型pRbまたはGST単 独を用いて、パネルに掲げた突然変異DP−1タンパク質(図4c)の結合活性 を評価した。アッセイしたDP−1突然変異タンパク質の殆どはGST単独より も より効率的にpRbに結合した(図4c、トラック1、2、3および4を6、7 、8および9と比較されたい)。しかし、DP−1タンパク質配列C-末端を残 基211から欠く突然変異体△211 はpRbと相互作用しなかった(図4c、トラ ック5を10と比較されたい; このアッセイに用いた翻訳された△211ポリペプチ ドがトラック11に示されている)。 これら突然変異DP−1タンパク質もまた、E2F−1およびpRbと相互作 用する能力についてゲル遅延アッセイにより評価された(図4a)。すべての突 然変異DP−1タンパク質がE2F部位DNA結合活性においてE2F−1と相 乗的に相互作用することができた(図4a、トラック9から13)。△211の活性 は、野性型DP−1よりもわずかに低く(図4a、トラック9を13と比較された い)、DP−1における残基204から249の間の領域はDP-1/E2F-1ヘテロ二量体の DNA結合活性に寄与する(Bandaraら,1993)と指示する以前の研究と一致する 。 先に指摘した通り、DP-1/E2F-1ヘテロ二量体はpRbと効率的に相互作用する (図4a、トラック3)。結合アッセイにおいてpRbと相互作用することがで きた突然変異DP−1タンパク質(図4c)はまた、pRbと相互作用が可能な DP-1/E2F-1ヘテロ二量体を生成することができた(図4a、トラック3、4、5 および6を比較されたい)。結合アッセイにおいてpRbと相互作用しなかった △211によってもたらされたDP-1/E2F-1ヘテロ二量体(図4c,トラック5)は 、pRb結合活性を低下させた(図4a、トラック3と7を比較されたい)。△ 211/E2F-1ヘテロ二量体のわずかに低下したDNA結合活性は、pRbのDP− 1△211/E2F-1ヘテロ二量体への結合効率における劇的な減少より遙かに小さか った(図4a、トラック6を7と、12を13と比較されたい)。2つの異なるアッ セイを用いた突然変異DP−1タンパク質に関する試験から得られたこれらのデ ータは、DP−1がpRbと相互作用することができ、また残基211から327の間 の領域がこの相互作用に影響を及ぼすことを示唆している。 アデノウイルスE4 orf 6/7タンパク質はDP-1/E2F-1ヘテロ二量体に結合し、この DNA結合複合体に協同的E2F部位DNA結合の特性を付与する。 アデノウイルス orf 6/7産物がDP-1/E2F-1ヘテロ二量体に結合できるかどうか を確認することを決定した。アデノウイルス感染の間に、orf 6/7 タンパク質は DRTF1/E2F DNA結合活性を有する2個の分子と相互作用し(HuangおよびHearin g,1989; Martonら,1990)、これがE2aプロモーターにおいて起こるような(H ardyおよびShenk,1989; Raychaudhuriら,1990)2個の正しく間隔を置いて配向 されたE2F結合部位の協同的認識をもたらすため、この相互作用を試験した。 したがって、orf 6/7 とDP-1/E2F-1との相互作用は、重要な生理学的相互作用の 別の例を表すであろう。 これを試験するため、DP−1およびE2F−1タンパク質をin vitroで翻訳 し、E2aプロモーターに関するそれらのDNA結合活性をゲル遅延により試験 した。ここでもまた、両方のタンパク質の存在下でのみ、有意なDNA結合活性 が観察された(図5、トラック2、3、4を5と比較されたい)。DP-1/E2F-1ヘ テロ二量体へのorf 6/7 の添加は、よりゆっくり泳動するDNA結合複合体の出 現を引き起こした(図5、トラック9に*で示してある)。この複合体は、DP −1またはE2F−1単独に対してorf 6/7 を加えた時には明らかではなかった (図5、トラック6、7および8を9と比較されたい)。