JP2001523249A - 特異的免疫寛容を誘導するための抗原と粘膜結合成分の組合せ - Google Patents

特異的免疫寛容を誘導するための抗原と粘膜結合成分の組合せ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、インスリンのような免疫寛容誘導抗原とガングリオシドGM1を優先的に結合する粘膜結合成分との組合せを提供する。それらの成分は非共有結合配置で存在する。粘膜表面に投与すると、該組合せは抗原だけの場合の10分の1の用量で特異的免疫寛容を誘導するのに有効である。免疫寛容はブースター投与の必要なく多週間に渡り持続される。本発明の組成物および方法は、望ましくない免疫応答に帰することができる症状の予防または緩和に有益である。

Description

【発明の詳細な説明】 特異的免疫寛容を誘導するための抗原と粘膜結合成分の組合せ 関連出願 この出願は、1997年4月23日出願の係属中の米国仮出願第60/044,184号およ び1997年4月23日出願の係属中の米国仮出願第60/044,182号の優先権を主張す る。 技術分野 本発明は、一般的には経口免疫寛容の分野に関する。より具体的には、本発明 は、状態の病的作用の原因となる免疫反応を特異的に阻害することによる、望ま しくない免疫応答に関連した糖尿病および他の状態を処置するための製剤および 処置方法に関する。 背景 人の病気の多くが宿主に必要な免疫系の適応障害に関連するということがます ます認識されてきている。病原微生物を排除できないのは、しばしば免疫応答性 低下または不適切なエフェクター作用に起因する。他方で、侵襲生物の不在下で の組織破壊は、自己抗原に対する免疫反応性過剰から起こる。有力な非特異的免 疫増強剤または抑制剤である小さな分子薬剤が開発されている。しかしながら、 それらは本当に必要とされるもの、すなわち少数の特定の標的分子に対する免疫 反応性の集中調節のための用具としては緩慢である。 この問題を扱う上での1つの試みは、基礎となっている免疫原性と免疫寛容の メカニズムの相違、すなわちそれぞれ免疫反応性の上方または下方調節を解明す ることである。ある状況では、両調節ともに、抗原提示細胞とT細胞との複雑な 相互作用に誘発抗原が関与する。 粘膜免疫系は、全身免疫系よりも外来抗原に対して無反応で寛容する傾向があ る。明らかに、食事に含まれるあらゆる外来物質に対する反応がこの系の勢力を 使い尽くすだろう。反応性を弱めるメカニズムは、クップファー細胞による門戸 循環からの食物抗原のクリアランス、および免疫寛容原性環境での免疫系への提 示のための成熟赤血球およびパイアー斑のM細胞からの抗原のサンプリングを含 む。粘膜免疫系に関与するリンパ球や他の細胞は、全身免疫系の相当物とは異な るスペクトルのサイトカインを分泌しそして異なるスペクトルの表面マーカーを 担持している。 粘膜免疫系は、気管支、胸部および腸といった異なる粘膜部位に共通している (Bienenstock他,Adv.Exp.Med.Biol.107:53,1978)。対照的に、粘膜免疫 系と全身免疫系は互いから分割されている。腸における寛容応答には、TGF-β, IL-4およびIFN-γを分泌する調節T細胞が関係している(Leonilda他,Cell.Im munol.157:439,1994;Zeng-Yu他,Cellular Immunol.157:353,1994)。腸間 膜リンパ節の輸出管の細胞は優先的に粘膜へと戻り、一方で末梢リンパ節の輸出 管の細胞は優先的に末梢へと戻る。それにもかかわらず、それらの免疫系間には 、腸で引き起こされた反応が全身区分に共有されるのに十分なくらいの交差があ る。よって、セービンポリオワクチン(経口ポリオ生ワクチン)は、粘膜表面と 循環系の両方でポリオに対する防御を誘導する。腸内に提供された或る抗原に対 して誘導された免疫寛容は、それらの抗原に対して全身性の免疫無反応性をもた らす。 特異的免疫ダウンレギュレーションの治療モデルとして、寛容の方への粘膜傾 向を利用する努力がなされている。この分野の概説については、Thompson他(Imm unol.Today 11:197,1990);Weiner(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10762,1 994);MacDonald(Curr. Biol.4:178,1994)およびWeiner他(Annu.Rev.Immunol.12:809,1994)を 参照のこと。一般に、反応性を低下させそれにより状態を改善しようとする努力 において、異常な免疫応答を有する動物の小腸中に抗原を挿管するアプローチが とられている。 国際特許公開第WO 91/12816号および欧州特許出願第EP 666 080 A1号公報は、 自己抗原の経口投与による自己免疫疾患の治療を提唱している。この自己抗原は 自己免疫疾患に特異的であり、且つその自己抗原を認識するサプレッサーT細胞 を惹起させるために経口または腸内投与される。国際特許公開第WO 91/08760号 公報は、自己抗原のエーロゾル投与による自己免疫疾患の治療を開示している。 国際特許公開第WO 96/39176号公報は、TH1免疫応答とTH2免疫応答の両方を 抑制し且つ抗体産生を抑制するための抗原の経口投与の使用を記載している。実 施例では抗原が飲料水中で適宜供給されており、そして従属請求項は一日少なく とも6回のまたは徐放投与を記載している。 国際特許公開第WO 93/16724号公報は、自己免疫疾患に直接関連している自己 抗原よりもむしろ局外者(bystander)抗原を投与することによる自己免疫疾患 の治療を提唱している。局外者抗原は哺乳類の体内の一部位でTGF-βの放出を惹 起し、自己免疫応答に寄与するT細胞がその病気の一因であるT細胞を抑制する ことがわかった。国際特許公開第WO 94/27634号公報は、免疫寛容を誘導するの に使われる陰性ペプチドを開示している。陰性ペプチドは、生来のタンパク質抗 原のプロセシングおよび提示のために、通常は免疫系に暴露されないタンパク質 抗原中の抗原決定基である。 多数の特許公報および学術文献が、粘膜経路を通して免疫寛容させることによ る特定の状態の治療を開示している。米国特許第5,399,347号明細書およびThomp son他(Autoimmunity 16:189, 1993)は、経口的に投与される完全なII型コラーゲンによる慢性関節リウマチの 治療方法を記載している。国際公開第WO 94/27634号公報およびVrabec他(Autoi mmunity 12:175,1992)は、S抗原を経口投与することにより自己免疫性ブドウ 膜網膜炎を治療することを開示している。Chen他(Science 265:1237,1994)お よびWhitachre他(J.Immunol.147:2155,1991)は、ミエリン塩基性タンパク 質(MBP)の経口投与による自己免疫性脳髄膜炎の抑制を開示している。Wang 他(Cell.Immunol.152:394,1993)は、実験的自己免疫性重症筋無力症に対し て経口的に免疫寛容させるためのアセチルコリン受容体の経口投与を開示してい る。 国際特許公開第WO 94/27634号公報は、インスリンの経口投与によるI型糖尿 病の治療を開示している。非肥満性糖尿病(NOD)マウスでの別の実験につい ては、Ramiya他(Diabetes 44:164A,1995)とZhang他(Proc.Natl.Acad.Sci .USA 88:10252,1991)を参照のこと。ウイルス誘発型抗原特異的糖尿病モデル において、出発のウイルスチャレンジの1週間前または10日後に開始したインス リンの経口処置は、マウスの>50%において高血糖の出現を予防した。経口投与 は抗β細胞細胞傷害性Tリンパ球の生産にも膵臓中への浸潤にも影響を与えない と考えられたが、ほとんどのβ細胞が破壊されなかった。好結果にインスリンで 処置したマウスの島の大部分のリンパ球はIL-4,IL-10およびTGF-βを生産した が、一方で症候性マウスからのリンパ球は主にγ-IFNを生産した。 国際特許公開第WO 92/07581号公報は、哺乳類における同種移植片拒絶を抑制 するための方法および組成物を開示している。移植片受容個体には、脾細胞、培 養細胞または提供個体からの抽出物もしくはMHC抗原からなる群より選ばれた 剤が経口またはエーロゾル投与により投与される。 上述した開示は、典型的には、免疫寛容を誘導する抗原を1日数回まで頻繁に 、または1mg/マウス以上の用量で投与しなければならないことを示している。 免疫寛容を維持するために、通常は進行中の基準に基づいて抗原を投与すること が必要である。 コレラ毒素はビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)により放出される原型細 菌エンテロトキシンであり、それは腸上皮からの活発な電解質と水の分泌を誘発 する。それは分子量28,000のAサブユニット1個と分子量11,600のBサブユニッ ト5個から構成されるタンパク質である。Bサブユニットは強固な非共有結合に より環状に凝集され、Aサブユニットは弱い非共有結合相互作用によってBサブ ユニット5量体環に結合しそして多分一部が環の中に埋め込まれる。Bサブユニ ットは細胞結合を担い、そしてAサブユニットはサイクリックAMP経路のGタ ンパク質を改変することにより毒性活性を有する。Bサブユニットの結合活性は 、粘膜表面上に存在するガングリオシドGM1に対してである。 コレラ毒素が粘膜ワクチンにおけるアジュバントとして機能する能力に関する 文献は多数存在し、それを混在させると抗原に対する免疫応答のレベルを増加さ せる。例えば、Elson,Curr.Top.Microbiol.Immunol.146,1989;Nedrud他, J.Immunol.139:3484-3492,1987;McKenzie他,J.Immunol.133:1818,1984を 参照のこと。 より最近になって、ある種の抗原に連結させたCTBサブユニットが、粘膜表 面に投与すると免疫寛容誘導効果を有することが指摘された。 国際特許公開第WO 95/10301号公報は、特定の寛容原に結合せしめた粘膜結合 分子を含んで成る免疫寛容誘導剤を開示している。典型的な粘膜結合構造は、C TBおよびE.コリの熱不安定性エンテ ロトキシンのサブユニットであった。 Sun他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7196,1996)は、経粘膜キャリヤー 輸送系としてのCTBを開示している。GM1と共有結合させることにより赤血 球を改変し、次いでそれにCTBを結合させた。CTBへの直接共有結合により HGGを改変した。CTBに結合せしめた可溶性または粒状抗原の1回の経口投 与が免疫寛容を増強した。Sun他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,7196,1996 )は、CTBに共有結合させたミエリン塩基性タンパク質を供給することによる 、実験的自己免疫性脳髄炎の治療を記載している。 国際特許公開第WO 96/21458号公報は、自己免疫性肝臓病、クローン病、グッ ドパスチャー症候群、乾癬、限局性硬化症、関節炎の様々な症状発現、および様 々な限局性退行性炎症状態または繊維症状態のような、免疫系により媒介される 病気の治療のためのコラーゲン法およびコラーゲン製剤を開示している。コラー ゲン化合物はCTBのような粘膜結合分子に結合した状態で投与される。 それらの刊行物の実験では、抗原をCTBと直接的にまたは連結基を介して結 合させることにより有効成分が構成される。 発明の要約 本発明の組合せ組成物は、互いに共有結合で結合されていないが、粘膜表面に 投与すると特異的な免疫寛容を誘発するのに効果的である、誘導抗原と粘膜結合 成分とを含有する。それらの組成物は、10分の1の用量で免疫寛容を誘導するこ とができ且つより持続した応答をもたらすので、抗原だけの従来技術組成物を上 回る改善を有する。それらは、共有結合した複合体と比較して調製が容易で且つ 経済的であるという点で、より好都合である。 本発明の一態様は、個体において標的抗原に対する持続性免疫寛容を誘導する 方法であって、未結合の形の誘導抗原と粘膜結合成分 の有効組合せを含んで成る組成物を前記個体の粘膜表面に投与することを含んで 成る方法である。誘導抗原は、標的抗原に対する免疫寛容を所望する標的抗原で あるか、または標的抗原の局外者であることができる。