JP2002171977A - 新規なヒトsh2蛋白質 - Google Patents

新規なヒトsh2蛋白質

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JP2002171977A
JP2002171977A JP2000196309A JP2000196309A JP2002171977A JP 2002171977 A JP2002171977 A JP 2002171977A JP 2000196309 A JP2000196309 A JP 2000196309A JP 2000196309 A JP2000196309 A JP 2000196309A JP 2002171977 A JP2002171977 A JP 2002171977A
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Tsukasa Oda
司 小田
Masaaki Muramatsu
正明 村松
Norio Ota
紀夫 太田
Takao Isogai
隆夫 磯貝
Tetsuo Nishikawa
哲夫 西川
Koji Hayashi
浩司 林
Kaoru Saito
薫 齋藤
Junichi Yamamoto
順一 山本
Shizuko Ishii
静子 石井
Tomoyasu Sugiyama
友康 杉山
Ai Wakamatsu
愛 若松
Keiichi Nagai
啓一 永井
Tetsutsugu Otsuki
哲嗣 大槻
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Helix Research Institute
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Helix Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、チロシンキナーゼを介した情報伝
達に関与する新規なSH2蛋白質、および該蛋白質をコー
ドする遺伝子、並びにそれらの製造および用途の提供を
課題とする。 【解決手段】 ヒト胎盤組織cDNAライブラリーから、SH
2ドメインを有する新規な蛋白質HSH2をコードするDNAを
単離することに成功した。HSH2は、チロシンキナーゼを
介する情報伝達系、特に血液系細胞の分化・増殖、活性
化に関わっていることが示唆された。本発明のHSH2は、
抗癌剤、および造血・血液疾患に対する薬剤開発への利
用が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なSH2蛋白
質、および該蛋白質をコードする遺伝子、並びにそれら
の製造および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞は、外部環境の変化や刺激に応じ
て、種々の細胞内情報伝達経路を介して、遺伝子発現お
よび細胞内骨格の変化といった適切な応答をする。チロ
シンキナーゼを介した情報伝達経路はその中で重要な役
割を担っている。このチロシンキナーゼによる情報伝達
は一連の蛋白質の相互作用によって伝達されることが分
かってきた。
【0003】その中でもアダプター蛋白質は、種々のモ
チーフ、例えば、SH2 (Src homology 2)ドメイン, SH3
ドメイン, PHドメイン, プロリンリッチ領域, チロシン
リン酸化部位等を介して蛋白質複合体形成を行う、チロ
シンキナーゼを介した情報伝達において重要な役割を担
う蛋白質群である。例えば、アダプター蛋白質Grb2は、
そのSH2ドメインで、活性化した種々のレセプター型チ
ロシンキナーゼのリン酸化チロシンに結合し、そのSH3
ドメインはSOSと結合する。その結果、SOSは細胞質から
細胞膜へと移行し、膜に局在するRasを活性化する。活
性化したRasは、MAPキナーゼ経路を活性化していく。
【0004】このような特性からアダプター蛋白質は、
チロシンキナーゼを介した情報伝達を制御する医薬品の
開発のための重要な標的分子である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、チロシンキ
ナーゼを介した情報伝達に関与する新規なSH2蛋白質、
および該蛋白質をコードする遺伝子、並びにそれらの製
造および用途を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規なヒ
ト遺伝子のクローニングを目的として、下記の如く鋭意
研究を行った。まず、オリゴキャップ法(Maruyama K. a
nd Sugano S. Gene 138: 171-174, 1994; Suzuki Y. et
al. Gene 200: 149-156, 1997)で作製した全長率の高
いヒトcDNAライブラリーを構成するクローンを単離し
た。次いで、この方法で取得した全長率の高いcDNAクロ
ーンの塩基配列を5'側と3'側の両側から決定し、ATGpr
(Salamov A. A. et al. Bioinformatics 14: 384-390,
1998; http://www.hri.co.jp/atgpr/)等を利用して全長
cDNAクローンであると予想されるヒト全長cDNAを選択し
た。選択したクローンの全長cDNA配列を解析し、その塩
基配列がコードするアミノ酸配列を推定した。次いで、
推定アミノ酸配列に基づいて、BLAST (Altschul S. F.
et al. J. Mol. Biol. 215: 403-410, 1990; Gish W.an
d States D. J. Nature Genet. 3: 266-272, 1993; htt
p://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)により、GenBank (h
ttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/Web/Genbank/index.html)
やSwissProt(http://www.ebi.ac.uk/ebi_docs/swisspro
t_db/swisshome.html)を利用して相同性解析を行ない、
新規な蛋白質をコードするcDNAクローンを選択した。こ
うして得られたヒト全長cDNAクローンの塩基配列を利用
し、PSORT (Nakai K and Kanehisa M. Genomics 14: 89
7-911, 1992)、Pfam(http://www.sanger.ac.uk/Softwa
re/Pfam/index.shtml)等で、シグナル配列、機能ドメ
インの検索を行った。
【0007】その結果、SH2ドメインおよびプロリンリ
ッチ領域を有するクローンC-PLACE1003723を取得するこ
とに成功した。該クローンは、新規なSH2蛋白質をコー
ドする遺伝子であると推定され、この新規蛋白質をHSH2
と名づけた。塩基配列解析の結果から、HSH2遺伝子は19
16 bpの長さであり、352アミノ酸残基 からなる蛋白質
をコードしていた。
【0008】ノーザンブロット解析を行った結果、HSH2
は末梢血の白血球および脾臓で発現しており、血液系細
胞で機能することが推測された。
【0009】また、種々のチロシンキナーゼによるHSH2
蛋白質のリン酸化の検出を行った結果、HSH2は、c-AB
L、BCR-ABL、v-Src、JAK1、JAK2、およびJAK3によりリ
ン酸化されることが明らかとなった。このことからHSH2
は該チロシンキナーゼの基質として、該チロシンキナー
ゼを介した情報伝達系に関与していることが示唆され
た。
【0010】慢性骨髄性白血病患者から樹立されたK562
細胞では、BCRとABLの融合蛋白質(BCR-ABL)が生じ、チ
ロシンキナーゼ活性が亢進していることが癌化の原因で
あると考えられている。そこで、本発明者らは、K562細
胞中のチロシンリン酸化蛋白質と、HSH2との結合を検討
した。その結果、HSH2は、K562細胞中のBCR-ABLをはじ
めとする情報伝達に関わるリン酸化蛋白質と、相互作用
することが判明した。
【0011】そこで、次に、本発明者らは、酵母Two Hy
bridアッセイを利用して、HSH2がBCR-ABLと直接結合す
るかどうかを調べた。その結果、HSH2は、そのSH2ドメ
インを介して、自己リン酸化したBCR-ABLに直接結合す
ることが判明した。BCR-ABLのチロシンキナーゼ活性
は、細胞の癌化に必須であるため、BCR-ABLによりリン
酸化される蛋白質、あるいはそれと相互作用する蛋白質
は白血病化に重要な役割を果たしているものと考えられ
る。従って、本発明のHSH2を標的とした薬剤は、白血病
を引き起こす癌細胞に対する抗癌剤としての作用が期待
される。
【0012】また、HSH2は上記のように血液系細胞で機
能することが推測された。血液細胞は種々のサイトカイ
ン刺激により、分化・増殖、あるいは活性化することが
知られている。この時、チロシンキナーゼを介した情報
伝達系が関わっており、この情報伝達には種々の蛋白質
のリン酸化や相互作用が必要である。そこで、本発明者
等は、次に、サイトカインであるIL-3の刺激によりリン
酸化されたIL-3受容体β鎖およびSHP2と、本発明のHSH2
との結合を検討した。その結果、HSH2のSH2ドメイン
は、IL-3処理によってチロシンがリン酸化されたIL-3受
容体β鎖、およびSHP2と結合することが判明した。上記
したように、サイトカインで活性化されるJAKファミリ
ー等種々のチロシンキナーゼにより、HSH2はリン酸化さ
れることを考え併せると、HSH2は血液系細胞の分化・増
殖、活性化に関わっていると考えられる。このため、本
発明のHSH2を標的とした、造血・血液疾患に対する薬剤
の開発が期待される。
【0013】本発明は、以上の知見に基づいて完成され
たものであり、チロシンキナーゼを介した情報伝達系、
特に造血、血液疾患に関わる新規なヒトSH2蛋白質「HSH
2」、および該蛋白質をコードする遺伝子、並びにそれ
らの製造および用途を提供する。
【0014】より具体的には、(1) 下記(a)から
(d)のいずれかに記載のDNA、 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白
質をコードするDNA。 (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含
むDNA。 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若
しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/ま
たは付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記
載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白
質をコードするDNA。 (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番
号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に
同等な蛋白質をコードするDNA。(2) 配列番号:2
に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質の部分ペプチドを
コードするDNA、(3) (1)または(2)に記載のD
NAによりコードされる蛋白質またはペプチド、(4)
(1)または(2)に記載のDNAが挿入されたベクタ
ー、(5) (1)または(2)に記載のDNAまたは
(4)に記載のベクターを保持する形質転換細胞、
(6) (5)に記載の形質転換細胞を培養し、該形質
転換細胞またはその培養上清から発現させた蛋白質また
はペプチドを回収する工程を含む、(3)に記載の蛋白
質またはペプチドの製造方法、(7) (3)に記載の
蛋白質に結合する抗体、(8) 配列番号:1に記載の
塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖に相補的な少な
くとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、(9)
(3)に記載の蛋白質に結合する化合物のスクリーニ
ング方法であって、(a)該蛋白質またはその部分ペプ
チドに被検試料を接触させる工程、(b)該蛋白質また
はその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出する
工程、(c)該蛋白質またはその部分ペプチドに結合す
る活性を有する化合物を選択する工程、を含む方法。
(10) チロシンキナーゼによる(3)に記載の蛋白
質のリン酸化を調節する活性を有する化合物をスクリー
ニングする方法であって、(a)該蛋白質またはその部
分ペプチド、チロシンキナーゼ、および被検試料を接触
させる工程、(b)該蛋白質またはその部分ペプチドの
リン酸化を検出する工程、(c)工程(b)において検
出されるリン酸化の程度を、被検試料の非存在下におい
て検出した場合と比較して、低下または増加させる化合
物を選択する工程、を含む方法、(11) チロシンキ
ナーゼが、c-ABL、BCR-ABL、v-Src、JAK1、JAK2、およ
びJAK3からなる群より選択される、(10)に記載の方
法、(12) (3)に記載の蛋白質とチロシンリン酸
化蛋白質との結合を調節する活性を有する化合物をスク
リーニングする方法であって、(a)該蛋白質またはそ
の部分ペプチド、チロシンリン酸化蛋白質、および被検
試料を接触させる工程、(b)該蛋白質またはその部分
ペプチドとチロシンリン酸化蛋白質との結合を検出する
工程、(c)工程(b)において検出される結合活性
を、被検試料の非存在下において検出した場合と比較し
て、低下または増加させる化合物を選択する工程、を含
む方法、(13) チロシンリン酸化蛋白質が、IL-3受
容体β鎖、SHP2、BCR-ABL、CBL、およびSHCからなる群
より選択される、(12)に記載の方法、を提供するも
のである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、新規な蛋白質「HSH2」
を提供する。本発明の蛋白質に含まれるヒト「HSH2」蛋
白質のアミノ酸配列を配列番号:2に、該蛋白質をコー
ドするcDNAの塩基配列を配列番号:1に示す。「HSH2」
蛋白質は、その構造上の特徴から、生体内においてアダ
プター蛋白質として、チロシンキナーゼを介した情報伝
達系、特に血液系細胞の分化・増殖、活性化に関連した
役割を担っているものと考えられ、癌などを含むこれら