この効果は、E2aプ ロモーターにおける2個のE2F結合部位の配置に対して特異的であった。なぜ なら、orf 6/7 によって誘導される変化は、1個のE2F結合部位を用いた場合 (データはここに示さない)には明らかでなかったからである。それゆえ、これ はE2aプロモーターにおけるE2F部位の立体配置を認識するDNA結合複合 体を表す可能性が非常に高い。これらの結果は、orf 6/7 タンパク質はDP-1/E2F -1ヘテロ二量体と特異的に相互作用し、そして、そうしながらアデノウイルス感 染細胞形態のDRTF1/E2F の適切な生化学的特性を有するDNA結合活性を創出す ることを示している。それゆえ、orf 6/7 タンパク質とDP-1/E2F-1ヘテロ二量体 との相互作用は、in vivo現象の要点を繰り返している。 各タンパク質を特異的に認識する抗血清を用いて、二重部位複合体におけるD P−1、E2F−1およびorf 6/7 タンパク質の存在を確証した。抗DP−1お よび抗E2F−1は、orf 6/7 タンパク質の不在下でも存在下でも、DP-1/E2F-1 ヘテロ二量体と反応した(図5、トラック10、11および12、ならびに14、15およ び16を比較されたい)。対照的に、抗orf 6/7 はDP-1/E2F-1ヘテロ二量体の活性 に影響を及ぼさなかった(図5、トラック13を17と比較されたい)が、orf 6/7 タンパク質の添加により明らかになる二重部位複合体の出現を妨げた(図5、ト ラック10を13と比較されたい)。したがって、DP−1、E2F−1およびorf 6/7 タンパク質は二重部位複合体中に存在すると結論することができる。 適切な立体配置のE2F部位と結合したDP-1/E2F-1ヘテロ二量体は、orf 6/7 によるE2F部位依存性転写の活性化に必要である。 DP-1/E2F-1ヘテロ二量体とorf 6/7 との相互作用の機能的重要性を立証するた め、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)SL2細胞を用いて以 前に開発されたアッセイ系(Bandaraら,1993)を使用した。SL2細胞は、E2 F部位依存性転写の分析に特に適している。なぜなら、多くの哺乳動物細胞とは 対照的に、SL2細胞は非常に低レベルの内因性E2F部位DNA結合活性を有 し(Bandaraら,1993)、したがってトランスフェクトされたE2F部位エフェク ター分子の、トランスフェクトされたベクターから発現された活性が容易に評価 されることを可能とするからである。これらの細胞内で、DP−1およびE2F −1は、個々のタンパク質単独では殆ど活性化しない条件下で、E2F部位依存 性転写活性化において相乗的に相互作用する(p3xWTレポーターによりアッセイし た場合)ことが以前に示された(Bandaraら,1993; 図6b,レーン3および4を 7と比較されたい)。orf 6/7 とDP−1またはE2F−1単独との同時発現、 または両タンパク質の存在下では、p3xWTの転写活性に有意に影響しなかった( 図6b、レーン3と4、4と5、および7と8を比較されたい)。これはp3xWTにおける E2F部位の配置から予想された結果であった。なぜなら、p3xWT はアデノウイ ルスE2aプロモーター由来の遠位的なE2F部位を、タンデムに3コピー有し 、それゆえorf 6/7 依存性二重部位複合体の形成にとって不適切な配置だからで ある(HardyおよびShenk,1989)。 アデノウイルス感染細胞内にorf 6/7-二重部位複合体の形成を可能とするE2 F部位の構成(organization)(図7に矢印で指示)を有する野性型アデノウイル スE2aプロモーター(HardyおよびShenk,1989;および図5参照)を用いて同様 のアッセイを実施した時、DP−1およびE2F−1は、共に存在すると各タン パク質単独の場合よりも効率的に転写を活性化した(図7bおよびc、レーン7を 3および4と比較されたい)。