誘導抗原は自己抗原(非 限定的にインスリンペプチド、コラーゲンペプチドおよびMBPペプチドが挙げ られる)、同種抗原(非限定的に、HLAクラスIおよびIIが挙げられる)、異 種抗原またはアレルゲンであることができる。粘膜結合成分は典型的にはGM1 結合活性を有し、そしてコレラ毒素BおよびLTBがその代表例である。 本発明の別の態様は、個体における自己免疫疾患またはアレルギー状態の治療 方法であって、上述した通りに持続性免疫寛容を誘導することを含んで成る方法 である。 本発明の別の態様は、未結合の形の粘膜結合成分と誘導剤の有効組合せを含ん で成る医薬組成物である。糖尿病を治療するのに好ましい組成物は、誘導抗原と してのインスリン、および亜鉛のような金属カチオンを含有する。更なる態様は 、有効な組合せ重量比において両成分を含んで成る、そのような医薬組成物を調 製する方法である。 更に別の態様は、組織移植の状況において免疫寛容を誘導することに関する。 1つのそのような態様は、提供個体(ドナー)から移植される組織移植片の受容 個体(宿主)の危険性を減らす方法であって、未結合の形の誘導抗原と粘膜結合 成分の有効組合せを含んで成る組成物を受容個体の粘膜表面に投与することによ り、提供個体の細胞に対する受容個体の免疫寛容を誘導することを含んで成る方 法である。異種移植片と同種移植片の両方が含まれる。別のそのような態様は、 提供個体から移植される組織移植片の受容個体における対宿主性移植片病の危険 性を減らす方法であって、未結合の形の 誘導抗原と粘膜結合成分の有効組合せを含んで成る組成物を受容個体の粘膜表面 に投与することにより、提供個体の細胞に対する受容個体の免疫寛容を誘導する ことを含んで成る方法である。誘導抗原は、例えば、単独のHLA抗原もしくは HLA抗原混合物、または1もしくは複数の個体からの細胞もしくは細胞誘導体 であることができる。 提供個体からの組織移植片を受容個体に移植する改良方法であって、本発明に 従って組織移植片の拒絶の危険性または対宿主性移植片病の危険性を減少させる ことを含んで成る方法も包含される。 更に別の態様は、提供個体から移植された組織移植片の受容個体における拒絶 の危険性、または対宿主性移植片病の危険性を減少させるための医薬組成物であ って、精製された分子または細胞誘導体の形の1または複数の誘導抗原と、未結 合の形で1または複数の誘導抗原との有効組合せを含んで成る医薬組成物である 。そのような組成物の調製方法であって、有効な組合せ重量比において両成分を 混合することを含んで成る方法も含まれる。 更なる態様は、提供個体から移植される組織移植片の受容個体における拒絶の 危険性、または対宿主性移植片病の危険性を減らすのに使われるキットであって 、細胞または細胞抽出物と混合すると有効組合せ組成物を提供する粘膜結合性成 分を含んで成るキットに関する。該キットは所望により誘導抗原またはそのよう な抗原のパネルを含んでもよい。また、そのようなキットの製造方法であって、 キットの使用者が有効組合せ組成物を調製できるように十分な量の粘膜結合成分 をキット形において包装することを含んで成る方法も提供される。 発明の詳細な説明 本発明の目的は、容易に調合されそして投与される組成物を使っ て、特異的免疫寛容を誘導するための系を提供することである。 そのような組成物は、有効組合せとして次の2成分を最小限含んで成る: ・ 粘膜結合成分、例えばコレラ毒素Bサブユニット(CTB) ・ 免疫寛容が望ましい標的かまたは標的の局外者のいずれか 誘導抗原は、投与前に粘膜結合成分と混合してもよく、それらを別々に投与し てもよく、あるいは誘導抗原がすでに粘膜表面上に存在していてもよい。一緒に 投与する場合、粘膜結合成分と誘導抗原は未結合の形であり、未結合とはそれら が直接にまたは中間リンカーを介して互いに共有結合していないことを意味する 。 粘膜表面への該組成物の適用は、標的抗原に対する特異的免疫寛容を引き起こ す。典型的には、免疫寛容は、ほぼ2週間ごとに与えることができる複数回の投 与での処置により誘導される。もたらされる免疫寛容は典型的には持続性である 。持続性とは、最初の投与の終了後多数週間、少なくとも3週間、典型的には少 なくとも約5週間、好ましくは少なくとも約10週間または15週間の持続期間に渡 って、免疫寛容の免疫学的または臨床学的指標が観察され得ることを意味する。 免疫寛容レベルを高めるためにこの期間の最中にまたは後に追加のブースター注 射を与えることができる。理論に縛られることなく、持続性免疫寛容は少なくと も部分的には標的抗原に特異的な免疫BまたはT細胞の能動的免疫抑制を伴うこ とは明らかである。 本発明の基礎となる結果は、インスリンとCTBとの共有結合体の開発、およ びその後の糖尿病NODマウスモデルにおける経口免疫寛容原としてのそれらの 試験を行っている最中に発見された。マウスの対照グループは、インスリンだけ もしくはCTBだけ、またはその両者の非共有結合混合物で処置したものを含ん だ。インスリ ンの粘膜投与の効果についての事前説明を鑑みれば、高レベルの単独のインスリ ンで小さな免疫寛容が誘導されることは予想された。インスリン−CTB共有結 合体のいくつかは免疫寛容を誘導するのが非常に有力であった。インスリンとC TBの非共有結合混合物は誘導寛容の時点で、単独のインスリンよりもずっと非 常に有力であることがわかった。実施例1は、非共有結合組合せに対する応答の 性質を更に特徴づける追跡実験を記載する。 それらの実験の結果は、非共有結合組合せが次のような予想外の特性を有する ことを証明する。 ・この組合せは、経口投与すると、インスリンを単独で使って免疫寛容を誘導 するのに必要な量よりも約10倍少ない(約10分の1である)濃度で免疫寛容を誘 導した。 ・単独のインスリンの作用とは異なり、非共有結合組合せにより誘導される免 疫寛容は長期に渡って持続した。処置開始後少なくとも17週間に渡りNODマウ スのかなりの比率において糖尿病症状の開始遅らせることができた。 粘膜結合成分が抗原の免疫寛容原性を増強するというメカニズムは完全には解 明されていない。このメカニズムの解明は、本発明を実施することを必要とせず 且つ次の説明により限定するつもりはない。一つの可能性あるメカニズムでは、 粘膜結合成分は、抗原が粘膜表面を貫通しそして特異的免疫寛容に関与する抗原 提示細胞または調節細胞の近くに蓄積する能力を促進する。代わりにまたは追加 として、この組合せが反復量で多数回投与される場合、粘膜結合成分は粘膜免疫 を開始することができ、その粘膜免疫がその後の用量の混合物に対する迅速なエ フェクター応答をもたらす。これが引いては、混合物中低用量の抗原に対する調 節T細胞の受容性を高めるサイトカインまたは他の可溶性因子を提供することが できる。第三 の説明では、CTBの増強効果がリンパ球上または抗原提示細胞上のGM1を架 橋することにより媒介され得る。実施例2は、抗原より前に細胞培養物に提供さ れたCTBが、明らかに抗原提示を増強しそしてTH1細胞(IL-2とIFN-γを分泌 する)とTH2細胞(IL-4を分泌する)を増加させることを示す。粘膜免疫系細胞 上のGM1のCTB架橋は、サプレッサー細胞の特異的活性化を高めることがで きる。 抗原と粘膜結合成分は場合により非共有結合形で会合させることができるけれ ども、これは所望の効果を得るのに必要ではない。本発明は、それらの成分のう ちの一部または全部が水溶液とした時に互いに非共有結合で会合されている組成 物、およびそれらの成分が会合されていない組成物を包含する。 本発明は、望ましくない免疫応答を処置するために重要である免疫寛容を誘導 するという点で幾つかの利点を提供する。粘膜結合成分は免疫寛容を誘導する誘 導抗原の能力を増強させるために、かなり低用量の抗原を投与することができる 。この応答が持続性であるということは、ブースター投与をあまり頻繁に与えな くてもよいことを意味する。該組成物は単に各成分を混合することにより作られ るので、調製が迅速である。組成物の調製が容易であるということは、新たな成 分、組合せおよび比率を試験するのが容易であり、そして決められた組成物の商 業生産を低費用で実施できることを意味する。抗原混合物、細胞抽出物または細 胞溶解物中に存在し得る抗原に対して粘膜結合成分が免疫寛容を増強する、非常 に複雑な混合物も得ることができる。 その上、本発明は新規治療法を考案するために免疫系を操作するという利点を 提供する。外来抗原に対する望ましくない過敏性反応の標的抗原に対して免疫寛 容を刺激することができる。標的抗原と しては、食品、食品添加物、花粉、真菌胞子、粉塵または動物鱗屑が挙げられる 。暴露は、胃腸管経由で、吸入により、または皮膚接触を通して起こり得る。C TBのような粘膜結合成分は、侵襲抗原源の前に、同時にまたは直後に投与され 、あるいは投与前に抗原の試料と直接混合される。別々に投与する時、粘膜結合 成分が誘導抗原に対する免疫寛容を促進できるような期間の中で、そして好まし くはできるだけ接近して、両成分が投与される。 本発明は更に、粘膜表面上に存在する標的抗原に対して免疫寛容を誘導する方 法を提供する。特に着目されるのは炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸 炎、セリアック病およびクローン病により代表される粘膜障害に優先的に関連す る標的抗原である。CTBのような粘膜結合成分は、粘膜障害に関連する内因性 標的抗原の存在下での免疫寛容の誘導を助ける環境をつくるために粘膜障害を有 する患者に投与される。ある標的抗原は既に粘膜表面上に存在しており、病気状 態によって発現のレベルまたは性質が変えられ得る。投与されたCTBは、その 場で有効組合せを作り、特異的免疫寛容を引き起こす。 患者における望ましくない免疫応答の開始を改善するか、抑制するか、または 延期するためには特異的免疫寛容が望ましい。従って、本発明の方法および組成 物は、望ましくない免疫応答に関連した病因を有する多数のヒトの病気の治療に おいて非常に重要である。定義および一般技術 処置した被検体の一部分において、未処置の被検体に比較して、a)特異的免 疫応答レベルの減少(抗原特異的エフェクターTリンパ球、Bリンパ球、抗体ま たはそれらの等価物により少なくとも一部は媒介されると考えられる);b)特 異的免疫応答の開始または進行の遅延;またはc)特異的免疫応答の開始または 進行の危険性 の減少、という効果のうちの少なくとも1つを有するならば、そのような方法お よび組成物は、本明細書中では「免疫寛容」を引き起こすものと呼称される。「 特異的」免疫寛容は、免疫応答が他のものに比較して一定の抗原に対して選択的 に引き起こされる時に生じる。 「能動」免疫寛容とは、寛容作用が進行中の生物学的過程、例えばサブレッサ ー細胞による特異的エフェクター細胞のダウンレギュレーション、の結果である 状態を言う。能動免疫寛容は、細胞混合実験または細胞移行実験により証明する ことができる。次の実験結果(適当な対照と共に実施)の2つの例は能動免疫寛 容の証拠である:a)ある免疫寛容動物からの白血球を第二の動物からの特異的 エフェクター細胞と混合した時、エフェクター細胞の活性が減少する;b)ある 免疫寛容動物からの白血球を自己免疫疾患を有する第二の動物に移した時に、そ の疾患の特徴が減少する。 「持続性寛容」は、少なくとも2週間に渡り測定可能に持続する免疫寛容であ る。 「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という語は、本明細書 中では任意の長さのアミノ酸のポリマーに対して言及するのに互いに交換可能に 用いられる。「ポリヌクレオチド」という語は、デオキシリボヌクレオチドもし くはリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドの重合形、または その類似体を言い、プラスミドとベクターを包含する。配列をタンパク質間でま たはポリヌクレオチド間で比較する時、直鎖状配列中の残基が「保存性」である と限定される場合を除いて、明らかに実質的な相同性領域を整列するのに必要で ある時折のギャップは許容される。 本明細書中で用いる時、「標的抗原」は、それに対する免疫寛容を所望する抗 原である。典型的には、標的抗原は、望ましくない免 疫応答(既に潜在するかまたは被検者が危険な状態である)の標的でもあり、そ して目的は該応答の危険性を低下、遅延または削減することであろう。 「誘導抗原」は、免疫寛容を引き起こすために本発明の組合せに含まれる抗原 である。それは標的抗原であってもよく、またはそれの断片もしくは誘導体であ ってもよい。あるいは、それは付随抗原であることができる。 「局外者(bystander)抗原」は、標的抗原とは抗原上全く別のものであるが 、特異的免疫寛容を生じさせる上で標的抗原にとって代わることができる抗原で ある。