生命現象が関連する疾患の医薬品開発の標的としての、
あるいはそれ自体が医薬品としての応用が期待される。
【0016】本発明の蛋白質は、組み換え蛋白質とし
て、また天然の蛋白質として調製することが可能であ
る。組み換え蛋白質は、例えば、後述するように本発明
の蛋白質をコードするDNAを挿入したベクターを適当な
宿主細胞に導入し、形質転換体内で発現した蛋白質を精
製することにより調製することが可能である。一方、天
然の蛋白質は、例えば、後述する本発明の蛋白質に対す
る抗体を結合したアフィニティーカラムを利用して調製
することができる (Current Protocols in Molecular B
iology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John W
iley & Sons Section 16.1-16.19)。アフィニティー精
製に用いる抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノ
クローナル抗体であってもよい。また、インビトロトラ
ンスレーション(例えば、「On the fidelity of mRNA
translation in the nuclease-treated rabbit reticul
ocyte lysate system. Dasso,M.C.,Jackson,R.J.(1989)
Nucleic Acids Res. 17:3129-3144」参照)などにより
本発明の蛋白質を調製することも可能である。
【0017】本発明には、本実施例において同定された
ヒト由来の「HSH2」蛋白質と機能的に同等な蛋白質が含
まれる。このような蛋白質には、例えば、配列番号:2
に記載の「HSH2」蛋白質の変異体、ホモログ、バリアン
トなどが含まれる。本発明において「機能的に同等」と
は、対象となる蛋白質がc-ABL、BCR-ABL、v-Src、JAK
1、JAK2、JAK3などのチロシンキナーゼの基質としてリ
ン酸化される活性、あるいはIL-3受容体β鎖、SHP2、BC
R-ABL、CBL、SHCなどのチロシンリン酸化蛋白質と結合
する活性を有することを指す。対象となる蛋白質がチロ
シンキナーゼによりリン酸化を受けるか否かは、例え
ば、実施例8に示した様に、対象蛋白質を発現するプラ
スミドとチロシンキナーゼを発現するプラスミドを細胞
に導入し、該細胞から細胞抽出液を調製し、該細胞抽出
液に対して抗リン酸化チロシン抗体を用いたウェスタン
ブロット解析を行うことにより判定することができる。
また、対象となる蛋白質とチロシンリン酸化蛋白質との
結合は、例えば、実施例11に示した様な、Two Hybrid
アッセイにより、また、実施例9に示した様に、対象蛋
白質を発現するベクターをBaF3細胞などの細胞に導入
し、該細胞をIL-3刺激後、その細胞溶解物から対象蛋白
質を回収し、該対象蛋白質に結合しているチロシンリン
酸化蛋白質を該リン酸化チロシンに対する抗体で検出す
ることにより判定することができる。
【0018】これら本実施例において同定された蛋白質
と機能的に同等な蛋白質は、当業者であれば、例えば、
蛋白質中のアミノ酸配列に変異を導入する方法(例え
ば、部位特異的変異誘発法(Current Protocols in Mole
cular Biology edit. Ausubelet al. (1987) Publish.
John Wiley & Sons Section 8.1-8.5))を利用して調製
することができる。また、このような蛋白質は、自然界
におけるアミノ酸の変異により生じることもある。本発
明には、このように本実施例において同定された蛋白質
と同等の機能を有する限り、そのアミノ酸配列(配列番
号:2)において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠
失、挿入および/もしくは付加などにより異なる蛋白質
が含まれる。
【0019】蛋白質におけるアミノ酸の変異数や変異部
位は、その機能が保持される限り制限はない。変異数
は、典型的には、30アミノ酸以内であり、好ましくは10
アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内
(例えば、3アミノ酸以内)である。置換されるアミノ
酸は、蛋白質の機能保持の観点から、置換前のアミノ酸
と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例
えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共
に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を
有すると考えられる。また、非荷電性としては、Gly、S
er、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸
性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられ、また、
塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、Hisが挙げられ
る。
【0020】また、本実施例において同定された蛋白質
と機能的に同等な蛋白質は、当業者に周知のハイブリダ
イゼーション技術(Current Protocols in Molecular Bi
ology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wi
ley & Sons Section 6.3-6.4)、あるいは 遺伝子増幅技
術(PCR)(Current protocols in Molecular Biology
edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley &
Sons Section 6.1-6.4)を利用して単離することも可能
である。即ち、当業者であれば、本実施例において同定
された蛋白質をコードするDNA(配列番号:1)または
その一部をプローブとして、あるいは該DNAと特異的に
ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーと
して、該DNAとハイブリダイズするDNAを単離することが
できる。さらに単離したDNAを基に、該DNAによりコード
される蛋白質を調製することができる。本発明には、本
実施例において同定された蛋白質と同等の機能を有する
限り、これら蛋白質をコードするDNAとハイブリダイズ
するDNAによりコードされる蛋白質が含まれる。機能的
に同等な蛋白質を単離する生物としては、例えば、ヒ
ト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ等の脊椎動物
が挙げられるが、これらに制限されない。
【0021】機能的に同等な蛋白質をコードするDNAを
単離するためのハイブリダイゼーションのストリンジェ
ントな条件は、通常「1xSSC、0.1% SDS、37℃」程度で
あり、より厳しい条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、4
2℃」程度であり、さらに厳しい条件としては「0.1xSS
C、0.1% SDS、65℃」程度であり、ハイブリダイゼーシ
ョンの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性
を有するDNAの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDS
および温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者で
あれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー
を決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃
度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間
など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のス
トリンジェンシーを実現することが可能である。
【0022】このようなハイブリダイゼーション技術あ
るいは遺伝子増幅技術を利用して単離される蛋白質は、
配列番号:2に記載の本発明の蛋白質と比較して、通
常、そのアミノ酸配列において高い相同性を有する。高
い相同性とは、少なくとも50%以上、さらに好ましくは
70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%以
上)の配列の同一性を指す。配列の相同性は、BLAST X
による相同性検索を利用して決定することができる。比
較する配列としては、HSH2蛋白質の352残基(ヒト)の
アミノ酸配列中の100残基以上の長さの領域を用いるこ
とができる。
【0023】本発明は、また、本発明の蛋白質の部分ペ
プチドを提供する。本発明の蛋白質の部分ペプチドは、
例えば、後述する本発明の蛋白質に結合する化合物のス
クリーニング、および本発明の蛋白質に結合する抗体の
調製等に利用することができる。本発明の部分ペプチド
は、少なくとも7アミノ酸、好ましくは9アミノ酸以上、
より好ましくは12アミノ酸以上、より好ましくは15アミ
ノ酸以上のアミノ酸配列からなる。後述する、本発明の
蛋白質に結合する化合物のスクリーニングや本発明の蛋
白質とチロシンキナーゼとの結合を調節する活性を有す
る化合物のスクリーニングに使用する場合、部分ペプチ
ドとして、HSH2のSH2ドメインを含むペプチドを用いる
ことができる。好ましくは、HSH2蛋白質のアミノ酸配列
(配列番号:2)において、34番目のトリプトファンか
ら124番目のプロリンまでのアミノ酸配列を含む部分ペ
プチドである。また、後述するチロシンキナーゼによる
本発明の蛋白質のリン酸化を調節する化合物のスクリー
ニングに使用する場合には、部分ペプチドとしては、HS
H2のリン酸化部位を含む部分ペプチドを用いることがで
きる。
【0024】同様に、本発明の蛋白質に結合する化合物
のスクリーニングに使用する場合、部分ペプチドとし
て、HSH2のプロリンリッチ領域を含むペプチドを用いる
ことができる。好ましくは、HSH2蛋白質のアミノ酸配列
(配列番号:2)において、8番目のプロリンから13番
目のプロリンまでのアミノ酸配列、191番目のプロリン
から195番目のプロリンまでのアミノ酸配列、277番目の
プロリンから283番目のプロリンまでのアミノ酸配列、
または344番目のプロリンから349番目のプロリンまでの
アミノ酸配列のいずれかの領域を含む部分ペプチドであ
る。
【0025】本発明の部分ペプチドは、例えば、遺伝子
工学的手法、公知のペプチド合成法、あるいは本発明の
蛋白質を適当なペプチダーゼで切断することによって製
造することができる。
【0026】本発明は、また、本発明の蛋白質またはペ
プチドをコードするDNAを提供する。本発明のDNAとして
は、本発明の蛋白質またはペプチドをコードしうるもの
であれば、その形態に特に制限はなく、cDNAの他、ゲノ
ムDNA、化学合成DNAなども含まれる。また、これら分子
をコードしうる限り、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩
基配列を有するDNAが含まれる。本発明のDNAは、上記の
ように、配列番号:1に記載のDNA配列もしくはその一
部をプローブとしたハイブリダイゼーション法やこれら
DNA配列の情報に基づき設計したプライマーを用いた遺
伝子増幅法(PCR)等の常法により単離することが可能
である。
【0027】本発明は、また、本発明のDNAが挿入され
たベクターを提供する。本発明のベクターとしては、挿
入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限され
ず、例えば 宿主に大腸菌を用いるのであれば、クロー
ニング用ベクターとしてはpBluescriptベクター(Strata
gene社製)などが好ましい。本発明の蛋白質を生産する
目的においてベクターを用いる場合には、特に発現ベク
ターが有用である。発現ベクターとしては、例えば、試
験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)
が、大腸菌における発現であればpETベクター(Invitro
gen社製)が、培養細胞における発現であればpME18S-FL
3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)が、生
物個体における発現であればpME18Sベクター(Mol Cell
Biol. 8:466〜472(1988))を好適に用いることができ
る。本発明の蛋白質をコードするDNAのベクターへの挿
入は常法、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反
応(Current protocols in Molecular Biology edit. A
usubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.S
ection 11.4〜11.11)により行うことができる。
【0028】本発明は、また、本発明の蛋白質をコード
するDNAが挿入されたベクターを保持する形質転換体を
提供する。本発明のベクターが導入される宿主細胞とし
ては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用
いられる。宿主細胞は、例えば、本発明の蛋白質製造の
ために使用することができる。蛋白質製造のための産生
系は、in vitroおよびin vivo の産生系がある。in vit
roの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核
細胞を使用する産生系が挙げられる。真核細胞を使用す
る場合、例えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を宿主
に用いることができる。また、本発明の宿主細胞には、
「HSH2」蛋白質の機能解析や「HSH2」蛋白質を利用した
その機能阻害剤や機能促進剤のスクリーニングのために
用いる目的の細胞も含まれる。宿主細胞へのベクター導
入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿
孔法(Current protocols in Molecular Biology edit.
Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Son
s.Section 9.1-9.9)、リポフェクタミン法(GIBCO-BR
L社製)、マイクロインジェクション法などの方法で行
うことが可能である。形質転換体からの「HSH2」蛋白質
の調製は、当業者に公知の蛋白質の分離・精製法を利用
して行なうことができる。
【0029】本発明はまた、配列番号:1に記載の塩基
配列からなるDNAまたはその相補鎖に相補的な少なくと
も15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。
ここで「相補鎖」とは、A:T、G:Cの塩基対からなる2本
鎖DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相
補的」とは、少なくとも15個の連続したヌクレオチド領
域で完全に相補配列である場合に限られず、少なくとも
70% 、好ましくは少なくとも80% 、より好ましくは90%
、さらに好ましくは95% 以上の塩基配列上の相同性を
有すればよい。相同性を決定するためのアルゴリズムは
本明細書に記載したものを使用すればよい。
【0030】このようなポリヌクレオチドは、本発明の
蛋白質をコードするDNAを検出、単離するためのプロー
ブとして、また、本発明のDNAを増幅するためのプライ
マーとして利用することが可能である。プライマーとし
て用いる場合には、通常、15bp〜100bp、好ましくは15b
p〜35bpの鎖長を有する。また、プローブとして用いる
場合には、本発明のDNAの少なくとも一部若しくは全部
の配列を有し、少なくとも15bpの鎖長のDNAが用いられ
る。プライマーとして用いる場合、3'側の領域は相補的
である必要があるが、5'側には制限酵素認識配列やタグ
などを付加することができる。
【0031】本発明のポリヌクレオチドは、本発明の蛋
白質の異常を検査・診断するために利用できる。例え
ば、本発明のポリヌクレオチドをプローブまたはプライ
マーとして用いたノーザンハイブリダイゼーション、ま
たはRT-PCRにより、発現異常を検査することができる。
さらに本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用
いたゲノムDNA-PCR、またはRT-PCRにより、本発明の蛋
白質をコードするDNAおよびその発現制御領域を増幅
し、続いてRFLP解析、SSCP、シークエンシング等を行う
ことにより、配列の異常を検査・診断することができ
る。
【0032】また、本発明のポリヌクレオチドには、本
発明の「HSH2」蛋白質の発現を抑制するためのアンチセ
ンスが含まれる。アンチセンスは、アンチセンス効果を
引き起こすために、少なくとも15bp以上、好ましくは10
0bp、さらに好ましくは500bp以上の鎖長を有し、好まし
くは2000bp以内の鎖長を有する。このようなアンチセン
スは、例えば、配列番号:1に記載のDNAの配列情報を
基にホスホロチオネート法(Stein, 1988 Physicochemi
cal properties of phosphorothioate oligodeoxynucle
otides. Nucleic Acids Res 16, 3209-21 (1988))など
により調製することが可能である。
【0033】本発明のDNAやそのアンチセンスには、例
えば、遺伝子治療への応用が考えられる。遺伝子治療の
標的となる疾患としては、例えば、癌や各種炎症性疾患
が好適であると考えられる。これら分子を遺伝子治療に
用いる場合には、例えば、レトロウイルスベクター、ア
デノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターな
どのウイルスベクターやリポソームなどの非ウイルスベ
クターなどを利用して、ex vivo法やin vivo法などによ
り患者へ投与を行えばよい。
【0034】本発明は、また、本発明の蛋白質に結合す
る抗体を提供する。本発明の抗体の形態には特に制限は
なく、ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体または
抗原結合性を有するそれらの一部も含まれる。また、全
てのクラスの抗体が含まれる。さらに、本発明の抗体に
は、ヒト化抗体などの特殊抗体も含まれる。
【0035】本発明の抗体は、ポリクローナル抗体の場
合には、常法に従いアミノ酸配列に相当するオリゴペプ
チドを合成して家兎に免疫することにより得ることが可
能であり(Current protocols in Molecular Biology e
dit. Ausubel et al. (1987)Publish. John Wiley & So
ns. Section 11.12〜11.13)、一方、モノクローナル抗
体の場合には、常法に従い大腸菌で発現し精製した蛋白
質を用いてマウスを免疫し、脾臓細胞と骨髄腫細胞を細
胞融合させたハイブリドーマ細胞の中から得ることがで
きる(Current protocols in Molecular Biology edit.
Ausubel etal. (1987) Publish. John Wiley & Sons.