しかし、orf 6/7 のp3xWTへの効果(図6b、レー ン7と8を比較されたい)とは対照的に、orf 6/7 とDP−1およびE2F−1 との同時発現はE2aプロモーターの転写活性における顕著な増加をもたらした (図7bおよびc、レーン7と8を比較されたい)。DP−1またはE2F−1が 単独で発現された場合はorf 6/7 はプロモーター活性に影響を及ぼさなかったの で、この効果はDP-1/E2F-1ヘテロ二量体に特異的であった(図7bおよびc、トラ ック3を6と、トラック4を5と比較されたい)。したがって、orf 6/7 による 転写活性化は、DP−1およびE2F−1タンパク質の存在に依存しており、そ してさらに、感染細胞内でorf 6/7 タンパク質がその生物学的効果を達成するの に必要であることが以前に示されたE2F部位の構成を必要とする。それゆえ、 orf 6/7 とDP-1/E2F-1ヘテロ二量体との相互作用は、アデノウイルス感染細胞に おけるE2F部位依存性転写の調節の要点を繰り返している。 DP−1:DRTF1/E2Fの、よくある、そして増殖によって調節されるDNA結合 成分。 DP−1は、最初 F9 EC細胞中のE2F部位DNA結合ポリペプチドであり、 またpRbおよびp107結合DRTF1/E2Fの成分であると定義された(Girlingら,199 3)。さらに、F9 EC およびHeLa細胞の非同調培養物より調製した抽出物中で、抗 DP−1抗体は明らかに示しうる(definable)DNA結合複合体の殆どに影響を 及ぼす(Bandaraら,1993)。本発明においては、DRTF1/E2Fが、pRbおよびp107 (「ポケット」タンパク質と称する)、サイクリン並びにサイクリン依存性キナ ーゼ等のタンパク質(Nevins,1992; La Thangue,1994に総説されている)との調 節された一連の相互作用を受ける3T3細胞周期の間にDP−1タンパク質の特 性を調べることにより、DP−1タンパク質の分析が継続された。その結果は、 3T3細胞における細胞周期の進行中、DP−1は、DRTF1/E2F の、普遍的でな いにしても非常によくあるDNA結合成分であることを明確に立証した。これは 、E2F−1はDRTF1/E2F の幾つかの種に存在するがすべての種には存在しない ので、幾分より珍しいDNA結合成分であると示唆する、E2F−1タンパク質 に ついて実施した試験の結果と対照をなす(Chittendenら,1993)。したがって、D P−1は、細胞周期の間に恐らくE2F−1に関連している他のタンパク質とヘ テロ二量体を形成し、ヘテロ二量体的E2F部位DNA結合活性を有する他の種 (図8に示すモデル中に指示されている)を生成することができる。入手可能な 証拠に基づくと、E2F結合部位を認識する多数のDNA結合ヘテロ二量体が存 在し、またある細胞(例えばF9 EC、HeLaおよび3T3)は可変的なそのパート ナー(この試験ではE2F−1によって例示される)と共にDP−1をよくある 成分として有するように思われる。特にDNA結合ドメイン内のE2F−1に関 連するタンパク質(Ivey-Hoyleら,1993; Leesら,1993)で、そしてそれゆえDP −1に適当なパートナーであるタンパク質の単離は、そのようなモデルと一致す る。 DP−1は3T3細胞周期を通じてDRTF1/E2F のよくあるDNA結合成分であ るが、それにもかかわらず、DP−1 DNA結合ポリペプチド(p55)は細 胞周期改変を受ける。なぜなら、それは細胞周期の進行中にわずかな移動度変化 を受けたからである(p55Uからp55Lへ)。この現象に対して可能な説明 は、細胞周期が進行する間、p55のリン酸化レベルが調節されているという、 p55Lの移動度を変化させたホスファターゼの効果(図3c)と調和した考えで ある。これは、DP−1の産物であるp55(ある種の細胞においてこれはDRTF 1/E2F のよくある成分である)が細胞周期の進行中に示差的にリン酸化されるこ とを示唆する。