通常、付随抗原は、標的抗原の近隣で同じ組織において発現される。局外 者抗原が役割を果たす可能なメカニズムは、本明細書中のどこかで説明する。 「食物抗原」は、飲食により遭遇し得る任意の抗原であり、食品成分や食品添 加物中に存在する抗原を包含する。「粘膜抗原」は、構成的にまたは誘導により 、例えば炎症または病気の過程で、粘膜表面上に発現される抗原である。「アレ ルゲン」は、予備感作された個体においてI型過敏症反応を発生させることがで きる抗原である。 分子は、それらが直接にまたは1もしくは複数のリンカー分子を経て互いに共 有結合しているならば、「結合」または「連結」していると言われる。これらの 用語は、結合の性質または形成される生成物に関しては他の限定を何も付与しな い。例えば、ジスルフィド結合しているアミノ酸鎖は「結合」しており;ポリペ プチド鎖の最初の半分は次の半分に「連結」している。「未結合」分子は、互い に結合または連結していない。 製剤中の2つの分子は、その製剤がpH〜7の等張緩衝液100ml中に溶解または希 釈されると、過剰でない一方の分子の少なくとも50 %が、両分子の非共有結合ヘテロ二量体またはヘテロ多量体(ポリマー)へと会 合するならば、「会合」していると呼ばれる。ある態様では、分子間の会合が、 会合定数<1010-1、好ましくは<108-1を有する。2つの「未会合」分子は 結合もしていないし且つ会合もしていない。 「処置」とは、処置すべき個体の自然過程を変えようとする試みにおける臨床 的介入であり、予防のためにまたは臨床病理学の過程の間のいずれかで実施する ことができる。望ましい効果としては、病気の発生もしくは再発の予防、症状の 緩和、病気の任意の直接的もしくは間接的な病理結果の減少、病気の進行速度の 低下などが挙げられ、それらは臨床的特徴および一般に許容される生化学的、免 疫学的または組織病理学的特徴により評価することができる。病気状態に関連す る病理学は、正常な健康生理状態、または罹患個体の生活の質を悪化させるすべ てのものである。 本発明の組成物または方法を使って処置される個体または被検者は、脊椎動物 、特に哺乳類(酪農動物、競技動物およびペットを含む)、しばしばヒトであろ う。 処置用製剤中の成分の「有効組合せ」は、組み合わせると望ましい効果を達成 する各成分の量を含んで成る。その効果は1回のまたは一連の投与により達成さ れ得る。 成分混合物中の成分の「有効比率」は、有効組合せと同じ成分の比率(重量/ 重量に基づく)を有する。従って、その混合物は分割し、溶解し、または希釈し て有効な投与用組成物にすることができる。 本発明の実施は、特に断らない限り、当業者の技術の範囲内である分子生物学 、微生物学、組換えDNA技術、および免疫学の常用 技術を使用するだろう。例えば“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,第 2版(Sambrook,Fritsch & Maniatis,1989);”Handbook of Experimental I mmunology”(D.M.Weir & C.C.Blackwell編);“Gene Transfer Vectors for Ma mmalian Cells”(J.M.Miller & M.P.Calos編,1987);”Current Protocols in Molecular Biology”(F.M.Ausubel他編,1987);および“Current Protocols in Immunology”(J.E.Coligan他編,1991)を参照のこと。粘膜結合成分の選択および調製 多数の粘膜結合成分が本発明での使用に適している。粘膜結合成分は、処置す べき被検体の粘膜細胞に特異的に結合することができる1または複数の分子を含 んで成る。ある場合には、粘膜結合成分が粘膜表面の向こう側に貫通またはトラ ンスロケーション(輸送)する追加の特徴を有する。 粘膜結合成分の非限定例としては次のものが挙げられる:1.細菌毒素および それらの結合性サブユニットまたは断片、例えばコレラ毒素およびコレラ毒素B サブユニット、E.コリ熱不安定性エンテロトキシンおよびそのBサブユニット 、百日咳菌〔ボルデテラ・パーツッシス(Bordetella pertussis)〕毒素並びに サブユニットS2,S3,S4およびS5(任意組合せで)、ジフテリア毒素お よびβ毒素断片、志賀および志賀様毒素並びにそれらのBサブユニット、連鎖球 菌α−溶血毒、ビブリオ耐熱性直接溶血毒。2.細菌線毛、例えばE.コリ K88 ,K99,987P,F41,CFA/I,CFA/II(CS4,CS5およびCS6)、P線毛、V.コレレ 毒素接合線毛(TCP)、マンノース感受性血球凝集素(MSHA)、フコース感受性 血球凝集素(FSITH)、百日咳菌繊維状血球凝集素。3.ウイルス結合タンパク 質、例えばインフルエンサ血球凝集素、センダイウイルス血球凝集素、HIV gp12 0。4.植物および動物レクチン、例えばCon A、 小麦胚芽凝集素、フィトヘマグルチニン(植物凝集素)、アブリン、リシン、C 型レクチン、ラクトース結合(S型)タンパク質、セレクチン、コレクチン、ヘ ミックスポタチア血球凝集素。5.粘膜成分(非限定的に、特に粘膜で発現され る糖類)に対するモノクローナルおよびポリクローナル抗体、並びに所望の粘膜 成分結合活性を有する抗体断片および誘導体、例えばダイアボディおよび一本鎖 可変領域。 本発明は、適当な特異性を有するが断片化、残基置換、標識、接合、および/ または別の性質を有するペプチドとの融合により改変されている分子に基づいた 粘膜結合成分も包含する。改変は、任意の所望の目的、例えば非限定的に、毒性 や免疫原性といった任意の望ましくない性質の除去のために、または粘膜結合、 粘膜貫通もしくは免疫応答の寛容原性アーム(arm)の刺激といった任意の望まし い性質の増強のために行うことができる。粘膜結合活性は、標準的結合アッセイ について意図する投与部位の単離された細胞または組織を使って同定することが できる。 本発明の好ましい粘膜結合成分は、粘膜で発現されるガングリオシド、好まし くはガングリオシドGM1を結合することができる。本発明での使用の候補とな る粘膜結合成分は、分子または細胞結合アッセイを使ったガングリオシドへの結 合能力により活性試験することができる。ガングリオシドまたはGM1結合活性 を有するものとして分子に明言する本発明の態様は、粘膜結合成分の定義を満た すのにその他の性質を何も必要としない。 当該技術分野で既知である多数のアッセイを、GM1結合活性の測定に合わせ て容易に改変することができる。1つの非限定例は、次のフォーマットを有する GM1結合活性についてのプレート結合ELISAである。まず、マイクロタイター プレートを、50mM炭酸ナ トリウムpH9.6中の5μgの精製GM1(Sigma Chemical Co.,St.Louisから入 手可能)により一晩コティングし、次いでアッセイ緩衝液(PBS,0.1% TweenTM 20)中で4回洗浄し、アッセイ緩衝液中の1%ウシアルブミンでブロックし、そ して再洗浄する。アッセイ緩衝液中の粘膜結合タンパク質候補の系列希釈液をウ エル中で約1.5時間インキュベートした後、洗浄する。GM1に結合する成分に 対する第一抗体(例えばヤギ抗CTB)、該一次抗体に特異的な第二の酵素標識 抗体(例えばペルオキシダーゼ接合ロバ抗ヤギ免疫グロブリン)、および酵素基 質(例えばO−フェニレンジアミン)を使ってウエルを発色させる。 粘膜結合成分は、その分子の性質に依存して、当該技術分野で既知の多数の技 術によって調製することができる。最初に細菌、ウイルス、植物または動物源よ り同定されたそれらの分子は、その最初の記載に従ってそれらの源より単離する ことができる。短鎖ペプチドは便利にはアミノ酸合成により調製される。レクチ ンおよび他の粘膜結合タンパク質は、生化学販売会社から入手可能である。抗体 は、単離された粘膜結合性標的で動物を免疫処置し、次いで血清から抗体を精製 するかまたは該動物からのリンパ球を使ってハイブリドーマ抗体を惹起させるこ とにより生産される。既知配列を有する長鎖タンパク質は、コード配列を合成す るかまたは天然源もしくはベクターからコード配列をPCR増幅せしめ、次いで 適当な細菌または真核宿主中でコード配列を発現させることにより調製すること ができる。 典型的な粘膜結合成分はコレラ毒素Bサブユニット(CTB)およびE.コリ 熱不安定性エンテロトキシンBサブユニット(LTB)である。本明細書中で用 いるCTBペプチドやLTBペプチドといった用語は、完全なサブユニットだけ でなく、類似体が誘導される 各々の親分子の少なくとも10個、好ましくは30個の保存性アミノ酸に相同である (好ましくは、アミノ酸レベルで70%同一、より好ましくは80%同一、更に好ま しくは90%同一である)領域を含む、対立遺伝子変異体および合成変異体、断片 、融合ペプチド、結合体および他の誘導体についても使用する。ここで、上述し たような結合アッセイにおいて測定すると、該誘導体の相同性領域は粘膜結合活 性を有する。 免疫寛容を誘導するよりもむしろ粘液応答を増強してしまう危険性を最少にす るために、粘膜結合成分として使用するCTBは、ほとんどの態様において、完 全なコレラ毒素または機能的コレラ毒素Aサブユニットを本質的に含まない。こ れは、CTB製剤の<0.1重量%、好ましくは<0.01重量%が活性なAサブユニ ットであることを意味する。組換え生産により得られたCTBは汚染物質として Aサブユニットをまずもたないので、それらが好ましい源である。 コレラ毒素とCTBはSigma Chemical Co.,St.Louis MOから入手可能である 。コレラ毒素AおよびB鎖のDNAコード配列は、米国特許第4,666,837号明細 書に開示されている。組換えCTBの調製に便利である材料および技術について は、欧州特許第0095426号明細書、米国特許第5,268,276号明細書、およびSanche z他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:481,1989を参照のこと。組換えLTBの 調製に便利である材料および技術については、国際特許公開第WO 95/10301号公 報、およびHirst他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:7752,1984を参照のこと 。細菌発現系から分泌されるタンパク質は、pHを4.5に調整し、ヘキサメタリン 酸(最終濃度2.5g/l)で沈澱させ、8000RPMで遠心し、リン酸塩緩衝食塩水中 に溶解しそして透析し、次いで遠心および限外濾過により清澄化することにより 、増殖培地から回収することができる。調製物は、例えばゲル濾 過クロマトグラフィーにより更に精製することができる。抗原の選択および調製 実施者は、本発明の組合せに使用される抗原について多数の選択肢を有する。 本発明の組合せ中に存在する誘導抗原は、誘導される免疫寛容応答の特異性に寄 与する。それは標的抗原と同じであっても異なっていてもよく、望ましくない免 疫応答の標的でありそしてそれに対する免疫寛容か望ましい、処置すべき被検体 中に存在するかまたは提供する予定である抗原である。 本発明の誘導抗原は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖質、糖脂質、また は生物源から単離された他の分子であることができ、あるいは、それが粘膜結合 成分と組み合わされると本発明に係る免疫寛容を誘導する能力を有するという前 提で、化学的に合成された小分子、ポリマー、または生物学的物質の誘導体であ ることができる。 本発明の或る態様では、誘導抗原が単離または組換え生産された単一分子であ る。宿主の様々な位置に標的抗原を分散させる処置条件には、一般に誘導抗原が 標的抗原と同一であるかまたは免疫学的に関連していることが必要である。その ような抗原の例は、大部分のポリヌクレオチド抗原、および幾つかの糖質抗原( 例えば血液型抗原)である。 標的抗原が特定の器官、細胞または組織型上で優先的に発現される場合も、実 施者は、標的抗原と同一であるかまたは免疫学的に関連する誘導抗原を使うとい う選択肢を有する。しかしながら、局外者である抗原を使うという別の選択肢も 有する。この局外者抗原は、標的抗原に免疫学的に関連していなくてもよいが、 標的抗原が発現される組織で優先的に発現される抗原である。局外者抑制の有効 性に関する作用理論は、抑制が標的細胞における免疫応答のエフェク ターアームをダウンレギュレーションする能動的細胞媒介工程であることである 。