Section 11.4〜11.11)。
【0036】本発明の蛋白質に結合する抗体は、本発明
の蛋白質の精製に加え、例えば、これら蛋白質の発現異
常や構造異常の検査・診断に利用することも考えられ
る。具体的には、例えば組織、血液、または細胞などか
ら蛋白質を抽出し、ウェスタンブロッティング、免疫沈
降、ELISA等の方法による本発明の蛋白質の検出を通し
て、発現や構造の異常の有無を検査・診断することがで
きる。
【0037】本発明の蛋白質に結合する抗体は、本発明
の蛋白質に関連した疾患の治療などの目的に利用するこ
とも考えられる。抗体を患者の治療目的で用いる場合に
は、ヒト抗体またはヒト化抗体が免疫原性の少ない点で
好ましい。ヒト抗体は、免疫系をヒトのものと入れ換え
たマウス(例えば、「Functional transplant of megab
ase human immunoglobulin loci recapitulates human
antibody response inmice, Mendez, M.J. et al.(199
7) Nat.Genet.15:146-156」参照)に免疫することによ
り調製することができる。また、ヒト化抗体は、モノク
ローナル抗体の超可変領域を用いた遺伝子組み換えによ
って調製することができる(Methods inEnzymology 203,
99-121(1991))。
【0038】また、本発明は、本発明の蛋白質に結合す
る化合物のスクリーニング方法を提供する。このスクリ
ーニング方法は、(a)本発明の蛋白質またはその部分
ペプチドに被検試料を接触させる工程、(b)該蛋白質
またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出
する工程、および(c)該蛋白質またはその部分ペプチ
ドに結合する活性を有する化合物を選択する工程、を含
む。
【0039】被検試料としては、これらに制限されない
が、例えば、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産
物、合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物など
が挙げられる。スクリーニングに用いる本発明の蛋白質
またはその部分ペプチドは、必要に応じて標識されてい
てもよく、また、本発明の蛋白質の精製を容易にするな
どの目的で、他の蛋白質またはペプチドとの融合されて
いてもよい。また、このスクリーニング方法において、
twoハイブリッドシステムを利用する場合には、本発明
の蛋白質は転写因子の転写活性化領域またはDNA結合領
域との融合蛋白質の形態で用いることができる。
【0040】具体的な方法としては、例えば、本発明の
蛋白質のアフィニティーカラムに被検試料を接触させ精
製する方法、ウエストウエスタンブロッティング法、コ
ンビナトリアルケミストリー技術におけるハイスループ
ットスクリーニングによる方法など多くの公知の方法を
利用することができる。また、BIACORE(Pharmacia社)
などの測定装置を利用して、本発明の蛋白質と被検化合
物との結合を評価することによりスクリーニングを行う
こともできる。
【0041】このスクリーニングにより単離される本発
明の蛋白質に結合する化合物は、本発明の蛋白質の活性
を促進または阻害する化合物(アゴニスト、アンタゴニ
スト)の候補となる。また、生体内において、本発明の
蛋白質とこれと相互作用する分子との該相互作用を阻害
する化合物の候補となる。
【0042】また、本発明は、チロシンキナーゼによる
本発明の蛋白質のリン酸化を調節する活性を有する化合
物をスクリーニングする方法を提供する。このスクリー
ニング方法は、(a)本発明の蛋白質またはその部分ペ
プチド、チロシンキナーゼ、および被検試料を接触させ
る工程、(b)該蛋白質またはその部分ペプチドのリン
酸化を検出する工程、(c)工程(b)におけるリン酸
化の程度を、被検試料の非存在下において検出した場合
と比較して、低下または増加させる化合物を選択する工
程、を含む。
【0043】被検試料としては、例えば、細胞抽出液、
遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合
成ペプチド、天然化合物などを用いることができ、ま
た、上記のスクリーニングにより得られた本発明の蛋白
質に結合する化合物を用いることもできる。チロシンキ
ナーゼとしては、本発明の蛋白質をリン酸化しうるもの
であれば特に制限はなく、例えば、c-ABL、BCR-ABL、v-
Src、TAK1、TAK2、TAK3などを用いることができる。ス
クリーニングにおいては、本発明の蛋白質の変わりに、
チロシンキナーゼのリン酸化部位を含む本発明の蛋白質
の部分ペプチドを用いてもよい。
【0044】このスクリーニングは、例えば、以下の如
く実施することができる。まず、本発明の蛋白質をタグ
との融合蛋白質として発現するベクターおよびチロシン
キナーゼを発現するベクターが導入された細胞を調製す
る。タグとしては、本発明の蛋白質の精製を容易にする
ものであれば特に制限はなく、例えば、GSTなどを用い
ることができる。次いで、該細胞に対し被検試料を接触
させ、該細胞の溶解物からタグを指標に本発明の蛋白質
を精製する。次いで、この精製した本発明の蛋白質に対
し抗リン酸化チロシン抗体を利用したウェスタンブロッ
ト解析を行なうことにより、本発明の蛋白質のリン酸化
を検出する。検出の結果を対照の場合(被検試料を添加
しないで同様の実験を行ない、本発明の蛋白質のリン酸
化を検出する場合)と比較して、本発明の蛋白質のリン
酸化の程度を低下または増加させる化合物を選択する。
【0045】また、他の方法としては、例えば上記のよ
うにして精製したタグを付けた本発明の蛋白質、および
精製したチロシンキナーゼ(c-ABL、BCR-ABL等)、さら
には 32-Pラジオアイソトープとを混合し、ここに被検試
料を接触させ、本発明の蛋白質に取り込まれる32-Pを測
定することにより、チロシンキナーゼの活性をみる方法
が挙げられる。
【0046】この結果、本発明の蛋白質のリン酸化の程
度を低下させる化合物は、チロシンキナーゼによる本発
明の蛋白質のリン酸化を阻害する活性を有すると判定さ
れ、一方、本発明の蛋白質のリン酸化の程度を増加させ
る化合物は、チロシンキナーゼによる本発明の蛋白質の
リン酸化を促進する活性を有すると判定される。
【0047】また、本発明は、本発明の蛋白質とチロシ
ンリン酸化蛋白質との結合を調節する活性を有する化合
物をスクリーニングする方法を提供する。このスクリー
ニングは、(a)本発明の蛋白質またはその部分ペプチ
ド、チロシンリン酸化蛋白質、および被検試料を接触さ
せる工程、(b)該蛋白質またはその部分ペプチドとチ
ロシンリン酸化蛋白質との結合を検出する工程、および
(c)工程(b)における結合の程度を、被検試料の非
存在下において検出した場合と比較して、低下または増
加させる化合物を選択する工程、を含む。
【0048】被検試料としては、例えば、細胞抽出液、
遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合
成ペプチド、天然化合物などを用いることができ、ま
た、上記のスクリーニングにより得られた本発明の蛋白
質に結合する化合物を用いることもできる。チロシンリ
ン酸化蛋白質としては、本発明の蛋白質に結合しうるも
のであれば特に制限はなく、例えば、IL-3受容体β鎖、
SHP2、BCR-ABL、CBL、SHCなどが挙げられるが、これら
に制限されない。スクリーニングにおいては、本発明の
蛋白質の変わりに、チロシンリン酸化蛋白質のリン酸化
部位を含む本発明の蛋白質の部分ペプチドを用いてもよ
い。部分ペプチドとしては、好ましくはSH2ドメインを
含む部分ペプチドである。
【0049】このスクリーニングは、以下の如く実施す
ることができる。例えば、チロシンリン酸化蛋白質がチ
ロシンキナーゼの場合には、twoハイブリッドシステム
を利用する方法によって行うことができる。この方法で
はまず、該システムを構成する2つのベクターにそれぞ
れ本発明の蛋白質をコードするDNAおよびチロシンリン
酸化蛋白質をコードするDNAを挿入し、これを酵母など
の細胞に導入する。次いで、該細胞に被検試料を接触さ
せ、該細胞内のレポーター活性を検出する(このレポー
ター活性は、本発明の蛋白質とチロシンリン酸化蛋白質
との結合の程度の指標となる)。検出の結果を対照の場
合(被検試料を添加しないで、同様の実験を行い、レポ
ーター活性を検出する場合)と比較して、該レポーター
活性を低下または増加させる化合物を選択する。
【0050】また、チロシンキナーゼ以外のチロシンリ
ン酸化蛋白質の場合には、例えば次のような方法によっ
てスクリーニングを行うことができる。この方法では、
精製したタグ付きの本発明の蛋白質と、被検試料を接触
させた細胞(IL-3で刺激した細胞、もしくはBCR-ABLを
導入した細胞)の細胞抽出液(lysate)とを混合し、該抽
出液中のチロシンリン酸化蛋白質の、本発明の蛋白質に
対する結合活性を調べる。或いは、精製したタグ付きの
本発明の蛋白質、精製したチロシンリン酸化蛋白質、お
よび被検試料とを混合し、本発明の蛋白質とチロシンリ
ン酸化蛋白質との結合を調べる。検出の結果を対照の場
合(被検試料を添加しないで、同様の実験を行い、結合
活性を検出する場合)と比較して、該結合活性を低下ま
たは増加させる化合物を選択する。
【0051】この結果、本発明の蛋白質とチロシンリン
酸化蛋白質との結合の程度を低下させる化合物は、本発
明の蛋白質とチロシンリン酸化蛋白質との結合を阻害す
る活性を有すると判定され、一方、本発明の蛋白質とチ
ロシンリン酸化蛋白質との結合の程度を増加させる化合
物は、本発明の蛋白質とチロシンリン酸化蛋白質との結
合を促進する活性を有すると判定される。
【0052】本発明の蛋白質や遺伝子、あるいは上記ス
クリーニングにより単離される化合物は、血液系細胞の
分化・増殖、活性化を制御するために利用することが考
えられる。例えば、これらの分子を利用して、癌および
造血・血液疾患等を治療できることが期待される。
【0053】これら分子を医薬品として用いる場合に
は、それ自体を医薬品として用いることも可能である
が、公知の製剤学的方法により製剤化して用いることも
可能である。例えば、薬理学上許容される担体もしくは
媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化
剤、懸濁剤などと適宜組み合わせて製剤化して用いるこ
とが考えられる。患者への投与は、例えば、動脈内注
射、静脈内注射、皮下注射など当業者に公知の方法によ
り行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法な
どにより変動するが、当業者であれば適当な投与量を適
宜選択することが可能である。また、該化合物がDNAに
よりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療
用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられ
る。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症状など
により変動するが、当業者であれば適宜選択することが
可能である。
【0054】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでは
ない。 〔実施例1〕 オリゴキャップ法によるcDNAライブラリ
ーの作製 ヒト胎盤組織(PLACE1)より、文献(J. Sambrook, E.