この機能的重要性、残基の位置、およびこのプロセスに関与する キナーゼおよびホスファターゼの性質はまだわかっていない。 DP−1が別のリンタンパク質p70と物理的に結合していることは注目すべ きである。DP−1に比較して、p70はより高いレベルのリン酸化を示した。 これは、DP−1およびp70は異なる生理学的合図に応答するという考えと調 和する観察である。DP−1におけるp70の存在は、相互関連するDRTF1/E2F DNA結合活性を免疫沈降させる。したがって、DP-1/P70複合体はヘテロ二量体 的E2F部位特異的DNA結合複合体でありうる。しかし、p70がE2F−1 であるとは思われない。なぜなら、種々の抗E2F−1抗血清がp70と反応し なかったからである。このことは、p70がE2F−1に関連していて、そして 例えばより最近になって明らかにされたE2F−1関連タンパク質の1つであり うることを排除するものではない(Ivey-Hoyleら,1993; Leesら,1993)。 細胞周期進行中のDP−1の調節と対照的に、DP−1は分化のプロセスにお いてダウンレギュレーションされ、したがってこの点でDP−1のレベルは細胞 増殖の速度と相互関連する。実際、DP−1のレベルが細胞増殖の速度に直接影 響することが考えられる。なぜなら、プロモーター領域にE2F結合部位を有す る多数の遺伝子は、細胞周期の進行に必要なタンパク質をコードしているからで ある(Nevins,1992)。 DP−1はpRbに結合する。 上記の結果は、DP−1がポケットの組み込みに依存しない様式でpRbに結 合できることを示す。これはE2F−1およびウイルス腫瘍タンパク質とpRb との相互作用と対照的である。なぜなら、これらの結合活性はポケット領域が完 全な時より効率的だからである。DP−1のC−末端の半分に限定されるタンパ ク質ドメインは、pRbのDP−1単独またはDP-1/E2F-1ヘテロ二量体への結合 活性効率に影響を及ぼす。これは、このドメインがpRbの増大した結合の媒介 に関与していることを示唆する。しかし、このドメインが相互作用にとって十分 であると思われると暗示したいのではく、むしろ、このドメインはpRbとE2 F−1のC−末端ドメインとの間で起こるポケット依存性相互作用と協同するよ うである(Helinら,1993)。pRb△22は結合アッセイにおいてはDP-1/E2F-1ヘ テロ二量体と効率的に結合することができたが、ゲル遅延アッセイにおいてはそ れと効率的に結合しなかった(図4aおよびb)。これは、DP−1とpRbとの相 互作用が弱いことを示唆している。または、E2F−1がDP-1/E2F-1ヘテロ二量 体の関係において、DP−1の△22と相互作用する能力を妨害している可能性が ある。さらなる実験がこれらの問題を明らかにするであろう。 したがって、pRbのDP-1/E2F-1ヘテロ二量体への結合に影響することにおい て、E2F−1は主要な決定要素であるが、しかしこの結合活性はpRbの非ポ ケット依存性領域とDP−1のC−末端領域との相互作用によって高められる。 p107-DRTF1/E2F 複合体にDP−1もまた存在するとすれば、DP−1もまたp10 7のヘテロ二量体への結合を助けることが考えられる。もしそうであれば、DP −1を認識することはポケットタンパク質の一般的な特性であるのかもしれない 。これらの考えを試験し、DP−1に結合するpRbのドメインを確認すること は非常に興味深い。 orf 6/7 タンパク質とDP-1/E2F-1ヘテロ二量体との相互作用は生理的調節の要点 を繰り返す。 上記の結果はまた、DP-1/E2F-1ヘテロ二量体はorf 6/7 によって認識されるDR TF1/E2Fの生理的に適切な形態であることを示唆している。ヘテロ二量体の形成 およびE2F部位の適切な配置(例えばE2aプロモーター内における)は、or f 6/7 による転写活性化のための必要条件である。これは、DP-1/E2F-1ヘテロ二 量体がDRTF1/E2Fの感染細胞型の重要な印(hallmarks)を有することを示している 。