粘膜表面において誘導抗原によりサプレッサー細胞が特異的に刺激され、そし てそれが組織部位に戻り、そこで局外者抗原が優先的に発現される。相互作用ま たはサイトカイン媒介メカニズムを通して、限局化したサプレッサー細胞は、そ れらが何に対して反応性なのかにかかわらず、近隣のエフェクター細胞(または エフェクター細胞の誘導物質)をダウンレギュレーションする。エフェクター細 胞が、誘導抗原とは異なる標的に対して特異的であるならば、その結果は局外者 作用である。局外者反応の更に詳しい説明およびこの作用を有する寛容原性ペプ チドの一覧については、国際特許公開第WO 93/16724号公報を参照されたい。局 外者理論は、本発明を実施するために免疫寛容を所望するものに対する特定の標 的抗原を同定または単離する必要がないという含みがある。実施者は、標的部位 において優先的に発現される、誘導抗原として使われる少なくとも1つの分子を 得ることができることだけを必要とする。 インスリン依存性糖尿病は、インスリン生産部位である膵臓のβ細胞に対する 自己免疫攻撃を伴う。この攻撃の中心は、一般にインスリンではなくてβ細胞に より発現される別の抗原であると考えられる。しかしながら、インスリン、グル カゴンおよびアミリンはβ細胞により優先的に発現されるので、それらのいずれ も本発明の誘導抗原として適当である。精製されたブタおよびウシインスリン並 びに組換えヒトインスリンは、グルコース代謝の臨床および獣医学経営者の多数 の入手源、例えばNovo Nordisk、Connaught LaboratoriesおよびEli Lilly & Co .から入手できる。それらの製剤は、本発明の実施に直接含めることができ、ま たは組換え発現によりインスリンを生産することができる。ある態様では、イン スリンは免疫寛容しようとする被検者とは異なる種に由来する。インスリンの 前駆体形(B鎖をA鎖に連結するAAK配列を含んで成る)、他の一本鎖形およ び分泌のためのシグナルペプチドを含む形も使用できる。 本発明の一態様では、誘導抗原が、処置する個体中で発現されるものと同じ形 態ではなく、それの断片または誘導体である。本発明の誘導抗原は、適当な特異 性を有する分子に基づいているが断片化、残基置換、標識、接合、および/また は別の機能的特性を有するペプチドとの融合により改変されているペプチドを包 含する。改変は、任意の望ましい目的、例えば非限定的に、毒性や免疫原性とい った任意の望ましくない性質の除去のために、または粘膜結合、粘膜貫通もしく は免疫応答の寛容原性アームの刺激といった任意の望ましい性質の増強のために 行うことができる。本明細書中で用いる、インスリンペプチド、コラーゲンペプ チドおよびミエリン塩基性タンパク質ペプチドといった用語は、完全なサブユニ ットだけでなく、類似体が誘導される各々の親分子の少なくとも10個、好ましく は20個の保存性アミノ酸に相同である(好ましくは、アミノ酸レベルで70%同一 、より好ましくは80%同一、更に好ましくは90%同一である)領域を含む、アロ タイプ変異体または合成変異体、断片、融合ペプチド、接合体および他の誘導体 についても使用する。ここで、それらの誘導体の相同性領域は、標的抗原に対す る免疫寛容を誘導する能力を各々の親分子と共有する。 誘導抗原の免疫寛容原性領域が抗体応答の刺激のための免疫優性エピトープと しばしば異なることは理解される。免疫寛容原性領域は、一般にT細胞が関与す る特定の細胞相互作用に提供することができる領域である。免疫寛容原性領域が 既に存在して完全な抗原の提示と同時に免疫寛容を誘導することができる。生来 の抗原のプロセシングと提示は通常は免疫寛容を触発しないということから、抗 原によっては陰性免疫寛容原性領域を含むことがある。陰性抗原の説明およびそ れらの同定は国際特許公開第WO 94/27634号公報に見つかる。 生来の分子から免疫刺激性領域と免疫寛容原性領域への切断は、免疫優性領域 が免疫寛容原性効果を劣化させるか、または免疫寛容原性領域だけが陰性のもの である時(多くのアレルゲンの場合そうである)に、是認される。適当な寛容原 性断片のマッピングおよび選択は、次の項目に記載する機能アッセイの1つを使 って行うことができる。インスリンのA鎖とB鎖はともに、単独で使用しても免 疫寛容を誘導するが、B鎖のほうが幾分良好に誘導する。成熟B鎖の重要な断片 は残基1〜12、10〜22または11〜30を含むが、残基23〜30はそれだけではあまり 有効でない。 インスリン類似体は、当該技術分野で既知の方法により調製することができる 。例えば、Marki他,Hoppe-Seyler's Z.Physiol.Chem.360:1619-1632,1979; Kitagawa他,Biochem.23:4444-4448,1984;Schwartz他,Biochem.17:4550-455 6,1978;Nakagawa他,J.Biol.Chem.266:11502-11509,1991;Schwartz他,Int .J.Pept.Prot.Res.17:243-255,1981;Hu他,Biochem.32:2631-2635,1993 ;Nakagawa他,J.Biol.Chem.261:7332-7410,1986;およびRiemen他,Biochem .22:1507-1515,1983を参照のこと。 誘導抗原が免疫寛容誘導物質として作用する能力の他に機能的活性を有するこ とは、しばしば不要であり且つ時々望ましくないことがある。例えば、インスリ ンまたはインスリン局外者に対する免疫寛容が所望される場合、本発明は、イン スリンの代謝不活性形態、代謝不活性インスリン断片、および代謝不活性インス リン類似体を使用することを含む。好ましい不活性形態は、同等の用量で投与し た時に、投与後約4時間以内に血糖レベルを有意に低下させる能力 をもたないか、またはI型糖尿病を治療するのに十分な程には活性でない。代謝 不活性類似体および断片としては、正常ヒトインスリンにより示される活性の7 %未満、好ましくは3%未満、更に好ましくは1%未満、更により好ましくは0. 1%未満の活性を有するものが挙げられる。インスリン活性の測定方法としては オイグリセミック(euglycemic)ブタクランプアッセイ、静脈内ウサギ血中グル コースアッセイ、マウス無脂肪細胞アッセイ、皮下マウス血中グルコースアッセ イ、および全細胞または可溶性レセプターを使ったレセプター結合アッセイが挙 げられる(Anderson他,J.Biol.Chem.267:133681-133686,1992;Volund他,D iabetic Med.8:839-847,1991;Moody他,Horm.Metab.Res.6:12-16,1974;Vo lund,Biometrics 34:357-365,1978;Brang他,Diabet.Care 13:923-954,1990 ;Drejer,Diabet.Met.Rev.8:259-286,1992)。 典型的な代謝不活性インスリン類似体としては、X28;X38(Asp825ヒトイン スリン);M13;インスリンA鎖;インスリンB鎖;des(A1-A2)ヒトインスリン ;des(A1-A3)ヒトインスリン;desA21ヒトインスリン;des(B1-B5)ヒトインスリ ン;des(B1-B6)ヒトインスリン;des(B23-B30)ヒトインスリン;des(B24-B30)ヒ トインスリン;des(B25-B30)ヒトインスリン;GlyA2ヒトインスリン;AlaA2ヒト インスリン;NleA2ヒトインスリン;ThrA2ヒトインスリン;ProA2ヒトインスリ ン;D−アロIleA2ヒトインスリン;NvaA3ヒトインスリン;LeuA3ヒトインスリ ン;ValA2,IleA3ヒトインスリン;AbuA2,AbuA3ヒトインスリン;D−CysA6ヒ トインスリン;D−CysA6,CysA11ヒトインスリン;SerA6,SerA11ヒトインスリ ン;des(A8-A10)ヒトインスリン;D−CysA7ヒトインスリン;D−CysA11ヒトイ ンスリン;LeuA19ヒトインスリン;GlyB6ヒトインスリン;GluB12ヒトインスリ ン;AsnB12ヒトインスリン;PheB12 ヒトインスリン;およびD−AlaB12ヒトインスリンが挙げられる。 本発明の或る態様では、2つ、3つまたはより多数の誘導抗原が使われる。複 数の標的抗原が存在する場合、または複数の標的の局外者を提供するために、そ れらの態様を実行することが望ましいかもしれない。例えば、糖尿病の治療の際 にインスリンとグルカゴンを粘膜結合成分と混合することができる。複数の可能 な別の標的をカバーするために抗原の混合物(カクテル)を提供することも望ま しいかもしれない。例えば、組織適合性抗原断片の混合物を使用して、未知の表 現型の同種移植片による将来の移植を見越して被検者を免疫寛容することができ る。ヒト白血球抗原のアロ変異体領域が当該技術分野で知られている。例えば、 Immunogenetics 29:231,1989参照。別の例では、アレルゲンの混合物がアトピ ーの治療のための誘導抗原として働き得る。 誘導抗原は、分子の性質に依存して、当該技術分野で既知の多数の技術により 調製することができる。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および糖質(炭水化 物)抗原は、それらが豊富に存在する処置しようとする患者の細胞から単離する ことができる。短鎖ペプチドは便利にはアミノ酸合成により調製される。既知配 列を有する長鎖タンパク質は、コード配列を合成するかまたは天然源もしくはベ クターからコード配列をPCR増幅せしめ、次いで適当な細菌または真菌宿主細 胞中でコード配列を発現させることにより調製することができる。 本発明の或る態様では、本発明の組合せが細胞または組織より得られた複雑な 抗原混合物を含んで成り、その混合物のうちの1つまたは複数が誘導抗原の役割 を果たす。抗原は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドまたはアルコールの ような固定剤で処理したものかまたはそのままのもののいずれかの、完全な細胞 の形であって もよい。抗原は、細胞または組織の界面活性剤可溶化または機械的破壊に続いて 清澄化により得られた、細胞溶解物の形であってもよい。抗原は更に、分画遠心 、並びに所望によりその後の界面活性剤可溶化および透析といった技術による細 胞下分画、特に原形質膜の富化により得ることもできる。可溶化した膜タンパク 質のアフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーの ような他の分離技術も適当である。 抗原は、接種しそして消化中に粘膜に抗原が放出される食品の形であってもよ い。そのような食品としては、穀物、堅果または関連品、例えば油;乳または固 形乳;チーズ;果実;野菜;海産物;薬味;および卵または卵関連品、例えば卵 白およびアルブミンが挙げられる。過敏症の標的である小さい分子化合物─例え ば色素、例えばFD&C黄色第5号および6号、保存剤、副産物並びに矯味矯臭 剤、例えばスルフェートおよびグルタミン酸一ナトリウムを含有する食品も含ま れる。抗原は病的状態に応答したまたは関連した個体、例えば粘膜障害に関連し た個体中で発現されてもよくまたはその個体に存在してもよい。典型的な粘膜障 害としては、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、潰瘍性腸炎、セリアック病および クローン病が挙げられる。 細胞または組織からの抗原の混合物は、本発明の様々な用途において特に重要 である。例えば、(1)標的抗原もしくは適当な局外者抗原の正体が未知である 器官特異的自己免疫疾患の治療のために、または複数の抗原を提供して免疫寛容 応答を増強するため。この目的での適当な細胞源は、治療しようとする被検者か らの同一組織の生検試料、または同一組織型の培養細胞系である。(2)計画し た組織移植に対して受容個体を免疫寛容するため。免疫寛容の時点で提供個体の 表現型が未知である場合、細胞源は、好ましくは提供個体から または少なくとも1つの主要組織適合性複合体アロタイプを提供個体と共有する 個体から得られる。ヒトの場合、好ましくはHLA-A/BとHLA-DR座で2つ以上のア ロタイプが共有されるのが好ましい(移植片拒絶の治療において優先性を高める ため;対宿主性移植片病の治療において優先性を減らすため)。組織適合性クラ スII抗原(急性同種移植片拒絶の通常の標的)に対する免疫寛容化には、末梢血 単核細胞、脾細胞またはリンパ節細胞が特に適当である。糖質抗原(極急性異種 移植片拒絶の通常の標的)に対する免疫寛容化には、標的が富化されている任意 の細胞タイプ、例えば内皮細胞または白血球を使用するのが適当である。