F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cloning Second
edition, Cold Spring harbor Laboratory Press, 198
9)記載の方法によりmRNAを抽出した。さらに、オリゴd
Tセルロースでpoly(A)+ RNAを精製した。
【0055】それぞれのpoly(A)+ RNAよりオリゴキャプ
法 [M. Maruyama and S. Sugano, Gene, 138: 171-174
(1994)]によりcDNAライブラリーを作成した。Oligo-cap
linker(5'- agcaucgagu cggccuuguu ggccuacugg -
3'; 配列番号:3)およびOligo dT primer(5'- gcg
gctgaag acggcctatg tggccttttt tttttttttt tt -3';
配列番号:4)を用いて文献 [鈴木・菅野, 蛋白質 核
酸 酵素, 41: 197-201 (1996)、 Y. Suzuki et al., Ge
ne, 200: 149-156 (1997)]に書いてあるようにBAP(Bac
terial Alkaline Phosphatase)処理、TAP(Tobacco Ac
id Phosphatase)処理、RNAライゲーション、第一鎖cDN
Aの合成とRNAの除去を行った。次いで、5'のPCRプライ
マー(5'- agcatcgagt cggccttgtt g -3'; 配列番
号:5)と3'のPCRプライマー(5'- gcggctgaag acggcc
tatg t-3'; 配列番号:6)を用いPCR(polymerase ch
ain reaction)により2本鎖cDNAに変換し、SfiI切断し
た。次いで、pME18SFL3(GenBank AB009864, Expressio
n vector)(PLACE1)にcDNAの方向性を決めてクローニ
ングし、cDNAライブラリーを作成した。これらより得た
クローンのプラスミドDNAについて、cDNAの5'端または
3'端の塩基配列をDNAシーケンシング試薬(Dye Termina
tor Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit, dRhoda
mine Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction
KitまたはBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Re
ady Reaction Kit, PE Biosystems社製)を用い、マニ
ュアルに従ってシーケンシング反応後、DNAシーケンサ
ー(ABI PRISM 377, PE Biosystems社製)でDNA塩基配
列を解析した。
【0056】オリゴキャップ高全長率cDNAライブラリー
は、真核細胞での発現が可能な発現ベクターpME18SFL3
を用いて作製した。pME18SFL3にはクローニング部位の
上流にSRαプロモーターとSV40 small tイントロンが組
み込まれており、またその下流にはSV40ポリA 付加シグ
ナル配列が挿入されている。pME18SFL3のクローン化部
位は非対称性のDraIIIサイトとなっており、cDNA断片の
末端にはこれと相補的なSfiI部位を付加しているので、
クローン化したcDNA断片はSRαプロモーターの下流に一
方向性に挿入される。したがって、全長cDNAを含むクロ
ーンでは、得られたプラスミドをそのままCOS細胞に導
入することにより、一過的に遺伝子を発現させることが
可能である。すなわち、非常に容易に、遺伝子産物であ
る蛋白質として、あるいはそれらの生物学的活性として
実験的に解析することが可能となっている。
【0057】〔実施例2〕 オリゴキャップ法で作製し
たcDNAライブラリーからのクローンの5'-末端の全長性
の評価 オリゴキャップ法で作製したヒトcDNAライブラリーの5
9,823クローンの5'-末端の全長率を、ヘリックス研究所
のA. A. Salamov, T. Nishikawa, M. B. Swindellsによ
り開発されたプログラムを用いる方法(ATGpr, ATGpr2;
特願平11-248036)で求めた。公共データベース中のヒト
既知mRNAと5'-末端配列が一致する全クローンについ
て、公共データベース中の既知mRNA配列より長く5'-末
端が伸びている場合、または5'-末端は短いが翻訳開始
コドンは有している場合を「全長」と判断し、翻訳開始
コドンを含んでいない場合を「非全長」と判断した。各
ライブラリーでのcDNAクローンの5'-末端の全長率 [全
長クローン数/(全長クローン数+非全長クローン
数)] をヒト既知mRNAと比較することによりだした。
【0058】次に、ESTiMateFLによるクローンの評価を
行った。ESTiMateFLは、公共データベース中のESTの5'-
末端配列や3'-末端配列との比較による全長cDNAの可能
性の高いクローンを選択するヘリックス研究所の西川・
太田らにより開発された方法である。
【0059】この方法は、あるcDNAクローンの5'-末端
や3'-末端配列よりも、長く伸びたESTが存在する場合に
は、そのクローンは「全長ではない可能性が高い」と判
断する方法で、大量処理可能なようにシステム化されて
いる。公共データベース中のEST配列より長く5'-末端が
伸びている場合、あるいは5'-末端が短いクローンで
も、その差が50塩基以内の場合を便宜的に全長とし、そ
れ以上短い場合を非全長とした。既知のmRNAとヒットし
たクローンの5'-末端配列の場合、ESTで全長と評価した
配列のうちの約80%が既知のmRNAに対する5'-末端配列の
評価でも全長となっており、ESTで5'-末端配列が非全長
と評価した配列のうち約80%が既知のmRNAに対する評価
でも5'-末端配列が非全長となっていた。ESTとの比較に
よる完全長らしさの評価では、比較対象とするESTの数
が多ければ予測精度は高まるが、対象ESTが少ない場合
には予測結果の信頼性が低くなる欠点はある。この方法
は、5'-末端配列での全長率が約60%のオリゴキャップ法
によるcDNAクローンから全長ではない可能性の高いクロ
ーンを排除するのに使えば有効である。また、ESTiMate
FLは、公共データベースへのEST登録が適当数あるヒト
未知mRNAのcDNAの3'-末端配列の全長性を評価するに
は、特に有効な方法である。
【0060】ATGprとESTiMateFLの両プログラムを用
い、オリゴキャップ法で作製したヒトcDNAライブラリー
からのクローンの5'-末端配列が既知ヒトmRNAと一致す
る18,959クローンについて評価した。すなわち、既知ヒ
トmRNAと一致するクローンの5'-末端配列について、ATG
pr1の最大値と、各クローンの5'-末端配列を既知ヒトmR
NAのORFと比較し、全長か非全長かを決定した。次い
で、各クローンの5'-末端配列をESTiMateFLにより解析
し、全長か非全長かを判断した。具体的には、5'-末端
配列が既知ヒトmRNAと一致するオリゴキャップ法で作製
したヒトcDNAライブラリーからのクローンについて、ES
TiMateFL によりEST配列とクローンの5'-末端配列を比
較し、ESTに対し非全長以外のクローンを選択した。
【0061】〔実施例3〕 クローン配列の特徴付け クローン配列の5'末端配列データは、次の方法に基づい
て特徴付けした。 (1)GenBankを対象にしたBLASTによる相同性検索によ
り、ヒトや他生物のmRNA配列(権利化された配列を含
む)やヒトEST配列に対して同一であるかを確認する。 (2)ヒトmRNA配列やヒトEST配列より5'端が長いかを確認
する。 (3)全長性を予測するATGpr、ATGpr2プログラムにより、
5'末端配列中のすべての開始コドンに由来するATGpr1、
ATGpr2値を決定する。 (4)GenBankを対象にしたBLASTによる相同性検索により
同一としたヒトEST配列数を決定する。
【0062】また、クローン配列の3'末端配列データの
特徴付けは前出の(1),(4)について行った。これら特徴
付けを行ったクローン配列のデータをもとに最終的なク
ローンの選抜を行った。
【0063】〔実施例4〕 相同性検索による同一EST
配列数からの新規性の予測 5'末端配列、3'末端配列それぞれに対して、EST配列と
同一となったEST配列数は、GenBankを用いた相同性検索
から求めた。ヒトEST配列に対しては、5'末端配列との
比較配列部分の長さが200塩基以上にわたって90%以上で
一致する場合に同一とした。EST配列数はそのまま特徴
付けに用い、新規性の指標とした。mRNA配列ばかりでな
く、EST配列に対しても同一でない5'末端配列、3'末端
配列をもつクローンは、新規な蛋白質をコードする遺伝
子である。同様に、同一のEST配列数が少ない5'末端配
列、あるいは3'末端配列をもつクローンもまた、新規な
蛋白質をコードする遺伝子と判定した。
【0064】〔実施例5〕 推定アミノ酸配列に対する
シグナル配列、膜貫通領域および機能ドメインの検索 新規遺伝子の全長塩基配列から推定されたアミノ酸配列
に対して、アミノ末端のシグナル配列の有無と膜貫通領
域の有無を予測、さらに蛋白質の機能ドメイン(モチー
フ)検索を行った。アミノ末端のシグナル配列について
はPSORT [K. Nakai and M.Kanehisa, Genomics, 14: 89
7-911 (1992)]を、膜貫通領域についてはSOSUI [T.Hiro
kawa et.al. Bioinformatics, 14: 378-379 (1998)]
(三井情報開発株式会社販売)を用いて解析を行った。
機能ドメインの検索についてはPfam(http://www.sange
r.ac.uk/Software/Pfam/index.shtml)を用いた。
【0065】その結果、SH2ドメインを有する新規な蛋
白質(クローンC-PLACE1003723)を見出し、この新規蛋白
質をHSH2と名付けた。塩基配列解析の結果から、HSH2遺
伝子は1916 bpの長さであり、352アミノ酸残基の長さの
蛋白質をコードしていた。図1で示すようにHSH2蛋白質
は、N末端にSrc homology domain 2を有していることが
分かった(図1下線)。また、SH3ドメインが結合する
可能性のあるプロリンリッチ領域を4つ持ち(図1囲い
線)、リン酸化され、他の蛋白質と結合しうるチロシン
残基を5つ有していた(図1囲い円)。
【0066】〔実施例6〕 ノーザンブロットによるHS
H2の発現解析 HSH2の発現をノーザンブロット解析により調べた。ヒト
multi-tissue Northern blot(Clontech)を使用して、
32PラベルしたヒトHSH2 cDNAプローブを用い、65℃でEx
pressHyb hybridization solution(Clontech)中でプ
レハイブリダイズ、およびハイブリダイズを行った。ブ
ロットを、0.3M NaCl、0.03Mクエン酸ナトリウム、およ
び0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む溶液中
で、室温で1時間、2回洗浄した。その後、15mM NaCl、
1.5mMクエン酸ナトリウム、0.1%SDSを含む溶液中で、6
5℃で1時間洗浄した後、オートラジオグラフィーで解析
した。
【0067】その結果、末梢血の白血球で強く発現して
いた(図2)。また、脾臓でも発現していた。RT-PCRで
発現を調べると、末梢血、脾臓で強く検出され、他の臓
器では弱いながらも検出された。このことから、HSH2は
血液系細胞で機能しているものと考えられる。
【0068】〔実施例7〕 プラスミドの構築 以下の実施例にて使用したプラスミドは次のようにして
作製した。pcDNA3-mys-HSH2は、pcDNA-mycのEcoRIおよ
びXhoI部位に全長HSH2 cDNA断片を挿入して構築した。
全長HSH2 cDNA断片は、C-PLACE1003723クローンを鋳型
として、5'-GAGA GAA TTC ATG ACA GAG GCC GGG AAG CT
G-3' (配列番号:7)、および 5'-GAGA CTC GAG CTA
GCA GTA CCC AGG GGC AAA-3'(配列番号:8)をプライ
マーとして用いてPCRを行い、EcoRIおよびXhoIで消化し
て作製した。pcDNA3 c-ABL, pcDNA3p185BCR-ABL、およ
びpcDNA3 v-Srcは、pcDNA3のEcoRI部位にcDNAをサブク
ローニングして構築した。pME18S JAK1, pSRa-bsr JAK
2, pSRa-bsr JAK3は、東京大学医科学研究所から入手し
た。pGEX SH2/HSH2は、pGEX 4T-1のEcoRIおよびXhoI部