HeLa細胞のアデノウイルス感染の間にorf 6/7 タンパク質がDRTF1/E2F DNA 結合活性と安定な複合体を形成することは文献によく示されている(Hardyおよび Shenk,1989; HuangおよびHearing,1989)。DP-1/E2F-1ヘテロ二量体がHeLa細胞 中に存在するとすると(Bandaraら,1993)、普通の溶菌感染の間にorf 6/7 タン パク質はこの複合体と相互作用する可能性が非常に高い。それゆえ、ひとはアデ ノウイルス感染の間に起こるDRTF1/E2Fの一形態との相互作用の成分を定義し、 そして再構築されたのだと思う。しかし、E2F-1、-2および-3の間に高度の類似 性が与えられるならば、他のDP-1/E2Fヘテロ二量体、例えばDP-1/E2F-2およびDP -1/E2F-3もまたorf 6/7 と相互作用することができるようである(Ivey-Hoyleら ,1993; Leesら,1993)。さらに、E2F-1 がE2F-2 およびE2F-3 に関連している( Girling,OrmondroydおよびLa Thangue、未刊行の考察)ようにDP−1に高度に 関連している他のDPタンパク質は、E2F類(例えばE2F-1)の適当なパートナーで ある。 二重E2F部位DNA結合複合体の創出へのorf 6/7 タンパク質の寄与は比較 的明らかであるが、転写活性化におけるorf 6/7 の役割は殆ど分かっていない。 データは、orf 6/7 タンパク質はあるとしても極わずかの転写刺激しか提供しな いことを示唆している。この見解は、orf 6/7 タンパク質はDP-1/E2F-1ヘテロ二 量体の転写活性を約2倍に高める(図7)という事実に基づいている。それゆえ 、最も単純な解釈は、orf 6/7 タンパク質は2つの部位(orf 6/7 の不在下で起 こるらしい1つの部位ではなく)の占領に便宜を与える、そして増強された転写 活性はorf 6/7 からの直接的寄与によるものではなく、二重部位占領(すなわち 2個のDP-1/E2F-1ヘテロ二量体)によってもたらされる、というものである。し たがって、orf 6/7 は、DRTF1/E2F DNA結合活性(例えばDP-1/E2F-1ヘテロ二 量体等)に特異的な、ウイルス的にコードされる二量体化ドメインとして優勢に 機能する、ということが示唆される。 アデノウイルス溶菌感染の間、ウイルスによって引き出される少なくとも2つ の作用機構がDRTF1/E2F の正常な調節を侵害する。第1に、正常であればDRTF1/ E2F の転写活性を抑制するpRb等のタンパク質をE1aタンパク質が隔離し、 そしてたぶん不活性化する。そこで転写的に活性なDRTF1/E2Fは、細胞性遺伝子 を活性化することが可能である。細胞性遺伝子の幾つかはウイルス複製に必要な タンパク質をコードしている。第2に、orf 6/7 タンパク質はDP/E2Fからなるこ の1個のE2F部位活性を標的とし、これをE2a(その遺伝子は、複製に必要 なウイルスタンパク質をコードする。)等のウイルスプロモーター中に存在する 部位の構成を優先的に認識する形に変換し、そのようにして必須なウイルス遺伝 子の発現をウイルス複製サイクルの間維持する。 要約すると、3T3細胞においてDP−1はDRTF1/E2F のよくある成分であり 、そしてDP−1のリン酸化レベルは細胞周期制御のもとにあることが示された 。さらに、DRTF1/E2F におけるDP−1の存在は、pRbとの相互作用を増大さ せ、そしてorf 6/7 タンパク質による認識にとって機能的に極めて重要である。 したがって、DP−1はウイルス性および細胞性タンパク質をDRTF1/E2F と相互 作用することを可能にするうえで、極めて重要な役割を果たす。 細胞系からの抽出物の調製、ゲル遅延、および免疫化学的技法: 抽出物は以前に記述されたように調製した(PartridgeおよびLa Thangue,1991 )。