提供個 体の表現型が,免疫寛容誘導の時点で未知の場合、同一種の非近交系集団の複数 メンバーから採取した細胞(例えば単核白血球)の混合物を使用することが適当 である。組合せの構築および試験 本発明の組合せは、1または複数の誘導抗原を1または複数の粘膜結合成分と 組み合わせることにより調製される。これは、比較的中性の水性溶剤または緩衝 液、例えば水、等張食塩水、リン酸塩緩衝液、または炭酸水素塩緩衝液、あるい は薬理学的におよび生理学的に適合する賦形剤中で最も便利に実施される。この 組合せを固体形で貯蔵または投与するつもりの場合、それらの成分を固体として 混合することができ、再懸濁または溶解して混合物を作製することができる。 1または複数の誘導抗原および1または複数の粘膜結合成分は有効組合せ比で 組み合わされる。一般に、有効組合せは、重量で約100:1〜約1:100であり、通常 は重量で約20:1〜約1:20、典型的には重量で約5:1〜約1:5であろう。新規組合せ の試験のための良好な開始点は約1:1の重量比である。混合した後、必要ならば 、各分 割量が1回の投与に望ましい抗原の量を含むように混合物が分割される。 単離した細胞を使ってまたは動物モデルにおいて実験を行うことにより、免疫 寛容を促進する能力についてそれらの組合せを試験することができる。 免疫寛容原性活性の代用となるのは、標的部位において適当なサイトカインの 生産を刺激することができる完全抗原または断片の能力である。標的部位でTサ プレッサー細胞により放出される免疫調節性サイトカインはTGF-βであると考え られる(Miller他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:421,1992)。免疫寛容の最 中に生産され得る他の因子は、サイトカインIL-4とIL-10、およびメディエータ ーPGEである。対照的に、活発な免疫破壊を受けている組織中のリンパ球は、IL- 1,IL-2,IL-6およびγ-IFNのようなサイトカインを分泌する。よって、候補と なる誘導抗原は、適当な型のサイトカインを刺激するそれの能力を測定すること により評価することができる。 これを念頭に置くと、誘導抗原の免疫寛容原性エピトープ、有効な粘膜結合成 分、有効な組合せ、または有効な粘膜投与方法およびスケジュールについての迅 速なスクリーニング試験は、試験管内細胞アッセイにおいて提供個体として同系 動物を使って実施することができる。動物の粘膜表面を試験組成物で処置し、そ してある時点で完全フロイントアジュバント中の標的抗原の非経口投与によりチ ャレンジする。脾細胞を単離し、次いで約50μg/mlの濃度の標的抗原の存在下で 試験管内培養する。標的抗原を候補のタンパク質または部分断片により置き換え て、免疫寛容原性エピトープの位置をマッピングすることができる。培地中への サイトカイン分泌は標準的イムノアッセイにより定量することができる。 他の細胞の活性を抑制する細胞の能力は、標的抗原で免疫処置した動物から単 離した細胞を使って、または標的抗原に応答する細胞系を作製することにより、 決定することができる(Ben-Nun他,Eur.J.Immunol.11:195,1981)。この実 験の1つの変形では、サプレッサー細胞集団を軽く照射して(約1000〜1250ラド )増殖を抑制し、そのサプレッサーをレスポンダー細胞と共に共存培養し、次い でトリチル化チミジン取込み(またはMTT)を用いてレスポンダー細胞の増殖 活性を提供する。別の変形では、サプレッサー細胞集団とレスポンダー細胞集団 を2チャンバートランスウエル培養系(Coster,Cambridge MA)の上方高さと下 方高さで培養し、その系は、それらの集団をポリカーボネート膜により互いに1m m以内隔てられた状態で同時インキュベートできるようにする。このアプローチ では、レスポンダー細胞の増殖活性を別個に測定できるので、サプレッサー細胞 の照射が不要である。 標的抗原が既に個体に存在するような本発明の態様では、抗原を単離する必要 も粘膜結合成分と予め組み合わせておく必要もない。例えば、病的状態(例えば 炎症性腸疾患またはセリアック病)の結果としてまたは食物アレルゲンの摂取を 通して、ある方式で個体内で発現させることができる。1回もしくは複数回量で または製剤において粘膜結合成分を与え、そして抗原に対する免疫寛容化をその 場で促進する能力を調べることにより試験が行われる。 特定の病気の治療のための組成物および投与形態の有効性も、対応する動物病 気モデルにおいて細かく練ることができる。病気の総体的症候を減少させるかま たは遅らせる能力は、使用するモデルに合わせて適宜、循環している生化学的お よび免疫学的性質の証拠、患部組織の免疫組織学、並びに臨床的特徴のレベルで モニタリングされる。試験に用いることができる動物モデルの非限定例が下記の 項目に含まれる。治療目的の特異的免疫寛容化 本発明の組成物および方法は、望ましくない免疫応答を予見または抑制するこ とが望ましいかどうかに向けることができる。これは、様々なヒトおよび脊椎動 物状態の治療に適当である。 治療は、有効量での粘膜結合成分と抗原の有効組合せを投与することにより行 われる。医薬組成物または治療プロトコールは、1回または複数回投与の後、そ れが有益なまたは望ましい臨床結果をもたらすならば効果的である。 本発明の或る態様は、治療介入により事前に免疫寛容されてない個体における 免疫寛容の誘導に関する。それらの態様は一般に、抗原と粘膜結合成分の組合せ の複数回投与を含む。典型的には、少なくとも3回の投与、しばしば少なくとも 4回の投与、時には少なくとも6回の投与が長期持続する結果を与えるが、被検 体は治療過程においてより早期に免疫寛容の兆候を示すことがある。もっとも頻 繁には、各用量はボーラス投与として与えられるが、粘膜放出可能な持続性製剤 も適当である。多数回投与を行う場合、投与間の間隔は一般に1日〜3週間であ り、典型的には約3日〜約2週間である。一般に、同一抗原と粘膜結合成分が同 一濃度で存在し、そして同一粘膜表面に投与されるが、治療の過程でそれら変数 の幾つかの変更を行うこともできる。 本発明の別の態様は、事前に確立された免疫寛容の持続性を増強(boosting) することまたは延長することに関する。それらの態様は一般に、確立された免疫 寛容が減衰しているかまたは減衰する危険がある時点での、1回の投与または短 期治療過程を含む。増強は、開始ブーストまたは予備ブーストの後、通常は1か 月〜1年、典型的には2〜6か月行われる。本発明は、2週間に1回、毎週、1 週 間に2回、または他の規則的スケジュールで行われる投与スケジュールに基づい た免疫寛容の規則的維持を伴う態様も包含する。 本発明は、本明細書中に記載の態様が他の免疫寛容の誘導方法または臨床状態 の処置方法と同時にもしくは逐次的に用いられる組合せ処置を包含する。これに は非限定的に抗原のみ、粘膜結合成分のみもしくは抗原と粘膜結合成分の共有結 合体の粘膜投与、またはいずれかの種類の免疫寛容原性物質の静脈内投与が挙げ られる。 処置は、一般に予防に基づいて行われる時、免疫性疾患の最も深刻な結果を予 防するのに効果的である。これには幾つかの理由がある。第一に、望ましくない 免疫反応を逆転させるよりもその開始を制限する上で免疫寛容誘導は効果的であ るだろう。第二に、望ましくない免疫反応は不可逆的に標的器官または組織に損 傷を与えることがある。例えば、I型糖尿病では膵臓のインスリン分泌β細胞が 破壊される。従って、家族病歴、生化学、免疫学もしくは遺伝学的マーカーまた は初期の臨床的特徴があるために、病気の危険性が十分にあると同定された被検 者に予防的投与を行うことがしばしば適切である。 それにもかかわらず、開業医は、活発型の病気の治療の際に本発明を使用する 機会も認識するだろう。状態の一時緩和は、完全な後退が可能でなくても確かに 値打ちのあることである。免疫反応に起因する進行中の病理学、例えば全身性狼 癒、慢性関節リウマチ、または粘膜疾患、例えば炎症性腸疾患、過敏性腸症候群 、セリアック病もしくはクローン病においては、免疫寛容誘導から恩恵を得るか もしれない。糖尿病は、β細胞破壊が不完全である場合、グルコース代謝を調節 するために投与されるインスリンの有効性を低下させてしまう抗体が存在する場 合、またはβ細胞移植を計画している場合、免疫寛容を誘導することにより活性 状態を治療する価値がある。 他の過敏性反応、例えば食物アレルギーは、標的抗原源により引き起こされ、例 えば個体においてそのような反応を刺激することが知られている食物を接種する ことによって引き起こされる。本発明の処置は、暴露が起こりそうな時のあたり で刺激された粘膜表面に粘膜結合成分を投与することを含むだろう。特異的免疫寛容誘導により治療可能な病気の例 本明細書中に開示される特異的免疫寛容を誘導するための組成物および方法は 、多種多様な状態の治療に向けることができる。後述するものは幾つかの着目の 状態の非限定的説明である。 本発明の或る態様は、自己免疫が役割を果たしている病的状態の治療に関する 。自己免疫疾患は、器官特異的および全身的なものとして特徴づけることができ る。病理学としては、患部組織の抗体媒介細胞溶解もしくは細胞媒介細胞溶解、 Tヘルパー/インデューサー細胞により媒介される炎症性破壊、免疫複合体の沈 着、および抗体媒介レセプタートリガ(trigger)またはブロックを挙げること ができる。本発明に従って治療することができる状態の非限定例としては次のも のが挙げられる。 *他の臨床状態の誘導抗原として適当なコラーゲン型については、国際特許公開 第WO96/21458号公報を参照のこと。 自己免疫状態のための多数の動物モデルが技術の現状において確立されている 。例えば、インスリン依存性糖尿病(Martin他,J.Autoimmunity 9:637,1996; Yang他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10494,1993;von Herrath他,J.Clin .Invest.98:1324,1996;並びに実施例1および3)、関節炎(Zeidler他,Aut oimmunity 21:245,1995;WO 96/21458;Pearson他,J.Chrionic Dis.16:863,1 963;および実施例4)、多発性硬化症(Alvord他,“Experimentai Allergic En cephalomyelitis...”,Allan R.Liss NY,1984;および実施例4)、および自 己免疫性ブドウ膜網膜炎(WO 91/01333)。 本発明の他の態様は、望ましくない過敏症に関連する病的状態の処置に関する 。過敏症は、I型、II型、III型およびIV型のいずれか1つであることができる 。即時型(I型)過敏症は、典型的には誘導抗原として1もしくは複数の侵襲( offending)アレルゲンまたはそれの免疫寛容原性断片を使って処置される。投 与の頻度は、典型的にはアレルゲンの暴露時間に対応するだろう。適当な動物モ デルが技術の現状において既知である(例えば、Gundel他,Am.Rev.Respir.D is.146:369,1992;Wada他,J.Med.Chem.39,2055,1996;およびWO 96/35418 )。 本発明の別の態様は移植に関する。これは、提供個体から受容個体への組織試 料または移植片の移植を言い、そしてしばしば組織により提供される生理学的機 能を回復するために組織を必要とするヒト受容個体に対して行われる。移植され る組織としては、非限定的に、腎臓、肝臓、心臓、肺のような器官全体;皮膚移 植片や目の角膜のような器官成分;並びに骨髄または循環血液から選択されそし て増殖された細胞の培養物、骨髄細胞および全血輸液といった細胞懸濁液が挙げ られる。 移植から起こり得る深刻な合併症は、宿主受容個体と移植される組織との間の 抗原の相違の結果より生じる。その相違の性質および程度に依存して、宿主によ る移植片の免疫学的侵襲または移植片による宿主の免疫学的侵襲の危険性があり 、あるいはその両方が起こり得る。この危険性の程度は、同様な表現型を有し同 様に処置された被検者の集団における反応パターンを追跡し、そして十分に受け 入れられた臨床手順に従って可能性のある様々な寄与因子を相関させることによ り求められる。免疫学的侵襲は、先在する免疫応答(例えば予め形成された抗体 )の結果であってもよく、または移植の時期近くに開始されるものの結果であっ てもよい。互いとまたは様々なエフェクター分子や細胞との任意の組合せで抗体 、TH細胞またはTC細胞が関与し得る。 