位にSH2ドメインをコードしているHSH2 cDNA断片を挿入
して構築した。HSH2 cDNA断片は、C-PLACE1003723を鋳
型として、5'-GAGA GAA TTC ATG ACA GAG GCC GGG AAG
CTG-3'(配列番号:9)、および 5'-GAGA CTC GAG CTA
CTC GTA ATC CAC GTT TGC GGG-3'(配列番号:10)
をプライマーとして用いてPCRを行い、EcoRIおよびXhoI
で消化して作製した。pBTM185bcr-abl WTおよび pBTM18
5bcr-abl KDは、pBTM116に、それぞれ野生型p185bcr-ab
lおよびキナーゼ活性欠損 p185bcr-ablをコードしてい
るcDNAを挿入して構築した。pVP16 CrkLおよびpVP16 Gr
b2は、pVP16にそれぞれ、CrkL cDNAおよびGrb2 cDNAを
挿入して構築した。pGAD20プラスミドは、pGAD10のXhoI
およびEcoRI部位に、アニールしたオリゴヌクレオチド
5'-T CGA CTG GAA TTC GGA TCC GTC GAC CTC GAG A-3'
(配列番号:11)、および 5'-AA TTT CTC GAG GTC G
AC GGA TCC GAA TTC CAG-3'(配列番号:12)を挿入
して構築した。pGAD-HSH2, pGAD-SH2/HSH2, およびpGAD
-ΔSH2/HSH2は、pGAD20のEcoRIおよびXhoI部位に、相当
するcDNAを挿入して構築した。ΔSH2/HSH2に相当する断
片は、C-PLACE1003723クローン、ならびに5'-GAGA GAA
TTC CCCGCA AAC GTG GAT TAC GA-3' (配列番号:1
3)、および 5'-GAGA CTC GAG CTA CTC GTA ATC CAC G
TT TGC GGG-3'(配列番号:14)をプライマーとして
用いて、PCRにより増幅した。
【0069】〔実施例8〕 チロシンキナーゼによるHS
H2のリン酸化 プラスミドをCOS7細胞に導入し、Myc-tagをつけたHSH2
と種々のチロシンキナーゼを発現させた。使用したプラ
スミド(pcDNA3-mys-HSH2, pcDNA3 c-ABL, pcDNA3 p185B
CR-ABL, pcDNA3 v-Src, pME JAK1,pME JAK2, pME JAK
3)の構築方法は、実施例7に示した。細胞培養、および
トランスフェクションは次のようにして行った。 COS7細
胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン、および
ストレプトマイシンを添加したダルベッコ改変イーグル
培地(DMEM)で培養した。細胞は、トランスフェクショ
ンの前に、35mmマルチウェルプレート(ファルコン)の
ウェルに密度2.0×105で約16時間静置した。プラスミド
2μgを、無血清DMEM 200μl中で、リポフェクタミン(G
IBCO BRL)13μlとともに、室温で45分間プレインキュ
ベートした。細胞はDMEMで1回洗浄した。プレインキュ
ベートした混合物は、DMEMで最終容量1mlに希釈し、細
胞に加えた。その後、細胞は37℃で5時間培養し、最終
濃度10%にFBSを添加した。トランスフェクションして2
4時間後、細胞はDMEMで1回洗浄し、DMEM-10%FBSあるい
はDMEM-1%BSAで24時間インキュベートした。トランスフ
ェクションして48時間後、細胞は冷PBSで2回洗浄し、NP
40 lysis buffer(20mM Tris [pH 8.0],1mMエチレンジ
アミンテトラアセテート(EDTA), 150mM NaCl, 1% NP-
40, 10%グリセロール)150μlに溶解させ、さらに4℃で
20分間インキュベートした。細胞溶解液は1.5mlチュー
ブに移し遠心分離した。その後、上清をSDS-PAGEで解析
した。K562細胞は、FBS、ペニシリン、およびストレプ
トマイシンを添加したRPMI1640培地で培養した。BaF3細
胞はリコンビナントマウスインターロイキン3(IL3)
を含むRPMI1640培地で培養した。
【0070】つづいて、細胞抽出液を調製し、抗リン酸
化チロシン抗体を用いてウェスタンブロット解析を行っ
た。ウェスタンブロット解析は次のようにして行った。
【0071】蛋白質を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS-PAGE)により分離し、ポリビニリデンジフ
ルオライドメンブレン(バイオラド)上に転写した。結
合残基部位は、0.05%Tween20および5%無脂肪ミルク
を含むTris-buffered saline中で、4℃で一晩インキュ
ベートすることにより、ブロックした。ブロットは、一
次抗体とともに4℃で4〜16時間インキュベートした。
チロシンリン酸化蛋白質は、抗リン酸化抗体で検出し、
MycタグHSH2の発現は、抗myc抗体によって検出した。pc
DNA3-myc (Mock)およびpcDNA3-SHD (SHD)は、対照とし
て使用した。一次抗体反応後、二次抗体反応を行い、つ
づいてenhanced Luminol reagent(NEN)を用いて可視
化した。
【0072】その結果を図3に示す。SHDは対照として
用いたSH2蛋白質であり、c-ABL、BCR-ABL、v-Srcにより
リン酸化された。一方HSH2は、c-ABL、BCR-ABL、v-Sr
c、JAK1、JAK2、JAK3によってリン酸化された。以上か
らHSH2は該チロシンキナーゼの基質であることが明らか
になり、該チロシンキナーゼを介した情報伝達系に関わ
っている可能性が示唆された。
【0073】〔実施例9〕 HSH2のIL-3刺激でリン酸化
されたIL-3受容体β鎖、およびSHP2との結合 実施例7により作製したプラスミド(pGEX SH2/HSH2)を
用いて、GSTと融合したHSH2のSH2ドメインを大腸菌に作
らせ、グルタチオンセファロースで精製した。具体的に
は次のようにして行った。
【0074】pGEXプラスミドで形質転換した大腸菌JM10
9を、アンピシリン100μg/mlを含むLB培地20mlに接種
し、37℃で一晩培養した。培養物を、LB Amp培地200ml
に対し1:10の割合で希釈し、OD600が0.8に達するまで25
℃で培養した。その後、イソプロピル-β-D-チオガラク
トピラノシド(IPTG)を最終濃度が0.2mMとなるように
添加することにより、GST-融合蛋白質を誘導した。大腸
菌は、IPTG存在下で25℃、20時間インキュベートした後
回収し、0.2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド
(PMSF)を含むPBS 20ml中で再懸濁した。大腸菌懸濁液
を超音波処理した後、1%Triton X-100存在下で4℃、30
分間インキュベートした。懸濁液を遠心分離し、上清を
グルタチオンセファロース4B(ファルマシア)でインキ
ュベートし、セファロースビーズ上にGST-融合蛋白質を
固定し精製した。これとIL-3処理を行ったBaF3細胞抽出
液をインキュベートし、HSH2のSH2ドメインに結合する
蛋白質を回収した。IL-3で刺激したBaF3細胞からの溶解
液は、次のようにして調製した。
【0075】対数的に成長しているBaF3細胞を回収し、
RPMI1640で2回洗浄し、0.5%ウシ胎児血清アルブミンを
含む濃度5×105 cells/mlのRPMI1640で再懸濁した。37
℃、8時間インキュベートし、BaF3細胞をIL-3で12.5分
間刺激し、2回洗浄した後、濃度2.5×107 cell/mlでNP-
40 lysis bufferに溶解させた。GST-融合蛋白質−セフ
ァロースビーズ(GST融合蛋白質の約2μg)は、細胞溶
解液とともに4℃で4時間インキュベートし、0.1% Trit
on X-100を含むPBSで2回、NP-40 lysis bufferで2回洗
浄した。セファロースに結合した蛋白質をSDS-PAGEし、
抗リン酸化チロシン抗体、抗IL-3受容体β鎖抗体、抗SH
P2抗体でウェスタンブロット解析を行った。ウェスタン
ブロット解析は、実施例8と同様な方法で行った。
【0076】結果を図4に示す。HSH2のSH2ドメインはI
L-3処理でチロシンリン酸化されたIL-3受容体β鎖、お
よびSHP2と結合することが分かった。従って、HSH2がIL
-3による造血の情報伝達系に関わっていることが示唆さ
れた。
【0077】〔実施例10〕HSH2のK562細胞抽出液中の
チロシンリン酸化蛋白質との結合 慢性骨髄性白血病患者から樹立されたK562細胞からの細
胞溶解液を、次のようにして調製した。対数的に成長し
ている1×107の細胞を回収し、PBSで2回洗浄し、4℃で2
0分間さらにインキュベートし、NP-40 lysis buffer 1m
lに溶解した。細胞溶解液を、1.5mlチューブに移し遠心
分離した。
【0078】GSTに融合したHSH2のSH2ドメインをK562細
胞溶解液とインキュベートし、HSH2のSH2ドメインに結
合する蛋白質を回収した。結合した蛋白質をSDS-PAGE
し、抗リン酸化抗体でウェスタンブロット解析を行っ
た。
【0079】結果を図5に示す。HSH2のSH2ドメイン
は、K562細胞中の複数のチロシンリン酸化蛋白質と相互
作用していることが明らかになった。バンドのサイズか
ら、HSH2と結合しているリン酸化蛋白質は、BCR-ABL、C
BL、SHC等の情報伝達に関わる分子であることが予想さ
れた。
【0080】〔実施例11〕酵母Two Hybridアッセイに
よる、HSH2のBCR-ABLとの結合 酵母Two Hybridアッセイを行い、HSH2がBCR-ABLと結合
するか調べた。酵母TwoHybridアッセイは次のようにし
て行った。
【0081】L40酵母菌株をpBTMプラスミド(ABL WT; p
BTM ABL WT (KpnI-BclI), ABL KD;pBTM ABL KD (KpnI-B
clI), p185bcr-abl WT; pBTM p185bcr-abl WT, p185bcr
-abl KD; pBTM p185bcr-abl KD)で形質転換し、AMR70
酵母菌株をpGADプラスミド(HSH2 full; pGAD-HSH2, SH
2/HSH2; pGAD-SH2/HSH2, ΔSH2/HSH2; pGAD-ΔSH2/HSH
2)あるいはpVP16プラスミド(CrkL; pVP16-CrkL, Grb
2; pVP16-Grb2)で形質転換した。該プラスミドの構築
は上記実施例7に示した。形質転換したL40とAMR70を混
合して結合させ、YPDプレート上で30℃、16時間インキ
ュベートした。2倍体の酵母クローンを選抜し、β-ガラ
クトシダーゼアッセイを行った。
【0082】結果を図6に示す。全長のHSH2とHSH2のSH
2ドメインは、野生型のBCR-ABLと結合したが、SH2ドメ
インを除いたHSH2は結合しなかった。また、キナーゼ活
性のないBCR-ABLにはどのHSH2も結合しなかった。これ
らの結果から、HSH2はそのSH2ドメインを介して、自己
リン酸化したBCR-ABLに直接結合することが明らかにな
った。
【0083】
【発明の効果】本発明によりチロシンキナーゼを介した
情報伝達系、特に血液系細胞の分化・増殖、活性化に関
わる新規なヒトSH2蛋白質HSH2が提供された。HSH2は慢
性骨髄性白血病の原因遺伝子産物であるBCR-ABLと結合
し、リン酸化を受ける。慢性骨髄性白血病ではBCR-ABL
遺伝子産物による無秩序なリン酸化が細胞内情報伝達系
を狂わせ、癌化を引き起こすものと考えられている。HS
H2は情報伝達に関わる分子としての構造および機能を有
することから、BCR-ABLによるHSH2機能の異常が疾患発
症に関与している可能性がある。従って、本発明のHSH2
を標的とした薬剤、あるいはHSH2の構造をもとに創られ
た薬剤は抗癌剤として作用することが期待される。
【0084】また、HSH2は血液系細胞で強く発現し、サ
イトカインで活性化されるJAKキナーゼによりリン酸化
を受ける。加えて、IL-3刺激でリン酸化されたIL-3受容
体およびSHP2と結合する。このことはHSH2が血液細胞の
分化・増殖に関与している可能性を示唆する。従って、
HSH2を標的とした薬剤、あるいはHSH2の構造をもとに創
られた薬剤は、造血・血液疾患に対する薬剤となること