ゲル遅延反応は、アデノウイルス5 型 E2aプロモーター(ヌクレオチド-71 か ら-50)より取った遠位のE2F結合部位を有するオリゴヌクレオチド、または2 つのE2F部位を有する完全な野性型E2aプロモーター(ヌクレオチド-96 か ら+68)を用いて実施した。抗血清および競合するペプチド(DP−1ペプチドに 対し約2nモル)は以前に記述された通り行った(Girlingら,1993)。イムノブロ ッティングは標準的手順により実施し、アフィニティー精製抗DP−1(A)をイ ムノブロッティングに用いた。アフィニティー精製は、ペプチドAが臭化シアン 活性化SepharoseCL4Bに結合させたペプチドAアフィニティーマトリックスを用 いて実施した。使用した他の抗体は、抗DP−1(D)、抗p107に対するSD 15(Dysonら,1993)、抗E2F−1に対する134(Bandaraら,1993)、ウサギ ポリクローナル抗orf 6/7(Boccoら,1993)、およびウサギポリクローナル 抗サイクリンA(Bandaraら,1991)であった。対照として、免疫前血清または非 関連モノクローナル抗体を用いた。DRTF1/E2F DNA結合活性は、E2F結合部 位アフィニティーマトリックスへ繰り返しロードすることにより、以前に記述さ れた通りに正確にアフィニティー精製した(Girlingら,1993)。細胞抽出物の脱 リン酸化は、ヒト胎盤ホスファターゼ(4.0U)、ジャガイモ酸ホスファターゼ(1.2 U)および仔ウシ腸ホスファターゼ(20U)を添加し、次に37℃で40分間インキュベ ートすることにより実施した。対照の処理にはホスファターゼを添加しなかった 。次に、抗DP−1(A)を用いて抽出物をイムノブロッティングした。 融合タンパク質およびin vitro翻訳: DP−1、E2F−1、pRb、pRb△22およびpRb C→F 706をGS T融合タンパク質として発現させ、以前に記述されたように精製した(Bandaraら ,1993; Girlingら,1993)。DP−1、E2F−1、E1aおよびCREBP1(Maeka waら,1989)をコードする配列を、網状赤血球溶解液を用いて転写および翻訳し( Promega; Bandaraら,1993)、そしてorf 6/7 タンパク質を以前に記述されたよ うに発現させて精製した(Boccoら,1993)。またこのタンパク質はJose Bocco及 びClaude Kedingerにより親切に提供された。タンパク質結合アッセイ(図4) において、ポリペプチドを翻訳し、35S メチオニンを用いて放射性標識し、そし て適切なGST融合タンパク質と共に30℃で30分間インキュベートし、グルタチ オン-アガロース(Sigma)を用いて回収し、PBSAに溶解した0.1% NP40を用いて繰 り返し洗浄した。結合タンパク質は、以前に記述されたようにSDSサンプル緩衝 液中で変性して放出し、10% ポリアクリルアミドゲル中で分解した(Bandaraら, 1993)。各ポリペプチドについて翻訳の効率を評価した。△341および△327は、 pGDP−1(Bandaraら,1993)をそれぞれBam H1及びKpn1で消化するとにより 作製した。△73-340は、効率的なリボソーム結合部位を組み込んでいる5'オリゴ ヌクレオチドを用いたポリメラーゼ・チェーン・リアクションにより作製した。 △211は、Promega Erase-a-Base系を用いた3'末端由来のDP−1 cDNAのエ キソヌクレアーゼIII消化により作製した。 代謝放射性標識: 3mCiの32P-オルトリン酸塩(Amersham International)を用いてF9 EC細胞(約1 x106)を4時間放射性標識し、溶解緩衝液(50 mM Tris-HCl pH 8.0,150 mM NaC l,0.1% NP40,2μg/ml Aprotonin,0.5 mM PMSF)中で回収した。2つの異なる 抗DP−1抗体を用いて、細胞溶解液を2工程で免疫沈降させた。