本発明の一目的は、標準的外科手順に従うが、移植片の受容個体にとって不利 な免疫反応の危険性が減少された、移植を実施できるようにする材料および方法 を提供することである。この方法は、提供個体の組織に対して受容個体を免疫寛 容するか、もしくはその逆、またはその両方を含む。免疫寛容誘導は、移植され た組織中で発現される標的抗原または局外者抗原を、粘膜結合タンパク質と未接 合の組合せで投与することにより行われる。有効組合せの調製の容易さとは、ほ とんど注意を払わずに、提供個体と受容個体の表現型に合わせてそれらを調製で きることを意味する。移植片は多数の異なる細胞型から成る複雑構造であること があり、そして個体に移植される細胞型のいずれか1つまたは複数が危険性を有 することがあり、そのため本発明の方法が適当である。例えば、内皮細胞抗原は 腎臓移植を複雑にし、そしてパッセンジャーリンパ球は肝臓移植を複雑 にする。 本発明の或る態様は、受容個体による組織移植片拒絶に至る、対宿主性移植片 病の危険性を減少させることに関する。超急性、急性または慢性拒絶反応の作用 を予防または減少させるために処置を行うことができる。処置は、移植片を設置 する時に免疫寛容が正しい場所に起こるように、移植に先立って優先的に開始さ れる。しかし、これが可能でない場合には、処置を移植と同時にまたは移植の後 に開始することができる。開始の時期にかかわらず、処置は一般に移植後少なく とも1か月間に渡り規則的な間隔で続けられるだろう。移植片の十分な適応が起 これば、追跡量は必要でないかもしれないが、移植片の拒絶または炎症の何らか の証拠があれば、続行すべきである。もちろん、本発明の免疫寛容誘導方法は、 更に低レベルの危険性を得るために他の形態の免疫抑制と組み合わせることがで きる。 一例として、別の種へのブタ腎臓の異種移植は、排他的でなく主として、腎内 皮細胞上に発現された三糖Galα1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-に対して予め形成された 抗体に対する超急性拒絶の危険性がある。従って、ブタ同種移植片を予想して、 前記三糖が誘導抗原であるような組成物を使って受容個体を予め免疫寛容するこ とができる。あるいは、ブタ内皮細胞抽出物を使って、支配的な前記三糖に対し てだけでなく、他の三糖類、組織適合性抗原上の異種決定基および予想されない 抗原不適合に対しても免疫寛容を促進することができる。第二の例として、ヒト 間での腎臓同種移植は、組織適合性クラスII抗原の不一致のために急性(主にTH 媒介)拒絶反応の危険性がある。従って、受容個体の免疫寛容誘導は移植前、 最中または後に提供個体の表現型の単離または組換えヒト白血球抗原(HLA) クラスIIを使って実施することができる。あるいは、提供個体から の細胞または細胞抽出物を誘導抗原として使って、クラスII不一致と他の不適合 に対して免疫寛容することができる。この用途での好ましい細胞型は、好ましく は実質的レベルでクラスII抗原を発現するもの、特にB細胞、単核細胞およびマ クロファージであろう。それらの細胞は、末梢血(入手可能なら)、リンパ節ま たは脾臓から得ることができる。単核白血球集団(Histopaque FicollTMのよう な培地上での遠心分離により得られる)は、一般にクラスII抗原に非常に富むだ ろう。移植待ちリストに載った被検者に組換えHLA抗原の混合物または多数の 異なる提供個体からの混合白血球集団の抽出物を投与することにより、該被検者 を多数の潜在的提供個体に対して事前免疫寛容することも可能である。 本発明の或る態様は、対宿主性移植片病の危険性を減らすことに関する。この 一連の態様では、生存している提供個体を、移植を行う前に将来の移植片受容個 体の標的抗原に対して免疫寛容することが必要である。一端免疫寛容が得られた ら、提供個体の細胞または組織が収得されそして移植が行われる。 一例では、受容個体の組織に対して非自系骨髄提供個体を事前免疫寛容するこ とにより、受容個体が免疫無防備状態である場合に免疫移植片中のリンパ球が全 身性対宿主移植片病を発生しないようにする。対宿主性移植片病は典型的にはヒ ト白血球抗原に向けられるので、提供個体に投与される組成物に適当な誘導抗原 は、受容個体の表現型の単離もしくは組換えHLA、または受容個体からの白血 球抽出物である。最も伝統的な非特異的免疫抑制方法を提供個体源に適用するこ とは、移植の目標に不適合であろう。本発明の方法は、誘導される免疫寛容が特 異的であり、且つ移植片の機能を妨害しないだろうという点で有利である。別の 例では、受容個体の型の抗原または赤血球を使って提供対象を免疫寛容すること により、肝移植 片中の血液型抗原に特異的なパッセンジャーリンパ球による溶血活性が最少化さ れる。医薬組成物およびそれらの投与 本発明の組成物は、投与が必要な個体、特に望ましくない免疫応答を有するヒ ト被検体への投与のために調製することができる。組成物の調製およびそれらの 使用は、一般に受け入れられた医薬組成物の調製手順に従って行われる。 本発明の或る態様では、粘膜結合成分と抗原または抗原混合物とが一緒に投与 される。両成分は典型的には単一の医薬組成物中に有効比率で組み合わされるか 、または投与の直前に混合される。他の態様では、粘膜結合成分が抗原とは別個 の製剤として投与される。例えば、抗原が食品成分である時、粘膜結合成分が前 記食品成分に対する免疫寛容を促進する粘膜結合成分を食品と一緒に、またはそ の前の期間に、または食品の摂取後に与えることができる。粘膜結合成分と誘導 抗原は、できるだけ近接した時間内に与えられ、好ましくは約6時間以内に、よ り好ましくは30分以内に与えられる。別の例では、粘膜結合成分を含有する製剤 に、粘膜表面上に既に存在する自己抗原が補足される。 医薬組成物の調製方法は、Remington's Pharmaceutical Sciences.E.W.Mart in編,Mack Publishing Co.,PAに記載されている。粘膜結合成分と抗原(別々 にまたは一緒に投与される)は、場合により他の活性成分、担体および賦形剤、 並びに安定剤と組み合わされる。着目される追加の活性成分は、粘膜表面におけ る該組合せの免疫寛容原性作用を増強する剤である。追加の活性成分の例はサイ トカイン、例えばIL-4である。必ずしも必要でないが、医薬組成物は正確な量の 投与に適した単位投与形態において提供することができる。 本発明の或る態様は、所望により、患者によるまたは健康管理専門家による医 薬組成物の調合についての使用説明書と共に、1または複数の成分が別々の容器 中に提供されているキットおよび試薬に関する。一例では、投与直前に混合する ためのキットの別個の容器中に誘導抗原と粘膜結合成分が提供される。移植につ いて着目される第二の例では、専門家が組成物での使用に適した誘導抗原を選択 できるように、可能な誘導抗原のパネル(即ち、異なる提供個体の白血球抽出物 または組換えHLA抗原のパネル)が粘膜結合成分と一緒に提供される。第三の 例では、誘導抗原と組み合わせる目的で、場合により他の成分、例えば緩衝剤お よびIL-4のような補因子と共に、粘膜結合タンパク質が単独で提供され、特に専 門家により投与時期の近くに調製された細胞または細胞抽出物が提供される。 該組成物は粘膜投与用であるので、予想される保存寿命の間安定なだけでなく 、極端なpH、酵素、および粘膜環境での他の侵襲に対して耐性である組成物を調 製することが有用である。例えば、粘膜表面に結合するかまたは貫通するペプチ ドの能力を害することがないように該ペプチドを維持する結合剤が有力な補助剤 であるだろう。 インスリンは金属カチオン、特に亜鉛カチオンの存在によって安定化される。 中性または弱アルカリ性の溶液(典型的には腸液)中では、インスリンの優先形 態は、六量体(ヘキサマー)複合体あたり約2個の亜鉛イオンを有する六量体で ある。ポリマー会合に関与しているのは、主にインスリン単量体の無極性残基で あり、表面はほとんど完全に極性になっている。従って、インスリンを含む組成 物には、十分な金属カチオンの使用、特に亜鉛の使用が推奨される。多くの市販 のインスリン製剤は少量の亜鉛が存在するものもあるが、そうでないものもあり 、亜鉛の存在が望ましいならばそれを補足する必要があるだろう。必要な量は、 インスリン六量体あたり亜鉛イ オン2個の場合には0.38重量%、または六量体あたり亜鉛イオン4個の場合には 0.78重量%である。 理論により限定するつもりはなく、亜鉛を含まない態様よりも亜鉛を含むイン スリンが良好に機能する1つの考えられる理由は、遊離のインスリンに比較して 亜鉛含有インスリン複合体のサイズが大きいことである。小さい分子は主に腸上 皮細胞に差し向けられ、そして大きい分子はM細胞に差し向けられるということ が証明されている(Frey他,J.Exp.Med.184:1045-1059,1996)。M細胞はT 細胞との相互作用のためにパイアー斑にタンパク質を輸送する働きをし、次いで それは全身循環に入る(Weiner他,Immunology Today 18:335-343,1997)。パ イアー斑からの調節T細胞は、本発明により誘導された免疫寛容を標的部位へと 戻す働きをするのかもしれない。亜鉛含有複合体は、大きなサイズであるために M細胞に一層直接的に差し向けられ、それが免疫寛容を誘導する有効性の原因と なると理論化することができる。 本発明の医薬組成物の厳密な性質はしばしは、意図する投与経路に一部は依存 するだろう。粘膜表面への医薬組成物の投与経路の選択は、引いては、処置すべ き臨床状態と特定表面への投与の容易さに特に依存するだろう。最も典型的に使 用される粘膜表面は、胃腸管、鼻粘膜、および気道粘膜の表面である。 胃腸管への投与は、経口投与、座薬、挿管、内視鏡検査、または他の適当な技 術によって行うことができる。経口投与用組成物は、典型的には液体、ピルまた はカプセルである。液体組成物は、溶液または懸濁液として、あるいは使用前に 液体中に溶解または懸濁するのに適した固体形態として提供することができる。 インスリンを含む経口組成物は、六量体形成に十分な亜鉛量の存在から特に恩 恵を被る。液体または易溶性組成物もインスリンが胃 の低pHで分解する危険性を有するので、インスリンの前にまたは同時に、炭酸 水素塩または別の許容される制酸薬を使って胃のpHを約4より上に高めること により、この危険性を減少させるのが有利であろう。経口投与に特に適した他の インスリン組成物は、ゼラチンカプセル中に封入されているか、または胃を通過 した後で内容物を放出するように他の形で製剤化されている腸溶性コーティング ピル剤である。誘導抗原と粘膜結合タンパク質を封入しているリポソームおよび ゲル化性親水コロイドのような微粒子製剤も有効である(例えば、欧州特許出願 0635261 Al)。該組成物の抗原がインスリン以外の何かである場合、それらの方 策の1つまたは複数によって該抗原を保護することの重要性は、胃腸環境に対す るその抗原の感受性に依存するだろう。薬物を腸にターゲッティングするための 一般的概説については、Wilding他(Pharmac.Ther.62:97,1994)を参照のこ と。 経鼻投与は、典型的には、快適な用量で有効濃度を含有する易流動性の液体、 クリームまたはゲルの使用を伴う。鼻粘膜は比較的静止性であり、そして比較的 少量のタンパク質分解酵素が存在するので、場合によってはより低用量の抗原を 使って効果が得られるかもしれない。 気道の粘膜への投与は、典型的にはエーロゾルの調製と吸入を必要とする。エ ーロゾルは、微細に分散された液体または粉末のいずれかであることができる。 エーロゾルを作製する装置および方法は、Kurk-Othmer,“Encyclopedia of Che mical Technology”,第4版第1号,Wiley NY,670-685頁,1991;Newman,“Ae rosols and the Lung”,Clarke & Davia編,Buttersworths,London Engl.,19 7-224頁,1984に記載されている。米国特許第4,624,251号、同第3,703,173号、 同第3,561,444号および同第4,635,627号明細書を調べ ることもできる。ポータブル吸入器は、必要ならば一日何度も便利に投与できる ようにする。 用量の大きさは、意図する作用部位に達する前の予想される該組成物の分布量 、投与経路に対して予想される分解および浸透の程度、投与頻度、並びに処置す る被検者の年齢および臨床状態といった他の関連する特徴を考慮に入れて選択さ れる。一般に、ヒト被検者への経口投与の1回投与量は、10μg〜50mgの抗原ま たは抗原混合物であり、典型的な範囲は約100μg〜2mgであろう。 