が期待される。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Helix Research Institute <120> Novel human SH2 protein. <130> H1-107DP5 <140> <141> <150> JP 1999-248036 <151> 1999-07-29 <150> H1-107DP3 <151> 2000-05-02 <160> 14 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1916 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> CDS <222> (112)..(1167) <400> 1 gtgcagacct tgaatcgaaa cccaggctcc tgcaggcact ggcacagcta cagcgagggc 60 ctcggccatc caagggtctc ccaggtgacc ttccctccac cccaggaagc t atg aca 117 Met Thr 1 gag gcc ggg aag ctg ccc cta ccg cta ccc cca cgg ctg gac tgg ttt 165 Glu Ala Gly Lys Leu Pro Leu Pro Leu Pro Pro Arg Leu Asp Trp Phe 5 10 15 gtg cac acc cag atg ggc cag ctg gcc caa gac ggg gtc ccc gag tgg 213 Val His Thr Gln Met Gly Gln Leu Ala Gln Asp Gly Val Pro Glu Trp 20 25 30 ttc cat ggt gca atc tca aga gag gat gct gag aac ttg ctg gag tca 261 Phe His Gly Ala Ile Ser Arg Glu Asp Ala Glu Asn Leu Leu Glu Ser 35 40 45 50 cag cca ctg gga tcc ttt ctc atc agg gtc agt cac agc cat gtg ggc 309 Gln Pro Leu Gly Ser Phe Leu Ile Arg Val Ser His Ser His Val Gly 55 60 65 tac aca ctc tcc tac aaa gcc caa agc agc tgc tgc cat ttc atg gtg 357 Tyr Thr Leu Ser Tyr Lys Ala Gln Ser Ser Cys Cys His Phe Met Val 70 75 80 aag ctc ttg gat gat ggg act ttc atg atc ccc ggg gag aag gtg gcc 405 Lys Leu Leu Asp Asp Gly Thr Phe Met Ile Pro Gly Glu Lys Val Ala 85 90 95 cac acc tcg ctg gac gcc ctg gtc acc ttc cac cag cag aag cca att 453 His Thr Ser Leu Asp Ala Leu Val Thr Phe His Gln Gln Lys Pro Ile 100 105 110 gag ccg cgc agg gag ctg ctg aca cag ccc tgc agg cag aag gat ccc 501 Glu Pro Arg Arg Glu Leu Leu Thr Gln Pro Cys Arg Gln Lys Asp Pro 115 120 125 130 gca aac gtg gat tac gag gat ctc ttc ctc tac tcc aac gca gtg gcc 549 Ala Asn Val Asp Tyr Glu Asp Leu Phe Leu Tyr Ser Asn Ala Val Ala 135 140 145 gag gaa gct gcc tgc ccg gtg tct gcc cct gag gag gcc tcc cca aag 597 Glu Glu Ala Ala Cys Pro Val Ser Ala Pro Glu Glu Ala Ser Pro Lys 150 155 160 cca gtc ctg tgt cac caa tca aag gaa agg aag ccg tca gca gag atg 645 Pro Val Leu Cys His Gln Ser Lys Glu Arg Lys Pro Ser Ala Glu Met 165 170 175 aac aga ata acc acc aag gaa gcc act tcc tcc tgc ccc cca aaa tcc 693 Asn Arg Ile Thr Thr Lys Glu Ala Thr Ser Ser Cys Pro Pro Lys Ser 180 185 190 cct ctt gga gag acc cgc cag aaa ctc tgg agg agc ctc aaa atg ctc 741 Pro Leu Gly Glu Thr Arg Gln Lys Leu Trp Arg Ser Leu Lys Met Leu 195 200 205 210 ccc gag aga ggc cag agg gtc cgg cag cag cta aaa agc cac ctc gcc 789 Pro Glu Arg Gly Gln Arg Val Arg Gln Gln Leu Lys Ser His Leu Ala 215 220 225 act gtg aac ttg tcg tca ctc ttg gat gtc cgg aga tcc acg gtg atc 837 Thr Val Asn Leu Ser Ser Leu Leu Asp Val Arg Arg Ser Thr Val Ile 230 235 240 tca ggc cct ggg acc gga aaa ggc agc caa gat cac tca ggg gat ccc 885 Ser Gly Pro Gly Thr Gly Lys Gly Ser Gln Asp His Ser Gly Asp Pro 245 250 255 acc tcg ggg gac aga ggc tac acg gat ccc tgt gtg gcc aca tct ctc 933 Thr Ser Gly Asp Arg Gly Tyr Thr Asp Pro Cys Val Ala Thr Ser Leu 260 265 270 aaa agc ccc tca cag ccc cag gca cca aaa gac aga aag gtc ccc acc 981 Lys Ser Pro Ser Gln Pro Gln Ala Pro Lys Asp Arg Lys Val Pro Thr 275 280 285 290 agg aag gcc gag agg tcg gtc agc tgc att gag gtg acc cca ggg gac 1029 Arg Lys Ala Glu Arg Ser Val Ser Cys Ile Glu Val Thr Pro Gly Asp 295 300 305 agg agt tgg cac caa atg gta gtg aga gcc cta tcc tcc cag gag tcc 1077 Arg Ser Trp His Gln Met Val Val Arg Ala Leu Ser Ser Gln Glu Ser 310 315 320 aag cca gag cac cag ggc ttg gca gag cct gag aac gac cag ctc ccg 1125 Lys Pro Glu His Gln Gly Leu Ala Glu Pro Glu Asn Asp Gln Leu Pro 325 330 335 gag gag tac caa caa ccg cca ccc ttt gcc cct ggg tac tgc 1167 Glu Glu Tyr Gln Gln Pro Pro Pro Phe Ala Pro Gly Tyr Cys 340 345 350 tagagaacag gtccaccctg gctctgggac tcgctgccag gggctgccac actcctgaat 1227 gccttaacat ttcttccatg gccccacacc atggcatccg ggggtcttcg ggaacccggg 1287 aaatggaata aagatgtttt tggggtctgt tcctgcactc acccatgggg tgagctggtt 1347 attttagcaa caatcatcag agtgacgctg atggtttggg gcaccagcta tacatcagcc 1407 ccagtgccag accttctatt cattatttta cgcctcagag caaggccctc agggagggtc 1467 atcctccatg ttttgaagaa gagactgagg ttcagagagg ataagaggcg tgaccaaggc 1527 cacagagcta tgggtgtcag caccaggatt tgaagccagg tgaatccgag cccttttccc 1587 atatcatctg tttgttctgt tgtctaaaag cacactgcaa gccgggctca gtggctcatg 1647 cctgtagtcc cagcactctg tggggccgag gcaggcagat cgcttgaggt caggagtttg 1707 agaccagcct ggccaacatg gtgaaacccc gtctatacta aaaaattcaa aaattacccg 1767 gacgtggtgg cgcatgcctg taatcccagc tacttgggag cctgaggcgg gagaattgct 1827 tgaacccggg aggcagaggt tgcagtgagc cgagatcgca tcactgcagt ccagcctgga 1887 tgacagagtg agactccatc tcaaaaaat 1916 <210> 2 <211> 352 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Met Thr Glu Ala Gly Lys Leu Pro Leu Pro Leu Pro Pro Arg Leu Asp 1 5 10 15 Trp Phe Val His Thr Gln Met Gly Gln Leu Ala Gln Asp Gly Val Pro 20 25 30 Glu Trp Phe His Gly Ala Ile Ser Arg Glu Asp Ala Glu Asn Leu Leu 35 40 45 Glu Ser Gln Pro Leu Gly Ser Phe Leu Ile Arg Val Ser His Ser His 50 55 60 Val Gly Tyr Thr Leu Ser Tyr Lys Ala Gln Ser Ser Cys Cys His Phe 65 70 75 80 Met Val Lys Leu Leu Asp Asp Gly Thr Phe Met Ile Pro Gly Glu Lys 85 90 95 Val Ala His Thr Ser Leu Asp Ala Leu Val Thr Phe His Gln Gln Lys 100 105 110 Pro Ile Glu Pro Arg Arg Glu Leu Leu Thr Gln Pro Cys Arg Gln Lys 115 120 125 Asp Pro Ala Asn Val Asp Tyr Glu Asp Leu Phe Leu Tyr Ser Asn Ala 130 135 140 Val Ala Glu Glu Ala Ala Cys Pro Val Ser Ala Pro Glu Glu Ala Ser 145 150 155 160 Pro Lys Pro Val Leu Cys His Gln Ser Lys Glu Arg Lys Pro Ser Ala 165 170 175 Glu Met Asn Arg Ile Thr Thr Lys Glu Ala Thr Ser Ser Cys Pro Pro 180 185 190 Lys Ser Pro Leu Gly Glu Thr Arg Gln Lys Leu Trp Arg Ser Leu Lys 195 200 205 Met Leu Pro Glu Arg Gly Gln Arg Val Arg Gln Gln Leu Lys Ser His 210 215 220 Leu Ala Thr Val Asn Leu Ser Ser Leu Leu Asp Val Arg Arg Ser Thr 225 230 235 240 Val Ile Ser Gly Pro Gly Thr Gly Lys Gly Ser Gln Asp His Ser Gly 245 250 255 Asp Pro Thr Ser Gly Asp Arg Gly Tyr Thr Asp Pro Cys Val Ala Thr 260 265 270 Ser Leu Lys Ser Pro Ser Gln Pro Gln Ala Pro Lys Asp Arg Lys Val 275 280 