第1に、相同 ペプチド(ペプチドA;2nモル)または非関連ペプチド(ペプチド1;2nモル) の存在下で、抗DP−1(A)を放射性標識溶解液に1時間にわたって添加した。 その後、プロテインA Sepharoseビーズ(Pharmacia)を添加し、さらに1時間イ ンキュベートした。Sepharoseビーズを回収し、溶解緩衝液で繰り返し洗浄した 。非関連ペプチド(ペプチド1)の存在下で達成された免疫沈降物に相同ペプチ ド(ペプチドA;(DP−1の残基3から15)2nモル)を添加することにより、 抗DP−1(A)と共に免疫沈降したタンパク質を放出した。相同ペプチド(ペプ チドD;2nモル)または非関連ペプチド(ペプチド1;2nモル)の存在下で抗D P−1(D)を用いて、放出されたタンパク質の再免疫沈降を実施した。反応液を 1時間インキュベートし、その後プロテインA Sepharoseビーズを添加し、さら に1時間インキュベートした。結合タンパク質をSDSゲル電気泳動により分解し た。DRTF1/E2F DNA結合活性の分析のため、免疫沈降物(相同ペプチドまたは 非関連ペプチドを含有する;2nモル)をゲル遅延緩衝液で処理し、次に競合的突 然変異E2F部位の存在下におけるE2F部位へのDNA結合活性についてアッ セイした。 ショウジョウバエ組織培養細胞のトランスフェクション: レポーター構築体 p3xWTおよび p3xMTが以前に記述されている(Zamanianおよ びLa Thangue,1992)。pE2aはCAT遺伝子を駆動させる野性型E2aプロモー ター配列(-96から+68)を含有するもので、以前に記述されている(SivaRamanおよ びThimmappaya,1987)。pDP-1 およびpE2F-1 は完全なDP−1およびE2F− 1タンパク質を含有する(Bandaraら,1993)。pE4 はE4プロモーターに制御さ れる完全なAd5 orf 6/7 cDNAを含有するもので、これはClaude Kedingerよ り親切に提供された。トランスフェクションおよびCATアッセイは以前に記述 されたように実施した(Bandaraら,1993)。 細胞周期分析: 細胞周期分析(図2参照)のため、NIH 3T3 細胞を0.1%ウシ胎児血清(FCS)を 含有する培地(DMEM)で36時間培養した。次に各培養物を洗浄し、10% FCSを含有 するDMEMを添加した。そして、その後適当な時(4時間ごと)に細胞を採集した 。細胞増殖キット(Amersham International)を用いて、製造者の指示に従って、 DNA合成について細胞を評価した。すなわち、ブロモデオキシウリジン(BrdU) の存在下で無菌のカバースリップ上で細胞を増殖させ、適切な時間間隔をおいて カバースリップを除去して、抗BrdUを用いて製造者の指示にしたがって免疫染色 を実施した。ゲル遅延およびイムノブロッティングによる分析用に、平行培養物 を調製した。この細胞系において、DNA合成は血清刺激後8時間目に始まり、 約12時間目にピークに達した。細胞は血清刺激後20時間目に分裂し始めた。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年8月19日 【補正内容】 請求の範囲 1.増殖を防止、抑制あるいは増強する可能性のある物質についてのアッセイで あって、 (i)前記物質をDPタンパク質を含んでいる細胞と接触させ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 2.増殖を防止、抑制あるいは増強する可能性のある物質についてのアッセイで あって、 (i)DPタンパク質を含む細胞からの抽出物を用意し、 (ii)その抽出物を前記物質と接触させ、 (iii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 3.細胞抽出物が、低リン酸化状態のDPタンパク質を含む、請求項2に記載のア ッセイ。 4.