個々の患者についての臨床的特徴の評価および適当な治療スケジュールの考案 は、結局は処方する医師の責任である。 下記の記載は、特に、各成分の有効組合せを使った、被検者において免疫寛容 をいかに誘導できるかについての詳細な説明である。本発明の精神を逸脱するこ となく、組成物の性質とそれらの使用の両方に関して変更をなし得ることは理解 されよう。 上記と下記の両方で本明細書中に言及される全ての特許、特許出願、文献およ び刊行物は全体が参考として本明細書中に組み込まれる。 下記に与える例は、当業者に対する更なる指針として提供され、決して限定を 意味するものではない。 実施例 実施例1:インスリンとコレラ毒素Bの非共有結合混合物を使ったNODマウス の糖尿病の症状の処置 この実施例は、インスリンと混合したCTBがNODマウスモデルにおいて免 疫寛容を誘導しそして糖尿病の症状を防止できることを特徴づけるために行った 。インスリン依存性糖尿病は、NODマウスにおいて生後約20週の中央期間で自 発的に発病した。 組換えヒトインスリンおよび精製ブタインスリンはNovo Nordisk,Bagsvaerd ,Denmarkから入手した。それらの製剤は共に結晶性でありそして亜鉛を含む。 B鎖とA鎖の間にアミノ酸配列AAKを含むインスリン前駆体“M13”(リーダ ー配列は含まない)は、前駆体コード領域の組換え発現により得た。M13製剤は 亜鉛を含まなかった。コレラ毒素Bサブユニット(CTB)は、コレラ毒素遺伝 子を欠いておりそしてCTBをコードする組換え過剰発現プラスミドが補足され ているビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)変異株の培養物濾液からのヘキサ メタリン酸沈澱とSephadexTMG-75ゲル濾過クロマトグラフィーの組合せにより精 製した(Lebens他,Bio/Tech.11:1574,1993)。 インスリンは20mg/mlになるように0.35M炭酸水素ナトリウム中に溶かした。 CTBは5mg/mlになるようにリン酸塩緩衝食塩水,pH7.4(PBS)中に溶か した。それらの溶液を等重量比で混合し、次いでPBSで希釈して250μl容量 中に所望の量を与えた。別の250μlの炭酸水素ナトリウムを加えて胃酸を緩衝 化した。18ゲージのステンレス綱栄養供給針からの経口栄養により組成物を雌N ODマウスに投与した。 マウスを表2に示すようなグループに分けた。生後10週、12週、14週、16週、 18週および20週目に隔週スケジュールにおいて投与した。 処置期間中および確認週間において毎週動物を糖尿病の徴候についてモニタリ ングした。動物が陽性尿グルコース試験を有し、そして15mM以上の持続するラン ダムな血中グルコース濃度を有した場合、その動物を糖尿病と見なした(Bayer ,Germanyからの尿化学試験片を使って測定した時)。 結果を表3に示す。第27週の時点まで全ての動物が生存しており、データをカ ウントした。フィッシャーのExact Testを使って、偽薬で処置したグループから の有意差の確率を計算した。 偽薬処置グループからの結果は、この株における自発性糖尿病症状の進行速度 を追跡する。処置グループにおける有意に低い症状頻度は、この処置が該グルー プ中のある比率の動物において発病を遅らせることを示す。 最終投与後3週目に、100μgのインスリンを100μgのCTBと組み合わせて投 与したグループ2とグループ5で症状の頻度が低かった。組換えヒトインスリン と精製ブタインスリンも同等に効果的であったが、インスリン製剤が亜鉛を含む という前提を有した。グループ8もインスリンのみでの処置後に低頻度の症状を 示したが、1000μgというずっと高いレベルにおいてであった。 グループ6における100μgの亜鉛不含有インスリンと100μgのCTBの組合せ は、この組合せの効力を維持する亜鉛の役割と一致して、効果的でなかった。亜 鉛は、インスリンを六量体として集 成した状態に維持し、胃腸系への通過中にそれを保護しそして/または粘膜表面 の良好な浸透もしくは抗原提示細胞による良好な取込みを促進すると思われる。 100μgのM13インスリン前駆体と100μgのCTBとの組合せも効果的なく、これ も亜鉛の欠失に起因した(グループ4)。この前駆体はそうでなければ効果的で あると推測される。インスリンとCTBとの混合物はインスリンを1000μgとい う高用量で与えると効果的でない(グループ3)。 最終投与後7週目、グループ2と5では糖尿病症状の進行がまだ有意に遅延さ れ、対照の77%に比較して44%に減少した症状の頻度を有した。グループ8はも はや対照から有意に相違しなかった。これは、単独の1000μgのインスリンでは 一時的にのみ症状を遅らせることを示す。しかしながら、100μgのCTBと組み 合わせた100μgのインスリンは、処置終了後少なくとも7週間に渡ってかなりの 比率の動物において症状の発現を遅らせる持続性免疫寛容をもたらす。処置グル ープ対対照グループの罹病動物の比率(44%/77%)は、処置しなければ27週目 までに症状を発生したであろう動物の約43%において処置が有効であったことを 示す。実施例2:試験管内でのコレラ毒素Bの免疫刺激効果 この実施例は、CTBが抗原特異的リンパ球によるサイトカイン分泌を誘導し そして培養物において抗原提示を促進することを証明する。 10週のBALB/cマウスを、完全フロイントアジュバント中の200μgのKLH(P BS中2mg/ml)(最終容量0.4ml)で皮下免疫処置した。2週間後、脾細胞を 調製しそして5×105細胞/ウエルの密度でプレートに接種した。細胞を刺激剤 と共にインキュベートし、そして次のアッセイに従ってプレートを発色させた。 MultiScreenTMプレート(Millipore Cat.MAIPS4510)の各ウエ ルを100μlの5μg/mlサイトカイン抗体(抗IL-2,抗IL-4または抗IFN-γ)に より4℃で一晩コーティングする。該プレートを1%ウシアルブミンと0.1% Tw eenTM20を含むPBSで37℃にて1時間ブロックする。該プレートを10%ウシ胎 児血清を含むRPMI 1640中で洗浄し、そして脾細胞を37℃および5%CO2で16〜24 時間インキュベートする。10回洗浄後、100μl/ウエルのビオチン化抗サイト カイン抗体(Pharmingen)を2μg/mlで添加し、そして37℃で2時間インキュベ ートした。プレートを再び洗浄し、そして2μg/mlの西洋ワサビペルオキシダー ゼ接合抗免疫グロブリンを該ウエル中に添加して室温で2時間インキュベートし た。洗浄後、製造業者の指示(HRP用のVector AEC基質キット,Cat.SK-4200) に従って色原体基質を添加して反応液を発色させた。洗浄および乾燥後、顕微鏡 下でスポットをカウントした。 結果を下記の表に示す。 この結果は、CTBの添加が、読み取りに用いるサイトカインに依存して抗原 特異的T細胞試験管内応答を5倍増強することを示す。CTBはKLHの不在下 では脾細胞を刺激しなかったので、刺激効果が抗原特異的であると結論づけるこ とができる。 別の実験において、抗原提示細胞に対するCTBの効果を特徴づ けた。10週齢のBALB/cマウスからの脾細胞をCTB(5μg/ml)と共に37℃で20 分間インキュベートした。結合しなかったCTBを洗い流し、処置した細胞を1 :1の比でKLH免疫動物からの2.5×105個の脾細胞と混合し、次いで上述した 通りにKLHの存在下でまたは不在下で刺激した。 結果を下表に示す。 IL-4生産の増加により測定した時に、KLHに対する抗原特異的応答が約5倍 増強された。マイトジェン(分裂促進因子)誘導応答(Con A)に対しても非応答 細胞(培地対照)に対しても全く効果が見られなかった。これは、抗原提示の増 強を介したCTBの免疫刺激効果を裏付ける。CTBとマウス抗原提示細胞系RA W 264との1〜2日間のインキュベーションは、次の同時刺激分子のアップレギ ュレーションをもたらした:B7-1,B7-2,VCAM,クラスII MHC抗原およびMAC-1 。実施例3:I型糖尿病のウイルス誘導モデルにおける処置 ヒトのインスリン依存性(I型)糖尿病の病因は、典型的には組織特異的自己 免疫疾患に対する遺伝的素因、およびβ細胞破壊を開始させるトリガ(触発)現 象に関係すると考えられる。トリガ現象は、外来の病因物質、例えばβ細胞によ り発現される宿主の一成分を模倣するウイルス、による感染である場合がある。 着目の別の動物モデルはvon Herrath他(J.Clin.Invest.98:1324,1996) のトランスジェニックマウスモデルである。これらのマウスは、β細胞中でラッ トインスリンプロモーターの調節下にリンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のウ イルス核タンパク質を発現する。トランスジェニックマウスの2%未満が糖尿病 症状を自発的に発生するが、LCMVでのチャレンジ後2カ月目には、応答頻度が> 95%になる。1mgのインスリンでの2か月間に渡る週2回の経口処置は、該療法 の中間期にLCMVでチャレンジした時、マウスの>50%で糖尿病を予防する。 この実施例の実験では、トランスジェニックマウスを本発明の組合せで処置し 、LCMVでチャレンジして糖尿病の発病を触発し、次いで2か月間まで症状につい てモニタリングする。混合物と投与は、投与1回あたり100μgのCTBと混合し た100μgの亜鉛含有ヒトインスリンを含んで成る組成物を使って、実施例1に記 載の通りに行う。LCMVチャレンジの前か後のいずれかで2週間に渡り週2回栄養 を行う。マウスは、2回の連続した測定において>350mg/mlのランダムグルコ ース測定値により糖尿病であると定義される。混合物で処置したグループと、イ ンスリンのみまたは緩衝液対照で処置したグループとで効果を比較した。実施例4:別の免疫媒介状態の処置のための抗原−CTB混合物 本発明の組成物を、望ましくない免疫応答を伴う他の病気について動物モデル を使って試験した。 多発性硬化症は、7〜8週齢の雌Lewisラットにおいて実験的自己免疫性脳脊 髄炎(EAE)を誘導することによりモデル化する。動物の後足に完全フロイン トアジュバント中の50μgのモルモットミエリン塩基性タンパク質(MBP)を 注射する。100μgのMBPと100μgのCTBの混合物の胃内挿管により免疫寛容 を誘導す る。EAEの誘導前または後のいずれかで、投与と投与の間に2日または5日間 間隔をあけて動物に1,3または6回免疫寛容原を供給する。 動物を次のスケールに従ってEAEの臨床的徴候について毎日調べる:0−全 く検出可能な病気なし;1−尾彼行;2−尾麻痺および四肢虚弱;3−後足麻痺 ;4−四肢麻痺;5−致死。MBP−CTB混合物の効果をMBPのみの効果と 比較し、そして異なる処置スケジュール間で比較する。 関節炎は、完全フロイントアジュバント中の300μgのII型コラーゲン(Sigma) の皮内注射に続き、21日後に100μgのII型コラーゲンの追加注射により8〜14週 齢のDBA/1 Lac Jマウスを感作することによりモデル化する。10μgまたは100μg のII型コラーゲンと同重量のCTBとの混合物の胃内挿管により免疫寛容を誘導 する。関節炎の誘導前または後のいずれかで、投与と投与の間に2日または5日 間間隔をあけて動物に1,3または6回免疫寛容原を供給する。 マウスを関節腫大と紅斑について1週間に2〜3回調べる(足の太さと足根関 節幅;定張力カリパスを使って測定する)。少なくとも1本の足における連続し た測定値の実質的変化により腫大と紅斑が観察される時、マウスを関節炎である と見なす。次の採点スケールを用いる:0−全く関節炎が検出可能でない;1− 穏和な腫大と紅斑;2−両足根と足根関節の腫大と紅斑;3−硬直と骨変形。M BP−CTB混合物の効果を、MBPのみの効果と比較し、そして異なる処置ス ケジュール間で比較した。実施例5:経鼻または経口投与による破傷風毒素に対する免疫寛容誘導 この実験では、別の標的抗原として破傷風毒素を試験し、胃腸内 投与と経鼻投与とで比較を行った。 この実験プロトコールは次のようであった。完全な破傷風毒素(TT)はConn aught Laboratories,Toronto Canadaから入手した。Balb/cマウス(雌,7〜8 週齢)を下記に指摘のように、PBS中の50μg破傷風毒素(TT)と1:1混 合した足パッド中の完全フロイントアジュバント(最終容量10μl)を使って免 疫処置した。10日後、排液したリンパ節を取り出し、単細胞懸濁液に調製した。 