285 Pro Thr Arg Lys Ala Glu Arg Ser Val Ser Cys Ile Glu Val Thr Pro 290 295 300 Gly Asp Arg Ser Trp His Gln Met Val Val Arg Ala Leu Ser Ser Gln 305 310 315 320 Glu Ser Lys Pro Glu His Gln Gly Leu Ala Glu Pro Glu Asn Asp Gln 325 330 335 Leu Pro Glu Glu Tyr Gln Gln Pro Pro Pro Phe Ala Pro Gly Tyr Cys 340 345 350 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Sequence <400> 3 agcacgagcg gccgggccac gg 22 <210> 4 <211> 42 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 4 gcggctgaag acggcctatg tggccttttt tttttttttt tt 42 <210> 5 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 5 agcatcgagt cggccttgtt g 21 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 6 gcggctgaag acggcctatg t 21 <210> 7 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 7 gagagaattc atgacagagg ccgggaagct g 31 <210> 8 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 8 gagactcgag ctagcagtac ccaggggcaa a 31 <210> 9 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 9 gagagaattc atgacagagg ccgggaagct g 31 <210> 10 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 10 gagactcgag ctactcgtaa tccacgtttg cggg 34 <210> 11 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Sequence <400> 11 tcgactggaa ttcggatccg tcgacctcga ga 32 <210> 12 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Sequence <400> 12 aatttctcga ggtcgacgga tccgaattcc ag 32 <210> 13 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 13 gagagaattc cccgcaaacg tggattacga 30 <210> 14 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 14 gagactcgag ctactcgtaa tccacgtttg cggg 34
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のHSH2蛋白質のアミノ酸配列、および
コードする遺伝子の塩基配列を示す。SH2ドメインを下
線で、プロリンリッチ領域を囲い線で表し、チロシン残
基を円で囲んで示した。
【図2】 ノーザンブロット解析の結果を示す図であ
る。末梢血白血球における2.2 kbのバンドが、HSH2 mRN
Aによるものである。
【図3】 チロシンキナーゼによるHSH2のリン酸化を示
す図である。SHDはSH2蛋白質を表す。
【図4】 IL-3刺激でリン酸化されたIL-3受容体β鎖お
よびSHP2と、HSH2蛋白質との結合を示す図である。「st
arved」は、IL-3で刺激をしていないBaF3細胞を表す。
【図5】 K562細胞抽出液中のチロシンリン酸化蛋白質
と、HSH2蛋白質との結合を示す図である。
【図6】 酵母Two Hybridアッセイによる、HSH2蛋白質
のBCR-ABLとの結合を示す図である。縦に示した蛋白質
と横に示した蛋白質が結合する場合、各蛋白質のレーン
が交差する位置にバンドが見える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 C12P 21/02 G01N 33/15 Z 21/08 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 C12R 1:91) 33/53 (C12P 21/02 C //(C12N 5/10 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12P 21/08 (C12P 21/02 C12R 1:91) C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/08 5/00 A C12R 1:91) C12R 1:91) (72)発明者 磯貝 隆夫 茨城県稲敷郡阿見町大室511−12 (72)発明者 西川 哲夫 東京都板橋区氷川町27−3−403 (72)発明者 林 浩司 千葉県市原市有秋台西1−9−446 (72)発明者 齋藤 薫 千葉県木更津市木更津2−8−1−201 (72)発明者 山本 順一 千葉県木更津市清見台東3−28−3−A 101 (72)発明者 石井 静子 千葉県木更津市矢那4508−19−202 (72)発明者 杉山 友康 千葉県木更津市清見台2−6−23−102 (72)発明者 若松 愛 千葉県木更津市高柳1473−4−202 (72)発明者 永井 啓一 東京都東大和市桜が丘3−44−14−9− 204 (72)発明者 大槻 哲嗣 千葉県木更津市朝日3−1−10−B102 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB01 FB02 FB03 4B024 AA01 BA21 BA44 BA80 CA04 DA02 EA04 GA11 HA01 4B064 AG01 AG27 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA90X AA93Y AB01 BA01 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA01 DA76 EA20 EA50 FA74

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)から(d)のいずれかに記載
    のDNA。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白
    質をコードするDNA。 (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含
    むDNA。 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若
    しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/ま
    たは付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記
    載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白
    質をコードするDNA。 (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとス
    トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番
    号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に
    同等な蛋白質をコードするDNA。
  2. 【請求項2】 配列番号:2に記載のアミノ酸配列から
    なる蛋白質の部分ペプチドをコードするDNA。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のDNAによりコ
    ードされる蛋白質またはペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のDNAが挿入さ
    れたベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のDNAまたは請
    求項4に記載のベクターを保持する形質転換細胞。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の形質転換細胞を培養
    し、該形質転換細胞またはその培養上清から発現させた
    蛋白質またはペプチドを回収する工程を含む、請求項3
    に記載の蛋白質またはペプチドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の蛋白質に結合する抗
    体。
  8. 【請求項8】 配列番号:1に記載の塩基配列からなる
    DNAまたはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオ
    チドを含むポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の蛋白質に結合する化合
    物のスクリーニング方法であって、(a)該蛋白質また
    はその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、
    (b)該蛋白質またはその部分ペプチドと被検試料との
    結合活性を検出する工程、(c)該蛋白質またはその部
    分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選択する工
    程、を含む方法。
  10. 【請求項10】 チロシンキナーゼによる請求項3に記
    載の蛋白質のリン酸化を調節する活性を有する化合物を
    スクリーニングする方法であって、(a)該蛋白質また
    はその部分ペプチド、チロシンキナーゼ、および被検試
    料を接触させる工程、(b)該蛋白質またはその部分ペ
    プチドのリン酸化を検出する工程、(c)工程(b)に
    おいて検出されるリン酸化の程度を、被検試料の非存在
    下において検出した場合と比較して、低下または増加さ
    せる化合物を選択する工程、を含む方法。
  11. 【請求項11】 チロシンキナーゼが、c-ABL、BCR-AB
    L、v-Src、JAK1、JAK2、およびJAK3からなる群より選択
    される、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項3に記載の蛋白質とチロシンリ
    ン酸化蛋白質との結合を調節する活性を有する化合物を
    スクリーニングする方法であって、(a)該蛋白質また
    はその部分ペプチド、チロシンリン酸化蛋白質、および
    被検試料を接触させる工程、(b)該蛋白質またはその
    部分ペプチドとチロシンリン酸化蛋白質との結合を検出
    する工程、(c)工程(b)において検出される結合活
    性を、被検試料の非存在下において検出した場合と比較
    して、低下または増加させる化合物を選択する工程、を
    含む方法。
  13. 【請求項13】 チロシンリン酸化蛋白質が、IL-3受容
    体β鎖、SHP2、BCR-ABL、CBL、およびSHCからなる群よ
    り選択される、請求項12に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008263984A (ja) * 2000-09-20 2008-11-06 Amgen Inc B7様分子およびその使用
US9920123B2 (en) 2008-12-09 2018-03-20 Genentech, Inc. Anti-PD-L1 antibodies, compositions and articles of manufacture
CN114524871A (zh) * 2022-01-28 2022-05-24 青岛赛诺基因科技有限公司 与含酪氨酸硫酸化修饰的肽具有高亲和力的变体sh2结构域

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