細胞抽出物が、リン酸化状態のDPタンパク質を含む、請求項2に記載のアッ セイ。 5.細胞抽出物が、同調培養中の細胞から得られたものである、請求項2〜4の いずれかに記載のアッセイ。 6.可能性のあるDPタンパク質リン酸化調節物質についてのアッセイであって、 (i)低リン酸化またはリン酸化状態のDPタンパク質及びリン酸化または脱リン 酸化酵素をを含む媒体を前記物質と接触させ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 7.DPタンパク質のリン酸化状態の観察が、DPタンパク質中の32P の量を測定す るか、抗体の抗-DP-1(D)のDP-1に対する結合の程度を測定するか、あるいはSDS/ ポリアクリルアミドゲル上でのDPタンパク質の移動を測定することを含む、請求 項1〜6のいずれかに記載のアッセイ。 8.低リン酸化状態のDP-1を認識するが、リン酸化されているときはDP-1にそれ ほどよく結合しない抗体。 9.DP-1の残基385-400 に対応するペプチドに結合することができる、請求項8 に記載の抗体。 10.リン酸化部位を含むDPタンパク質の部分または断片に結合することができる モノクローナル抗体である、請求項8または9に記載の抗体。 11.配列RVETPVSYVGEDDDD から実質的になるDP-1の断片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.増殖を防止、抑制あるいは増強する可能性のある物質についてのアッセイで あって、 (i)前記物質をDPタンパク質を含んでいる細胞と接触させ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 2.増殖を防止、抑制あるいは増強する可能性のある物質についてのアッセイで あって、 (i)低リン酸化状態のDPタンパク質を含む細胞からの抽出物を用意し、 (ii)その抽出物を前記物質と接触させ、 (iii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 3.増殖を防止、抑制あるいは増強する可能性のある物質についてのアッセイで あって、 (i)リン酸化状態のDPタンパク質を含む細胞からの抽出物を用意し、 (ii)その抽出物を前記物質と接触させ、 (iii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 4.可能性のあるDPタンパク質リン酸化調節物質についてのアッセイであって、 (i)低リン酸化またはリン酸化状態のDPタンパク質及びリン酸化及び/または 脱リン酸化酵素を含む媒体を前記物質と接触させ、 (ii)DPタンパク質のリン酸化状態を観察することを含む、 前記アッセイ。 5.DPタンパク質のリン酸化状態の観察が、DPタンパク質中の32P の量を測定す るか、抗体の抗-DP-1(D)のDP-1に対する結合の程度を測定するか、あるいはSDS/ ポリアクリルアミドゲル上でのDPタンパク質の移動を測定することを含む、請求 項1〜4のいずれかに記載のアッセイ。 6.配列番号2のC-末端領域に対応するペプチドを免疫原として使用して得ら れ、低リン酸化状態のDP-1を認識するが、DP-1がリン酸化されているときはそれ ほどは結合しないモノクローナル抗体。 7.DP-1の残基385-400 に対応するペプチドに特異的な(即ちそれを免疫原とす る)、請求項6に記載の抗体。 8.リン酸化部位を含むDPタンパク質の部分または断片に結合することができる モノクローナル抗体。 9.DP-1の部分に結合する、抗-DP-1(D)である請求項6〜8のいずれかに記載の 抗体。 10.リン酸化されているか、またはされていないリン酸化部位を含むDPタンパク 質の断片。 11.DP-1の断片であり、リン酸化部位Thr388またはSer391を含む、請求項10に記 載の断片。
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