それらを96ウエルプレート中で100μg/mlの破傷風毒素で50時間刺激し(5%ウ シ胎児血清、100U/mlペニシリン、100g/mlストレプトマイシンおよび2mMグルタ ミンを含有するRPMI 1640中200,000細胞/μl)、次いで1μCiのメチル3H− チミジンを使って24時間追跡した。細胞を収得し、そしてシンチレーションカウ ンティングによりチミジン取込みを測定した。抗原で刺激したT細胞の値で割っ た抗原不含有の培地中のT細胞の値として、刺激指数(SI)を計算した。経口 投与には、抗原を0.35M NaHCO3中に希釈しそして0.57mlの最終容量を投与した。 経鼻投与には、抗原をPBS中に希釈し、そして0.01mlの最終容量を投与した。 処置グループを下表に示す。 結果を下表に示す。TTの経口投与と経鼻投与の両方が応答を阻害した(グル ープ3と7)。しかしながら、TTとCTBを混合することにより、経口デリバ リーによる効果が約10倍増強された。というのは、10μg TT+10μg CTBの 経口投与は、単独の破傷風毒素100μgと同じくらいT細胞増殖を阻害した(それ ぞれ、6.0 SIと6.1 SI)からである。100μg TT+100μg CTB経口投与 は、その阻害を更に増強した(即ち、4.5 SI)。T細胞増殖の阻害には経鼻投 与も有効であった。10μg TT単独を10μgTT+10μg CTBと比較すると、 混合製剤を使った時にT細胞増殖阻害に対する最高の効果が得られた(それぞれ 4.9 SIと4.4 SI)。全体的に、T細胞増殖阻害に対して最高の効果は、10μ gTT経鼻 投与、10μg TT+10μg CTB経口投与、100μg TT経口投与または5000μg TT経口投与に比べて、10μg TT+10μg CTB経鼻投与を用いた時に得 られた。 TT混合物が単独でTTを使った場合と比較して、経口免疫寛容を約10倍増強 すると結論づけられた。更に、経鼻投与は経口投与と比較して、T細胞増殖に対 する阻害効果を約10倍増強する。即ち、10μg TT+10μg CTB経鼻投与は、 100μg TT+100μg CTB経口投与と同じくらいに作用する(それぞれ、4.4 SIと4.5 SI)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 101 A61P 37/02 37/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,HU,ID,IL ,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC, LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ, TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y U,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 個体において標的抗原に対する持続性免疫寛容を誘導する方法であって、 前記個体の粘膜表面に、未接合の形で誘導抗原と粘膜結合成分の有効組合せを含 んで成る組成物を投与することを含んで成る方法。 2. 個体においてアレルゲンまたは粘膜抗原に対する持続性免疫応答を誘導す る方法であって、前記個体の粘膜表面に、粘膜結合成分の有効量を含んで成る組 成物を投与することを含んで成る方法。 3. 前記粘膜結合成分がGM1結合活性を有する、上記請求項のいずれか一項 に記載の方法。 4. 前記粘膜結合成分がコレラ毒素Bペプチドである、上記請求項のいずれか 一項に記載の方法。 5. 前記誘導抗原と前記粘膜結合成分が組成物中で未会合の形である、請求項 1に記載の方法。 6. 下記の条件: a)前記誘導抗原が標的抗原を含んで成る; b)前記誘導抗原が標的抗原の局外者を含んで成る; c)前記標的抗原が自己抗原である; d)前記標的抗原がアレルゲンである; e)前記標的抗原が同種抗原または異種抗原である のうちの1つまたは複数が存在する、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。 7. a)前記粘膜表面が胃腸粘膜でありそして前記組成物が経口投与される; b)前記粘膜表面が鼻粘膜であり、そして前記組成物が鼻内投与される; または c)前記粘膜表面が気道粘膜であり、そして前記組成物がエーロゾルによ り投与される、 上記請求項のいずれか一項に記載の方法。 8. 前記組成物が少なくとも3回連続して粘膜表面に投与される、上記請求項 のいずれか一項に記載の方法。 9. 前記持続性免疫応答が少なくとも5週間に渡り持続する、上記請求項のい ずれか一項に記載の方法。 10.上記請求項のいずれか一項の方法に従って持続性免疫応答を誘導すること を含んで成る、個体の自己免疫状態の処置方法。 11.a)前記自己免疫状態が慢性関節リウマチであり、そして前記誘導抗原が II型コラーゲンペプチドである; b)前記自己免疫状態が多発性硬化症であり、そして前記誘導抗原がミエ リン塩基性タンパク質ペプチドである;または c)前記自己免疫状態がI型糖尿病であり、そして前記誘導抗原がインス リンペプチドである、 請求項10に記載の方法。 12.a)前記免疫寛容がアレルゲンに対して誘導され、そして粘膜表面への前 記粘膜結合成分の投与がアレルゲンへのその粘膜表面の暴露の前、最中または後 に行われる;または b)前記免疫寛容が胃腸管の自己免疫疾患に関連する粘膜抗原に対して誘 導され、そして前記粘膜結合成分が胃腸管に投与される、 請求項2に記載の方法。 13.提供個体から移植される組織移植片の受容個体における拒絶の危険性を減 らす方法であって、請求項1の方法に従って、前記受容個体の粘膜表面に、未結 合の形の誘導抗原と粘膜結合成分の有効組合せを含んで成る組成物を投与するこ とにより、前記受容個体に おいて前記提供個体の細胞に対する免疫寛容を誘導することを含んで成る方法。 14.提供個体から移植される組織移植片からの受容個体における対宿主性移植 片病の危険性を減らす方法であって、請求項1の方法に従って、前記受容個体の 粘膜表面に、未結合の形の誘導抗原と粘膜結合成分の有効組合せを含んで成る組 成物を投与することにより、前記提供個体において前記受容個体の細胞に対する 免疫寛容を誘導することを含んで成る方法。 15.前記誘導抗原が a)処置する受容個体または提供個体を免疫寛容しようとするアロタイプ決定 基を有する、単離もしくは合成ヒト白血球抗原またはそれの混合物;または b)受容個体または提供個体それぞれからの、あるいは受容個体または提供個 体それぞれと主要組織適合性複合体アロタイプを共有する個体からの、細胞、細 胞膜または細胞抽出物の形の誘導抗原の混合物; のいずれかである、請求項13または14に記載の方法。 16.請求項1,3〜11および13〜14のいずれか一項に記載の方法に従って持続 性免疫寛容を誘導するための医薬組成物であって、未結合の形で誘導抗原と粘膜 結合成分の有効組合せを含んで成る医薬組成物。 17.未結合の形でインスリンペプチドと粘膜結合成分の有効組合せを含んで成 る、I型糖尿病またはインスリン炎の処置における粘膜投与のための請求項16に 記載の医薬組成物。 18.金属イオンを更に含んで成る、請求項22に記載の医薬組成物。 19.前記金属イオンがZn++である、請求項22に記載の医薬組成物。 20.請求項15〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物の調製方法 であって、インスリンペプチドを有効な組合せ重量比で粘膜結合成分と組み合わ せることを含んで成る方法。 21.手術または療法においてヒトまたは動物の体を処置するための医薬の調製 における誘導抗原と粘膜結合成分の使用であって、前記誘導抗原と前記粘膜結合 成分が医薬中で未結合の形であることを特徴とする使用。 22.個体において標的抗原に対する持続性免疫誘導を誘導するための医薬の調 製における粘膜結合成分の使用であって、 a)前記医薬が前記標的抗原に対する免疫寛容を誘導するための誘導抗原を更 に含んで成り、そして前記誘導抗原と前記粘膜結合成分が医薬中で未結合の形で ある;または b)前記医薬がそのような誘導抗原を実質的に含まない ことを特徴とする使用。 23.標的抗原に対する免疫反応性に関連した個体の自己免疫状態を処置するた めの医薬の調製における粘膜結合成分の使用であって、 a)前記医薬が前記標的抗原に対する免疫寛容を誘導するための誘導抗原を更 に含んで成り、そして前記誘導抗原と前記粘膜結合成分が医薬中で未結合の形で ある;または b)前記医薬がそのような誘導抗原を実質的に含まない ことを特徴とする使用。 24.個体において標的抗原に対する望ましくない過敏症を処置するための医薬 における粘膜結合成分の使用であって、 a)前記医薬が前記標的抗原に対する免疫寛容を誘導するための誘導抗原を更 に含んで成り、そして前記誘導抗原と前記粘膜結合成分が医薬中で未結合の形で ある;または b)前記医薬がそのような誘導抗原を実質的に含まない ことを特徴とする使用。 25.提供個体から移植された組織移植片に対する受容個体における拒絶の危険 性を減らすための医薬の調製における粘膜結合成分と誘導抗原の使用であって、 前記誘導抗原が前記提供個体のアロタイプ決定基を含んで成ることを特徴とする 使用。 26.提供個体から移植された組織移植片からの受容個体における対宿主性移植 片病の危険性を減らすための医薬の調製における粘膜結合成分と誘導抗原の使用 であって、前記誘導抗原が前記受容個体のアロタイプ決定基を含んで成ることを 特徴とする使用。 27.前記医薬が粘膜表面への投与用に製剤される、請求項21〜26のいずれか一 項に記載の使用。 28.前記医薬が経口投与、経鼻投与または気道投与用に製剤される、請求項21 〜27のいずれか一項に記載の使用。 29.前記粘膜結合成分がGM1結合活性を有する、請求項21〜28のいずれか一 項に記載の使用。 30.前記粘膜結合成分がコレラ毒素Bペプチドである、請求項21〜29のいずれ か一項に記載の使用。 31.前記医薬が標的抗原に対する免疫寛容を誘導するための誘導抗原を含んで 成る、請求項21〜30のいずれか一項に記載の使用。 32.前記誘導抗原と前記粘膜結合成分が医薬中で未会合である、請求項31に記 載の使用。 33.下記の条件: a)前記誘導抗原が標的抗原を含んで成る; b)前記誘導抗原が標的抗原の局外者を含んで成る; c)前記標的抗原が自己抗原である; d)前記標的抗原がアレルゲンである; e)前記標的抗原が同種抗原または異種抗原である のうちの1つまたは複数が存在する、請求項31または請求項32に記 載の使用。 34.前記医薬が少なくとも5週間持続する持続性免疫寛容を誘導するのに有効 である、請求項21〜34のいずれか一項に記載の使用。 35.a)前記自己免疫状態が慢性関節リウマチであり、そして前記誘導抗原が II型コラーゲンペプチドである; b)前記自己免疫状態が多発性硬化症であり、そして前記誘導抗原がミエ リン塩基性タンパク質ペプチドである; c)前記自己免疫状態がI型糖尿病であり、そして前記誘導抗原がインス リンペプチドである;または d)前記自己免疫状態が胃腸管の自己免疫疾患であり、そして前記医薬が 誘導抗原を実質的に含まない ことを特徴とする、請求項23に記載の使用。 36.前記誘導抗原が a)処置する受容個体または提供個体を免疫寛容しようとするアロタイプ決定 基を有する、単離もしくは合成ヒト白血球抗原またはそれらの混合物;または b)受容個体または提供個体それぞれからの、あるいは受容個体または提供個 体それぞれと主要組織適合性複合体アロタイプを共有する個体からの、細胞、細 胞膜または細胞抽出物の形の誘導抗原の混合物 のいずれかである、請求項25または26の使用。 37.I型糖尿病またはインスリン炎の処置のための医薬の調製におけるインス リンペプチドと粘膜結合成分の使用。 38.前記医薬が金属カチオンを更に含んで成る、請求項37に記載の使用。 39.前記金属カチオンがZn++である、請求項38に記載の使用。 40.組合せ製剤であって、 個体において持続性免疫寛容を誘導するため、個体において自己免疫疾患を治療 するため、個体において望ましくない過敏症を治療するため、提供個体から移植 された組織移植片の受容個体中での拒絶の危険性を減らすため、または提供個体 から移植された組織移植片からの受容個体中での対宿主性移植片病の危険性を減 らすため、同時に、別々にまたは連続して使用される、 a)粘膜結合成分;および b)望ましくない免疫応答に対する誘導抗原 を含有する組合せ製剤。
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